JP3602027B2 - 放射線測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は放射線測定装置に関し、特に複数の測定ユニットを備えた放射線測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】
放射線源(RI)をトレーサーとして利用して生体診断を行う場合、まず、RIを含む薬剤が注射器によって生体の血管内へ注入され、あるいは、薬剤が経口投与され、それから一定時間後に、血液や尿などの体液が採取される。そして、その注入(投与)前の薬剤の放射能(放射能量)と、採取された体液中の放射能(放射能量)の関係から、生体の代謝機能や薬剤効果などを評価するための診断データが取得される。
【0003】
従来において、上記のような診断を行うための放射線測定装置は、基本的に、1つの測定ユニットのみを有していた。つまり、注入前のサンプルに対する低感度測定と採取後のサンプルに対する高感度測定とが同じ測定ユニットを利用して遂行されていた。このため、どうしても低感度測定と高感度測定のそれぞれについて最良の計測環境を構築するのが難しかった。
【0004】
また、従来においては、放射線測定装置とは別の重量計を利用する必要があり、その場合に薬剤の容器や注射器などの重量の減算などを考慮する必要があった。更に、各種の測定データに基づく演算を手計算で行うのは煩雑であるという問題があった。
【0005】
なお、特開平8−285945号公報には、単一の測定ユニットを備えた放射線測定装置が開示され、その装置は、サンプルの重量を測定するユニットを有している。しかし、高感度及び低感度の両測定への配慮はなされていない。
【0006】
本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、複数の測定ユニットを合理的に機能させることが可能な放射線測定装置を提供することにある。
【0007】
また、本発明の他の目的は、低感度測定と高感度測定とを行うに当たり、装置規模を小さくし、また装置コストを低減することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、第1測定ユニット及び第2測定ユニットを含む放射線測定装置であって、前記第1測定ユニットは、第1サンプルを収容する第1収容室と、第2サンプル放射線受入口を有し、前記第1収容室を取り囲んだ第1遮蔽容器と、前記第1収容室に隣接して設けられ、第1サンプル測定時には第1サンプル放射線を検出し、第2サンプル測定時には前記第2サンプル放射線受入口から進入した第2サンプル放射線を検出する放射線検出器と、を有し、前記第2測定ユニットは、第2サンプルを収容する第2収容室と、第2サンプル放射線放出口を有し、前記第2収容室を取り囲んだ第2遮蔽容器と、を含み、前記第2サンプル放射線放出口から前記第2サンプル放射線受入口までの放射線の放射経路を取り囲む中空遮蔽体が設けられ、更に後述する構成を有することを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、第1測定ユニットにおいては、第1遮蔽容器内に設けられた第1収容室の中には第1サンプルが収容され、第1サンプルからの放射線が放射線検出器で検出される。これにより高感度測定が実現される。一方、第2遮蔽容器内に設けられた第2収容室の中には第2サンプルが収容され、第2サンプルからの第2サンプル放射線が第2サンプル放射線放出口から出て放射経路を介して第2サンプル放射線受入口に到達し、その第2サンプル受入口から進入した第2サンプル放射線が放射線検出器で検出される。これにより、パイルアップなどを防止した低感度測定が実現される。ここで、放射線検出器は両測定で交互に利用(兼用)されるため装置コストを削減できると共に装置規模も小さくできる。望ましくは、放射経路には、相互に離間配置された両ユニットの配置方向に沿って伸長した中空遮蔽体(コリメータ)が設けられ、その放射経路上において、外部への第2サンプル放射線の漏洩や外部放射線の進入が阻止される。第2サンプル放射線の検出効率は、主に、第2放射線放出口による第1絞り作用、第2サンプル放射線受入口による第2絞り作用に大きく依存する。よって、それらの幾何学的な形態や位置関係を適宜設計することによって所望の検出効率を実現できる。また、実験によって検出効率を求め、それを演算処理に利用するようにしてもよい。
【0010】
本発明においては、前記放射線検出器は、前記第1収容室を取り囲むシンチレータと、前記シンチレータに受光面を向けて配置された一対の光電子増倍管と、を含み、前記一対の光電子増倍管の配列方向が、前記第1測定ユニット及び前記第2測定ユニットの配列方向に対して斜め方向に設定される。
【0011】
この構成によれば、ユニット配置方向に対して斜め方向に一対の光電子増倍管が配置されるので、両方向を直交させた場合に比べて、装置の形態(奥行きなど)を小さくできる。望ましくは、両方向を例えば斜め45度で交差させるのがよい。
【0012】
望ましくは、前記第1遮蔽容器と前記シンチレータとの間にシンチレータ用容器が設けられ、前記シンチレータ用容器には、前記第2サンプル放射線受入口に対応した位置に第2サンプル放射線が透過する薄肉部が形成される。
【0013】
シンチレータ保護などのためにシンチレータ用容器が例えば一定肉厚のアルミニウムで構成される場合、その一部を薄肉部にして、そこに第2サンプル放射線を透過させれば、全体として、シンチレータ用容器の機能を損なうことなく、第2サンプル放射線について、検出効率の低下やエネルギースペクトルの変動などを防止できる。
【0014】
(2)また、上記目的を達成するために、本発明は、相互に離間した第1測定ユニット及び第2測定ユニットを含む放射線測定装置であって、前記第1測定ユニットは、第1サンプルを収容する井戸状の第1収容室と、前記第2測定ユニットに向けて形成された縦長の第2サンプル放射線受入口を有し、前記第1収容室を取り囲んだ第1遮蔽容器と、前記第1収容室を取り囲んでそれに隣接して設けられ、第1サンプル測定時には第1サンプル放射線を検出し、第2サンプル測定時には前記第2サンプル放射線受入口から進入した第2サンプル放射線を検出する放射線検出器と、を有し、前記第2測定ユニットは、縦長の第2サンプルを収容する井戸状の第2収容室と、縦長の第2サンプル放射線放出口を有し、前記第2収容室を取り囲んだ第2遮蔽容器と、を含み、前記第2サンプル放射線放出口から前記第2サンプル放射線受入口までの放射線の放射経路を取り囲みつつ伸長した中空遮蔽体が設けられ、前記中空遮蔽体は垂直断面が縦長の内部空間を有する。
【0015】
上記構成によれば、井戸型の各収容室に収容される縦長のサンプルに対応して、第2放射線放出口、第2放射線受入口及び中空遮蔽体の内部空間がそれぞれ縦長に構成される。
【0016】
(3)また、上記目的を達成するために、本発明は、高感度測定用の第1測定ユニット及び低感度測定用の第2測定ユニットを含む放射線測定装置であって、前記第1測定ユニットは、第1サンプルを収容する第1収容室と、第2サンプル放射線受入口を有し、前記第1収容室を取り囲んだ第1遮蔽容器と、前記第1収容室を取り囲んでそれに隣接して設けられ、第1サンプル測定時には第1サンプル放射線を検出し、第2サンプル測定時には前記第2サンプル放射線受入口から進入した第2サンプル放射線を検出する放射線検出器と、を有し、前記第2測定ユニットは、縦長の第2サンプルを収容する第2収容室と、縦長の第2サンプル放射線放出口を有し、前記第2収容室を取り囲んだ第2遮蔽容器と、を含み、前記第2サンプル放射線放出口から前記第2サンプル放射線受入口までの放射線の放射経路を取り囲む中空遮蔽体が設けられ、前記第1サンプルは生体から抽出された放射性体液を入れた体液チューブであり、前記第2サンプルは生体へ投与される放射性薬剤を入れた薬剤シリンジであることを特徴とする。
【0017】
上記構成によれば、低感度測定によって、生体への投与前の薬剤の放射能量を検出できるとともに(及び投与残量の放射能量)、高感度測定によって、生体からの採取された体液の放射能量を検出して、その検出結果から、生体の代謝機能や薬剤効果など各種の診断を行える。薬剤の測定についてはそれがシリンジに収容された状態で行えるので簡便かつ正確であり、これと同様に、体液の測定についてもそれがチューブに収容された状態で行えるので簡便かつ正確である。シリンジに三方活栓が付加されていてもそれを第2収容室に収容できるように構成するのが望ましい。投与前測定の測定結果はメモリ上に記録され、また、採取後測定の測定結果もメモリ上に記録され、必要に応じてそれらのデータが読み出されて演算処理や表示処理に利用される。
【0018】
なお、体液は血液、尿などであり、体液チューブは体液を入れたバイアルなどの各種の容器であってもよい。
【0019】
望ましくは、前記第1収容室内には前記第1サンプルが挿入されるチューブアダプタが交換可能に設けられ、前記第2収容室内には前記第2サンプルが挿入されるシリンジアダプタが交換可能に設けられる。各アダプタが交換可能であれば汚染(特に放射性物質による汚染)などに対処できる。
【0020】
望ましくは、前記第1収容室の上部には上方に開いた漏斗状の第1開口部が形成され、前記第1開口部の下端口は前記チューブアダプタの上端口内に臨み、前記第2収容室の上部には上方に開いた漏斗状の第2開口部が形成され、前記第2開口部の下端口は前記シリンジアダプタの上端口内に臨んている。この構成によれば、仮に開口部内側のテーパー面に液滴が落下しても、漏斗状の各開口部によって、その液滴をアダプタ内に落とし込むことができ、それ以外の装置内部の汚染を防止できる。また、漏斗状であるので、チューブやシリンジの出し入れが容易である。
【0021】
望ましくは、前記第1開口部を覆う第1カバーと、前記第2開口部を覆う第2カバーと、を含む。この構成によれば、各カバーによって、各収容室への異物の進入を防止できる。透明カバーを利用すれば、測定中にサンプルを観察できる利点がある。
【0022】
望ましくは、前記第1収容室内に前記第1サンプルを収容した状態で前記第1サンプルの重量を計測する重力計測ユニットを含む。採取後のサンプル量が未知であっても、自動的な重量測定が行われるので、単位重量当たりの放射能量を演算することが可能となる。重量測定値から、例えば、アダプタ、スタンド、チューブやバイアルなどのサンプル本体以外の部材の重量をキャンセルすれば、サンプル自体の重量を簡単に求めることができる、よって、それらの部材の重量を予め登録しておくのが望ましい。
【0023】
望ましくは、前記第1サンプルの放射線測定結果、前記第2サンプルの放射線測定結果及び前記第1サンプルの重量に基づいて演算処理を実行する演算部を含む。その演算は例えば単位重量当たりの放射能量や稀釈率などである。装置に半減期補正機能やバックグランド減算機能などを付加してもよい。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
図1及び図2には、本発明に係る放射線測定装置の好適な実施形態が示されており、図1は水平断面図であり、図2は垂直断面図である。
【0026】
各図に示されるように、本実施形態に係る装置は、第1測定ユニット10と第2測定ユニット12とを有している。第1測定ユニット10は、高感度測定用の測定ユニットであって、生体から採取された血液や尿などの第1サンプルからの放射線を測定するためのユニットである。第2測定ユニット12は、低感度測定用のユニットであって、生体への投与前の放射性試薬かなどの第2サンプルからの放射線を測定するためのユニットである。以下に、各ユニットについて詳述する。
【0027】
第1測定ユニット10において、第1収容室14は、生体から採取された第1サンプルが収容される空間である。第1収容室14の周囲を取り囲むように円筒形状(筒状)のシンチレータ16が設けられている。周知のようにシンチレータ16に放射線が入射すると、そこで発光が生じ、生じた光が一対の光電子増倍管18,20によって検出される。一対の光電子増倍管18,20が設けられているのはいわゆるコインシデンス(同時計数)法によるノイズ計数の除外を行うためである。
【0028】
シンチレータ16の周囲にはアルミニウムで構成されるシンチレータ用容器22が設けられている。その容器22は一定の厚みをもっているが、後に詳述する受入口100に対向する部分が薄肉部22Aとされている。ここでその薄肉部22Aの厚みは例えば1mmである。また、容器22の通常部分の厚みは例えば5mmである。図1及び図2に示されるように、シンチレータ16の内側には薄いアルミ部材24が設けられている。これらのアルミ部材24及び容器22はシンチレータ16の保護を図っている。
【0029】
容器22の外側には遮蔽容器26が設けられている。この遮蔽容器26は鉛などで構成されるものであり、外部放射線の進入の阻止と内部放射線の漏洩防止を行うための部材である。一対の光電子増倍管18,20の外側には鉛などで構成される遮蔽部材28,30が設けられている。
【0030】
遮蔽容器26には、第2測定ユニット12から放出された放射線(第2サンプル放射線)を受け入れるための縦長の受入口100が形成されている。
【0031】
一方、第2測定ユニット12は、第2サンプルを収容する第2収容室32を有しており、その第2収容室32の周囲を取り囲むように遮蔽容器34が設けられている。この遮蔽容器34も例えば鉛などによって構成される。遮蔽容器34の一部には縦長の放出口102が形成されており、図示されるようにその放出口102は上記の受入口100に対向している。放出口102から受入口100の間の比較的長い経路にはコリメータ36が設けられている。このコリメータ36は鉛などで構成され、矩形の垂直断面を有している。すなわちその内部空間36Aは縦長の矩形形状を有している。
【0032】
上述のように、受入口100及び放出口102の両者とも縦長のサンプルの形状に合わせてそれぞれが縦長に形成されている。これにより、サンプルの垂直方向の全域からの放射線を利用できるので、サンプルに濃度勾配がある場合でも正確な測定が行える。
【0033】
以上のような放出口102、コリメータ36及び受入口100などの機能によって、第2測定ユニット12に収容された第2サンプルからの放射線が第1測定ユニット10内に取り込まれ、具体的には、シンチレータ16によって第2サンプルからの放射線も検出されることになる。この構成から明らかなように、第1測定ユニット10によれば微弱放射線に対する高感度測定を行うことができ、一方、第2測定ユニット12によれば、比較的強度の放射線に対してパイルアップによる数え落としを防止した低感度測定を行うことが可能である。ちなみに、第1測定ユニットと第2測定ユニットの検出効率は例えば1000対1である。
【0034】
もちろん、検出効率は放出口102の通過面積や受入口100の通過面積などを適宜調整することによって、自在に設定することが可能である。
【0035】
上述したように容器22には薄肉部22Aが形成されており、このような構成により第2のサンプルからの放射線に対する減弱やエネルギー特性の変化などを最小限に押さえることが可能である。
【0036】
もちろん、その薄肉部22Aの厚さを調整すれば微細な調整が可能であるので、所望の検出効率や感度特性などを実現することも可能である。
【0037】
次に、図2を中心として各ユニット10,12の構成について更に説明する。
【0038】
第1測定ユニット10には、尿や血液などの第1サンプルを収容したチューブ40が収容される。このチューブ40は例えばバイアルのような容器であってもよい。チューブ40はチューブアダプタ42によって起立保持されており、そのチューブアダプタ42はスタンド44上に載置されている。スタンド44は重量計46上に載置されており、この構成によって第1サンプルの重量計測を行うことが可能である。なお、アダプタ42の形状は図2に示すものは一例であって、これ以外にも各種の形状を採用することができ、本実施形態においては、特にアダプタ42が交換自在に構成されている。これは、汚染などが生じた場合にアダプタ42を交換するためである。
【0039】
アダプタ42の上部開口42Aはやや水平方向に広がっており、漏斗状の開口部材48の下端開口48Aを受け入れている。つまり、その下端開口48Aが上部開口42Aの内部に臨んでいる。開口部材48の上側にはカバー50が着脱自在に設けられている。なお、アダプタ42の縦方向に一対のスリットなどを形成すれば、チューブ40を指で挟んで取り出す作業が容易となる。また、図1においては第1収容室14においてアダプタ42のみによってチューブ40を保持したが、さらにアダプタ42自体を保持する部材を別途設けるようにしてもよい。
【0040】
第2測定ユニット12において、収容室32にはアダプタ52が挿入されている。このアダプタ52はシリンジ(注射器)54を収容するためのものである。ここでシリンジ54は放射性試薬を収容したものであって、生体への試薬投入前に第2測定ユニット12を利用して試薬の放射能量が測定される。
【0041】
アダプタ52の上端52Aは水平方向に広がっており、漏斗状の開口部材56の下端開口56Aを受け入れている。開口部材56の上側にはカバー58が着脱自在に設けられている。ちなみに、カバー50,58を透明部材で構成すれば、内部のサンプルの目視観察などを行うことが可能である。そのようなカバー50,58は放射線の遮蔽機能をもった部材で構成してもよい。
【0042】
以上のような構成によれば、放射性試薬の生体への投与前に、そのような試薬を収容したシリンジ54が第2測定ユニット12にセットされ、シリンジ54内の試薬からの放射線が放出口102,コリメータ36及び受入口100を介してシンチレータ16に導かれ、そのシンチレータ16によって試薬からの放射線が検出される。そして、その検出後、第2測定ユニット12からシリンジ54が取り出され、生体へ試薬が実際に投与される。その投与後、必要に応じてシリンジ54内に残存した試薬の放射能量を第2測定ユニット12を利用して測定してもよい。
【0043】
投与後、一定時間が経過した時、あるいは投与後の一定時間間隔で、生体から血液などが採取され、その血液がチューブ40内に収容された状態で、第1測定ユニットを利用して血液中の放射能量が測定される。その場合、その放射線の測定と同時進行で血液などのサンプルの重量の測定も実行される。チューブ40内の血液などからの放射線は、その周囲に設けられたシンチレータ26で検出されるが、この場合においてはシンチレータ16の全域によって高い検出効率にてその測定が行われる。
【0044】
図3には、本実施形態に係る装置のデータ演算に関わる構成がブロック図として示されている。
【0045】
計測部70は、上述したシンチレータ16及び一対の光電子増倍管18,20の他、光電子増倍管18,20からの信号を処理する波高弁別回路やコインシデンス回路などの各種の回路で構成されるものである。計測部70からの出力信号は演算部74に入力され、その演算結果や計測値には必要に応じてメモリ76に格納される。
【0046】
また、演算部74には重量計46からの出力信号も入力されており、演算部74はその重量データを必要に応じてメモリ76に格納する。
【0047】
演算部74は各種の演算処理機能を有しており、例えば希釈率の演算や単位体積あたりの放射能量の演算などを行う機能を有している。その演算結果は表示部80に表示される。入力部82はキーボードなどで構成されるものである。
【0048】
上記の実施形態によれば、極めて広いダイナミックレンジを確保可能であり、例えば約148ベクレル〜740メガベクレルまでの広い測定レンジを確保できる。また、重量測定機能を有しているため、採取されたサンプルの液量などを計測することなく単位重量当たりの放射能量などを演算することが可能である。また、上記の実施形態においては、アダプタ42,54が設けられており、それらが交換可能にされているので、例えば汚染が生じた場合にもアダプタを交換することが可能であり、計測精度を高められる。また、測定ユニットにはカバー50,58が設けられているため、ゴミなどが測定ユニット内に進入することを阻止できる。
【0049】
なお、図2において各収容室14,32の形状は一例であって上記以外にも各種の形状を採用可能である。例えば、第2収容室32内に三方活栓付シリンジを収容する場合には、そのような三方活栓を受け入れられるように収容室の形状を適宜変更するのが望ましい。また、その場合においても三方活栓に対応したアダプタを用いるのが望ましい。ちなみに、本実施形態に係る装置でTc−99mを測定する場合、第1測定ユニット10の検出効率は例えば7%であり、第2測定ユニット12の検出効率は例えば0.007%である。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、サンプルに対する低感度測定と高感度測定を実現することが可能である。また、本発明によれば、装置の規模を小さくできるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る放射線測定装置の水平断面図である。
【図2】本発明に係る放射線測定装置の垂直断面図である。
【図3】データ演算に関わる構成を表わしたブロック図である。
【符号の説明】
10 第1測定ユニット、12 第2測定ユニット、14 第1収容室、16シンチレータ、18,20 光電子増倍管、26 遮蔽容器、32 第2収容室、34 遮蔽容器、36 コリメータ、100 受入口、102 放出口。
Claims (10)
- 第1測定ユニット及び第2測定ユニットを含む放射線測定装置であって、
前記第1測定ユニットは、
第1サンプルを収容する第1収容室と、
第2サンプル放射線受入口を有し、前記第1収容室を取り囲んだ第1遮蔽容器と、
前記第1収容室に隣接して設けられ、第1サンプル測定時には第1サンプル放射線を検出し、第2サンプル測定時には前記第2サンプル放射線受入口から進入した第2サンプル放射線を検出する放射線検出器と、
を有し、
前記第2測定ユニットは、
第2サンプルを収容する第2収容室と、
第2サンプル放射線放出口を有し、前記第2収容室を取り囲んだ第2遮蔽容器と、
を含み、
前記第2サンプル放射線放出口から前記第2サンプル放射線受入口までの放射線の放射経路を取り囲む中空遮蔽体が設けられ、
前記放射線検出器は、
前記第1収容室を取り囲むシンチレータと、
前記シンチレータに受光面を向けて配置された一対の光電子増倍管と、
を含み、
前記一対の光電子増倍管の配列方向が、前記第1測定ユニット及び前記第2測定ユニットの配列方向に対して斜め方向に設定されたことを特徴とする放射線測定装置。 - 請求項1記載の装置において、
前記第1遮蔽容器と前記シンチレータとの間にシンチレータ用容器が設けられ、
前記シンチレータ用容器には、前記第2サンプル放射線受入口に対応した位置に第2サンプル放射線が透過する薄肉部が形成されたことを特徴とする放射線測定装置。 - 相互に離間した第1測定ユニット及び第2測定ユニットを含む放射線測定装置であって、
前記第1測定ユニットは、
第1サンプルを収容する井戸状の第1収容室と、
前記第2測定ユニットに向けて形成された縦長の第2サンプル放射線受入口を有し、前記第1収容室を取り囲んだ第1遮蔽容器と、
前記第1収容室を取り囲んでそれに隣接して設けられ、第1サンプル測定時には第1サンプル放射線を検出し、第2サンプル測定時には前記第2サンプル放射線受入口から進入した第2サンプル放射線を検出する放射線検出器と、
を有し、
前記第2測定ユニットは、
縦長の第2サンプルを収容する井戸状の第2収容室と、
縦長の第2サンプル放射線放出口を有し、前記第2収容室を取り囲んだ第2遮蔽容器と、
を含み、
前記第2サンプル放射線放出口から前記第2サンプル放射線受入口までの放射線の放射経路を取り囲みつつ伸長した中空遮蔽体が設けられ、
前記中空遮蔽体は垂直断面が縦長の内部空間を有することを特徴とする放射線測定装置。 - 高感度測定用の第1測定ユニット及び低感度測定用の第2測定ユニットを含む放射線測定装置であって、
前記第1測定ユニットは、
第1サンプルを収容する第1収容室と、
第2サンプル放射線受入口を有し、前記第1収容室を取り囲んだ第1遮蔽容器と、
前記第1収容室を取り囲んでそれに隣接して設けられ、第1サンプル測定時には第1サンプル放射線を検出し、第2サンプル測定時には前記第2サンプル放射線受入口から進入した第2サンプル放射線を検出する放射線検出器と、
を有し、
前記第2測定ユニットは、
縦長の第2サンプルを収容する第2収容室と、
縦長の第2サンプル放射線放出口を有し、前記第2収容室を取り囲んだ第2遮蔽容器と、
を含み、
前記第2サンプル放射線放出口から前記第2サンプル放射線受入口までの放射線の放射経路を取り囲む中空遮蔽体が設けられ、
前記第1サンプルは生体から抽出された放射性体液を入れた体液チューブであり、
前記第2サンプルは生体へ投与される放射性薬剤を入れた薬剤シリンジであることを特徴とする放射線測定装置。 - 請求項3又は4記載の装置において、
前記放射線検出器は、
前記第1収容室を取り囲むシンチレータと、
前記シンチレータに受光面を向けて配置された一対の光電子増倍管と、
を含み、
前記一対の光電子増倍管の配列方向が、前記第1測定ユニット及び前記第2測定ユニットの配列方向に対して斜め方向に設定されたことを特徴とする放射線測定装置。 - 請求項4記載の装置において、
前記第1収容室内には前記第1サンプルが挿入されるチューブアダプタが交換可能に設けられ、
前記第2収容室内には前記第2サンプルが挿入されるシリンジアダプタが交換可能に設けられたことを特徴とする放射線測定装置。 - 請求項4記載の装置において、
前記第1収容室の上部には上方に開いた漏斗状の第1開口部が形成され、
前記第1開口部の下端口は前記チューブアダプタの上端口内に臨み、
前記第2収容室の上部には上方に開いた漏斗状の第2開口部が形成され、
前記第2開口部の下端口は前記シリンジアダプタの上端口内に臨んだことを特徴とする放射線測定装置。 - 請求項7記載の装置において、
前記第1開口部を覆う第1カバーと、
前記第2開口部を覆う第2カバーと、
を含むことを特徴とする放射線測定装置。 - 請求項4記載の装置において、
前記第1収容室内に前記第1サンプルを収容した状態で前記第1サンプルの重量を計測する重力計測ユニットを含むことを特徴とする放射線測定装置。 - 請求項9記載の装置において、
前記第1サンプルの放射線測定結果、前記第2サンプルの放射線測定結果及び前記第1サンプルの重量に基づいて演算処理を実行する演算部を含むことを特徴とする放射線測定装置。
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JP2000050235A JP3602027B2 (ja) | 2000-02-25 | 2000-02-25 | 放射線測定装置 |
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Publications (2)
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