JP3612261B2 - ブレーキの制御方法及びその装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に交流モータ等の電気ブレーキを用いて鉄道車両(以下、単位に「車両」ともいう)を減速及び停止させるブレーキの制御方法及びその装置に関する。特には、主に電気ブレーキで車両を減速及び停止させ、非常時には、摩擦ブレーキを自動的に併用して車両を安全且つ確実に減速及び停止させることのできるブレーキの制御方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、鉄道車両用のブレーキとして、電気ブレーキ、摩擦ブレーキ、流体ブレーキなどが用いられている。このうち電気ブレーキの代表的なものは、駆動電動機を発電機として電流を発生して車軸に制動トルクを与え車両を減速及び停止させるものである。また、摩擦ブレーキは、圧縮空気や油圧などによって機械的に制輪子を車軸やブレーキディスクなどに押し付けて摩擦力を発生させ車両を減速及び停止させるものである。また、流体ブレーキは、油などの流体を回転翼などで攪拌し、その際の抵抗力をブレーキ力として車両を減速及び停止させるものである。
【0003】
ここで、電気ブレーキと摩擦ブレーキを併用して走行中の電気車などの鉄道車両を停止させる場合、一般的に、まず電気ブレーキによって徐々に減速し、最後に摩擦ブレーキによって物理的に車軸などを固定して停止させている。また、電気ブレーキのみで走行中の電気車などの鉄道車両を停止させる場合、電気ブレーキによって徐々に減速して車両を停止させている。このとき、車両の停止場所が勾配のある線路上の場合には、最終的に摩擦ブレーキを使用して確実に車両の停止及び停止状態の保持を行うか、または、勾配推定フィードフォワード・トルクパターン制御によって電気ブレーキのみで車両の停止状態の保持を行っている。
【0004】
図6は、車両の停止までの速度とブレーキ力の関係を示す図である。図6(A)及び(B)は、電気ブレーキと空気ブレーキ(摩擦ブレーキ)を併用した場合の車両速度とブレーキ力の関係を示し、図6(C)は、電気ブレーキのみの場合の車両速度とブレーキ力の関係を示す。
【0005】
従来のブレーキシステムにおいては、まず、所定のブレーキノッチ、例えば、ブレーキ5ノッチで、速度V0から速度0になるまで減速する場合、車両の運転台の運転台ノッチからブレーキ5ノッチの信号をブレーキ受量器(BCU:Brake Control Unit)に送る。ブレーキ受量器(以下、単に「BCU」ともいう)は、ブレーキ5ノッチの信号に対応したブレーキ力Foを電気ブレーキ力(回生ブレーキ力)Fe及び空気ブレーキ力Faで出力するようにインバータを制御する。すなわち、BCUは、ブレーキ力Foと車両速度Vtに対応した電制パターン信号を所定のパターンでインバータに出力する。
【0006】
インバータは、BCUからの電制パターン信号に応じたトルク分電流Iqをモータに発生し、これにより、モータを制御して電気ブレーキ力Feを生じて車両の停止を行う。このとき、インバータは、現在の電気ブレーキ力Feを示す電制フィードバック信号と、モータが正常に駆動していることを示す電制有効信号をBCUに送出する。
【0007】
BCUは、インバータからの電制フィードバック信号と電制有効信号を監視しながら、車両速度Vtが所定の速度V1(図6(A)ではV1=15、また、図6(B)ではV1=5)まで減速されても、そのままの値を出し続け、インバータ側ではパターン制御部で持っている電気ブレーキ力指令(または、トルク分電流指令Iq)の所定のパターンに応じて電気ブレーキ力指令(または、トルク分電流指令Iq)を徐々に絞り込む。この絞り込みは、車両速度Vtが所定の速度V2(図6(A)ではV2=5、また、図6(B)ではV2=0)になったときに電気ブレーキ力指令(または、トルク分電流指令Iq)の値が0になるように制御する。
【0008】
パターン制御部における電気ブレーキ力指令(または、トルク分電流指令Iq)が徐々に絞り込まれると、インバータで発生する電気ブレーキ力Feもこれに対応して徐々に小さくなる。これに応じて、現在の電気ブレーキ力Feを示す電制フィードバック信号の値も徐々に減少する。すなわち、車両速度Vtが所定の速度V1(図6(A)ではV1=15、また、図6(B)ではV1=5)になると、電気ブレーキ力指令(または、トルク分電流指令Iq)の絞込みに応じて電気ブレーキ力Feも小さくなるため、電制フィードバック信号の値も徐々に減少し、車両速度Vtが所定の速度V2(図6(A)ではV2=5、また、図6(B)ではV2=0)になったとき電気ブレーキ力指令(または、トルク分電流指令Iq)の値が0になるため、電気ブレーキ力Feも0となり、これに対応する電制フィードバック信号の値も0になる。
【0009】
BCUは、インバータからの電制フィードバック信号の値を監視しており、この値が小さくなったことを検出して、インバータで出力している電気ブレーキ力Feがブレーキ5ノッチの信号に対応したブレーキ力Foを満たしていないことを検知する。そこで、BCUは、ブレーキ力Foを出力するために必要な補足ブレーキ力として空気ブレーキ力Fa(Fa=Fo−Fe)を算出する。
【0010】
BCUは、この空気ブレーキ力Faに対応した制動指令信号(空制信号)を電空変換弁(EP(Electro−Pneumatic)弁)に出力する。電空変換弁(以下、単に「EP弁」ともいう)は、BCUからの制動指令信号に対応して、空気ブレーキ力Faを発生し、電気ブレーキ力Feを補足して、電気ブレーキ力Feと空気ブレーキ力Faでブレーキ5ノッチに対応したブレーキ力Foを出力する。
【0011】
以上のようにして、従来のブレーキシステムにおいては、最初、車両の停止に必要なブレーキ力Foを電気ブレーキ力Feのみで発生させる。そして、車両速度Vtが所定の速度V1になった場合、電気ブレーキ力Feを徐々に減少させると共に、その減少分を空気ブレーキ力Faで補足して、電気ブレーキ力Feと空気ブレーキ力Faとでブレーキ力Foを出力する。最後に、電気ブレーキ力Feを0にして、空気ブレーキ力Faのみでブレーキ力Foを出力するようにして、車両を停止している。
【0012】
また、近年においては、電気ブレーキのみで車両を停止するブレーキシステムの導入も検討されている。この電気ブレーキのみで車両を停止するブレーキシステムの場合には、車両速度Vtが所定の速度V1(図6(C)ではV1=5)になると、BCUからの電制パターン信号は絞られずに出し続けられるが、インバータで発生する電気ブレーキ力Feは電気ブレーキ力指令(または、トルク分電流指令Iq)に対応して徐々に小さくなる。ここで、インバータは、現在の電気ブレーキ力Feを示す電制フィードバック信号の値を実際の電気ブレーキ力Feに対応させずに、BCUからの電制パターン信号そのままの値(ダミー信号の値)でBCUに送出する。
【0013】
BCUは、インバータからの電制フィードバック信号の値を監視しており、この値がダミー信号によって変化しないため、車両速度Vtが所定の速度V1(図6(C)ではV1=5)以下になっても、インバータで出力している電気ブレーキ力Feがブレーキ5ノッチの信号に対応したブレーキ力Foを満たしているものとして検知する。そこで、BCUは、ブレーキ力Foを出力するために必要な補足ブレーキ力(空気ブレーキ力Fa)を算出することなく、電気ブレーキのみで車両を停止する。
【0014】
以上のようにして、電気ブレーキのみで車両を停止するブレーキシステムの場合においては、車両速度Vtが所定の速度V1になっても、インバータから電制フィードバック信号のダミー信号をBCUに与えるため、電気ブレーキ力Feの減少分を空気ブレーキ力Faで補足せずに、電気ブレーキ力Feのみで車両を停止している。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、電気ブレーキのみで車両を停止するブレーキシステムにおいては、インバータからBCUにダミー信号を送出している際に、軽負荷回生が生じると、回生負荷が減少することになり、これによって、車両を停止するための電気ブレーキ力が不足する場合が生じるという問題があった。
【0016】
また、モータなどの駆動部の故障などにより、車両を停止するための電気ブレーキ力が充分に車輪に伝達できず、車両の停止に支障をきたすことも考えられる。
【0017】
本発明はこのような背景の中でなされたものであって、主に電気ブレーキで車両を減速及び停止させ、非常時には、摩擦ブレーキを自動的に併用して車両を安全且つ確実に減速及び停止させることのできるブレーキの制御方法及びその装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様のブレーキの制御方法は、電気入力を受けて該入力に対応した制動トルクを車軸に与え、また、空気圧を受けて該圧力に対応した摩擦力を車輪に与えて車両を減速及び停止させるブレーキの制御方法であって;(a)電気ブレーキ用の制御信号(以下、単に「電制パターン信号」ともいう)を算出してブレーキ制御部からインバータに与え、(b)インバータ側で電制パターン信号の値に対応した電気ブレーキ力指令またはトルク分電流Iq*を電気ブレーキに与えると共に、当該電気ブレーキ力指令またはトルク分電流Iq*に対応した値の電制フィードバック信号をインバータからブレーキ制御部へ送り、(c)車両の速度Vtと減速度βを測定し、(d)インバータ及び電気ブレーキの稼動状態を監視し、(e)車両の速度Vtが所定の速度V1以下になったら、インバータ側で電気ブレーキ力指令またはトルク分電流Iq*の値を徐々に小さくし、また、インバータからブレーキ制御部へは、電制パターン信号と同じ値のダミー信号を電制フィードバック信号として送り、(f)車両の停止前に、電気ブレーキの動作が正常でないと判断された場合には、ブレーキ制御部から電空変換部に摩擦ブレーキ用の制御信号(以下、単に「空制信号」ともいう)を与え、(g)空制信号の値に応じた圧力で摩擦ブレーキを制御する、ことを特徴とする。
【0019】
また、上記課題を解決するため、本発明の第2の態様のブレーキの制御方法は、電気入力を受けて該入力に対応した制動トルクを車軸に与え、また、空気圧を受けて該圧力に対応した摩擦力を車輪に与えて車両を減速及び停止させるブレーキの制御方法であって、(a)電気ブレーキ用の制御信号(以下、単に「電制パターン信号」ともいう)を算出してブレーキ制御部からインバータに与え、(b)インバータ側で電制パターン信号の値に対応した制動トルク分電流Iqを電気ブレーキに与えると共に、当該制動トルク分電流Iqに対応した値の電制フィードバック信号をインバータからブレーキ制御部へ送り、(c)車両の速度Vtと減速度βを測定し、(d)インバータ及び電気ブレーキの稼動状態を監視し、(e)車両の速度Vtが所定の速度V1以下になったら、ブレーキ制御部からインバータに与える電制パターン信号の値を徐々に小さくし、また、インバータからブレーキ制御部へは、所定の値のダミー信号を電制フィードバック信号として送り、(f)車両の停止前に、電気ブレーキの動作が正常でないと判断された場合には、ブレーキ制御部から電空変換部に摩擦ブレーキ用の制御信号(以下、単に「空制信号」ともいう)を与え、(g)空制信号の値に応じた圧力で摩擦ブレーキを制御する、ことを特徴とする。
【0020】
ここで、ステップ(a)は、ブレーキノッチ信号の値に基づいて、電制パターン信号を算出してブレーキ制御部からインバータに与えるようにするとよい。また、ステップ(f)は、所定の時間以内に車両が停止しない場合、または、減速度βを判定して所定の時間以上車両の速度が減速しない場合、または、車両速度Vtが所定の速度V以下になってから所定の時間以内に車両が停止しない場合に、電気ブレーキの動作が正常でないと判断して、電制フィードバック信号を落とすことで、ブレーキ制御部から電空変換部に空制信号を与えるようにするとよい。または、ステップ(f)は、車両速度Vtが所定の速度V1以下になってから所定の時間t1以内に車両が停止しない場合、または、車両速度Vtが所定の速度V2(V2<V1)以下になってから所定の時間t2(t2<t1)以内に車両が停止しない場合に、電気ブレーキの動作が正常でないと判断して、電制フィードバック信号を「0」にすることで、ブレーキ制御部から電空変換部に空制信号を与えるようにすることもでき、ダミー信号の値が「0」になったとき、電気ブレーキの動作が正常でないと判断して、ブレーキ制御部から電空変換部に空制信号を与えるようにすることもできる。さらに、ステップ(d)は、インバータ及び電気ブレーキの稼動状態を監視して、稼動状態が正常な場合には、インバータからブレーキ制御部へ電制有効信号を「オン」にして送出し、ステップ(f)は、電制有効信号が「オフ」になったとき、電気ブレーキの動作が正常でないと判断して、ブレーキ制御部から電空変換部に空制信号を与えるようにしてもよい。
【0021】
また、上記課題を解決するため、 本発明の第1の態様のブレーキの制御装置は、 電気入力を受けて該入力に対応した制動トルクを車軸に与え、また、空気圧を受けて該圧力に対応した摩擦力を車輪に与えて車両を減速及び停止させるブレーキの制御装置であって; 電気ブレーキ用の制御信号(以下、単に「電制パターン信号」ともいう)及び摩擦ブレーキ用の制御信号(以下、単に「空制信号」ともいう)を算出して出力するブレーキ制御手段と、 ブレーキ制御手段から受け取った電制パターン信号の値に対応した電気ブレーキ力指令またはトルク分電流Iq*を電気ブレーキに与え、当該電気ブレーキ力指令またはトルク分電流Iq*に対応した値の電制フィードバック信号をブレーキ制御手段へフィードバックすると共に、車両の速度Vtと減速度βを測定し、また、当該インバータ及び電気ブレーキの稼動状態を監視して正常稼動であることを示す電制有効信号を、電制フィードバック信号と共にブレーキ制御手段に送るインバータと、 ブレーキ制御手段から受け取った空制信号の値に応じた圧力で摩擦ブレーキを制御する摩擦ブレーキ制御手段と、を備え、 インバータは、車両の速度Vtが所定の速度V1以下になったら、電気ブレーキ力指令またはトルク分電流Iq*の値を所定のパターンに応じて徐々に小さくし、所定の値のダミー信号を電制フィードバック信号としてブレーキ制御手段へ送り、且つ、車両の停止前に、当該インバータ及び電気ブレーキの動作が正常でないと判断した場合には、ブレーキ制御手段への電制有効信号の送出を停止し、 ブレーキ制御手段は、車両の速度Vtが所定の速度V1以下になっても、インバータに与える電制パターン信号の値を所定の値に維持し、且つ、車両の停止前に、インバータから電制有効信号が受信できなくなった場合には、車両を停止させるための空制信号を算出して摩擦ブレー
キ制御部へ与える、ことを特徴とする。
【0022】
また、上記課題を解決するため、 本発明の第2の態様のブレーキの制御装置は、 電気入力を受けて該入力に対応した制動トルクを車軸に与え、また、空気圧を受けて該圧力に対応した摩擦力を車輪に与えて車両を減速及び停止させるブレーキの制御装置であって、 電気ブレーキ用の制御信号(以下、単に「電制パターン信号」ともいう)及び摩擦ブレーキ用の制御信号(以下、単に「空制信号」ともいう)を算出して出力するブレーキ制御手段と、 ブレーキ制御手段から受け取った電制パターン信号の値に対応した制動トルク分電流Iqを電気ブレーキに与え、当該制動トルク分電流Iqに対応した値の電制フィードバック信号をブレーキ制御手段へフィードバックすると共に、車両の速度Vtと減速度βを測定し、また、当該インバータ及び電気ブレーキの稼動状態を監視して正常稼動であることを示す電制有効信号を、電制フィードバック信号と共にブレーキ制御手段に送るインバータと、 ブレーキ制御手段から受け取った空制信号の値に応じた圧力で摩擦ブレーキを制御する摩擦ブレーキ制御手段と、を備え、 インバータは、車両の速度Vtが所定の速度V1以下になったら、所定の値のダミー信号を電制フィードバック信号としてブレーキ制御手段へ送り、且つ、車両の停止前に、当該インバータ及び電気ブレーキの動作が正常でないと判断した場合には、ブレーキ制御手段への電制有効信号の送出を停止し、 ブレーキ制御手段は、車両の速度Vtが所定の速度V1以下になったら、インバータに与える電制パターン信号の値を所定のパターンに応じて徐々に小さくし、且つ、車両の停止前に、インバータから電制有効信号が受信できなくなった場合には、車両を停止させるための空制信号を算出して摩擦ブレーキ制御部へ与える、ことを特徴とする。
【0023】
また、さらに、ブレーキ制御手段へブレーキノッチ信号を出力するブレーキ入力手段を備え、 ブレーキ制御手段は、ブレーキ入力手段から入力されたブレーキノッチ信号の値に応じて電制パターン信号の値を算出し、また、ブレーキノッチ信号の値及びインバータからの電制フィードバック信号の値とに基づいて空制信号の値を算出することもできる。
【0024】
ここで、インバータは、所定の時間以内に車両が停止しない場合、または、減速度βを判定して所定の時間以上車両の速度が減速しない場合、または、車両速度Vtが所定の速度V以下になってから所定の時間以内に車両が停止しない場合に、当該インバータまたは電気ブレーキの動作が正常でないと判断して、ブレーキ制御手段への電制有効信号または電制フィードバック信号の送出を停止するようにすることもできる。さらに、インバータは、車両速度Vtが所定の速度V1以下になってから所定の時間t1以内に車両が停止しない場合、または、車両速度Vtが所定の速度V2(V2<V1)以下になってから所定の時間t2(t2<t1)以内に車両が停止しない場合に、当該インバータまたは電気ブレーキの動作が正常でないと判断して、ブレーキ制御手段への電制有効信号または電制フィードバック信号の送出を停止するようにしてもよい。
【0025】
上述のブレーキの制御方法及びその装置においては、ブレーキ動作の際に、所定の速度V1以下になった場合に、インバータからBCUにダミー信号を返して電気ブレーキのみで車両の減速と停止を行い、電気ブレーキの動作が正常でないと判断された場合には、電制有効信号のオフまたはダミー信号の値が「0」になって自動的に摩擦ブレーキが立ち上がるため、通常は主に電気ブレーキで車両を減速及び停止させ、電気ブレーキ非正常時には、摩擦ブレーキを自動的に併用して車両を安全且つ確実に減速及び停止させることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下本発明のブレーキの制御方法及びその装置について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明のブレーキ制御装置の実施の形態の一例を示すブロック図である。このブレーキ制御装置は、鉄道車両(以下、単に「車両」ともいう)の運転部にあり、ブレーキノッチ信号を8段階(B1〜B8)程度で入力する運転台ノッチ11と、運転台ノッチ11からのブレーキノッチ信号に応じて電気ブレーキを発生するための電制パターン信号を所定のパターンで送出すると共に、摩擦ブレーキである空気ブレーキを発生するための空制信号を送出するブレーキ受量器(BCU:Brake Control Unit)12と、ブレーキ受量器(以下、単に、「BCU」ともいう)12からの電制信号に応じて制動トルク分電流Iqを発生するインバータ13と、インバータ13に接続され、車両に電源を供給するパンタグラフ14と、インバータ13からの制動トルク分電流Iqに応じた制動トルク(電気ブレーキ力Fe)を車輪18に発生するモータ15と、車輪18に所定の圧力で押し付けることによって摩擦力で車輪18の回転を抑制して車両を停止する摩擦ブレーキ(空気ブレーキ)17と、BCU12からの電気的な空制信号に応じて空気弁の開閉回転を行い、空気ブレーキ17のシリンダの圧力を制御して空気ブレーキ17に所定の空気ブレーキ力Faを発生させる電空変換弁(EP(Electro-Pneumatic)弁)16と、を備えている。なお、図1においては、摩擦ブレーキを空気ブレーキとして説明するが、油圧ブレーキであってもよい。
【0028】
図2は、インバータ13の詳細を示すブロック図である。図2において、インバータ13は、BCU12からの電制信号に応じてモータに制動トルク分電流Iqを発生するパワー回路などを含む電流制御部21と、モータ15のモータ軸に接続され、PG(Pulse Generator)センサからモータの回転周波数を検出する速度検出部22と、速度検出部22からのモータの回転周波数と電流制御部21から発生している制動トルク分電流Iqを監視して、電制フィードバック信号、電制有効信号及び現在の車両速度VtをBCUに出力するパターン制御部23と、を備えている。
【0029】
図3は、図1及び図2で示した本発明のブレーキ制御装置の動作を示すフローチャートである。以下、図1〜図3を用いて本発明のブレーキ制御装置の動作について説明する。以下では、所定のブレーキノッチ(ブレーキxノッチ)で、車両速度Vtが速度0になるまで減速して停止する場合について説明する。
【0030】
まず、車両速度Vtで走行中の車両の運転台の運転台ノッチ11からブレーキxノッチの信号(Bx)がBCU12に送られる。BCU12は、ブレーキノッチ信号(Bx)を受け取るとインバータ13に電制パターン信号を送出する。インバータ13では、パターン制御部23で持っている電気ブレーキ力指令(または、トルク分電流指令Iq)に応じた電気ブレーキ力Fe(制動トルク分電流Iq)を電流制御部21からモータ15に出力する。このようにして、ベクトル制御による電気ブレーキ制御が開始される。(ステップ201)。
【0031】
このとき、インバータ13のパターン制御部23は、BCU12からのブレーキノッチ信号(Bx)を監視しており、BCU12からブレーキノッチ信号(Bx)を受信中は、ブレーキ処理中(ブレーキ動作モード)として認識する。一方、インバータ13のパターン制御部23は、BCU12からブレーキノッチ信号(Bx)を受信していない場合には、ブレーキ解除中(ブレーキ解除モード)として認識する。すなわち、ブレーキ動作モード中に、運転台ノッチ11で運転レバーを、例えば、ニュートラル(N)の位置に戻してブレーキ動作を解除した場合には、BCU12へのブレーキノッチ信号の送信が止まる。これにより、BCU12からのインバータ13への電制パターン信号の送出も停止する。BCU12からの電制パターン信号の送出が停止すると、インバータ13のパターン制御部23は、BCU12からブレーキノッチ信号が供給されないため、ブレーキ動作モードからブレーキ解除モードへ移行する。以上のように、車両の走行中においてインバータ13のパターン制御部23は、車両の走行状態がブレーキ動作モードであるかブレーキ解除モードであるかを監視している。
【0032】
次に、車両速度Vtが所定の絞込み開始速度V1以下になった場合、電制停止制御処理が行われる(ステップ202〜205)。以下、この電制停止制御処理(ステップ202〜205)について説明する。
【0033】
まず、電制停止制御処理においては、電制停止制御処理を開始するかどうかの条件判定を行う(ステップ202)。この判定は、以下の条件が全て満たされたかどうかを判定する。
(1)走行中に、インバータ13がブレーキ指令を受けた時点における車両速度Vtが所定の絞込み開始速度V1より大であったこと。言い換えれば、車両速度Vtが所定の絞込み開始速度V1以下になったときは、既にブレーキ動作モードになっていること。
(2)インバータ13が正常に動作していること。
(3)車両速度Vtが所定の絞込み開始速度V1以下になったこと。
以上の、条件が満たされた場合に、電制停止制御処理が開始される。
【0034】
ここで、ブレーキ解除モード中で車両速度Vtが所定の絞込み開始速度V1以下のときに、運転台ノッチ11からブレーキ指令がBCU12に出された場合には、実際の電気ブレーキ力指令に応じた電気ブレーキ力Fe(制動トルク分電流Iq)をモータ15に出力すると共に、電気ブレーキ力Fe(制動トルク分電流Iq)に応じた電制フィードバック信号をBCU12に送出する。また、インバータ13が正常に動作していない場合には、電気ブレーキ力Fe(制動トルク分電流Iq)を電流制御部21からモータ15に出力しないこともある。このとき、BCU12は、インバータ13からの電制フィードバック信号の値を監視しており、インバータ13で出力している電気ブレーキ力Feがブレーキノッチ信号(Bx)に対応したブレーキ力Foを満たしていないことを検知する。そこで、BCU12は、ブレーキ力Foを出力するために必要な補足ブレーキ力として空気ブレーキ力Fa(Fa=Fo−Fe)を算出して、この空気ブレーキ力Faに対応した制動指令信号(空制信号)をEP弁16に出力する。EP弁16は、制動指令信号(空制信号)に対応して、空気ブレーキ力Faを発生し、電気ブレーキ力Feを補足して、電気ブレーキ力Feと空気ブレーキ力Faでブレーキノッチ信号に対応したブレーキ力Foを出力する。
【0035】
車両速度Vtが所定の速度V1(例えば、3.5[km/h])まで減速され、ステップ202の条件が満たされると、パターン制御部23は、電流制御部21に送出している電気ブレーキ力指令(または、トルク分電流指令Iq)を所定のパターンに応じて徐々に絞り込む電気ブレーキ力指令絞込み動作を開始する(ステップ203)。
【0036】
この電気ブレーキ力指令(または、トルク分電流指令Iq)の絞込み動作(ステップ203)においては、車両速度Vtが所定の速度V1以下になると、パターン制御部23は、電気ブレーキ力指令(または、トルク分電流指令Iq)の所定のパターンに応じて、電流制御部21に送出している電気ブレーキ力を徐々に絞り込む。この絞り込みは、車両速度Vtが所定の速度Ve(<V1:通常は、Ve=0[km/h])になったときに電気ブレーキ力指令(または、トルク分電流指令Iq)の値が0になるように制御する。このとき、インバータ13のパターン制御部23は、電制フィードバック信号として、実際の電気ブレーキ力Fe(制動トルク分電流Iq)に対応しない、一定の値を電制フィードバックダミー信号(以下、単に「ダミー信号」ともいう)としてBCU12に送出する。このダミー信号の値は、ブレーキノッチ信号(Bx)に対応した電制パターン信号(制動トルク)Foに等しい電気ブレーキ力Fe(制動トルク分電流Iq)の値を示している。すなわち、BCU12は、インバータ13からフィードバックされたダミー信号によって、インバータ13が制動トルクFoに対応する電気ブレーキ力Feを出力しているものと判断する。したがって、BCU12は、EP弁16に対して空制信号を出力しない。
【0037】
次に、パターン制御部23は、絞込みの経過時間を示すタイマの絞込後時間ET(ebreduce_timer)、車両の速度Vtが減速されなくなったときに始動するタイマの非減速時間NT(nondec_timer)、車両の速度Vtが所定の速度V2(<V1)になったときに始動するタイマのV2到達後時間2k_timer、及び車両の速度Vtが所定の速度V3(<V2)になったときに始動するタイマのV3到達後時間3k_timerをそれぞれ0秒に初期設定する。
【0038】
このようにして、ステップ203の電制信号の絞込み動作が開始されると、電制フィードバック信号の出力判定処理(ステップ204)が行われる。
【0039】
この電制フィードバック信号の出力判定処理(ステップ204)においては、以下の条件のうち何れか1つの条件に適合したかどうかを判定する。
(1)絞込後時間ET(以下、単に「ET」とも言う)が、所定の時間T1に達した場合。
(2)車両の減速度βが負(−)でない場合、すなわち、車両が一定速度かまたは速度増加(加速)している場合の経過時間(非減速時間NT)が、所定の時間T2に達した場合。
(3)車両速度Vtが所定の速度V2以下になってから所定の速度V3になるまでの経過時間(V2到達後時間2k_timer)が、所定の時間T3に達した場合。
(4)車両速度Vtが所定の速度V3以下になってからの経過時間(V3到達後時間3k_timer)が、所定の時間T4に達した場合。
電制フィードバック信号の出力判定処理(ステップ204)においては、以上の条件のうち何れか1つの条件が満たされたかどうかを判定する。このステップ204で、以上の条件のうち何れか1つの条件が満たされたと判定した場合、電制ゲートオフ処理(ステップ205)を行う。
【0040】
すなわち、電制フィードバック信号の出力判定処理(ステップ204)において、
(1)電気ブレーキ力指令(または、トルク分電流指令Iq)の絞込処理の開始後、T1[秒](例えば、7.0[秒])以内に車両が停止しない場合、
(2)電気ブレーキ力指令(または、トルク分電流指令Iq)の絞込処理の開始後は、車両速度の減速しない時間がT2[秒](例えば、1.0[秒])以上継続した場合、
(3)車両速度VtがV2[km/h](例えば、2.0[km/h])以下になってからT3[秒](例えば、3.0[秒])経過した場合、
(4)車両速度VtがV3[km/h](例えば、1.0[km/h])以下になってからT4[秒](例えば、1.0[秒])経過した場合、
のいずれかが成立すると判定された場合、電制ゲートオフ処理(ステップ205)において、インバータ13のパターン制御部23は、ダミー電制フィードバック信号の値を「0」する操作を行う。そして、インバータ13のパターン制御部23がダミー信号を「0」にする操作を行って2秒経過すれば、空気ブレーキ17も完全に立ち上がるため、パターン制御部23は、励磁分電流を落して電気ブレーキ力Feを完全に「0」にするためにインバータゲートオフを行う。これを受けて、電制有効検出リレー(CDR)が消磁され、BCU12への電制有効信号の送出が行われなくなる。
【0041】
以上のように、本発明のブレーキ制御方法及びブレーキ制御装置においては、通常の停止時には、電気ブレーキのみで車両を減速し停止すると共に、電気ブレーキの異常や故障、あるいは電気ブレーキ力不足の際には、自動的に空気ブレーキが作動して、安全且つ確実に車両を減速して停止することができる。
【0042】
図4及び図5は、図3で示した電制停止制御処理(ステップ202〜205)の一例を詳細に示すフローチャートである。以下、図1〜図5を用いて本発明のブレーキ制御装置の動作について説明する。以下では、所定のブレーキノッチ、例えば、ブレーキ5ノッチで、車両速度Vtが速度0になるまで減速して停止する場合について説明する。なお、パターン制御部23で持つ電気ブレーキ力指令(または、トルク分電流指令Iq)の絞込み開始速度V1を3.5[km/h]とする。
【0043】
まず、車両速度Vtで走行中の車両の運転台の運転台ノッチ11からブレーキ5ノッチの信号(B5)がBCU12に送られる。BCU12は、ブレーキノッチ信号(B5)を受け取るとインバータ13に電制パターン信号を送出する。インバータ13のパターン制御部23では、ブレーキ解除モード中であって、且つインバータ13の速度検出部22で測定されている現在の車両速度Vtが所定の絞込み開始速度V1(3.5[km/h])以下であるかどうかを判定する(ステップ301)。
【0044】
ブレーキ解除モード中であって、且つ車両速度Vtが所定の絞込み開始速度V1(3.5[km/h])以下のときに、運転台ノッチ11からブレーキ指令がBCU12に出された場合(ステップ301)、BCU12は、ブレーキ5ノッチ信号と車両速度Vtに応じた電制パターン信号をインバータ13に送出する。インバータ13では、パターン制御部23で持っている電気ブレーキ力指令(または、トルク分電流指令Iq)に応じた電気ブレーキ力Fe(制動トルク分電流Iq)を電流制御部21からモータ15に出力する。但し、場合によっては電気ブレーキ力Fe(制動トルク分電流Iq)を電流制御部21からモータ15に出力しないこともある。このとき、パターン制御部23からは、電気ブレーキ力Fe(制動トルク分電流Iq)に応じた電制フィードバック信号をBCU12に送出する(ステップ309)。
【0045】
BCU12は、インバータ13からの電制フィードバック信号の値を監視しており、インバータ13で出力している電気ブレーキ力Feがブレーキ5ノッチの信号に対応したブレーキ力Foを満たしていないことを検知する。そこで、BCU12は、ブレーキ力Foを出力するために必要な補足ブレーキ力として空気ブレーキ力Fa(Fa=Fo−Fe)を算出する。
【0046】
BCU12は、この空気ブレーキ力Faに対応した制動指令信号(空制信号)をEP弁16に出力する。EP弁16は、BCU12からの制動指令信号(空制信号)に対応して、空気ブレーキ力Faを発生し、電気ブレーキ力Feを補足して、電気ブレーキ力Feと空気ブレーキ力Faでブレーキ5ノッチに対応したブレーキ力Foを出力する(ステップ322)。
【0047】
一方、ステップ301で、BCU12は、現在の車両速度Vtが所定の絞込み開始速度V1(3.5[km/h])より大であると判断した場合、ブレーキ5ノッチの信号に対応したブレーキ力Foのうち電制パターン信号としての指令Feに対する電気ブレーキ力(回生ブレーキ力)Feを出力するようにインバータ13を制御する。すなわち、BCU12は、ブレーキ力Foと車両速度Vtに対応した電制パターン信号をインバータ13に出力する。
【0048】
インバータ13内では、BCU12から受け取った電制信号を電流制御部21が受け取り、この電制信号に応じた制動トルク分電流Iqをモータ15に入力する。モータ15は、この制動トルク分電流Iqに応じた電気ブレーキ力(制動トルク)Feを発生し、車輪18の回転を制動する。このとき、インバータ12のパターン制御部23は、現在の電気ブレーキ力Feを示す電制フィードバック信号と、インバータ13やモータ15が正常に駆動していることを示す電制有効信号をBCU12に送出する。
【0049】
ここで、インバータ13やモータ15の動作が正常であるかどうかの判断は、インバータ13やモータ15の動作異常が検知されたか否かで決定する。このとき、以下の状態が検知された場合に動作異常とみなされる。
(1)モータ15のモータ軸に接続されているPGセンサから速度を測定する速度検出部22の異常等やモータ15の異常によって、インバータ13において故障が検知された場合。
(2)パンタグラフ14から供給される電圧の上昇で過電圧検知(OVD:Over Voltage Detection)が発生し、これによって、インバータ13のトルク分電流Iqを切る動作(回生失効によるインバータ動作)が生じた場合。
【0050】
以上の状態になると、パターン制御部23は、インバータ13やモータ15に異常や故障が発生したものとして、BCU12への電制有効信号の供給を停止する。具体的には、上記の(1)または(2)の状態になると、主電動機電流Imの実行値が10[A]以下になる。このとき、パターン制御部23に設けられている電制有効信号リレー(CDR)が消磁され、この電制有効信号リレー(CDR)の消磁によって、電制有効信号の発生回路が切れて、BCU12への電制有効信号の供給が停止する。
【0051】
以上のようにして、インバータ13のパターン制御部23は、インバータ13やモータ15の稼動を監視し、これらが正常稼働中は、現在の電気ブレーキ力Fe(制動トルク分電流Iq)示す電制フィードバック信号や現在の車両の速度の値Vtと共に電制有効信号をBCU12に送出している。
【0052】
このとき、BCU12は、インバータ13のパターン制御部23からインバータ13やモータ15による電気ブレーキ動作が正常であることを示す電制有効信号が送られてきているかどうかを判断する(ステップ302)。
【0053】
BCU12は、インバータ13のパターン制御部23からインバータ13やモータ15の電気ブレーキ動作が正常であることを示す電制有効信号が送られてきていないと判断した場合(ステップ302)、BCU12は、インバータ13またはモータ15の異常または故障とみなし、補足ブレーキ力の空気ブレーキ力Faをブレーキ5ノッチ信号に対応したブレーキ力Foとする。
【0054】
BCU12は、この空気ブレーキ力Fa(=Fo)に対応した制動指令信号(空制信号)をEP弁16に出力する。EP弁16は、BCU12からの制動指令信号(空制信号)に対応して、空気ブレーキ力Fa(=Fo)を発生し、空気ブレーキ力Faのみでブレーキ5ノッチに対応したブレーキ力Foを出力する(ステップ322)。
【0055】
一方、ステップ302で、インバータ13のパターン制御部23からインバータ13やモータ15の電気ブレーキ動作が正常であることを示す電制有効信号が送られてきている場合(ステップ302)、車両速度Vtが所定の速度V1(3.5[km/h])まで減速されると(ステップ303)、パターン制御部23は、電流制御部21に送出している電気ブレーキ力指令(または、トルク分電流指令Iq)を所定のパターンに応じて徐々に絞り込む電気ブレーキ力指令絞込み動作を開始する。
【0056】
次に、電気ブレーキ力指令(または、トルク分電流指令Iq)の絞込み動作について説明する。車両速度Vtが所定の速度V1(3.5[km/h])以下になると、パターン制御部23は、電気ブレーキ力指令(または、トルク分電流指令Iq)の所定のパターンに応じて、電流制御部21に送出している電気ブレーキ力を徐々に絞り込む。この絞り込みは、車両速度Vtが所定の速度Ve(0[km/h])になったときに電気ブレーキ力指令(または、トルク分電流指令Iq)の値が0になるように制御する。
【0057】
このとき、インバータ13のパターン制御部23は、電制フィードバック信号として、実際の電気ブレーキ力Fe(制動トルク分電流Iq)に対応しない、一定の値を電制フィードバックダミー信号(以下、単に「ダミー信号」ともいう)としてBCU12に送出する(ステップ304)。
【0058】
このダミー信号の値は、ブレーキノッチ信号(B5)に対応した電制パターン信号(制動トルク)Foに等しい電気ブレーキ力Fe(制動トルク分電流Iq)の値を示している。すなわち、BCU12は、インバータ13からフィードバックされたダミー信号によって、インバータ13が制動トルクFoに対応する電気ブレーキ力Feを出力しているものと判断する。したがって、BCU12は、EP弁16に対して空制信号を出力しない。
【0059】
次に、パターン制御部23は、絞込みの経過時間を示すタイマの絞込後時間ET(ebreduce_timer)を0秒に初期設定する(ステップ305)。同様にして、車両の速度Vtが減速されなくなったときに始動するタイマの非減速時間NT(nondec_timer)、車両の速度Vtが2[km/h]になったときに始動するタイマの2km/h到達後時間2kT(2k_timer)、及び車両の速度Vtが1[km/h]になったときに始動するタイマの1km/h到達後時間1kT(1k_timer)をそれぞれ0秒に初期設定する(ステップ306〜308)。以上が、電気ブレーキ力指令(または、トルク分電流指令Iq)の絞込み動作である。
【0060】
このようにして、ステップ304〜308の電制信号の絞込み動作が開始されると、インバータ13のパターン制御部23は、絞込後時間ET(以下、単に「ET」ともいう)のカウントを開始する(ステップ310)。
【0061】
ここで、車両停止動作において、通常の場合には、車両速度Vtが、電制信号の絞込み開始速度V1(3.5[km/h])から停止速度Ve(0[km/h])になるまでの時間を、例えば、7[秒]以内であるとする。ETが、7[秒]以内であれば(ステップ311)、パターン制御部23は、車両が実際に減速しているかどうかを確認する。すなわち、速度検出部22で測定される加速度(減速度β)をチェックし、その値が負(−)であるかどうか(β<0[km/h/s])を確認する(ステップ312)。なお、ここでは、車両速度Vtが増加する場合の加速度を正(+)として検出している。
【0062】
車両の減速度βが負(−)、すなわち、車両が実際に減速している場合(ステップ312)には、非減速時間NT(以下、単に「NT」ともいう)の値を0にリセットする(ステップ321)。
【0063】
一方、車両の減速度βが負(−)でない場合、すなわち、車両が一定速度かまたは速度増加(加速)している場合(ステップ312)には、非減速時間NTのカウントを開始する(ステップ313)。そして、車両が減速していない状態、すなわち、車両が一定速度かまたは速度増加(加速)している状態が1秒以上続いておらず(ステップ314)、車両速度Vtが2.0[km/h]以上の場合(ステップ315)には、ステップ310からの処理を繰り返す。
【0064】
また、車両が減速している状態の場合(ステップ312)で、非減速時間NTの値を0にリセットした(ステップ321)後も、車両速度Vtが2.0[km/h]より大の場合(ステップ315)には、ステップ310からの処理を繰り返す。
【0065】
車両速度Vtが2.0[km/h]以下になったとき(ステップ315)、2km/h到達後時間2kT(2k_timer)(以下、単に「2kT」ともいう)のカウントを開始する(ステップ316)。パターン制御部23は、この2kTの値が3秒以内のうちに、車両速度Vtが1[km/h]以下になるのを待つ(ステップ317、ステップ318)。すなわち、車両速度Vtが2[km/h]から1[km/h]まで減速するか(ステップ318)、2kTの値が3秒に到達するまでの間(ステップ317)、ステップ310〜ステップ318の処理を繰り返す。
【0066】
車両速度Vtが2[km/h]以下になってから3秒以内に(ステップ317)、1[km/h]以下になると(ステップ318)、パターン制御部23は、1km/h到達後時間1kT(1k_timer)(以下、単に「1kT」ともいう)のカウントを開始する(ステップ319)。そして、このタイマの値1kTが1秒以上になるまで(ステップ320)、上記のステップ310〜ステップ320の処理を繰り返す。
【0067】
以上の電制フィードバックダミー信号処理(ステップ310〜ステップ320)において、各判断ステップ311、312、314、317及び320では、電気ブレーキの正常動作条件を以下のように設定している。
(1)電気ブレーキ力指令(または、トルク分電流指令Iq)の絞込処理の開始時の車両の速度Vt(V1)が3.5[km/h]のときから、減速度β=0.5[km/h/s]で減速した場合、7秒以内に車両は停止している(ステップ311)。
(2)電気ブレーキ力指令(または、トルク分電流指令Iq)の絞込処理の開始後は、車両速度は常に減速する(ステップ312及び314)。
(3)車両速度Vtが2[km/h]以下になってから、減速度β=0.67[km/h/s]で減速した場合、3秒以内に車両は停止している(ステップ317)。
(4)車両速度Vtが1[km/h]以下になってから、減速度β=1[km/h/s]で減速した場合、1秒以内に車両は停止している(ステップ320)。
【0068】
したがって、通常の車両の停止動作時には、
(1)電気ブレーキ力指令(または、トルク分電流指令Iq)の絞込処理の開始後、7秒以内に車両が停止しない場合(ステップ311)、
(2)電気ブレーキ力指令(または、トルク分電流指令Iq)の絞込処理の開始後は、車両速度の減速しない時間が1秒以上継続した場合(ステップ312及び314)、
(3)車両速度Vtが2[km/h]以下になってから3秒経過した場合(ステップ317)、
(4)車両速度Vtが1[km/h]以下になってから1秒経過した場合(ステップ320)、
のいずれかが成立する場合に、インバータ13のパターン制御部23は、ダミー電制フィードバック信号の値を「0」する操作を行う(ステップ323)。
【0069】
これにより、BCU12は、電気ブレーキ力指令(または、トルク分電流指令Iq)の値と電制フィードバック信号の値とに差異が生じたことを検知し、補足ブレーキ力の空気ブレーキ力Faを、例えば、ブレーキ5ノッチ信号に対応したブレーキ力Foとする。
【0070】
この状態では、まだインバータ13から励磁電流が出カされ、電制有効信号が出力されたままの状態であり、励磁分電流による車両の停止力が期待できる。このため、空気ブレーキ17が立ち上がってくるまでの間に、車両が勾配や惰性で流れるの防ぐことができる。
【0071】
BCU12は、この空気ブレーキ力Fa(=Fo)に対応した制動指令信号(空制信号)をEP弁16に出力する。EP弁16は、BCU12からの制動指令信号(空制信号)に対応して、空気ブレーキ力Fa(=Fo)を発生し、空気ブレーキ力Faのみでブレーキ5ノッチに対応したブレーキ力Foを空気ブレーキ17から出力する。インバータ13のパターン制御部23がダミー信号を「0」にする操作を行って2秒経過すれば、空気ブレーキ17も完全に立ち上がるため、パターン制御部23は、励磁分電流を落して電気ブレーキ力Feを完全に「0」にするために、インバータゲートオフを行う。これを受けて、電制有効検出リレー(CDR)が消磁され、BCU12への電制有効信号の送出が行われなくなる(ステップ324)。
【0072】
以上のように、本発明のブレーキ制御方法及びブレーキ制御装置においては、通常の停止時には、電気ブレーキのみで車両を減速し停止すると共に、電気ブレーキの異常や故障、あるいは電気ブレーキ力不足の際には、自動的に空気ブレーキが作動して、安全且つ確実に車両を減速して停止することができる。
【0073】
以下、具体的な電気ブレーキの異常や故障の際の、本発明のブレーキ制御方法及びブレーキ制御装置の動作について説明する。
【0074】
(1)下り勾配で電気ブレーキ力が絞られて、車両速度Vt=3[km/h]で均衡(一定速度運動)した場合には、ステップ311またはステップ314の何れかの異常検知に該当し、ステップ323及びステップ324の動作が行われ、空気ブレーキ17が立ち上がる。この空気ブレーキ17の空気ブレーキ力Faによって車輪18にブレーキパッドやブレーキシュー、あるいはブレーキライニングが押し付けられ、摩擦力により車両の減速及び停止を行う。
【0075】
(2)車両速度Vt=3[km/h]で軽負荷回生状態になり、トルク分電流Iqが「0」になった場合には、ステップ311またはステップ314の何れかの異常検知に該当し、ステップ323及びステップ324の動作が行われ、空気ブレーキ17が立ち上がる。この空気ブレーキ17の空気ブレーキ力Faによって車輪18にブレーキパッドやブレーキシュー、あるいはブレーキライニングが押し付けられ、摩擦力により車両の減速及び停止を行う。ここで、通常は、車両速度Vt=3.5[km/h]以下の領域では、パワーは回生動作ではなく、車両の停止直前においては、励磁分電流を供給するためにエネルギーを消費するので、軽負荷回生状態が発生することは希であると考えられる。また、車両速度Vt=3.5[km/h]以下の領域で回生動作が継続した場合でも、パワーが小さくて自車両の補機で消費されるため、軽負荷回生状態が発生することが希であると考えられる。
【0076】
(3)車両速度Vt=3[km/h]で、減速度βが0.1[km/h/s]になった場合には、ステップ311の異常検知に該当し、ステップ323及びステップ324の動作が行われ、空気ブレーキ17が立ち上がる。この空気ブレーキ17の空気ブレーキ力Faによって車輪18にブレーキパッドやブレーキシュー、あるいはブレーキライニングが押し付けられ、摩擦力により車両の減速及び停止を行う。なお、ステップ310の前または後でステップ302と同様の処理(例えば、ステップ302’として)を追加して行うこととすれば、当該事象においては、インバータ13またはモータ15の故障または異常として、ステップ302’でパターン制御部23が異常を検知するので、上述のようにステップ322の動作を行って、空気ブレーキ17が立ち上がる。
【0077】
(4)電制有効信号リレー(CDR)が固渋した場合には、ダミー電制フィードバック信号の値が「0」になった時点で、空気ブレーキ17が立ち上がる。この空気ブレーキ17の空気ブレーキ力Faによって車輪18にブレーキパッドやブレーキシュー、あるいはブレーキライニングが押し付けられ、摩擦力により車両の減速及び停止を行う。
【0078】
(5)ダミー電制フィードバック信号の出力中に、速度検出部22の故障と、電制有効信号リレー(CDR)の固渋が同時に発生した場合には、ステップ310の前または後でステップ302と同様の処理(例えば、ステップ302’として)を追加して行うこととすれば、当該事象においては、インバータ13またはモータ15の故障または異常として、ステップ302’でパターン制御部23が異常を検知するので、上述のようにステップ322の動作を行って、空気ブレーキ17が立ち上がる。
【0079】
(6)ダミー電制フィードバック信号の出力中に、ダミー信号の値のまま固定されて「0」に戻らなくなり、且つパターン制御部23のタイマ監視ソフトウェアが何らかの原因で誤動作して自動的に故障を認知できない場合であって、しかも、電制有効信号リレー(CDR)の固渋が発生した場合には、自動的に空制補足ができないので、乗務員の判断により、運転台ノッチ11を一旦ノッチオフして、再度ブレーキノッチを扱う(ノッチオンする)。この操作により、ステップ301で電気ブレーキ非動作モードに入り、ステップ309及びステップ322の動作により、空気ブレーキ17が立ち上がる。なお、当該現象が車両速度Vt=3[km/h]のときに発生して、その車両速度Vt=3[km/h]が維持された場合、車両の1秒間に進む距離は、約83.3[cm]である。
【0080】
【発明の効果】
以上述べた通り、本発明のブレーキの制御方法及びその装置によれば、ブレーキ動作の際に、所定の速度以下になった場合に、インバータからBCUにダミー信号を返して電気ブレーキのみで車両の減速と停止を行い、電気ブレーキに異常が生じた場合には、電制有効信号のオフまたはダミー信号の値が「0」になって自動的に摩擦ブレーキが立ち上がるため、通常は電気ブレーキで車両を減速及び停止させ、非正常動作時には、摩擦ブレーキを自動的に併用して車両を安全且つ確実に減速及び停止させることができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるブレーキ制御装置の実施の一形態を示す概略図である。
【図2】本発明によるブレーキ制御装置のインバータを示す詳細図である。
【図3】本発明によるブレーキ制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】図3で示した電制停止制御処理の一例を詳細に示すフローチャートである。
【図5】図3で示した電制停止制御処理の一例を詳細に示すフローチャートである。
【図6】従来のブレーキ制御装置における速度とブレーキ力の関係を示す図である。
【符号の説明】
11 運転台ノッチ
12 ブレーキ受量器(BCU)
13 インバータ
14 パンタグラフ
15 モータ
16 電空変換弁(EP弁)
17 空気ブレーキ(摩擦ブレーキ)
18 車輪
21 電流制御部
22 速度検出部
23 パターン制御部

Claims (16)

  1. 電気入力を受けて該入力に対応した制動トルクを車軸に与え、また、空気圧を受けて該圧力に対応した摩擦力を車輪に与えて車両を減速及び停止させるブレーキの制御方法であって;
    (a)電気ブレーキ用の制御信号(以下、単に「電制パターン信号」ともいう)を算出してブレーキ制御部からインバータに与え、
    (b)前記インバータ側で前記電制パターン信号の値に対応した電気ブレーキ力指令またはトルク分電流Iq*を電気ブレーキに与えると共に、当該電気ブレーキ力指令またはトルク分電流Iq*に対応した値の電制フィードバック信号を前記インバータから前記ブレーキ制御部へ送り、
    (c)車両の速度Vtと減速度βを測定し、
    (d)前記インバータ及び前記電気ブレーキの稼動状態を監視し、
    (e)前記車両の速度Vtが所定の速度V1以下になったら、前記インバータ側で前記電気ブレーキ力指令またはトルク分電流Iq*の値を徐々に小さくし、また、前記インバータから前記ブレーキ制御部へは、前記電制パターン信号と同じ値のダミー信号を前記電制フィードバック信号として送り、
    (f)車両の停止前に、前記電気ブレーキの動作が正常でないと判断された場合には、前記ブレーキ制御部から電空変換部に摩擦ブレーキ用の制御信号(以下、単に「空制信号」ともいう)を与え、
    (g)前記空制信号の値に応じた圧力で摩擦ブレーキを制御する、
    ことを特徴とするブレーキの制御方法。
  2. 電気入力を受けて該入力に対応した制動トルクを車軸に与え、また、空気圧を受けて該圧力に対応した摩擦力を車輪に与えて車両を減速及び停止させるブレーキの制御方法であって;
    (a)電気ブレーキ用の制御信号(以下、単に「電制パターン信号」ともいう)を算出してブレーキ制御部からインバータに与え、
    (b)前記インバータ側で前記電制パターン信号の値に対応した制動トルク分電流Iqを電気ブレーキに与えると共に、当該制動トルク分電流Iqに対応した値の電制フィードバック信号を前記インバータから前記ブレーキ制御部へ送り、
    (c)車両の速度Vtと減速度βを測定し、
    (d)前記インバータ及び前記電気ブレーキの稼動状態を監視し、
    (e)前記車両の速度Vtが所定の速度V1以下になったら、前記ブレーキ制御部から前記インバータに与える前記電制パターン信号の値を徐々に小さくし、また、前記インバータから前記ブレーキ制御部へは、所定の値のダミー信号を前記電制フィードバック信号として送り、
    (f)車両の停止前に、前記電気ブレーキの動作が正常でないと判断された場合には、前記ブレーキ制御部から電空変換部に摩擦ブレーキ用の制御信号(以下、単に「空制信号」ともいう)を与え、
    (g)前記空制信号の値に応じた圧力で摩擦ブレーキを制御する、
    ことを特徴とするブレーキの制御方法。
  3. 前記ステップ(a)は、ブレーキノッチ信号の値に基づいて、前記電制パターン信号を算出してブレーキ制御部からインバータに与えることを特徴とする請求項1または2記載のブレーキの制御方法。
  4. 前記ステップ(f)は、所定の時間以内に車両が停止しない場合に、前記電気ブレーキの動作が正常でないと判断して、前記電制フィードバック信号を落とすことで、前記ブレーキ制御部から電空変換部に前記空制信号を与えることを特徴とする請求項1乃至3記載のブレーキの制御方法。
  5. 前記ステップ(f)は、減速度βを判定して、所定の時間以上車両の速度が減速しない場合に、前記電気ブレーキの動作が正常でないと判断して、前記電制フィードバック信号を落とすことで、前記ブレーキ制御部から電空変換部に前記空制信号を与えることを特徴とする請求項1乃至3記載のブレーキの制御方法。
  6. 前記ステップ(f)は、車両速度Vtが所定の速度V以下になってから所定の時間以内に車両が停止しない場合に、前記電気ブレーキの動作が正常でないと判断して、前記電制フィードバック信号を「0」にすることで、前記ブレーキ制御部から電空変換部に前記空制信号を与えることを特徴とする請求項1乃至3記載のブレーキの制御方法。
  7. 前記ステップ(f)は、車両速度Vtが所定の速度V1以下になってから所定の時間t1以内に車両が停止しない場合、または、車両速度Vtが所定の速度V2(V2<V1)以下になってから所定の時間t2(t2<t1)以内に車両が停止しない場合に、前記電気ブレーキの動作が正常でないと判断して、前記電制フィードバック信号を「0」にすることで、前記ブレーキ制御部から電空変換部に前記空制信号を与えることを特徴とする請求項1乃至3記載のブレーキの制御方法。
  8. 前記ステップ(f)は、前記ダミー信号の値が「0」になったとき、前記電気ブレーキの動作が正常でないと判断して、前記ブレーキ制御部から電空変換部に前記空制信号を与えることを特徴とする請求項1乃至3記載のブレーキの制御方法。
  9. 前記ステップ(d)は、前記インバータ及び前記電気ブレーキの稼動状態を監視して、稼動状態が正常な場合には、前記インバータから前記ブレーキ制御部へ電制有効信号を「オン」にして送出し、
    前記ステップ(f)は、前記電制有効信号が「オフ」になったとき、前記電気ブレーキの動作が正常でないと判断して、前記ブレーキ制御部から電空変換部に前記空制信号を与えることを特徴とする請求項1乃至3記載のブレーキの制御方法。
  10. 電気入力を受けて該入力に対応した制動トルクを車軸に与え、また、空気圧を受けて該圧力に対応した摩擦力を車輪に与えて車両を減速及び停止させるブレーキの制御装置であって;
    電気ブレーキ用の制御信号(以下、単に「電制パターン信号」ともいう)及び摩擦ブレーキ用の制御信号(以下、単に「空制信号」ともいう)を算出して出力するブレーキ制御手段と、
    前記ブレーキ制御手段から受け取った前記電制パターン信号の値に対応した電気ブレーキ力指令またはトルク分電流Iq*を電気ブレーキに与え、当該電気ブレーキ力指令またはトルク分電流Iq*に対応した値の電制フィードバック信号を前記ブレーキ制御手段へフィードバックすると共に、車両の速度Vtと減速度βを測定し、また、当該インバータ及び前記電気ブレーキの稼動状態を監視して正常稼動であることを示す電制有効信号を、前記電制フィードバック信号と共に前記ブレーキ制御手段に送るインバータと、
    前記ブレーキ制御手段から受け取った前記空制信号の値に応じた圧力で摩擦ブレーキを制御する摩擦ブレーキ制御手段と、
    を備え、
    前記インバータは、前記車両の速度Vtが所定の速度V1以下になったら、前記電気ブレーキ力指令またはトルク分電流Iq*の値を所定のパターンに応じて徐々に小さくし、所定の値のダミー信号を前記電制フィードバック信号として前記ブレーキ制御手段へ送り、且つ、車両の停止前に、当該インバータ及び前記電気ブレーキの動作が正常でないと判断した場合には、前記ブレーキ制御手段への前記電制有効信号の送出を停止し、
    前記ブレーキ制御手段は、前記車両の速度Vtが所定の速度V1以下になっても、前記インバータに与える前記電制パターン信号の値を所定の値に維持し、且つ、車両の停止前に、前記インバータから前記電制有効信号が受信できなくなった場合には、車両を停止させるための前記空制信号を算出して前記摩擦ブレーキ制御部へ与える、
    ことを特徴とするブレーキの制御装置。
  11. 電気入力を受けて該入力に対応した制動トルクを車軸に与え、また、空気圧を受けて該圧力に対応した摩擦力を車輪に与えて車両を減速及び停止させるブレーキの制御装置であって;
    電気ブレーキ用の制御信号(以下、単に「電制パターン信号」ともいう)及び摩擦ブレーキ用の制御信号(以下、単に「空制信号」ともいう)を算出して出力するブレーキ制御手段と、
    前記ブレーキ制御手段から受け取った前記電制パターン信号の値に対応した制動トルク分電流Iqを電気ブレーキに与え、当該制動トルク分電流Iqに対応した値の電制フィードバック信号を前記ブレーキ制御手段へフィードバックすると共に、車両の速度Vtと減速度βを測定し、また、当該インバータ及び前記電気ブレーキの稼動状態を監視して正常稼動であることを示す電制有効信号を、前記電制フィードバック信号と共に前記ブレーキ制御手段に送るインバータと、
    前記ブレーキ制御手段から受け取った前記空制信号の値に応じた圧力で摩擦ブレーキを制御する摩擦ブレーキ制御手段と、
    を備え、
    前記インバータは、前記車両の速度Vtが所定の速度V1以下になったら、所定の値のダミー信号を前記電制フィードバック信号として前記ブレーキ制御手段へ送り、且つ、車両の停止前に、当該インバータ及び前記電気ブレーキの動作が正常でないと判断した場合には、前記ブレーキ制御手段への前記電制有効信号の送出を停止し、
    前記ブレーキ制御手段は、前記車両の速度Vtが所定の速度V1以下になったら、前記インバータに与える前記電制パターン信号の値を所定のパターンに応じて徐々に小さくし、且つ、車両の停止前に、前記インバータから前記電制有効信号が受信できなくなった場合には、車両を停止させるための前記空制信号を算出して前記摩擦ブレーキ制御部へ与える、
    ことを特徴とするブレーキの制御装置。
  12. さらに、前記ブレーキ制御手段へブレーキノッチ信号を出力するブレーキ入力手段を備え、
    前記ブレーキ制御手段は、前記ブレーキ入力手段から入力された前記ブレーキノッチ信号の値に応じて前記電制パターン信号の値を算出し、また、前記ブレーキノッチ信号の値及び前記インバータからの前記電制フィードバック信号の値とに基づいて前記空制信号の値を算出することを特徴とする請求項10または11記載のブレーキの制御装置。
  13. 前記インバータは、所定の時間以内に車両が停止しない場合に、当該インバータまたは前記電気ブレーキの動作が正常でないと判断して、前記ブレーキ制御手段への前記電制有効信号または前記電制フィードバック信号の送出を停止することを特徴とする請求項10乃至12記載のブレーキの制御装置。
  14. 前記インバータは、前記減速度βを判定して、所定の時間以上車両の速度が減速しない場合に、当該インバータまたは前記電気ブレーキの動作が正常でないと判断して、前記ブレーキ制御手段への前記電制有効信号または前記電制フィードバック信号の送出を停止することを特徴とする請求項10乃至12記載のブレーキの制御装置。
  15. 前記インバータは、車両速度Vtが所定の速度V以下になってから所定の時間以内に車両が停止しない場合に、当該インバータまたは前記電気ブレーキの動作が正常でないと判断して、前記ブレーキ制御手段への前記電制有効信号または前記電制フィードバック信号の送出を停止することを特徴とする請求項10乃至12記載のブレーキの制御装置。
  16. 前記インバータは、車両速度Vtが所定の速度V1以下になってから所定の時間t1以内に車両が停止しない場合、または、車両速度Vtが所定の速度V2(V2<V1)以下になってから所定の時間t2(t2<t1)以内に車両が停止しない場合に、当該インバータまたは前記電気ブレーキの動作が正常でないと判断して、前記ブレーキ制御手段への前記電制有効信号または前記電制フィードバック信号の送出を停止することを特徴とする請求項10乃至12記載のブレーキの制御装置。
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