JP3607503B2 - アルミニウム合金鋳塊割れ防止装置とdc鋳造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はアルミニウム合金のDC鋳造(DCインゴット鋳造)において鋳塊の割れを防止する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、アルミニウム合金のDC鋳造において、溶湯が冷却されて鋳塊となる際に、ある部分に応力が集中して亀裂を引き起すことがあり、これを「割れ」とよんでいる。
アルミニウム合金の中でも、AA2024合金(Al−Cu−Mg系)やAA7075合金(Al−Zn−Cu−Mg系)は非常に割れが発生しやすく、割れの発生を防止するために、鋳造機の再溶融を起さない程度の位置に冷媒(一般的には水)を除去する装置を設けて鋳塊の冷却を緩和する方法がとられている。これは、内部応力を緩和して鋳塊割れの発生を防止しようとするものである。
このような冷媒除去装置の従来の代表例としては、鋳塊横断面と同型の空間を内側にもつ枠体を鋳塊の外周に装着し、この枠体によって冷却水を遮断するものがある。この装置の具体例は図4に示され、枠体8をステー9により吊り下げ、枠体の窓孔10の内側に弾力性材料からなるワイパーブレード11を設けて、鋳塊12は窓孔10を貫挿する。このときワイパーブレード11は鋳塊12に接して冷却水を遮断する。
この他にも、上記のような枠体にはしないで、各辺を独立したワイパーブレードで構成した装置もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようなワイパーブレードが固定式の装置では、ワイパーブレードと鋳塊との接触が主に点接触であるため、完全に冷却水を遮断することが困難である上に、鋳塊の表面形状は一般的に凝固収縮によるうねりがあるために、ワイパーブレード全体を鋳塊表面に密着させることが困難であった。また、鋳塊との摩擦によってワイパーブレードが摩耗して、冷却水遮断性能の低下が早かった。したがって割れ不良の防止の点で十分ではなかった。
よって本発明は、液状冷媒除去部分の摩耗等によって冷媒除去性能が低下せず、長期間使用しても十分な冷媒除去性能が維持できるアルミニウム合金の鋳塊割れ防止装置を提供することを目的とする。
また本発明は、鋳塊割れ防止装置により液状冷媒が十分に遮断され、アルミニウム合金鋳塊の割れが発生しないDC鋳造機を提供することを目的とする。
さらに本発明は、アルミニウム合金の鋳造において割れ発生を防止した鋳塊を連続的に製造しうるDC鋳造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはこのような従来装置の問題点を克服するため鋭意研究を重ねた結果、鋳塊の動きに伴なって回転する回転体を用いることにより、鋳塊との接触面積(または接触個所)を増し、かつ、鋳塊との接触部分の摩耗も軽減して冷媒除去が行えることを見出し、この知見に基づき本発明をなすに至った。
すなわち本発明は、
(1)外周面を鋳塊に接触させて冷媒を除去する、外表面に所定間隔で設けた帯状弾性体を有する回転体を鋳塊の凝固終了部付近に設置することを特徴とするアルミニウム合金のDC鋳造鋳塊割れ防止装置、
(2)アルミニウム合金をDC鋳造するに当り、鋳塊の側面を液状冷媒で冷却し、その液状冷媒で冷却した側面の鋳塊の凝固終了部付近の側面に回転自在の筒状回転体を当接させて鋳塊側面の液状冷媒を除去することを特徴とするDC鋳造方法、及び
(3)アルミニウム合金をDC鋳造するに当り、鋳塊の側面を液状冷媒で冷却し、その液状冷媒で冷却した側面の鋳塊の凝固終了部付近の側面に、回転自在の筒状回転体を鋳塊との摩擦抵抗により鋳塊の移動速度と等しい周速で回転させ当接させて鋳塊側面の液状冷媒を除去することを特徴とするDC鋳造方法
を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
次に本発明の一実施態様を図面に従って説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1〜3は、本発明の鋳塊割れ防止装置の一実施態様を示すものであり、図1は平面図、図2は正面図、図3は図1のX−X′線に沿う断面図である。
図1〜3において1はモールド、2はモールドの下方の鋳塊4の側面に接して設けた円筒状回転体であり、3は回転体の外周面に設けた弾性体の帯状体である。5はモールドの内部7の冷却水6の供給口である。
また、図中Aは溶湯面、Bは鋳塊内部の固相線、Cは本発明の装置を使用した時の鋳塊凝固部内の等温線、C′は冷媒除去装置を全く使用しない時の鋳塊凝固部内の等温線である。
【0006】
まず、鋳塊4がモールド1で冷却されると表面に凝固殻が生じ(モールドの内部7を流れる冷却水6による間接冷却)、次にモールド1の下面に達したらモールドの内部7(または独立して設置された配管)から冷却水6が凝固殻に直接当たる。これにより鋳塊4内部の凝固が急速に進行し(二次冷却)、固相線B以下のある温度での等温線はC′のようになる。この際に鋳塊の凝固収縮によって生じる内部応力が大きいと鋳塊に割れが発生するが、鋳塊の適当な位置に冷却水を除去する回転体2を設置することで回転体より下方の鋳塊部分には冷却水が当たらず、冷却は大幅に緩和される。その結果、内部応力が小さくなって割れには至らず、さらに発生した内部応力も自己焼鈍作用により緩和される。このときの等温線はCのようになる。
回転体2は、鋳塊4との密着性をよくするために、少なくとも鋳塊4に接する部分は弾性体とすることが好ましい。さらに、回転体2の外表面をそのまま弾性体で被覆してもよいが、図示のように円筒形の回転体2の表面に帯状弾性体3を所定間隔で設置するのがより好ましい。これにより鋳塊4に接する箇所を多重にして冷却水除去性能を向上できるとともに、弾性体破損時に破損部のみを交換することで保守も容易にすることができる。なお、弾性体の材質は、鋳塊との密着性が得られ、かつ、鋳塊からの熱に対する耐熱性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば耐熱性ゴム等があげられる。
回転体2は前記のように回転自在とし、鋳塊4との摩擦抵抗により鋳塊4の移動速度と等しい周速で回転させて、弾性体の摩耗はほとんど生じないようにするのが好ましいが、これに限定されず、その回転体2自体を独立回転できるようにし、その回転速度を適宜に調整できるようにしてもよい。
また、回転体2と鋳塊4の密着性をさらに高めるために、空気圧や油圧等を利用して回転体2を鋳塊4に押しつける装置などをさらに備えていてもよい。
【0007】
なお、上記の実施態様では鋳塊割れ防止装置を鋳塊横断面のうちの平行する二面にのみ使用しているが、必要に応じ何面に設置してもかまわない。また、回転体としては円筒状のものが好ましいが、多角形状のものでもよい。回転体の大きさは、適用される鋳造機に応じて適宜定められる。さらに、本発明において従来型の冷媒除去装置や空気圧で冷却水を吹き飛ばすなどの他の方法を併用しても差支えない。
回転体を設ける位置(高さ)は、鋳塊割れを防止するように、上記のような固相線Bの最下部(凝固終了部)付近が好ましい。
本発明の鋳塊割れ防止装置は、割れが発生しやすいアルミニウム合金のDC鋳造機に特に制限なく適用でき、鋳塊の断面形状も任意である。また、本発明は、適用するアルミニウム合金の組成には特に制限はないが、比較的鋳塊割れの発生しやすい高アルミニウム合金に適する。
また、上記の実施態様では水冷式の場合を例にとって説明したが、冷媒は水以外の任意の物質でもよい。
【0008】
【実施例】
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明する。
非常に割れが発生しやすく、鋳造において冷媒除去装置が不可欠であることが知られているAA2024合金及びAA7075合金のDC鋳造(鋳塊サイズ:500mm×1500mm×6000mm)において、上記図1〜3に示した本発明の鋳塊割れ防止装置を用いた場合と、図4に示した従来装置を用いた場合の鋳塊割れ発生率を比較した。結果を表1に示す。なお、鋳塊に接する弾性体にはクロロプレンゴムを使用した。
【0009】
【表1】
【0010】
表1の結果から明らかなように、本発明の鋳塊割れ防止装置を用いたところ、鋳塊の割れ発生率は、従来の冷媒除去装置を用いた場合の約1/15にまで低減できた。
【0011】
【発明の効果】
以上述べてきたように、本発明の鋳塊割れ防止装置によれば、割れの発生しやすいアルミニウム合金のDC鋳造において鋳塊の割れ発生率を著しく低減できる。本発明の鋳塊割れ防止装置は鋳塊との接触面積が大きく、十分に冷媒を除去、遮断でき、また、鋳塊の通過に伴う摩耗がほとんどないため、装置の使用による冷媒除去性能の低下も生じない。したがって本発明の鋳塊割れ防止装置を用いた鋳造機及び鋳造方法によれば、アルミニウム合金のDC鋳造において鋳塊割れを非常に少なくしうるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の鋳塊割れ防止装置を適用した竪型鋳造機の一実施態様を表わす平面図である。
【図2】本発明の鋳塊割れ防止装置を適用した竪型鋳造機の一実施態様を表わす正面図である。
【図3】図1におけるX−X′線縦断面図である。
【図4】従来装置の斜視図である。
【符号の説明】
1 モールド
2 回転体
3 帯状体
4 鋳塊
5 冷却水の供給口
6 冷却水
A 溶湯面
B 鋳塊内部の固相線
Claims (3)
- 外周面を鋳塊に接触させて冷媒を除去する、外表面に所定間隔で設けた帯状弾性体を有する回転体を鋳塊の凝固終了部付近に設置することを特徴とするアルミニウム合金のDC鋳造鋳塊割れ防止装置。
- アルミニウム合金をDC鋳造するに当り、鋳塊の側面を液状冷媒で冷却し、その液状冷媒で冷却した側面の鋳塊の凝固終了部付近の側面に回転自在の筒状回転体を当接させて鋳塊側面の液状冷媒を除去することを特徴とするDC鋳造方法。
- アルミニウム合金をDC鋳造するに当り、鋳塊の側面を液状冷媒で冷却し、その液状冷媒で冷却した側面の鋳塊の凝固終了部付近の側面に、回転自在の筒状回転体を鋳塊との摩擦抵抗により鋳塊の移動速度と等しい周速で回転させ当接させて鋳塊側面の液状冷媒を除去することを特徴とするDC鋳造方法。
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