JP3610319B2 - ヒノキ属またはアスナロ属の常緑灌木より抽出した非刺激性でかつ金属腐食性を持たない芳香性中性樹脂油を主成分とする高分子物性特性の改善剤 - Google Patents

ヒノキ属またはアスナロ属の常緑灌木より抽出した非刺激性でかつ金属腐食性を持たない芳香性中性樹脂油を主成分とする高分子物性特性の改善剤 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はヒノキ科(Cupressaceae)常緑灌木から抽出される樹脂油等で金属腐食性や刺激性のない芳香性中性樹脂油、及び芳香性中性樹脂油を含有する抗菌性を合わせ持った創傷治癒剤ならびに上皮形成促進剤、医療補助品、界面活性促進剤、防ダニならびに抗菌材に関する。
【0002】
【従来の技術】
ヒノキ科常緑灌木は、香気も強くそれぞれの属種において特徴的な香気性と刺激性を持っている一方、抽出した樹脂油分はテンペル類やツヤプリシンを含んでおり(文献:植物分類学、渡辺清彦著、風間書房,1976 )、特にツヤプリシンの抗菌、殺菌作用も既知であり、その作用を利用した技術も知られている(特公昭33−8518 号)。また、天然性消毒殺菌剤(特公平02−32241号)、腐乱病防除剤(特公平02−32242号)、白紋羽病防除剤(特公平02−32243号)、紫紋羽病防除剤(特公平02−32244号)なども既知であり、天然物由来の殺菌殺虫剤等に利用されてきている。このようなツヤプリシン(ヒノクチオール)を精製する方法として、薬学雑誌(64:181−185, 1944)には、ツヤプリシン含有植物油を苛性ソーダなどのアルカリと反応させ、アルカリ・ヒノキチオラートの結晶として分離精製する方法も既知であるが、従来の抽出法は主として台湾ヒノキや俗称青森ヒバ等から、ツヤプリシンを分離精製することが目的であった。またヒノキ科常緑灌木が持つ特有の香気を利用する目的で、所謂ヒノキ、ヒバの木材の小片、おがくずを布袋詰めとして浴槽に浸して使用する方法も公開されている(特開平5−112444号) が、植物分類学的に不正確に記載登録されていることが多い。またヒノキ科常緑灌木の一属であるアスナロ属のヒノキアスナロと考えられる所謂ヒバ等から抽出した樹脂油からアルカリ・ヒノキチオラートなどの酸性物質を除き、残留廃油を水洗した後水分を除去した油をエーテル等の有機溶媒を介して分溜して得た樹脂油を用い、香性がある精拭剤も公開されている(特公平02−26679号) 。従来ヒノキアスナロ所謂ヒバから採取される油分の利用状況は、油分中に含まれるツヤプリシンの防腐作用や抗菌作用に着目したものが主であって、またツヤプリシンを抽出する際の副生物の残留廃油は刺激性の強いものである。
【0003】
しかしながら、ヒノキ科常緑灌木が香気を持つといえどもそれぞれ属種によって特異性のある匂いを含有しており、また抽出法によっては、不快な刺激性成分が混入していることが難点である。一方自然環境に近い状態で、ヒトに快適で衛生的な生活空間を提供することが、社会文明の高度化や老齢化社会の到来が予想される現状において強く熱望されている。従って、ヒトの特殊感覚(嗅覚、視覚等)系や、皮膚等に広く分布している痛覚等を刺激することなく、ヒトに快適感をもたらす芳香と衛生的な生活空間を提供するとともに、生体が外環境と接触している皮膚が外傷、火傷さらに褥創などで皮膚欠損している際には、細菌感染も併発しやすく、皮膚欠損の修復改善ならびに抗菌処置法が強く期待されるが、天然物由来で上記の効果を併せもつものは少なく、その提案は極めて重要である。
【0004】
本発明では、ヒノキやヒバ等の俗称が自然界からの人類に対する貢献性を、産業活動等の人の営みによって甚だしくその正確な意義を変貌させることが歴史的経過からも推察され、また自然界からの天然資源を利用した科学的な将来的な産業発展のためにも、本発明での植物分類名は次の文献(日本植物誌(顕花篇)大井次三郎、至文堂, 1972)に従って、ヒノキ科(Cupressaceae)常緑灌木等のヒノキ属(Chamaecyparis Spach) 、アスナロ属(Thujopsis Sieb. et Zucc.)と記載した。ヒノキ属(ヒノキ Chameacyparis obtusa 、サワラ Chamaecyparis pisifera等)は古来より大切に植樹、育成温存されてきた樹木であり、このヒノキ属の製材は高価な建材や食品保存具、浴槽等として古くから我が国で愛用されてきたものであるが、我が国において広く群生するヒノキ科の樹脂油の創傷治癒、上皮形成促進効果については具体的研究がなされておらず、殺菌・防ダニ効果、さらに保温などの温浴効果や皮膚の保湿効果、また芳香性や含有物質がヒトの快適感(生理機能改善効果を含む)や健康増進効果に及ぼす影響等についても具体的で統一的な研究がなされていなかった。さらにヒノキ属、アスナロ属等の常緑灌木の樹脂油を抗菌剤や防ダニ剤・殺菌消毒剤として利用しようとしても、強酸性を示すツヤプリシンなどの強酸性の成分が使用する金属器具類は勿論、殺菌の対象(例えば家具、医療用器具類、浴室等の金属類)を甚だしく金属腐食するのみならず、生体の皮膚組織の上皮細胞の新生ならびに再生作用に悪影響を及ぼすという重大な欠点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は上記問題点を解決すべくなされたものであり、その目的とするところはヒノキ科常緑灌木の樹脂油から採取される樹脂油分のうち、金属腐食性や刺激性のない芳香性中性樹脂油を利用することにある。さらに芳香性中性樹脂油を主成分とし、抗菌性消毒効果を合わせ持った創傷治癒ならびに上皮形成促進剤を提供することにある。またこの芳香性中性樹脂油を温浴剤やクリーム剤さらに軟膏剤として用いるときは保温性、保湿性などの生理機能改善効果を有し、すぐれた快適感が得られるとともに、ヒトの生活空間で使用する浴室や台所等の金属器材や殺菌消毒を必要とする医療器具等に付属する金属器具類を腐食する欠点が無いことを特徴とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題に対して、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、ヒノキ科常緑灌木(俗称ヒノキに限定するものではない)のタール分と、ツヤプリシンなどの酸性成分を除去した中性油成分が上記目的を達成することを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明に係る非刺激性かつ金属腐食性をもたず芳香性のある中性樹脂油は、例えばヒノキ科常緑灌木の我が国の代表的な名木である総称木曽ヒノキの樹木成分を、水蒸気を発生させるためのスチール圧力鍋ならびに水蒸気を通過させる銅メツシュ上におがくず等の樹木片等の原料を置き、既知の直接水蒸気蒸留法で抽出して得られる。この芳香性中性樹脂油は本来化学的に中性であるが、ツヤプリシンなどの酸性成分が多い樹木成分(枝葉、節)や青森ヒバ等のアスナロ属の樹木成分を用いる時には、直接水蒸気蒸留し、または乾留後さらに残留酸性成分を除去するために、少量のアルカリ溶液を加えて加温し、ツヤプリシン等の樹脂成分に含まれている酸性物質を除去して非刺激性で芳香性を併せ持つ中性樹脂油を得る。
【0008】
これをクリーム剤や温浴剤等として用いると保温性、保湿性効果があり、特に温浴剤では、その天然の刺激性のない芳香性成分を含んだ中性油成分などにより、入浴時に生理機能改善効果が得られ、しかも金属腐食性が無い。健康なヒトは勿論のこと、創傷などを持ったヒト、創感染を併発しているヒトがこれらを用いるときは、殺菌作用ならびに創傷治癒、上皮形成の促進作用が得られる。この殺菌作用は大腸菌や黄色ブドウ球菌、連鎖球菌などの常在菌はもちろんのこと、薬剤耐性獲得菌(例えばメシチリン耐性黄色ぶどう球菌(以下MRSA)さらに抗酸菌、緑膿菌や真菌に対しても効果を持っている。
【0009】
本発明の中性樹脂油を創傷治癒剤、上皮形成促進剤、消毒殺菌・防ダニ剤または温浴剤とする場合には、ヒノキ科樹木等の中性樹脂油を親水性とすることもできる。例えば、それぞれアルコール類、脂肪酸エステル類、石鹸液、サイクロデキストリン、キトサン、界面活性剤、乳化剤、湿潤剤、気泡剤などによる。
【0010】
本発明の中性樹脂油を創傷治癒、上皮形成促進剤、抗菌・殺菌材または温浴剤とする方法において、ヒノキ科樹木等の中性樹脂油を、適切なものに吸着させて棒状、粒状、粉状、シート状、カプセル状などの成型もしくは固形とすることができる。例えばゼラチン、プルラン、糖分、多孔性澱粉、アルファー化澱粉、洗剤等の可溶性物質などや木片、おがくず、木炭、建材、天然繊維や合成繊維、高分子合成膜、シート、さらにフィルム等である。
【0011】
本発明の中性樹脂油を例えば、火傷、褥創などの傷または感染創の表面に直接適用することもでき、また薬学的に許容される担体と組み合わせて使用することもできる。薬学的に許容される担体としては、例えばポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、 ポリヴィニルピロリドン、炭化水素、パラフィン、アルコール、多価アルコール、アルコールエステル、 多価アルコールエステル、脂肪酸または脂肪酸の金属塩などの生物学的に許容される担体が挙げられる。
【0012】
本発明の中性樹脂油を薬学的に許容される担体と組み合わせて使用する場合、通常知られた剤形、たとえば、クリーム剤、軟膏剤、硬膏剤、パップ剤、乳液、懸濁剤、リニトメン剤、ローション剤、エアゾール剤、液剤およびテープなど治療形態に応じて種々の形で用いることができる。溶解補助剤、等張化剤、pH調整剤、消臭剤、防腐剤または着香剤などを加えてもよい。
【0013】
本発明の中性樹脂油を、腐朽菌等で起こる芯腐れ病等に罹る林野に成育する樹木はもちろんのこと、建材、家具、調度品や家庭用品の原材に注入または表面処理することで、防菌、抗菌、防カビ効果や白蟻等の防虫効果を得ることもできる。また家電製品、日用品、家庭用品等用の樹脂ワックスとして、環境衛生的には紙、パルプなどのスライム防止、廃棄物処理等においても効果を期待できる。
【0014】
本発明の中性樹脂油は、界面活性剤の泡立ち、ぬれ、表面張力の低下、乳化(エマルジョンの形成)、可溶化、ミセルの形成、洗浄力等の物性特性を変換する界面活性促進剤としても利用可能である。活性剤分子は、一般的に長細い棒状であって、一端は水の分子と親和性があり、他端は水分子を遠ざける性質をもっていることを特徴とする。この特徴が起こるのは表面張力が働くためである。界面活性の程度は臨界ミセル形成濃度や可溶化、クラフト点等が関係しており、活性剤分子の鎖状(棒状)部分が短い方がクラフト点が低く、臨界ミセル形成濃度の値が大きい。従って一種類の分子だけで洗剤を作るのではなく、多様な長さの分子を混合した方が界面活性効果が大きい。本発明の芳香性中性油を石鹸や洗剤、シャンプー等に混和すると、各活性剤分子の長さが異なってくるので、混和しないものと比べて界面活性の効果がより大きくなる。
【0015】
また本発明の中性樹脂油をアニオン系、カチオン系、または非イオン系の界面活性剤に混和すると、抗菌性や抗真菌性作用が得られ、また中性で耐硬水性にも優れ、上皮形成促進作用、身体の有毛部特に毛髪の育毛効果をも有する。よってクレンジングクリームなどの化粧品、シャンプー、リンス、整髪剤、育毛剤などに配合することができる。それ以外にも、繊維やプラスチックの帯電防止剤、繊維の柔軟剤、エアゾールの気泡剤、染色助剤、家庭用(食器、家具、家電製品、風呂洗面所製品、便器、台所)洗剤、車両洗剤などに利用できる。
【0016】
以上のように、本発明のヒノキ科樹木等の常緑灌木より抽出した非刺激性芳香性中性樹脂油は、物理的、化学的に引き起こされた創傷や感染創の治癒ならびに上皮形成(増毛、育毛効果を含む)を促進させ、ヒトの嗅覚感応試験で刺激臭を持たず快適な芳香性を持ち、抗菌性、抗真菌性、殺菌消毒性に加えて、防ダニ効果を有する。さらに保温性、保湿性があり、金属腐食性がみられない。また効果的な界面活性状態を得ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に発明の実施の形態を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0018】
圧力鍋に蒸留水1Lを入れ、その上に銅製の5センチメータのメツシュ層を水蒸気が通過するように工作し(これは水蒸気内の電子移動状態を効果的にするための工夫である。これに用いる遷移金属としてはFe、Ni、Co、Cu、Ti等が上げられるが、これらに限定されるものではない)、その銅製のメツシュ上部に乾燥したヒノキ科ヒノキ属ヒノキ(長野県木曽山系産出)幹材(樹齢100−300年)のおがくず250gをのせて圧力鍋の蓋をした。圧力鍋の蓋にはおがくず層を通った水蒸気が流れ出るように直径約1ミリメータの小孔がある。その小孔からの蒸留蒸気を約1リットルのコルベンに入れ、コルベン内の飽和蒸留蒸気を冷却管を通して冷却凝縮し留液を得る。この際、留液は下層の水層成分と上層の油層成分(平均5−6ミリリッター)に分離されている。この上層の油成分は,平均pH7.1である。ここで留液を石油エーテルなどの有機溶媒を用いて抽出する必要がなく、よって有機系化合物やその反応生成物によって懸念される人体への悪影響が少ないことも本発明の特徴の一つである。
【0019】
またヒノキ科樹木の幹や葉、枝木などが混在し、さらに酸性油成分が多いアスナロ属樹木を原材料とする場合には、上記方法で得た粗樹脂油が酸性(pH4.5−5.5)になることもあり、粗樹脂油100ミリリッターに対して0.1規定の水酸化ナトリウム溶液5−10ミリリッターを加え加温撹拌し、ツヤプリシンなどの酸性物質が水層に残るようにする。
【0020】
上記のヒノキ科ヒノキ属ヒノキ(Chameacyparis obutusa) より蒸留蒸気して得られたヒノキ中性油についてガスクロマトグラフィー法(使用機種:島津GC−3BF型クロマトグラフ、測定条件:使用カラムOV−17,内径3ミリメータ、5%SP−1200 +1.75% Bentone 34 On,Chromosorb W. ,インフュージョン温度270℃、カラムオーブン温度50℃にて1分間保持後、5℃/分で260℃まで昇温、保持の条件)で内容成分の検討をおこなったところ図1のように、2分以内および30分以上で立ち上がるピークが存在しない特徴がみられた。2分から30分以内に立ち上がるピークの成分比率は、原材料によって(樹齢、樹木種等)異なる。
【0021】
<香気の最小感応濃度と感覚応答試験について>
健康なヒト成人(18歳−47歳、男女同数)20名により、懸濁水での最小感応試験と芳香の感覚とについて、ヒノキ中性油と、アスナロ属ヒノキアスナロ(Thujopsis dolabtata) から抽出した中性油とを比較検討した。その結果、ヒノキ中性油の最小感応濃度は1/15,000であり、不快感や刺激感を訴えたものは皆無であり、”ヒノキ”の香と答えたものは90%であった。一方、特公平02−26679号等の既知の方法に準じて、アスナロ属ヒノキアスナロ等から抽出した樹脂油からアルカリ・ヒノキチオラートなどの酸性物質を除き、残留廃油を水洗した後水分を除去した油を分溜し、アルカリを加えて得た中性油での最小感応濃度は1/25,000であり、不快感を訴えたもの25%、刺激臭を訴えたもの65%、焦げ臭を訴えたもの30%、”ヒバ”の香と答えたものゼロ%であった。この成績より、ヒノキ中性油は非刺激性で不快感を与えることのない芳香性中性油であることが判明した。従って、適当に希釈することにより、ヒノキの香の香料として利用可能である。
【0022】
<創傷治癒ならびに上皮形成について>
白色家兎を麻酔したのち背部に直径10ミリメータの円状の全層皮膚欠損部を作成して、対象群とともにヒノキ中性油(50マイクロリッター)をそれぞれの皮膚欠損部に隔日に処置し、皮膚欠損部の面積の変化を調べた。その結果、ヒノキ中性油で処置すると術後1週間では対象群に比べて皮膚欠損部の面積は65%縮小しており(図2参照)、肉眼的観察では正常な皮膚との境界が明確でない程に上皮形成が回復していた。図3(a)(b)にそれぞれの組織標本像を示す。また、同様の皮膚欠損部を作成した後、皮膚欠損部に濃塩酸0.2ミリリッターを付加して化学的火傷を作成した。ヒノキ中性油で処置すると術後1週間では対象群に比べて、皮膚欠損部の面積は50%縮小していた(図2参照)。さらに、同様の皮膚欠損部を作成したのち、皮膚欠損部に糞便液を塗り、創部の自然感染創モデルを作成した。ヒノキ中性油で処置すると術後1週間では対象群に比べて皮膚欠損部の面積は20%縮小していた(図2参照)。それぞれの皮膚欠損部を光学顕微鏡で観察したところ、対象群での創面は異常な肉芽組織の形成で不規則に盛り上がっており、皮膚欠損部中央の表面は上皮形成が認められず、炎症性反応で出現する好中球の侵潤が顕著であった。一方、ヒノキ中性油で処置した群では、異常な肉芽組織の形成は認められず、好中球の侵潤も少なく、創表面の上皮形成も良好であった。またヒノキアスナロからの中性油での効果は、ヒノキ中性油と同様に好中球の侵潤は抑制されていたものの、皮膚欠損部の面積や上皮形成の程度は劣っていた。この成績は、ヒノキ科樹脂(特にヒノキ属樹脂)の中性油が物理的、化学的皮膚損傷ならびに汚染創に対して有効な修復作用ならびに上皮形成促進作用を持っており、褥創や瘻孔などの難治性皮膚損傷に効果があるということを示している。
【0023】
<抗菌、殺菌作用について>
敗血症患者から採取し、継代培養したメシチリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、大腸菌、白癬菌を用いて、ヒノキ中性油の5マイクロリッターでの抗菌作用を普通寒天ならびにBHI培地、サブロー培地を用いてディスク法で検討したところ、それぞれの菌について24時間後に充分な大きさの阻止円が確認された。それぞれの菌株に対して菌数10 で37℃の条件で24時間培養後、発育したコロニー数(CFU)を測定した。無処置群でのMRSAのCFUは6時間後10 、24時間培養後1010に増殖したが、1ミリリッターの培養液に対してヒノキ中性油5マイクロリッターの処置では菌数10 に減少した。さらに24時間培養後CFUはゼロであった(図4参照)。またMRSAに対して1ミリリッターの培養液にヒノキ中性油10マイクロリッターの処置では、培養後6時間後でCFUはゼロであった。その他の菌種の増殖阻止も1−50マイクロリッターの範囲で容量依存的に阻止効果を認め、24時間培養後の最小阻止濃度はMRSAで1ミリリッターの培養液に対してヒノキ中性油5マイクロリッター、大腸菌では1ミリリッターの培養液に対してヒノキ中性油4マイクロリッター、白癬菌で1ミリリッターの培養液に対してヒノキ中性油3マイクロリッターであった。この成績から、本発明のヒノキ科樹脂中性油には少なくともグラム陰性菌、グラム陽性菌、真菌に対して抗菌、殺菌作用があることが判明した。
【0024】
さらに抗酸菌、緑膿菌に対してもそれぞれ1ミリリッターの培養液に対してヒノキ中性油5マイクロリッターの最小阻止濃度で抗菌作用を認めた。建材(ベニヤ板やプラスチック)や繊維(アクリルやポリエステル)の1×1センチメーターの小片の表面に20マイクロリッターのヒノキ中性油を添付して、それぞれの病原菌の寒天培地上での阻止円の形成を観察したところ、顕著な阻止円の形成を認めた。
【0025】
<気化性成分の抗菌作用について>
敗血症患者から採取し、継代培養したメシチリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、大腸菌、白癬菌を用いて、ヒノキ中性油の50−100マイクロリッターの濃度での抗菌作用を、普通寒天ならびにBHI培地、サブロー培地を用いてディスク法で検討した。試料を浸した濾紙ディスクをシャーレの底に置きそれぞれの菌を播種した培地をシャーレの天井にして試料が培地に接触しないようにして、24時間後のそれぞれの菌の増殖状態を観察した。その結果、200マイクロリッターの濃度では全く菌の増殖は認められなかった。この成績は、ヒノキ中性油の揮発気化成分にも抗菌作用があることが判明した。
【0026】
<浴槽内の混濁ならびに細菌の増殖について>
日常生活を営んでいる健康な3家族の入浴後の浴水を用いて、普通寒天ならびにBHI寒天培地で病原性細菌の発育阻止効果を検討したところ、ヒノキ中性油は濃度依存性に有意に病原性細菌の発育を阻止し、5日以上にわたって浴槽内の湯水は混濁せず、沈殿物も認められなかった。またヒノキアスナロ中性油での効果は、ヒノキ中性油とほとんど同じであったが、その刺激性の強い香気から快適性が認められなかった。この成績は、不特定多数の利用する入浴状況下や湿度の高い環境状況や、水資源の再利用、有効利用に対して、本発明のヒノキ科樹脂(特にヒノキ属樹脂)中性油には香気による不快感を伴わず、かえってヒノキの快い香を醸し出しながら、殺菌消毒効果を実現できることが判明した。
【0027】
<保温ならびに保湿効果について>
室温22℃±2℃、湿度50%に保たれた小部屋で、5人の成人被検者(19〜21才)の前腕をヒノキ中性油10−3及び10−4濃度の湯(41〜42℃)に5分間浸し、その前後での皮膚温、皮膚血行動態をヒノキ中性油を添加しない湯を対象として、サーモグラフィー(Avionics社TUS2000)で保温状況ならびに血行改善状況を測定し、皮膚インピーダンス法で保湿状態を測定した。その結果、10−3及び10−4の濃度でヒノキ中性油を加えた湯では、負荷後2時間経過しても皮膚温は有意に上昇していたが、対象の無添加の湯では、負荷後15分後に負荷前の状態に回復した(図5参照,図5は被験者の前腕のサーモグラフィーの写真よりデジタイザーで温度表示を数値化したものをグラフ表示に変換したものである)。皮膚血流量も30分に渡って増加していた(図6参照)。この成績は、本発明のヒノキ中性油が保温効果および末梢循環の改善効果を持っていることを示すものである。また、皮膚インピーダンスは1時間以上にわたって有意に上昇した(図7参照)。またヒノキアスナロ中性油での効果は、ヒノキ中性油とほとんど同じであったが、その刺激性の強い香気のために被験者に不快感を訴える者(3名、60%)が多かった。この成績は、ヒノキ科樹脂(特にヒノキ属樹脂)中性油が、不快感を与えずに、保温効果と保湿効果を持っていることを示している。
【0028】
<抗ダニ効果について>
ヤケヒョウダニおよびケナガコナダニをシャーレに入れ、蓋をせずにそれぞれのダニの走行状態をビデオ撮影(13倍拡大)して観察した。ヒノキ中性油を添付しない状態では、それぞれのダニはシャーレ内を不規則に移動しており、1秒間に0.5−1.5ミリメータの移動速度であったが、10−3及び10−5の濃度のヒノキ中性油を浸した直径0.8ミリメータの円形濾紙をシャーレ上に置くと直ちにダニは濾紙から遠心方向に逃避移動を始め、10−3濃度では、走行速度は2.8−3.7ミリメータ/秒と早くなり、約1.2時間後には濾紙の周囲にダニの存在が確認されず、濾紙から約3センチメータ離れた位置に渓谷状の輪が出来た(図8参照)。この成績は、ヒノキ中性油に抗ダニ作用があることを示している。
【0029】
<血圧、心拍数、毛細血管径ならびに交感神経活動に及ぼす効果>
麻酔下で人工呼吸状態の雑種成犬を用いて、血圧、心拍数、毛細血管径ならびに腎臓交感神経活動を測定した。ヒノキ中性油は犬の鼻粘膜に噴霧した。血圧、心拍数、腎臓交感神経活動は一般的な電気生理学的手法で、さらに毛細血管径は生体顕微鏡(日本光電、マクロスコープ IVY 1100)下で腸間膜毛細血管の変化をビデオ録画し、毛細血管(100−150マイクロメータ)の直径と血流速度を観察した。その結果、収縮期圧は鼻粘膜に噴霧後3分間にわたって上昇し、拡張期圧は噴霧直後から約15分経過した後でも有意に低下しており、脈圧も増加した(図9参照)。心拍数には有意な差は認められず(図10参照)、交感神経活動は低下した(図11参照)。さらに腸間膜の毛細血管は噴霧2−3分後より速い流速となり、噴霧10分後でも持続していた(図12参照)。またヒノキアスナロ中性油での効果は、ヒノキ中性油に比較して一定の反応を示し難く、不安定な生理反応を出現させた。この成績は、本発明のヒノキ中性油の嗅刺激によって血管拡張が起こることやヒノキアスナロ中性油に比べて安定した嗅刺激効果を持っていることを示している。
【0030】
<非金属腐食性について>
ヒノキ中性油の中に2×5ミリメータの鉄片を1週間以上にわたって浸しておいても金属腐食は認められず、対象試薬としての1%ツヤプリシン溶液内では、酸化した鉄片が1日後には認められ、日数が経つにつれてこの酸化程度は増強した。この成績は、ヒノキ中性油が金属腐食性を持たないことを示している。
【0031】
<界面活性促進効果について>
界面活性剤として脂肪酸アルカノールアミドを含む台所洗剤10ミリリッターに対して10マイクロリッターのヒノキ中性油を添加して、無添加の場合とで、動物性油で汚れた食器の洗浄効果を比較したところ、ヒノキ中性油を添加した場合には、ベタベタした感じもなく、細かな泡立ちが起こり、水切れも良好で、洗浄剤としてより有効な作用が見られた。さらに、界面活性剤がアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等で構成され、市販されている台所用洗剤(商品名チャーミング、株式会社ライオン:商品名ナテラ、株式会社ライオン:商品名モア、株式会社花王)、ラウリル硫酸塩、パラベン、セタノール、エデト酸塩、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩等で構成されている洗髪用シャンプー(商品名パンテーン、株式会社マックスファクター:商品名ラックススタイリング、株式会社日本リーバー:商品名エッセンシャルスタイリング、株式会社花王)のそれぞれ20ミリリッターに50マイクロリッターのヒノキ中性油を添加して、その効果を検討した。添加した各洗剤やシャンプーはより泡立ちがよくなり、気泡もきめ細かであり、油性の汚れを簡単に水洗いすることができ、水洗いに必要な水量も極めて少量で十分であった。添加により、各洗剤やシャンプーの色調や光沢等の外観には大きな変化は認められなかったが、粘度を30℃の条件で粘度計(ビスメトロンVEA−L、芝浦システム社製)を用いて計測したところ、いずれの検査資料も添加していないものに比べて上昇していた(表1参照)。またズリ速度−ズリ応力関係も添加によって上昇した。これは、市販されている洗剤やシャンプー等にヒノキ中性油を添加することによっても、洗剤やシャンプー等の界面活性等の効果を改善することができることを示している。
【表1】
Figure 0003610319
【0032】
<高分子の物性特性に対する作用について>
高分子の物性特性(ツヤや光沢の変化、鋳型形成での境界の正確性、表面の平滑性や均一性、透明性、きめ細かさ、量の変化等)に対するヒノキ中性油の作用を確かめた。下記の各物質(いずれも和光純薬工業より購入)10グラムあたり100マイクロリッターのヒノキ中性油を加え、水槽内で溶解するまで加温処理し、各溶解液を歯科治療用のカリエスの充填歯形模型に注いで冷却し、固形になった状態で鋳型より取り出し、2−5倍の拡大ルーペで観察した。オクタデカノール、ステアリン酸では表面の平滑さやきめ細かさや透明性が減少し、ラウリン酸では滑らかさや透明性の出現が認められ、ドデカノール(ラウリルアルコール)では室温での形態維持が困難な程に溶解性が増加した。パルチミン酸ではソフト感や滑らかさが出現し、ミリスチン酸では境界鮮明性、滑らかさや均一性の出現が顕著だった。ヘキサデカノールではきめ細かさや透明性が低下した。ポリエチレングリコール1000では境界鮮明性や平滑性が良くなり、ポリエチレングリコール1540でも平滑性、均一性、透明性は良くなる一方、ポリエチレングリコール2000、ポリエチレングリコール4000では境界の鮮明性がわずかに悪くなり、ポリエチレングリコール6000では光沢の増加傾向が認められた。さらに、N−イソプロピルアクリラマイド(米国、ウイスコンシン州、Aldrich Chemical社製)では光沢性、境界鮮明性、表面の均一性、透明性やきめ細かさが認められた。これらの成績はヒノキ中性油が医療用、家庭用、工業用に用いられる高分子の物性特性を改善することができることを示す。
【0033】
次に各高分子の物性変化のミクロ的観察結果を検討してマクロ的観察の妥当性を求めた。高分子の物性変化は示差走査熱量計(DSC−50、島津製作所製)で検討した。パルチミン酸とポリエチレングリコール1000での成績を図13に例示する。パルチミン酸に中性樹脂油を添加すると融点の低下が認められ、ポリエチレングリコール1000では40℃前後の吸熱反応部分が消失し、150℃前後での吸熱部分が120℃に移動した。このことは熱力学的な物性特性が変化したことを示している。またポリビニールクロライドの膨張性を熱機械分析装置(TMA−50、島津製作所製)で検討したところ、310℃前後で体積の増加が認められなくなった(図14参照)。
【0034】
【実施例】
本発明組成物を、具体的に軟膏製剤例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、混合比は重量%である。
【0035】
製剤例1[クリーム剤(バニシング型)]
ヒノキ中性油(0.3),セタノール(8.5),ステアリン酸(10.0)固形パラフィン(2.0),ミスチン酸オクチルドデシル(5.0),ミスチン酸イソプロピル(5.0),グリセリルモノオレエート(0.5)の油相成分をそれぞれ量り採り混合し,約80℃で加温溶解させる。一方,クエン酸.1水和物(0.5),蒸留水(67.7)の水相成分をそれぞれ量り採り混合し、約80℃に加温する。油相成分を撹拌しながら、これに水相成分を徐々に加え乳化を行う。さらに撹拌しながら徐々に冷却すると、バニシングクリーム(O/Wエマルジョン)を得る。
【0036】
製剤例2[軟膏型]
流動パラフィンにトシル酸トスフロキサシンおよびヒノキ中性油0.2ミリリッターを加え、撹拌する。これをプラスチベースに加え、充分攪拌混和すれば、ヒノキ中性油軟膏(親油性軟膏)を得る。
【0037】
製剤例3[軟膏型]
セタノール、ステアリルアルコール、ヴァゼリンを1:1:5の重量比で50グラムのクリームを作り、これにヒノキ中性油0.4ミリリッターを加えて充分攪拌混和すれば、ヒノキ中性油軟膏(ハンドクリーム)を得る。
【0038】
製剤例4[洗剤型]
30%界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、脂肪酸アルカノールアミド)溶液1リッターに対して500マイクロリッターのヒノキ中性油を添加して、充分攪拌混和すれば、ヒノキ中性油洗剤を得る。
【0039】
実施例:上述のハンドクリームを、手に難治性角皮障害をもった主婦に1日1回従来使用していたハンドクリームと同様の処置を行ったところ、日常の主婦としての作業をしても、1週間後に完治した。また、20年以上にわたって足底部に難治性白鮮症をもっていた47歳の男性も、1週間後には治癒した。また、難治性アトピー性皮膚炎でステロイド剤が使用できない20歳男性に使用したところ、3日後に治癒効果が自覚的、他覚的に認められた。また、脳血管障害で臀部に10x8センチメータの骨膜に達する難治性褥創をもった72歳男性に、この軟膏を使用したところ、1週間では潰瘍部の新鮮肉芽の増大と感染による浸出物の減少が認められ、2週間後には潰瘍部の縮小(7×5センチメータ)が認められた。また、18−47歳の男女の症例で、蚊等の虫刺されの直後に発生する痒みと発赤は、このクリームを患部に塗ることで消失した。上述の何れの症例でも何らの副作用は認められなかった。また、前頭部毛髪の脱毛、所謂禿げ現象が進行している48才男性において、日頃から常用している市販のシャンプー300ミリリッターにヒノキ中性油300マイクロリッターを添加したシャンプーを作成し、症例が従来から入浴時に洗髪すると同様の方法でこの新規シャンプーでの洗髪(約3−5ミリリッター/1回)を一か月施行したところ、脱毛部分に柔らかで細い1−2ミリメーターの発毛を多数認め、さらに二か月後にはそれぞれの発毛した毛髪は長くなり、太さも増加し、外観上の脱毛部の縮小を認めた(図15参照)。このように、本実施例のような洗髪用シャンプーの簡単な方法によっても、上皮形成促進効果は勿論のこと育毛増毛効果をも得ることができる。
【0040】
(快適感(生理的機能改善効果)についての医学生理学的概念と本発明の意義)生体にはさまざまな防御機能が存在しており、なかんずく神経系や内分泌系の機能は免疫系の機能と共に大切な生理学的調節機序である。これらの生体の防御機能系の中でも自律神経系ならびに内分泌系や免疫系の機能の解明は、生理学を始めとする医学研究の長い歴史でもある。従って、この分野については、多くの研究成果が蓄積されており、日常生活の中で無意識の内にヒト体内で作動している機能調節(内分泌系、自律神経系)の解明がなされてきている(参考文献;小山、低血圧−臨床医のための病態生理−藤田出版企画、1994)。内分泌系、自律神経系の無意識下の機能調節によって、生体の「快適度」は複雑な様相を示す。本邦においては、古来から生活空間(建材、浴槽等)に用いられ、現在においてもその価値が高い天然ヒノキ(木曽ヒノキ)等より抽出した刺激性のない芳香性中性樹脂油を用いることによって、ヒトが医学的に病的状態にある場合(例えば、ストレス、感染、外傷等)は勿論のこと、健康な状態のヒトにおいての生活空間の質的向上を企らんとする科学的思考より発案されたものであり、人類と自然とのかかわりについて、本発明の生態文明史的さらに科学方法論史的意義が大きいと考えられるので、あえて本発明の意義を記載するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係るヒノキ属またはアスナロ属の常緑灌木より抽出した非刺激性でかつ金属腐食性を持たない芳香性中性樹脂油の一実施形態であるヒノキ中性油のガスクロマトグラフィー分析図である。
【図2】図2は、図1のヒノキ中性油の創傷治癒の成績を示すグラフである。
【図3】図3(a)(b)は、それぞれ図1のヒノキ中性油の創傷治癒上皮形成の状態を示す組織標本像である。
【図4】図4は、図1のヒノキ中性油のMRSAに対する抗菌作用を示す図である。
【図5】図5は、図1のヒノキ中性油の保温効果を示した図である。
【図6】図6は、図1のヒノキ中性油の血行促進効果を示した図である。
【図7】図7は、図1のヒノキ中性油の保湿効果を示した図である。
【図8】図8(a)(b)は、それぞれ図1のヒノキ中性油の防ダニ効果を示した図である。
【図9】図9は、図1のヒノキ中性油の血圧に対する効果を示した図である。
【図10】図10は、図1のヒノキ中性油の心拍数に対する効果を示した図である。
【図11】図11は、図1のヒノキ中性油の交感神経に対する効果を示した図である。
【図12】図12は、図1のヒノキ中性油の毛細血管径に対する効果を示した図である。
【図13】図13は、図1のヒノキ中性油を添加した化学物質(パルチミン酸及びポリエチレングリコール1000)の熱量変化の測定結果を示した図である。
【図14】図14は、図1のヒノキ中性油を添加した高分子(ポリビニルクロライド)の体積変化の測定結果を示した図である。
【図15】図15は、図1のヒノキ中性油を添加したシャンプーによる育毛効果を示した図である。

Claims (1)

  1. ヒノキ属またはアスナロ属の常緑灌木より抽出した非刺激性でかつ金属腐食性を持たない芳香性中性樹脂油を含有し、または添加した高分子物性特性の改質改善材。
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