JP3604443B2 - テレビジョンシステム - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はテレビジョンシステムに関し、例えば、宇宙空間、原子炉内、被災地、高所等の危険な環境において、遠隔監視作業や作業用ロボットの遠隔操作等のために用いるのに適するものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来のテレビジョンシステムとして、撮影装置と、その撮影装置と被写体との間に配置される第1の光学系と、その撮影装置から送られる画像信号に対応する画像を表示する表示装置と、その画像の表示光の光路に配置される第2の光学系とを備え、その第1、第2の光学系として歪曲率の小さなものが用いられている。
【0003】
しかし、撮影装置側と表示装置側の各々で光学系の歪曲率を小さくしようとすると、各光学系それぞれの構成が複雑になり、また、設計の自由度が少なくなる。さらに、得られる表示画像の画素密度の分布は均一であるため、広画角の光学系を用いた場合は細部の認識を充分に行えなかった。
【0004】
また、撮影装置と、その撮影装置と被写体との間に配置される広画角の光学系と、その光学系による歪曲を補正する電子回路と、その電子回路を介し撮影装置から送られる画像信号に対応する画像を表示する表示装置とを備えるテレビジョンシステムが用いられている。
【0005】
しかし、広画角の光学系を用いた場合、視野の範囲は広くなるが得られる表示画像の細部の認識が困難になる。
【0006】
また、第1の撮影装置と、その第1の撮影装置と被写体との間に配置される広画角の光学系と、第2の撮影装置と、その第2の撮影装置と被写体との間に配置される狭画角の光学系と、視線追従センサ付き頭部装着型表示装置とを備えるテレビジョンシステムが開発されている。その第2の撮影装置を観察者の視線の動きに応じ移動させ、観察者の視線方向に第2の撮影装置から送られる高画素密度の狭画角画像を表示し、その周囲に第1の撮影装置から送られる低画素密度の広画角画像を併せて表示する。
【0007】
しかし、高画素密度の狭画角画像と低画素密度の広画角画像とを、単一画面上に併せて表示した場合、両画像の境目が不連続になり違和感が生じる。また、一つの画像を形成するのに2台の撮影装置が必要で機構が複雑になる。さらに、そのような境目があると、視線追従センサの応答速度や精度が十分でなく、視線の動きに対する高画素密度の狭画角画像の動きに遅れが生じると、非常に見にくい画像になる。
【0008】
本発明は、上記課題を解決することのできるテレビジョンシステムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のテレビジョンシステムは、撮影装置と、その撮影装置と被写体との間に配置される第1の光学系と、その撮影装置から送られる画像信号に対応する画像を表示する表示装置と、その画像の表示光の光路に配置される第2の光学系とを備え、その第1の光学系は、被写体の像を構成する複数の微小部分相互の面積比を変化させるように、その像を歪曲し、その第2の光学系は、第1の光学系による歪曲を打ち消すように、その表示装置により表示される画像を歪曲することを特徴とする。
【0010】
【作用】
本発明の構成によれば、第1の光学系により、被写体の像を構成する複数の微小部分相互の面積比を変化させるように、その像を歪曲し、その歪曲した状態で撮影装置の受光面上に結像させ、表示装置により表示する。その表示画像において、その歪曲により面積が大きくなった部分は歪曲のない場合に比べ、画素数が増加する。その表示画像の歪曲は第2の光学系により打ち消されるので、歪曲のない、且つ、画素密度の高い部分と低い部分とを有する画像を視認することができる。しかも、その画素密度の高い部分と低い部分との境目は不連続になることはない。
【0011】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【0012】
図1に示すテレビジョンシステムは、撮影装置1と、その撮影装置1と被写体2との間に配置される第1の光学系3と、その撮影装置1により形成される画像信号の送信側通信装置4と、その送信側通信装置4から送られる画像信号の受信側通信装置5と、その画像信号に対応する画像を表示する表示装置6と、その画像の表示光の光路に配置される第2の光学系7とを備えている。
【0013】
その撮影装置1は、CCD等の撮像素子1aと、この撮像素子1aを制御して画像信号を送信側通信装置4に出力する制御装置1bとを有する。その第1の光学系3は、被写体2の像を撮像素子1aの受光面上に結像するもので、その被写体2の像を樽型歪曲させる。すなわち、被写体2が図に例示するような正方形格子であり、図中破線Aで示すように被写体2の像の外周が正方形であれば、その像は図中実線Bで示すように撮像素子1aの受光面上において外周が樽型の像になるように歪曲される。その樽型歪曲により、被写体2の像を構成する複数の微小部分相互の面積比は変化する。
【0014】
その表示装置6は、液晶表示パネル等の表示素子6aと、この表示素子6aを撮影装置1から通信装置4、5を介して送信される画像信号に応じ制御することで、その表示素子6a上に画像を形成する制御装置6bとを有する。その第2の光学系7は、その表示装置6により表示される画像を観察者16の目の網膜上に結像するもので、その表示装置6により表示される画像を糸巻型歪曲させる。すなわち、表示装置6による表示画像の外周が図中破線Cで示すような正方形であるとすれば、その像は図中実線Dで示すように観察者16の目の網膜上において外周が糸巻型の像になるように歪曲される。これにより、被写体2が前記例示した正方形格子であり、第1の光学系3により外周が樽型に歪曲された像が表示画像となる場合、第2の光学系7により観察者16の目の網膜上において正方形格子の画像2′になるように歪曲される。すなわち、その第2の光学系7による歪曲により、第1の光学系3による歪曲が打ち消される。
【0015】
例えば、図2の(1)に示すように、その正方形格子の被写体2の像の中央近傍の微小部分2aと周辺近傍の微小部分2bとの面積比が1:1であり、第1の光学系3により、両微小部分2a、2bの線分比が2:1、すなわち面積比が4:1になるように樽型歪曲され、図中正方形の破線Eで示す撮像素子1aの受光面上に結像される。また、図2の(2)に示すように、その正方形格子の被写体2に対応する表示像が仮に歪曲されずに表示装置6により表示されたとすると、第2の光学系7により、その中央近傍の微小部分2aと周辺近傍の微小部分2bとは、線分比が1:2、すなわち面積比が1:4になるように糸巻型歪曲され、観察者16の目の網膜上に結像される。よって、その図2の(1)に示す樽型歪曲された画像が表示装置6により表示されると、その中央近傍の微小部分2aと周辺近傍の微小部分2bとは、第2の光学系7により樽型歪曲を打ち消して面積比が1:1になるように歪曲され、元の正方形格子の表示像2′として観察者16の目の網膜上に結像される。しかも、その正方形格子の表示像2′の中央近傍の微小部分2aは、周辺近傍の微小部分2bに対し、撮像素子1aの受光面上における面積が4倍であるので、4倍の画素密度を有する。
【0016】
なお、本実施例では、その撮像素子1aと第1の光学系3とはハウジングに内蔵されてカメラヘッド8を構成する。そのカメラヘッド8は、図3に示すような作動装置9に取り付けられる。その作動装置9は、ベース10と、このベース10にヨー軸11中心に回転可能に取り付けられた回転テーブル12と、この回転テーブル12に支持プレート13を介してヨー軸11に直交するピッチ軸14中心に回転可能に取り付けられるホルダー15とを有する。そのホルダー15により一対のカメラヘッド8が保持され、一方のカメラヘッド8を介して撮影される画像が上記テレビジョンシステムにより観察者16の一方の目に結像され、他方のカメラヘッド8を介して撮影される画像が同様に上記テレビジョンシステムにより観察者16の他方の目に結像され、これにより、被写体の立体画像が視認される。その撮影装置1と作動装置9は、例えば宇宙空間や原子炉内等に配置される。
【0017】
また、観察者16の頭部に装着されるホルダー17により、観察者16の目に対応するように一対の表示装置6と一対の第2の光学系7とが保持される。さらに、そのホルダー17にモーションセンサ18が取り付けられ、観察者16の頭部の動きに対応する信号が、そのセンサ18の制御装置19、送信側無線装置20、受信側無線装置21を介して、前記作動装置9の制御装置22に送信される。その制御装置22に、前記作動装置9の回転テーブル12の駆動用サーボモータ23と、ホルダー15の駆動用サーボモータ24とが接続される。これにより、観察者16の頭部の動きに応じてカメラヘッド8を移動させることができる。なお、モーションセンサ18は公知のもの、例えば、ホルダー17に取り付けられるコイルと、そのコイルの周りに磁界を発生させる手段とを有し、磁界の中をコイルが移動することによる電流の変化に対応する信号を出力するものや、超音波の発信機と受信機とを用い、ホルダー17に受信機を取り付け、受信機の動きによる超音波の発信機から受信機までの到達時間の変化に応じた信号を出力するものを用いることができる。
【0018】
上記構成によれば、第1の光学系3により被写体2の像を樽型歪曲し、その歪曲した状態で撮影装置1の受光面上に結像させ、表示装置6により表示する。よって、表示画像の中央部は歪曲のない場合に比べて画素数が増加する。その表示画像の歪曲は第2の光学系による糸巻型歪曲により打ち消されるので、歪曲のない、且つ、画素密度が中央部において高く周囲部において低い画像を視認することができ、しかも、その画素密度の高い部分と低い部分との境目は不連続になることはない。これにより、第1の光学系3の歪曲と第2の光学系7の歪曲とを個別に補正することなく、両光学系を設計時にまとめて取り扱って歪曲を補正でき、光学系の構成が簡単になり、設計の自由度が多くなる。また、視野の範囲を狭くすることなく、細部の認識が可能な、違和感のないスムーズな画像を、複雑な構成を要することなく得ることができる。また、その得られる画像は、視野中心付近において画素密度を高くして細部の認識ができ、細部の認識を必要としない視野周辺部分において画素密度を低くできる。また、頭部の動きに応じカメラヘッド8を移動させる場合に、仮に頭部の動きに対する画像の動きに遅れが生じても、画素密度の高い部分と低い部分とは一体となって動くので、画像が見にくくなることはない。
【0019】
なお、本発明は上記実施例に限定されない。例えば、図4の(1)に実線Kで示すように、第1の光学系により被写体の像を、図において右方に向かうに従い、像を構成する微小部分の面積が小さくなるように台形歪曲させ、図4の(2)に実線Lで示すように、第2の光学系により表示画像を、第1の光学系による台形歪曲を打ち消すように、図において左方に向かうに従い、像を構成する微小部分の面積が小さくなるように台形歪曲させてもよい。この場合は、画素密度が図中左方において高く右方において低くなる以外は、上記実施例と同様に、画素密度の高い部分と低い部分との境目が不連続になることのない、歪曲のない画像を視認できる。すなわち、第1の光学系は、被写体の像を構成する複数の微小部分相互の面積比を変化させるように、その像を歪曲し、第2の光学系は第1の光学系による歪曲を打ち消すように表示画像を歪曲するものであればよい。また、画像信号の伝達は有線により行なってもよい。
【0020】
【発明の効果】
本発明のテレビジョンシステムによれば、第1の光学系の歪曲と第2の光学の歪曲とを個別に補正することなく、両光学系を設計時にまとめて取り扱って歪曲を補正でき、光学系の構成が簡単になり、設計の自由度が多くなる。また、視野の範囲を狭くすることなく、細部の認識が可能な、違和感のないスムーズな画像を、複雑な構成を要することなく得ることができる。また、頭部の動きに応じ撮影装置を移動させる場合に、仮に頭部の動きに対する画像の動きに遅れが生じても、画素密度の高い部分と低い部分とは一体となって動くので、画像が見にくくなることはない。
【0021】
【本発明の実施態様】
本発明の構成において、第1の光学系は被写体の像を樽型歪曲させ、その第2の光学系は第1の光学系による樽型歪曲を打ち消すように表示画像を糸巻型歪曲させるのが好ましい。これにより、得られる画像の中央部における画素密度を高くし、周囲部における画素密度を低くできるので、視野中心付近において画素密度を高くして細部の認識ができ、細部の認識を必要としない視野周辺部分において画素密度を低くした歪曲のない画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例のテレビジョンシステムの構成説明図
【図2】本発明の実施例の(1)は第1の光学系の作用説明図、(2)は第2の光学系の作用説明図
【図3】本発明の実施例のカメラヘッドの作動装置の斜視図
【図4】本発明の変形例の(1)は第1の光学系の作用説明図、(2)は第2の光学系の作用説明図
【符号の説明】
1 撮影装置
2 被写体
3 第1の光学系
6 表示装置
7 第2の光学系
【産業上の利用分野】
本発明はテレビジョンシステムに関し、例えば、宇宙空間、原子炉内、被災地、高所等の危険な環境において、遠隔監視作業や作業用ロボットの遠隔操作等のために用いるのに適するものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来のテレビジョンシステムとして、撮影装置と、その撮影装置と被写体との間に配置される第1の光学系と、その撮影装置から送られる画像信号に対応する画像を表示する表示装置と、その画像の表示光の光路に配置される第2の光学系とを備え、その第1、第2の光学系として歪曲率の小さなものが用いられている。
【0003】
しかし、撮影装置側と表示装置側の各々で光学系の歪曲率を小さくしようとすると、各光学系それぞれの構成が複雑になり、また、設計の自由度が少なくなる。さらに、得られる表示画像の画素密度の分布は均一であるため、広画角の光学系を用いた場合は細部の認識を充分に行えなかった。
【0004】
また、撮影装置と、その撮影装置と被写体との間に配置される広画角の光学系と、その光学系による歪曲を補正する電子回路と、その電子回路を介し撮影装置から送られる画像信号に対応する画像を表示する表示装置とを備えるテレビジョンシステムが用いられている。
【0005】
しかし、広画角の光学系を用いた場合、視野の範囲は広くなるが得られる表示画像の細部の認識が困難になる。
【0006】
また、第1の撮影装置と、その第1の撮影装置と被写体との間に配置される広画角の光学系と、第2の撮影装置と、その第2の撮影装置と被写体との間に配置される狭画角の光学系と、視線追従センサ付き頭部装着型表示装置とを備えるテレビジョンシステムが開発されている。その第2の撮影装置を観察者の視線の動きに応じ移動させ、観察者の視線方向に第2の撮影装置から送られる高画素密度の狭画角画像を表示し、その周囲に第1の撮影装置から送られる低画素密度の広画角画像を併せて表示する。
【0007】
しかし、高画素密度の狭画角画像と低画素密度の広画角画像とを、単一画面上に併せて表示した場合、両画像の境目が不連続になり違和感が生じる。また、一つの画像を形成するのに2台の撮影装置が必要で機構が複雑になる。さらに、そのような境目があると、視線追従センサの応答速度や精度が十分でなく、視線の動きに対する高画素密度の狭画角画像の動きに遅れが生じると、非常に見にくい画像になる。
【0008】
本発明は、上記課題を解決することのできるテレビジョンシステムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のテレビジョンシステムは、撮影装置と、その撮影装置と被写体との間に配置される第1の光学系と、その撮影装置から送られる画像信号に対応する画像を表示する表示装置と、その画像の表示光の光路に配置される第2の光学系とを備え、その第1の光学系は、被写体の像を構成する複数の微小部分相互の面積比を変化させるように、その像を歪曲し、その第2の光学系は、第1の光学系による歪曲を打ち消すように、その表示装置により表示される画像を歪曲することを特徴とする。
【0010】
【作用】
本発明の構成によれば、第1の光学系により、被写体の像を構成する複数の微小部分相互の面積比を変化させるように、その像を歪曲し、その歪曲した状態で撮影装置の受光面上に結像させ、表示装置により表示する。その表示画像において、その歪曲により面積が大きくなった部分は歪曲のない場合に比べ、画素数が増加する。その表示画像の歪曲は第2の光学系により打ち消されるので、歪曲のない、且つ、画素密度の高い部分と低い部分とを有する画像を視認することができる。しかも、その画素密度の高い部分と低い部分との境目は不連続になることはない。
【0011】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【0012】
図1に示すテレビジョンシステムは、撮影装置1と、その撮影装置1と被写体2との間に配置される第1の光学系3と、その撮影装置1により形成される画像信号の送信側通信装置4と、その送信側通信装置4から送られる画像信号の受信側通信装置5と、その画像信号に対応する画像を表示する表示装置6と、その画像の表示光の光路に配置される第2の光学系7とを備えている。
【0013】
その撮影装置1は、CCD等の撮像素子1aと、この撮像素子1aを制御して画像信号を送信側通信装置4に出力する制御装置1bとを有する。その第1の光学系3は、被写体2の像を撮像素子1aの受光面上に結像するもので、その被写体2の像を樽型歪曲させる。すなわち、被写体2が図に例示するような正方形格子であり、図中破線Aで示すように被写体2の像の外周が正方形であれば、その像は図中実線Bで示すように撮像素子1aの受光面上において外周が樽型の像になるように歪曲される。その樽型歪曲により、被写体2の像を構成する複数の微小部分相互の面積比は変化する。
【0014】
その表示装置6は、液晶表示パネル等の表示素子6aと、この表示素子6aを撮影装置1から通信装置4、5を介して送信される画像信号に応じ制御することで、その表示素子6a上に画像を形成する制御装置6bとを有する。その第2の光学系7は、その表示装置6により表示される画像を観察者16の目の網膜上に結像するもので、その表示装置6により表示される画像を糸巻型歪曲させる。すなわち、表示装置6による表示画像の外周が図中破線Cで示すような正方形であるとすれば、その像は図中実線Dで示すように観察者16の目の網膜上において外周が糸巻型の像になるように歪曲される。これにより、被写体2が前記例示した正方形格子であり、第1の光学系3により外周が樽型に歪曲された像が表示画像となる場合、第2の光学系7により観察者16の目の網膜上において正方形格子の画像2′になるように歪曲される。すなわち、その第2の光学系7による歪曲により、第1の光学系3による歪曲が打ち消される。
【0015】
例えば、図2の(1)に示すように、その正方形格子の被写体2の像の中央近傍の微小部分2aと周辺近傍の微小部分2bとの面積比が1:1であり、第1の光学系3により、両微小部分2a、2bの線分比が2:1、すなわち面積比が4:1になるように樽型歪曲され、図中正方形の破線Eで示す撮像素子1aの受光面上に結像される。また、図2の(2)に示すように、その正方形格子の被写体2に対応する表示像が仮に歪曲されずに表示装置6により表示されたとすると、第2の光学系7により、その中央近傍の微小部分2aと周辺近傍の微小部分2bとは、線分比が1:2、すなわち面積比が1:4になるように糸巻型歪曲され、観察者16の目の網膜上に結像される。よって、その図2の(1)に示す樽型歪曲された画像が表示装置6により表示されると、その中央近傍の微小部分2aと周辺近傍の微小部分2bとは、第2の光学系7により樽型歪曲を打ち消して面積比が1:1になるように歪曲され、元の正方形格子の表示像2′として観察者16の目の網膜上に結像される。しかも、その正方形格子の表示像2′の中央近傍の微小部分2aは、周辺近傍の微小部分2bに対し、撮像素子1aの受光面上における面積が4倍であるので、4倍の画素密度を有する。
【0016】
なお、本実施例では、その撮像素子1aと第1の光学系3とはハウジングに内蔵されてカメラヘッド8を構成する。そのカメラヘッド8は、図3に示すような作動装置9に取り付けられる。その作動装置9は、ベース10と、このベース10にヨー軸11中心に回転可能に取り付けられた回転テーブル12と、この回転テーブル12に支持プレート13を介してヨー軸11に直交するピッチ軸14中心に回転可能に取り付けられるホルダー15とを有する。そのホルダー15により一対のカメラヘッド8が保持され、一方のカメラヘッド8を介して撮影される画像が上記テレビジョンシステムにより観察者16の一方の目に結像され、他方のカメラヘッド8を介して撮影される画像が同様に上記テレビジョンシステムにより観察者16の他方の目に結像され、これにより、被写体の立体画像が視認される。その撮影装置1と作動装置9は、例えば宇宙空間や原子炉内等に配置される。
【0017】
また、観察者16の頭部に装着されるホルダー17により、観察者16の目に対応するように一対の表示装置6と一対の第2の光学系7とが保持される。さらに、そのホルダー17にモーションセンサ18が取り付けられ、観察者16の頭部の動きに対応する信号が、そのセンサ18の制御装置19、送信側無線装置20、受信側無線装置21を介して、前記作動装置9の制御装置22に送信される。その制御装置22に、前記作動装置9の回転テーブル12の駆動用サーボモータ23と、ホルダー15の駆動用サーボモータ24とが接続される。これにより、観察者16の頭部の動きに応じてカメラヘッド8を移動させることができる。なお、モーションセンサ18は公知のもの、例えば、ホルダー17に取り付けられるコイルと、そのコイルの周りに磁界を発生させる手段とを有し、磁界の中をコイルが移動することによる電流の変化に対応する信号を出力するものや、超音波の発信機と受信機とを用い、ホルダー17に受信機を取り付け、受信機の動きによる超音波の発信機から受信機までの到達時間の変化に応じた信号を出力するものを用いることができる。
【0018】
上記構成によれば、第1の光学系3により被写体2の像を樽型歪曲し、その歪曲した状態で撮影装置1の受光面上に結像させ、表示装置6により表示する。よって、表示画像の中央部は歪曲のない場合に比べて画素数が増加する。その表示画像の歪曲は第2の光学系による糸巻型歪曲により打ち消されるので、歪曲のない、且つ、画素密度が中央部において高く周囲部において低い画像を視認することができ、しかも、その画素密度の高い部分と低い部分との境目は不連続になることはない。これにより、第1の光学系3の歪曲と第2の光学系7の歪曲とを個別に補正することなく、両光学系を設計時にまとめて取り扱って歪曲を補正でき、光学系の構成が簡単になり、設計の自由度が多くなる。また、視野の範囲を狭くすることなく、細部の認識が可能な、違和感のないスムーズな画像を、複雑な構成を要することなく得ることができる。また、その得られる画像は、視野中心付近において画素密度を高くして細部の認識ができ、細部の認識を必要としない視野周辺部分において画素密度を低くできる。また、頭部の動きに応じカメラヘッド8を移動させる場合に、仮に頭部の動きに対する画像の動きに遅れが生じても、画素密度の高い部分と低い部分とは一体となって動くので、画像が見にくくなることはない。
【0019】
なお、本発明は上記実施例に限定されない。例えば、図4の(1)に実線Kで示すように、第1の光学系により被写体の像を、図において右方に向かうに従い、像を構成する微小部分の面積が小さくなるように台形歪曲させ、図4の(2)に実線Lで示すように、第2の光学系により表示画像を、第1の光学系による台形歪曲を打ち消すように、図において左方に向かうに従い、像を構成する微小部分の面積が小さくなるように台形歪曲させてもよい。この場合は、画素密度が図中左方において高く右方において低くなる以外は、上記実施例と同様に、画素密度の高い部分と低い部分との境目が不連続になることのない、歪曲のない画像を視認できる。すなわち、第1の光学系は、被写体の像を構成する複数の微小部分相互の面積比を変化させるように、その像を歪曲し、第2の光学系は第1の光学系による歪曲を打ち消すように表示画像を歪曲するものであればよい。また、画像信号の伝達は有線により行なってもよい。
【0020】
【発明の効果】
本発明のテレビジョンシステムによれば、第1の光学系の歪曲と第2の光学の歪曲とを個別に補正することなく、両光学系を設計時にまとめて取り扱って歪曲を補正でき、光学系の構成が簡単になり、設計の自由度が多くなる。また、視野の範囲を狭くすることなく、細部の認識が可能な、違和感のないスムーズな画像を、複雑な構成を要することなく得ることができる。また、頭部の動きに応じ撮影装置を移動させる場合に、仮に頭部の動きに対する画像の動きに遅れが生じても、画素密度の高い部分と低い部分とは一体となって動くので、画像が見にくくなることはない。
【0021】
【本発明の実施態様】
本発明の構成において、第1の光学系は被写体の像を樽型歪曲させ、その第2の光学系は第1の光学系による樽型歪曲を打ち消すように表示画像を糸巻型歪曲させるのが好ましい。これにより、得られる画像の中央部における画素密度を高くし、周囲部における画素密度を低くできるので、視野中心付近において画素密度を高くして細部の認識ができ、細部の認識を必要としない視野周辺部分において画素密度を低くした歪曲のない画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例のテレビジョンシステムの構成説明図
【図2】本発明の実施例の(1)は第1の光学系の作用説明図、(2)は第2の光学系の作用説明図
【図3】本発明の実施例のカメラヘッドの作動装置の斜視図
【図4】本発明の変形例の(1)は第1の光学系の作用説明図、(2)は第2の光学系の作用説明図
【符号の説明】
1 撮影装置
2 被写体
3 第1の光学系
6 表示装置
7 第2の光学系
Claims (1)
- 撮影装置と、その撮影装置と被写体との間に配置される第1の光学系と、その撮影装置から送られる画像信号に対応する画像を表示する表示装置と、その画像の表示光の光路に配置される第2の光学系とを備え、その第1の光学系は、被写体の像を構成する複数の微小部分相互の面積比を変化させるように、その像を歪曲し、その第2の光学系は、第1の光学系による歪曲を打ち消すように、その表示装置により表示される画像を歪曲することを特徴とするテレビジョンシステム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP06710195A JP3604443B2 (ja) | 1995-02-28 | 1995-02-28 | テレビジョンシステム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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