JP3599884B2 - 引込器具の耐圧防爆構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、耐圧防爆構造の容器に収納された電気機器に接続される光ファイバ等の信号線を、容器内に引き込む際に用いられる引込器具に関し、特に、容器の耐圧防爆構造を維持するための引込器具の耐圧防爆構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
誘爆雰囲気状態にある危険地域において電気機器を使用する場合、電気機器において生じた火花の引火による爆発事故を防止するため、電気機器を収納する耐圧防爆構造の容器が用いられる。耐圧防爆構造の容器内に電気機器を収納することにより、電気機器において生じた火花の引火による爆発は容器内部に止められ、外部において大規模な爆発事故を生じることがない。
【0003】
このような耐圧防爆構造の容器内に収納された電気機器は、容器外部に設けられた装置に信号線を介して接続される場合がある。この場合には、電気機器と外部装置とを接続する信号線を容器内に引き込む必要があるが、容器の耐圧防爆機能を維持するためには、容器における信号線の引込部分も耐圧防爆構造とし、この部分における火炎の逸走を防止しなければならない。
【0004】
そこで、従来では、図5に示すように、容器51の一部に充填室52を備えた引込孔53を形成し、この充填室52及び引込孔53に信号線54を挿入した後に、充填室52にエポキシ樹脂等の固着用材料を充填し、引込孔53を閉塞する耐圧固着式引込方式等の構造とすることが、労働省産業安全研究所刊行の「工場電気設備防爆指針」において義務付けられている。
【0005】
また、耐圧固着式引込方式としては、図6に示すように、充填室63及び引込孔64を設けた引込器具65を容器61に形成された取付孔62に装着し、充填室63及び引込孔64に信号線66を挿入した後に、充填室63にエポキシ樹脂等の固着用材料を充填する方式もある。この方式によれば、断線を生じた場合等において信号線66を交換する際に、引込器具65のみを交換すれば良く、容器61全体を交換する必要がない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図5に示した従来の引込器具の耐圧防爆構造では、信号線を交換する際には、耐圧防爆構造の容器を信号線とともに交換する必要があり、また、図6に示した構成でも、少なくとも引込器具全体を信号線とともに交換する必要があり、信号線の交換時における作業コストが上昇するとともに、容器から引込器具を取り外さなければならず、作業が煩雑化する問題があった。
【0007】
この発明の目的は、信号線の交換に際して信号線とともに引込器具の構成部品の一部のみを交換するだけでよいとともに、容器から部品を取り外す必要がなく、信号線の交換時における作業コストの低廉化、及び、作業の簡略化を実現できる引込器具の耐圧防爆構造を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明は、耐圧防爆構造の容器に電気機器の信号線が貫通する引込孔を構成する引込器具の耐圧防爆構造において、
前記容器に形成されたネジ孔に一端側から螺合する中空円筒形状のニップルと、信号線に外嵌してニップルの内部にニップルの他端側から嵌入する中空円筒形状のソケットと、ニップルの内部にニップルの他端側から螺合してニップルの内部における段部にソケットのフランジ部が当接するようにソケットを軸方向に押圧する移動規制部材と、を備え、ソケットに信号線を挟持するクランプ板の取付部を形成するとともに、信号線に外嵌したソケットの内部にコンパウンドを充填することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明の実施形態の一例である引込器具の耐圧防爆構造を適用した電気機器に対する信号線の接続状態を示す図である。耐圧防爆構造の容器21に収納された電気機器22は、信号線である光ファイバ20を介して図外の外部装置に接続される。容器21には、後述する構成の耐圧防爆構造の引込器具1が装着されており、この引込器具1を介して光ファイバ20が容器21の内部に引き込まれる。また、光ファイバ20の一部は、容器21の外部において、簡易型の保護容器23内でコネクタ24を介して分離自在にされている。
【0010】
このように、保護容器23内でコネクタ24を介して光ファイバ20を分離自在に接続することにより、防爆機能に関係のない部分で光ファイバ20の交換作業を容易に行うことができる。
【0011】
図2は、上記耐圧防爆構造を適用した引込器具の側面断面図である。また、図3は、同引込器具のソケット部の構成の詳細を示す側面断面図である。引込器具1は、ニップル2、ソケット3、ソケット押圧部材6、リング7及びナット8等により構成されている。これらの構成部品は、略中空円筒形状を基本形状としている。ニップル2の外周面の一端側には、ネジ部2aが形成されている。このネジ部2aは、容器21の側面に形成されたネジ孔21aにリングパッキン12を介して容器21の外部から螺合する。容器21内に突出したネジ部2aには、容器21の内部からロックナット11が螺合する。これによって、容器21に対するニップル2の取付状態が堅牢に維持されるとともに、ニップル2と容器21との間にリングパッキン12が介在することにより、容器21内の防水性が保たれる。
【0012】
ニップル2は、内部にソケット3を収納する。このソケット3は、図3に示すように、円筒形状の充填部3a、及び、円柱形状の一部を切り欠いた取付部3bを備えている。ソケット3の取付部3bにおいて、固定ネジ5を介して2枚のクランプ板4の間に光ファイバ20の一部が固定される。また、光ファイバ20が貫通した充填室3cにはパッキン9が挿入されるとともに、この発明のコンパウンドであるエポキシ樹脂10が充填される。コンパウンドとしては、エポキシ樹脂の他にポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。この充填室3cには段部3dが形成されており、固化したエポキシ樹脂10が充填室3cから光ファイバ20の軸方向に容易に抜き取ることができないようにされている。この充填室3cの内部において光ファイバ20の一部はカバーを剥がされ、エポキシ樹脂10によって固化されている。
【0013】
ニップル2の内周面の他端側には、ネジ部2bが形成されている。このネジ部2bにソケット押圧部材6が螺合する。ソケット押圧部材6は、ネジ部2bに螺合しつつ、ニップル2内に挿入されたソケット3をニップル2の一端側、即ち、容器21側に押圧する。ソケット3の取付部3bの外径は充填部3aの外径よりも大きくされており、充填部3aと取付部3bとの間にフランジ部3eが形成されている。一方、ニップル2の内周面には、小径部2c及び大径部2dとの間に段部2eが形成されている。ニップル2の小径部2cの内径はソケット3の充填部3aの外径に略等しく、大径部2dの内径は取付部3bの外径に略等しくされている。
【0014】
したがって、ソケット押圧部材6によりニップル2の一端側に押圧されたソケット3は、フランジ部3eが段部2eに当接する位置に停止し、このとき、少なくともニップル2の小径部2cとソケット3の充填部3aとの間、及び、ニップル2の段部2eとソケット3のフランジ部3eとの間には、火炎が逸走する間隙はない。また、光ファイバ20とソケット3の充填室3cの内周面との間には、前述のようにエポキシ樹脂10が充填されるため、この間にも火炎が逸走する間隙はない。このため、誘爆雰囲気状態の危険地域に電気機器を収納した容器21を設置した場合に、電気機器において生じた火花の引火による爆発の火炎が外部に逸走することがなく、容器21の外部において大規模な爆発を生じることはない。
【0015】
ニップル2の他端の外周面には、ネジ部2fが形成されており、さらに、内周面に貫通する半径方向のネジ孔2gが形成されている。このネジ孔2gには止めネジ14が螺合する。止めネジ14はソケット押圧部材6に当接し、ニップル2のネジ部2bに対するソケット押圧部材6の螺合状態が緩まないように規制する。また、ネジ部2fには、ナット8の一端側が螺合する。ナット8には、ナット8の他端側から一部を露出するリング7が挿入されている。このリング7の内周面に形成されたネジ部7aには、図外の管材が配管される。また、ニップル2とナット8との間、及び、ナット8とリング7との間のそれぞれには、Oリング13及び15が挿入されており、ニップル2及びリング7とナット8との間の防水性が保たれる。
【0016】
図4は、同引込器具の組立図である。引込器具1を組み立てる際には、先ず、ニップル2をリングパッキン12を介して図外の容器21に取り付けるとともに、ニップル2及びリング7のそれぞれにOリング13及び15を装着した後、光ファイバ20を、ナット8、リング7、ソケット押圧部材6、ソケット3及びニップル2にこの順に貫通させる。次いで、ソケット3の取付部3bにネジ5を介して取り付けられる2枚のクランプ板4の間に光ファイバ20の一部を挟持する。この状態でソケット3の充填室3cにエポキシ樹脂10を充填する。これよって、光ファイバ20の一部にソケット3が固定される。
【0017】
このソケット3をニップル2内に挿入した後、ソケット押圧部材6をニップル2のネジ部2bに締め込み、ソケット3をニップル2内においてフランジ部3eが段部2eに当接する位置まで押し込む。さらに、ネジ孔2gに止めネジ14を螺合してソケット押圧部材6の緩みを防止し、ニップル2内におけるソケット3の移動を規制する。最後に、リング7が挿入されたナット8をニップル2のネジ部2fに締め込む。
【0018】
光ファイバ20が断線を生じた場合等において、この光ファイバ20を交換する場合は、ナット8をニップル2のネジ部2fから取り外すとともに、ニップル2のネジ孔2gから止めネジ14を取り外し、さらに、ソケット押圧部材6をニップル2のネジ部2bから取り外す。これによって、容器21内の電気機器から分離された光ファイバ20をソケット3とともにニップル2の他端側に引き出すことができる。このようしてニップル2の他端側に引き出した光ファイバ20をソケット3の取付部3b側に露出した部分において切断することにより、破棄すべき光ファイバ20からソケット押圧部材6、リング7及びナット8を取り外すことができる。
【0019】
以上の構成により、引込器具1を構成する部品のうち、ソケット3のみがエポキシ樹脂10により光ファイバ20に固着される。したがって、光ファイバ20の交換に際して、引込器具1を構成する部品のうち、ロックナット11、リングパッキン12及びOリング13を含むニップル2、クランプ板4、ネジ5、ソケット押圧部材6、Oリング14含むリング7及びナット8は、新たな部品に交換する必要はなく、破棄すべき光ファイバ20に固着されたソケット3のみを新たな部品に交換すればよい。また、ニップル2を容器21から取り外す必要もない。
【0020】
【発明の効果】
この発明によれば、信号線の交換時に引込器具の構成部品の1つのみを交換すればよく、引込器具全体、又は、防爆構造の容器全体を交換する必要がないため、危険地域において電気機器を収納した容器に用いられる信号線の引込器具に要求される防爆機能を確保しつつ、信号線の交換時における作業コストの低廉化を実現することができる。また、信号線の交換時に容器に取付られた部品を容器から取り外す必要がなく、信号線の交換作業を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態の一例である引込器具の耐圧防爆構造を適用した電気機器に対する信号線の接続状態を示す図である。
【図2】上記耐圧防爆構造を適用した引込器具の側面断面図である。
【図3】同引込器具のソケット部の構成の詳細を示す側面断面図である。
【図4】同引込器具の組立図である。
【図5】従来の耐圧防爆構造の容器に用いられる信号線の引込器具を示す図である。
【図6】同従来の耐圧防爆構造の容器に用いられる信号線の引込器具を示す図である。
【符号の説明】
1−引込器具
2−ニップル
3−ソケット
3a−充填部
3c−充填室
4−クランプ板
5−ネジ
6−ソケット押圧部材
7−リング
8−ナット
9−パッキン
10−エポキシ樹脂
14−止めネジ
20−光ファイバ
Claims (1)
- 耐圧防爆構造の容器に電気機器の信号線が貫通する引込孔を構成する引込器具の耐圧防爆構造において、
前記容器に形成されたネジ孔に一端側から螺合する中空円筒形状のニップルと、信号線に外嵌してニップルの内部にニップルの他端側から嵌入する中空円筒形状のソケットと、ニップルの内部にニップルの他端側から螺合してニップルの内部における段部にソケットのフランジ部が当接するようにソケットを軸方向に押圧する移動規制部材と、を備え、ソケットに信号線を挟持するクランプ板の取付部を形成するとともに、信号線に外嵌したソケットの内部にコンパウンドを充填することを特徴とする引込器具の耐圧防爆構造。
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JP6974696A JP3599884B2 (ja) | 1996-03-26 | 1996-03-26 | 引込器具の耐圧防爆構造 |
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JP6974696A JP3599884B2 (ja) | 1996-03-26 | 1996-03-26 | 引込器具の耐圧防爆構造 |
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