JP3598653B2 - 自動販売機のコイン回収装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動販売機のコイン機構に付設したコイン回収装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
周知のように自動販売機には、コイン，紙幣の識別，計数，釣銭払出しなどの金銭処理を行うコイン機構を備えており、該コイン機構は取扱性の面から自動販売機のキャビネット前面外扉の裏面側に搭載し、商品販売時にコイン機構の釣銭部から払出した釣銭コインをコインシュータを経て外扉の前面側に開口するコイン返却口に搬出するようにしている。なお、コイン機構の構成，機能についてはよく知られており、ここではその説明を省略する。
【０００３】
一方、自動販売機では、前記の釣銭返却口とは別に外扉の裏面側にキャッシュボックスを備え、コイン機構の釣銭部に収容し切れず、オーバーフローしたコインをキャッシュボックスに収金するようにしている。また、コイン機構のメンテナンス時などには、釣銭部のチューブ内に溜まっているコインを一括してコイン機構から前記キャッシュボックスへ払出した上で回収するようにしており、そのためのコイン回収手段としてコイン機構と釣銭返却口，キャッシュボックスとの間にコイン振り分け機構を備え、通常販売時にはコイン機構から払出したコインを釣銭返却口に導き、コイン回収時には前記振り分け機構を切換え操作し、コイン機構から払出したコインをキャッシュボックスへ導くようにしたコイン回収装置が例えば特開平４−３２６１９１号公報で公知である。
【０００４】
また、コイン振り分け機構の切換え操作を本体キャビネットの外扉の開閉動作に連動して自動的に行い、外扉を開いた状態でコイン機構に釣銭回収指令を与えた際に、釣銭部から払出したコインを自動的にキャッシュボックスに導くために、外扉の開閉に連動する揺動式のシュータ基板に釣銭の返却シュータ部と回収シュータ部を併設した揺動式コイン振り分け機構が特開平７−６２５４号公報で公知である。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記した揺動式コイン振り分け機構は、外扉の開閉に連動してコイン振り分けを自動的に切換え操作できる利点がある反面、コイン機構の釣銭部出口に対して返却シュータ部，回収シュータ部をシュータ基板の支軸を支点に前後方向に傾動させて切換えるようにしており、揺動に伴ってコイン機構の釣銭部とシュータとが干渉（衝突）するのを避ける上からも釣銭部の出口端とシュータの入口端との間には比較的大きな隙間が生じることが避けられない。
【０００６】
このために、コイン機構の釣銭部から払出したコインの落下姿勢（コインは横向き姿勢で払出しされる）が乱れると、コインがシュータの縁に当たって前記隙間よりシュータの外側にこぼれ落ちることがあり、そのトラブル防止策が望まれている。
本発明は上記の点にかんがみなされたものであり、その目的は前記課題を解決し、コイン機構の釣銭部から払出したコインを、こぼれ落ちなしに釣銭返却口，キャッシュボックスのいずれかへ円滑に導くことができるようにした簡単な構造で信頼性の高い自動販売機のコイン回収装置を提供することにある。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項１に係る発明によれば、本体キャビネットの前面に開閉可能に取付けられた外扉の裏面側に搭載したコイン機構の下方にコイン返却口と並置してキャッシュボックスを備え、通常販売時にはコイン機構の釣銭部から払い出した釣銭をコイン返却口に導き、コイン回収時には釣銭部にストックしていたコインをキャッシュボックスに導くようにした自動販売機のコイン回収装置であり、コイン機構から払出したコインをコイン返却口，キャッシュボックスのいずれか一方へ選択的に導くコイン振り分け機構を備えたものにおいて、前記コイン振り分け機構が、前記外扉に固定され、コイン機構の釣銭，返却吐出口に連なる釣銭ホッパ，コイン機構の収金吐出口に連なるとともにキャッシュボックスに通じる収金ホッパからなるシュータ基台と、コイン返却口に通じる返却シュータ部，キャッシュボックスに通じる回収シュータ部を前後に並置画成した釣銭シュータとからなり、前記釣銭シュータをシュータ基台における釣銭ホッパの下方に画成した格納スペースに押し込み位置と引出し位置との間をスライド可能に組付けてなり、前記前記釣銭シュータの押し込み位置ではコイン機構の釣銭部から払出したコインを前記シュータ基台の釣銭ホッパ，前記釣銭シュータの返却シュータ部を経てコイン返却口に導き、前記釣銭シュータの引出し位置ではコイン機構の釣銭部から払出したコインを前記シュータ基台の釣銭ホッパ，前記釣銭シュータの回収シュータ部を経てキャッシュボックスに導くよう構成するものとする。
【０００８】
また、請求項２に係る発明によれば、請求項１のコイン回収装置において、シュータ基台に釣銭シュータを外扉の裏面側へ向けて押し出し付勢するばね部材を設け、外扉を閉じた状態では釣銭シュータを本体キャビネットの内扉に押し当ててシュータ基台に格納し、外扉を開いた状態では前記ばね部材の付勢で釣銭シュータを引出し位置に押し出すように構成するものとする。
【０００９】
上記構成によれば、外扉が閉じている通常販売の状態では、スライド式の釣銭シュータが本体キャビネットの内扉に突き当たってシュータ基台の中の押し込み位置に押し込まれて格納されている。したがって、商品販売時にコイン機構の釣銭部から払出したコインはシュータ基台の釣銭ホッパ，前記釣銭シュータの返却シュータ部を経てコイン返却口に送出される。一方、外扉を開いて釣銭シュータを扉の裏面側に引出し、この状態でコイン機構に釣銭回収指令を与えると、釣銭部から払出したコインは全てシュータ基台の釣銭ホッパ，前記釣銭シュータの回収シュータ部を経てキャッシュボックスに回収される。
【００１０】
また、前記の釣銭シュータをシュータ基台における釣銭ホッパの下方に画成した格納スペースにスライド可能に組み込み、さらにシュータ基台に設けたばね部材で釣銭シュータを引出し位置に向けて押圧付勢するようにしておけば、外扉の開口に連動して釣銭シュータが自動的にコイン回収位置に移動するので、コイン回収操作が簡単に行える。
【００１１】
しかも、コイン機構の釣銭部に対して、釣銭シュータを前後へスライドして返却シュータ部，回収シュータ部を切換えるようにしたので、コイン回収装置の組立構造が簡単となるほか、シュータ基台と釣銭シュータとの間にはシュータのスライド移動に必要な最小限の隙間が残るだけで、従来の揺動方式で問題となっていたコイン通路の隙間からのコインこぼれ落ちといったトラブルのおそれがなくて信頼性が向上する。
【００１２】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。まず、図５にコイン機構を搭載した自動販売機の全体構成を示す。図において、１は庫内に商品収納ラック２を搭載した自動販売機の本体キャビネット、３はその前面に商品選択ボタン，商品取出口，コイン投入口などを装備した前面外扉、４は断熱内扉であり、外扉３の裏面側にはコイン機構５を装備し、その下方にはキャシュボックス６を備えている。なお、コイン返却口は図５の図面上に現れない外扉２の前面側に開口している。
【００１３】
次に、コイン機構と釣銭返却口，キャッシュボックスの間を連係するコイン振り分け機構の実施例を図１〜図４で説明する。まず、図１（ａ），（ｂ）において、コイン機構５の下方にはコイン返却口７，キャッシュボックス６が並置しており、コイン機構５との間に釣銭シュータ８とシュータ基台９との組合せからなるコイン振り分け機構１０が介挿配備されている。なお、コイン返却口７は前面にコイン取出扉７ａを備えている。ここで、シュータ基台９は、図３で示すように上面に開口する釣銭ホッパ９ａ，キャッシュボックス６に通じる収金ホッパ９ｂを備え、釣銭ホッパ９ａの下方には釣銭シュータ８の格納スペースを画成した樹脂成形品としてなり、コイン機構５のコイン吐出口に連ねて外扉３に固定されている。一方、釣銭シュータ８は、図４（ａ）〜（ｃ）で示すように、右向きに傾斜した返却シュータ部８ａと左向きに傾斜した回収シュータ部８ｂを前後に並置画成した樹脂成形品であり、図３で示すようにシュータ基台９に設けた左右の支持レール９ｃの間に担持して矢印Ｐ方向へ引出し可能に支持されている。さらに、シュータ基台９の後部には爪部９ｄに付勢ばね（板ばね）１１を備え、該付勢ばね１１で釣銭シュータ８を背後から押し出し付勢している。
【００１４】
かかる構成で、外扉３，内扉４（図５参照）を閉じた通常販売状態では、図１で示すように釣銭シュータ８の先端が内扉４に突き当たってシュータ基台９の中に押し込まれている。したがって、この状態ではコイン機構５の釣銭部とコイン返却口７との間がシュータ基台９の釣銭ホッパ９ａ，釣銭シュータ８の返却シュータ８ａを介して連通しており、商品販売時にコイン機構５から釣銭として払出したコイン１２はコイン返却口７の中に搬出される。なお、コイン機構５は釣銭チューブからオーバーフローしたコインはシュータ基台９の収金ホッパ９ｂを通じてキャッシュボックス６の中に収金される。
【００１５】
一方、コイン機構５の釣銭部に貯留されているコインを回収するために、外扉３を開放すると、釣銭シュータ８は内扉４からの拘束から釈放され、図２（ａ），（ｂ）で示すように釣銭シュータ８が、先記した付勢ばね１１のばね力Ｆ（図３参照）により支持レール９ｃに沿って外扉３の裏面側へ突き出すように押し出される。また、この引出し位置では返却シュータ部８ａに代わって回収シュータ部８ｂがシュータ基台９の返却ホッパ９ａに通じるようになる。したがって、この状態でコイン機構５にコイン回収指令を与えると、釣銭部から払出したコイン１２は全て返却ホッパ９ａから釣銭シュータ８の回収シュータ部８ｂを経由してキャッシュボックス６に排出，回収される。
【００１６】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の構成によれば、簡易な構造でコインを、こぼれ落ちなしにコイン返却口，キャッシュボックスのいずれかへ円滑に導くことができ、特に請求項２の構成を採用することにより、外扉の開閉動作に連動してコイン振り分け機構をコイン返却，コイン回収位置へ自動的に切換え操作することができて操作性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施例によるコイン回収装置の通常販売時におけるセット状態を表す図であり、（ａ）は正面図、（ｂ）は断面側視図
【図２】本発明の実施例によるコイン回収装置の釣銭回収時におけるセット状態を表す図であり、（ａ）は正面図、（ｂ）は断面側視図
【図３】図１におけるコイン振り分け機構の外観斜視図
【図４】図１における釣銭シュータの構造図であり、（ａ）は平面図、（ｂ），（ｃ）はそれぞれ（ａ）図における矢視Ｘ−Ｘ，Ｙ−Ｙ断面図
【図５】本発明の実施対象となる自動販売機の扉開放状態の外観図
【符号の説明】
１ 自動販売機の本体キャビネット
３ 外扉
４ 内扉
５ コイン機構
６ キャッシュボックス
７ コイン返却口
８ 釣銭シュータ
８ａ 返却シュータ部
８ｂ 回収シュータ部
９ シュータ基台
９ａ 釣銭ホッパ
９ｂ 収金ホッパ
９ｃ 支持レール
１０ コイン振り分け機構
１１ 付勢ばね
１２ コイン

Claims (2)

1. 本体キャビネットの前面に開閉可能に取付けられた外扉の裏面側に搭載したコイン機構の下方にコイン返却口と並置してキャッシュボックスを備え、通常販売時にはコイン機構の釣銭部から払い出した釣銭をコイン返却口に導き、コイン回収時には釣銭部にストックしていたコインをキャッシュボックスに導くようにした自動販売機のコイン回収装置であり、コイン機構から払出したコインをコイン返却口，キャッシュボックスのいずれか一方へ選択的に導くコイン振り分け機構を備えたものにおいて、前記コイン振り分け機構が、前記外扉に固定され、コイン機構の釣銭，返却吐出口に連なる釣銭ホッパ，コイン機構の収金吐出口に連なるとともにキャッシュボックスに通じる収金ホッパからなるシュータ基台と、コイン返却口に通じる返却シュータ部，キャッシュボックスに通じる回収シュータ部を前後に並置画成した釣銭シュータとからなり、前記釣銭シュータをシュータ基台における釣銭ホッパの下方に画成した格納スペースに押し込み位置と引出し位置との間をスライド可能に組付けてなり、前記前記釣銭シュータの押し込み位置ではコイン機構の釣銭部から払出したコインを前記シュータ基台の釣銭ホッパ，前記釣銭シュータの返却シュータ部を経てコイン返却口に導き、前記釣銭シュータの引出し位置ではコイン機構の釣銭部から払出したコインを前記シュータ基台の釣銭ホッパ，前記釣銭シュータの回収シュータ部を経てキャッシュボックスに導くよう構成したことを特徴とする自動販売機のコイン回収装置。
2. 請求項１記載のコイン回収装置において、シュータ基台に釣銭シュータを外扉の裏面側へ向けて押し出し付勢するばね部材を設け、外扉を閉じた状態では釣銭シュータを本体キャビネットの内扉に押し当ててシュータ基台に格納し、外扉を開いた状態では前記ばね部材の付勢で釣銭シュータを引出し位置に押し出すようにしたことを特徴とする自動販売機のコイン回収装置。

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