JP3603668B2 - 路面凍結判定方法及びその装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、路面が凍結しているかどうかを判定する方法及びその装置に係り、特に、判定を適用する道路範囲が広く、凍結防止剤が散布された道路でも路面凍結が正確に判定できる路面凍結判定方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高速道路や一般道路の整備が進み、道路網が全国各地に広がっている。これらの道路は、雨や雪により路面の湿潤や凍結が生じると、自動車がスリップしやすくなる。このような路面状態を自動車の運転手に知らせて注意を促すためのセンサシステムの開発が重要である。この目的で開発されたセンサシステムとして非接触型路面状態検知センサが知られている。
【0003】
図7に示されるように、従来の非接触型路面状態検知センサは、道路71の路肩に設置された支持柱72と、支持柱72の水平部72aに取り付けられ路面の表面温度を測定する温度測定器(赤外線放射温度計など)73と、赤外線投光器74a及び赤外線受光器74bとからなり路面での赤外線の反射比率を測定する路面反射率比率計74と、これら温度測定器73及び路面反射率比率計74からの情報に基づいて路面状態を判定する湿潤/凍結判定部75とで構成されている。この非接触型路面状態検知センサは、赤外線方式のものである。
【0004】
この非接触型路面状態検知センサは、路面反射率比率計74により路面に対して赤外線76aを照射し、路面からの反射光のうち入射方向に戻らない成分(正反射波)76bと入射方向に戻る成分(乱反射波)76cとの比率を求め、この比率の大小により路面の濡れ具合、即ち湿潤度を湿潤/凍結判定部75で算出し、さらに路面からの赤外線放射量を温度測定器73で測定し、この温度値と湿潤度とにより湿潤/凍結判定部75で路面状態を判定する。
【0005】
例えば、路面の温度が氷点下であり、かつ路面が濡れている場合には、湿潤/凍結判定部は、「凍結」という判定をする。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の非接触型路面状態検知センサには以下のような問題点がある。
【0007】
(1)赤外線の照射範囲が狭いため、路面の凍結を判定する道路範囲が限定される。
【0008】
(2)気温や路面温度だけでは、必ずしも路面が凍結しているかどうか判定できない。
【0009】
(3)道路上に凍結防止剤(塩化ナトリウムなど)が散布された場合、凍結に至る温度が状況により変化する。このため、単純に温度のしきい値(例えば、0℃)を設定して判定すると、判定を誤ることがある。また、凍結に至る温度は、凍結防止剤の散布量、その種類及び路面の水分状態により変化するため、凍結に至る温度を凍結前に把握することは困難である。また、凍結防止剤の散布量、その種類及び路面の水分状態を精度良く計測する手法は、従来は確立されていない。
【0010】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、判定を適用する道路範囲が広く、凍結防止剤が散布された道路でも路面凍結が正確に判定できる路面凍結判定方法及びその装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明の方法は、道路に埋設した光ファイバにより道路内部の温度を計測し、道路上では気温、日射量等の気象量を測定し、前記道路内部温度と前記気象量とから路面温度を求め、この路面の塩分量を検出し、その塩分量から凍結開始温度を求め、この路面の水分量を検出し、その水分量と前記凍結開始温度に対する路面温度の高低とその高低の経過時間から路面の凍結・湿潤・乾燥を判定し、乾燥の判定の際には、水分が路面に存在しないとき乾燥と判定し、路面状態が湿潤から凍結に変化する凍結の判定の際には、水分が路面に存在し、路面温度が凍結開始温度より低く、かつ凍結開始温度に一致して低い状態に転じた時点から一定時間経過したときに凍結と判定し、凍結から湿潤に変化する湿潤判定の際には、路面温度が凍結開始温度より高く、かつ凍結開始温度に一致して高い温度に転じた時点から一定時間経過した時点で湿潤と判定するものである。
【0012】
また、本発明の装置は、道路に埋設した光ファイバにより道路内部の温度を計測する道路内部温度計測手段と、道路上で気温、日射量等の気象量を測定する気象量測定手段と、この路面の塩分量を検出する塩分量検出手段と、この路面の水分量を検出する水分量検出手段と、前記道路内部温度と前記気象量とから路面温度を求め、前記塩分量から凍結開始温度を求め、前記凍結開始温度に対する前記路面温度の高低と前記水分量と前記高低の継続時間とから路面の凍結・湿潤・乾燥を判定し、乾燥の判定の際には、水分が路面に存在しないとき乾燥と判定し、路面状態が湿潤から凍結に変化する凍結の判定の際には、水分が路面に存在し、路面温度が凍結開始温度より低く、かつ凍結開始温度に一致した時点から一定時間経過してたときに凍結と判定し、凍結から湿潤に変化する湿潤判定の際には、路面温度が凍結開始温度より高く、かつ凍結開始温度に一致した時点から一定時間経過した時点で湿潤と判定する凍結判定手段とを備えたものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0014】
図1に示されるように、本発明に係る路面凍結判定装置は、道路に埋設した光ファイバにより道路内部の温度を計測する道路内部温度計測手段1と、道路上で気温、日射量等の気象量を測定する気象量測定手段2と、この路面の塩分量(又は塩分濃度)を検出する塩分量検出手段3と、この路面の水分量を検出する水分量検出手段4と、道路内部温度と気象量とから路面の温度を求め、塩分量から凍結開始温度を求め、凍結開始温度に対する路面温度の高低と水分量と高低の継続時間とから路面の凍結を判定する凍結判定手段5とを備える。
【0015】
具体的には、図2に示されるように、道路内部温度計測手段1として、道路には道路20の縦断方向或いは横断方向或いはその両方向に光ファイバ21が埋設され、この光ファイバ21に光ファイバ温度測定装置22が接続されている。気象量測定手段2、塩分量検出手段3及び水分量検出手段4として、道路20の縦断方向の任意の位置に、日射量、雨(雪)量、気温を計測する気象計測装置23a,23b,23c,…と、塩分濃度及び塩分の種類を測定する塩分測定装置24a,24b,24c,…と、路面の水分或いは水膜厚を測定する水分検出装置25a,25b,25c,…と、が設置されている。これら気象計測装置23a,23b,23c,…、塩分測定装置24a,24b,24c,…及び水分検出装置25a,25b,25c,…の情報を伝送する伝送装置26が設けられており、この伝送装置26からの情報と光ファイバ温度測定装置22からの情報とが凍結判定手段5を持つ凍結判定部27に入力されるようになっている。
【0016】
路面凍結判定装置の動作を説明する。
【0017】
まず、凍結判定手段5は、道路内部温度計測手段1(光ファイバ21及び光ファイバ温度測定装置22)で測定された道路内部の温度と、気象量測定手段2(気象計測装置23a,23b,23c,…)で測定された気温、日射量等の情報から、外気と路面との熱伝達及び道路内部の熱伝導を考慮した熱収支計算により、道路縦断・横断方向の路面の表面温度(路面温度)を求める。
【0018】
また、凍結判定手段5は、塩分量検出手段3(塩分測定装置24a,24b,24c,…)で検出された路面の凍結防止(塩分)剤の濃度から、図3の曲線を用いて凍結開始温度を算出する。凍結防止剤の種類としては、CaCl2 ,MgCl2 ,尿素などもあるが、図3の曲線は、一般に使用されているNaClについて、塩分重量濃度(%)と凍結開始温度との関係を示している。図示のように、塩分濃度が高くなるに従い凍結開始温度は低くなる。
【0019】
さらに、凍結判定手段5は、水分量検出手段4(水分検出装置25a,25b,25c,…)で検出された路面の水分量から、路面の湿潤の有無を判定する。
【0020】
凍結判定手段5は、以上により求めた路面温度と凍結開始温度と水分量とから、例えば、図4の凍結判定アルゴリズムに従い路面の凍結判定を行うことができる。即ち、▲1▼水分が路面に存在し、かつ路面温度が凍結開始温度より低い場合、「凍結」という判定をする。
【0021】
▲2▼水分が路面に存在し、かつ路面温度が凍結開始温度より高い場合、「湿潤」という判定をする。
【0022】
▲3▼水分が路面に存在しない場合、「乾燥」という判定をする。
【0023】
ただし、本発明では、凍結開始温度に対する路面温度の高低だけでなく、その高低の継続時間を考慮して判定を行う。
【0024】
図5は、路面状態が湿潤から凍結に変化する時の凍結判定アルゴリズムを示している。図示のように、路面温度が凍結開始温度に一致した(重なった)時点Aから直ちに凍結となるのではなく、時点Aからある一定時間t1が経過した時点Bから凍結となる。従って、時点Aから過去において路面温度が凍結開始温度より高い状態が所定時間継続していたのであれば、路面温度が凍結開始温度より低い状態に転じた時点Aから一定時間t1が経過した後、「凍結」という判定をする。この一定時間t1は、長期間取得した気象量測定データと道路内部温度データとから、統計的手法或いはニューラルネットなどにより求めることができる。このようにして予め求めておいた一定時間t1を凍結判定手段5に組み込んでおき、凍結判定に使用する。
【0025】
一方、図6は、路面状態が凍結から湿潤に変化する時の凍結判定アルゴリズムを示している。図示のように、路面温度が凍結開始温度に一致した(重なった)時点Cから直ちに湿潤となるのではなく、時点Cからある一定時間t2が経過した時点Dから湿潤となる。従って、時点Cから過去において路面温度が凍結開始温度より低い状態が所定時間継続していたのであれば、路面温度が凍結開始温度より高い状態に転じた時点Cから一定時間t2が経過した後、「湿潤」という判定をする。この一定時間t2は、長期間取得した気象量測定データと道路内部温度データとから、統計的手法或いはニューラルネットなどにより求めることができる。このようにして予め求めておいた一定時間t2を凍結判定手段5に組み込んでおき、凍結判定に使用する。
【0026】
【発明の効果】
本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
【0027】
(1)光ファイバによる道路内部温度の計測範囲が広いため、路面の凍結を判定する道路範囲が広くなる。
【0028】
(2)凍結防止剤が散布された場合でも、検出した塩分量から凍結開始温度を求めることができ、凍結開始温度に対する路面温度の高低及びその高低の継続時間を基に、路面の湿潤から凍結、路面の凍結から湿潤の判定が正確にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す路面凍結判定装置のブロック流れ図である。
【図2】図1の路面凍結判定装置の構成図である。
【図3】塩分濃度対凍結開始温度の特性図である。
【図4】本発明の基本の凍結判定アルゴリズムを示す温度変化及び水分に対する路面状態の変化図である。
【図5】本発明において路面状態が湿潤から凍結に変化する時の凍結判定アルゴリズムを示す温度変化及び水分に対する路面状態の変化図である。
【図6】本発明において路面状態が凍結から湿潤に変化する時の凍結判定アルゴリズムを示す温度変化及び水分に対する路面状態の変化図である。
【図7】従来の非接触型路面状態検知センサの構成図である。
【符号の説明】
1 道路内部温度計測手段
2 気象量測定手段
3 塩分量検出手段
4 水分量検出手段
5 凍結判定手段
21 光ファイバ
22 光ファイバ温度測定装置
23a,23b,23c 気象計測装置
24a,24b,24c 塩分測定装置
25a,25b,25c 水分検出装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、路面が凍結しているかどうかを判定する方法及びその装置に係り、特に、判定を適用する道路範囲が広く、凍結防止剤が散布された道路でも路面凍結が正確に判定できる路面凍結判定方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高速道路や一般道路の整備が進み、道路網が全国各地に広がっている。これらの道路は、雨や雪により路面の湿潤や凍結が生じると、自動車がスリップしやすくなる。このような路面状態を自動車の運転手に知らせて注意を促すためのセンサシステムの開発が重要である。この目的で開発されたセンサシステムとして非接触型路面状態検知センサが知られている。
【0003】
図7に示されるように、従来の非接触型路面状態検知センサは、道路71の路肩に設置された支持柱72と、支持柱72の水平部72aに取り付けられ路面の表面温度を測定する温度測定器(赤外線放射温度計など)73と、赤外線投光器74a及び赤外線受光器74bとからなり路面での赤外線の反射比率を測定する路面反射率比率計74と、これら温度測定器73及び路面反射率比率計74からの情報に基づいて路面状態を判定する湿潤/凍結判定部75とで構成されている。この非接触型路面状態検知センサは、赤外線方式のものである。
【0004】
この非接触型路面状態検知センサは、路面反射率比率計74により路面に対して赤外線76aを照射し、路面からの反射光のうち入射方向に戻らない成分(正反射波)76bと入射方向に戻る成分(乱反射波)76cとの比率を求め、この比率の大小により路面の濡れ具合、即ち湿潤度を湿潤/凍結判定部75で算出し、さらに路面からの赤外線放射量を温度測定器73で測定し、この温度値と湿潤度とにより湿潤/凍結判定部75で路面状態を判定する。
【0005】
例えば、路面の温度が氷点下であり、かつ路面が濡れている場合には、湿潤/凍結判定部は、「凍結」という判定をする。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の非接触型路面状態検知センサには以下のような問題点がある。
【0007】
(1)赤外線の照射範囲が狭いため、路面の凍結を判定する道路範囲が限定される。
【0008】
(2)気温や路面温度だけでは、必ずしも路面が凍結しているかどうか判定できない。
【0009】
(3)道路上に凍結防止剤(塩化ナトリウムなど)が散布された場合、凍結に至る温度が状況により変化する。このため、単純に温度のしきい値(例えば、0℃)を設定して判定すると、判定を誤ることがある。また、凍結に至る温度は、凍結防止剤の散布量、その種類及び路面の水分状態により変化するため、凍結に至る温度を凍結前に把握することは困難である。また、凍結防止剤の散布量、その種類及び路面の水分状態を精度良く計測する手法は、従来は確立されていない。
【0010】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、判定を適用する道路範囲が広く、凍結防止剤が散布された道路でも路面凍結が正確に判定できる路面凍結判定方法及びその装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明の方法は、道路に埋設した光ファイバにより道路内部の温度を計測し、道路上では気温、日射量等の気象量を測定し、前記道路内部温度と前記気象量とから路面温度を求め、この路面の塩分量を検出し、その塩分量から凍結開始温度を求め、この路面の水分量を検出し、その水分量と前記凍結開始温度に対する路面温度の高低とその高低の経過時間から路面の凍結・湿潤・乾燥を判定し、乾燥の判定の際には、水分が路面に存在しないとき乾燥と判定し、路面状態が湿潤から凍結に変化する凍結の判定の際には、水分が路面に存在し、路面温度が凍結開始温度より低く、かつ凍結開始温度に一致して低い状態に転じた時点から一定時間経過したときに凍結と判定し、凍結から湿潤に変化する湿潤判定の際には、路面温度が凍結開始温度より高く、かつ凍結開始温度に一致して高い温度に転じた時点から一定時間経過した時点で湿潤と判定するものである。
【0012】
また、本発明の装置は、道路に埋設した光ファイバにより道路内部の温度を計測する道路内部温度計測手段と、道路上で気温、日射量等の気象量を測定する気象量測定手段と、この路面の塩分量を検出する塩分量検出手段と、この路面の水分量を検出する水分量検出手段と、前記道路内部温度と前記気象量とから路面温度を求め、前記塩分量から凍結開始温度を求め、前記凍結開始温度に対する前記路面温度の高低と前記水分量と前記高低の継続時間とから路面の凍結・湿潤・乾燥を判定し、乾燥の判定の際には、水分が路面に存在しないとき乾燥と判定し、路面状態が湿潤から凍結に変化する凍結の判定の際には、水分が路面に存在し、路面温度が凍結開始温度より低く、かつ凍結開始温度に一致した時点から一定時間経過してたときに凍結と判定し、凍結から湿潤に変化する湿潤判定の際には、路面温度が凍結開始温度より高く、かつ凍結開始温度に一致した時点から一定時間経過した時点で湿潤と判定する凍結判定手段とを備えたものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0014】
図1に示されるように、本発明に係る路面凍結判定装置は、道路に埋設した光ファイバにより道路内部の温度を計測する道路内部温度計測手段1と、道路上で気温、日射量等の気象量を測定する気象量測定手段2と、この路面の塩分量(又は塩分濃度)を検出する塩分量検出手段3と、この路面の水分量を検出する水分量検出手段4と、道路内部温度と気象量とから路面の温度を求め、塩分量から凍結開始温度を求め、凍結開始温度に対する路面温度の高低と水分量と高低の継続時間とから路面の凍結を判定する凍結判定手段5とを備える。
【0015】
具体的には、図2に示されるように、道路内部温度計測手段1として、道路には道路20の縦断方向或いは横断方向或いはその両方向に光ファイバ21が埋設され、この光ファイバ21に光ファイバ温度測定装置22が接続されている。気象量測定手段2、塩分量検出手段3及び水分量検出手段4として、道路20の縦断方向の任意の位置に、日射量、雨(雪)量、気温を計測する気象計測装置23a,23b,23c,…と、塩分濃度及び塩分の種類を測定する塩分測定装置24a,24b,24c,…と、路面の水分或いは水膜厚を測定する水分検出装置25a,25b,25c,…と、が設置されている。これら気象計測装置23a,23b,23c,…、塩分測定装置24a,24b,24c,…及び水分検出装置25a,25b,25c,…の情報を伝送する伝送装置26が設けられており、この伝送装置26からの情報と光ファイバ温度測定装置22からの情報とが凍結判定手段5を持つ凍結判定部27に入力されるようになっている。
【0016】
路面凍結判定装置の動作を説明する。
【0017】
まず、凍結判定手段5は、道路内部温度計測手段1(光ファイバ21及び光ファイバ温度測定装置22)で測定された道路内部の温度と、気象量測定手段2(気象計測装置23a,23b,23c,…)で測定された気温、日射量等の情報から、外気と路面との熱伝達及び道路内部の熱伝導を考慮した熱収支計算により、道路縦断・横断方向の路面の表面温度(路面温度)を求める。
【0018】
また、凍結判定手段5は、塩分量検出手段3(塩分測定装置24a,24b,24c,…)で検出された路面の凍結防止(塩分)剤の濃度から、図3の曲線を用いて凍結開始温度を算出する。凍結防止剤の種類としては、CaCl2 ,MgCl2 ,尿素などもあるが、図3の曲線は、一般に使用されているNaClについて、塩分重量濃度(%)と凍結開始温度との関係を示している。図示のように、塩分濃度が高くなるに従い凍結開始温度は低くなる。
【0019】
さらに、凍結判定手段5は、水分量検出手段4(水分検出装置25a,25b,25c,…)で検出された路面の水分量から、路面の湿潤の有無を判定する。
【0020】
凍結判定手段5は、以上により求めた路面温度と凍結開始温度と水分量とから、例えば、図4の凍結判定アルゴリズムに従い路面の凍結判定を行うことができる。即ち、▲1▼水分が路面に存在し、かつ路面温度が凍結開始温度より低い場合、「凍結」という判定をする。
【0021】
▲2▼水分が路面に存在し、かつ路面温度が凍結開始温度より高い場合、「湿潤」という判定をする。
【0022】
▲3▼水分が路面に存在しない場合、「乾燥」という判定をする。
【0023】
ただし、本発明では、凍結開始温度に対する路面温度の高低だけでなく、その高低の継続時間を考慮して判定を行う。
【0024】
図5は、路面状態が湿潤から凍結に変化する時の凍結判定アルゴリズムを示している。図示のように、路面温度が凍結開始温度に一致した(重なった)時点Aから直ちに凍結となるのではなく、時点Aからある一定時間t1が経過した時点Bから凍結となる。従って、時点Aから過去において路面温度が凍結開始温度より高い状態が所定時間継続していたのであれば、路面温度が凍結開始温度より低い状態に転じた時点Aから一定時間t1が経過した後、「凍結」という判定をする。この一定時間t1は、長期間取得した気象量測定データと道路内部温度データとから、統計的手法或いはニューラルネットなどにより求めることができる。このようにして予め求めておいた一定時間t1を凍結判定手段5に組み込んでおき、凍結判定に使用する。
【0025】
一方、図6は、路面状態が凍結から湿潤に変化する時の凍結判定アルゴリズムを示している。図示のように、路面温度が凍結開始温度に一致した(重なった)時点Cから直ちに湿潤となるのではなく、時点Cからある一定時間t2が経過した時点Dから湿潤となる。従って、時点Cから過去において路面温度が凍結開始温度より低い状態が所定時間継続していたのであれば、路面温度が凍結開始温度より高い状態に転じた時点Cから一定時間t2が経過した後、「湿潤」という判定をする。この一定時間t2は、長期間取得した気象量測定データと道路内部温度データとから、統計的手法或いはニューラルネットなどにより求めることができる。このようにして予め求めておいた一定時間t2を凍結判定手段5に組み込んでおき、凍結判定に使用する。
【0026】
【発明の効果】
本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
【0027】
(1)光ファイバによる道路内部温度の計測範囲が広いため、路面の凍結を判定する道路範囲が広くなる。
【0028】
(2)凍結防止剤が散布された場合でも、検出した塩分量から凍結開始温度を求めることができ、凍結開始温度に対する路面温度の高低及びその高低の継続時間を基に、路面の湿潤から凍結、路面の凍結から湿潤の判定が正確にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す路面凍結判定装置のブロック流れ図である。
【図2】図1の路面凍結判定装置の構成図である。
【図3】塩分濃度対凍結開始温度の特性図である。
【図4】本発明の基本の凍結判定アルゴリズムを示す温度変化及び水分に対する路面状態の変化図である。
【図5】本発明において路面状態が湿潤から凍結に変化する時の凍結判定アルゴリズムを示す温度変化及び水分に対する路面状態の変化図である。
【図6】本発明において路面状態が凍結から湿潤に変化する時の凍結判定アルゴリズムを示す温度変化及び水分に対する路面状態の変化図である。
【図7】従来の非接触型路面状態検知センサの構成図である。
【符号の説明】
1 道路内部温度計測手段
2 気象量測定手段
3 塩分量検出手段
4 水分量検出手段
5 凍結判定手段
21 光ファイバ
22 光ファイバ温度測定装置
23a,23b,23c 気象計測装置
24a,24b,24c 塩分測定装置
25a,25b,25c 水分検出装置
Claims (2)
- 道路に埋設した光ファイバにより道路内部の温度を計測し、道路上では気温、日射量等の気象量を測定し、前記道路内部温度と前記気象量とから路面温度を求め、この路面の塩分量を検出し、その塩分量から凍結開始温度を求め、この路面の水分量を検出し、その水分量と前記凍結開始温度に対する路面温度の高低とその高低の経過時間から路面の凍結・湿潤・乾燥を判定し、乾燥の判定の際には、水分が路面に存在しないとき乾燥と判定し、路面状態が湿潤から凍結に変化する凍結の判定の際には、水分が路面に存在し、路面温度が凍結開始温度より低く、かつ凍結開始温度に一致した時点から一定時間経過してたときに凍結と判定し、凍結から湿潤に変化する湿潤判定の際には、路面温度が凍結開始温度より高く、かつ凍結開始温度に一致した時点から一定時間経過した時点で湿潤と判定することを特徴とする路面凍結判定方法。
- 道路に埋設した光ファイバにより道路内部の温度を計測する道路内部温度計測手段と、道路上で気温、日射量等の気象量を測定する気象量測定手段と、この路面の塩分量を検出する塩分量検出手段と、この路面の水分量を検出する水分量検出手段と、前記道路内部温度と前記気象量とから路面温度を求め、前記塩分量から凍結開始温度を求め、前記凍結開始温度に対する前記路面温度の高低と前記水分量と前記高低の継続時間とから路面の凍結・湿潤・乾燥を判定し、乾燥の判定の際には、水分が路面に存在しないとき乾燥と判定し、路面状態が湿潤から凍結に変化する凍結の判定の際には、水分が路面に存在し、路面温度が凍結開始温度より低く、かつ凍結開始温度に一致して低い状態に転じた時点から一定時間経過してたときに凍結と判定し、凍結から湿潤に変化する湿潤判定の際には、路面温度が凍結開始温度より高く、かつ凍結開始温度に一致して高い状態に転じた時点から一定時間経過した時点で湿潤と判定する凍結判定手段とを備えたことを特徴とする路面凍結判定装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15487999A JP3603668B2 (ja) | 1999-06-02 | 1999-06-02 | 路面凍結判定方法及びその装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15487999A JP3603668B2 (ja) | 1999-06-02 | 1999-06-02 | 路面凍結判定方法及びその装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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