JP3600990B2 - 地下構造物における側壁と地中連続壁との結合方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、地下タンク等の地下構造物における側壁と地中連続壁との結合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
地中タンク等の地下構造物には、側壁や底版に地下水の浮力を受ける形式のものがあり、この形式の地下構造物は、躯体の浮き上がりを防止するための構造を備えている。
【0003】
その一例として、地盤中に構築された地下構造物を図5に示す。地中連続壁1は、土留めや止水を目的として地盤G中の構築領域の周囲に構築されたもので、地中連続壁1の内側には、地下構造物Tを構成する側壁2、底版3が構築されている。地中連続壁1の内側には、側壁2に向けて開口するさや管4が埋設され、このさや管4には地下構造物T側に突出させてスリップバー5が挿入配置されている。さらに、地下構造物T側に突出したスリップバー5が側壁2に埋設されることによって地中連続壁1と側壁2とが連結されている。
【0004】
この地下構造物Tにおいては、底版3に地下水の浮力が作用すると、その力がスリップバー5を介して地中連続壁1に伝達されるので、地下構造物Tと地中連続壁1とが一体となって重量が増し、地下水の浮力に対抗して躯体の浮き上がりが防止されている。また、LNG等の超低温物質を貯蔵した場合、側壁2が地下構造物Tの内側に収縮しようとする現象が起こるが、側壁2は、地中連続壁1とと直接接合されておらずスリップバー5の軸線方向に変位自在なので、地中連続壁1の拘束を受けずに収縮が可能となっている。
【0005】
ところで、地中連続壁1の構築手順としては、まず、構築領域に沿って掘削溝を掘り、この掘削溝に地下水の圧力による掘削溝の崩壊を防ぐために水を満たしたうえで、さや管4が固定された鉄筋篭を建て込み、掘削溝の底から徐々にコンクリートを打設していく方法が採られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の手順に従って構築される地中連続壁1を備える地下構造物Tは、次のような問題を有していた。
▲1▼ スリップバー5が埋設された側壁2、およびさや管4が埋設された地中連続壁1に作用する力の荷重分布は、図6に示すように境界面に近いほど大きくなるが、泥水中にコンクリートを打設することによって構築された地中連続壁1はその表面の品質が劣化しやすいだけでなく、さや管4にスライムが付着することもあるので、さや管4周辺のコンクリートが崩れる等して強度の発現にむらが生じ、力の伝達が十分に行なえない恐れがあった。
▲2▼ 打設されたコンクートの強度が確保できない場合の補修が困難であった。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、地中連続壁に生成されるコンクリートの弱部を除去してその部分を補修することによって地中連続壁を含めた地下構造物の施工精度を向上させることができる地下構造物における側壁と地中連続壁との結合方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載された地下構造物における側壁と地中連続壁との結合方法は、地盤中に設けられた掘削溝にコンクリートを打設することによって構築される地中連続壁と該地中連続壁の内側に近接して構築される地下構造物における側壁との間に連結鉄筋を介在させることによって地下構造物と地中連続壁とを結合する結合方法であって、連結鉄筋が配設される部分に、連結鉄筋を型取った型材を配置したうえで掘削溝にコンクリートを打設して地中連続壁を構築し、地下構造物が構築される地盤を地中連続壁に沿って掘削し、地中連続壁から型材を除去し、型材が除去された空間に連結鉄筋の一端を挿嵌し、連結鉄筋の他端を側壁に設けた孔に挿嵌させながら地中連側壁に沿って側壁を立ち上げることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載された地下構造物における側壁と地中連続壁との結合方法は、請求項1に記載された地下構造物と地中連続壁とを結合する結合方法における型材を掘削溝の壁面に沿って配置される固定部材に固定することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の地下構造物における側壁と地中連続壁との結合方法の実施の形態を図1ないし図4に示して説明する。
図1は、地盤G中に構築された地下タンクとしての地下構造物Tを示している。地中連続壁1と側壁2とは、側壁2の下部側面から地中連続壁1に渡って配設された複数のスリップバー(連結鉄筋)5によって結合されている。これらスリップバー5は、上下方向に複数列並べられるとともに、地下タンクの円周方向に多数配設されている。
【0011】
地中連続壁1側に配されたスリップバー5の一端5aは、図2に示すように、地中連続壁1に設けられた孔1aに垂直に挿嵌されている。さらに、孔1aの内部に生れるスリップバー5との空隙には、エポキシ樹脂やモルタル等の硬化充填材8が充填されており、この硬化充填材8が硬化することにより地中連続壁1にスリップバー5が固定されている。
【0012】
側壁2側に配されたスリップバー5の他端5bには、筒状の縁切りキャップ(キャップ)9が被せられており、この他端5bは側壁2に設けられた孔2aに縁切りキャップ9ごと垂直に挿嵌されている。
【0013】
縁切りキャップ9は、例えば軟質塩化ビニル等の樹脂製であり、有底円筒形状を有し開口側端部には顎9aが形成されている。縁切りキャップ9の内部の長さはスリップバー5の地中連続壁1からの突出長さにほぼ等しく、内径はスリップバー5の外径よりも若干小さく設定されている。そして、弾性変形により拡径されながら他端5bに奥まで被せられている。
【0014】
縁切りキャップ9の表面には、側壁2との縁切り剤9bとしてグリース、剥離剤等が塗布されており、この縁切り剤9bによってスリップバー5が孔2bの内部で軸線方向に沿って滑動するようになっている。
【0015】
上記の地下構造物Tの施工手順を説明する。まず、地下構造物Tが構築される構築領域の周囲に掘削溝6を設ける。このとき、掘削溝6には地下水の滲み出しによる掘削溝6の崩壊を防止するために水を満たす。
【0016】
そして、地中連続壁1の骨格をなす鉄筋篭7をクレーン等によって吊り上げ、掘削溝6内に建て込みを行なう。このとき、図3に示すように、地中連続壁1のスリップバー5が配設される部分に、それぞれスリップバー5を型取った型材10を配置して鉄筋篭7に固定しておく。なお、これら型材10は鋼製またはプラスチック製のワインディングパイプや硬質発泡スチロールからなり、上下方向に一列に配列されるものどうしが型材固定用プレート(固定部材)11に固定されているものとする。型材固定用プレート11は鉄筋篭7に固定されており、鉄筋篭7が掘削溝6の内部に配置されたときに掘削溝6の壁面に接して配置されるようになっている。
【0017】
次に、鉄筋篭7が配置された掘削溝6に、掘削溝6の底から徐々にコンクリートを打設して地中連続壁1を構築する。打設したコンクリートの養生後、地下構造物Tが構築される地盤Gを地中連続壁1に沿って掘削し、図4に示すように、構築領域側に露出した地中連続壁1から型材固定用プレート11とともに型材10を除去する。
【0018】
さらに、型材10が除去された後に形成された孔(空間)1aにスリップバー5の一端5aを挿嵌し、孔1aとスリップバー5との間隙にエポキシ樹脂やモルタル等の硬化充填材8を充填して地中連続壁1にスリップバー5を固定する。さらに、地中連続壁1から突出したスリップバー5の他端5bには縁切りキャップ9を被せる。
【0019】
地下構造物Tの底版3を形成した後、側壁2となるPC版を立ち上げて側壁2を形成する。このとき、PC版にはスリップバー5の他端5bが挿入される孔2aをあらかじめ設けておき、この孔2aに他端5bを挿嵌させながらPC版を立ち上げる。そして最後に、側壁2に屋根を載置して地下構造物Tが完成する。
【0020】
ところで、型材10が除去された後に形成される孔1aについては、スリップバー5を挿入する前にその孔1aの内部、および周囲のコンクリートの状態を目視によって確認する。その理由は、泥水中にコンクリートを打設することによって構築された地中連続壁1はその表面の品質が劣化しやすく、しかも型材10のまわりにはスライムが付着していることがあるためである。
【0021】
そして、孔1aの周囲にコンクリートの弱部が生成されていたならば、これらを洗浄して除去し、かつそのコンクリートの弱部を除去した部分をエポキシ樹脂やモルタル等によって補修して孔1aの形状を整える。
【0022】
上記の施工手順において採用されている地下構造物Tにおける側壁2と地中連続壁1との結合方法によれば、スリップバー5が配設される部分にこのスリップバー5を型取った型材10を配置し、地盤Gを掘削後に地中連続壁1から型材10を除去することによって、地下構造物1の構築領域側から、型材10によって形成された孔1aの内部、および周囲のコンクリートの状態を目視によって確認することができる。さらに、コンクリートの弱部が形成されていたならば、その弱部を洗浄して除去し、かつそのコンクリートの弱部を除去した部分を補修することができる。
【0023】
また、地中連続壁1に配置された各型材10が型材固定用プレート11に固定されており、この型材固定用プレート11を除去することによって型材10が除去されて孔1aが形成されるので、削孔する場合に比べて作業が簡単である。地中連続壁1を構築後に削孔をひとつずつ設けるのは非常に手間のかかる作業であり、しかも鉄筋篭7の鉄筋に突き当ってしまい適切な場所に孔1aを形成できないこともありうるからである。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載された地下構造物における側壁と地中連続壁との結合方法によれば、連結鉄筋が配設される部分にこの連結鉄筋を型取った型材を配置し、地盤掘削後にこの型材を除去することによって、掘削された地下構造物の構築領域から、型材によって形成された空間の内部、および周囲のコンクリートの状態を目視によって確認することができる。さらに、コンクリートの弱部が形成されていたならば、その弱部を洗浄して除去し、かつその部分を補修することができるので、地中連続壁を含めた地下構造物の施工精度を向上させることができる。
【0025】
請求項2に記載された地下構造物における側壁と地中連続壁との結合方法によれば、地中連続壁に配置された各型材が固定部材に固定されており、この固定部材を除去することによって型材も除去されて空間を形成することができるので、地中連続壁の工期を短縮し、地中連続壁を含めた地下構造物の施工コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る地下構造物における側壁と地中連続壁との結合方法が採用された地下構造物の断面斜視図である。
【図2】図1における地中連続壁の要部断面図である。
【図3】地中連続壁の施工手順を示す図であって、掘削溝への鉄筋篭の建て込みを示す説明図である。
【図4】地中連続壁の施工手順を示す図であって、地中連続壁からの型材の除去を示す説明図である。
【図5】地盤中に構築された地下構造物の一例を示す側方断面図である。
【図6】側壁および地中連続壁に作用する力の荷重分布を示す図である。
【符号の説明】
1 地中連続壁
1a 孔(空間)
2 側壁
2a 孔
5 スリップバー(連結鉄筋)
6 掘削溝
7 鉄筋篭
10 型材
11 型材固定用プレート(固定部材)
G 地盤
T 地下構造物
【発明の属する技術分野】
本発明は、地下タンク等の地下構造物における側壁と地中連続壁との結合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
地中タンク等の地下構造物には、側壁や底版に地下水の浮力を受ける形式のものがあり、この形式の地下構造物は、躯体の浮き上がりを防止するための構造を備えている。
【0003】
その一例として、地盤中に構築された地下構造物を図5に示す。地中連続壁1は、土留めや止水を目的として地盤G中の構築領域の周囲に構築されたもので、地中連続壁1の内側には、地下構造物Tを構成する側壁2、底版3が構築されている。地中連続壁1の内側には、側壁2に向けて開口するさや管4が埋設され、このさや管4には地下構造物T側に突出させてスリップバー5が挿入配置されている。さらに、地下構造物T側に突出したスリップバー5が側壁2に埋設されることによって地中連続壁1と側壁2とが連結されている。
【0004】
この地下構造物Tにおいては、底版3に地下水の浮力が作用すると、その力がスリップバー5を介して地中連続壁1に伝達されるので、地下構造物Tと地中連続壁1とが一体となって重量が増し、地下水の浮力に対抗して躯体の浮き上がりが防止されている。また、LNG等の超低温物質を貯蔵した場合、側壁2が地下構造物Tの内側に収縮しようとする現象が起こるが、側壁2は、地中連続壁1とと直接接合されておらずスリップバー5の軸線方向に変位自在なので、地中連続壁1の拘束を受けずに収縮が可能となっている。
【0005】
ところで、地中連続壁1の構築手順としては、まず、構築領域に沿って掘削溝を掘り、この掘削溝に地下水の圧力による掘削溝の崩壊を防ぐために水を満たしたうえで、さや管4が固定された鉄筋篭を建て込み、掘削溝の底から徐々にコンクリートを打設していく方法が採られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の手順に従って構築される地中連続壁1を備える地下構造物Tは、次のような問題を有していた。
▲1▼ スリップバー5が埋設された側壁2、およびさや管4が埋設された地中連続壁1に作用する力の荷重分布は、図6に示すように境界面に近いほど大きくなるが、泥水中にコンクリートを打設することによって構築された地中連続壁1はその表面の品質が劣化しやすいだけでなく、さや管4にスライムが付着することもあるので、さや管4周辺のコンクリートが崩れる等して強度の発現にむらが生じ、力の伝達が十分に行なえない恐れがあった。
▲2▼ 打設されたコンクートの強度が確保できない場合の補修が困難であった。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、地中連続壁に生成されるコンクリートの弱部を除去してその部分を補修することによって地中連続壁を含めた地下構造物の施工精度を向上させることができる地下構造物における側壁と地中連続壁との結合方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載された地下構造物における側壁と地中連続壁との結合方法は、地盤中に設けられた掘削溝にコンクリートを打設することによって構築される地中連続壁と該地中連続壁の内側に近接して構築される地下構造物における側壁との間に連結鉄筋を介在させることによって地下構造物と地中連続壁とを結合する結合方法であって、連結鉄筋が配設される部分に、連結鉄筋を型取った型材を配置したうえで掘削溝にコンクリートを打設して地中連続壁を構築し、地下構造物が構築される地盤を地中連続壁に沿って掘削し、地中連続壁から型材を除去し、型材が除去された空間に連結鉄筋の一端を挿嵌し、連結鉄筋の他端を側壁に設けた孔に挿嵌させながら地中連側壁に沿って側壁を立ち上げることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載された地下構造物における側壁と地中連続壁との結合方法は、請求項1に記載された地下構造物と地中連続壁とを結合する結合方法における型材を掘削溝の壁面に沿って配置される固定部材に固定することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の地下構造物における側壁と地中連続壁との結合方法の実施の形態を図1ないし図4に示して説明する。
図1は、地盤G中に構築された地下タンクとしての地下構造物Tを示している。地中連続壁1と側壁2とは、側壁2の下部側面から地中連続壁1に渡って配設された複数のスリップバー(連結鉄筋)5によって結合されている。これらスリップバー5は、上下方向に複数列並べられるとともに、地下タンクの円周方向に多数配設されている。
【0011】
地中連続壁1側に配されたスリップバー5の一端5aは、図2に示すように、地中連続壁1に設けられた孔1aに垂直に挿嵌されている。さらに、孔1aの内部に生れるスリップバー5との空隙には、エポキシ樹脂やモルタル等の硬化充填材8が充填されており、この硬化充填材8が硬化することにより地中連続壁1にスリップバー5が固定されている。
【0012】
側壁2側に配されたスリップバー5の他端5bには、筒状の縁切りキャップ(キャップ)9が被せられており、この他端5bは側壁2に設けられた孔2aに縁切りキャップ9ごと垂直に挿嵌されている。
【0013】
縁切りキャップ9は、例えば軟質塩化ビニル等の樹脂製であり、有底円筒形状を有し開口側端部には顎9aが形成されている。縁切りキャップ9の内部の長さはスリップバー5の地中連続壁1からの突出長さにほぼ等しく、内径はスリップバー5の外径よりも若干小さく設定されている。そして、弾性変形により拡径されながら他端5bに奥まで被せられている。
【0014】
縁切りキャップ9の表面には、側壁2との縁切り剤9bとしてグリース、剥離剤等が塗布されており、この縁切り剤9bによってスリップバー5が孔2bの内部で軸線方向に沿って滑動するようになっている。
【0015】
上記の地下構造物Tの施工手順を説明する。まず、地下構造物Tが構築される構築領域の周囲に掘削溝6を設ける。このとき、掘削溝6には地下水の滲み出しによる掘削溝6の崩壊を防止するために水を満たす。
【0016】
そして、地中連続壁1の骨格をなす鉄筋篭7をクレーン等によって吊り上げ、掘削溝6内に建て込みを行なう。このとき、図3に示すように、地中連続壁1のスリップバー5が配設される部分に、それぞれスリップバー5を型取った型材10を配置して鉄筋篭7に固定しておく。なお、これら型材10は鋼製またはプラスチック製のワインディングパイプや硬質発泡スチロールからなり、上下方向に一列に配列されるものどうしが型材固定用プレート(固定部材)11に固定されているものとする。型材固定用プレート11は鉄筋篭7に固定されており、鉄筋篭7が掘削溝6の内部に配置されたときに掘削溝6の壁面に接して配置されるようになっている。
【0017】
次に、鉄筋篭7が配置された掘削溝6に、掘削溝6の底から徐々にコンクリートを打設して地中連続壁1を構築する。打設したコンクリートの養生後、地下構造物Tが構築される地盤Gを地中連続壁1に沿って掘削し、図4に示すように、構築領域側に露出した地中連続壁1から型材固定用プレート11とともに型材10を除去する。
【0018】
さらに、型材10が除去された後に形成された孔(空間)1aにスリップバー5の一端5aを挿嵌し、孔1aとスリップバー5との間隙にエポキシ樹脂やモルタル等の硬化充填材8を充填して地中連続壁1にスリップバー5を固定する。さらに、地中連続壁1から突出したスリップバー5の他端5bには縁切りキャップ9を被せる。
【0019】
地下構造物Tの底版3を形成した後、側壁2となるPC版を立ち上げて側壁2を形成する。このとき、PC版にはスリップバー5の他端5bが挿入される孔2aをあらかじめ設けておき、この孔2aに他端5bを挿嵌させながらPC版を立ち上げる。そして最後に、側壁2に屋根を載置して地下構造物Tが完成する。
【0020】
ところで、型材10が除去された後に形成される孔1aについては、スリップバー5を挿入する前にその孔1aの内部、および周囲のコンクリートの状態を目視によって確認する。その理由は、泥水中にコンクリートを打設することによって構築された地中連続壁1はその表面の品質が劣化しやすく、しかも型材10のまわりにはスライムが付着していることがあるためである。
【0021】
そして、孔1aの周囲にコンクリートの弱部が生成されていたならば、これらを洗浄して除去し、かつそのコンクリートの弱部を除去した部分をエポキシ樹脂やモルタル等によって補修して孔1aの形状を整える。
【0022】
上記の施工手順において採用されている地下構造物Tにおける側壁2と地中連続壁1との結合方法によれば、スリップバー5が配設される部分にこのスリップバー5を型取った型材10を配置し、地盤Gを掘削後に地中連続壁1から型材10を除去することによって、地下構造物1の構築領域側から、型材10によって形成された孔1aの内部、および周囲のコンクリートの状態を目視によって確認することができる。さらに、コンクリートの弱部が形成されていたならば、その弱部を洗浄して除去し、かつそのコンクリートの弱部を除去した部分を補修することができる。
【0023】
また、地中連続壁1に配置された各型材10が型材固定用プレート11に固定されており、この型材固定用プレート11を除去することによって型材10が除去されて孔1aが形成されるので、削孔する場合に比べて作業が簡単である。地中連続壁1を構築後に削孔をひとつずつ設けるのは非常に手間のかかる作業であり、しかも鉄筋篭7の鉄筋に突き当ってしまい適切な場所に孔1aを形成できないこともありうるからである。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載された地下構造物における側壁と地中連続壁との結合方法によれば、連結鉄筋が配設される部分にこの連結鉄筋を型取った型材を配置し、地盤掘削後にこの型材を除去することによって、掘削された地下構造物の構築領域から、型材によって形成された空間の内部、および周囲のコンクリートの状態を目視によって確認することができる。さらに、コンクリートの弱部が形成されていたならば、その弱部を洗浄して除去し、かつその部分を補修することができるので、地中連続壁を含めた地下構造物の施工精度を向上させることができる。
【0025】
請求項2に記載された地下構造物における側壁と地中連続壁との結合方法によれば、地中連続壁に配置された各型材が固定部材に固定されており、この固定部材を除去することによって型材も除去されて空間を形成することができるので、地中連続壁の工期を短縮し、地中連続壁を含めた地下構造物の施工コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る地下構造物における側壁と地中連続壁との結合方法が採用された地下構造物の断面斜視図である。
【図2】図1における地中連続壁の要部断面図である。
【図3】地中連続壁の施工手順を示す図であって、掘削溝への鉄筋篭の建て込みを示す説明図である。
【図4】地中連続壁の施工手順を示す図であって、地中連続壁からの型材の除去を示す説明図である。
【図5】地盤中に構築された地下構造物の一例を示す側方断面図である。
【図6】側壁および地中連続壁に作用する力の荷重分布を示す図である。
【符号の説明】
1 地中連続壁
1a 孔(空間)
2 側壁
2a 孔
5 スリップバー(連結鉄筋)
6 掘削溝
7 鉄筋篭
10 型材
11 型材固定用プレート(固定部材)
G 地盤
T 地下構造物
Claims (2)
- 地盤中に設けられた掘削溝にコンクリートを打設することによって構築される地中連続壁と該地中連続壁の内側に近接して構築される地下構造物における側壁との間に連結鉄筋を介在させることによって地下構造物と地中連続壁とを結合する結合方法であって、
連結鉄筋が配設される部分に、連結鉄筋を型取った型材を配置したうえで掘削溝にコンクリートを打設して地中連続壁を構築し、
地下構造物が構築される地盤を地中連続壁に沿って掘削し、
地中連続壁から型材を除去し、
型材が除去された空間に連結鉄筋の一端を挿嵌し、
連結鉄筋の他端を側壁に設けた孔に挿嵌させながら地中連側壁に沿って側壁を立ち上げる
ことを特徴とする地下構造物における側壁と地中連続壁との結合方法。 - 請求項1に記載された地下構造物と地中連続壁とを結合する結合方法において、
前記型材を掘削溝の壁面に沿って配置される固定部材に固定する
ことを特徴とする地下構造物における側壁と地中連続壁との結合方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP07488496A JP3600990B2 (ja) | 1996-03-28 | 1996-03-28 | 地下構造物における側壁と地中連続壁との結合方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP07488496A JP3600990B2 (ja) | 1996-03-28 | 1996-03-28 | 地下構造物における側壁と地中連続壁との結合方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09268581A JPH09268581A (ja) | 1997-10-14 |
JP3600990B2 true JP3600990B2 (ja) | 2004-12-15 |
Family
ID=13560247
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP07488496A Expired - Fee Related JP3600990B2 (ja) | 1996-03-28 | 1996-03-28 | 地下構造物における側壁と地中連続壁との結合方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3600990B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN111088802B (zh) * | 2020-01-19 | 2024-05-24 | 长江勘测规划设计研究有限责任公司 | 新老地连墙接口处理结构及其处理方法 |
-
1996
- 1996-03-28 JP JP07488496A patent/JP3600990B2/ja not_active Expired - Fee Related
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---|---|
JPH09268581A (ja) | 1997-10-14 |
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