JP3598685B2 - 電車用ドアの開閉装置の制御方法 - Google Patents

電車用ドアの開閉装置の制御方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、永久磁石と電機子コイルと速度・磁極位置検出器とからなり電車用ドアと機械的に結合されたリニア同期モータと、このリニア同期モータの制御を行う制御回路とから構成される電車用ドアの開閉装置の制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図10は、この種の電車用ドアの開閉装置の模式的構成図を示している。
図10において、10はドア部、20はリニア同期モータ、30は制御回路を示し、またドア部10はドア本体11,レール12,戸車13,継手14などから構成され、さらにリニア同期モータ20は永久磁石などから形成される固定子21、電機子コイルを形成する可動子コイル22、可動子コイル22と固定子21の磁極との位置関係を示す磁極位置および可動子コイルの速度・位置検出を検出すべくスリット板とホトインタラプタなどからなるセンサ23などから構成されている。
【0003】
この電車用ドアの開閉装置の構成において、リニア同期モータ20の推力は、可動子コイル22から駆動アーム(図示の太破線)とドア部10の継手14とを介してドア本体11に直接伝達され、駆動力として作用している。
このとき、ドア本体11の荷重はレール12と戸車13とで支えるようにし、可動子コイル22と継手14とはフリー結合にして、ドア本体11の荷重はリニア同期モータ20の可動子コイル22には殆どかからない構造としている。
【0004】
制御回路30は、乗務員からの指令に基づきドア本体11の開閉動作をする際のリニア同期モータ20に所定の移動位置設定値を出力する設定値演算回路31と、この移動位置設定値とセンサ23から得られる検出位置との偏差からリニア同期モータ20の速度設定値を演算する位置調節器32と、この速度設定値とセンサ23から得られる検出速度との偏差からリニア同期モータ20の推力設定値を演算する速度調節器33と、この推力設定値とセンサ23から得られる検出磁極とからリニア同期モータ20の可動子コイル22の各相に対応した電流設定値に変換する信号変換器34と、この各相の電流設定値と電流検出器35から得られた各相の検出電流とのそれぞれの偏差から各相の駆動信号を演算する電流調節器36と、入力の直流電源(例えばDC100ボルト)から該各相の駆動信号に基づいて所望の電圧,周波数の電力を可動子コイル22の各相に供給する半導体スイッチ素子などからなり、いわゆるインバータと称される電力変換器37とから構成されている。
【0005】
従来の電車用ドアの開閉装置の制御方法を、図10の構成図を参照しつつ、以下に説明をする。
先ず、ドア本体11の開動作のためには、設定値演算回路31から所定の移動位置設定値が出力され、この移動位置設定値とセンサ23から得られる検出位置との偏差を位置調節器32で演算して所定の速度設定値(高速)が出力され、ドア本体11が全閉位置から開動作を開始する。ドア本体11が走路の特定の位置を通過したことを図示しない近接スイッチなどで検知すると、位置調節器32の出力は速度設定値(低速)に切り替わり、この速度設定値(低速)に基づいてドア本体11が全開位置まで移動すると、前記移動距離設定値とセンサ23から得られる検出位置とは一致した状態となり、ドア本体11の開動作は完了する。
【0006】
次に、ドア本体11の閉動作のためには、設定値演算回路31から所定の移動位置設定値が出力され、この移動位置設定値とセンサ23から得られる検出位置との偏差を位置調節器32で演算して所定の速度設定値(高速)が出力され、ドア本体11が全開位置から閉動作を開始する。ドア本体11が走路の特定の位置を通過したことを図示しない近接スイッチなどで検知すると、位置調節器32の出力は速度設定値(低速)に切り替わり、この速度設定値(低速)に基づいてドア本体11が全閉位置まで移動すると、前記移動距離設定値とセンサ23から得られる検出位置とは一致した状態となり、ドア本体11の閉動作は完了する。
【0007】
上述のドア本体11の閉動作中に、ドア本体11の走路に乗客または異物が介在してドア本体11の走行が停止したときには、乗務員の指令により制御回路30は、一旦ドア本体11の開動作を行わせ、再度閉動作を行うようにしていた。
また、この電車用ドアの開閉装置において、入力電源が遮断されたときには、図示しない機械式ブレーキによりドア本体11が動かないようにしていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述の従来の電車用ドアの開閉装置の制御方法によると、電車用ドアの開閉動作のためには、電車用ドアの走路の特定の複数の位置に近接スイッチなどが必要であり、または、この近接スイッチの代わりに可動子コイル22の位置を検出する高価なアブソリュート形のセンサが必要であった。
【0009】
この発明の目的は、上記問題点を解決する電車用ドアの開閉装置の制御方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
永久磁石と電機子コイルと速度・磁極位置検出器とからなり電車用ドアと機械的に結合されたリニア同期モータと、このリニア同期モータの制御を行う制御回路とから構成される電車用ドアの開閉装置において、
この第1の発明は、前記電車用ドアの開閉装置に電源が投入された直後に、前記制御回路によりリニア同期モータに所定の速度および推力上限値を与え、この速度により電車用ドアを現在の位置から全開位置または全閉位置まで移動させ、電車用ドアが前記全開位置または全閉位置に達したことを前記制御回路によりリニア同期モータの現在の速度または速度設定値と推力とから検知し、この全開位置または全閉位置を基準として、通常の開閉動作時に前記速度・磁極位置検出器の出力のパルス列信号の発生数を計測することにより電車用ドアの現在位置を管理する。
【0011】
第2の発明は、前記第1の発明において、
通常の開閉動作時には、前記制御回路によりリニア同期モータに所定の速度および推力上限値が与えられて電車用ドアが開動作または閉動作を開始し、電車用ドアが開動作または閉動作中に、前記速度・磁極位置検出器の出力のパルス列信号の発生数の計測値が所定の値になったときに、前記制御回路により与えられるリニア同期モータの速度を、当初の設定値に対応した値より所定の値減少させて、電車用ドアが開動作または閉動作を継続させる。
【0012】
第3の発明は、前記第1の発明において、
前記制御回路によりリニア同期モータに所定の速度および推力上限値が与えられ電車用ドアが通常の閉動作中に、この電車用ドアに乗客が挟まれたこと又は挟まれそうになったことを乗務員が検知したときに、前記乗務員からの指令に基づいて、前記制御回路がリニア同期モータに所定の後退速度および後退推力上限値を与えて所定の時間後退させた後、再度当初設定された速度および推力上限値で当初の位置に戻る動作を行う。
【0013】
第4の発明は、前記第1〜第3のいずれかの発明において、
電車用ドアが前記全開位置または全閉位置に達したことを前記制御回路により前記速度・磁極位置検出器の出力のパルス列信号の発生数の計測値から検知したときに、前記制御回路によりリニア同期モータに与える推力を、当初の推力上限値に対応した値から推力上限値より値の小さい当て止め推力値に対応した値に切り替える。
【0014】
この第1〜第3の発明によれば、従来必要であった電車用ドアの走路の特定の複数の位置の近接スイッチとインクリメンタル形センサ、或いはアブソリュート形のセンサの代わりに単純なパルス列信号を出力するインクリメンタル形のセンサにより位置の管理が行える。
【0015】
また、第4の発明によれば、上記第1〜第3の発明の作用に加えて、電車用ドアが全開位置または全閉位置ではリニア同期モータの推力を弱めることにより、電車用ドアの開閉装置の消費電力の省エネルギが計られる。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明の実施の形態を示す電車用ドアの開閉装置の模式的構成図であり、図10に示した従来例と同一機能を有するものには、同一符号を付してその説明を省略する。
この電車用ドアの開閉装置において、リニア同期モータ40には従来例と同一機能の固定子21,可動子コイル22と、可動子コイル22と固定子21の磁極との位置関係を示す磁極位置および可動子コイルの速度を、いわゆるA,B相のパルス列信号で検出すべくスリット板とホトインタラプタなどからなるセンサ41とを備えている。
【0017】
また、制御回路100には、従来例と同一機能の信号変換器34,電流検出器35,電流調節器36,電力変換器37の他に、乗務員からの指令および後述の状態監視制御回路80からの速度切替指令に基づきドア本体11の開閉動作をする際のリニア同期モータ40の所定の速度設定値を出力する設定値演算回路50と、この速度設定値とセンサ41のA,B相のパルス列信号から得られる検出速度との偏差を後述の状態監視制御回路80からの演算切替指令に基づき比例・積分演算または比例演算を行ってリニア同期モータ40の推力指令値を演算する速度調節器60と、この推力指令値を後述の状態監視制御回路80からの制限値切替指令に基づき所定の制限値以下にされた推力設定値として出力する制限値切替器70と、前記A,B相のパルス列信号,移動速度設定値,推力設定値などを入力して論理演算を行い、前記速度切替指令,演算切替指令,制限値切替指令などを出力する状態監視制御回路80とを備えている。
【0018】
なお、リニア同期モータ40の可動子コイル22に電力変換器37から供給される電流は、周知の如く制限値切替器70から出力されるリニア同期モータ40の推力設定値に対応した値となっている。
図2は、図1に示した設定値演算回路50の詳細回路構成図である。
なお、以下の説明において、ドア本体11の閉方向の速度設定値および推力設定値それぞれ値は正極性とし、ドア本体11の開方向の速度設定値および推力設定値それぞれ値は負極性とする。
【0019】
図2において、51は閉動作時の微速の速度設定器、52〜55はそれぞれドア本体11の閉動作時の高速の速度設定器,閉動作時の低速の速度設定器、開動作時の高速の速度設定器、開動作時の低速の速度設定器を示す。56は制御回路100に備える図示しない電源監視回路からの電源投入時に所定の時間出力される電源投入信号によって閉路するスイッチを示す。57は乗務員からの指令に基づき動作するスイッチで、ドア本体11の閉動作時にはスイッチ57aが閉路をし、開動作時にはスイッチ57bが閉路をする。58は状態監視制御回路80からの速度切替指令に基づき動作する切替スイッチで、切替スイッチ58a,58cはドア本体11が閉動作中に、ドア本体11の走路の所定の位置を通過すると、図示の接点側とは反対の接点側に切り替わり、切替スイッチ58bはドア本体11が開動作中に、ドア本体11の走路の所定の位置を通過すると、図示の接点側とは反対の接点側に切り替わる。59は乗務員からの再開閉動作指令に基づき動作する切替スイッチで、通常時は図示の接点側になっており、再開閉動作指令が入力されると所定の時間、図示の接点側とは反対の接点側に切り替わり、再度図示の接点側に切り替わる。
【0020】
図3は、図1に示した速度調節器60の詳細回路構成図である。
図3において、61は移動速度設定値と検出速度の偏差を演算する加算演算器、62はこの偏差の比例演算をする増幅器、63は増幅器62の出力の積分演算をする積分器、64は加算演算器を示し、通常時の加算演算器64の出力は前記偏差の比例・積分演算値であり、状態監視制御回路80から演算切替指令が発せられると、積分器63は演算動作を中断し演算出力を零とすることにより、速度調節器60の出力は前記偏差の比例・積分演算値から比例演算値に切り替わる。
【0021】
図4は、図1に示した制限値切替器70の動作説明図であり、速度調節器60の出力である推力指令値が入力され、この推力指令値の値が、後述の状態監視制御回路80からの制限値切替指令に基づいた制限値を越えているときには、この制限値以内の値にし、これを推力設定値として出力する。
【0022】
図5は、図1に示した状態監視制御回路80の詳細回路構成図である。
図5において、81はドア本体11の閉動作が開始され設定値演算回路50の出力である速度設定値が所定のしきい値を越えると動作する比較器、82は制限値切替器70の出力である推力設定値が所定のしきい値を越えると動作する比較器、83は比較器82が動作している状態で、所定の時間経過してから動作をする遅延動作のタイマ、84は比較器81とタイマ83とが共に動作しているときに論理H信号を出力するアンド素子、85はアンド素子84が論理H信号を出力している期間動作し、所定の周期の方形波を出力する方形波発振器、86はインバータ素子、87はインバータ素子の出力が論理L信号から論理H信号に変化した直後の所定の期間、速度調節器60に演算切替信号を出力するワンショット動作のタイマである。
【0023】
また、88はリニア同期モータ40のセンサ41からA,B相のパルス列信号の発生数を計測する可逆カウンタであり、A,B相のパルス列信号の位相関係に基づいて可逆カウンタ88の現在値から加減算を行い、アンド素子84が論理H信号を出力している状態で、前記電源投入信号が所定の期間出力されたときに、この期間の終わりのタイミングで全開位置データ89の値が可逆カウンタ88にプリセットされる。
【0024】
さらにデジタル比較器90〜93それぞれは、可逆カウンタ88の計測値が全閉位置,全開位置,閉動作減速開始位置,開動作減速開始位置に対応する値に達したとき又は通過したときにドア本体11の動作状態に応じて制限値切替指令,速度切替指令を出力する。
この発明の電車用ドアの開閉装置の制御方法を、図1〜図5を参照しつつ、以下に説明する。
【0025】
一般に、電車が車庫などに退避している状態では、この電車用ドア11は全開位置にあり、電車用ドアの開閉装置の入力電源は遮断されている。
前記第1の発明の制御方法に対応した動作として、先ず、この電車用ドアの開閉装置の入力電源が投入されると、制御回路100に備える図示しない電源監視回路からの電源投入時に所定の時間出力される電源投入信号が発せられ、設定値演算回路50のスイッチ56が閉じて、微速の速度設定器51の設定値が設定値演算回路50から速度設定値として出力され、ドア本体11は全閉位置までゆっくりした速度(微速)で移動する。
【0026】
次に、ドア本体11は全閉位置に達し、制御回路100からの推力設定値に対応する値のリニア同期モータ40の推力が出力されている状態、すなわち状態監視制御回路80のアンド素子84が論理H信号を出力している状態で、前記電源投入信号の発生期間が終わると、状態監視制御回路80において、この期間の終わりのタイミングで全開位置データ89の値が可逆カウンタ88にプリセットされることで、この電車用ドアの開閉装置の通常の開閉動作に対する前準備が完了する。
【0027】
この完了時以降は、制御回路100からの推力設定値は、状態監視制御回路80のデジタル比較器90の動作に基づいて全閉位置当て止め推力設定値となり、この当て止め推力設定値に対応する値のリニア同期モータ40の推力が出力されている状態に移る。
【0028】
図6は、前記第2の発明の制御方法の動作を説明する波形図である。
図6において、上述の第1の発明の制御方法によりこの電車用ドアの開閉装置の通常の開閉動作に対する前準備が完了した状態で、乗務員からドア本体11の開動作指令が与えられると、設定値演算回路50のスイッチ57bが閉路をし、開動作時の高速の移動速度設定器54の設定値に対応する値が設定値演算回路50から速度設定値として出力され、ドア本体11が開動作を開始し、この開動作中に、リニア同期モータ40のセンサ41からの前記パルス列信号の発生数を状態監視制御回路80の可逆カウンタ88が計測し、この計測値がデジタル比較器93の比較値を通過すると、状態監視制御回路80より速度切替指令が発せられて、設定値演算回路50の切替スイッチ58cが開動作時の低速の移動速度設定器55側に切り替わり、この移動速度設定器55の設定値に対応する値の速度設定値が設定値演算回路50から出力され、この速度でドア本体11が開動作を継続して全開位置まで移動し、ドア本体11が全開位置に達すると、制御回路100からの推力設定値は、状態監視制御回路80のデジタル比較器91の動作に基づいて全開位置当て止め推力設定値となり、この当て止め推力設定値に対応する値のリニア同期モータ40の推力が出力されている状態に移ることで開動作が完了する(図6の丸1の波形参照)。
【0029】
同様にまた、乗務員からドア本体11の閉動作指令が与えられると、閉動作時の高速の移動速度設定器52の設定値に対応する値が設定値演算回路50から速度設定値として出力されてドア本体11が閉動作を開始し、この閉動作中に、可逆カウンタの計測値がデジタル比較器92の比較値を通過すると、状態監視制御回路80より速度切替指令が発せられて、低速の移動速度設定器53の設定値に対応する値の速度設定値が設定値演算回路50から出力され、この速度でドア本体11が閉動作を継続して全閉位置まで移動し、ドア本体11が全閉位置に達すると、制御回路100からの推力設定値は、状態監視制御回路80のデジタル比較器90の動作に基づいて全閉位置当て止め推力設定値となり、この止め推力設定値に対応する値のリニア同期モータ40の推力が出力されている状態に移ることで閉動作が完了する(図6の丸2の波形参照)。
【0030】
図7は、前記第3の発明の制御方法の動作を説明する波形図である。
図7において、上述の第2の発明の制御方法によるドア本体11が閉動作中に、このドア本体11に乗客が挟まれたこと又は挟まれそうになったことを乗務員が検知したときに、この乗務員からの再開閉動作指令に基づいて、設定値演算回路50の切替スイッチ59が動作し、設定値演算回路50の出力は移動速度設定器54または移動速度設定器55の設定値に対応する速度設定値に切り替わり、ドア本体11が所定の時間後退させた後、再度、当初設定された速度設定値で当初の位置(指令が発せられる直前の可逆カウンタ88の計測値)に戻る動作を行う。なお、図示の丸1の波形の例では、状態監視制御回路80のデジタル比較器92が動作していない高速走行中の動作を示し、また丸2の波形の例では、デジタル比較器92が動作した低速走行中の動作を示している。
【0031】
図8は、この発明の実施例の動作を説明する波形図である。
図8において、前述の第2の発明の制御方法によるドア本体11が閉動作中に、このドア本体11の走路に乗客または異物が介在したことを状態監視制御回路80の比較器81,82が検知し、アンド素子84の出力が論理H信号になると、方形波発振器85が起動して制限値切替指令が発せられ、制限値切替器70を介してリニア同期モータ40に与える推力を、前記乗客または異物が除去されるまでの間、当初の推力上限値に対応した値(図示の上限推力)と、この推力上限値より値の小さい推力制限値に対応した値(図示の下限推力)とを交互に方形波発振器85が出力する所定の周期(図示の上限推力持続時間と下限推力持続時間の和)で繰り返す。
【0032】
上述制御方法の動作により、前記乗客または異物が除去されると、状態監視制御回路80のタイマ87が起動して所定の期間、演算切替指令が発せられ、速度調節器60の調節演算が比例・積分演算から比例演算に切り替わることにより、前記乗客または異物が除去された直後の速度調節器60の出力が滑らかに変化し、その結果、ドア本体11も滑らかに加速して、全閉位置まで走行する。
【0033】
図9は、この発明の実施例の動作を説明する電車用ドアの開閉装置の部分回路図である。
すなわち、制御回路100に備える図示しない電源監視回路が入力電源の遮断を検知すると、または単に入力電源で励磁される電磁接触器38が無励磁になると、電磁接触器38の電力変換器37側の接点が開路し、対向する側の接点が閉路することにより、リニア同期モータ40の可動子コイル22の各相の端子間が短絡されることにより、周知の如く、リニア同期モータ40がドア本体11の移動に対して制動作用を行わせることができる。
【0034】
【発明の効果】
この発明によれば、単純なA,B相のパルス列信号を出力するインクリメンタル形のセンサをリニア同期モータに備え、このA,B相のパルス列信号を公知の技術で4倍パルスに変換することにより、安価な分解度の粗いインクリメンタル形のセンサにより位置の管理が行える。
【0035】
また、上記に加えて、電車用ドアが全開位置または全閉位置ではリニア同期モータの推力を弱めることにより、電車用ドアの開閉装置の消費電力の省エネルギが計られ、制御回路およびリニア同期モータの発熱も軽減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態を示す電車用ドアの開閉装置の模式的構成図
【図2】図1に示した設定値演算回路の詳細回路図
【図3】図1に示した電圧調節器の詳細回路図
【図4】図1に示した制限値切替回路の詳細回路図
【図5】図1に示した状態監視制御回路の詳細回路図
【図6】この発明の実施例を説明する動作波形図
【図7】この発明の実施例を説明する動作波形図
【図8】この発明の実施例を説明する動作波形図
【図9】この発明の実施例を説明する部分回路図
【図10】従来例を示す電車用ドアの開閉装置の模式的構成図
【符号の説明】
10…ドア部、11…ドア本体、12…レール、13…戸車、14…継手、20…リニア同期モータ、21…固定子、22…可動子コイル、23…センサ、30…制御回路、31…設定値演算回路、32…位置調節器、33…速度調節器、34…信号変換器、35…電流検出器、36…電流調節器、37…電力変換器、38…電磁接触器、40…リニア同期モータ、41…センサ、50…設定値演算回路、60…速度調節器、70…制限値切替器、80…状態監視制御回路、100…制御回路。

Claims (4)

  1. 永久磁石と電機子コイルと速度・磁極位置検出器とからなり電車用ドアと機械的に結合されたリニア同期モータと、このリニア同期モータの制御を行う制御回路とから構成される電車用ドアの開閉装置において、
    前記電車用ドアの開閉装置に電源が投入された直後に、前記制御回路によりリニア同期モータに所定の速度および推力上限値を与え、
    この速度により電車用ドアを現在の位置から全開位置または全閉位置まで移動させ、
    電車用ドアが前記全開位置または全閉位置に達したことを前記制御回路によりリニア同期モータの現在の速度または速度設定値と推力とから検知し、
    この全開位置または全閉位置を基準として、通常の開閉動作時に前記速度・磁極位置検出器の出力のパルス列信号の発生数を計測することにより電車用ドアの現在位置を管理することを特徴とする電車用ドアの開閉装置の制御方法。
  2. 請求項1に記載の電車用ドアの開閉装置の制御方法において、
    通常の開閉動作時には、前記制御回路によりリニア同期モータに所定の速度および推力上限値が与えられて電車用ドアが開動作または閉動作を開始し、
    電車用ドアが開動作または閉動作中に、前記速度・磁極位置検出器の出力のパルス列信号の発生数の計測値が所定の値になったときに、
    前記制御回路により与えられるリニア同期モータの速度を、当初の設定値に対応した値より所定の値減少させて、電車用ドアが開動作または閉動作を継続させることを特徴とする電車用ドアの開閉装置の制御方法。
  3. 請求項1に記載の電車用ドアの開閉装置の制御方法において、
    前記制御回路によりリニア同期モータに所定の速度および推力上限値が与えられ電車用ドアが通常の閉動作中に、
    この電車用ドアに乗客が挟まれたこと又は挟まれそうになったことを乗務員が検知したときに、
    前記乗務員からの指令に基づいて、前記制御回路がリニア同期モータに所定の後退速度および後退推力上限値を与えて所定の時間後退させた後、再度当初設定された速度および推力上限値で当初の位置に戻る動作を行うことを特徴とする電車用ドアの開閉装置の制御方法。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の電車用ドアの開閉装置の制御方法において、
    電車用ドアが前記全開位置または全閉位置に達したことを前記制御回路により前記速度・磁極位置検出器の出力のパルス列信号の発生数の計測値から検知したときに、
    前記制御回路によりリニア同期モータに与える推力を、当初の推力上限値に対応した値から推力上限値より値の小さい当て止め推力値に対応した値に切り替えることを特徴とする電車用ドアの開閉装置の制御方法。
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