JP3605943B2 - 電子写真感光体の製造装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真感光体の製造装置に関し、さらに詳しくは、加水分解重合性化合物を含有する電子写真感光体の前駆体に連続的に湿熱処理を行って高性能の電子写真感光体を効率よく量産することができる電子写真感光体の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ゾル・ゲル法等によるデバイスにおいては、加水分解重合性化合物を用いる例が増加している。前記加水分解重合性化合物を用いたデバイスとしては、例えば、エレクトロクロミズム膜、電子伝導膜、超イオン電導体、光ファイバー、高温超電導体、透過膜、多結晶膜キャパシター、シーリング材、SiO2 ガラス、多孔性アルミナ、レーザー核融合燃料ホルダー、そして電子写真感光体などがあり、これらは幅広い分野で利用されている。
【0003】
前記電子写真感光体の場合、例えば、特開昭61−94057号公報、特開平2−189559号公報、特開平3−150573号公報、特開平3−150573号公報、特開平4−95967号公報、特開平4−124673号公報、特開平4−145546号公報、特開平5−341549号公報、特開平6−273963号公報等において、加水分解重合性化合物を用いる例が示されている。これらの電子写真感光体において十分に好ましい特性を得るためには、硬化を促進することが重要である。硬化に関しては、特開平3−150573号公報、特開平4−124674号公報、特開平4−162047号公報、特開平6−102691号公報等に記載されている。また、加水分解重合性化合物の硬化反応を促進するために塗液又は塗膜中に水分を添加供給する方法が、特開平4−253067号公報に記載されている。
【0004】
ところで、加水分解重合性化合物を含む塗膜を効率よく硬化促進させるためには水分の存在が不可欠である。この水分は、通常は大気中より混入した塗布液中に存在する水分が利用されたり、指触乾燥時に空気中から供給されたり、あるいは乾燥時に乾燥機内に含まれる空気から供給が行われ、硬化反応が進行する。
【0005】
しかしながら、通常の乾燥機を用いた従来の昇温乾燥処理では十分な水分が補給できず、安定したかつ十分な水準までの硬化膜を得ることができなかった。また、塗布液中に水分を予め添加しておく方法では、塗液中での加水分解反応が進行し、ゲル化や粘度上昇、あるいはその他の特性変化が生じて安定な塗膜を得ることができなかった。
【0006】
このような事情の下、本発明の発明者は、前記課題に対して、被処理体の硬化処理プロセス中に高温加熱処理の工程を加えることにより、加水分解重合性化合物を効果的に硬化させ、電子写真感光体を安定に製造することができる方法を提案している(特開平8−15870号公報)。ところが、従来においては、所望の温度及び水分量まで昇温加湿可能な単独の恒温恒湿機はあっても、加水分解重合反応を安定にかつ効果的に行うことができる連続処理可能な装置は提供されてなく、前記本発明の発明者が提案した方法を連続的に実施することができなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の発明者が鋭意検討した結果、加熱処理装置において、湿熱雰囲気の領域を設け、この領域で加水分解重合性化合物を含有する塗膜を硬化させると、安定した硬化膜が得られることを見い出した。
本発明は、前記従来における課題を解決し、加水分解重合性化合物を含有する感光層形成用液を塗布された支持体に連続的に湿熱処理を行い、短時間で該加水分解重合性化合物を硬化させ、電子写真感光体を効率よく量産することができる電子写真感光体の製造装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための本発明は、以下の通りである。
即ち、加水分解重合性化合物を少なくとも含有してなる感光層形成用液を支持体上に塗布する塗布手段と、前記感光層形成用液が塗布されてなる前記支持体を処理室に連続的に搬送する搬送手段と、を有し、
前記処理室が、前記支持体を昇温させる昇温処理室と、前記支持体を湿熱雰囲気下で湿熱処理する湿熱処理室と、前記昇温処理室と前記室温処理室との間に第1の隔離室と、を有し、
前記昇温処理室が、前記湿熱処理室における露点以上の温度に昇温させる昇温処理室であることを特徴とする電子写真感光体の製造装置である。
【0009】
電子写真感光体の製造装置においては、前記処理室が前記搬送手段による前記支持体の搬送に連動して開閉される遮蔽体を備えてなることが好ましい。前記搬送手段が、前記支持体を前記昇温処理室、前記第1の隔離室、前記湿熱処理室の順に連続的に搬送することが好ましい。前記加水分解重合性化合物が、有機金属化合物及びシランカップリング剤からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。前記処理室が、前記湿熱処理室で湿熱処理された前記支持体を加熱乾燥させる乾燥処理室をさらに有し、前記湿熱処理室と前記乾燥処理室との間に第2の隔離室を有することが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の電子写真感光体の製造装置は、加水分解重合性化合物を少なくとも含有してなる感光層形成用液を支持体上に塗布する塗布手段と、湿熱処理装置とを備えてなり、さらに必要に応じてその他の手段を備えてなる。
【0011】
前記塗布手段としては、例えば、カーテンコーター、バーコーター、グラビヤコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、エアーナイフコーター、ブレードコーター、スプレーコーター、スピンコーター等が挙げられる。これらの塗布手段は、その動作がコンピュータ等の前記制御手段により制御されるように設計されているのが好ましい。
この塗布手段により、前記加水分解重合性化合物を少なくとも含有してなる感光層形成用液が支持体上に塗布される。
【0012】
なお、前記感光層形成用塗布液及び前記支持体としては、特に制限はなく、それ自体公知の感光層形成用塗布液及び支持体を用いることができる。これらについては、例えば特開平8−15870号公報等に記載されている。
【0013】
湿熱処理装置は、処理室と搬送手段とを備えてなり、必要に応じてさらに他の手段を備えてなる。
【0014】
前記湿熱処理装置では、前記塗布手段により前記支持体上に前記感光層形成用液が塗布されてなる電子写真感光体の前駆体を被処理体とし、この被処理体を処理する。
このとき、前記湿熱処理装置における前記搬送手段の搬送路を、前記塗布手段の位置にまで敷延しておくのが好ましい。この場合、前記支持体を該搬送手段により搬送することができ、該搬送手段により次々と連続的に搬送されてくる支持体に、前記感光層形成用塗布液を効率よく前記塗布手段により塗布することができ、連続的に電子写真感光体を製造することができる点で有利である。
【0015】
前記処理室としては、昇温処理室と、湿熱処理室と、昇温処理室と湿熱処理室の間に設けらた隔離室(第1の隔離室)と、を有する多段処理室である。必要に応じて、他の処理室、例えば、乾燥処理室、昇温処理室と乾燥処理室との間に設けられた隔離室(第2の隔離室)などを有してもよい。
前記処理室は、被処理体に湿熱処理をはじめ、加熱処理、乾燥処理等の各種処理を行うことができるように設計された空間である。この空間は、開空間であってもよく、閉空間であってもよいが、処理効率の点で、できる限り閉空間に近い方が好ましい。
前記処理室の形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、被処理体の種類、大きさ、処理の種類等に応じて適宜決定することができる。
【0016】
前記処理室には、前記搬送手段により搬送される前記被処理体が入出可能な開口部が少なくとも1箇所設けられている。この開口部の大きさ、形状等については、特に制限はなく、前記被処理体の大きさ等に応じて適宜選択することができる。本発明においては、前記開口部に、開閉可能な遮蔽体が設けられているのが好ましい。前記処理室が前記遮蔽体を備えていると、前記被処理体を処理する際、前記遮蔽体で前記開口部を閉鎖することにより、前記処理室内が閉空間とすることができ、効率よく各種処理行うことができる点で有利である。
【0017】
前記遮蔽体は、手動で開閉されるように設計してもよいが、自動で開閉されるように設計した方が処理効率の点で好ましい。後者の場合、前記遮蔽体は、例えば、モーター、ピストン等の適宜の手段によって開閉され、コンピュータ等の制御手段によってその動作が自動制御されるように設計することができる。この場合、前記搬送手段により搬送される前記被処理体の入出に連動して開閉されるようにするのが、処理効率の点で好ましい。
前記遮蔽体としては、特に制限はないが、例えば、蝶番等で固定された開き戸、上下又は左右方向に移動可能な引き戸、伸縮自在に設計された蛇腹構造の扉、ロール状に巻き取り可能なシャッターなどが挙げられる。
【0018】
前記湿熱処理室は、被処理体を湿熱雰囲気下で湿熱処理することができるように設計された空間である。
前記湿熱処理室には、加熱及び加湿可能な機器が直接又は間接的に接続されている。前記加熱及び加湿可能な機器としては、特に制限はなく、それ自体公知の加熱器、加湿器、加湿加熱器などが挙げられる。前記加湿器及び前記加湿器の場合は、両者を併用する必要がある。これらの機器は、コンピュータ等の制御手段で、その駆動が自動制御されるようにしておくのが好ましい。
前記湿熱処理室においては、前記加熱及び加湿可能な機器により、所望の湿熱雰囲気が形成される。
【0019】
前記昇温処理室は、前記被処理体を前記湿熱処理室における露点以上の温度に昇温させることができるように設計された空間である。
前記昇温処理室には、例えば、それ自体公知の加熱器が直接又は間接的に接続されている。前記加熱器は、コンピュータ等の制御手段で、その駆動が自動制御されるようにしておくのが好ましい。
前記昇温処理室は、前記加熱器により、所望の温度に加熱されている。
【0020】
前記乾燥処理室は、前記被処理体を乾燥させることができるように設計された空間である。
前記乾燥処理室には、例えば、それ自体公知の加熱器が直接又は間接的に接続されている。前記加熱器は、コンピュータ等の制御手段で、その駆動が自動制御されるようにしておくのが好ましい。
前記乾燥処理室は、前記加熱器により、所望の温度に加熱されている。
【0021】
前記昇温処理室及び/又は前記乾燥処理室は、前記湿熱処理室に対し、前記隔離室を介して配置されるこれにより、前記湿熱処理室内の湿潤空気が前記昇温処理室、前記乾燥処理室等に流入するのを防止することができ、各処理室内の環境条件の変動を効果的に防止することができる。
前記隔離室は、その内部の環境条件を任意に設定することができるように設計された空間である。
前記隔離室には、目的に応じて例えば、それ自体公知の加熱器等が直接又は間接的に接続されている。前記加熱器等は、コンピュータ等の制御手段で、その駆動が自動的に制御されるようにしておくのが好ましい。
【0022】
前記処理室の好ましい一例としては、それぞれ開口部が2個設けられた、前記昇温処理室、前記隔離室、前記湿熱処理室、前記隔離室及び前記乾燥処理室を、前記開口部を閉塞しないようにしてこの順に接続してなる多段処理室などが挙げられる。
なお、この多段処理室においては、その複数の開口部の総てが直線状に配置されているのが好ましい。また、その複数の開口部の総てに前記遮蔽体が設けられているのが好ましい。
【0023】
前記搬送手段としては、前記被処理体を前記処理室に連続的に搬送することができれば特に制限はなく、被処理体の種類、形状、構造、大きさ等に応じて適宜選択することができる。
前記搬送手段としては、例えば、それ自体公知の移動手段に前記被処理体を把持可能な把持手段を設けてなる搬送手段などが挙げられる。
【0024】
前記移動手段としては、ベルトコンベア、ベルトコンベア上を移動する搬送台、複数のローラー上を移動する搬送台、レール上を移動する搬送台、レールに吊下され該レールに沿って移動する構造物などが挙げられる。
前記把持手段としては、例えば、前記被処理体の少なくとも一部を挿入した又は挿入された状態で把持する構造物、前記被処理体を挟持する構造物例えばクリップ等、前記被処理体を貼着する粘着体、チャック装置などが挙げられる。なお、前記移動手段が前記ベルトコンベア、ベルトコンベア上を移動する搬送台、複数のローラー上を移動する搬送台、レール上を移動する搬送台等である場合には、これらの移動手段上に前記被処理体を載置することができるので、前記把持手段を特に設けなくてもよい。
【0025】
本発明においては、これらの搬送手段の中でも、ベルトコンベア式のもの、前記搬送台を有する台保持式のもの、前記チャックを有するチャック保持式のものが好ましい。
なお、本発明において前記搬送手段は、自動的に前記被処理体を把持することができる機能を有しているのが好ましい。この場合、前記被処理体を前記搬送手段に供給するための供給装置等を特に設ける必要がなく、効率よく連続処理することができる点で有利である。
【0026】
前記搬送手段は、通常、前記処理室における一の開口部からその内部に入り、他の一の開口部からその外部に出ることができるように設計されているが、前記開口部が1個しか設けられていない場合には、該開口部からその内部に入り、該開口部からその外部に出ることができるように設計される。
本発明において前記搬送手段の搬送路は、連続プロセスにおけるラインに相当し、前記処理室はこのラインの一部に配置されていることになる。なお、前記搬送手段の搬送路は、直線状であってもよく、曲線状であってもよいが、前者の方が効率的であり好ましい。
【0027】
前記搬送手段は、前記被処理体を前記処理室内に搬送する。前記搬送手段は、前記被処理体を前記昇温処理室、前記隔壁室、前記湿熱処理室の順に連続的に搬送するように設計されるのが好ましい。
前記搬送手段は、例えばコンピューター等の制御手段により、その動作を制御することができる。この場合、前記搬送手段の搬送速度、停滞時間等の諸条件を自動制御することができ、容易に前記被処理体の連続処理を行うことができる点で有利である。
【0028】
前記その他の手段としては、特に制限はなく、湿熱処理装置の用途、目的、前記被処理体の種類等に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記処理室に設けられた加湿器、加熱器等や前記搬送手段などを制御する制御手段などが挙げられる。
前記制御手段としては、例えばコンピュータなどが挙げれる。前記制御手段による制御方法としては、例えばシークエンス制御が好ましい。湿熱処理装置が前記制御手段、例えばコンピュータを備えると、この制御手段により、前記処理室内の条件、前記搬送手段の搬送速度、停滞時間等の搬送条件等を容易に制御することができ、一連の処理工程を例えばシークエンス制御することができるので、連続的に効率よく、前記被処理体の処理を行うことができる点で有利である。
【0029】
湿熱処理装置は、例えば以下のように動作する。
即ち、まず前記加水分解重合性化合物を含有する電子写真感光体の未硬化前駆体などの被処理体を、前記搬送手段が自動的に装備する。次に、この搬送手段が移動し、前記被処理体は前記搬送手段により搬送される。
このとき、複数のローラー上を移動する搬送台である台保持式、レールに吊下され該レールに沿って移動するチャック装置であるチャック式、などの搬送手段においては、複数の搬送台、チャック装置等が配置されているので、前記搬送手段を駆動すると、前記被処理体が前記搬送手段により連続的に搬送される。
なお、前記搬送手段を移動させるタイミングとしては、特に制限はないが、前記被処理体における被硬化部の指触乾燥時間が経過した後であるのが好ましい。
【0030】
前記処理室に前記遮蔽体が設けられていない場合、前記被処理体はそのまま前記処理室内に搬送される。前記処理室に前記遮蔽体が設けられている場合、前記被処理体が前記処理室における前記遮蔽体の前に搬送されてきたとき、前記遮蔽体が自動的に開放され、前記被処理体は、前記処理室内に前記搬送手段における搬送台やチャック装置等と共に搬入される。前記被処理体の前記処理室内への搬入に連動して前記遮蔽体が自動的に閉鎖される。このため、処理室内外の空気の流入・流出は抑制される。
【0031】
前記処理室内においては、通常、前記搬送手段はその駆動が停止され、所定時間、前記処理室内において前記被処理体の処理が行われる。また、前記処理室内において前記搬送手段は、その駆動が停止されず、前記処理室に入室してきた際の速度のまま前記被処理体の搬送を続けてもよいし、あるいは、その駆動が制御され、前記処理室に入室してきた際の速度よりも遅い速度で前記被処理体の搬送を続けてもよい。
【0032】
前記処理室内において、前記搬送手段の駆動が停止される場合には、その停止の時間が処理時間に相当し、この処理時間は処理の種類等に応じて適宜決定し、コンピューター等の制御手段により自動制御することができる。前記処理室内において、前記搬送手段の駆動が停止されない場合には、前記処理室における一の開口部から内部に入ってきた前記被処理体が他の開口部から外部に出ていくまでの時間、換言すれば前記処理室内に前記被処理体が滞留していた時間が、処理時間に相当する。この処理時間は、前記搬送手段の速度と、前記処理室における一の開口部から他の開口部までの前記搬送路の長さとにより適宜決定し、自動制御することができる。
【0033】
前記処理室が前記多段処理室である場合、まず前記被処理体は、前記搬送手段により前記昇温処理室内に搬送される。ここで前記被処理体は、所定の温度まで加熱される。前記加熱は、前記昇温処理室に接続された加熱器によって行われ、前記加熱の温度は、前記制御手段により自動制御されている。
【0034】
前記所定の温度としては、前記湿熱処理室における湿潤空気、即ち湿熱雰囲気の露点よりも高い温度であるのが好ましい。この場合、前記被処理体に結露が生ずるのを効果的に防止することができ、高品質・高性能の硬化体、例えば電子写真感光体を得ることができる点で有利である。一方、前記被処理体の温度が前記湿熱雰囲気の露点よりも低い温度であると、前記被処理体に結露を生ずることがあるので好ましくない。前記被処理体に結露が生ずると、その結露により生じた水滴により、被処理体の表面に凹凸やクラック等が生じ、高品質・高性能の硬化体を得ることができない。特に、被処理体が電子写真感光体の前駆体であり、電子写真感光体を製造する場合には、前記結露を生じさせないようにする必要がある。
【0035】
前記被処理体の温度が前記所定の温度まで加熱されると、前記被処理体は、前記搬送手段により移動されて、前記昇温処理室から退室すると共に前記隔離室内に入室する。このとき、前記遮蔽体が開閉することは前述の通りである。
前記被処理体の温度は、熱電対、温度計等の温度センサーを用いて測定することができる。この温度センサーを前記制御手段に接続することにより、前記搬送手段の駆動を自動制御することができる。なお、前記隔離室により、次の湿熱処理室内の湿潤空気が直接、前記昇温処理室内に流入するのを効果的に抑制することができる。その結果、前記昇温処理室の湿度が上昇するのが防止され、昇温処理中の被処理体に結露が生ずるのが効果的に防止される。
前記隔離室内の温度は、一般的には前記昇温処理室内の温度〜前記湿熱処理室内の温度程度に設定される。前記隔離室内での前記被処理体の滞留時間は、前記被処理体の種類等に応じて適宜決定される。
【0036】
続いて前記被処理体は、前記搬送手段により移動されて、前記隔離室から退室すると共に前記湿熱処理室内に入室する。前記湿熱処理室内は、湿熱雰囲気に維持されている。湿熱雰囲気は、前記湿熱処理装置に接続された加湿器、加熱器等により形成されている。
【0037】
前記湿熱処理室内の湿度としては、前記被処理体の種類、季節、温度等によって異なり一概に規定することはできないが、前記加水分解重合性化合物が硬化反応を生ずるのに十分な程度であればよく、一般的には50%以上、好ましくは80%以上に自動制御される。前記湿熱処理室内の温度としては、より多くの水分を供給し、かつ加水分解重合反応を促進させる観点から一般的には40℃以上に自動制御される。前記湿熱処理室内の湿潤空気の露点は、一般的に28℃以上に自動制御されるのが好ましい。
前記温度が高く、かつ相対湿度が高い方が空気中の絶対水分量が増加するため、より効率的に、前記被処理体に含まれる前記加水分解重合性化合物の加水分解反応と重合反応とを促進させることができる点で好ましい。ただし、前記温度が高すぎると、前記被処理体に含まれる溶剤等の揮発等の問題が生ずることがある。なお、前記湿度や温度は、湿度センサーや前記温度センサーを用いて測定することができ、これらのセンサーを前記制御手段に接続することにより、前記搬送手段の駆動を自動制御することができる。
【0038】
前記湿熱処理の時間、即ち前記被処理体が前記湿熱処理室内に滞留している時間としては、前記被処理体の種類、大きさ等により異なり一概に規定することができないが、前記被処理体が十分に水分を吸収し、加水分解重合反応を行い得る時間であればよく、効果の程度やプロセス時間等の点からは通常、3分〜6時間である。
【0039】
この湿熱処理室において、前記被処理体に含まれる前記加水分解重合性化合物が加水分解反応と重合反応とを起こし、硬化が進行する。ここで、前記湿熱処理室内の温度が、前記加水分解重合性化合物の硬化反応を十分に完了させるのに十分な温度である場合には、この湿熱処理室における湿熱処理で処理を終了させることができるが、前記硬化反応が十分に完了していない場合には、さらに該被処理体に乾燥処理を行うことができる。
【0040】
この場合、前記被処理体は、前記搬送手段により移動されて、前記湿熱処理室から退室すると共に前記隔離室内に入室する。前記隔離室内は加熱器により加熱されている。この隔離室は、前記湿熱処理室内の湿潤空気と、前記乾燥処理室内の空気との流入・流出による混合を抑制させる機能を有する。
前記隔離室内の温度は、一般的には前記湿熱処理室内の温度〜前記乾燥処理室内の温度程度に設定される。前記隔離室内での前記被処理体の滞留時間は、前記被処理体の種類等に応じて適宜決定される。
【0041】
次いで前記被処理体は、前記搬送手段により移動されて、前記隔離室から退室すると共に前記乾燥処理室内に入室する。前記隔離室内は加熱器により高温に加熱されている。
この乾燥処理室において前記被処理体に含まれている水分、残留溶媒等が除去され、前記加水分解重合性化合物の硬化反応が完了される。この乾燥処理室は、前記湿熱処理室における温度よりも高い温度で前記被処理体を加熱することにより、前記加水分解重合性化合物の硬化反応を温度面から促進し、かつ完了させる機能を有する。
前記乾燥処理室内の温度としては、特に制限はないが、前記加水分解重合性化合物の硬化反応が十分に完了し得る程度の温度であればよく、一般的には前記湿熱処理室における温度よりも高い温度である。
【0042】
こうして前記乾燥処理室における乾燥処理が終了すると、前記被処理体は、前記搬送手段により移動されて、前記隔離室から退室する。その結果、目的の硬化体、例えば電子写真感光体等が次々と連続的に得られる。
【0043】
本発明において、各処理室は、各処理プロセスの領域乃至ゾーンに相当する。例えば、昇温処理室、隔離室、湿熱処理室、隔離室、乾燥処理室は、それぞれ昇温領域乃至昇温ゾーン、中間領域乃至中間ゾーン、湿熱雰囲気領域乃至湿熱ゾーン、中間領域乃至中間ゾーン、乾燥領域乃至乾燥ゾーン等に相当する。これらの領域乃至ゾーンは連続プロセスのライン上に位置しているので、連続処理が可能である。
【0044】
本発明においては、前記昇温処理室(昇温領域乃至昇温ゾーン)における昇温処理、前記湿熱処理室(湿熱雰囲気領域乃至湿熱ゾーン)における湿熱処理で、前記加水分解重合性化合物の十分な硬化反応を行うことができ、前記被処理体に結露等を生じさせず、得られる硬化体の品質に悪影響がなければ、他の処理室、例えば乾燥処理室(乾燥領域乃至乾燥ゾーン)等の全部又は一部を省略することができる。この場合、前記被処理体の連続処理プロセスの簡略化、コストダウン等を図ることができる点で有利である。特に、前記昇温処理室(昇温領域乃至昇温ゾーン)、湿熱処理室(湿熱雰囲気領域乃至湿熱ゾーン)において、前記加水分解重合性化合物の硬化反応を十分に完了させ得る程度に温度を十分高くすることができれば、多量の電気を消費する乾燥処理室(乾燥領域乃至乾燥ゾーン)を省略することができ、有利である。
【0045】
前記被処理体としては、前記塗布手段により前記支持体上に前記感光層形成用液が塗布されてなる電子写真感光体の前駆体であり、この感光層形成液に加水分解重合性化合物を含有している。
【0046】
前記感光層形成液は、前記加水分解重合性化合物の1種を単独で含有していてもよいし、2種以上をそのまま又はそれらの重縮合物として含有していてもよい。また、前記加水分解重合性化合物をポリマー鎖に有する重合物、あるいは、前記加水分解重合性化合物と他の樹脂との混合物を含有していてもよい。
【0047】
前記加水分解重合性化合物は、適量の水の存在下で加水分解硬化反応を起こし得る化合物であり、例えば、有機金属化合物、シランカップリング剤、金属アルコキシドやシリル基を有する反応性高分子化合物などが挙げられる。これらの中でも、有機金属化合物及びシランカップリング剤が好ましく、前記加水分解重合性化合物が、有機金属化合物及びシランカップリング剤からなる群より選択される少なくとも1種であるのが好ましい。
【0048】
前記有機金属化合物としては、例えば、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン等を含有する有機物などが挙げられる。これらの中でも、ジルコニウムを含有する有機ジルコニウム化合物、チタンを含有する有機チタン化合物、アルミニウムを含有する有機アルミニウム化合物が好ましい。
【0049】
前記有機ジルコニウム化合物としては、例えば、ジルコニウムブトキシド、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシド、ジルコニウムトリエタノールアミン、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウムなどが挙げられる。
【0050】
前記有機チタン化合物としては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテート、チタンアセチルアセトネート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレートなどが挙げられる。
前記有機アルミニウム化合物としては、例えば、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、アルミニウムトリブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)などが挙げられる。
【0051】
前記シランッカプリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシシラン)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0052】
なお、その他の有機金属化合物としては、例えば、メトキシリチウム、メトキシナトリウム、ジメトキシ銅、ジメトキシカルシウム、ジエトキシストロンチウム、ジエトキシバリウム、ジエトキシ亜鉛、トリエトキシガリウム、テトラエトキシゲルマニウム、テトラエトキシ鉛、トリメトキシリン、トリエトキシアンチモン、トリエトキシバナジウムオキシド、ペンタプロポキシタリウムなどLi,Na,Cu,Ca,Sr,Ba,Zn,B,Al,Ga,Y,Si,Ge,Pb,P,Sb,V,Ta,W,La,Ndなどの金属アルコキシドが挙げられる。
【0053】
前記高分子化合物としては、例えば、加水分解性シリル基を有するビニル系重合体が挙げられる。
前記加水分解性シリル基としては、例えば、ハロゲノシリル基、アシロキシシリル基、アミドシリル基、アミドキシシリル基、アミノキシシリル基、アルケニルオキシシリル基、アミノシリル基、オキシムシリル基、アルコキシシリル基、チオアルコキシシリル基などが挙げられる。これらの中でも。アルコキシシリル基が好ましい。
【0054】
前記アルコキシシリル基を有するビニル系重合体としては、例えば、ビニルシラン[ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン等];及び、アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリロキシアルキルシラン[γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等]が挙げられる。
【0055】
前記加水分解性シリル基を有するビニル系重合体は、1種単独で使用されてもよく、他のビニル系単量体とのビニル系樹脂共重合体として使用されてもよい。
【0056】
電子写真感光体における感光層が多層構造である場合、前記加水分解重合性化合物は、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層、中間層、表面保護層等のいずれの層に含有されていてもよく、いずれの場合にも、本発明の電子写真感光体の製造装置を用いて、高性能・高品質の電子写真感光体を連続的に効率よく製造することができる。なお、前記加水分解重合性化合物は、一般的には下引き層に含有される場合が多い。
多層構造の感光層の場合、前記各層を前記支持体上に塗設する毎に前記湿熱処理装置で処理してもよいし、前記各層の総てを前記支持体上に塗設した後で前記湿熱処理装置で処理してもよい。
【0057】
また、電子写真感光体における感光層が、前記加水分解重合性化合物、電荷発生材料、電荷輸送材料等を一層中に含有してなる単層の感光層である場合にも、該単層の感光層を前記支持体上に塗設した後、前記湿熱処理装置で処理すると、高性能・高品質の電子写真感光体を連続的に効率よく製造することができる。
【0058】
なお、本発明の電子写真感光体の製造装置においては、前記湿熱処理装置が乾燥処理室(乾燥領域乃至乾燥ゾーン)を有してなり、該乾燥処理室(乾燥領域乃至乾燥ゾーン)の温度が、50℃以上程度であるのが好ましい。この場合、感光層に含まれる前記加水分解重合性化合物の硬化反応を促進させることができ、かつ該感光層に含まれる残留溶剤や水分を十分に除去することができる点で有利である。ただし、該乾燥処理をしなくとも湿熱処理後は室温である程度反応を進行させることができる。
【0059】
本発明の電子写真感光体の製造装置により製造された電子写真感光体は、ライトレンズ系複写機、近赤外光又は可視光に発光するレーザー光源を有するレーザービームプリンター、デイジタル複写機、LEDプリンター、レーザーファクシミリなどの電子写真装置に好適に用いることができる。また、この電子写真感光体は、一成分系、二成分系の正規現像剤又は反転現像剤とも併用することができる。また、この電子写真感光体は、帯電ローラーや帯電ブラシなどを用いた接触帯電方式においても、電流リークの発生が少なく良好な特性が得られる。
【0060】
連続ライン式である電子写真感光体の製造装置によると、単独の乾燥機及び熱加湿機を数台併設し、順次投入・取り出し等を繰り返す従来のバッチ方式に比べて、処理効率及び生産性を大幅に向上させると共に、中間取り出し移動時における被処理体の温度及び湿度等の低下を防止することができ、得られる硬化体の品質を安定に維持することができる。
【0061】
【実施例】
以下、本発明の実施例につき以下に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0062】
実施例1
4重量部のポリビニルブチラール樹脂(積水化学製エスレックBM−S)を溶解したn−ブチルアルコール170重量部、有機ジルコニウム化合物(アセチルアセトンジルコニウムブチレート)30重量部及び有機シラン化合物の混合物(γ−アミノプロピルトリメトキシシラン)3重量部を追加混合撹拌し下引き層形成用塗布液を得た。
この下引き層形成用塗布液を、塗布手段である浸漬塗布装置にて、液体ホーニング処理により粗面化された40mmφのアルミニウム製の支持体上に塗布した。これを被処理体とした。この被処理体は、搬送手段である、複数のローラー上を移動する搬送台にインサート治具により固定された状態で保持させた。なお、この実施例1において、前記ローラーは自動制御されている。
【0063】
前記ドラムを湿熱処理装置における昇温処理室(昇温ゾーン)の入口まで搬送した。ここで、前記搬送手段を停止し、20℃,40%RHの環境(露点6℃)で5分間の風乾を行った後、前記ドラムを前記搬送手段によりローラー搬送し、昇温処理室(昇温ゾーン)内に移動させた。なお、この実施例1においては、前記昇温処理室の入口の開口部に、遮蔽体であるシャッターが、前記ドラムが前記昇温処理室に入室する際に開閉し得るように設けられている。
昇温処理室(昇温ゾーン)内は、62℃に維持されており、この昇温処理室内に前記ドラムを10分間滞留させて昇温処理を行った。
【0064】
その後、前記搬送手段を駆動し、前記ドラムをローラー搬送し、前記昇温処理室から退室させると共に隔離室に入室させた。なお、この実施例1においては、前記昇温処理室の出口の開口部に、遮蔽体であるシャッターが、前記ドラムが前記昇温処理室に退室する際に開閉し得るように設けられている。
隔離室(中間ゾーン)内は、62℃に維持されており、この隔離室内に前記ドラムを1分間滞留させた。
次に、前記搬送手段を駆動し、前記ドラムをローラー搬送し、前記隔離室から退室させると共に湿熱処理室に入室させた。なお、この実施例1においては、前記湿熱処理室の入口の開口部に、遮蔽体であるシャッターが、前記ドラムが前記湿熱処理室に入室する際に開閉し得るように設けられている。
湿熱処理室内は、58℃、85%RH(露点54℃)に維持されており、この湿熱処理室内に前記ドラムを15分間滞留させて湿熱処理を行った。
【0065】
その後、前記搬送手段を駆動し、前記ドラムをローラー搬送し、前記湿熱処理室から退室させると共に隔離室に入室させた。なお、この実施例1においては、前記湿熱処理室の出口の開口部に、遮蔽体であるシャッターが、前記ドラムが前記湿熱処理室に退室する際に開閉し得るように設けられている。
隔離室(中間ゾーン)内は、62℃に維持されており、この隔離室内に前記ドラムを1分間滞留させた。
そして、前記搬送手段を駆動し、前記ドラムをローラー搬送し、前記隔離室から退室させると共に乾燥処理室に入室させた。なお、この実施例1においては、前記乾燥処理室の入口の開口部に、遮蔽体であるシャッターが、前記ドラムが前記乾燥処理室に入室する際に開閉し得るように設けられている。
乾燥処理室内は、135℃に維持されており、この湿熱処理室内に前記ドラムを10分間滞留させて乾燥処理を行った。
その後、前記搬送手段を駆動し、前記ドラムをローラー搬送し、前記乾燥処理室から退室させ、前記ドラムを自然冷却させた。
なお、乾燥処理室(乾燥ゾーン)における含有水分は、湿熱処理装置の外部環境(24℃40%RH)における絶対水分量に等しくなっている。前記シャッターについては、前記ドラムが各処理室に入退室する際に開閉動作をする必要があるシャッターを除き、他の総てシャッターは閉じられている。
【0066】
次に、電荷発生材料として塩化ガリウムフタロシアニン15重量部、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂(日本ユニカーVMCH)ポリビニルブチラール樹脂(積水化学製エスレックBM−S)10重量部、n−ブチルアルコール300重量部からなる混合物をサンドミルにて4時間分散した。この液を電荷発生層形成用塗布液とし、前記下引き層上に塗布・乾燥して、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
さらに、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン4重量部とビスフェノールZポリカーボネート樹脂(分子量4万)6重量部とをクロルベンゼン80重量部を加えて溶解した。この液を電荷輸送層形成用塗布液とし、前記電荷発生層上に塗布・乾燥して、膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
その結果、三層構造の電子写真感光体が次々と連続的に、かつ効率よく作製された。
【0067】
得られた電子写真感光体を、富士ゼロックス(株)製のレーザービームプリンターXP−11に装着し、−700Vの帯電を行った後、所定の光量にて露光を行い電位の測定を行うと共に低温低湿(10℃、15%RH)条件下での10KCVの走行試験後の画質(黒点数)を調べた。
その結果、残留電位は−40Vであり、残留電位の環境変動は30Vであり、画質(黒点数)はわずか2個であった。
【0068】
比較例1
実施例1おいて、前記湿熱処理を行わなかった外は実施例1と同様にして電子写真感光体を製造した。この時の加湿ゾーンの湿度は外気の絶対水分量に等しく露点は6℃であった。得られた電子写真感光体につき、実施例1と同様に電位を測定し、走行試験後の画質を調べた。その結果を表1に示した。
その結果、残留電位は−73Vであり、残留電位の環境変動は55Vと大きく、画質(黒点数)は600個も見られた。
【0069】
【発明の効果】
本発明によると、加水分解重合性化合物を含有する被処理体(電子写真感光体の前駆体)に連続的に湿熱処理を行い、短時間で該加水分解重合性化合物を硬化させることができ、高性能・高品質の電子写真感光体を効率よく、しかもその品質を安定した状態で量産することができる連続ライン式の電子写真感光体の製造装置を提供することができる。

Claims (5)

  1. 加水分解重合性化合物を少なくとも含有してなる感光層形成用液を支持体上に塗布する塗布手段と、前記感光層形成用液が塗布されてなる前記支持体を処理室に連続的に搬送する搬送手段と、を有し、
    前記処理室が、前記支持体を昇温させる昇温処理室と、前記支持体を湿熱雰囲気下で湿熱処理する湿熱処理室と、前記昇温処理室と前記室温処理室との間に第1の隔離室と、を有し、
    前記昇温処理室が、前記湿熱処理室における露点以上の温度に昇温させる昇温処理室であることを特徴とする電子写真感光体の製造装置。
  2. 前記処理室が、前記搬送手段による前記支持体の搬送に連動して開閉される遮蔽体を備えてなる請求項1に記載の電子写真感光体の製造装置
  3. 前記搬送手段が、前記支持体を前記昇温処理室、前記第1の隔離室、前記湿熱処理室の順に連続的に搬送する請求項1又は2に記載の電子写真感光体の製造装置。
  4. 前記加水分解重合性化合物が、有機金属化合物及びシランカップリング剤からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造装置。
  5. 前記処理室が、前記湿熱処理室で湿熱処理された前記支持体を加熱乾燥させる乾燥処理室をさらに有し、前記湿熱処理室と前記乾燥処理室との間に第2の隔離室を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造装置。
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