JP3605562B2 - 着磁鉄系異物の除去装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はバーマグネットチューブが捕捉・吸着した鉄粉、ステンレス等の金属片を除去するための着磁金属片の除去装置に関する。更に詳しくは、食品素材、工業原料、洗浄液、加工液等に混入した鉄粉、ステンレス等の磁性体である鉄系異物をバーマグネットチューブが捕捉・吸着したものを除去するための着磁金属片の除去装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
穀物、肉、魚等の食品素材は、今日では収穫から食卓のテーブルに運ばれるまでには、収穫機械、輸送機械、食品加工機械等に至るまであらゆる機械を介して収穫から加工にまで行われている。これらの機械は、多くは金属部品で作られたものであるから、切断、潰し、攪拌、輸送等でそれらの金属部品の刃こぼれ、磨耗、欠け、むしれ、部品の脱落等によって金属異物が粉状、粒状等の形で食品素材に混入することは避けられない。
【0003】
このことは、食品素材のみの問題ではなく、例えば合成樹脂の製造プロセスでもいえる。更には、工作機械の冷却液、放電加工液等に混合された鉄系異物を除去するのにマグネットが使用されている。この鉄系異物を除去するために管内に複数のマグネットを直列に配置したバーマグネットチューブを食品素材の流れの間に配置して、磁性体の鉄系異物をバーマグネットチューブの外周に吸着させて除去するものが知られている。この方法により除去できるものは、鉄のような強磁性体と、ステンレス鋼のような弱磁性体の鉄系異物である。
【0004】
バーマグネットチューブの外周に吸着された鉄系異物は、掃除のために定期的に除去しなければならない。この鉄系異物の除去は、マニュアルで粘着テープで接着させて除去したり、シリンダー駆動の場合はバーマグネットチューブの外周に合成樹脂製のリングを配置固定して、バーマグネットチューブをシリンダー駆動によりこのリングでしごくようにして鉄系異物を除去している。
【0005】
手動により強力な磁力を有するバーマグネットチューブから鉄系異物を除去することは、容易なことではないし手数も大変である。また、合成樹脂製のリング等でバーマグネットチューブをシリンダー駆動によりしごく方法は、リングとバーマグネットチューブの間に鉄系異物が介在しこれでバーマグネットチューブの外周を傷つけることになる。
【0006】
このためにバーマグネットチューブの寿命を縮めたり、甚だしい場合は破損し、内部のマグネットを露出することにもなる。これを避けるには、バーマグネットチューブを2重管にして清掃するときは内部のバーマグネットチューブのみを引き抜いて、2重管の外側の管に付着した鉄系異物を落として清掃する方法も採られている。しかしながら、この方法は前述した欠点はないが、2重管のために磁力が弱くなり、折角の鉄系異物を除去する能力が低下する。
【0007】
本出願人は、バーマグネットチューブの付着能力を落とすことなくしかも外周面に付着した鉄系異物を簡単に除去できる着磁金属片の除去方法とその装置を提案した(特許第3525093号)。バーマグネットチューブの外周に配置した磁性体からなるリングを相対移動させることにより、バーマグネットチューブに着磁した鉄系異物を除去又は清掃するものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、提案されたものは、バーマグネットチューブとリングの相対移動は手動を前提としたものであり、この駆動を自動化するとしても駆動機構が複雑になる。
本発明は、以上のような技術背景で発明されたものであり、次のような目的を達成するものである。
本発明の目的は、バーマグネットチューブで捕捉・吸着した金属異物の除去を容易に自動化できる着磁鉄系異物の除去装置を提供することにある。本発明の他の目的は、バーマグネットチューブで捕捉・吸着した金属異物の除去を清潔で安全にできる着磁鉄系異物の除去装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を採用する。
本発明の着磁鉄系異物の除去装置は、チューブの軸線方向に永久磁石であるマグネット要素と磁性体であるスペーサを交互に配置し、かつ、前記マグネット要素の同極が対向して反発するように並べられて前記チューブに内装されている
バーマグネットチューブの着磁鉄系異物の除去装置であって、
前記バーマグネットチューブに設けられたピストンと、前記ピストンを挿入しシリンダ駆動機構を構成するシリンダと、前記ピストンと前記シリンダにより区画された室に流体を流出入させる流出入口と、前記シリンダに配置され、内周孔の直径が前記バーマグネットチューブの前記チューブの外径より大きくリング構造を有し磁性材料から成るリングとからなることを特徴とするものである。
【0010】
前記シリンダは、ステンレス、アルミニウム等、真ちゅう等の非磁性材料で作られたものである。前記リングは、前記シリンダの一端に固定されていると良い。前記流体は、食品加工工場等では空気圧を使用すると衛生の点、取り扱いが簡単であるという観点から良い。更に、前記ピストンは、前記バーマグネットチューブの一端に配置されていると良い。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は、バーマグネットチューブを示す正面図である。バーマグネットチューブ1は、円筒状の長いものであり、後述するような内部構造を備えている。バーマグネットチューブ1の一端には、円筒状のピストン2が形成されている。ピストン2の外周には、シール性能を高めるためにOリング等のシール部材3が配置されている。ピストン2はシリンダ4の内孔6に挿入され、摺動自在に移動する。
【0012】
ピストン2とシリンダ4との間には空気室5が形成され、この空気室5に加圧された加圧空気を供給するために空気流出入口9が形成されている。この空気流出入口9から加圧空気を注入すると、バーマグネットチューブ1はシリンダ4内に引き込まれる。ピストン2の反対側とシリンダ4との間には空気室7が形成され、この空気室7に加圧された加圧空気を供給するために空気流出入口8が形成されている。この空気流出入口8から加圧空気を注入すると、バーマグネットチューブ1はシリンダ4から伸張される。
【0013】
バーマグネットチューブ1はケースであるチューブ12を備えている。チューブ12は、ステンレス鋼等で作られたもので薄い非磁性又は弱磁性の材料で形成されている管である。チューブ12は、両端面が開放されている。チューブ12の一端は、栓蓋13が配置され蓋がされている。チューブ12の他端は、ピストン2で蓋がなされている。マグネット要素15は永久磁石であり、ドーナツ状の形をしたものである。
【0014】
各マグネット要素15はチューブ11内に軸線方向に互いに反発するように同じ磁極が向き合うように配置されている。隣り合うマグネット要素15の間に、スペーサ16が介在されている。スペーサ16は、軟鋼等の鋼材で作られた磁性体である。各マグネット要素15とスペーサ16の中心には円形の通し穴17が開けられている。その通し穴17を固定軸18が貫通して、両端の栓蓋13、ピストン2にそれぞれネジ止めされている。これらの固定構造は、公知であり詳記しない。
【0015】
マグネット要素15はネオジウム・鉄・ホウ素等を主成分とするネオジウム系の永久磁石である。隣り合う任意の2体のマグネット要素15の対向する側が同極であり、強力に反発し合う。磁力線は、バーマグネットチューブ1の中心軸線から放射方向に向かい中心線に中心方向に向かう。食品等が流れる中にバーマグネットチューブ1が挿入されると、ステンレス破片、鉄片等は、チューブ11の外周に吸着される。マグネット要素15同士がスペーサ16を介して合う部分が磁力がもっとも強い部分であり、この部分ステンレス破片、鉄片がもっとも集中して吸着される。
【0016】
バーマグネットチューブ1に吸着されたステンレス破片、鉄片を除去、清掃する除去リング20をについて説明する。除去リング20は、軟鋼等の磁性材料で作られておりシリンダ4の一端に配置固定されている。除去リング20の内孔21の内径は、チューブ11の外周よりも若干大きく形成されている。従って、除去リング20をバーマグネットチューブ1に挿入すると、除去リング20の内孔21とバーマグネットチューブ1のチューブ11の外周との間には、若干の隙間が形成される。
【0017】
[使用方法]
バーマグネットチューブ1の外周に鉄系異物Cが付着すると、空気流出入口9から加圧空気を注入し、バーマグネットチューブ1はシリンダ4内に引き込まれる。バーマグネットチューブ1の磁力線は除去リング20によって、短絡されて、磁力線は磁性体である除去リング20に流れる。短絡されたスペーサ16は磁力を失い、バーマグネットチューブ1の外周に付着した鉄粉等の着磁する鉄系異物Cは除去リング20の磁性体の磁化によって、除去リング20の前端面に移り、マグネットチューブ1から取り除かれる。
【0018】
除去リング20に挿入移動させることによって、バーマグネットチューブ1に吸着した鉄粉等の鉄系異物Cを順次に取り除き、最後はバーマグネットチューブ1の一方の端から鉄系異物Cを取り出す。除去リング20がバーマグネットチューブ1のマグネット要素15がない部分を抜けると、除去リング20は磁化がなくなり、これに付着していた金属異物Sは急速に離脱する。チューブ11と除去リング20との間の隙間は狭くてもこの中に鉄系異物Cが入ることがない。除去リング20の前端面22の磁力が隙間の磁力より強いため、鉄系異物Cは常に側面に吸着する。
【0019】
バーマグネットチューブ1の外周面から鉄系異物Cの除去が完了すると、空気流出入口8から加圧空気を注入し、バーマグネットチューブ1はシリンダ4から伸張され、再び鉄系異物Cの吸着を開始する。
【0020】
(その他の実施の形態)
前記実施の形態では、加圧空気で駆動するものであったが、油駆動であっても良い。また、前記実施の形態ではピストンの両側に空気室を配置して、バーマグネットチューブ1を駆動するものであった。しかしながら、一方向のみを駆動として、他の方向にはバネを配置してこのバネの力で戻すものであっても良い。
【0021】
【発明の効果】
以上詳記したように、本発明の着磁鉄系異物の除去装置は、バーマグネットチューブで捕捉・吸着した鉄系異物をきわめて簡単な構造で除去、清掃できる。また、この鉄系異物の除去を自動化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、バーマグネットチューブを示す正面図である。
【図2】図2は、着磁鉄系異物の除去装置着磁鉄系異物の除去装置の断面図である。
【図3】図3は、着磁鉄系異物の除去装置着磁鉄系異物の除去装置の断面図であり、バマグネットチューブを引き込んだ状態のものである。
【図4】図4は、バーマグネットチューブの外周に付着した鉄系異物を除去する状態を示す図である。
【符号の説明】
1…バーマグネットチューブ
2…ピストン
4…シリンダ
11…チューブ
13…栓蓋
15…マグネット要素
16…スペーサ
20…除去リング
Claims (4)
- チューブの軸線方向に永久磁石であるマグネット要素と磁性体であるスペーサを交互に配置し、かつ、前記マグネット要素の同極が対向して反発するように並べられて前記チューブに内装されている
バーマグネットチューブの着磁鉄系異物の除去装置であって、
前記バーマグネットチューブに設けられたピストンと、
前記ピストンを挿入しシリンダ駆動機構を構成するシリンダと、
前記ピストンと前記シリンダにより区画された室に流体を流出入させる流出入口と、
前記シリンダに配置され、内周孔の直径が前記バーマグネットチューブの前記チューブの外径より大きくリング構造を有し磁性材料から成るリングと
からなることを特徴とする着磁鉄系異物の除去装置。 - 請求項1に記載の着磁鉄系異物の除去装置において、
前記リングは、非磁性材料で作られた前記シリンダの一端に固定されている
ことを特徴とする着磁鉄系異物の除去装置。 - 請求項2に記載の着磁鉄系異物の除去装置において、
前記流体は、空気圧である
ことを特徴とする着磁鉄系異物の除去装置。 - 請求項1又は2に記載の着磁鉄系異物の除去装置において、
前記ピストンは、前記バーマグネットチューブの一端に配置されている
ことを特徴とする着磁鉄系異物の除去装置。
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