JP3610190B2 - 排水ポンプの運転制御方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として雨水の排水処理に用いられる排水ポンプの運転制御方法に関し、詳しくは、ポンプ井ピットに複数台の排水ポンプが設置されている排水設備における排水ポンプの運転制御方法関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の排水設備において、従来一般には、ポンプ井ピットに計画(予測)最大流入量の雨水等が流入してきた場合でも負荷が許容範囲を越えて変動しないようにするために、複数台の排水ポンプを、同時に揚水開始したときの負荷変動が上記許容負荷変動範囲内に収まるような台数毎にグループ分けして各グループ毎の揚水開始水位、揚水遮断水位にそれぞれレベル差を付けて複数段階にステップ設置し、ポンプ井ピットの水位の上昇、下降に応じて各グループ毎で揚水開始したり、揚水遮断する運転制御方法が採用されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のような従来のポンプ運転制御方法を採用している排水設備においては、複数台の排水ポンプの計画最低水位が最下段グループのポンプの揚水遮断水位および揚水開始水位によって決まり、ポンプ井ピットの深さが深くなるとともに、各ポンプの床下長さも長くなって、設備コストが高騰する。また、各ポンプの実揚程が高くなり、それだけ必要動力が大きくなる。さらに、各グループ毎のポンプ負荷も不均一になるという問題があった。
【0004】
本発明は上記実情に鑑みてなされたもので、複数台のポンプを全て同一レベルに設置しながら、許容範囲を越える負荷変動を生じることなく、常に適正台数のポンプを適正時期に運転させ、かつ停止させることができる排水ポンプの運転制御方法を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る排水ポンプの運転制御方法は、ポンプ井ピットに複数台の排水ポンプが設置されている排水設備における排水ポンプの運転制御方法であって、上記ポンプ井ピットの水位上昇速度の検出に基づいてポンプ運転台数を決定するとともに、その決定されたポンプ運転台数、上記水位上昇速度、ポンプ1台の所要始動時間および予め設定されている揚水開始水位からポンプ始動開始水位を決定し、上記ポンプ井ピットの水位がその決定されたポンプ始動開始水位にまで上昇したとき上記決定運転台数のポンプを始動し、かつ、上記揚水開始水位にまで上昇したときの揚水を開始するという運転制御を行なう一方、運転中のポンプが複数台のときは、上記ポンプ井ピットの水位下降速度の検出に基づいてポンプの運転停止台数を決定するとともに、上記ポンプ井ピットの水位が予め設定されている揚水遮断水位にまで下降したとき上記決定停止台数のポンプの運転を停止し、また、運転中のポンプが1台のときは、上記水位上昇速度に基づいて揚水開始水位までの到達時間を求め、その到達時間が所定時間以上であるときポンプの運転を停止するという運転停止制御を行なうことを特徴とするものである。
【0006】
すなわち、本発明は、複数台のポンプを全て同一レベルに設置した上で、ポンプ井ピットの水位上昇速度を検出するだけでポンプの運転台数の決定およびその決定運転台数のポンプ始動開始水位の決定を行ない、水位の上昇に応じてポンプを始動し、かつ揚水を開始するという運転制御を行なうことで、ポンプ井ピットの水位変動に対応して適正台数のポンプを適正時期に運転させることが可能である。また、運転中のポンプが複数台のときは、ポンプ井ピットの水位下降速度を検出するだけでポンプの運転停止台数を決定し、その決定停止台数のポンプをポンプ井ピットの水位が設定された揚水遮断水位にまで下降したとき運転停止し、かつポンプが1台のときは、待機中の水位上昇速度に基づいて揚水開始水位までの到達時間が所定時間以上のとき運転停止するという運転停止制御を行なうことで、ポンプ井ピットの水位変動状況に対応して適正に運転停止させることが可能であり、ポンプ井ピットの深さを浅くして設備コストの低減が図れながら、許容範囲を越える負荷変動を生じることなく、常に適正なポンプの運転停止制御を行なわせることができる。
【0007】
上記の運転制御方法の実施に用いる排水ポンプとしては、請求項2に記載したように、その羽根車下方のケーシング内に一端が開口接続され他端が大気に開放された吸気管と、該吸気管の途中に介装された開閉弁とを備え、ポンプ井ピットの水位が上記揚水遮断水位まで下降したとき上記吸気弁を開弁させることにより揚水運転から気中運転に切替えてポンプ運転を継続可能とされた先行待機型ポンプが使用される。このような先行待機型ポンプの使用によって、ポンプ井ピットの水位がポンプ羽根車に達する前にポンプを始動させることができるとともに、水位が揚水遮断水位よりも下降しても、ポンプを次の水位の上昇に迅速に応答させるように気中運転で待機させておくことができる。
【0008】
また、上記の運転制御方法において、請求項3に記載のように、1回目の揚水開始水位に対して2回目以降の揚水開始水位を低く設定するときは、一旦始動された後に気中運転による待機状態にあるポンプを水位の上昇に伴い早い時期に揚水運転に切り替えることが可能で、それだけ気中運転に伴う振動などの不都合の発生を抑えることができる。
【0009】
さらに、上記の運転制御方法において、請求項4に記載のように、ポンプ運転台数及びポンプ運転停止台数を決定するための一要素となるポンプ井ピットの面積をポンプ井ピットの現在水位の表面積とする場合は、ポンプ井ピットの深さが全域に亘って一様でなく、不均一であっても、現在水位の表面積を要素としてポンプ運転台数及びポンプ運転停止台数を決定することになるため、水位変動に対応したポンプ運転台数及びポンプ運転停止台数の制御を適正に行なうことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面にもとづいて説明する。
図1は本発明方法を適用した排水設備の概略構成図であり、同図において、1はポンプ井ピットで、このポンプ井ピット1には、排水ポンプとして複数台の先行待機型立軸ポンプ2が全て同一レベルに設置されている。これら立軸ポンプ2は、吸水ベルマウス8の下端開口の深さがこれ以下では空気を吸い込んでしまうポンプ固有の最低水位よりも上方に羽根車3が配設されているとともに、この羽根車3を収容する羽根車室4の入口下方付近に一端が開口接続されているとともに他端が大気に開放された吸気管5の途中に開閉弁6を介装してなる。
【0011】
図2は上記先行待機型立軸ポンプ2の水位設定図であり、ポンプ井ピット1の水位降下時に羽根車室4の入口レベルに設定される揚水開始水位CWLとポンプ固有の最低水位に設定される揚水遮断水位SWLの間の所定水位になったときに、開閉弁6を開弁させて羽根車室4の入口に空気を送り込んで揚水運転から気中運転に切替え、水位上昇時にはポンプ井ピット1の水位が羽根車室4の入口レベルに設定される揚水開始水位CWLになったときに、開閉弁1を閉弁させて残留空気を吸い揚げながら気中運転から揚水運転に切替えるように構成されているものであって、ポンプ井ピット1の水位が揚水遮断水位SWL以下に低下しても気中運転に切替えてポンプ運転を継続できるようになされている。なお、先行待機型立軸ポンプ2の特性として、揚水遮断運転状態から1回目の揚水運転に至る場合は、上記開閉弁6の閉弁による揚水開始水位CWLよりもやや上方の水位RWLになったときに、揚水が開始される。
【0012】
7は運転制御用コントローラであって、上記ポンプ井ピット1に設置されている水位計の時間当たりの変化により水位上昇速度および水位下降速度を検出するとともに、その検出に基づいて複数台の先行待機型立軸ポンプ2の運転制御および運転停止制御を行なうものである。
【0013】
つぎに、上記構成の排水設備における先行待機型立軸ポンプ2の運転制御方法について、図3及び図4のフローチャートを参照して説明する。
図3は揚水開始のための運転制御フローであり、ポンプ井ピット1の水位上昇速度Vu(m/s)を検出し(ステップS10)、その検出された水位上昇速度Vu(m/s)とポンプ井ピット1の面積A(m2 )とポンプ性能曲線から算出される1台当たりのポンプ吐出量Qp(m3 /s)からポンプ運転台数Nを、
N=A×Vu/Qp
なる式で決定する(ステップS11)とともに、その決定されたポンプ運転台数Nと上記水位上昇速度Vuとポンプ1台の所要始動時間t(s)および1回目の揚水開始水位RWL(m)からポンプ始動開始水位L1 WL(図2参照)を、
RWL−L1 WL=N×t×Vuより
L1 WL(m)=RWL−N×t×Vu
なる式で決定する(ステップS12)。
なお、上記ポンプ井ピット1の面積A(m2 )は、ポンプ井ピット1の現在水位の表面積から求めるようにしている。
【0014】
そして、上記ポンプ井ピット1の水位が、上記決定されたポンプ始動開始水位L1 WLにまで上昇したとき上記決定台数Nのポンプを始動し(ステップS13,S14)、かつ、揚水が1回目であるか否かを判別し(ステップS15)、1回目の場合は上記ポンプ井ピット1の水位が1回目揚水開始水位RWL(m)にまで上昇したときに揚水を開始し、2回目以降の場合は上記ポンプ井ピット1の水位が2回目以降の揚水開始水位CWL(m)にまで上昇したときに揚水を開始する(ステップS16,S17またはステップS18,S19)という運転制御を行なう。
【0015】
図4はポンプ運転中の停止制御フローであり、まず、運転中のポンプが1台であるのか2台以上であるのかを判定し(ステップS20)、2台以上のポンプが運転中の場合は上記ポンプ井ピット1の水位下降速度Vd(m/s)を検出し(ステップS21)、その検出された水位下降昇速度Vd(m/s)とポンプ井ピット1の面積A(m2 )とポンプ性能曲線から算出される1台当たりのポンプ吐出量Qp(m3 /s)からポンプ運転停止台数N1を、
N1=A×Vd/Qp
なる式で決定し(ステップS22)、上記ポンプ井ピット1の水位が、上記揚水遮断水位SWLにまで下降したとき上記決定停止台数N1のポンプの運転を停止する(ステップS23,S24)。
【0016】
一方、ステップS20において、運転中のポンプが1台であると判定された場合は、その1台のポンプの待機運転中のポンプ井ピット1の水位上昇速度Vu(m/s)を検出し(ステップS25,S26)、その検出水位上昇速度Vuから次の揚水開始水位CWLまでの到達時間t2を、
t2=CWL−L2 WL/Vu
ここで、L2 WLは現在の水位(m)
なる式で計測し(ステップS27)、その到達時間t2が所定の時間(これは30分に設定している)以上のとき、つまり、t2≧30分のとき、ポンプの運転を停止する(ステップS28,S29)。
【0017】
なお、上記の実施の態様では、立軸ポンプへ適用した例について説明したが、これ以外に、先行待機運転を行うことができる他のポンプに適用してもよいことはもちろんである。
【0018】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、複数台のポンプを全て同一レベルに設置しながら、ポンプ井ピットの水位変動に対応して許容の負荷変動範囲内で適正台数のポンプを適正時期に運転し、かつ、適正時期に運転停止することができる。これにより、ポンプの不要な運転をなくして省エネルギー化を図り得るだけでなく、ポンプ井ピットの深さを浅くするとともに、各ポンプの床下長さも短くして、設備全体のイニシャルコストを低減することができ、また、ポンプの実揚程を低くしてモータなど原動機容量の減少に伴うランニングコストの低減も図ることができ、さらに、複数台のポンプ負荷も均一化して常に適正かつ安定よいポンプの運転停止制御を行なわせることができるという効果を奏する。
【0019】
特に、上記運転方法の運用に際して、先行待機型ポンプを使用することによって、ポンプ井ピットの水位がポンプ羽根車に達する前にポンプを始動させることができるとともに、水位が揚水遮断水位よりも下降しても、気中運転でポンプを待機させることができ、次の水位の上昇に迅速に応答させることができる。
【0020】
また、請求項3に記載のように、1回目の揚水開始水位に対して2回目以降の揚水開始水位を低く設定するときは、一旦始動された後に気中運転による待機状態にあるポンプを水位の上昇に伴い早い時期に揚水運転に切り替えることが可能で、それだけ気中運転に伴う振動などの不都合の発生を抑えることができる。
【0021】
さらに、請求項4に記載のように、ポンプ井ピットの面積をポンプ井ピットの現在水位の表面積とする場合は、水位上昇または下降速度と現在水位の表面積を要素としてポンプ運転台数及びポンプ運転停止台数を決定することが可能であるため、深さが全域に亘って一様でなく、不均一なポンプ井ピットであっても、水位変動に対応したポンプ運転台数及びポンプ運転停止台数の制御を適正に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を適用した排水設備の概略構成図である。
【図2】先行待機型立軸ポンプの水位設定の説明図である。
【図3】先行待機型立軸ポンプの運転制御方法のうち揚水開始のための運転制御フローを示すフローチャートである。
【図4】先行待機型立軸ポンプの運転制御方法のうち運転停止制御フローを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 ポンプ井ピット
2 先行待機型立軸ポンプ(排水ポンプ)
3 羽根車
5 吸気管
6 開閉弁
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として雨水の排水処理に用いられる排水ポンプの運転制御方法に関し、詳しくは、ポンプ井ピットに複数台の排水ポンプが設置されている排水設備における排水ポンプの運転制御方法関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の排水設備において、従来一般には、ポンプ井ピットに計画(予測)最大流入量の雨水等が流入してきた場合でも負荷が許容範囲を越えて変動しないようにするために、複数台の排水ポンプを、同時に揚水開始したときの負荷変動が上記許容負荷変動範囲内に収まるような台数毎にグループ分けして各グループ毎の揚水開始水位、揚水遮断水位にそれぞれレベル差を付けて複数段階にステップ設置し、ポンプ井ピットの水位の上昇、下降に応じて各グループ毎で揚水開始したり、揚水遮断する運転制御方法が採用されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のような従来のポンプ運転制御方法を採用している排水設備においては、複数台の排水ポンプの計画最低水位が最下段グループのポンプの揚水遮断水位および揚水開始水位によって決まり、ポンプ井ピットの深さが深くなるとともに、各ポンプの床下長さも長くなって、設備コストが高騰する。また、各ポンプの実揚程が高くなり、それだけ必要動力が大きくなる。さらに、各グループ毎のポンプ負荷も不均一になるという問題があった。
【0004】
本発明は上記実情に鑑みてなされたもので、複数台のポンプを全て同一レベルに設置しながら、許容範囲を越える負荷変動を生じることなく、常に適正台数のポンプを適正時期に運転させ、かつ停止させることができる排水ポンプの運転制御方法を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る排水ポンプの運転制御方法は、ポンプ井ピットに複数台の排水ポンプが設置されている排水設備における排水ポンプの運転制御方法であって、上記ポンプ井ピットの水位上昇速度の検出に基づいてポンプ運転台数を決定するとともに、その決定されたポンプ運転台数、上記水位上昇速度、ポンプ1台の所要始動時間および予め設定されている揚水開始水位からポンプ始動開始水位を決定し、上記ポンプ井ピットの水位がその決定されたポンプ始動開始水位にまで上昇したとき上記決定運転台数のポンプを始動し、かつ、上記揚水開始水位にまで上昇したときの揚水を開始するという運転制御を行なう一方、運転中のポンプが複数台のときは、上記ポンプ井ピットの水位下降速度の検出に基づいてポンプの運転停止台数を決定するとともに、上記ポンプ井ピットの水位が予め設定されている揚水遮断水位にまで下降したとき上記決定停止台数のポンプの運転を停止し、また、運転中のポンプが1台のときは、上記水位上昇速度に基づいて揚水開始水位までの到達時間を求め、その到達時間が所定時間以上であるときポンプの運転を停止するという運転停止制御を行なうことを特徴とするものである。
【0006】
すなわち、本発明は、複数台のポンプを全て同一レベルに設置した上で、ポンプ井ピットの水位上昇速度を検出するだけでポンプの運転台数の決定およびその決定運転台数のポンプ始動開始水位の決定を行ない、水位の上昇に応じてポンプを始動し、かつ揚水を開始するという運転制御を行なうことで、ポンプ井ピットの水位変動に対応して適正台数のポンプを適正時期に運転させることが可能である。また、運転中のポンプが複数台のときは、ポンプ井ピットの水位下降速度を検出するだけでポンプの運転停止台数を決定し、その決定停止台数のポンプをポンプ井ピットの水位が設定された揚水遮断水位にまで下降したとき運転停止し、かつポンプが1台のときは、待機中の水位上昇速度に基づいて揚水開始水位までの到達時間が所定時間以上のとき運転停止するという運転停止制御を行なうことで、ポンプ井ピットの水位変動状況に対応して適正に運転停止させることが可能であり、ポンプ井ピットの深さを浅くして設備コストの低減が図れながら、許容範囲を越える負荷変動を生じることなく、常に適正なポンプの運転停止制御を行なわせることができる。
【0007】
上記の運転制御方法の実施に用いる排水ポンプとしては、請求項2に記載したように、その羽根車下方のケーシング内に一端が開口接続され他端が大気に開放された吸気管と、該吸気管の途中に介装された開閉弁とを備え、ポンプ井ピットの水位が上記揚水遮断水位まで下降したとき上記吸気弁を開弁させることにより揚水運転から気中運転に切替えてポンプ運転を継続可能とされた先行待機型ポンプが使用される。このような先行待機型ポンプの使用によって、ポンプ井ピットの水位がポンプ羽根車に達する前にポンプを始動させることができるとともに、水位が揚水遮断水位よりも下降しても、ポンプを次の水位の上昇に迅速に応答させるように気中運転で待機させておくことができる。
【0008】
また、上記の運転制御方法において、請求項3に記載のように、1回目の揚水開始水位に対して2回目以降の揚水開始水位を低く設定するときは、一旦始動された後に気中運転による待機状態にあるポンプを水位の上昇に伴い早い時期に揚水運転に切り替えることが可能で、それだけ気中運転に伴う振動などの不都合の発生を抑えることができる。
【0009】
さらに、上記の運転制御方法において、請求項4に記載のように、ポンプ運転台数及びポンプ運転停止台数を決定するための一要素となるポンプ井ピットの面積をポンプ井ピットの現在水位の表面積とする場合は、ポンプ井ピットの深さが全域に亘って一様でなく、不均一であっても、現在水位の表面積を要素としてポンプ運転台数及びポンプ運転停止台数を決定することになるため、水位変動に対応したポンプ運転台数及びポンプ運転停止台数の制御を適正に行なうことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面にもとづいて説明する。
図1は本発明方法を適用した排水設備の概略構成図であり、同図において、1はポンプ井ピットで、このポンプ井ピット1には、排水ポンプとして複数台の先行待機型立軸ポンプ2が全て同一レベルに設置されている。これら立軸ポンプ2は、吸水ベルマウス8の下端開口の深さがこれ以下では空気を吸い込んでしまうポンプ固有の最低水位よりも上方に羽根車3が配設されているとともに、この羽根車3を収容する羽根車室4の入口下方付近に一端が開口接続されているとともに他端が大気に開放された吸気管5の途中に開閉弁6を介装してなる。
【0011】
図2は上記先行待機型立軸ポンプ2の水位設定図であり、ポンプ井ピット1の水位降下時に羽根車室4の入口レベルに設定される揚水開始水位CWLとポンプ固有の最低水位に設定される揚水遮断水位SWLの間の所定水位になったときに、開閉弁6を開弁させて羽根車室4の入口に空気を送り込んで揚水運転から気中運転に切替え、水位上昇時にはポンプ井ピット1の水位が羽根車室4の入口レベルに設定される揚水開始水位CWLになったときに、開閉弁1を閉弁させて残留空気を吸い揚げながら気中運転から揚水運転に切替えるように構成されているものであって、ポンプ井ピット1の水位が揚水遮断水位SWL以下に低下しても気中運転に切替えてポンプ運転を継続できるようになされている。なお、先行待機型立軸ポンプ2の特性として、揚水遮断運転状態から1回目の揚水運転に至る場合は、上記開閉弁6の閉弁による揚水開始水位CWLよりもやや上方の水位RWLになったときに、揚水が開始される。
【0012】
7は運転制御用コントローラであって、上記ポンプ井ピット1に設置されている水位計の時間当たりの変化により水位上昇速度および水位下降速度を検出するとともに、その検出に基づいて複数台の先行待機型立軸ポンプ2の運転制御および運転停止制御を行なうものである。
【0013】
つぎに、上記構成の排水設備における先行待機型立軸ポンプ2の運転制御方法について、図3及び図4のフローチャートを参照して説明する。
図3は揚水開始のための運転制御フローであり、ポンプ井ピット1の水位上昇速度Vu(m/s)を検出し(ステップS10)、その検出された水位上昇速度Vu(m/s)とポンプ井ピット1の面積A(m2 )とポンプ性能曲線から算出される1台当たりのポンプ吐出量Qp(m3 /s)からポンプ運転台数Nを、
N=A×Vu/Qp
なる式で決定する(ステップS11)とともに、その決定されたポンプ運転台数Nと上記水位上昇速度Vuとポンプ1台の所要始動時間t(s)および1回目の揚水開始水位RWL(m)からポンプ始動開始水位L1 WL(図2参照)を、
RWL−L1 WL=N×t×Vuより
L1 WL(m)=RWL−N×t×Vu
なる式で決定する(ステップS12)。
なお、上記ポンプ井ピット1の面積A(m2 )は、ポンプ井ピット1の現在水位の表面積から求めるようにしている。
【0014】
そして、上記ポンプ井ピット1の水位が、上記決定されたポンプ始動開始水位L1 WLにまで上昇したとき上記決定台数Nのポンプを始動し(ステップS13,S14)、かつ、揚水が1回目であるか否かを判別し(ステップS15)、1回目の場合は上記ポンプ井ピット1の水位が1回目揚水開始水位RWL(m)にまで上昇したときに揚水を開始し、2回目以降の場合は上記ポンプ井ピット1の水位が2回目以降の揚水開始水位CWL(m)にまで上昇したときに揚水を開始する(ステップS16,S17またはステップS18,S19)という運転制御を行なう。
【0015】
図4はポンプ運転中の停止制御フローであり、まず、運転中のポンプが1台であるのか2台以上であるのかを判定し(ステップS20)、2台以上のポンプが運転中の場合は上記ポンプ井ピット1の水位下降速度Vd(m/s)を検出し(ステップS21)、その検出された水位下降昇速度Vd(m/s)とポンプ井ピット1の面積A(m2 )とポンプ性能曲線から算出される1台当たりのポンプ吐出量Qp(m3 /s)からポンプ運転停止台数N1を、
N1=A×Vd/Qp
なる式で決定し(ステップS22)、上記ポンプ井ピット1の水位が、上記揚水遮断水位SWLにまで下降したとき上記決定停止台数N1のポンプの運転を停止する(ステップS23,S24)。
【0016】
一方、ステップS20において、運転中のポンプが1台であると判定された場合は、その1台のポンプの待機運転中のポンプ井ピット1の水位上昇速度Vu(m/s)を検出し(ステップS25,S26)、その検出水位上昇速度Vuから次の揚水開始水位CWLまでの到達時間t2を、
t2=CWL−L2 WL/Vu
ここで、L2 WLは現在の水位(m)
なる式で計測し(ステップS27)、その到達時間t2が所定の時間(これは30分に設定している)以上のとき、つまり、t2≧30分のとき、ポンプの運転を停止する(ステップS28,S29)。
【0017】
なお、上記の実施の態様では、立軸ポンプへ適用した例について説明したが、これ以外に、先行待機運転を行うことができる他のポンプに適用してもよいことはもちろんである。
【0018】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、複数台のポンプを全て同一レベルに設置しながら、ポンプ井ピットの水位変動に対応して許容の負荷変動範囲内で適正台数のポンプを適正時期に運転し、かつ、適正時期に運転停止することができる。これにより、ポンプの不要な運転をなくして省エネルギー化を図り得るだけでなく、ポンプ井ピットの深さを浅くするとともに、各ポンプの床下長さも短くして、設備全体のイニシャルコストを低減することができ、また、ポンプの実揚程を低くしてモータなど原動機容量の減少に伴うランニングコストの低減も図ることができ、さらに、複数台のポンプ負荷も均一化して常に適正かつ安定よいポンプの運転停止制御を行なわせることができるという効果を奏する。
【0019】
特に、上記運転方法の運用に際して、先行待機型ポンプを使用することによって、ポンプ井ピットの水位がポンプ羽根車に達する前にポンプを始動させることができるとともに、水位が揚水遮断水位よりも下降しても、気中運転でポンプを待機させることができ、次の水位の上昇に迅速に応答させることができる。
【0020】
また、請求項3に記載のように、1回目の揚水開始水位に対して2回目以降の揚水開始水位を低く設定するときは、一旦始動された後に気中運転による待機状態にあるポンプを水位の上昇に伴い早い時期に揚水運転に切り替えることが可能で、それだけ気中運転に伴う振動などの不都合の発生を抑えることができる。
【0021】
さらに、請求項4に記載のように、ポンプ井ピットの面積をポンプ井ピットの現在水位の表面積とする場合は、水位上昇または下降速度と現在水位の表面積を要素としてポンプ運転台数及びポンプ運転停止台数を決定することが可能であるため、深さが全域に亘って一様でなく、不均一なポンプ井ピットであっても、水位変動に対応したポンプ運転台数及びポンプ運転停止台数の制御を適正に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を適用した排水設備の概略構成図である。
【図2】先行待機型立軸ポンプの水位設定の説明図である。
【図3】先行待機型立軸ポンプの運転制御方法のうち揚水開始のための運転制御フローを示すフローチャートである。
【図4】先行待機型立軸ポンプの運転制御方法のうち運転停止制御フローを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 ポンプ井ピット
2 先行待機型立軸ポンプ(排水ポンプ)
3 羽根車
5 吸気管
6 開閉弁
Claims (4)
- ポンプ井ピットに複数台の排水ポンプが設置されている排水設備における排水ポンプの運転制御方法であって、
上記ポンプ井ピットの水位上昇速度の検出に基づいてポンプ運転台数を決定するとともに、
その決定されたポンプ運転台数、上記水位上昇速度、ポンプ1台の所要始動時間および予め設定されている揚水開始水位からポンプ始動開始水位を決定し、
上記ポンプ井ピットの水位がその決定されたポンプ始動開始水位にまで上昇したとき上記決定運転台数のポンプを始動し、かつ、上記揚水開始水位にまで上昇したときの揚水を開始するという運転制御を行なう一方、
運転中のポンプが複数台のときは、上記ポンプ井ピットの水位下降速度の検出に基づいてポンプの運転停止台数を決定するとともに、
上記ポンプ井ピットの水位が予め設定されている揚水遮断水位にまで下降したとき上記決定停止台数のポンプの運転を停止し、
また、運転中のポンプが1台のときは、上記水位上昇速度に基づいて揚水開始水位までの到達時間を求め、その到達時間が所定時間以上であるときポンプの運転を停止するという運転停止制御を行なうことを特徴とする排水ポンプの運転制御方法。 - 上記排水ポンプとして、その羽根車下方のケーシング内に一端が開口接続され他端が大気に開放された吸気管と、該吸気管の途中に介装された開閉弁とを備え、ポンプ井ピットの水位が上記揚水遮断水位まで下降したとき上記吸気弁を開弁させることにより揚水運転から気中運転に切替えてポンプ運転を継続可能とされた先行待機型ポンプを使用する請求項1に記載の排水ポンプの運転制御方法。
- 上記の揚水開始水位は、1回目の揚水開始水位に対して2回目以降の揚水開始水位が低く設定される請求項1または2に記載の排水ポンプの運転制御方法。
- ポンプ運転台数及びポンプ運転停止台数を決定するための一要素となるポンプ井ピットの面積は、ポンプ井ピットの現在水位の表面積とする請求項1または2に記載の排水ポンプの運転制御方法。
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