JP3602191B2 - 移動体用表示装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、車両等の移動体を操縦する操縦者の視点を検出して表示画面等を制御する移動体用表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図20は、特開平6−99778号公報に開示される従来の移動体用表示装置の構成を示すブロック図であり、図において、1はテレビチューナであり、アンテナ1aで受信されたテレビ電波より増幅,検波等の処理を行い、ビデオ信号を出力する。3はナビゲーション装置であり、CD−ROMなどの地図データを記憶した記憶媒体と、GPSアンテナ3aを用いたGPS装置(図示せず)などの自車位置を検出するロケータ回路(図示せず)と、地図を画像に描画する描画回路(図示せず)などを備え、自車位置とその周辺の地図を画像信号として出力する。4は表示装置であり、CRTや液晶などの表示デバイス(図示せず)とその駆動回路(図示せず)などから構成され、テレビチューナ1の出力であるビデオ信号や、ナビゲーション装置3の出力である地図画像信号を受けてテレビ画面や地図画面を表示する。表示装置4は、操縦者から見やすいように車両のダッシュボード内やダッシュボード上、あるいはコンソール内などに設置されるのが望ましい。
【0003】
5は切換器であり、表示装置4の入力をテレビチューナ1の出力であるビデオ信号あるいはナビゲーション装置3の出力である地図画像信号のいずれかに切り換える。この切り換えは切換器5に配置されるスイッチ6により行う。7は電源であり、テレビチューナ1とナビゲーション装置3と表示装置4に電力を供給している。8はオン・オフスイッチであり、電源7と表示装置4との間に設置され、電源のオン・オフを切り換える。
【0004】
9は車両の走行状態を検出する走行状態検出手段であり、車速センサ(図示せず)と車速センサ出力より車両が走行しているかいないかを判定する判定回路(図示せず)などから構成されている。オン・オフスイッチ8は走行状態検出手段9によりオン・オフを制御され、結果的に表示装置4の表示のあり・なしが制御されている。
【0005】
次に動作について説明する。放送局から送られてくるテレビ電波はアンテナ1aにより受信され、テレビチューナ1へ送られる。このテレビ電波はテレビチューナ1により増幅,検波などの処理が行われ、ビデオ信号として出力される。また、ナビゲーション装置3では、GPSアンテナ3aを用いた前記ロケータ装置により例えば東経135度、北緯40度という数値で自車位置が検出され、この自車位置に基づいた周辺の地図を前記記憶媒体に記憶した地図データを基に地図画像として描画し、地図画像信号として出力する。これらテレビチューナ1の出力であるビデオ信号あるいはナビゲーション装置3の出力である地図画像信号は切換器5に送られて選択され表示装置4へ送られ、操縦者に対し視覚的に表示される。切換器5の切り換えはスイッチ6を操縦者が操作することで行われる。
【0006】
走行状態検出手段9は、車速センサからの車速パルスを一定時間毎に積分し、平均車速を計算すると共に、その計算された平均車速から車両が走行しているかいないかを判定する。例えば、車速5km/h以上を走行状態、車速5km/h未満を停止状態と判定する。
【0007】
走行状態検出手段9により判定された走行状態の判定結果によりオン・オフスイッチ8が制御され、停止状態ではオン・オフスイッチ8がオンに切り換わり、切換器5により選択されたビデオ信号あるいは地図画像信号のいずれかの信号が表示装置4へ送られ表示される。逆に走行状態であると判定されたときには、オン・オフスイッチ8がオフに切り換えられて表示装置4への電源が遮断されるので表示装置4の表示は消える。
【0008】
また、操縦者の眼の位置の検出装置としては、例えば特開昭60−158303号公報、特開昭60−158304号公報などに開示されたものがある。これらは室内に設けられた赤外線照射手段から操縦者の両眼を含む顔部分に赤外線を照射し、このときの赤外線の反射パターンを前記室内に設けられた赤外線撮像手段で撮像し、この撮像された顔画像から眼の位置を判定するものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来の移動体用表示装置は以上のように構成されているので、車両走行中の安全性が確保できるのに対し、車両の走行中はテレビ画面や地図画面を操縦者は見ることが出来ず、地図を参照しながら車両を操縦するという利便性に欠け、また同乗者がいる場合については考慮されておらず操縦者以外の同乗者に対しての利便性に欠けるなどの問題点があった。
【0010】
この発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、移動体走行中の安全性を確保すると共に、表示画面を参照しながら操縦するという利便性および操縦者以外の同乗者に対する利便性を損うことのない移動体用表示装置を得ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明に係る移動体用表示装置は、走行状態検出手段により移動体が走行中であると判定され、且つ視点判別手段により前記移動体の操縦者の視点が表示画面を含む所定の範囲に存在すると判別された場合は可視情報表示手段の表示する情報量を所定の情報量以下とする可視情報表示制御手段を備えるようにしたものである。
【0012】
請求項2の発明に係る移動体用表示装置は、走行状態検出手段により移動体が走行中であると判定され、且つ視点判別手段により前記移動体の操縦者の視点が表示画面を含む所定の範囲に存在すると判別された場合は、危険情報表示手段に危険を知らせる情報を表示させる危険情報表示制御手段を備えるようにしたものである。
【0013】
請求項3の発明に係る移動体用表示装置は、走行状態検出手段により移動体が走行中であると判定され、且つ視点判別手段により前記移動体の操縦者の視点が表示画面を含む所定の範囲に存在すると判別された場合は、危険可視情報記憶手段に記憶した危険可視情報を可視情報表示手段に表示させる危険可視情報表示制御手段を備えるようにしたものである。
【0014】
請求項4の発明に係る移動体用表示装置は、操縦者に危険を知らせる情報を音として表示する危険情報表示手段を備えるようにしたものである。
【0015】
請求項5の発明に係る移動体用表示装置は、走行状態検出手段により移動体が走行中であることが検出されると共に、視点判別手段により前記移動体の操縦者の視点が表示画面を含む所定の範囲に存在すると判定され、さらに計時手段により判定される時間の計測値が所定の時間以上あるいは前記所定の時間を越えたときに、可視情報表示手段の表示する情報量を所定の情報量以下にする可視情報表示制御手段を備えるようにしたものである。
【0016】
請求項6の発明に係る移動体用表示装置は、走行状態検出手段により移動体が走行中であることが検出されると共に、視点判別手段により操縦者の視点が表示画面を含む所定の範囲に存在すると判定される第1の時間が予め設定された第1規定時間以上あるいは前記第1規定時間を越えたときに、可視情報表示手段の表示する情報量を所定の情報量以下にし、また、前記視点判別手段により操縦者の視点が表示画面を含む所定の範囲に存在しないと判定される第2の時間が予め設定された第2規定時間以上あるいは前記第2規定時間を越えたとき、あるいは走行状態検出手段により前記移動体が走行中であることが検出されない状態になったときには、前記可視情報表示手段の表示する情報量を所定の情報量へ戻す可視情報表示制御手段を備えるようにしたものである。
【0017】
請求項7の発明に係る移動体用表示装置は、走行状態検出手段により移動体が走行中であることが検出されると共に、視点判別手段により前記移動体の操縦者の視点が表示画面を含む所定の範囲に存在すると判別され、さらに計時手段により計測された前記所定の範囲に存在する時間が所定の時間以上あるいは前記所定の時間を越えたときに、危険を知らせる情報を危険情報表示手段に表示させる危険情報表示制御手段、あるいは危険可視情報を可視情報表示手段に表示させる危険可視情報表示制御手段を備えるようにしたものである。
【0018】
請求項8の発明に係る移動体用表示装置は、走行状態検出手段により移動体が走行中であることが検出されると共に、視点判別手段により前記移動体の操縦者の視点が表示画面を含む所定の範囲に存在すると判別され、さらに計時手段により計測された前記移動体の操縦者の視点が表示画面を含む所定の範囲に存在している第1の時間が予め設定された第1規定時間以上あるいは前記第1規定時間を越えたときに危険を知らせる情報を危険情報表示手段に表示させ、あるいは危険可視情報を可視情報表示手段に表示させ、また、前記移動体の操縦者の視点が表示画面を含む所定の範囲に存在していない第2の時間が予め設定された第2規定時間以上あるいは前記第2規定時間を越えたとき、あるいは前記走行状態検出手段により前記移動体が走行中であることが検出されない状態になったときには、前記危険情報表示手段による危険を知らせる情報の表示または前記可視情報表示手段による危険可視情報の表示を中止させる危険情報表示制御手段、あるいは危険可視情報表示制御手段を備えるようにしたものである。
【0019】
請求項9の発明に係る移動体用表示装置は、走行状態検出手段により検出された移動体が走行中であるか否かの検出結果と視点判別手段による前記移動体の操縦者の視点が表示画面を含む所定の範囲に存在するか否かの判別結果とを基に、地図データ記憶手段から読み出す概略地図データあるいは詳細地図データを選択する地図種別選択手段と、GPSアンテナで受信したデータに基づいて現在位置を演算する現在位置演算手段と、前記地図データ記憶手段から読み出した前記概略地図データあるいは詳細地図データと前記現在位置演算手段が演算して求めた現在位置を示す印とを重ねて前記表示画面へ表示する表示手段とを備えたものである。
【0020】
【作用】
請求項1の発明における移動体用表示装置は、移動体の走行中に前記移動体の操縦者の視点が表示画面を含む所定の範囲に存在しているときには、前記移動体の操縦者は前記移動体の進行する方向を見ながら前記移動体の操縦を行っていない状態であるから、前記表示画面へ表示する情報量を所定の情報量以下に落とし、前記表示画面へ表示されている情報の把握を容易にし、あるいは前記移動体の操縦者の視点が前記表示画面上に固定されてしまう状態を回避し、移動体走行中の安全性を確保する。
【0021】
請求項2の発明における移動体用表示装置は、移動体が走行中であるときに前記移動体の操縦者の視点が表示画面を含む所定の範囲に存在していると、前記移動体の操縦者は前記移動体の進行する方向を見ながら前記移動体の操縦を行っていない状態であるから、危険であることを知らせる情報が出力されて前記移動体の操縦者に安全運転を促し、前記表示画面に表示された情報を参照しながら操縦するという利便性および操縦者以外の同乗者に対する利便性を損うことなく移動体走行中の安全性を確保する。
【0022】
請求項3の発明における移動体用表示装置は、移動体が走行中であるときに前記移動体の操縦者の視点が表示画面を含む所定の範囲に存在していると、前記移動体の操縦者は前記移動体の進行する方向を見ながら前記移動体の操縦を行っていない状態であるから、危険可視情報記憶手段に記憶されている危険を知らせる危険可視情報が前記表示画面に表示され、前記移動体の操縦者に安全運転を促し、前記表示画面に表示されている情報を参照しながら操縦するという利便性および操縦者以外の同乗者に対する利便性を損うことなく移動体走行中の安全性を確保する。
【0023】
請求項4の発明における移動体用表示装置は、移動体が走行中であるときに前記移動体の操縦者の視点が表示画面を含む所定の範囲に存在していると、前記移動体の操縦者は前記移動体の進行する方向を見ながら前記移動体の操縦を行っていない状態であるから、操縦者に対し音により危険を知らせ、聴覚的に安全運転を促し、前記表示画面に表示されている情報を参照しながら操縦するという利便性および操縦者以外の同乗者に対する利便性を損うことなく移動体走行中の安全性を確保する。
【0024】
請求項5の発明における移動体用表示装置は、移動体が走行中であるときに前記移動体の操縦者の視点が表示画面を含む所定の範囲に所定時間以上あるいは前記所定時間を越えて存在していると、前記移動体の操縦者は少なくとも前記所定時間、前記移動体の進行する方向を見ながら前記移動体の操縦を行っていない状態にあるから、前記表示画面に表示されている情報量を所定の情報量以下に落とし、前記表示画面へ表示されている情報の把握を容易にし、あるいは前記移動体の操縦者の視点が前記表示画面上に固定されてしまう状態を回避し、移動体走行中の安全性を確保する。
【0025】
請求項6の発明における移動体用表示装置は、移動体が走行中であるときに前記移動体の操縦者の視点が表示画面を含む所定の範囲に第1規定時間以上あるいは前記第1規定時間を越えて存在していると、前記表示画面に表示する情報量を所定の情報量以下に落とし、前記表示画面へ表示されている情報の把握を容易にし、あるいは前記移動体の操縦者の視点が前記表示画面上に固定されてしまう状態を回避し、移動体走行中の安全性を確保し、また、前記移動体が走行中であるときに前記移動体の操縦者の視点が前記表示画面を含む所定の範囲に存在していない時間が第2規定時間以上あるいは前記第2規定時間を越えたとき、あるいは前記移動体が停止状態になると、前記表示画面へ表示する情報量を所定の情報量へ戻し、前記表示画面に表示されている情報を参照しながら操縦するという利便性および操縦者以外の同乗者に対する利便性を損うことなく移動体走行中の安全性を確保する。
【0026】
請求項7の発明における移動体用表示装置は、移動体が走行中であるときに前記移動体の操縦者の視点が表示画面を含む所定の範囲に所定の時間以上あるいは所定の時間を越えて存在していると、前記移動体の操縦者は少なくとも前記所定時間、前記移動体の進行する方向を見ながら前記移動体の操縦を行っていない状態にあるから、音あるいは音以外の手段で危険を知らせる情報を表示し、前記移動体の操縦者に安全運転を促し、前記表示画面に表示された情報を参照しながら操縦するという利便性および操縦者以外の同乗者に対する利便性を損うことなく移動体走行中の安全性を確保する。
【0027】
請求項8の発明における移動体用表示装置は、移動体が走行中であるときに前記移動体の操縦者の視点が表示画面を含む所定の範囲に第1規定時間以上あるいは前記第1規定時間を越えて存在すると、前記移動体の操縦者は少なくとも前記第1規定時間、前記移動体の進行する方向を見ながら前記移動体の操縦を行っていない状態にあるから、音あるいは音以外の手段で危険を知らせる情報を表示し、前記移動体の操縦者に安全運転を促し、また、前記移動体の操縦者の視点が表示画面を含む所定の範囲にない時間が第2規定時間以上あるいは前記第2規定時間を越え、あるいは前記移動体が停止状態になると、前記危険を知らせる情報の表示は中止され、前記表示画面に表示された情報を参照しながら操縦するという利便性および操縦者以外の同乗者に対する利便性を損うことなく移動体走行中の安全性を確保する。
【0028】
請求項9の発明における移動体用表示装置は、移動体が走行中であるか否かの検出結果と前記移動体の操縦者の視点が表示画面を含む所定の範囲に存在するか否かの判別結果とを基に選択された概略地図データあるいは詳細地図データと、現在位置演算手段が演算して求めた現在位置を示す印とを重ねて前記表示画面へ表示することで、前記移動体が走行中であり、且つ前記移動体の操縦者の視点が表示画面を含む所定の範囲に存在するときには前記表示画面へ前記概略地図データの表示を行い、前記移動体が停止中、または前記移動体が走行中であっても前記移動体の操縦者の視点が表示画面を含む所定の範囲に存在しないときには前記表示画面へ前記詳細地図データの表示を行うことを可能にし、前記表示画面に表示された地図データを参照しながら操縦するという利便性および操縦者以外の同乗者に対する利便性を損うことなく移動体走行中の安全性を確保する。
【0029】
【実施例】
実施例1.
以下、この発明の一実施例を図について説明する。図1は、この実施例1の移動体用表示装置の構成を示すブロック図である。図1において図20と同一または相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。図において、10は眼球位置検出手段10aと視線計算手段10bとを備え、操縦者の視点を検出する視点位置検出手段(視点検出手段)である。眼球位置検出手段10aは、操縦者の眼球の位置を検出し、例えば赤外線などの照射用光源、光源駆動回路、カメラである反射光受像部などから構成され、1つの光源と複数の受像部、または複数の光源と1台の受像部とを使用して操縦者の眼球の位置を検出する。これら照射用光源と反射光受像部とは室内に設置されるのが望ましい。視線計算手段10bは、マイクロコンピュータとその付属回路から構成することが可能であり、眼球位置検出手段10aで検出した操縦者の眼球の位置から操縦者の視線方向を計算し、この計算結果から視点座標を算出する。
【0030】
12は室内に設置される表示装置(可視情報表示手段、危険情報表示手段、表示手段)4の表示画面付近の座標を記憶する座標記憶手段である。この座標記憶手段12には、世界座標系を基にしてx,y,zの3次元座標位置が記憶される。前記世界座標系の原点は、例えば、反射光受像部が1台ならばその位置、2台ならば両者の中央、3台以上であるならば重心位置などとして、反射光受像部の中心位置が選ばれる。
【0031】
13は眼球位置検出手段10aと視線計算手段10bとで算出された視点座標を、座標記憶手段12に記憶された座標と比較し、操縦者の視点が表示装置4の表示画面を含む所定の範囲にあるかないかを判別する視点判別手段である。14は、走行状態検出手段9の検出出力が走行中を示し、さらに視点判別手段13により操縦者の視点が表示装置4の表示画面上を含む所定の範囲に存在すると判定されたときに表示装置4へ表示する情報量が所定の情報量以下となるように制御する可視情報表示制御手段であり、この実施例ではオン・オフスイッチ8をオフの状態にし表示装置4への電源供給を遮断することにより、可視情報の表示を中断するものである。
【0032】
図2は、眼球位置検出手段10aが設置されている室内を示す説明図である。図において、20は操縦者、21は操縦席、22はハンドル、23はインスツルメントパネル、24はフロントガラスである。25aと25bはカメラでありCCDなどの撮像素子を備え、操縦者20の顔面を撮影している。26は赤外線照射器であり、操縦者20を照射する光源である。カメラ25aと25bとはインスツルメントパネル23内に設置されているが、これに限定されるものではなく、例えば表示装置4の上部や左側あるいは右側に設置してもよい。視線計算手段10bは、カメラ25a,25bから送られてくる画像信号から眼球の位置座標および視線方向を計算している。表示装置4は、インスツルメントパネル23横のダッシュボード中央部に設置される。29は表示装置4の表示画面である。
【0033】
次に動作について説明する。先ず、眼球位置検出手段10aが室内に設けられた赤外線照射器26から操縦者20の両眼を含む顔部分に赤外線を照射し、この赤外線の反射パターンをカメラ25a,25bにより撮像する。カメラ25a,25bと赤外線照射器26とが設けられているので、カメラ25a,25bにより複数の顔画像が得られ、この顔画像から眼球位置検出手段10aが操縦者20の眼球の位置を検出する。視線検出手段10bは眼球の位置から視線方向を計算し、世界座標系に基づく座標系に変換を行う。
【0034】
なお、この計算方法については特公平3−51407号公報などに詳しく述べられており、例えば赤外線を照射する手段から操縦者の両眼を含む顔部分に赤外線を照射し、このときの赤外線反射パターンをカメラで撮像し、その撮像された顔画像から眼球の位置と視線方向とを判定する。
【0035】
このようにして眼球位置検出手段10aの検出した眼球の位置座標と視線計算手段10bの計算した視線方向とから求められた視点座標を視点判別手段13へ送る。視線計算手段10bから出力された視点座標を、座標記憶手段12に予め記憶されている座標と比較して操縦者20の視点が表示装置4の表示画面を含む所定の範囲4aにあるかないかを視点判別手段13で判別する。
【0036】
図3は、眼球の位置座標を検出する際の主な処理手順を示すフローチャートである。ステップST1とステップST2は視線計算手段10bにおける処理、ステップST3は視点判別手段13における処理を示している。また、図4は図3のフローチャートに示す眼球の位置座標の検出処理の説明図であり、図において28は操縦者20の眼球である。図3に示すフローチャートによれば、視線計算手段10bにおいて眼球位置検出手段10aで検出した眼球の位置を入力し、ステップST1で原点Oに対する眼球中心位置Eを求める。次のステップST2では、眼球中心に対する視線の向きCを求める。
【0037】
視点判別手段13で行うステップST3では、操縦者20の視線Cの延長線上に表示画面29を含む所定の範囲4aがあるかないかを判定する。このステップST3では、図4に示すように表示画面29のある面Aを規定し、視線Cの延長線が範囲4a内で前記面Aと交差する視点Xを求め、次に視点Xが表示画面29を含む所定の範囲4aの中にあるかないかを判定する。図4では、視点Xは表示画面29内にある場合を示しており、この状態では操縦者20は表示画面29を見ていると判定する。視点判別手段13で得られた操縦者20の視点が表示装置4の表示画面29を含む所定の範囲4aにあるかないかの判別結果は、可視情報表示制御手段14へ送られる。
【0038】
可視情報表示制御手段14は、走行状態の判定結果と操縦者20の視点判別結果とから判断を行い、車両が走行状態にあって操縦者20が表示画面を見ている場合にはオン・オフスイッチ8を制御して表示装置4に供給される電源を遮断することにより、可視情報表示の出力を消す。また、可視情報表示の出力を消した後、車両が停止状態になるか、あるいは操縦者20が表示画面29から視線をそらしたときには、再度オン・オフスイッチ8をオンにして表示装置4へ電源を供給することにより元の可視情報の表示画像を表示画面29へ表示させる。
【0039】
図5は、可視情報表示制御手段14で行う可視情報表示制御処理を示すフローチャートである。ステップST11では、通常、表示装置4にはテレビチューナ1の出力であるビデオ信号あるいはナビゲーション装置3の出力である地図画像信号が供給され、表示画面29には可視情報であるテレビ画面あるいは地図画面が映し出されている。ステップST12では、車両が走行状態であるかないかを判定する。もし停止状態にあると判定すると、表示画面29にはテレビ画面あるいは地図画面が継続して映し出される。また、もし走行状態にあると判定したときには、続くステップST13において操縦者20が表示画面29を見ているかいないかを判定する。操縦者20が表示画面29を見ていないと判定したときには、表示画面29にはテレビ画面あるいは地図画面が継続して映し出される。また、もし操縦者20が表示画面29を見ていると判定したときには、ステップST14に進み、表示出力を消す。
【0040】
ステップST14で表示出力を消した後は、ステップST15で走行状態にあるかないかを判定し、もし停止状態にあればステップST11へ戻り、表示出力を再開させ、表示画面29にテレビ画面あるいは地図画面を映し出す。また、もし停止状態になく走行状態にあるときには、ステップST16で操縦者20が表示画面29を見ているかいないかを判断する。この結果、操縦者20が表示画面29を継続して見ていると、ステップST14へ戻り、表示出力を消した状態を継続する。また、もし操縦者20が表示画面29から視線をそらし、運転に必要な前方を見ている状態にあると判断したときには、ステップST11へ戻り、表示出力を再開させ、表示画面29にテレビ画面あるいは地図画面を映し出す。
【0041】
尚、以上説明した実施例では、表示装置4の電源を遮断することにより表示画面29への可視情報の出力を消すように構成したが、これに限定されるものではなく、表示されている可視情報が消え、あるいは表示される可視情報が抑制されることになればどのような方法でもよく、例えば、表示装置4へ入力されるビデオ信号あるいは地図画像信号を遮断するなどの構成であってもよい。
【0042】
実施例2.
図6は、この実施例2の移動体用表示装置の構成を示すブロック図である。図6において図1と同一または相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。図において、16は走行状態検出手段9と視点判別手段13との出力に基づいてブザー17のオン/オフを制御する所定情報表示制御手段(危険情報表示制御手段)である。ブザー17は危険情報を表示する危険情報表示手段であり、警報音を出力するものである。
【0043】
次に、図7に示すフローチャートを用いてこの実施例の移動体用表示装置の動作を説明する。先ず、ステップ21で表示装置4に可視情報を表示し、さらに次のステップST22では走行状態検出手段9による走行状態判定結果と視点判別手段13による操縦者20の注視点判定結果とから判断し、車両が走行状態にあり、且つ操縦者20が表示画面29を見ていると判断された場合にはステップST23へ進み、それ以外の場合にはステップST24を経由してステップST22へ戻る。そして、ステップST23では、所定情報表示制御手段16によりスイッチ18をオンにして危険情報表示手段であるブザー17から警報音を出力する。
【0044】
ステップST23を実行後はステップST22へ戻り、この間に車両が停止状態になるか、あるいは操縦者20が表示画面29から視線をそらしたときにはステップST24でスイッチ18をオフにして、ブザー17による音の出力を停止する。
【0045】
このように、ブザー17から音を出力することにより、操縦者20の注意を喚起し、操縦者20の脇見運転を防止し、操縦者20を正常な運転状態に復帰させることができるので安全性が向上する。
【0046】
実施例3.
図8は、この発明の実施例3の移動体用表示装置の構成を示すブロック図である。図8において図1と同一または相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。図において、31は危険可視情報出力手段であり、文字のフォント情報を記憶した危険可視情報記憶手段であるメモリ31aと文字をビデオ画像に変換する変換回路31bとで構成され、例えば「前を見て下さい」という注意メッセージの入った危険可視情報を出力する。33は表示装置4へ危険可視情報を表示するかしないかを切り換える切換スイッチである。
【0047】
32は危険可視情報表示制御手段であり、走行状態検出手段9の検出出力が走行中であることを示し、さらに視点判別手段13により操縦者20の視点が表示画面29を含む所定の範囲4a内に存在すると判定したら切換スイッチ33を制御して切り換え、表示装置4へメモリ31aから読み出した危険可視情報を表示する。また、切換スイッチ33は、危険可視情報表示制御手段32からの制御がないときには、テレビチューナ1の出力であるビデオ信号か、あるいはナビゲーション装置3の出力である地図画像信号かのいずれかを表示装置4へ送っている。
【0048】
次に動作について説明する。走行状態検出手段9と視点検出手段10と視点判別手段13の動作については前記実施例1で説明した動作と同様であるので説明を省略する。危険可視情報出力手段31は、例えば「前を見て下さい」という注意メッセージの入った危険可視情報をメモリ31aから読み出し、文字画像信号を発生し出力する。この場合の危険可視情報の色は限定しないが、背景に対しコントラストおよび色相の明確な配色にするのが好ましい。この危険可視情報は切換スイッチ33へ送られる。
【0049】
図9は、危険可視情報表示制御手段32の主な動作を示すフローチャートである。図9において図5と同一の処理ステップについては同一の符号を付し説明を省略する。ステップST31は文字画面を出力するステップであり、車両が走行状態であり、操縦者20が表示画面29を見た場合に切換スイッチ33を制御して表示装置4へ文字画像信号を送るように切り換え、表示画面29には「前を見て下さい」という注意メッセージが表示される。また、この注意メッセージを出力した後に車両が停止状態になるか、あるいは操縦者20が表示画面29から視線をそらし操縦に必要な前方を見るようになった場合には、再度切換スイッチ33を制御し、表示装置4に元の表示画面を出力する。
【0050】
このように、注意メッセージを表示することで操縦者20の注意を喚起し、操縦者20をより早く正常な運転状態へ復帰させることが出来る。
【0051】
尚、以上説明した実施例では、表示装置4の表示画面29に危険可視情報あるいはテレビ画面あるいは地図画面を映し出すものとして説明を行ったが、表示画面29に映し出されているテレビ画面あるいは地図画面に重ねて、またはその画面の一部に注意メッセージを表示出力する構成にしてもよい。
【0052】
実施例4.
図10は、この発明の実施例4の移動体用表示装置の構成を示すブロック図である。図10において図1と同一または相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。図において、34は計時手段であり、視点判別手段13により判別された結果出力を受け、視点判別手段13による操縦者20の視点が表示装置4付近にあるかないかの判別結果により、操縦者20の視点が表示装置4付近にあるときの、すなわち表示装置4付近に滞留した時間と、操縦者20の視点が表示装置4付近にないときの、すなわち表示装置4付近に滞留していない時間とを計測する。この滞留した時間と滞留していない時間は可視情報表示制御手段14へ送られる。
【0053】
次に動作について説明する。走行状態検出手段9と視点検出手段10と視点判別手段13の動作については前記実施例1で説明した動作と同様であるので説明を省略する。視点判別手段13により判定された結果は計時手段34へ送られる。計時手段34は、視点判別手段13による操縦者20の視点が表示画面29にあるかないかの判別結果により、操縦者20の視点が表示画面29にあるときは視点の滞留した時間を計測し、逆に操縦者20の視点が表示画面29にないときは、滞留していない時間を計測する。滞留した時間を示す信号あるいは滞留していない時間を示す信号のいずれか一方が可視情報表示制御手段14に送られる。
【0054】
図11は、可視情報表示制御手段14の主な処理を示したフローチャートである。尚、図5に示すフローチャートと同一の処理ステップについては同一の符号を付し説明を省略する。ステップST41は、計時手段34から送られてくる滞留した時間を示す信号により、その滞留した時間が所定時間以上であるかないかを判定する。もし、滞留した時間が前記所定時間未満であれば、表示画面29にはテレビ画面あるいは地図画面のいずれかが継続して表示される。もし、操縦者20が長時間、表示画面29を見ており、滞留した時間が前記所定時間以上になった場合には、ステップST14において表示画面を消す。この場合の前記所定時間は安全上、2秒が望ましい。
【0055】
表示画面を消した後は、次のステップST15において車両の走行状態を判定する。そして、停車状態にあれば、元の表示していたテレビ画面か地図画面を表示する。一方、走行状態が継続していれば、ステップST42で操縦者20が表示画面29を見ていない、すなわち滞留していない時間を判断する。もし、操縦者20が長時間、表示画面29を見なくなってからの視点の滞留していない時間が所定時間以上になったときにはステップST11へ戻り、元のテレビ画面あるいは地図画面を表示する。操縦者20の視点の滞留していない時間が所定時間未満の場合にはステップST14へ戻り、表示画面を消した状態を継続する。
【0056】
以上のように実施例4によれば、操縦者20の表示画面29への視点の滞留した時間と滞留していない時間とを計測し、前記各時間が所定の時間以上であるかないか判断し、表示画面29へのテレビ画面あるいは地図画面の表示を制御するようにしたので、実使用時の感覚に合致した表示制御効果を得ることができる。
【0057】
実施例5.
図12は、この発明の実施例5の移動体用表示装置の構成を示すブロック図である。図12において図6および図10と同一または相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。
【0058】
次に動作について説明する。所定情報表示制御手段16は、車両が走行状態にあり、操縦者20が長時間、表示画面を見ており、操縦者20の視点が滞留している時間が所定時間以上になった場合、オン・オフスイッチ18を制御してブザー17を駆動し危険を知らせる音を出力させ、安全運転を促す。
【0059】
また、ブザー17から危険を知らせる音を出力した後、停止状態になるか、あるいは操縦者20が表示画面29から目をそらし車両の操縦に必要な前方を見るようになり表示画面29を見ていない状態、すなわち視点が表示画面上に滞留していない時間が所定時間以上になったときには、再度、オン・オフスイッチ18を制御し、ブザー17から出力されていた音を止める。
【0060】
以上のようにこの実施例によれば、操縦者20の注意を喚起し、操縦者20を正常な運転状態へ復帰させることが出来、また、実使用時の感覚に合致した表示制御効果を得ることができる。
【0061】
実施例6.
図13は、この発明の実施例6の移動体用表示装置の構成を示すブロック図である。図13において図8および図10と同一または相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。
【0062】
次に動作について説明する。危険可視情報表示制御手段32は、通常ではテレビ画面あるいは地図画面を表示装置4の表示画面29へ表示する。走行状態になり、操縦者20が長時間、表示画面29を見ており、操縦者20の視点が滞留している時間が所定時間以上になった場合、切換スイッチ33を制御して表示装置4へメモリ31aから読み出された注意メッセージを表わす文字画像信号を送るように切り換え、表示画面29には「前を見て下さい」という注意メッセージが表示される。
【0063】
また、この注意メッセージを出力した後、停止状態になるか、あるいは操縦者20が表示画面29から目をそらし車両の操縦に必要な前方を見るようになり、表示画面29を見ていない、すなわち視点が滞留していない時間が所定時間以上になったときには、再度、切換スイッチ33を制御し、表示装置4に元の表示画像を出力する。操縦者20の視点が所定時間以内に表示画面上へ戻るときには、前記注意メッセージの表示を継続させる。
【0064】
以上のようにこの実施例によれば、操縦者20の注意を喚起し、操縦者20を正常な運転状態へ復帰させることが出来、また、実使用時の感覚に合致した表示制御効果を得ることができる。
【0065】
実施例7.
図14は、この発明の実施例7の移動体用表示装置の構成を示すブロック図である。図14において図1と同一または相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。図において、41はナビゲーション装置であり、地図データ記憶手段41bと地図種別選択手段41cと現在位置演算手段41dと地図表示制御手段41eとを備えている。地図データ記憶手段41bは、図16(a)に示すように主に幹線道路151,152からなる概略地図と、図16(b)に示すように詳細道路154,155も含む詳細地図の2種類の地図データを予め記憶している。地図種別選択手段41cは、可視情報表示制御手段14の出力に基づいて地図データ記憶手段41bに記憶された概略地図あるいは詳細地図を選択する。現在位置演算手段41dは、GPSアンテナ3aで受信したデータに基づいて現在位置を演算する。地図表示制御手段(表示手段)41eは、地図種別選択手段41cの選択した地図データを地図データ記憶手段41bから読み出し表示手段4に地図を表示すると共に、現在位置演算手段41dが演算した現在位置データに基づいて車両の現在位置を図16に示すマーク153として地図に重ねて表示する地図表示制御手段である。
【0066】
次に、この実施例の移動体用表示装置の動作を図15のフローチャートに基づいて説明する。先ず、ステップST61では現在位置演算手段41dが車両の現在位置を演算する。次のステップST62では、走行状態検出手段9の検出結果から走行中であるかないかを判別し、走行中であると判別したときにはステップST63へ進み、また走行中でなく停車中であると判別したときにはステップST65へ進む。ステップST63では、視点判別手段13により表示装置4の表示画面29上に操縦者20の視点が存在するかしないかを判別し、存在すると判別したときにはステップST64へ進み、また存在しないと判別したときにはステップST65へ進む。ステップST64へ進んだときには、地図表示制御手段41eの制御に基づいて、図16(a)に示した概略地図を表示装置4へ表示し、一方、ステップST65へ進んだときには、地図表示制御手段41eの制御に基づいて図16(b)に示した詳細地図を表示装置4に表示する。その後、ステップST66で現在位置演算手段41dにより求めた現在位置を示すマーク153を、表示された地図上へ表示する。
【0067】
以上のようにこの実施例では、停車中に詳細な地図を見ることが出来るのに対し、走行中では操縦者20は概略地図しか見ることが出来ず、従って詳細地図に比べて幹線道路151,152や現在位置を示すマーク153などの所定の情報量以下しか見ることが出来ないので、詳細道路154,155を読み取ろうとして長時間、表示画面を凝視することがなくなり安全性が向上すると共に、必要最小限の情報量が表示されることから道案内としての利便性が最小限確保されることになる。
【0068】
実施例8.
図17は、この実施例8の移動体用表示装置の構成を示すブロック図である。図17において図6および図14と同一または相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。
【0069】
この実施例では、前記実施例7の移動体用表示装置のナビゲーション装置41を前記実施例2の移動体用表示装置に適用したものであり、所定情報表示制御手段16の出力によりスイッチ18がオンにされてブザー17から警報音が出力されると共に、この警報音が出力されている期間に表示装置4の表示画面は、テレビ画面あるいは地図データ記憶手段41bから読み出された図16(a)に示す概略地図を表示する。また、車両が停止状態、あるいは車両が走行状態にあっても操縦者20の視点が表示画面から外れて前方を見るようになれば、表示装置4の表示画面は、テレビ画面あるいは地図データ記憶手段41bから読み出された図16(b)に示す詳細地図を表示する。
【0070】
従って、この実施例によれば、ブザー17により操縦者20へ危険を知らせ安全運転を促すと共に、それまで表示画面に詳細地図が映し出されているときには概略地図に切り換わり、操縦者20の視点が表示画面に映し出されている詳細地図上に釘付けになる状況を避けることが出来、安全性を確保できる。
【0071】
実施例9.
図18は、この発明の実施例9の移動体用表示装置の構成を示すブロック図である。図18において図10および図14と同一または相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。
【0072】
この実施例では、前記実施例7の移動体用表示装置のナビゲーション装置41を前記実施例4の移動体用表示装置に適用したものであり、可視情報表示制御手段14はオン・オフスイッチ8を制御する一方、ナビゲーション装置41の地図種別選択手段41cへ地図データ記憶手段41bに記憶された概略地図の選択を指示する制御信号を出力する。この制御信号は、計時手段34が滞留した時間を示す信号を出力している条件と、走行中であるという条件の両者が共に満足されたときに限り出力される。この結果、停車中に詳細な地図を見ることが出来るのに対し、走行中では操縦者20は概略地図しか見ることが出来ず、さらにこの概略地図に対しても長時間、表示画面を凝視するときには表示画面が消されることになり、概略地図を読み取ろうとして長時間、表示画面を凝視することがなくなり安全性が向上する。但し、同乗者は例えば操縦者の横で詳細地図を自由に凝視することが可能である。
【0073】
実施例10.
図19は、この発明の実施例10の移動体用表示装置の構成を示すブロック図である。図19において図13および図14と同一または相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。
【0074】
この実施例では、前記実施例7の移動体用表示装置のナビゲーション装置41を前記実施例6の移動体用表示装置に適用したものであり、危険可視情報表示制御手段32は切換スイッチ33を制御する一方、ナビゲーション装置41の地図種別選択手段41cへ地図データ記憶手段41bに記憶された概略地図の選択を指示する制御信号を出力する。この制御信号は、計時手段34が滞留した時間を示す信号を出力している条件と、走行中であるという条件の両者が共に満足されたときに限り出力される。この結果、停車中に詳細な地図を見ることが出来るのに対し、走行中では操縦者20は概略地図しか見ることが出来ず、さらにこの概略地図に対しても長時間、表示画面を凝視するときには表示画面は例えば「前を見て下さい」という注意メッセージに切り換わることになり、概略地図を読み取ろうとして長時間、表示画面を凝視することがなくなり安全性が向上する。但し、同乗者は例えば操縦者の横で詳細地図を自由に凝視することが可能である。
【0075】
実施例11.
尚、以上説明した各実施例においては、原点Oを例えば反射光受像部の中心位置とし、視点の位置の計算において世界座標系を基にしてx,y,zの3次元座標位置を用いていたが、これに限るものではない。この場合の他の実現手段としては、例えば操縦者の眼球の中心位置座標を原点とする極座標系を設定し、座標記憶手段12に記憶した表示装置4の座標を原点Oを中心とした同心球状(半径一定)の範囲に写像して記憶すれば、視線方向だけで視点がどこにあるのかを計算することが出来、前記各実施例の効果に加えて視点位置などの計算に要する処理が簡略化される効果がある。
【0076】
【発明の効果】
以上のように、請求項1の発明によれば、移動体の走行中に操縦者の視点が表示画面を含む所定の範囲に入ると、前記表示画面に表示する情報量が所定の情報量以下になるように構成したので、移動体走行中の安全性の確保と前記表示画面を参照しながら操縦するという利便性、さらに操縦者以外の同乗者に対する利便性を両立できる移動体用表示装置が得られる効果がある。
【0077】
請求項2の発明によれば、移動体の走行中に操縦者の視点が表示画面を含む所定の範囲に入ると、危険を知らせる情報を出力するように構成したので、移動体走行中の安全性の確保と前記表示画面を参照しながら操縦するという利便性、さらに操縦者以外の同乗者に対する利便性を両立できる移動体用表示装置が得られる効果がある。
【0078】
請求項3の発明によれば、移動体の走行中に操縦者の視点が表示画面を含む所定の範囲に入ると、危険可視情報記憶手段に記憶した危険可視情報を危険可視情報表示制御手段により前記表示画面へ表示させるように構成したので、移動体走行中の安全性の確保と前記表示画面を参照しながら操縦するという利便性、さらに操縦者以外の同乗者に対する利便性を両立できる移動体用表示装置が得られる効果がある。
【0079】
請求項4の発明によれば、移動体の走行中に操縦者の視点が表示画面を含む所定の範囲に入ると、危険を知らせる情報を音により出力するように構成したので、移動体走行中の安全性の確保と前記表示画面を参照しながら操縦するという利便性、さらに操縦者以外の同乗者に対する利便性を両立できる移動体用表示装置が得られる効果がある。
【0080】
請求項5の発明によれば、移動体の走行中に操縦者の視点が表示画面を含む所定の範囲に入っていると判定された時間が所定の時間以上あるいは前記所定の時間を越えたときに、前記表示画面へ表示する情報量を所定の情報量以下にするように構成したので、移動体走行中の安全性の確保と前記表示画面を参照しながら操縦するという利便性、さらに操縦者以外の同乗者に対する利便性を両立できる移動体用表示装置が得られる効果がある。
【0081】
請求項6の発明によれば、移動体の走行中に操縦者の視点が表示画面を含む所定の範囲に入っていると判定された第1の時間が予め設定された第1規定時間以上あるいは前記第1規定時間を越えると、前記表示画面へ表示する情報量を所定の情報量以下にし、また、前記操縦者の視点が表示画面を含む所定の範囲に入っていないと判定された第2の時間が予め設定された第2規定時間以上あるいは前記第2規定時間を越えたとき、あるいは前記移動体が停止状態になったときに前記表示画面の表示している情報量を所定の情報量へ戻すように構成したので、移動体走行中の安全性の確保と前記表示画面を参照しながら操縦するという利便性、さらに操縦者以外の同乗者に対する利便性を両立できる移動体用表示装置が得られる効果がある。
【0082】
請求項7の発明によれば、移動体の走行中に操縦者の視点が表示画面を含む所定の範囲に入っている時間が所定の時間以上あるいは前記所定の時間を越えたときに危険を知らせる情報を出力するように構成したので、移動体走行中の安全性の確保と前記表示画面を参照しながら操縦するという利便性、さらに操縦者以外の同乗者に対する利便性を両立できる移動体用表示装置が得られる効果がある。
【0083】
請求項8の発明によれば、移動体の走行中に操縦者の視点が表示画面を含む所定の範囲に入っている第1の時間が、予め設定された第1規定時間以上あるいは前記第1規定時間を越えたときに危険を知らせる情報を出力し、また、前記移動体の走行中に操縦者の視点が表示画面を含む所定の範囲に入っていない第2の時間が予め設定された第2規定時間以上あるいは前記第2規定時間を越えたとき、あるいは前記移動体が停止状態になったときに、前記危険を知らせる情報の出力が中止されるように構成したので、移動体走行中の安全性の確保と前記表示画面を参照しながら操縦するという利便性、さらに操縦者以外の同乗者に対する利便性を両立させることができ、また感覚的に不自然でない表示制御を実現できる移動体用表示装置が得られる効果がある。
【0084】
請求項9の発明によれば、移動体が走行中であるか否かの検出結果および操縦者の視点が表示画面を含む所定の範囲に存在するか否かの判別結果に応じて選択して読み出した概略地図データあるいは詳細地図データと、現在位置演算手段が演算して求めた現在位置を示す印とを重ねて前記表示画面へ表示するように構成したので、移動体走行中の安全性の確保と地図を参照しながら操縦するという利便性、さらに操縦者以外の同乗者に対する利便性を両立できる移動体用表示装置が得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1による移動体用表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施例1による移動体用表示装置の眼球位置検出手段が設置されている室内を示す説明図である。
【図3】この発明の実施例1による移動体用表示装置の眼球位置検出手段による眼球の位置座標を検出する際の主な処理手順を示すフローチャートである。
【図4】この発明の実施例1による移動体用表示装置における眼球の位置座標の検出処理についての説明図である。
【図5】この発明の一実施例による移動体用表示装置の可視情報表示制御手段で行う可視情報表示制御処理を示すフローチャートである。
【図6】この発明の実施例2による移動体用表示装置の構成を示すブロック図である。
【図7】この発明の実施例2による移動体用表示装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】この発明の実施例3による移動体用表示装置の構成を示すブロック図である。
【図9】この発明の実施例3による移動体用表示装置の危険可視情報表示制御手段の主な動作を示すフローチャートである。
【図10】この発明の実施例4による移動体用表示装置の構成を示すブロック図である。
【図11】この発明の実施例4による移動体用表示装置の可視情報表示制御手段の主な動作を示すフローチャートである。
【図12】この発明の実施例5による移動体用表示装置の構成を示すブロック図である。
【図13】この発明の実施例6による移動体用表示装置の構成を示すブロック図である。
【図14】この発明の実施例7による移動体用表示装置の構成を示すブロック図である。
【図15】この発明の実施例7による移動体用表示装置の動作を示すフローチャートである。
【図16】この発明の実施例7による移動体用表示装置の表示画面に表示される概略地図と詳細地図とを示す説明図である。
【図17】この発明の実施例8による移動体用表示装置の構成を示すブロック図である。
【図18】この発明の実施例9による移動体用表示装置の構成を示すブロック図である。
【図19】この発明の実施例10による移動体用表示装置の構成を示すブロック図である。
【図20】従来の移動体用表示装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
4 表示装置(可視情報表示手段,危険情報表示手段,表示手段)、9 走行状態検出手段、10 視点位置検出手段(視点検出手段)、13 視点判別手段、14 可視情報表示制御手段、16 所定情報表示制御手段(危険情報表示制御手段)、17 ブザー(危険情報表示手段)、31a メモリ(危険可視情報記憶手段)、32 危険可視情報表示制御手段、34 計時手段、41b 地図データ記憶手段、41c 地図種別選択手段、41d 現在位置演算手段、41e 地図表示制御手段(表示手段)。
Claims (9)
- 移動体の走行状態を検出する走行状態検出手段と、前記移動体の操縦者の視点を検出する視点検出手段と、可視情報を表示する可視情報表示手段と、前記視点検出手段の検出した前記操縦者の視点が前記可視情報表示手段の表示画面を含む所定の範囲に存在するか否かを判別する視点判別手段と、前記走行状態検出手段により前記移動体が走行中であることを検出した際に、前記視点判別手段により前記操縦者の視点が前記表示画面を含む所定の範囲に存在すると判別した場合は前記可視情報表示手段の表示する情報量を所定の情報量以下とする可視情報表示制御手段とを備えた移動体用表示装置。
- 移動体の走行状態を検出する走行状態検出手段と、前記移動体の操縦者の視点を検出する視点検出手段と、可視情報を表示する可視情報表示手段と、前記操縦者に危険を知らせる情報を表示する危険情報表示手段と、前記視点検出手段の検出した前記操縦者の視点が前記可視情報表示手段の表示画面を含む所定の範囲に存在するか否かを判別する視点判別手段と、前記走行状態検出手段により前記移動体が走行中であることを検出した際に、前記視点判別手段により前記操縦者の視点が前記表示画面を含む所定の範囲に存在すると判別した場合は前記危険情報表示手段に前記危険を知らせる情報を表示させる危険情報表示制御手段とを備えた移動体用表示装置。
- 移動体の走行状態を検出する走行状態検出手段と、前記移動体の操縦者の視点を検出する視点検出手段と、可視情報を表示する可視情報表示手段と、該可視情報表示手段に表示されて前記操縦者への危険を知らせる危険可視情報を予め記憶した危険可視情報記憶手段と、前記視点検出手段の検出した前記操縦者の視点が前記可視情報表示手段の表示画面を含む所定の範囲に存在するか否かを判別する視点判別手段と、前記走行状態検出手段により前記移動体が走行中であることを検出した際に、前記視点判別手段により前記操縦者の視点が前記表示画面を含む所定の範囲に存在すると判別した場合は前記危険可視情報記憶手段に記憶した危険可視情報を前記可視情報表示手段に表示させる危険可視情報表示制御手段とを備えた移動体用表示装置。
- 前記危険情報表示手段は、前記操縦者に危険を知らせる情報として音により警報を表示することを特徴とする請求項2記載の移動体用表示装置。
- 前記視点判別手段により前記操縦者の視点が前記表示画面を含む所定の範囲に存在すると判定される時間を計測する計時手段を有し、前記可視情報表示制御手段は、前記走行状態検出手段により前記移動体が走行中であることを検出した際に、前記視点判別手段により前記操縦者の視点が前記表示画面を含む所定の範囲に存在すると判定され、さらに前記計時手段により計測された前記時間が所定の時間以上あるいは前記所定の時間を越えたときに、前記可視情報表示手段の表示する情報量を所定の情報量以下にすることを特徴とする請求項1記載の移動体用表示装置。
- 前記視点判別手段により前記操縦者の視点が前記表示画面を含む所定の範囲に存在すると判定される第1の時間および前記表示画面を含む所定の範囲に存在しないと判定される第2の時間を計測する計時手段を有し、前記可視情報表示制御手段は、前記走行状態検出手段により前記移動体が走行中であることを検出した際に、前記視点判別手段により前記操縦者の視点が前記表示画面を含む所定の範囲に存在すると判定され、さらに前記計時手段により計測された前記第1の時間が予め設定された第1規定時間以上あるいは前記第1規定時間を越えたときに、前記可視情報表示手段の表示する情報量を所定の情報量以下にし、この状態設定後に、前記第2の時間が予め設定された第2規定時間以上あるいは前記第2規定時間を越えたとき、あるいは前記走行状態検出手段により前記移動体が走行中であることが検出されない状態になったときには、前記可視情報表示手段の表示する情報量を所定の情報量へ戻すことを特徴とする請求項1記載の移動体用表示装置。
- 前記視点判別手段により前記操縦者の視点が前記表示画面を含む所定の範囲に存在すると判定される時間を計測する計時手段を有し、前記危険情報表示制御手段あるいは前記危険可視情報表示制御手段は、前記走行状態検出手段により前記移動体が走行中であることを検出した際に、前記視点判別手段により前記操縦者の視点が前記表示画面を含む所定の範囲に存在すると判別され、さらに前記計時手段により計測された前記時間が所定の時間以上あるいは前記所定の時間を越えたときに前記危険を知らせる情報を前記危険情報表示手段に表示し、あるいは危険可視情報を前記可視情報表示手段に表示することを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項記載の移動体用表示装置。
- 前記視点判別手段により前記操縦者の視点が前記表示画面を含む所定の範囲に存在すると判定される第1の時間および前記表示画面を含む所定の範囲に存在しないと判定される第2の時間を計測する計時手段を有し、前記危険情報表示制御手段あるいは前記危険可視情報表示制御手段は、前記走行状態検出手段により前記移動体が走行中であることを検出した際に、前記視点判別手段により前記操縦者の視点が前記表示画面を含む所定の範囲に存在すると判別され、さらに前記計時手段により計測された前記第1の時間が予め設定された第1規定時間以上あるいは前記第1規定時間を越えたときに前記危険を知らせる情報を前記危険情報表示手段に表示し、あるいは危険可視情報を前記可視情報表示手段に表示し、この状態設定後に、前記第2の時間が予め設定された第2規定時間以上あるいは前記第2規定時間を越えたとき、あるいは前記走行状態検出手段により前記移動体が走行中であることが検出されない状態になったときには、前記危険情報表示手段による危険を知らせる情報の表示、あるいは前記可視情報表示手段による危険可視情報の表示を中止させることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項記載の移動体用表示装置。
- 概略地図データと詳細地図データとを格納した地図データ記憶手段と、前記走行状態検出手段により検出された前記移動体が走行中であるか否かの検出結果および前記視点判別手段による前記操縦者の視点が前記表示画面を含む所定の範囲に存在するか否かの判別結果を基に、前記地図データ記憶手段から読み出す概略地図データあるいは詳細地図データを選択する地図種別選択手段と、GPSアンテナで受信したデータに基づいて現在位置を演算する現在位置演算手段と、前記地図種別選択手段により選択された前記概略地図データあるいは詳細地図データを前記地図データ記憶手段から読み出し、読み出した前記概略地図データあるいは詳細地図データと前記現在位置演算手段が演算して求めた現在位置を示す印とを重ねて前記表示画面へ表示する表示手段とを備えていることを特徴とする請求項2または請求項4から請求項8のいずれか1項記載の移動体用表示装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10668895A JP3602191B2 (ja) | 1995-04-28 | 1995-04-28 | 移動体用表示装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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