JP4627602B2 - 放射能測定装置及び放射能測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被検体に放射性試薬を投与し、当該被検体から採取されたサンプルの放射能を計測して、サンプル中における放射性試薬の濃度を測定する放射能測定装置に関し、特にその精度の向上に関する。
【0002】
【従来の技術】
医療検査等において、被検体の体内、例えば血液中に放射性同位元素を含んだ検査試薬を投与した後、ある程度の時間を置いて被検体から血液等のサンプルを採取し、そのサンプルの放射能を測定することが行われている。サンプルの放射能を測定することにより、そのサンプル中の検査試薬の濃度が判明する。例えば、この検査試薬の濃度と投与した検査試薬量とから、被検体内の血液の総量を推定することができる。また、検査試薬をトレーサとして用い、被検体内での検査試薬の移動を調べることもできる。
【0003】
放射性同位元素を含んだ検査試薬の放射能は、その放射性同位元素の半減期に応じて減衰する。そこで、検査試薬はあらかじめ放射能を測定し、その測定値と共に測定時刻が記録される。そして、サンプルから得られる放射能測定値に対しては、その投与前の検査試薬の測定からサンプルに対する測定までの経過時間における放射性同位元素の崩壊による放射能の減衰を補正する処理が行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の放射性の検査試薬を用いた放射能測定においては、投与前の被検体に測定誤差となる放射性同位元素が存在することは考慮されていなかった。しかし、例えば、放射性試薬を用いた或る検査に先だって、放射性試薬を用いた別の検査が行われ、先行する放射性試薬が残留している場合がある。このように目的とする検査の放射性試薬の投与前に、被検体内に放射性同位元素が存在すると、それがバックグラウンド放射能となって検査精度が劣化するという問題があった。
【0005】
本発明は上記問題点を解消するためになされたもので、被検体内にバックグラウンド放射能を生じる放射性同位元素が存在する場合においても、精度のよい検査を実現する放射能測定装置及び放射能測定方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る放射能測定装置は、被検体への放射性試薬の投与前に当該被検体より採取された投与前サンプルからの放射線を計数して投与前計数値を求める第1の放射線計数部と、前記放射性試薬の投与後に前記被検体より採取された投与後サンプルからの放射線を、前記投与前計数値の計数期間と同一の期間に計数して投与後計数値を求める第2の放射線計数部と、前記投与前計数値に基づいて、前記放射性試薬の投与前から前記被検体に存在し所定の時定数で減衰するバックグラウンド放射能の前記投与後計数値に対する寄与を求め、前記投与後計数値から前記寄与を取り除いた補正計数値に基づいて、前記投与後サンプル中における前記放射性試薬の濃度を定める演算部とを有する。
【0007】
本発明によれば、被検体に放射性試薬を投与する前と投与した後とにそれぞれ被検体から例えば血液などのサンプルが採取される。第1の放射線計数部は投与前サンプルが放射する放射線を計数し、第2の放射線計数部は投与後サンプルが放射する放射線を計数する。ここで、これら投与前サンプル及び投与後サンプルそれぞれの放射線計数は互いに同一の計数期間に、すなわち同時に並行して行われる。さて、放射性試薬の投与前においても、被検体内には食物等を通じて摂取される自然放射能が存在する。一般に自然放射能は、摂取と崩壊とがあるレベルでバランスしてほぼ定常状態にあり、そのレベルは一般的にそれほど高くなく、またおおよそ見当がついている。よって、投与後計数値に対して、この一般的な自然放射能によるバックグラウンドレベルを補正することは比較的容易である。しかし、被検体内には所定の時定数で減衰する非定常状態のバックグラウンド放射能が存在する場合もある。例えば、被検体は今回の放射性試薬の投与前に、別の検査、治療等に起因する放射能を有していることもある。このようなバックグラウンド放射能は、その原因に応じて大きさが異なると共に、崩壊によって時間的にも変化するため、画一的な所定レベルを差し引くといった単純な補正では精度を確保することができない。本発明では、投与前サンプルを採取して、放射性試薬を投与する前に既に被検体に存在するバックグラウンド放射能を測定し、投与前計数値を得る。一方、放射性試薬を投与した後に採取される投与後サンプルに関する放射能測定が行われ、放射性試薬に起因する放射能とバックグラウンド放射能との両方を含んだ投与後計数値を得る。演算部は、投与前計数値に基づいて、投与後計数値におけるバックグラウンド放射能の寄与を求める。このとき、本発明では、投与前計数値と投与後計数値とは同一の計数期間にて測定される。同一の期間においては、投与前サンプルと投与後サンプルとにおけるそれぞれのバックグラウンド放射能の減衰特性は共通である。したがって、投与後計数値におけるバックグラウンド放射能の寄与を求める際に、バックグラウンド放射能の減衰特性を考慮する必要がなく、簡単に当該寄与を求めることができる。投与前計数値と投与後計数値における当該寄与との相違は、基本的に投与前サンプル量と投与後サンプル量と比に応じた相違である。よって、演算部は、投与前サンプル量と投与後サンプル量との相違を考慮して投与前計数値から前記寄与を求める。さらに演算部は、投与後計数値における当該寄与を除去する補正を行い、放射性試薬に起因する放射能を測定し、投与後サンプル中における放射性試薬の濃度を算出する。本発明において特筆すべきことは、バックグラウンド放射能が複数種類の放射性崩壊過程によるものであっても、単一の投与前計数値を用いてその寄与を除去できることである。すなわち、半減期の異なる複数核種がバックグラウンド放射能に含まれていても、それら各半減期や各核種の含有量を特定する必要がなく、簡単な測定及び計算でバックグラウンド放射能の寄与分を除去することができる。
【0008】
本発明に係る放射能測定装置においては、投与前サンプル量を測定する投与前サンプル量測定手段と、投与後サンプル量を測定する投与後サンプル量測定手段とを有し、前記演算部が、前記投与前サンプル量及び前記投与後サンプル量に基づいて、前記投与前計数値及び前記投与後計数値をそれぞれ規格化して、規格化投与前計数値及び規格化投与後計数値を算出する手段と、前記規格化投与後計数値から前記規格化投与前計数値を減算して前記補正計数値を求める手段とを有する。
【0009】
本発明によれば、投与後サンプル量と投与前サンプル量との比が、投与後計数値におけるバックグラウンド放射能の寄与分と投与前計数値との比となる。よって、規格化を行って、投与後計数値及び投与前計数値をそれぞれ同一の所定サンプル量に相当する値である規格化投与後計数値及び規格化投与前計数値に換算すると、規格化投与後計数値におけるバックグラウンド放射能の寄与分は、規格化投与前計数値と同等となる。したがって、規格化投与後計数値から規格化投与前計数値を減算することによって、規格化投与後計数値からバックグラウンド放射能の寄与分が除去され、被検体に投与された放射性試薬に起因した放射線の計数値である補正計数値が得られる。
【0010】
本発明に係る放射能測定装置においては、前記演算部が、前記計数期間内での放射性元素の崩壊に伴う前記放射性試薬の放射能の減少を考慮して、前記補正計数値から所定時刻における前記放射性試薬に起因する放射線計数率を算出する手段を有する。
【0011】
放射能は指数関数的に減衰することが知られている。この関係は、計数率については成り立つが、計数期間における累積値である計数値に関しては厳密には成り立たない。計数値は計数期間における計数率の積分であり、本発明の演算部が算出する補正計数値は投与後の計数期間において崩壊法則に従って減衰する放射性試薬の放射能を累積した値である。演算部は、投与された放射性試薬に関する半減期特性を用いて、補正計数値を所定時刻における放射線計数率に変換し、この放射線計数率から投与後サンプル中の放射性試薬の濃度を求める。
【0012】
本発明に係る放射能測定方法は、被検体への放射性試薬の投与前に当該被検体より採取された投与前サンプルからの放射線を計数して投与前計数値を求めるステップと、前記放射性試薬の投与後に前記被検体より採取された投与後サンプルからの放射線を、前記投与前計数値の計数期間と同一の期間に計数して投与後計数値を求めるステップと、前記投与前計数値に基づいて、前記放射性試薬の投与前から前記被検体に存在し得るバックグラウンド放射能の前記投与後計数値に対する寄与を求めるバックグラウンド算出ステップと、前記投与後計数値から前記寄与を取り除いて補正計数値を求めるバックグラウンド除去ステップと、前記補正計数値に基づいて、前記投与後サンプル中における前記放射性試薬の濃度を定める濃度情報算出ステップとを有する。
【0013】
本発明によれば、投与後計数値と投与前計数値との計数期間が共通であるので、投与後サンプルと投与前サンプルとのサンプル量の違いに応じた換算を投与前計数値に施すことによって、投与後計数値におけるバックグラウンド放射能の寄与分が求まる。投与後計数値からこの寄与分を除去した補正計数値から、投与後サンプル中に含まれる放射性試薬の放射能の大きさが把握され、放射性試薬の濃度が定められる。
【0014】
本発明に係る放射能測定方法においては、前記バックグラウンド算出ステップが、投与前サンプル量に基づいて前記投与前計数値を規格化して前記寄与を求め、前記バックグラウンド除去ステップが、投与後サンプル量に基づいて前記投与後計数値を規格化し、規格化された投与後計数値から前記寄与を減算して前記補正計数値を求める。
【0015】
本発明に係る放射能測定方法においては、前記濃度情報算出ステップが、前記計数期間内での放射性元素の崩壊に伴う前記放射性試薬の放射能の減少を考慮して、前記補正計数値から所定時刻における前記放射性試薬に起因する放射線計数率を算出する。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明に係る放射能測定装置の概略のブロック図である。本装置は、被検者から採取された血液等のサンプルに含まれる放射性の検査試薬の濃度を測定するものであり、2つの放射線検出器2,4、2つの信号検知回路6,8、2つの計数回路10,12、2つの重量測定器14,16、演算部18、及び制御部20を含んで構成される。
【0018】
放射線検出器2,4はそれぞれ、例えばシンチレータを用いて構成される。シンチレータの中央部に孔が設けられ、ここに被検体から採取されたサンプルを収めたサンプル容器22,24が挿入・設置される。さらに、放射線検出器2,4には、検出器外部からシンチレータへの放射線入射を防ぐ鉛等の遮蔽材が配される。これにより各シンチレータは、各放射線検出器にセットされたサンプルからの放射線に応じて発光し、このシンチレーション光を光検出器で電気信号に変換して出力する。
【0019】
放射線検出器2,4からのアナログ電気信号はそれぞれ信号検知回路6,8に入力される。信号検知回路6,8はそれぞれ、アンプ及びディスクリミネータを含んで構成され、ノイズレベル以上の波高を有する信号を検知してパルス信号を生成する。
【0020】
計数回路10,12はそれぞれ、信号検知回路6,8から出力されるパルス信号を計数し、計数値を演算部18へ出力する。
【0021】
放射線検出器2,4はそれぞれ重量測定器14,16の上に載置されている。
これら重量測定器14,16はそれぞれ、その上の放射線検出器にセットされるサンプルの重量を測定するために用いられる。重量測定器14,16の測定値は演算部18へ出力される。
【0022】
制御部20は、各計数回路10,12に対して共通に計数開始及び停止の制御信号を送出する。また、制御部20は内部に時計を有し、これら計数回路の計数開始の時刻、及び計数時間を記憶すると共に、それら時間情報を演算部18へ提供する。
【0023】
演算部18は、規格化演算部30,32、減算器34、及び試薬濃度演算部36を含んでいる。規格化演算部30,32にはそれぞれ計数回路10,12の出力と重量測定器14,16の出力とが入力される。規格化演算部30は、サンプル容器22内のサンプルから得られる計数回路10の出力計数値を、重量測定器14が出力する当該サンプルの重量で規格化する。同様に、規格化演算部32は、サンプル容器24内のサンプルから得られる計数回路12の出力計数値を、重量測定器16が出力する当該サンプルの重量で規格化する。これら規格化演算部30,32の規格化処理により、サンプル容器22,24に格納された各サンプルから得られる計数値が、互いに等しい重量のサンプルに対応する値に換算される。試薬濃度演算部36は、減算器34の出力を用いて、サンプルに含まれる放射性の検査試薬の濃度を求める。演算部18の詳しい動作、処理については後述する。
【0024】
図2は、本装置を用いたサンプル中の放射性試薬濃度測定の処理概要を示すフロー図である。この図を用いて、本装置を用いた測定手順及び本装置の動作・処理内容を説明する。本装置は、バックグラウンド放射能を除去して、血液等のサンプル中の放射性の検査試薬の濃度を精度良く測定することができることが特徴である。そのために、まず、放射性の検査試薬を被検者に投与する前に、その被検者からリファレンス用のサンプル(投与前サンプルと称する)を採取する(S50)。この投与前サンプルは所定のサンプル容器22に採取される。
【0025】
投与前サンプルが採取された後、被検者に放射性同位元素を含んだ検査試薬が定量投与される(S55)。その後、被検者から、検査試薬を含んだ本来の評価対象であるサンプル(投与後サンプルと称する)がサンプル容器24に採取される(S60)。検査試薬投与から投与後サンプルの採取までの時間は、検査目的に応じて定められる。
【0026】
投与前サンプルを収容したサンプル容器22は放射線検出器2にセットされ、一方、投与後サンプルを収容したサンプル容器24は放射線検出器4にセットされる。両サンプルが共に放射線検出器にセットされた後、放射線の計数が実行される。制御部20は、計数回路10,12を同時に起動し、放射線検出器2,4それぞれにセットされた投与前サンプルと投与後サンプルとに対する放射線計測が同時に開始される。制御部20は、所定の計数期間が経過すると、今度は計数回路10,12を同時に停止し、投与前サンプルと投与後サンプルとに対する放射線計測が同時に終了される。このように、本装置では、2つの放射線検出器を用いて、投与前サンプル及び投与後サンプルに対する放射線計数を同一の計数期間に並行して行う(S65)。計数回路10,12それぞれの計数値は、規格化演算部30,32に入力される。
【0027】
なお、放射線の計数は、放射線検出器2,4の両方にサンプル容器がセットされたことをセンサで検知して自動的に開始されるように構成してもよいし、操作者の指示によって開始されるように構成してもよい。また、制御部20からの計数停止の制御信号は、あらかじめ制御部20に設定された所定の計数時間が経過した時点で送出されるように構成してもよいし、操作者の指示によって送出されるように構成してもよい。
【0028】
放射線計測に連動して、重量測定器14,16の測定値が規格化演算部30,32に入力される。規格化演算部30は、重量測定器14の測定値から投与前サンプルの重量を求め、一方、規格化演算部32は、重量測定器16の測定値から投与後サンプルの重量を求める(S70)。サンプルの重量は、サンプルを収容したサンプル容器を放射線検出器にセットしたときの重量から空のサンプル容器を放射線検出器にセットしたときの基準重量を減算することにより求められる。ここでは、所定のサンプル容器22,24を使用することにより、空のサンプル容器22,24をセットしたときの基準重量を一定として取り扱うことを可能としている。すなわち、基準重量はあらかじめ測定され演算部18に格納され、この値がサンプルの重量を求める処理S70において毎回利用される。
【0029】
演算部18は、投与前サンプルについて得られた測定値を用いて、投与後サンプルに対してバックグラウンド放射能の寄与分を除去する補正処理を施す(S75)。この補正処理は概ね以下の3段階のステップに分けて理解することができる。第1段階は、上述した投与前計数値及び投与後計数値それぞれのサンプル量に基づいた規格化処理である。例えば、規格化演算部30,32はそれぞれ、処理S70にて得られた投与前サンプル、投与後サンプルそれぞれの重量で、計数回路10,12から入力される投与前計数値、投与後計数値を除算して、単位重量当たりの計数値を求める。
【0030】
規格化処理により、投与前サンプル及び投与後サンプルそれぞれから得られる投与前計数値及び投与後計数値は互いに等しい重量のサンプルに対応する値に換算され、それら規格化された投与前計数値と規格化された投与後計数値との相互の比較が可能となる。具体的には、規格化投与前計数値は、規格化投与後計数値におけるバックグラウンド放射能の寄与分に相当する。以下、規格化投与前計数値をNBG、規格化投与後計数値をNSと記す。
【0031】
図3は演算部18における補正処理を説明するための図であり、投与前サンプル及び投与後サンプルそれぞれの計数率の時間的変化を示すグラフである。図3において、縦軸が計数率、横軸が時間である。減衰曲線100が投与前サンプルの計数率の変化、また減衰曲線102が投与後サンプルの計数率の変化を表す。両サンプルに対する放射線の計数は開始時刻tSから終了時刻tEまでの計数期間Pにて行われる。なお、図3の計数率は、サンプルの重量について規格化されている。図において、減衰曲線100と時間軸とで挟まれた計数期間Pの領域の面積がNBGに相当し、減衰曲線102と時間軸とで挟まれた計数期間Pの領域の面積がNSに相当する。
【0032】
第2段階は、投与後計数値からバックグラウンド放射線による計数分を除去して、放射性の検査試薬に由来する計数分を求める処理であり、減算器34を用いて行われる。減算器34は、規格化投与前計数値NBG及び規格化投与後計数値NSを入力され、NS'≡(NS−NBG)を算出する。この減算により得られた補正計数値NS'は、被検体に投与された検査試薬に起因した放射線の計数値に相当する。
【0033】
第3段階は、補正計数値NS'から、投与後サンプルの投与後基準時刻t0での検査試薬に起因する計数率fSを求める処理であり、試薬濃度演算部36により行われる。次式で表すように、NS'は計数期間P≡[tS,tE]におけるfSの時間積分である。
【0034】
【数1】
NS'=∫fS(t)dt ………(1)
検査試薬に含まれる放射性同位元素(半減期TS)の放射崩壊特性は既知であり、その特性に基づいてfS(t)は次式で表される。
【0035】
【数2】
fS(t)=fS(t0)・exp〔−(t−t0)・ln2/TS〕 ………(2)
(1)式及び(2)式から投与後基準時刻t0での検査試薬に起因する、サンプル単位重量当たりの計数率fS(t0)が求まる。
【0036】
検査試薬はある時刻においてその放射能を測定されており、その測定値に基づいて、被検体に投与された検査試薬全量が投与後基準時刻t0においてどれだけの計数率ftot(t0)を生じるかは、その検査試薬に含まれる放射性同位元素の放射崩壊特性に基づいて容易に計算することができる。投与後サンプルに含有される検査試薬の量と、被検体に投与された検査試薬の全部の量との比は、基本的にfS(t0)/ftot(t0)で与えられる。そこで、試薬濃度演算部36は、fS(t0)/ftot(t0)を算出し、その値と被検体に投与された検査試薬全量の値とから、投与後サンプル中における検査試薬の濃度を算出する。例えば、試薬濃度演算部36が求めた濃度の測定値結果は、図示しない表示部に表示され、また記憶部に格納される(S80)。
【0037】
また、投与前サンプルに関する計数値を用いて投与後サンプルの計数値を補正するために、上では両サンプルの重量による規格化を行ったが、計測目的等に応じて両サンプルの体積による規格化を行っても良い。
【0038】
【発明の効果】
本発明の放射能測定装置及び放射能測定方法によれば、被検体に放射性試薬を投与し、被検体から投与後サンプルを採取して放射線を計測する場合に、その放射性試薬の投与前に被検体から投与前サンプルを採取して放射線の計測する。この投与前計数値を用いて、放射性試薬の投与前から被検体内に存在し所定の時定数で減衰するバックグラウンド放射能による投与後サンプルの計数値に対する寄与分を求め、除去することにより、放射性試薬に起因する放射能がより精度良く計測され、検査、治療等の高精度化、高信頼性が達成される。
【0039】
特に、本発明では、投与前サンプルの計数値と投与後サンプルの計数値とは同一の計数期間にて測定される。同一の期間においては、投与前サンプルと投与後サンプルとにおけるそれぞれのバックグラウンド放射能の減衰特性は共通であるので、バックグラウンド放射能の減衰特性を考慮することなく簡単に当該寄与を除去することができる。さらに述べれば、バックグラウンド放射能が複数種類の放射性崩壊過程によるものであっても、それらの各半減期や各核種の含有量を特定する必要がなく、単一の投与前計数値を用いてバックグラウンド放射能の寄与分を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る放射能測定装置の概略のブロック図である。
【図2】 本装置を用いたサンプル中の放射性試薬濃度測定の処理概要を示すフロー図である。
【図3】 本装置の補正処理を説明するための図であり、投与前サンプル及び投与後サンプルそれぞれの計数率の時間的変化を示すグラフである。
【符号の説明】
2,4 放射線検出器、6,8 信号検知回路、10,12 計数回路、14,16 重量測定器、18 演算部、20 制御部、22,24 サンプル容器、30,32 規格化演算部、34 減算器、36 試薬濃度演算部。
Claims (6)
- 被検体への放射性試薬の投与前に当該被検体より採取された投与前サンプルからの放射線を計数して投与前計数値を求める第1の放射線計数部と、
前記放射性試薬の投与後に前記被検体より採取された投与後サンプルからの放射線を、前記投与前計数値の計数期間と同一の期間に計数して投与後計数値を求める第2の放射線計数部と、
前記投与前計数値に基づいて、前記放射性試薬の投与前から前記被検体に存在し所定の時定数で減衰するバックグラウンド放射能の前記投与後計数値に対する寄与を求め、前記投与後計数値から前記寄与を取り除いた補正計数値に基づいて、前記投与後サンプル中における前記放射性試薬の濃度を定める演算部と、
を有することを特徴とする放射能測定装置。 - 投与前サンプル量を測定する投与前サンプル量測定手段と、
投与後サンプル量を測定する投与後サンプル量測定手段と、
を有し、
前記演算部は、
前記投与前サンプル量及び前記投与後サンプル量に基づいて、前記投与前計数値及び前記投与後計数値をそれぞれ規格化して、規格化投与前計数値及び規格化投与後計数値を算出する手段と、
前記規格化投与後計数値から前記規格化投与前計数値を減算して前記補正計数値を求める手段と、
を有することを特徴とする請求項1記載の放射能測定装置。 - 前記演算部は、前記計数期間内での放射性元素の崩壊に伴う前記放射性試薬の放射能の減少を考慮して、前記補正計数値から所定時刻における前記放射性試薬に起因する放射線計数率を算出する手段を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の放射能測定装置。
- 被検体への放射性試薬の投与前に当該被検体より採取された投与前サンプルからの放射線を計数して投与前計数値を求めるステップと、
前記放射性試薬の投与後に前記被検体より採取された投与後サンプルからの放射線を、前記投与前計数値の計数期間と同一の期間に計数して投与後計数値を求めるステップと、
前記投与前計数値に基づいて、前記放射性試薬の投与前から前記被検体に存在し得るバックグラウンド放射能の前記投与後計数値に対する寄与を求めるバックグラウンド算出ステップと、
前記投与後計数値から前記寄与を取り除いて補正計数値を求めるバックグラウンド除去ステップと、
前記補正計数値に基づいて、前記投与後サンプル中における前記放射性試薬の濃度を定める濃度情報算出ステップと、
を有することを特徴とする放射能測定方法。 - 前記バックグラウンド算出ステップは、投与前サンプル量に基づいて前記投与前計数値を規格化して前記寄与を求め、
前記バックグラウンド除去ステップは、投与後サンプル量に基づいて前記投与後計数値を規格化し、規格化された投与後計数値から前記寄与を減算して前記補正計数値を求めること、
を特徴とする請求項4記載の放射能測定方法。 - 前記濃度情報算出ステップは、前記計数期間内での放射性元素の崩壊に伴う前記放射性試薬の放射能の減少を考慮して、前記補正計数値から所定時刻における前記放射性試薬に起因する放射線計数率を算出することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の放射能測定方法。
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