JP3603532B2 - ドラム式洗濯機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、略水平方向の回転軸を中心に回転自在に配設したドラム内で洗濯物を洗濯、すすぎ、脱水するドラム式洗濯機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のドラム式洗濯機は図6および図7に示すように構成していた。以下、その構成について説明する。
【0003】
図6に示すように、回転ドラム1は、外周部に多数の通水孔2を全面に設け、外槽3内に回転自在に配設している。回転ドラム1の回転中心に回転軸4の一端を略水平方向に固定し、回転軸4の他端に従動プーリー5を固定している。第1のモータ6は、回転ドラム1を第1の回転数N1(たとえば、53rpm)で回転させて、洗濯またはすすぎをするものであり、第2のモータ7は、回転ドラム1を第2の回転数N2(たとえば、1000rpm)で回転させて脱水する。
【0004】
これら第1のモータ6および第2のモータ7は、それぞれベルト8、9を介して従動プーリー5に連結している。従動プーリー5は、2種の減速比を有しており、第1のモータ6をベルト8を介して減速比が大きい従動プーリー5aと連結し、第2のモータ7をベルト9を介して減速比が小さい従動プーリー5bと連結している。
【0005】
外槽3は、略円筒型の外槽本体3aと外槽本体3aの開口部を覆う外槽前板3bとで構成し、ボデー10よりばね体11で揺動可能に吊り下げ、防振ダンパー12により脱水起動時の振動が低減され、かつ定常脱水時の振動がボデー10に伝達されないように防振支持するとともに、脱水時の振動を低減する重り13を設けている。この外槽3の底部側にヒータ14を設けて外槽3内の洗濯水を加熱し、さらに排水用のホース15の一端を接続し、ホース15の他端を排水ポンプ16に接続して外槽3内の洗濯水を排水するようにしている。上記ヒータ14の下方近傍には、図7に示すように、温度検知装置17を、外槽本体3a底部に設けた温度検知装置挿入穴18に挿通可能な温度検知装置取付パッキング19を介して設け、温度検知装置17を挿入することにより温度検知装置取付パッキング19を外側に膨出させ、温度検知装置17を外槽本体3aの底部に固定している。
【0006】
略筒状のパッキング部材20は、回転ドラム1の前面開口部に対応する外槽3の開口部とボデー前面開口部との間を連結するもので、外槽側端部を外槽前板3bに固着している。ボデー前面開口部に蓋21を開閉自在に設けている。給水弁22は外槽3内に水を給水するものである。制御装置23は、第1のモータ6、第2のモータ7、ヒータ14、排水ポンプ16、給水弁22などの動作を制御し、洗濯、すすぎ、脱水などの一連の行程を逐次制御する。
【0007】
上記構成において動作を説明すると、蓋21を開いて回転ドラム1内に洗濯物を投入し、電源スイッチ(図示せず)をオンした後、制御装置23に設けたスタートスイッチ(図示せず)を操作して運転を開始すると、給水弁22が動作して給水し、水位検知手段(図示せず)により所定の水位を検知すると給水を停止し、第1のモータ6を駆動する。洗濯行程では、洗濯物に水が含まれるため補給水しながら、回転ドラム1は第1のモータ6によって第1の回転数N1で回転駆動され、回転ドラム1内の洗濯物は持ち上げられて水面上に落下される。
【0008】
このとき、ヒータ14に通電して、温度検知装置17により温度を検知し、外槽3内の洗濯水をほぼ一定の温度に制御しながら、加熱する。洗濯行程が終了すると、排水ポンプ16が動作して外槽3内の洗濯水を排水する。すすぎ行程においても洗濯行程と同様の動作を行う。
【0009】
脱水行程では、回転ドラム1は第2のモータ7によって第2の回転数N2で回転駆動され、洗濯物は遠心脱水される。このとき、回転ドラム1内の洗濯物の片寄り、すなわちアンバランスが生じると、回転ドラム1、外槽3などの揺動体は振動するが、脱水起動時は防振ダンパー12により揺動体の振動を減衰し、定常脱水時は防振ダンパー12の防振機構によりボデー10に伝達されることはない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の構成では、温度検知装置17は、温度検知装置挿入穴18に挿通可能な温度検知装置取付パッキング19を介して設け、温度検知装置17を挿入することにより温度検知装置取付パッキング19を外側に膨出させ、温度検知装置17を外槽本体3aの底部に固定しているため、温度検知装置17、温度検知装置取付パッキング19および温度検知装置挿入穴18のそれぞれの嵌合が甘い場合は温度検知装置17が外れやすく、仮に外れた場合は水漏れが発生していた。また、嵌合が固い場合は組み立て時およびサービス時の作業性が悪く、温度検知装置17の不完全挿入の可能性があり、仮に不完全に挿入された場合も水漏れが発生していた。また、温度検知装置取付パッキング19はゴム材であるため、このゴム材の経時劣化の可能性があり、水漏れの可能性があった。
【0011】
さらにこの構成では、温度過昇防止装置の取り付けが困難であり、仮に温度検知装置17が破損した場合、温度検知のバックアップが無いため、異常に外槽3ないの温度が上昇する可能性があるという問題を有していた。
【0012】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、外槽に温度検知装置挿入穴および温度検知装置取付パッキングを設けずに検知装置を取り付けれるようにし、作業性、サービス性の向上を図り、また水漏れの可能性を排し、さらに温度過昇防止装置の取り付けも可能にすることを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、略水平方向に回転軸を有する回転ドラムと、この回転ドラムを外包した外槽と、この外槽の底部内側に配した加熱体と、外槽の底部外側で加熱体の対応位置に配したスライド板とを備え、スライド板には温度検知装置および温度過昇防止装置の少なくとも一方を取付け、外槽の底部外側には、前記スライド板を着脱自在に摺動案内するレール状案内部を設けたものである。
【0014】
これにより、外槽に温度検知装置挿入穴および温度検知装置取付パッキングを設けずに、スライド板のスライドだけで検知装置を取り付けれるようにできるため、作業性、サービス性の向上を図り、また水漏れの可能性を排することができる。さらに温度過昇防止装置の取り付けも可能にすることができるため温度の異常上昇の可能性も排することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、略水平方向に回転軸を有する回転ドラムと、この回転ドラムを外包した外槽と、この外槽の底部内側に配した加熱体と、前記外槽の底部外側で前記加熱体の対応位置に配したスライド板とを備え、このスライド板には温度検知装置および温度過昇防止装置の少なくとも一方を取付け、前記外槽の底部外側には、前記スライド板を着脱自在に摺動案内するレール状案内部を設けたものであり、温度検知装置は温度検知装置挿入穴および温度検知装置取付パッキング等を介して設けたものではないため、スライド板のスライドだけで検知装置を取り付けることができる。また、作業性、サービス性の向上を図り、水漏れの可能性を排することができる。さらに温度過昇防止装置の取り付けも可能にすることができるため異常な温度の上昇の可能性も排することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明に加え、レール状案内部は、相対向する断面略コ字状をなし、その下部内面とスライド板のスライド部の少なくとも一方には、その奥行き方向に向かうに従って高さが高くなる凸部を形成し、他方は前記凸部に合致する高さに設定したものであるため、スライド板をスライドさせる際に、容易に小さな力でスライドさせることができ、作業性、サービス性をさらに向上させることができる。またセット後は所定の緊迫力でスライド板を固定することができるため、温度検知装置および温度過昇防止装置の信頼性も向上させることができる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、上記請求項2に記載の発明に加え、凸部は、高さが異なる複数の突起より構成されているため、それらの突起の高さを調整することによりスライド板の固定力を簡単に調整することができ、温度検知装置および温度過昇防止装置の信頼性をさらに向上させることができる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、上記請求項2に記載の発明に加え、凸部は、傾斜面より構成されているため、ほとんど力を要することなく、スライド板をスライドさせることができ、しかも最終セット位置でのみスライド板を固定させるため、作業性、サービス性をさらに向上させることができ、かつ温度検知装置および温度過昇防止装置の信頼性もさらに向上させることができる。
【0019】
【実施例】
以下、本発明の一実施例について、図1から図3を参照しながら説明する。なお、従来例と同じ構成のものは同一符号を付して説明を省略する。
【0020】
図1に示すように、外槽24は、断面が回転軸4を中心とした略真円形状の外槽本体24aと外槽本体24aの開口部を覆う略円状の外槽前板24bとで構成して回転ドラム1を外包し、回転ドラム1と外槽24は、回転軸4と直行する方向の形状を回転軸4を中心として略同心円となるように構成し、底部側にヒータ25を収容する略凹状の加熱体収容室26を設けている。
【0021】
この外槽24は、ボデー10よりばね体11で揺動可能に吊り下げ、防振ダンパー12により脱水起動時の振動が低減され、かつ定常脱水時の振動がボデー10に伝達されないように防振支持するとともに、脱水時の振動を低減する重り13を設けている。
【0022】
外槽本体24aと外槽前板24bとを、図2に示すように、当接する端面を外側に巻き込み、断面がく字状のバンド27により端面外周を締め付けて外槽24を形成している。略凹状の加熱体収容室26は、外槽24の底部に位置し、排水用のホース15を接続し、この加熱収容室26の底部にホース接続部28に向かって傾斜面29を形成している。
【0023】
ヒータ25の一端にヒータ取付板30を固着し、このヒータ取付板30にパッキング材31を介して加熱体収容室26に設けたヒータ挿入穴32に挿通可能な締着板33と一体に設けたねじ34をナット35により取り付け、ヒータ25を加熱体収容室26に挿入し、ナット35を締め付けることで、パッキング材31がヒータ取付板30と締着板33との間で圧縮され、外側に膨出することによりヒータ25を加熱体収容室26に固定するとともに、パッキング材31によりヒータ挿入穴32を閉塞する。ヒータ25の他端は加熱体収容室26に設けたばね材36により挟持している。
【0024】
傾斜面29の外面には相対向する断面が略コ字状の第1レール状案内部37と第2レール案内部38を設け、この第1レール状案内部37と第2レール案内部38間には、着脱自在に摺動するスライド板39を設けている。図3に傾斜面29の外面の下方からの矢視図、図4(a)、(b)にスライド板の摺動部の断面図を示す。
【0025】
第1レール状案内部37には第1挿入方向奥突起40および第1挿入方向手前突起41が、第2レール状案内部38には第2挿入方向奥突起42および第2挿入方向手前突起43が設けられており、それぞれ第1挿入方向手前突起41より第1挿入方向奥突起40、第2挿入方向手前突起43より第2挿入方向奥突起42のほうが高さが高くなっている。スライド板39には、温度過昇防止装置44が第1凹部45と第2凹部46を介し、略U字状に固定され、また、温度検知装置47が第3凹部48に押え部49にて固定され取り付けられている。
【0026】
レール状案内部37の第1挿入方向奥突起40の対応位置には第1挿入方向奥スライド部50が、第1挿入方向手前突起41の対応位置には第1挿入方向手前スライド部51が、第2レール状案内部38の第2挿入方向奥突起42の対応位置には第2挿入方向奥スライド部52が、第2挿入方向手前突起43の対応位置には第2挿入方向手前スライド部53が設けられている。スライド板39は矢印aおよびbのように第1レール状案内部37と第2レール案内部38間に挿入され、摺動途中は、図4(a)の矢印cのように、第1挿入方向手前突起41が第1挿入方向奥スライド部50に当たることなく通過し、図4(b)の状態で停止した後、ねじ54により固定される。他の構成は従来例と同じである。
【0027】
上記構成において動作を説明すると、蓋21を開いて回転ドラム1内に洗濯物を投入し、電源スイッチ(図示せず)をオンした後、制御装置23に設けたスタートスイッチ(図示せず)を操作して運転を開始すると、給水弁22が動作して給水し、水位検知手段(図示せず)により所定の水位を検知すると給水を停止し、第1のモータ6を駆動する。洗濯行程では、洗濯物に水が含まれるため補給水しながら、回転ドラム1は第1のモータ6によって第1の回転数N1で回転駆動され、回転ドラム1内の洗濯物は持ち上げられて水面上に落下される。
【0028】
このとき、ヒータ25に通電して、温度検知装置47により温度を検知し、外槽24内の洗濯水をほぼ一定の温度に制御しながら、加熱する。
【0029】
仮に、制御装置23に故障が発生し、外槽24内の水が無いにもかかわらず、ヒータ25に通電した場合、外槽24内の温度は異常に上昇するが、この時、温度過昇防止装置44によりヒータ25への通電は分断され、火災まで至ることはない。
【0030】
以上のように、本実施例によれば、スライド板39をスライドさせる際に、容易に小さな力でスライドさせることができ、作業性、サービス性を向上させることができる。またセット後は所定の緊迫力でスライド板39を固定することができるため、温度検知装置47および温度過昇防止装置44の信頼性も向上させることができる。
【0031】
次に他の実施例について、図5(a)、(b)を用いて説明する。
図5(a)、(b)はスライド板55の摺動部近傍の断面図であり、図5(a)は摺動途中、図5(b)はセット時の状態を示している。レール状案内部56は所定の傾斜角を有し、スライド板55のスライド部である奥スライド部57および手前スライド部58はレール状案内部56の傾斜角と略同等の傾斜角を有している。
【0032】
このような構成にすることにより、矢印dのようにスライドさせる場合には、ほとんど力を要することなく、スライド板をスライドさせることができ、しかも最終セット位置でのみスライド板を固定させるため、作業性、サービス性をさらに向上させることができ、かつ温度検知装置および温度過昇防止装置の信頼性もさらに向上させることができる。
【0033】
以上の実施例は、外槽24の底面に加熱収容室26を設け、その底部裏面に温度検知装置47および温度過昇防止装置44を取り付けたものであるが、加熱収容室26を設けず、外槽24の底部裏面に直接、温度検知装置47および温度過昇防止装置44を取り付けても、その効果は本実施例と同等であることは言うまでもない。
【0034】
【発明の効果】
以上のように本発明の請求項1に記載の発明によれば、略水平方向に回転軸を有する回転ドラムと、この回転ドラムを外包した外槽と、この外槽の底部内側に配した加熱体と、前記外槽の底部外側で前記加熱体の対応位置に配したスライド板とを備え、このスライド板には温度検知装置および温度過昇防止装置の少なくとも一方を取付け、前記外槽の底部外側には、前記スライド板を着脱自在に摺動案内するレール状案内部を設けたものであるから、スライド板のスライドだけで検知装置を取り付けれるようにできるため、作業性、サービス性の向上を実現することができ、また水漏れの可能性を排することができる。さらに温度過昇防止装置の取り付けも可能にすることができるため火災の可能性も排することができる。
【0035】
また、請求項2に記載の発明によれば、レール状案内部は、相対向する断面略コ字状をなし、その下部内面とスライド板のスライド部の少なくとも一方には、その奥行き方向に向かうに従って高さが高くなる凸部を形成し、他方は前記凸部に合致する高さに設定したものであるから、スライド板をスライドさせる際に、容易に小さな力でスライドさせることができ、作業性、サービス性をさらに向上させることができる。またセット後は所定の緊迫力でスライド板を固定することができるため、温度検知装置および温度過昇防止装置の信頼性も向上させることができる。
【0036】
また、請求項3に記載の発明によれば、凸部は、高さが異なる複数の突起より構成されているから、それらの突起の高さを調整することによりスライド板の固定力を簡単に調整することができ、温度検知装置および温度過昇防止装置の信頼性をさらに向上させることができる。
【0037】
さらに、請求項4に記載の発明によれば、凸部は、傾斜面より構成されているから、ほとんど力を要することなく、スライド板をスライドさせることができ、しかも最終セット位置でのみスライド板を固定させるため、作業性、サービス性をさらに向上させることができ、かつ温度検知装置および温度過昇防止装置の信頼性もさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例のドラム式洗濯機の縦断面図
【図2】同ドラム式洗濯機の要部断面図
【図3】同ドラム式洗濯機の要部拡大矢視図
【図4】(a)同ドラム式洗濯機の要部拡大断面図
(b)同ドラム式洗濯機の要部拡大断面図
【図5】(a)本発明の他の実施例のドラム式洗濯機の要部拡大断面図
(b)本発明の他の実施例のドラム式洗濯機の要部拡大断面図
【図6】従来のドラム式洗濯機の縦断面図
【図7】同ドラム式洗濯機の要部断面図
【符号の説明】
1 回転ドラム
24 外槽
26 加熱体収容室
37 第1レール状案内部
38 第2レール状案内部
39 スライド板
Claims (4)
- 略水平方向に回転軸を有する回転ドラムと、この回転ドラムを外包した外槽と、この外槽の底部内側に配した加熱体と、前記外槽の底部外側で前記加熱体の対応位置に配したスライド板とを備え、前記スライド板には温度検知装置および温度過昇防止装置の少なくとも一方を取付け、前記外槽の底部外側には、前記スライド板を着脱自在に摺動案内するレール状案内部を設けたドラム式洗濯機。
- レール状案内部は、相対向する断面略コ字状をなし、その下部内面とスライド板のスライド部の少なくとも一方には、その奥行き方向に向かうに従って高さが高くなる凸部を形成し、他方は前記凸部に合致する高さに設定した請求項1記載のドラム式洗濯機。
- 凸部が、高さが異なる複数の突起よりなる請求項2記載のドラム式洗濯機。
- 凸部が、傾斜面よりなる請求項2記載のドラム式洗濯機。
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