JP3610055B2 - 低リン食品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はリン含有量の低い食品の製造方法に係る。
【0002】
【従来の技術】
腎不全患者の食事療法に資するために、リン含有量の低い食品の製造方法が提案されている。その方法は、イオン交換機能を有する粒状の脱リン剤に液状食品を接触させることにより、液状食品中のリン酸イオンを選択的に吸着、除去するものであり、脱リン剤として、例えば、ベーマイト(特許第3131691号公報参照)、OH型弱塩基性イオン交換樹脂(特開昭48−33061号公報参照)等が知られている。前記のベーマイトのような酸化金属系の脱リン剤は粒状物の強度が弱く、カラムを使用した接触反応中、圧力負荷により破砕されやすいため、耐久性に乏しく、破砕により生じた脱リン剤の微粉末が液状食品中に混入するという問題点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この発明の課題は、低リン食品の製造方法に関し、すぐれた脱リン機能を有するとともに、脱リン処理の液中で破砕されにくい脱リン剤を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この発明が採用した手段は次のとおりである。
1.酸化セリウム水和物とエチレン・ビニルアルコール共重合物とを混合して成る粒状の脱リン剤に、液状食品を接触させることにより、液状食品中のリン酸イオン含有量を低減することを特徴とする。
2.前記1において、液状食品を接触させる前に、脱リン剤をアルカリで処理しておくことを特徴とする。
【0005】
前記の酸化セリウム水和物はCeO2・nH2Oで表される物質であって、脱リン作用にあずかるのはCeに結合しているOH基である。エチレン・ビニルアルコール共重合物は次の化学式で表される物質である。
−(CH2−CH2)n−(CH2−CH(OH))m−
【0006】
【作用及び効果】
前記の脱リン剤は、酸化セリウム水和物及びエチレン・ビニルアルコール共重合物のそれぞれに含まれるOH基がイオン交換機能を有することにより、液状食品中のリン酸イオンを取り込み、液状食品を低リン化する。
【0007】
酸化セリウム水和物を脱リン剤として単独で使用すると、先述のように、酸化セリウム水和物はカラム中の圧力負荷により破砕されやすい。この欠点は、酸化セリウム水和物をエリレン・ビニルアルコール共重合物と混合し、粒状に成型することによって防止される。エチレン・ビニルアルコール共重合物はそれ自身イオン交換機能を有し、脱リンに寄与するとともに、砕けやすい酸化セリウム水和物をつなぎ止めるバインダーの役目をしているのである。
【0008】
リン分等を吸着し、イオン交換機能が衰えた脱リン剤を再生するのに、アルカリ処理をし、次いで酸洗浄を施すのが普通であるが、脱リンの対象食品が牛乳である場合、脱リン剤に残留している酸洗浄の酸によって、牛乳の酸性度が高まり、そのために牛乳たんぱくの凝固が生じ、脱リン処理を不可能にする事態が起こりやすい。このようなトラブルを防ぐために、この発明では、液状食品、特に牛乳を接触させる前に、脱リン剤をアルカリで処理しておくことにしたのである。
【0009】
【発明の実施の形態】
酸化セリウム水和物とエチレン・ビニルアルコール共重合物をそれぞれ88%、12%の比率で混合し、直径約0.7mmのほぼ球形の粒状物に成型したものを脱リン剤として使用し、液状食品の中から牛乳、醤油、及びオレンジジュースを選び、カラム使用の脱リン処理を施した。その詳細を以下に記載の実施例で説明する。
【0010】
【実施例1】
低リン牛乳の製造例。酸化セリウム水和物とエチレン・ビニルアルコール共重合物とを混合して成る前記の脱リン剤40mlを、直径15mm、高さ250mmのカラムに充填し、0.25Nの水酸化ナトリウム120ml、水400mlを通液し、脱リン剤に付着している酸を除去した。次に、クエン酸水溶液を用いて、pH6.1に調整した牛乳400mlをSV=3.0/hrの下向流で通液し、処理牛乳を貯留した。
【0011】
前記の処理牛乳を供試品とし、処理をしない牛乳を対照品として、脱リン処理の効果をはかるデータを求めた。その結果を表1に示す。表中、リン酸イオン濃度はJIS・K0102で、カリウムイオン濃度及びセリウムイオン濃度はイオンクロマトグフィー分析法で測定した。アルコール試験は、市乳製造工場で牛乳の熱安定性を調べる簡易法で、10mlの牛乳に70%エタノール10mlを加え、撹拌した後、凝固の有無を見るテストである。煮沸試験は煮沸により凝固の有無を見るテストである。凝固がなければ陰性、凝固があれば陽性で、陽性は熱安定性に問題があるとされる。
【表1】
【0012】
表1で見られるように、実施例1で脱リン処理をした牛乳は、その処理をしない対照品に比べ、リン酸イオン濃度が大きく低減している。また、この処理によりカリウムイオン濃度も低減させることができた。腎不全患者の食事療法には、リンとともにカリウム含量の低い食事が求められるから、この発明の方法は腎不全患者にとって朗報である。
【0013】
表1によれば、脱リン処理をした牛乳には、対照品と同じく、セリウムイオンが検出されていない。このことは、酸化セリウム水和物をエチレン・ビニルアルコール共重合物をバインダーとして粒状物に成型したことにより、カラム内の圧力負荷による脱リン剤の破砕、微粉末の発生が防止されたことを意味する。
【0014】
脱リン処理をした牛乳は、表1で示すように、アルコール試験、煮沸試験が共に陰性で、熱安定性が損われていない。ただ、pHがややアルカリ域に傾いており、若干の風味の劣化が感じられたが、クエン酸水溶液を添加してpHを6.5に調整したところ、風味は脱リン処理を施さない牛乳と変らぬ程度に改善された。
【0015】
【実施例2】
低リン醤油の製造例。酸化セリウム水和物とエチレン・ビニルアルコール共重合物とを混合して成る前記の脱リン剤100mlを、直径25mm、高さ300mmのカラムに充填し、0.25Nの水酸化ナトリウム300ml、水1000mlを通液し、脱リン剤に付着している酸を除去した。次に、醤油500mlをSV=1.2/hrの下向流で通液し、処理醤油を貯留した。
【0016】
前記の処理醤油を供試品とし、処理をしない醤油を対照品として、脱リン処理の効果をはかるデータを求めた。その結果を表2に示す。表中、リン酸イオン濃度はJIS・K0102の分析法で測定した。処理醤油には若干の風味の劣化が感じられたが、塩酸を用いてpHを4.7に調整したところ、風味は脱リン処理を施さない対照品と同じ程度に改着された。
【表2】
【0017】
表2で見られるように、脱リン処理をした醤油のリン酸イオン濃度は、脱リン処理をしない対照品に比べて著しく低減されており、この発明による脱リン効果が確かめられた。
【0018】
【実施例3】
低リンオレンジジュースの製造例。実施例2に記載の脱リン剤を充填したカラムに、遠心分離により沈殿物を取り除いたオレンジジュース500mlを実施例2の方法で通液し、貯留した。この貯留オレンジジュースを供試品とし、沈殿物除去のオレンジジュースであって脱リン処理を施さないものを対照品とし、脱リン処理の効果をはかるデータを求めた。その結果を表3に示す。表中、リン酸イオン濃度はイオンクロマトグラフィー分析法で測定し、pH、糖度、酸度は常法により測定した。脱リン処理のオレンジジュースには若干の風味の劣化が感じられたが、クエン酸水溶液を添加して酸度を1.0に調整したところ、風味は脱リン処理を施さない対照品と同じ程度に改善された。
【表3】
【0019】
表3で見られるように、脱リン処理をしたオレンジジュースのリン酸イオン濃度は、その処理を施さない対照品に比べて著しく低減されており、この発明による脱リン効果が確かめられた。
Claims (2)
- 酸化セリウム水和物とエチレン・ビニルアルコール共重合物とを混合して成る粒状の脱リン剤に、液状食品を接触させることにより、液状食品中のリン酸イオン含有量を低減することを特徴とする低リン食品の製造方法。
- 液状食品を接触させる前に、脱リン剤をアルカリで処理しておくことを特徴とする請求項1に記載の低リン食品の製造方法。
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JP2002208920A JP3610055B2 (ja) | 2002-06-12 | 2002-06-12 | 低リン食品の製造方法 |
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JP2004016214A JP2004016214A (ja) | 2004-01-22 |
JP3610055B2 true JP3610055B2 (ja) | 2005-01-12 |
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2002
- 2002-06-12 JP JP2002208920A patent/JP3610055B2/ja not_active Expired - Lifetime
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