JP3613049B2 - 照明装置およびそれを用いた投写型表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、照明装置およびそれを用いた投写型表示装置に関し、特に液晶を利用した電気光学装置の画像を拡大投写する投写型表示装置に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
最近、液晶を利用したこの種の投写型表示装置(液晶プロジェクタ)は、投写画像の明るさとその均一性を示す照度比の改善に注目が集まっている。これらを同時に実現する技術としては、フライアイレンズの組み合わせにより光束を分割し液晶パネル上で重畳させるとともに、その光路上で偏光分離および偏光変換をする、いわゆるインテグレータ偏光変換光学系が主流になってきている。この光学系は明るさと照度比の2つの特性を両立させる一つの解ではあるが、液晶パネルへの入射光線の発散角が広がるため、一方では、それを低減させるための照明系も望まれている。
【0003】
液晶パネルへの入射光線の発散角を低減しつつ照度比を改善する技術としては、特開平9−160034号公報のようなロッドレンズを用いた照明系が提案されている。これらは、ロッドレンズ出射端面で複数の光源像を重畳し、その出射端面の照明情報を液晶パネル上に結像する光学系であるため、比較的小型の液晶パネルに対しても入射光線の発散角を低減することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述したロッドレンズを用いた照明系は、比較的小型の液晶パネルをターゲットにして入射光線の発散角を低減することを目的とした光学系であるが、偏光変換光学系を併用しながら本来の特徴を維持する照明系は実現されていない。従って、後述するような例えばマイクロレンズを利用した単板型の投写型表示装置のように入射光線の平行性が重要視される光学系では明るさと照度比とがトレードオフの関係にあった。
【0005】
本発明は上記課題を解決するものであり、その目的とするところは、比較的小型の光学系により、被照射面への入射光線の平行性を維持しながら、明るく照度比の高い照明光を得られる照明装置を実現することにある。また、その照明装置を用いることによって、明るく照度比の高い画像投写の可能な投写型表示装置を実現することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の照明装置は、光源手段と、該光源手段からの光を集光する第1の集光手段と、前記集光された光を入射面より入射し内面反射させて出射面に出射するグラスロッドと、該グラスロッドから出射される光束を被照射面に対して集光する第2の集光手段と、前記グラスロッドと前記被照射面との間に配置され、前記グラスロッドから出射される光束を偏光軸が互いに略直交する2つの直線偏光光束に分離し一方の光束を他方の光束の直線偏光軸に変換する偏光変換手段とを有することを特徴とする。
【0007】
また、光源手段と、該光源手段からの光を集光させ1次光源像を形成する第1の集光手段と、前記1次光源像からの光束を内面反射によって複数の光束に分割して射出し複数の2次光源像を形成する光束分割手段と、該光束分割手段の出射面の照明情報を被照射面に結像する第2の集光手段と、前記光束分割手段と前記被照射面との間に配置され、前記光束分割手段から出射される光束を偏光軸が互いに略直交する2つの直線偏光光束に分離し一方の光束を他方の光束の直線偏光軸に変換する偏光変換手段とを有することを特徴とする。
【0008】
上記2つの発明の構成によれば、光源手段からの光束をグラスロッドあるいは光束分割手段によって拡散させないように重畳(インテグレーション)して射出し、偏光変換手段によって偏光軸を合わせた状態で被照射面を照明する構成であるので、被照射面の照明に対する光利用効率を向上でき、その照射面での輝度むらも低減することができる。また、内面反射を利用したグラスロッド(光束分割手段)により光拡散を少なくしてその出射面に重畳した光を射出するので、光束の広がりが少なく小型の照射面に対して比較的平行性の高い照明を行うことができる。
【0009】
上記2つの本発明の照明装置において、前記第2の集光手段は、前記グラスロッド(光束分割手段)と前記被照射面との間において、前記グラスロッド(光束分割手段)から出射された光束を集光し複数の光源像(3次光源像)を形成し、前記偏光変換手段は前記複数の光源像(3次光源像)が形成される位置の近傍に配置されることを特徴とする。
【0010】
本発明の構成によれば、小面積に縮められて形成された光源像の位置で偏光変換が行われるため、偏光変換手段を小型にできるとともに小型の被照射面に対して入射光線の平行性を高めることができる。
【0011】
上記2つの発明の照明装置において、前記偏光変換手段は、前記グラスロッド(光束分割手段)から出射される光束を偏光軸が互いに略直交する2つの直線偏光光束に分離し互いに異なる方向に出射させる複数の偏光分離手段と、該分離された一方の光束を他方の光束の進行方向に揃える複数の反射手段と、該分離された一方の光束を他方の光束の直線偏光軸に変換する複数の偏光軸回転手段とから構成されることを特徴とする。
【0012】
本発明の構成によれば、複数の光源像が形成されるそれぞれの位置で偏光変換を行うことができるため、小型の偏光変換手段によって確実に偏光変換を行うことができる。
【0013】
上記2つの発明の照明装置において、前記偏光分離手段は、前記複数の光源像の中で前記偏光分離が行われる方向において中心となる光源像が互いに離反する2つの方向に反射される構成を含むことを特徴とする。
【0014】
本発明の構成によれば、偏光分離方向において中心となる光源像の反射光が2つに別れて反射手段に入射される構成であるため、偏光分離手段および反射手段を小型にできる。従って、隣の光源像との隙間が小さくても偏光変換が可能となり偏光変換の効率を高めることができる。さらに、アークサイズの大きい高出力光源の使用による高輝度化や断面積の小さいグラスロッド(光束分割手段)の使用による高照度比化も可能となる。
【0015】
上記の発明の照明装置において、前記中心となる光源像のための偏光分離手段および反射手段の反射面の大きさが、中心以外の光源像のための偏光分離手段および反射手段の反射面の大きさより小さいことを特徴とする。
【0016】
本発明の構成によれば、各反射面の大きさをそこに入射する光源像の大きさに合わせることができるため、効率的に偏光変換することができる。また、偏光変換手段を構成する偏光分離手段および反射手段の数を減らし偏光変換手段を簡略化することができる。
【0017】
または、上記の発明の照明装置において、前記中心となる光源像のための偏光分離手段および反射手段の反射面の大きさが、中心以外の光源像のための偏光分離手段および反射手段の反射面の大きさと等しいことを特徴とする。
【0018】
本発明の構成によれば、全ての反射面の大きさを揃えることにより、偏光変換手段の薄型化が可能になる。
【0019】
上記の発明の照明装置において、前記偏光分離手段は、前記複数の偏光分離手段による反射方向が全て同方向となるように構成されることを特徴とする。
【0020】
本発明の構成によれば、全ての反射面の方向を揃えることができるため、全ての素子を積層形成後に切断する等の容易な製造が可能になる。
【0021】
上記2つの発明の照明装置において、前記偏光変換手段の、前記反射手段によって反射され出射する光束の出射面に、出射光の進行方向を変える偏向手段をさらに有することを特徴とする。
【0022】
本発明の構成によれば、偏光分離手段と反射手段によって本来の光路から外れた光束を偏向し被照射面に入射させることができるため、被照射面への入射効率を高めることができる。
【0023】
本発明の照明装置は、前記グラスロッド(光束分割手段)の入射面に入射光を制限する開口手段をさらに有することを特徴とする。
【0024】
本発明の構成によれば、グラスロッド(光束分割手段)の入射面に形成される光源像(1次光源像)の大きさを制限させることにより偏光変換手段が配置される位置の光源像(3次光源像)を小型にすることができるため、偏光変換手段への不要な光の進入を防止しまた偏光変換手段を小型化することも可能である。
【0025】
また、前記開口手段は、前記偏光変換手段の偏光分離方向で入射光を制限する開口を有することを特徴とする。
【0026】
本発明の構成によれば、偏光分離方向に直交する方向の光束は効率的に偏光変換手段に入射させながら、偏光変換のために必要な偏光分離方向のみに光源像を分離する空間を確保することができる。
【0027】
上記2つの発明の照明装置において、前記偏光変換手段の入射側に配置され、該偏光変換手段への入射光の一部を遮蔽する遮光手段をさらに有することを特徴とする。
【0028】
本発明の構成によれば、偏光変換後に偏光光束と異なる光束の進入を軽減させることができるため、偏光変換後の偏光度が向上される。従って、これを液晶プロジェクタに用いれば投写画像のコントラストを高めることができる。
【0029】
上記2つの発明の照明装置において、前記偏光回転手段は1/2波長板であることを特徴とする。
【0030】
本発明の構成によれば、薄型の1/2波長板により確実な偏光変換が可能であり、また形状の自由度が高いため、P偏光の変換用にもS偏光の変換用にも配置が可能である。
【0031】
また、本発明の投写型表示装置は、以上に記載の照明装置と、該照明装置からの光束を複数の原色光に分離する分光手段と、該分光手段からの光束を変調する電気光学装置と、該電気光学装置によって変調された光を投写する投写手段とを備えることを特徴とする。
【0032】
本発明の構成によれば、比較的平行性が高く照度比の高い照明光を用いることにより、照度比が高く明るい投写画像を得ることができる。また、照明光に平行性が要求される例えば単板型の投写型表示装置を高輝度、高照度比で実現することができる。
【0033】
さらに、本発明の投写型表示装置において、前記分光手段は、前記偏光変換手段と前記電気光学装置との間に配置されることを特徴とする。
【0034】
本発明の構成によれば、インテグレーション(重畳)され偏光変換された照明光に対して分光を行うため、原色光への分離が確実に行われその後の分光の乱れも少ない。また、偏光変換手段と電気光学装置の間で光学系の光路を折り曲げることができるため、光学系を小型にすることができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、図面などを参照しながら、本発明の実施の形態をあげて、さらに詳細に説明する。
【0036】
(照明装置の第1の実施形態)
図1は、本発明による照明装置の第1の実施形態を示す図である。
【0037】
本実施形態の照明装置は、光源手段であるランプ1と、第1の集光手段である楕円リフレクタ2と、光束分割手段であるグラスロッド3と、第2の集光手段を構成する第1の集光レンズ4、第2の集光レンズ5および、第3の集光レンズ6と、偏光変換手段である偏光分離・偏光変換アレイ(以下、PBS変換アレイという。)7とを備え、被照射面を有する液晶パネル8を照明する装置である。本実施の形態では、被照射面を有する電気光学装置として液晶パネルを例にとっている。
【0038】
ランプ1は楕円リフレクタ2の第1焦点近傍に配置され、ランプ1から出射された光束は、楕円リフレクタ2によって反射され楕円リフレクタ2の第2焦点近傍に集光され、グラスロッド3の入射面上に光源ランプの像を結像するようにして1次光源像G1を形成する。なお、楕円リフレクタ2は、放物面リフレクタでもよくその場合にはグラスロッド3の前段に放物面リフレクタから出射される平行光束をグラスロッド3の入射面に向けて集光するための集光レンズをさらに設ければよい。
【0039】
グラスロッド3は、柱状のガラス製の中実ロッドである。グラスロッド3に入射された光束は、グラスロッド3内で内面反射を繰り返し複数の2次光源像G21、G22、G23、…(図2参照)を形成する。
【0040】
図2は、グラスロッド3による光束分割作用の説明図である。グラスロッド3の断面形状は図2(b)に示すように横a、縦bの大きさの四角形であり、それぞれ互いに対向する反射面(内面)は平行である。すなわち、図において、縦方向の2反射面は互いに平行で、横方向の2反射面は互いに平行である。また、aとbの比は被照射面である液晶パネル8の画素領域(表示領域)の形状の比と略等しく、それらは相似形である。グラスロッド3の長さは、2次光源像G21、G22、G23、…からの光束の中心光線(一点鎖線で図示される光軸)がグラスロッドの出射面の中心を通るように設定されている。この際、この断面形状を、グラスロッド3の入射面へ楕円リフレクタ2によって集光される入射光束がグラスロッド3が無い状態の場合に生じ得る光束の広がりE(図2(a))より十分に小さくなるように設定すると、光束の一部がグラスロッド3の内面で反射されて1次光源像G1の虚像となる2次光源像G21、G22、G23、…が複数生成される。図示される1次光源像はG1であり、これはグラスロッド3の内面での反射無しに出射面に出射される光成分の虚像である2次光源像G21でもある。また、2次光源像G22はグラスロッド内面で2回反射されて出射面に出射される光成分の虚像であって、出射面には斜めに出射される光成分であるため、G21から外れた斜め方向に虚像が位置する。2次光源像G23については、グラスロッド内面で3回反射されて出射面に出射される光成分の虚像であって、出射面には斜めに出射される光成分であるため、G21およびG22から外れた斜め方向に虚像が位置する。このように、内面反射回数毎に2次光源像が形成され、複数の2次光源像G21、G22、G23、…からの光束がグラスロッド3の出射面上で重畳され、その出射面に対するグラスロッド3内からの光出射方向も様々な方向からの重畳された光となるため、その出射面上には明るさのムラが低減され照度比を高められた照明情報が形成されることになる。そしてこのグラスロッド3の出射面に射出された光束は、図3に示すように集光レンズ4および集光レンズ5によって集光され、それぞれ2次光源像G21、G22、G23、…に対応する3次光源像G31、G32、G33、…が形成される。グラスロッド3内に入射し異なる回数で内面反射した光束が出射面に異なる角度で重畳されるようになるので、グラスロッド3の出射面には集光レンズ4を配置して出射面からの出射光が拡散しないようにその出射方向を規制し集光している。集光レンズ4はグラスロッド3の出射面に接着により接合されるように配置するとよい。集光レンズ5は集光レンズ4により出射方向が規制された出射角度の異なる光束を所定の被照射面上に集光するためのレンズである。
【0041】
また、集光レンズ5はグラスロッド3の出射面上の照明情報を液晶パネル8上に集光する結像レンズでもあり、出射面に重畳された光を集光し、それを出射面と相似形状の液晶パネル8の画素領域に照射するように焦点が合わせられる。従って、一旦3次光源像G31、G32、G33、…として集光された光束は、集光レンズ6によって液晶パネル8の画素領域上に定義する法線に対して平行な方向に近づくように偏向されながら被照射面である液晶パネル8に照射される。ここで、集光レンズ6は、光線方向を整えるレンズであるためなくても構わない。
【0042】
また、グラスロッドでなくとも、入射光を分割して重畳し、被照射面と相似形状の光束として出射することができる構造の他の光分割手段を用いても構わない。
【0043】
このように、本発明の構成によれば、光源手段からの光束をグラスロッドあるいは光束分割手段によって拡散させないように重畳(インテグレーション)して射出し、偏光変換手段によって偏光軸を合わせた状態で被照射面を照明する構成であるので、被照射面の照明に対する光利用効率を向上でき、その照射面での輝度むらも低減することができる。また、内面反射を利用したグラスロッド(光束分割手段)により光拡散を少なくしてその出射面に重畳した光を射出するので、光束の広がりが少なく小型の照射面に対して比較的平行性の高い照明を行うことができる。
【0044】
図4は、3次光源像G31、G32、G33、…の集光状態を説明するための図であり、光軸方向から見た様子を示している。3次光源像G31、G32、G33、…の大きさ、数、間隔は、1次光源像G1の大きさ、入射角、グラスロッド3の断面形状、長さ等により決定される。特に、3次光源像の大きさは1次光源像の大きさにまた光源像の間隔はグラスロッド3の断面形状に依存し、その断面形状が長方形であれば、長辺方向への光源像の間隔が短辺方向より大きくなる。図4において、G31は内面反射しない光を含んでグラスロッド3の出射面の中心を光軸として出射される光束の3次元光源像であるので、光束全体としての光軸周辺に位置し、その周りに2回内面反射した光を含んでグラスロッド3から出射された光束の3次元光源像G32が8方に点在して位置する。図示していないが、G32の外側にグラスロッド3で3回内面反射した光を含む光束の3次元光源像がG31をから放射状に点在することになる。
【0045】
例えば本実施形態では、液晶パネル8は、図4のy軸方向(横方向)が長辺となる長方形であり、従ってそれと相似形であるグラスロッド3の断面もy軸方向が長辺となる長方形であって、光源像のY軸方向の間隔y1はY軸と直交するz軸方向の間隔z1より大きい。さらに、本出願人の検討によれば、図4に示すような9個の光源像の周りにもグラスロッド3で多数の内面反射した光束による光源像は形成される場合があるが、中心の光源像G31に最も光エネルギーが集中し、それを含めてここに示す9個の光源像にエネルギーが集中していることが分かった。従って、この9個の光源像を比較的隙間の大きいy軸方向の光源像の隙間を使って、偏光分離および偏光変換すればいい。
【0046】
図5は、集光レンズ5の出射側に配置されたPBS偏光変換アレイ7の実施形態であり、そのXY断面図である。PBS偏光変換アレイ7は、入射する光束を偏光軸が互いに略直交するP偏光とS偏光の2つの直線偏光光束に分離し互いに異なる方向(例えば略直交する方向)に出射させるための偏光分離手段である偏光分離膜9(9a、9b、9c、9d)と、各偏光分離膜9によってそれぞれ反射された一方の偏光(S偏光)光束を反射し、偏光分離膜9を透過した他方の偏光(P偏光)光束の進行方向に揃えるための反射手段である反射膜10(10a、10b、10c、10d)と、入射する一方の偏光(S偏光)光束の偏光軸を回転して他方の偏光(P偏光)光束に合わせるための偏光軸回転手段である1/2波長板11(11a、11b、11c、11d)と、偏光分離膜9を経由せずに反射膜10に入射する光束を遮蔽するための遮光手段である遮光板12(12a、12b、12c、12d)と、それらの間隙を埋めてアレイを形成する柱状の複数のプリズム13とから形成される。各偏光分離膜9および反射膜10は、いずれか一つのプリズムの斜面に形成されその膜を介して対向するプリズムの斜面と接着により接合される。但し、偏光分離膜9a,9c、反射膜10a,10cは、プリズム13の斜面の途中までに膜形成し、対向するプリズム13の斜面と貼り合わせられている。なお、1/2波長板11と遮光板12はプリズム13の入射面に配置される。
【0047】
このように構成されたPBS偏光変換アレイ7は、集光レンズ5によって集光される前記の3次光源像G31,G32の光束がその入射面近傍に形成され、偏光分離膜9に入射するように、3次元光源像光束の光路中に配置され、例えば、偏光分離膜9aに入射した光束(3次元光源像G31の光束)のうちのP偏光光束は光束P1として透過し、反射されたS偏光光束は反射膜10aでさらに反射され前述の光束P1と進行方向を揃えられ、1/2波長板11aを透過することによってその偏光面が略90゜回転されP偏光光束に変換されて光束P2として射出される。一方、偏光分離膜9bおよび反射膜10bの大きさはそれぞれ偏光分離膜9aおよび反射膜10aの大きさの2倍であり、偏光分離膜9bに入射した光束(3次元光源像G32、その他にG33,…を含めてもよい。)も全て前述と同様にして、反射膜10bにより方向を揃え且つ1/2波長板11bで偏光変換してP偏光光束に揃えられ光束P3、P4として射出される。以下、偏光分離膜9c,反射膜10c,1/2波長板11cによる偏光変換、偏光分離膜9d,反射膜10d,1/2波長板11dによる偏光変換は、光軸(図中一点鎖線)に対して対称な9a,10a,11aによる偏光変換、9b,10b,11bによる偏光変換と同様に、入射する光束を互いに略直交する2つの偏光光束に分離し、一方の偏光を他方の偏光に揃え同一方向に出射する。偏光分離膜9a,9cは3次元光源像G31の光束をY軸方向に2分割して異なる光路で出射するものである。
【0048】
なお、以上のP偏光とS偏光は入れ替えて構成してもよい。
【0049】
また、このように偏光軸回転手段として1/2波長板11を使うことは、簡易な方法で確実な偏光変換を行う上で有効である。また、波長板は形状の自由度が高いため、前述したS偏光の変換用に限らず、P偏光光束の出射面に配置してP偏光をS偏光に変換してS偏光に揃えて出射することも可能である。なお、遮光板12は、偏光変換後に偏光光束と異なる光束、本実施形態では偏光変換後にS偏光光束となる光束の進入を軽減させるものであり、これにより偏光変換後の偏光度を向上させることができる。
【0050】
従って、本実施形態における液晶パネルを照射する照明装置を液晶プロジェクタ等の投写型表示装置に用いれば、照明装置による被照射面への光は光源光を拡散させないようにして分割し且つ重畳した上で、偏光変換して液晶パネルへ入射する光の偏光軸を揃えているので、光源光の光利用効率を高めることができ、投写画像のコントラストを高めることができる。
【0051】
このように、第1および第2の集光レンズによって小面積に縮められて形成された光源像の位置で偏光変換が行われるため、偏光変換手段を小型にできるとともに小型の被照射面に対して入射光線の平行性を高めることができる。また、複数の光源像が形成されるそれぞれの位置でそれぞれの光源像の大きさに合わせた反射面により偏光変換を行うことができるため、小型の偏光変換手段によって確実に偏光変換を行うことができる。
【0052】
以上説明したように、エネルギーが集中する光源像は偏光分離方向において3個であり、その中心の光源像は両側に2つに分離される形で偏光変換され、両端の光源像はさらにその外側に展開する形で偏光変換される構成であるため、偏光分離手段である偏光分離膜9a、9cおよび反射手段である反射膜10a、10cを小型にできる。従って、隣の光源像との隙間が小さくても偏光変換が可能となり偏光変換効率を高めることができる。さらに、小さい面積で光源像を分離し偏光変換ができるため、アークサイズの大きい高出力光源の使用による高輝度化や断面積の小さいグラスロッド(光束分割手段)の使用による高照度比化も可能となる。なお、前述したようにエネルギーのほとんどが9個の光源像に集中しているため、偏光分離膜9b、9dおよび反射膜10b、10dはその外側の光源像を救済する目的からそれぞれの反射膜の大きさを制限する必要がないため、その部分における偏光変換効率も高めることができる。
【0053】
液晶パネル8は電気光学装置の一例であって、ツイステッドネマチック型、水平配向型、垂直配向型、強誘電型など偏光板を必要とする液晶を用いた場合は、図示しない一対の偏光板の間に液晶パネル8を介在させて構成する。また、高分子分散型などの光散乱型の液晶の場合は、偏光板を用いずに液晶パネルだけ配置する。液晶パネル8は、複数の画素がマトリクス状に配置されており、各画素毎にその画素の表示情報に応じた電圧を電気光学装置である液晶に印加して、各画素毎に出射光量を可変させて入射光の変調を行う。液晶パネル8が透過型液晶パネルである場合には、入射側と反対側から光出射され、その変調光により画像表示がなされる。先に述べたように、グラスロッド3の断面形状は液晶パネル8の画素領域に応じた相似形状であるため、この出射面での光束の断面形状も画素領域と相似形状となり、集光レンズ5により照射された光は液晶パネル8の画像領域とほぼ一致又は包含するように照射すると、光の利用効率は高くできる。
【0054】
以上説明したように、本実施形態によれば、グラスロッド3の内面反射を利用することによってインテグレーションをするため、光束の広がりが少なく小型の液晶パネル等の電気光学装置に対しても比較的平行性の高い照明を、高効率かつ高照度比で行うことができる。
【0055】
(照明装置の第2の実施形態)
図6は、本発明の照明装置の第2の実施形態における偏光変換手段を示す図である。
【0056】
なお、これ以降の説明において、第1の実施形態と同様の構成要素については同一符号を付けて説明を省略する。
【0057】
本実施形態におけるPBS偏光変換アレイ7は、入射する光束を偏光軸が互いに略直交する2つの直線偏光(P偏光,S偏光)光束に分離し互いに異なる方向(例えば略直交す方向)に出射させるための偏光分離手段である偏光分離膜14(14a、14b、14c、14d、14e、14f)と、各偏光分離膜14によってそれぞれ反射された他方の偏光(S偏光)光束または偏光分離膜14によって透過された一方の偏光(P偏光)光束を反射し、偏光分離膜14を透過した一方の偏光(P偏光)光束または反射された他方の偏光(S偏光)光束の進行方向に揃えるための反射手段である反射膜15(15a、15b、15c、15d、15e、15f)と、入射する他方の偏光(S偏光)光束の偏光軸を回転して一方の偏光(P偏光)光束に合わせるための偏光軸回転手段である1/2波長板16(16a、16b、16c、16d)と、本来の光路を経由せずにPBS偏光変換アレイを出射する光束を遮蔽するための遮光手段である遮光板17(17a、17b、17c、17d)と、それらの間隙を埋めてアレイを形成する複数のプリズム18とから形成される。第1の実施形態におけるPBS偏光変換アレイとの違いは、全ての偏光分離膜14および反射膜15の大きさが等しい点にある。また、遮光板17が反射膜15への入射面だけでなく特定の偏光分離膜14c、14fへの入射面にも存在する点にある。さらに、1/2波長板16も偏光分離膜14あるいは反射膜15のいずれか一方の出射面のみに存在するのではなく、特定の両者の出射面に配置される点にある。なお、第1の実施形態におけるPBS偏光変換アレイと同様に、偏光分離膜14および反射膜15は、いずれか一つのプリズムの斜面に形成されその膜を介して対向するプリズムの斜面と接着により接合される。
【0058】
このように構成されたPBS偏光変換アレイは、集光レンズ4,5によって集光される前記の3次光源像G31,G32がその入射面近傍に形成され、偏光分離膜14a、14b、14d、14eおよび反射膜15b、15eに入射するように、3次元光源像G31,G32光束の光路中に配置され、例えば、偏光分離膜14aに入射した光束(3次元光源像G31の光束)のうちのP偏光光束は光束P1として透過し、反射されたS偏光光束は反射膜15aでさらに反射され前述の光束P1と進行方向を揃えられ、1/2波長板16aを透過することによってその偏光面が略90゜回転されP偏光光束に変換されて光束P2として射出される。偏光分離膜14bに入射した光束(3次元光源像G32の光束)も同様に光束P3、P4として射出される。しかし反射膜15bに直接入射した光束(3次元光源像G32の光束)の挙動は違い、反射膜15bによって反射された光束は偏光分離膜14cによってP偏光光束とS偏光光束に分離され、反射されたS偏光光束は1/2波長板16bによってその偏光面が90°回転されP偏光光束に変換されて光束P5として射出され、偏光分離膜14cを透過したP偏光光束は反射膜15cで反射されて前述の光束P5と進行方向を揃えられ光束P6として射出される。
【0059】
また、偏光分離膜14d,反射膜15d,1/2波長板16cによる偏光変換と、偏光分離膜14e,反射膜15e,1/2波長板16dによる偏光変換と、反射膜15e,偏光分離膜14f,1/2波長板16d,反射板15fによる偏光変換とは、前述の光軸を挟んで対称となる位置での偏光変換と同様になる。このように、結果的には、射出される全ての光束はP偏光光束に揃えられる。
【0060】
以上の説明および図6より明らかなように、本実施形態によれば、全ての反射面の大きさを揃えることにより、偏光変換手段の薄型化が可能になる。また、各反射膜の大きさが揃うためPBS偏光変換アレイの製造も容易になる。なお、遮光板17は、反射膜15a、15dへの不要光の進入を防ぐ遮光板17a、17cと、偏光分離膜14c、14fと反射膜15c、15fへの不要光の進入を防ぐ遮光板17b、17dより構成される。また、1/2波長板16は本実施形態で説明した位置に限らず、全ての出射光をS偏光光束に揃えるように配置しても構わない。
【0061】
また、P偏光とS偏光を入れ替えた構成にしても構わない。
【0062】
(照明装置の第3の実施形態)
図7は、本発明による照明装置の第3の実施形態における偏光変換手段を示す図である。
【0063】
なお、これ以降の説明において、第1の実施形態と同様の構成要素については同一符号を付けて説明を省略する。
【0064】
本実施形態におけるPBS偏光変換アレイ7は、集光レンズ4,5により集光されて入射する光束を偏光軸が互いに略直交する2つの直線偏光(P偏光,S偏光)光束に分離し互いに異なる方向(例えば略直交する方向)に出射させるための偏光分離手段である偏光分離膜19(19a、19b、19c)と、各偏光分離膜19によってそれぞれ反射された他方の偏光(S偏光)光束を反射し、偏光分離膜19を透過した一方の偏光(P偏光)光束の進行方向に揃えるための反射手段である反射膜20(20a、20b、20c)と、入射する他方の偏光(S偏光)光束の偏光軸を回転して一方の偏光(P偏光)光束に合わせるための偏光軸回転手段である1/2波長板21(21a、21b、21c)と、偏光分離膜19を経由せずに反射膜20に入射する光束を遮蔽するための遮光手段である遮光板22(22a、22b、22c)と、それらの間隙を埋めてアレイを形成する複数のプリズム23とから形成される。第1および第2の実施形態におけるPBS偏光変換アレイとの違いは、全ての偏光分離膜19および反射膜20の大きさが等しく、その反射方向が等しい点にある。なお、第1および第2の実施形態におけるPBS偏光変換アレイと同様に、偏光分離膜19および反射膜20は、いずれか一つのプリズムの斜面に形成されその膜を介して対向するプリズムの斜面と接着により接合される。
【0065】
このように構成されたPBS偏光変換アレイは、前記の3次光源像がその入射面近傍に形成され、偏光分離膜19a、19b、19cに入射するように3次元光源像の光束の光路中に配置され、例えば、偏光分離膜19aに入射した光束のうちのP偏光光束は光束P1として透過し、反射されたS偏光光束は反射膜20aでさらに反射され前述の光束P1と進行方向を揃えられ、1/2波長板21aを透過することによってその偏光面が略90゜回転されP偏光光束に変換されて光束P2として射出される。偏光分離膜19bおよび19cについても同様であり、偏光分離膜19b,反射膜20b,1/2波長板21bによる偏光変換と、偏光分離膜19c,反射膜20c,1/2波長板21cによる偏光変換は、偏光分離膜19a,反射膜20a,1/2波長板21aによる偏光変換と同様に行われる。結果的には射出される全ての光束はP偏光光束に揃えられる。
【0066】
以上の説明および図7より明らかなように、本実施形態によれば、全ての反射面の方向を揃えることにより、偏光変換手段の構成および作用が簡略化される。従って、全ての素子を積層したバルク部材から45゜斜め方向に切断することによりPBS偏光変換アレイを製造するような簡単な製造が可能になる。なお、遮光板22は、反射膜20a、20b、20cへの不要光の進入を防ぐ位置に配置される。また、1/2波長板21は本実施形態で説明した位置に限らず、全ての出射光をS偏光光束に揃えるように配置しても構わない。
【0067】
また、P偏光とS偏光を入れ替えた構成にしても構わない。
【0068】
(照明装置の第4の実施形態)
図8は、本発明による照明装置の第4の実施形態における偏光変換手段を示す図である。
【0069】
なお、これ以降の説明において、第1の実施形態と同様の構成要素については同一符号を付けて説明を省略する。
【0070】
本実施形態では、第1の実施形態において説明したPBS偏光変換アレイ7を一例に挙げて説明をするが、その他の実施形態において説明したPBS偏光変換アレイ7に対しても適用可能である。
【0071】
本実施形態におけるPBS偏光変換アレイ7の先に説明した実施形態におけるそれとの違いは、1/2波長板24(24a、24b、24c)が偏光分離膜9を透過したP偏光光束の光路上に配置される点と、一部のS偏光光束の出射光路上に偏光分離膜9と反射膜10とによって本来の光路から外れた光束を被照射面に向けて偏向するための偏向手段である偏向プリズム25(25a、25b)を配置した点にある。すなわち、PBS偏光変換アレイ7はグラスロッド3の出射面上の照明情報を液晶パネル8上に結像するための集光レンズ5の後段に配置されるため、そこで偏光分離膜9によって反射された光束は偏向分離膜9と隣の反射膜10との距離分光路が偏心され、集光レンズ5の本来の光路から外れることになる。従って、PBS偏光変換アレイ7から出射される光束の少なくとも最外出射面に偏向プリズム25を接合することにより、その出射面から出射される光の偏心分を偏向手段である偏向プリズム25で補正するわけである。
【0072】
偏向プリズム25a、25bはプリズム13と同じ材質であり、それに入射する光束の進行方向を液晶パネル8に近づくように偏向する方向に斜面が形成されている。すなわち、偏向分離膜9bによって反射され反射膜10bによって進路を変えられた光束は、偏向プリズム25aがない場合には破線26のような光路を通るところを偏向プリズム25aの屈折作用によって実線27の方向に補正するものである。従って、本実施形態によれば、液晶パネル8の外側に漏れてしまう光束の方向を補正し液晶パネル8に入射させることができるため、液晶パネル8への入射効率を高めることができる。
【0073】
なお、偏向手段の構成は本実施形態に限らず、少なくとも最も外側から出射する光束を反射する反射膜10bおよび10dの設置角度を変えて、そこで反射する光束の方向を補正するようにして、この反射膜に本実施形態で説明した偏向プリズム25の機能を併せ持たせても構わない。また、反射膜10a、10cの出射面上にも偏向プリズムを設けても構わない。さらに、本実施形態では1/2波長板24a、24cと偏向プリズム25a、25bとの積層を避けるために1/2波長板24の設置位置を偏光分離膜9の透過光路上にしたが、その反射光路上でも構わない。
【0074】
このように本実施形態の構成は、第1の実施形態だけでなく、他の実施形態のPBS偏光変換アレイ7における外側から出射される光束の光路中に同様に偏向手段を配置することにより、液晶パネルへ照射する光を増やすことができる。
【0075】
(照明装置の第5の実施形態)
図9は、本発明による照明装置の第5の実施形態を示す図である。
【0076】
なお、これ以降の説明において、第1の実施形態と同様の構成要素については同一符号を付けて説明を省略する。
【0077】
本実施形態の特徴は、第1の実施形態のおけるグラスロッド(光束分割手段)3の入射面上に入射光を制限するための開口手段であるアパーチャを設けた点にある。図9(a)には透過する開口が円形の円形アパーチャ28を、図9(b)には開口が矩形の矩形アパーチャ29を示した。各図の斜線図への入射光はアパーチャにより遮光される。
【0078】
このように、グラスロッド3の入射面にアパーチャを設けることはそこに形成される1次光源像G1を小さくすることと等価である。前述したように2次および3次光源像の大きさは1次光源像の大きさに依存するため、本実施形態によればPBS偏光変換アレイ7が配置される位置の3次光源像の各々の大きさを小さくすることができる。従って、各3次光源像間の間隔(図4におけるy1、z1)が広がるために、PBS偏光変換アレイ7への不要な光の進入を低減させることができ、遮光板をなくすこともできる。つまり、PBS偏光変換アレイ7に入射する光束の間隔が狭いと、入射面に遮光板を配置して偏光変換できない入射面に光入射しないように対処が必要となると共にそこでの光損失が起こるが、光束の間隔が広がれば光束自体である程度の光分離ができるようになるので、光損失が少なくなり、場合によっては遮光板が不要となる。
【0079】
またその間隔の特に、図9(b)に示したような矩形アパーチャ29によれば、偏光変換のためのスペースが必要なY軸方向のみにアパーチャとしての作用をさせることができるため、矩形アパーチャ29部の透過効率を維持しながら、3次光源像の分離性能を高めることができる。
【0080】
(投写型表示装置の実施形態)
図10は、本発明による照明装置を用いた投写型表示装置の実施形態の全体の構成を示す図である。本実施形態の投写型表示装置では、前述した照明装置の各実施形態のいずれかの照明装置を用いることができる。
【0081】
すでに説明したように、本発明の照明装置ではグラスロッド3の出射面上の照明情報(出射面の形状に沿って出射される光束)が集光レンズ5により相似拡大されて液晶パネル8を照明することになる。従って、液晶パネル8やグラスロッド3断面の大きさにもよるが、偏光変換手段であるPBS偏光変換アレイ7と液晶パネル8または集光レンズ6(集光レンズ6は入射光を平行化して液晶パネル8に照射する)との間には、拡大率に応じた空間が生じる。当然のことながら、この距離が大きくなるほど集光レンズ5による共役比が増大するため液晶パネル8への入射光線の平行性は高まることになる。本実施形態においては、この空間を利用し光源光を複数の色光に分光する分光手段であるダイクロイックミラー30を配置した。
【0082】
ダイクロイックミラー30は、赤色光、緑色光、青色光を選択的に反射または透過する互いに異なる波長選択反射膜がそれぞれ形成され、互いに所定の角度を有して配置された3枚のダイクロイックミラー30R、30G、30Bを備えている。例えば、ダイクロイックミラー30Rは、赤色光を反射し、緑色光、青色光を透過するミラーである。ダイクロイックミラー30Gは、ダイクロイックミラー30Rを透過した緑色光、青色光をさらに分離するミラーであって、緑色光を反射して、青色光を透過する。ダイクロイックミラー30Bは、ダイクロイックミラー30Gを透過した青色光を反射するミラーである。各ダイクロイックミラー30R、30G、30Bは、互いに所定の角度を持って配置されており、反射された光はそれぞれ異なる方向から液晶パネル8に入射する。本実施形態では液晶パネル8入射前に集光レンズ6を透過しその屈折作用を受けるが、光束の分離状態は保たれる。なお、ダイクロイックミラー30は3枚のダイクロイックミラーとしているが、光学的に最後のミラー(30B)は全反射ミラーでもよく、少なくとも2つのダイクロイックミラーを用いれば分光手段は構成できる。また、ダイクロイックミラーでなくとも波長選択反射膜が形成されたプリズムに置き換えてもよい。また、赤色光、緑色光、青色光の色光の分光の順序はいずれでも構わない。
【0083】
図11は、図10における液晶パネル8の部分断面図である。液晶パネル8は、分光手段により分光された各色光束をそれぞれ対応する画素に集光するためのマイクロレンズアレイ33を備えたアクティブマトリクス液晶パネルであり、それらの前後には不図示の一対の偏光板が配置される。液晶パネル8は、2枚の硝子等の透明基板34、35の間にツイステッドネマチック(TN)液晶36が封入され、一方の基板34には共通電極37および不要光を遮光するためのブラックマトリクス38等が形成され、他方の基板35には画素電極39、スイッチング素子としての薄膜トランジスタ(TFT)40等が形成され、TFT40を介して画素電極39に電圧が印加されると共通電極37との間に挟まれた液晶36が駆動される構成である。なお、他方の基板35には、複数の走査線と複数のデータ線が交差して配置され、その交差部付近にTFT40がゲートを走査線、ソースをデータ線、ドレインを画素電極39に接続して配置される。そして、走査線には順次選択電圧が印加され、それに応じてオンした水平方向の画素のTFT40を介して各画素の駆動電圧が画素電極39に書き込まれる。TFT40は非選択電圧の印加によりオフとなり印加された駆動電圧を図示されない蓄積容量等に保持する。液晶パネルの開口部(ブラックマトリクス38の開口部)に相当する領域に画素電極39は配置され、TFT40と画素電極39(必要に応じて画素電極に接続された蓄積容量)により各画素が構成される。なお、液晶36はTNだけでなく、強誘電型や反強誘電型、この他水平配向型、垂直配向型、高分子分散型など種々用いることが可能である。
【0084】
また、エッチング等により硝子板上に形成されたマイクロレンズアレイ33と一方の基板34とが、低屈折率の樹脂層(接着剤)41を介して互いに接着されている。マイクロレンズアレイ33の単位レンズ(レンズの凸部または凹部)は、液晶パネル8の水平方向(走査線方向)の画素ピッチの3倍に相当するピッチを有し、ダイクロイックミラー30を異なる角度で反射して出射する赤色光、緑色光、青色光がマイクロレンズアレイ33の各単位レンズに異なる角度で入射し、この各単位レンズにより赤色光、緑色光、青色光がそれぞれ水平方向に隣接して単位レンズと対応する3つの画素の画素電極39付近に集光されるようになる。マイクロレンズアレイ33の各単位レンズは、各色光をこのレンズと対応する3つの隣接画素の画素電極に入射光を集光するような焦点距離を有する。図においては、液晶パネルに対して略直進して入射される緑色光Gはマイクロレンズアレイ33の単位レンズにより画素電極39Gに集光されてそのまま出射される。一方、ダイクロイックミラー30Rと30Bが30Gに対して有する角度に対応した角度で、緑色光Gに対して互いに対称に入射される赤色光Rと青色光Bは、単位レンズにより画素電極39Rと39Bにそれぞれ集光され、緑色光Gと対称な角度をもって出射される。なお、ダイクロイックミラー30での分光の順序が異なれば、それに応じて図11に示される液晶パネル8への色光の入射位置も異なる。
【0085】
上記のようにして液晶パネル8の画素電極39に対して集光した各光束は、液晶パネル8に印加された信号に応じた変調を受けて出射し、投写手段である投写レンズ31によって前方のスクリーン32上に拡大投写される。隣接する3つの画素により変調された3つの色光は、以上の過程においてスクリーン32上では同位置に重なるように投写される。なお、本投写型表示装置は、スクリーン32を背面から投写するリア型でも、前面から投写するフロント型でも構わない。
【0086】
本実施形態によれば、比較的平行性が高く照度比の高い照明光を用いることにより、照度比が高く明るい投写画像を得ることができる。また、本実施形態で説明したような、照明光に高い平行性が要求される単板型の投写型表示装置を高輝度、高照度比で実現することができる。その際、ダイクロイックミラー30をPBS偏光変換アレイ7と液晶パネル8との間に配置したので、インテグレーションおよび偏光変換の終わった照明光に対して原色光への分離が確実に行われその後の分光の乱れも少ない。さらに、ダイクロイックミラー30によって光路を折り曲げるため、図10に示すように光学系を小型化することができる。
【0087】
なお、本実施形態は単板型の投写型表示装置に限られるものではなく、分光手段により分光された3つの色光に対してそれぞれ変調手段となる液晶パネルを用いた3板式の投写型表示装置に対しても適応可能である。また、液晶パネルは透過型に限定されず、画素電極を反射電極とした反射型の液晶パネルでも構わない。
【0088】
さらに、光変調する電気光学装置として、反射ミラーを各画素毎に設けて、画像信号に応じて反射ミラーでの反射角を切換えて変調するミラーデバイス(例えばテキサスインスツルメント社の開発したデジタルミラーデバイス(DMD)のようなもの)においても、そのデバイスに光源光を照射する照明装置として本発明を適用することができる。
【0089】
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形や変更が可能である。
【0090】
例えば、画素の配列順序はマイクロレンズの中心に緑色光の画素を配置する場合について説明したが、その中心に赤色光または青色光の画素を配置しても構わない。
【0091】
また、グラスロッドは中実のものについて説明したが、中空(外枠が硝子等から構成される反射面で中心が空洞の角柱。この場合は各反射面で光反射する。)のライトパイプでも構わない。また、硝子製のロッドでなくとも、樹脂製のロッドしても構わない。
【0092】
また、各図で説明したS偏光とP偏光は、逆であっても構わない。
【0093】
【発明の効果】
以上詳しく説明したように、本発明の照明装置によれば、比較的小型の光学系により、被照射面への入射光線の平行性を維持しながら、明るく照度比の高い照明光を得ることができる。また、その照明装置を用いることによって、明るく照度比の高い画像投写の可能な投写型表示装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による照明装置の第1の実施形態を示す図。
【図2】本発明による照明装置のグラスロッドによる光束分割の説明図。
【図3】本発明による照明装置による3次光源像の形成の説明図。
【図4】本発明による照明装置による3次光源像の正面図。
【図5】本発明による照明装置の第1の実施形態における偏光変換手段を示す図。
【図6】本発明による照明装置の第2の実施形態における偏光変換手段を示す図。
【図7】本発明による照明装置の第3の実施形態における偏光変換手段を示す図。
【図8】本発明による照明装置の第4の実施形態における偏光変換手段を示す図。
【図9】本発明による照明装置の第5の実施形態を示す図。
【図10】本発明による投写型表示装置の実施形態を示す図。
【図11】本発明による投写型表示装置の液晶パネルの説明図。
【符号の説明】
1 ランプ
2 楕円リフレクタ
3 グラスロッド
4 集光レンズ
5 集光レンズ
6 集光レンズ
7 PBS偏光変換アレイ
8 液晶パネル
9 偏光分離膜
10 反射膜
11 1/2波長板
12 遮光板
13 プリズム
28 円形アパーチャ
29 矩形アパーチャ
30 ダイクロイックミラー
31 投写レンズ
32 スクリーン
Claims (4)
- 光源手段と、該光源手段からの光を集光する第1の集光手段と、前記集光された光を入射面より入射し内面反射させて出射面に出射するグラスロッドと、該グラスロッドから出射される光束を被照射面に対して集光する第2の集光手段と、前記グラスロッドと前記被照射面との間に配置され、前記グラスロッドから出射される光束を偏光軸が互いに略直交する2つの直線偏光光束に分離し一方の光束を他方の光束の直線偏光軸に変換する偏光変換手段とを有してなり、
前記第2の集光手段は、前記グラスロッドと前記被照射面との間において、前記グラスロッドから出射された光束を集光し複数の光源像を形成し、前記偏光変換手段は前記複数の光源像が形成される位置の近傍に配置され、
前記偏光変換手段は、前記グラスロッドから出射される光束を偏光軸が互いに略直交する2つの直線偏光光束に分離し互いに異なる方向に出射させる複数の偏光分離手段と、該分離した一方の光束を他方の光束の進行方向に揃える複数の反射手段と、該分離した一方の光束を他方の光束の直線偏光軸に変換する複数の偏光軸回転手段とから構成され、
前記偏光分離手段は、前記複数の光源像の中で前記偏光分離が行われる方向において中心となる光源像が互いに離反する2つの方向に反射される構成を含み、
前記中心となる光源像のための偏光分離手段および反射手段の反射面の大きさが、中心以外の光源像のための偏光分離手段および反射手段の反射面の大きさより小さいことを特徴とする照明装置。 - 光源手段と、該光源手段からの光を集光させ1次光源像を形成する第1の集光手段と、前記1次光源像からの光束を内面反射によって複数の光束に分割して射出し複数の2次光源像を形成する光束分割手段と、該光束分割手段の出射面の照明情報を被照射面に結像する第2の集光手段と、前記光束分割手段と前記被照射面との間に配置され、前記光束分割手段から出射される光束を偏光軸が互いに略直交する2つの直線偏光光束に分離し一方の光束を他方の光束の直線偏光軸に変換する偏光変換手段とを有してなり、
前記第2の集光手段は、前記光束分割手段と前記被照射面との間において、前記複数の2次光源像を集光し複数の3次光源像を形成し、前記偏光変換手段は前記複数の3次光源像が形成される位置の近傍に配置され、
前記偏光変換手段は、前記光束分割手段から出射される光束を偏光軸が互いに略直交する2つの直線偏光光束に分離し互いに異なる方向に出射させる複数の偏光分離手段と、該分離された一方の光束を他方の光束の進行方向に揃える複数の反射手段と、該分離された一方の光束を他方の光束の直線偏光軸に変換する複数の偏光軸回転手段とから構成され、
前記偏光分離手段は、前記複数の光源像の中で前記偏光分離が行われる方向において中心となる光源像が互いに離反する2つの方向に反射される構成を含み、
前記中心となる光源像のための偏光分離手段および反射手段の反射面の大きさが、中心以外の光源像のための偏光分離手段および反射手段の反射面の大きさより小さいことを特徴とする照明装置。 - 請求項1または請求項2に記載の照明装置において、前記偏光変換手段の入射側に配置され、該偏光変換手段への入射光の一部を遮蔽する遮光手段をさらに有することを特徴とする照明装置。
- 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の照明装置と、該照明装置からの光束を複数の原色光に分離する分光手段と、該分光手段からの光束を変調する電気光学装置と、該電気光学装置によって変調された光を投写する投写手段とを備えることを特徴とする投写型表示装置。
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