JP3599961B2 - 電子写真印刷フィルムラミネート缶の製法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、電子写真印刷法により印刷した樹脂フィルムを、金属製の缶胴の外面に貼着した缶体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のように電子写真印刷法は、帯電させた感光ドラムにレーザ光や可視光線を照射して模様や文字の潜像を形成し、その潜像の部分にトナーを静電気によって付着させ、これをフィルムや紙などの印刷対象物に転写するとともに、加熱して定着させる方法である。この印刷法は、ゼログラフィと称されるように、版を使用しないから、ニーズに対する即応性が高い。
【0003】
そこで印刷缶を製造する場合においても、オフセット印刷法やグラビア印刷法、フレキソ印刷法などの版を使用する印刷法によって印刷缶を製造することに替えて、電子写真印刷法を利用することが、従来、種々試みられている。その一例として、例えば特開昭63−279267号公報に記載された方法は、移動する帯状ベルトに、電子写真法により形成された感光ドラム上の一色のトナー像を転写するとともに定着し、帯状ベルト上のトナー像に他の色のトナー像を同様の方法で繰り返し重ねて転写かつ定着し、次いで加熱された金属容器をその帯状ベルトに圧接することによりトナー像を帯状ベルトから容器表面へ転写させる方法である。
【0004】
また他の例として、特開平1−198383号公報に記載された方法は、帯状ベルトにプラスチックフィルムを剥離可能に積層し、このプラスチックフィルム上に、電子写真法により形成された感光ドラム上の一色のトナー像を転写かつ定着し、同様な方法で複数の色のトナーを繰り返し重ねて転写かつ定着し、このようにして多色のトナー像を形成したプラスチックフィルムを、加熱した金属容器に圧接してプラスチックフィルムを帯状ベルトから金属容器の表面に転写させる方法である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者の特開昭63−279267号公報に記載された方法は、帯状ベルトの表面に直接トナーを付着させ、これを金属容器に転写する方法であるから、帯状ベルト上のトナー(インキ)が完全に金属容器に転移せずに、一部未転写のまま溶融して残り易く、次の転写の際に金属容器に転写されて汚れやゴーストの原因となることがある。また帯状ベルトを清浄な状態に保つためにクリーニングを定期的に行う必要があるが、帯状ベルトに付着したトナーなどによる汚れは、ブラッシングのみで容易に除去することが困難であり、結局、帯状ベルトのクリーニングに多大の労力と時間を費やすことになり、ひいては印刷缶の生産効率が悪くなる不都合があった。
【0006】
また上記の帯状ベルトは、トナーを溶融させるための赤外線照射を受けて加熱され、これが各トナーごとに繰り返されるので、帯状ベルトの膨張収縮が繰り返し生じ、その結果、トナー画像が歪んだり各トナーの見当ずれが発生し易くなるなどのおそれが多分にある。
【0007】
他方、後者の特開平1−198383号公報に記載された方法は、プラスチックフィルム上に電子写真印刷法により画像を形成し、そのプラスチックフィルムの画像部分あるいは画像部分を含む所定の範囲を、プラスチックフィルムと共に容器の表面に転移させて融着させることにより容器へ多色印刷する方法であるから、帯状ベルトに直接トナーを付着させる上記の方法におけるような不都合は生じない。しかしながら、この特開平1−198383号公報に記載された方法では、トナーを各色ごとに加熱溶融および冷却させるから、各トナーの加熱時間が異なり、特に最初に施されたトナーは加熱履歴が多く塗膜の劣化が起り易く、塗膜の密着性が悪くなりやすい。また、この公報に記載された方法では、金属容器に融着しなかったプラスチックフィルムをコイラーで巻き取ることとしており、したがって金属缶などの対象とする金属容器に融着させる量よりも多くのプラスチックフィルムを必要とし、その結果、消耗品の量が大きくなってコスト高になるおそれがある。
【0008】
さらにこの特開平1−198383号公報に記載された方法では、印刷の施されたプラスチックフィルムを帯状ベルトから剥離して金属容器に転写・融着させるから、そのプラスチックフィルムの印刷の施されていない他方の面が金属容器の表面に現れる。すなわちプラスチックフィルムの一方の面がそのまま表面に現れるために、金属容器としての表面の滑りが阻害され、後工程での金属容器のハンドリングに支障が生じる可能性が多分にある。
【0009】
この発明は、上記の事情を背景にしてなされたものであり、美麗な画像を有し、かつ後工程でのハンドリングに支障の生じないフィルム貼着缶を効率良く製造することのできる方法を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段およびその作用】
上記の目的を達成するために、この発明の方法は、金属板から円筒缶体を形成した後、印刷層を有する熱可塑性樹脂フィルムを、その円筒缶体の加熱した缶胴部に、熱硬化性樹脂からなる接着剤層を介して熱接着することによりフィルムラミネート缶体を製造する電子写真印刷フィルムラミネート缶の製法において、予め、一方の面にクリアーコート層が形成されている長尺状の熱可塑性樹脂フィルムの反対側の面に、電子写真印刷法により着色トナーを静電付着させるとともに、その着色トナーの上層に溶剤を含まない粉体からなる接着剤トナーを静電付着させた後、これら積層した着色トナーおよび接着剤トナーを不完全な溶融状態に加熱溶融させ、続けて冷却することにより仮定着させ、次に、仮定着させた前記長尺状の熱可塑性樹脂フィルムを切断して1缶分毎の大きさの印刷フィルムとし、その1缶分の大きさの印刷フィルムを、前記仮定着温度よりも高い温度に加熱昇温した缶胴面に、前記接着剤層を内面側にして接着剤層を介して加熱圧着させ、前記着色トナーおよび前記接着剤トナーを完全溶融させて本定着させることを特徴とする方法である。
【0011】
なお、ここで言う「仮定着」状態とは、トナーのフロー状態が不完全ではあるが、フィルムから簡単にトナーが離脱しない程度を指す。すなわち、熱硬化型のトナーの場合は架橋反応が進んでない状態を指す。一方の「本定着」状態とは、仮定着状態でフィルムに付着しているトナーを、仮定着温度より高い温度で圧着することにより、トナーのフロー状態をさらに溶融状態化し、架橋反応を進ませた状態を指す。この本定着の温度は、仮定着したトナーを完全溶融したフロー状態にさせて速やかに架橋反応をさせるためには、仮定着温度より10度以上高くするのが好ましい。
【0012】
したがってこの発明の方法では、熱可塑性樹脂フィルム上に形成した着色トナーおよびその上層の接着剤トナーを付着させるごとに加熱溶融および冷却を行なわず、接着剤トナーを静電付着させた後の加熱だけで不完全な溶融状態に加熱溶融させ、続けて冷却することにより仮定着した後、その印刷フィルムの缶胴面に対する加熱圧着時に、その圧着のための加熱によって各トナーを完全溶融させて本定着させる。そのため、各トナーを不完全な溶融状態に加熱溶融させて冷却することにより仮定着させる工程を有しているので、その後にフィルムの搬送、切断、貼着などの工程がおこなわれた場合においても各トナーがフィルム面から離脱することがない。また、加熱圧着時にその圧着のための加熱によって各トナーを完全溶融させて本定着させるので、各トナーの熱履歴がほぼ同等になってフィルムの熱膨張および熱収縮による画像の歪みが防止され、またオーバーキュアーによる塗膜劣化が防げ、同時に消費する熱エネルギ量が低減されてランニングコストの低廉化を図ることができる。
【0013】
さらに、静電付着させる接着剤トナーは溶剤を含まない粉体なので、加熱手段として大きな乾燥炉・オーブン等はいらず、小規模なヒーター程度で済み設備の小型化と省エネが図れる。また、接着剤の厚塗りができるので、接着剤に白色顔料を入れるだけで、予め缶外面に施したホワイトコーティングしたものと同じレベルの白色度を得ることが可能である。そしてこの発明の方法では、長尺フィルムを缶胴1周分ごとに切断し、各々を缶体に接着して使用するから、余剰の樹脂フィルムが生じることがなく、材料歩留まりが良好になってコストの低廉化を図ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
つぎにこの発明をより具体的に説明する。図1に示すこの発明で対象とする缶体1は、金属製であり、その素材としての金属板には、アルミニウム板、アルミニウム合金板、ティンフリースチールなどの表面処理鋼板、ブリキ、クロムメッキ鋼板、アルミメッキ鋼板、ニッケルメッキ鋼板、その他の各種合金メッキ鋼板を用いることができる。またこの缶体1は、図1に示すように、絞り缶、再絞り缶、ストレッチ缶、絞りしごき缶、インパクト缶などの缶底と缶胴とが一体に成形された底付き缶体、すなわちツーピース缶、もしくはスリーピース缶とすることができる。この缶胴の開口端部には、最終的にネックイン加工およびフランジ加工が施されてネックイン部1aおよびフランジ部1bが形成される。
【0015】
この缶体に貼着される熱可塑性樹脂フィルム2としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂などのポリエステル系樹脂、ポリエチレンテレフタレートとイソフタル酸との共重合体などよりなる共重合ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン共重合体などのうちから選ばれた透明な高分子樹脂単体、あるいは上記樹脂の複合体からなる熱可塑性樹脂フィルムが用いられる。これらのうち、貼着工程において60kgf /cmの線圧力で缶体1の円周方向にある程度展延し、しかも耐熱性があるポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを用いることが好ましい。その樹脂フィルムの厚さは適宜決定することができ、一例として10〜30μm程度の厚さの樹脂フィルムを使用することができる。
【0016】
この熱可塑性樹脂フィルムの一方の面には、予めクリアーコート層を形成しておくことができる。そのクリアーコートとしては、具体的には、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ変性ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等にアミノ樹脂等の硬化剤を使用し、これに周知の滑剤を含有させたものを例示することができる。
【0017】
図2は、熱可塑性樹脂フィルム2にクリアーコートをスポットコートする工程を模式的に示しており、ロール3から繰り出したフィルム2をグラビアロールコータ4に通過させ、ここでフィルム2の一方の面(図2では下面)にクリアーコートをスポットコートする。
【0018】
このスポットコートは、前記長尺フィルム2に対して1缶分の長さごとに行うので、クリアーコート層はほぼ缶胴1周分の長さを1単位として繰り返し行われる。ついでドライヤー5に通過させてクリアーコートを乾燥させた後、ロール6に巻き取る。なお、そのドライヤー5としては、温風乾燥機や赤外線を照射して加熱する赤外線乾燥機などを用いることができる。またクリアーコートの付着量は、その厚さが0.5〜3μmとなる量とする。
【0019】
クリアーコート層を片面に形成した上記のフィルム2の他方の面に、電子写真印刷法によって模様や文字を形成する。この電子写真印刷法は、複写機やレーザプリンタなどに採用されている公知の方法であり、これを簡単に説明すると、図3において符号7は潜像転写ドラム(感光ドラム)を示し、その表面にはセレニウムなどの光電導性物質が塗布されている。このドラム7を先ず、高電圧発生器8によってプラス(+)に帯電させ、ついでレーザ光や可視光をその表面に照射する。これらの光線を照射された部分の帯電がなくなり、陽電荷による潜像がドラム7に形成される。したがってレーザ光や可視光の照射パターンをコンピュータ9などによって制御することにより、模様や文字などの任意の潜像を得ることができる。そしてマイナス(−)に帯電したトナー10をドラム7に供給することにより、潜像の部分にトナーが付着し、画線が現れる。このようにして画線を形成したドラム7に対して、プラス(+)に帯電させたフィルム2を圧接すると、トナーがフィルム2に転写される。すなわちレーザ光や可視光によって描いた画像がフィルム2上に形成される。そしてその画像を固定するためにフィルム2を溶融定着ロール11に通し、トナーを加熱溶融する。
【0020】
図4は電子印刷から缶体へのフィルムの貼着までの工程を模式的に示しており、前記のクリアーコートを片面に塗布した熱可塑性樹脂フィルム2をロール6から繰り出し、そのフィルム2のクリアーコートを塗布していない面に、電子印刷によりイエロー(Y)トナー、マゼンタ(M)トナー、シアン(C)トナー、ブラック(B)トナーの各トナーを付着させる。これらの着色トナーを用いた電子印刷の後に、これら互いに積層した着色トナーの上層に接着剤トナーを静電付着させる。その接着剤としては、加熱と加圧とにより密着し易い熱硬化性接着剤を用いることができる。具体的には、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂などにアミノ樹脂、イソシアネート樹脂等の硬化剤を入れたものであって、融点が140〜160℃、軟化点が60〜70℃のものを例示することができる。またその付着法としては電子印刷方式を採用することができ、さらにその塗布量は、70〜130mg/dm2 とすればよい。図4中、符号12,13,14,15,16はそれぞれのトナーを使用する現像ユニットである。各トナーによる電子印刷は、公知の位置合せ手段(例えば見当マークを使う方法)を使用して、前記スポットコートに対応して行われる。
【0021】
図5は、電子写真印刷を終了した段階のフィルム2の断面を模式的に示しており、フィルム2の図5での下面にはまず着色トナーによる印刷層18が積層され、その着色トナーによる印刷層18の下面には接着剤層17が積層されている。またフィルム2の上面にはクリアーコート層19が形成されている。そのクリアーコート層19同士の間にニス除け部分20が形成されている。
【0022】
ここでイエロー、マゼンタ、シアンの各着色トナーの樹脂成分(バインダー)としては、エポキシ樹脂あるいはポリエステル樹脂であって、融点が100〜120℃、軟化点が60〜70℃のものを使用することができる。またブラックトナーは顔料(着色材)として炭素粉を使用することができる。さらに着色トナー(ブラックトナーを含む)の付着量は、その厚さが7〜50μmとなる量とする。
【0023】
各トナー(Y,M,C,B)および接着剤を電子写真印刷によりフィルム2に付着させた後、これらのトナーの仮定着を行う。これは、例えば前記フィルム2を赤外線炉21に送り込み、赤外線を照射することにより全トナーおよび接着剤を一度に加熱溶融させ、後続する冷却ゾーン41にて冷却を行う。この仮定着は、上記のフィルム2を缶胴1周分の長さごとに切断し、かつ缶体に貼着するまでの間にフィルムからトナーが離脱しないようにするためのものであり、一例として140〜160℃の温度に加熱昇温して行う。
【0024】
つぎにトナーおよび接着剤を仮定着したフィルム2を、図示しないフィード装置により搬送し、缶胴1周分の長さごとに切断し、かつ缶体に貼着する。その工程を図4に示す装置に基づいて説明する。上記の長尺フィルム2を挟み込んで缶胴1周分の長さごとに切断するカッターロール22と固定刃23とが貼着ロール24に接近して配置されている。このカッターロール22は、缶胴1周分の長さの円周長を有しかつ1回転ごとにフィルム2を切断するカッターを備えており、前記ニス除け部分20のほぼ中央部で切断するように、フィルム2の走行と同期して回転する。
【0025】
貼着ロール24は、複数缶分の周長を備えたロールであって、缶胴1周分の長さに切断されたフィルム2をその外周面に複数枚吸着して保持するようになっている。この貼着ロール24は、缶体1を嵌合させて旋回移動する複数のマンドレル25の旋回サークルに接近した所定箇所に配置されている。この旋回サークルにおけるマンドレル25の旋回方向でのいわゆる上流側には、供給ステーション26が設けられており、この供給ステーション26に向けて供給コンベア27が配置されている。この供給コンベア27は、アルミニウム板などの金属板を素材として絞り加工あるいは絞りしごき加工などによって形成された円筒状の缶体1を一列に並べて搬送するものであって、その最先端部において供給ステーション26のマンドレル25に缶体1を受け渡して嵌合させるようになっている。
【0026】
この供給ステーション26に対してマンドレル25の旋回方向での下流側で前記貼着ロール24との間には、マンドレル25に嵌合された缶体1を加熱する誘導加熱装置28が配置されている。この誘導加熱装置28は、前記フィルム2の加熱接着とトナーの本定着のために充分な温度となるように缶体1およびマンドレル25を加熱昇温するものであって、この加熱温度は、前記仮定着温度よりも高い温度、例えば150〜170℃に設定されている。すなわち、仮定着と本定着とに温度差をつけるのは、トナーのフロー状態を完全なものとし、硬化反応を進行させるためである。
【0027】
マンドレル25の旋回サークルのうち前記貼着ロール24に接近した箇所が接着ステーション29であって、貼着ロール24に吸着保持されている1缶分の長さのフィルム2が、加熱昇温された缶体1に押し付けられることにより、貼着ロール24から剥がれて缶体1に巻き付けられる。すなわちその場合、切断されたフィルム2は、接着剤層17を外向きにして貼着ロール24に吸着保持されている。また、その押圧力は、例えば線圧力30kgf /cmに設定されている。
【0028】
接着ステーション29に続けて押圧ステーション30が設けられており、ここには押圧ロール31が配置されている。この押圧ロール31は回転しつつ缶体1に接触させられることにより、缶体1の表面に接着されているフィルム2を押圧して接着剤の密着度を高めるものであって、その押圧力は、マンドレル25との間隔を調整することにより、例えば40〜60kgf /cmに設定されている。
【0029】
なお、缶胴1周分の長さに切断したフィルム2を缶体1に、そのフィルム2の両端部を重ねて接着する場合でもフィルム2の端部にはニス除け部分20を設けてあるから、接着層17の下側に滑材含有のクリアーコート層19が介在することがなく、したがって、フィルム両端の重なり部で剥離することがなくフィルム2を缶体1の外周面に確実に貼着することができる。
【0030】
そして上記の押圧ステーション30に対してマンドレル25の旋回方向での下流側に搬出ステーション32が設けられており、フィルム2を貼着した缶体1をここから搬出コンベア33に対して送り出すようになっている。なお、この搬出コンベア33は、フィルム2を貼着した缶体1をネックイン加工やフランジ加工を行う工程へ搬送する。
【0031】
【実施例】
つぎにこの発明の実施例を記す。
【0032】
鋼板を絞り加工したスチールDI缶に、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムを貼着してフィルム貼着缶を得た。そのフィルムの厚さは16μmであり、表面をコロナ処理した。その長尺フィルムの一方の面に、ポリエステル系樹脂から成るクリアーコートをスポットコートした。(10mg/dm2 の割合で塗布した。)
上記のクリアーコートを塗布しかつ乾燥させた長尺のフィルムの他方の面すなわちクリアーコートを塗布していない面に、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のカラートナーを使用して電子印刷によって画像を形成し、さらにその上層に白色顔料(酸化チタン)入り接着剤を電子印刷した。カラートナーはポリエステル樹脂を主成分とするものであり、その組成は、バインダー95重量部に対して顔料5重量部とし、これに数重量部の帯電剤を混合した。
【0033】
各トナーの融点は100℃、軟化点は60℃であり、カラートナーは50μmの厚さに付着させ、またその上層の接着剤は110mg/dm2 の厚さに付着させた。これらのカラートナーおよび接着剤の仮定着として、赤外線ランプによる輻射加熱を行った。加熱温度は140℃、加熱時間は1秒である。
【0034】
一方、上記のフィルムの接着とトナーの本定着のために、上記のスチールDI缶を誘導加熱によって150℃に加熱昇温し、これに前記のフィルムを貼着した。押圧ステーションでの押圧荷重は、40〜60kgf /cmの線圧力とした。なお、缶体に巻き付けて貼着したフィルムの両端部は、僅かに重なり合っていた。
【0035】
そして、得られたフィルム貼着缶体を目視観察したところ、トナー画像の歪みや見当ずれは認められず、模様および文字に異常は認められなかった。さらに、白色接着剤がトナーによる電子印刷で施され、厚塗りが可能となったので、白色度の高いベースコートが得られ、美麗な高画質の印刷像が得られた。
【0036】
また、各トナー毎に加熱冷却が施される場合(4色カラー+クリアー+貼着で熱履歴的に6回の加熱を受けた場合)に比し、塗膜の耐衝撃性および耐折曲げ性に優れ、ネックイン加工およびフランジ加工を行ったところ、塗膜に亀裂がなく、しかもフィルムのシワや剥離も生じなかった。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したようにこの発明のフィルムラミネート缶の製法によれば、電子写真印刷法により画像を形成するから、予め版を作成する必要がなくなり、したがって小ロット多品種の缶体の製造にフレキシブルに対応することが可能となる。また、すべてのカラートナーと接着剤とを付着させた段階で仮定着させるので、トナーの定着のための手段や工程を削減でき、工程の短縮化、生産速度の高速化、設備コストならびにランニングコストの低廉化を図ることができる。さらに各トナーの本定着とフィルム貼着工程とを同時に行い、しかもフィルム貼着の際の缶胴の熱を利用して各トナーの本定着を行うので、この点でも工程の短縮化や生産速度の高速化を図ることができ、これに加えて、完全に定着した印刷フィルムを貼着するのと比較して熱履歴が少なくてすみ、高品質のフィルム貼着缶を得ることが可能となる。
【0038】
そしてこの発明の方法では、すべてのトナーを付着させた後に、仮定着と本定着とを順に行うので、各トナーの熱履歴が同等になり、その結果、各トナーにおける塗膜の物性の均一化を図ることができると同時に、各トナーによる印刷の際のフィルムの熱膨張・熱収縮を防止して画像のずれを防止できるため、鮮明な印刷像を得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明で対象とする缶体の一例を示す側面図である。
【図2】接着剤の塗布工程を説明するための模式図である。
【図3】電子写真印刷法を原理的に示す模式図である。
【図4】この発明の方法による4色のカラートナーと接着剤とを用いた電子印刷工程から缶体に対するフィルムの貼着工程までを示す模式図である。
【図5】接着剤を付着させた時点のフィルムの模式的な断面図である。
【符号の説明】
1 缶体
2 熱可塑性樹脂フィルム
7 感光ドラム
12,13,14,15,16 現像ユニット
17 接着剤層
18 着色トナーによる印刷層
19 クリアーコート層
Claims (1)
- 金属板から円筒缶体を形成した後、印刷層を有する熱可塑性樹脂フィルムを、その円筒缶体の加熱した缶胴部に、熱硬化性樹脂からなる接着剤層を介して熱接着することによりフィルムラミネート缶体を製造する電子写真印刷フィルムラミネート缶の製法において、
予め、一方の面にクリアーコート層が形成されている長尺状の熱可塑性樹脂フィルムの反対側の面に、電子写真印刷法により着色トナーを静電付着させるとともに、その着色トナーの上層に溶剤を含まない粉体からなる接着剤トナーを静電付着させた後、これら積層した着色トナーおよび接着剤トナーを不完全な溶融状態に加熱溶融させ、続けて冷却することにより仮定着させ、次に、仮定着させた前記長尺状の熱可塑性樹脂フィルムを切断して1缶分毎の大きさの印刷フィルムとし、その1缶分の大きさの印刷フィルムを、前記仮定着温度よりも高い温度に加熱昇温した缶胴面に、前記接着剤層を内面側にして接着剤層を介して加熱圧着させ、前記着色トナーおよび前記接着剤トナーを完全溶融させて本定着させることを特徴とする電子写真印刷フィルムラミネート缶の製法。
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