JP3597818B2 - 光通信システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、周波数分割多重方式および波長分割多重方式を適用した光通信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
(1)従来の通信システムにおいては、その通信するべき情報を電気信号に変換し、その電気信号を通信路中を伝送させる事によって実現していた。しかし、近年の情報量自体の増加に加えてハードウェア面でもCPUパワーが増加したため、転送するべき情報量が従来に比べて急激に増加してきている。これまでは、このような情報量の増加に対して情報転送速度を高速にする事によって対応してきたが、電気信号による情報転送速度としては、622Mbps程度の情報転送速度が限界であり、将来の情報通信に求められる情報転送能力としては問題があると考えられる。特に長距離の通信を行う場合に、電気信号による情報転送では伝送路中での電気信号のレベル低下によって伝送誤りが生じ易くなり、高速の情報通信を行う場合にはさらに問題が生じるという事がわかっている。
【0003】
このような電気信号の問題点に対して、光ファイバーを用いた光通信システムが注目されている。すでに、イーサーネット等のLANには光通信システムが導入されており、将来的には光信号による数Gbpsから数10Gbpsまでの通信容量が提供される事が期待されている。さらに現在は、このような数Gbpsオーダーの光通信システムにおける通信サービスに対する研究として、数Gbpsの通信容量ではまだ不足であるとして、さらに通信容量を大きくするための研究や、複数プロトコルの通信システムを多重化して数Gbpsオーダーの光通信システムに収容し、マルチプロトコルの通信サービスを提供するための研究などが行われている。
【0004】
通信容量をさらに増加させるための通信方式として、光信号の周波数特性を生かした光周波数分割多重方式の光通信システムの研究が盛んに行われている。この光周波数分割多重方式においては、光信号を複数の周波数の光信号に分割し、その分割された周波数帯の光信号をそれぞれ独立の光信号として処理するとともに、分割された光信号を同一の光ファイバー中を多重化して送受信している。このような光周波数分割多重方式を用いる事によって、同一の光ファイバー中を転送する事の出来る情報量を、分割多重しない場合の[光周波数の分割数]倍に増加させる事が出来、将来のTbpsレベルの光通信に応用が出来ると期待されている。
【0005】
また、マルチプロトコル通信に対しては、現在、ATM通信方式を用いて各種の通信プロトコルに従った情報を多重化して通信を行う方法等が考えられている。ATM通信方式においては、ATMセル(固定長のパケット)を非同期に多重して通信を行うので、各通信プロトコルが各種の情報転送速度を要求している場合にも柔軟な多重化が行える事になる。このようなATM方式による通信は、特に、複数のLANのLAN間接続を行うバックボーンネットワークを構成する場合の通信方式として、現在盛んに研究が行われている。
【0006】
ここで、従来の周波数分割多重通信システムの構成図を図19に示す。このような光通信システムには、(a)に示すN×Nスターカップラによる光信号のブロードキャスト機能を用いたシステムや、(b)および(c)に示すようにネットワーク内の「各光通信ノード」や「各光通信ノードの組み合わせ」に対して分割した光信号の周波数の一つを割り当て、シングルホップやマルチホップなどの光通信ノード間の通信手順を用いる事によって、光周波数分割多重化方式の通信を実現する事を目指したものなどがある。
【0007】
しかし、このような従来の光周波数多重方式においては、光信号の波長や周波数を分割して割り当てる際にネットワーク内の各ノードやノードの組合わせにその波長や周波数を割り当ててる事を考えており、あくまでもネットワークが単一の通信システムとして(単一の通信プロトコルによって)動作する場合にしか応用できないものである。このような単一の通信システム内で周波数分割するような方法では、企業内ネットワークのように企業内の各部所が独自にネットワーク(LAN)を構築していき、その複数種類のLANを同時に収容して大規模ネットワークを構築したり、同一のネットワーク内に複数の種類の通信プロトコルで動く通信システムを一緒に収容したりする事が困難であった。
【0008】
このように、従来の光周波数分割多重方式では、ある特定の通信システムにおける通信路の使用効率を上げていただけにすぎなかったため、実際のネットワーク(特にバックボーンネットワーク)に応用する場合には、さらなる工夫が必要となっている。
【0009】
なお、以上の点は、従来の波長分割多重通信システムについても同様である。また、従来のATM通信方式による光通信システムの構成図を図20に示す。このような光通信システムにおいては、各通信プロトコルに従って通信を行っている通信ネットワークからの情報を、ATM多重化装置との間に設置される通信ノードによってATMの通信プロトコルにプロトコル変換した後に、ATM−MUXの機能によってATM多重する事になる。さらにATM多重された情報をマルチプロトコルに対応するATM通信方式のネットワーク(ATMネットワーク)によって転送する構成になっている。
【0010】
このような構成においては、通信ノードにおいてATMプロトコルへのプロトコル変換を行う際や、ATM−MUXにおいてATM化された情報の多重化を行う際に、どうしても電気信号によってそれらの処理を行わなければならないため、各通信プロトコルに対して割り当てる事の出来る情報転送速度に限界が生じてしまう、という問題が存在する。このような問題が存在するために、従来のATM通信方式によって各種の通信プロトコルの情報を多重化するという方法にも、さらなる工夫が必要となっている。
【0011】
(2)一方、図26および図27は、従来のループ型ネットワークの構成と該ネットワークで用いられるノードの構成をそれぞれ示す図である。
【0012】
図26に示す従来の光波長多重方式を利用した光通信システムでは、6つのノードA〜Fがループ状に接続され、各ノードには自局が情報を送信する際に用いる波長(λ1〜λ6)が予め割り当てられている。また、図27に示すように、各ノードは、分波器2000、他の局に割り当てられた波長を受信するための光受信器2001、自局に接続されている端末などの装置から出力された信号を自局に割り当てられた波長で伝送路2200に送信するための光送信装置2002、自局に割り当てられた波長の光を遮断する光フィルター2003、自局宛の信号を多重する多重装置2005を有している。すなわち、この光通信システムでは、送信装置は、あらかじめ定められた波長を使用して情報の送信を行い、受信装置は、すべての他局の送信波長を受信するために、それぞれの送信波長を受信するための光受信器を持っている。また、光フィルタ2003は、自局の送信した信号を終端して消去するためのものである。
【0013】
上記構成において、情報の配送は、情報に付けられた宛先情報に従って行われる。送信局は、あらかじめ自局に割り当てられた送信波長で宛先情報を含む情報を送出する。その他のノードは、すべての波長を受信し、受信した情報の宛先情報を解析し、それが自局宛の情報の場合は、その情報を自局に取り込む。
【0014】
このような従来の通信システムでは、ネットワーク内で使用できるノード数はネットワーク内で使用している波長の数で制限されてしまうという問題点があった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、従来の光波長(周波数)多重方式の光通信システムでは、光信号の波長(周波数)を分割して割り当てる際にネットワーク内の各ノードやノードの組合わせにその波長(周波数)を割り当ていたので、あくまでもネットワークが単一の通信システムとして(単一の通信プロトコルによって)動作する場合にしか応用できないものであり、このような単一の通信システム内で波長(周波数)分割するような方法では、企業内ネットワークのように企業内の各部所が独自にネットワーク(LAN)を構築していき、その複数種類のLANを同時に収容して大規模ネットワークを構築したり、同一のネットワーク内に複数の種類の通信プロトコルで動く通信システムを一緒に収容したりする事が困難であった。また、上記のようにある特定の通信システムにおける通信路の使用効率を上げていただけにすぎなかったため、実際のネットワーク(特にバックボーンネットワーク)に応用することが困難であった。
【0016】
一方、従来のATM通信方式を適用した光波長多重方式の光通信システムでは、通信ノードにおいてATMプロトコルへのプロトコル変換を行う際や、ATM−MUXにおいてATM化された情報の多重化を行う際に、どうしても電気信号によってそれらの処理を行わなければならないため、各通信プロトコルに対して割り当てる事の出来る情報転送速度に限界が生じてしまうという問題が存在した。また、このような問題が存在するために、従来のATM通信方式によって各種の通信プロトコルの情報を多重化することが困難であった。
【0017】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたもので、企業内ネットワークなどのように複数種類の通信プロトコルに従う通信システムが共存しているような環境においても、同一の通信資源によってそれぞれの異なる通信システム内での通信を実現可能とし、また、それらの複数の通信システム間での通信も同一の通信資源を用いる事で実現可能とし、さらに、各通信システムがそれぞれに割り当てられた波長あるいは周波数の光信号を独立に使用する事が可能となる事でマルチメディア・マルチプロトコル・マルチベンダー環境における通信システムを柔軟に構築する事が出来るとともに、通信ネットワークにおける機能分散・負荷分散に必要な機能を容易に実現できる光通信システムを提供する事を目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、予め定められた複数の通信プロトコルのうちのいずれか一つを利用する光通信ノードを光伝送用媒体により複数接続し、該複数の通信プロトコルに対して重複のないようにそれぞれ複数種類の光信号を割り当て、通信プロトコルに応じた波長の光信号を用いて情報データの伝送を行う、波長分割多重方式の光通信システムであって、前記光通信ノードは、前記予め定められた複数の通信プロトコルのうちの自ノードが利用している通信プロトコルに対して割り当てられた複数種類の波長のうちの任意の波長の光信号によって情報データを光伝送用媒体に送信する光送信手段と、前記自ノードが利用している通信プロトコルに対して割り当てられた複数種類の波長のうちの任意の波長の光信号を光伝送用媒体から選択して受信する光受信手段とを備えたことを特徴とする。
【0019】
好ましくは、前記予め定められた複数の通信プロトコルのうちの第1の通信プロトコルに対して割り当てられた波長の光信号を光伝送用媒体から受信し、該光信号を変換して得た情報データについて、該第1の通信プロトコルから前記予め定められた複数の通信プロトコルのうちの第2の通信プロトコルへのプロトコル変換を行い、該プロトコル変換した情報データを該第2の通信プロトコルに対して割り当てられたいずれかの波長の光信号に変換して光伝送用媒体へ送信するプロトコル変換用光通信ノードを、該第1の通信プロトコルと該第2の通信プロトコルとの組合せ毎に、または該第1の通信プロトコルに対して割り当てられた波長と該第2の通信プロトコルに対して割り当てられた波長との組合せ毎に、設けるようにしてもよい。
【0020】
また、本発明は、予め定められた複数の通信プロトコルのうちのいずれか一つのみを利用する光通信ノードを光伝送用媒体で複数接続し、該複数の通信プロトコルに対して重複のないように光信号の波長を1つずつ割り当て、通信プロトコルに応じた波長の光信号を用いて情報データの伝送を行う、波長分割多重方式の光通信システムであって、前記光通信ノードは、前記予め定められた複数の通信プロトコルのうちの自ノードが利用している通信プロトコルに対して割り当てられた波長の光信号によって情報データを前記光伝送用媒体に送信する光送信手段と、前記自ノードが利用している通信プロトコルに対して割り当てられた波長の光信号を前記光伝送用媒体から選択して受信する光受信手段とを備えたことを特徴とする。
【0021】
好ましくは、前記予め定められた複数の通信プロトコルのうちの第1の通信プロトコルに対して割り当てられた波長の光信号を光伝送用媒体から受信し、該光信号を変換して得た情報データについて、該第1の通信プロトコルから前記予め定められた複数の通信プロトコルのうちの第2の通信プロトコルへのプロトコル変換を行い、該プロトコル変換した情報データを該第2の通信プロトコルに対して割り当てられた波長の光信号に変換して光伝送用媒体へ送信するプロトコル変換用光通信ノードを、該第1の通信プロトコルと該第2の通信プロトコルとの組合せ毎に設けるようにしてもよい。
【0022】
また、本発明は、2つの単位光通信システムを含み、該単位光通信システムを所定の光通信ノードにより接続した、波長分割多重方式の光通信システムであって、2つの前記単位光通信システムは、いずれも、請求項7に記載の光通信システムと同一の構成を有するものであり、前記所定の光通信ノードは、2つの前記単位光通信システムのうちの一方の前記単位光通信システムから予め定められた波長の光信号を受信して他方の前記単位光通信システムに送信するものであることを特徴とする。
【0023】
また、本発明は、予め定められた複数の通信プロトコルのうちのいずれか一つ及び異なる通信プロトコル間での通信を行うための特定のプロトコル間通信プロトコルを利用する通信ノードを光伝送用媒体で複数接続し、該複数の通信プロトコル及び該特定のプロトコル間通信プロトコルに対して重複のないように光信号の波長を1つずつ割り当て、通信プロトコルに応じた波長の光信号を用いて情報データの伝送を行う、波長分割多重方式の光通信システムであって、前記通信ノードは、前記予め定められた複数の通信プロトコルのうちの自ノードが利用している通信プロトコルに対して割り当てられた波長の光信号によって情報データを前記光伝送用媒体に送信する第1の光送信手段と、前記自ノードが利用している通信プロトコルに対して割り当てられた波長の光信号を前記光伝送用媒体から選択して受信する第1の光受信手段と、前記特定のプロトコル間通信プロトコルに対して割り当てられた波長の光信号によって情報データを前記光伝送用媒体に送信する第2の光送信手段と、前記特定のプロトコル間通信プロトコルに対して割り当てられた波長の光信号を前記光伝送用媒体から選択して受信する第2の光受信手段とを備えたことを特徴とする。
【0024】
また、本発明は、2つの単位光通信システムを含み、該単位光通信システムを所定の光通信ノードにより接続した光通信システムであって、2つの前記単位光通信システムは、いずれも、請求項11に記載の光通信システムと同一の構成を有するものであり、前記所定の光通信ノードは、2つの前記単位光通信システムのうちの一方の前記単位光通信システムから前記特定のプロトコル間通信プロトコルに対して割り当てられた波長の光信号を受信して他方の前記単位光通信システムに送信するものであることを特徴とする。
【0025】
本発明の光通信システムによれば、同一の光伝送用媒体中を転送する情報の通信プロトコル毎に異なる波長を割り当てるので、複数の通信プロトコルに従った複数の通信システムを同時に同一の通信媒体を用いて運用する事が出来るようになる。
【0026】
なお、本発明は、以下のような各発明としても把握することができる。
【0027】
(A)また、本発明は、複数の通信ノードを光伝送用媒体で接続し、該光伝送用媒体中を複数の異なる波長の光信号を用いて情報データの伝送を行う波長分割多重方式の光通信システムにおいて、前記通信ノードのそれぞれは、各ノードが利用している通信プロトコルに予め割り当てられた波長の光信号によって情報データを前記光伝送用媒体に送信する光送信手段と、該各ノードが利用している通信プロトコルに予め割り当てられている波長の光信号を選択して受信す光受信手段とを具備したことを特徴とする。
さらに詳しくは、前記通信ノードを、受信した信号を波長分割して必要な波長の光信号のみを受信するための光波長分割手段と、受信した光信号を電気信号に変換するための光/電気信号手段と、それぞれの通信プロトコルに従ってパケットを再生するパケット組み立て手段と、送られてきたパケットが自ノード宛の情報であるか否かを判断するアドレス識別手段と、再生したパケットの情報をそれぞれの通信ノード内で処理する上位レイヤ処理手段と、上位レイヤ処理手段から送られてくる情報を自ノードが従っている通信プロトコルに従って伝送媒体に送出するためのアクセス制御手段と、電気信号を光信号に変換するための電気/光信号変換手段と、光波長分波手段によって通信ノード内では不要とみなされた波長の光信号と、新たに通信ノードから送出する光信号とを波長多重するための波長合波手段とを有する構成としても良い。
本発明に係る該光通信システムでは、あるネットワーク内で異なる通信プロトコルで通信を行う複数の通信システムが存在するような場合に、その異なる通信プロトコルに対して異なる波長を割り当てて光波長分割多重方式の通信を行う。
【0028】
したがって、以下のような効果が得られる。
(i)同一の通信媒体を用いて複数の通信プロトコルに従った通信システムを同時に収容しても、それら複数の通信プロトコルに従った通信ノード間で、それぞれ独自のプロトコルに従った通信を行う事が出来る。
(ii)ネットワークに新たな通信プロトコルに従った通信システムを導入する際にも、ネットワーク内で使用する波長を新たに追加して割り当てるだけの事によって容易に実現できる。
(iii)複数の通信プロトコルを同一の伝送媒体に収容する際に、多重化のためのプロトコル変換や多重化の処理を行う必要がなくなり、各通信プロトコルに従った通信システムが伝送媒体の伝送能力を、それぞれフルに使用する事が可能となる。
また、該光通信ノードは、同一通信媒体中に一つの通信プロトコルだけが存在するという通信形態で用いられる通常の通信ノードのインタフェース部分に、光波長分波手段と光波長合波手段を設けるだけで、上記光通信システムにおける通信ノードとして使用できるという効果が得られる。
【0029】
(a)また、本発明は、周波数分割多重方式の光通信システムにおいて、同一の光伝送用媒体中を転送する情報の通信プロトコル単位に異なる周波数を割り当てるように構成したものである。すなわち、上記第1の目的を達成するために、本発明では、複数の通信ノードを光伝送用媒体で接続し、該光伝送用媒体中を複数の異なる周波数の光信号を用いて情報データの伝送を行う周波数分割多重方式の光通信システムにおいて、前記通信ノードのそれぞれは、各ノードが利用している通信プロトコルに予め割り当てられた周波数の光信号によって情報データを前記光伝送用媒体に送信する光送信手段と、該各ノードが利用している通信プロトコルに予め割り当てられている周波数の光信号を選択して受信する光受信手段とを具備したことを特徴とする。
さらに詳しくは、前記通信ノードを、受信した信号を周波数分割して必要な周波数の光信号のみを受信するための光周波数分割手段と、受信した光信号を電気信号に変換するための光/電気信号手段と、それぞれの通信プロトコルに従ってパケットを再生するパケット組み立て手段と、送られてきたパケットが自ノード宛の情報であるか否かを判断するアドレス識別手段と、再生したパケットの情報をそれぞれの通信ノード内で処理する上位レイヤ処理手段と、上位レイヤ処理手段から送られてくる情報を自ノードが従っている通信プロトコルに従って伝送媒体に送出するためのアクセス制御手段と、電気信号を光信号に変換するための電気/光信号変換手段と、光周波数分波手段によって通信ノード内では不要とみなされた周波数の光信号と、新たに通信ノードから送出する光信号とを周波数多重するための周波数合波手段とを有する構成としても良い。
本発明に係る該光通信システムでは、あるネットワーク内で異なる通信プロトコルで通信を行う複数の通信システムが存在するような場合に、その異なる通信プロトコルに対して異なる周波数を割り当てて光周波数分割多重方式の通信を行う。
したがって、以下のような効果が得られる。
(i)同一の通信媒体を用いて複数の通信プロトコルに従った通信システムを同時に収容しても、それら複数の通信プロトコルに従った通信ノード間で、それぞれ独自のプロトコルに従った通信を行う事が出来る。
(ii)ネットワークに新たな通信プロトコルに従った通信システムを導入する際にも、ネットワーク内で使用する周波数を新たに追加して割り当てるだけの事によって容易に実現できる。
(iii)複数の通信プロトコルを同一の伝送媒体に収容する際に、多重化のためのプロトコル変換や多重化の処理を行う必要がなくなり、各通信プロトコルに従った通信システムが伝送媒体の伝送能力を、それぞれフルに使用する事が可能となる。
また、該光通信ノードは、同一通信媒体中に一つの通信プロトコルだけが存在するという通信形態で用いられる通常の通信ノードのインタフェース部分に、光周波数分波手段と光周波数合波手段を設けるだけで、上記光通信システムにおける通信ノードとして使用できるという効果が得られる。
【0030】
(b)また、上記aの光通信システムにおいて、前記光ファイバーにプロトコル変換機能を有する通信ノードを接続し、前記光伝送用媒体に接続している異なる通信プロトコルに従った通信ノード間での通信機能を提供する通信プロトコル変換手段を設けても良い。
この結果、該光通信システムは、ネットワーク内に異なる周波数の光信号間でのプロトコル変換を行うプロトコル変換ノードを設ける事によって、以下のような効果が得られる。
(1)ネットワーク内に存在する、異なる通信プロトコルに従った通信ノード間の通信を提供する事が出来る。
(2)各通信ノードが自ノードの従っている通信プロトコルに割り当てられている周波数の光信号の送・受信を行うだけで、異なる通信プロトコルに従っている通信ノード間での通信を行う事が出来る。
(3)新たな通信プロトコルに従った通信システムが導入された場合にも、新たなプロトコルに対応したプロトコル変換ノードを設ける事で容易に対応出来る。
【0031】
(c)また、上記aの光通信システムにおいて、異なる通信プロトコル間での通信を行うためのプロトコル間通信プロトコルを規定し、そのプロトコル間通信プロトコルに対しても分割された周波数を割り当てるように構成しても良い。
【0032】
この場合、該光通信システムに用いる通信ノードは、該通信ノードが従っている通信プロトコルに割り当てられている周波数の光信号を送出するための光信号送出手段と、各通信ノードから送出される複数の周波数を持った光信号を多重化してネットワーク内を転送するための光信号転送手段と、その転送されてきた光信号の中から各通信ノードの従っている通信プロトコルに割り当てられている周波数の光信号のみを選択して受信するための光信号受信手段と、異なる通信プロトコルに従っている通信ノード間の通信を行うためのプロトコル間通信プロトコルに割り当てられている周波数の光信号を送出するための光信号送出手段と、転送されてきた光信号の中からプロトコル間通信プロトコルに割り当てられている周波数の光信号のみを選択して受信するための光信号受信手段とを有する構成としても良い。
この結果、該光通信システムは、異なる通信プロトコル間の通信を行うための通信プロトコルに対しても周波数を割り当てる事によって、以下のような効果が得られる。
(1)新たにプロトコル変換用の通信ノードをつけ加えなくても、異なる通信プロトコルに従っている通信ノード間での通信を提供する事が出来る。
(2)新たな通信プロトコルに従った通信システムが導入された場合にも、新たに導入するノードにプロトコル間通信プロトコルの処理機能を持たせるだけで、他の通信プロトコルに従っている通信ノード間での通信が容易に提供できる。
【0033】
(d)また、上記bの光通信システムにおいて、複数の通信プロトコルに割り当てられているそれぞれの周波数の光信号を選択して受信し、それらの通信プロトコル間のプロトコル変換機能を提供するとともに、それぞれの周波数の光信号によって情報を送信するプロトコル変換用光通信ノードを設けても良い。
この場合、該プロトコル変換用光通信ノードは、受信した光信号を周波数分割して必要な周波数の光信号のみを受信するための光周波数分波手段と、受信した複数の周波数の光信号を電気信号に変換するための光/電気信号変換手段と、受信したそれぞれの通信プロトコルに従ってパケットをプロトコル変換可能なレイヤのパケットにまで再生するパケット組立手段と、送られてきたパケットが自ノード宛の情報であるか否かを判断するアドレス識別手段と、プロトコル変換可能なレイヤで所望の通信プロトコルに変換するプロトコル変換手段と、プロトコル変換手段やアドレス識別手段から送られてくる情報をその情報が従っている通信プロトコルに従って伝送媒体に送出するためのアクセス制御手段と、送られてきた電気信号を所望の通信プロトコルに割り当てられている周波数の光信号に変換するための電気/光信号変換手段と、光周波数分波手段によってプロトコル変換機能内では不要とみなされた周波数の光信号と、新たにプロトコル変換機能から送出する光信号とを周波数多重するための光周波数合波手段とを有する構成としても良い。
この結果、該プロトコル変換用光通信ノードは、通常のプロトコル変換ノードのインタフェース部分に、光周波数分波手段と光周波数合波手段を設けるだけで、本発明に示したような光通信システムにおける光通信システム内プロトコル変換装置として使用できるという効果が得られる事を目的としたものである。
【0034】
(e)また、上記cの光通信システムにおいて、該光通信システムに用いる各通信ノードは、自ノードが従っている通信プロトコルに割り当てられている周波数の光信号によって情報を送信し、自ノードが従っている通信プロトコルに割り当てられている周波数の光信号を選択して受信し且つプロトコル間通信プロトコルに割り当てられている周波数の光信号を送信するとともに、プロトコル間通信プロトコルに割り当てられている周波数の光信号を選択して受信し且つ自ノード内に自ノードが従っている通信プロトコルとプロトコル間通信プロトコルとの間のプロトコル変換を行うように構成しても良い。
例えば、該通信ノードは、受信した光信号を周波数分割して必要な周波数の光信号を受信するための光周波数分波手段と、受信した周波数の光信号を電気信号に変換するための光/電気信号変換手段と、自ノードが従っている通信プロトコルによる情報のパケットを再生するための通常パケット組立手段と、プロトコル間通信プロトコルによる情報のパケットを、自ノードが従っている通信プロトコルとプロトコル間通信プロトコル間でのプロトコル変換が可能なレイヤのパケットにまで再生するためのプロトコル間通信パケット組立手段と、それぞれのパケット組立手段から送られてきたパケットが自ノード宛の情報であるか否かを判断するアドレス識別手段と、プロトコル変換可能なレイヤでプロトコル変換を行い、通常パケット組立手段から送られてくる情報と同じレイヤのパケットにレイヤ変換をするプロトコル変換手段と、通常パケット組立て手段とプロトコル変換手段から送られてきたパケットを多重化するための多重化手段と、再生したパケットの情報をそれぞれの通信ノード内で処理する上位レイヤ処理手段と、上位レイヤ処理手段から送られてきた情報のあて先によって、その情報が同一の通信プロトコルに従っている通信ノード宛の情報であるのか異なる通信プロトコルに従っている通信ノード宛の情報であるのかを識別するあて先識別手段と、異なる通信プロトコルに従っている通信ノード宛の情報をプロトコル間通信プロトコルに変換するためのプロトコル変換手段と、自ノードが従っている通信プロトコルに従って伝送媒体に送出するためのアクセス制御手段と、プロトコル間通信プロトコルに従って伝送媒体に送出するためのアクセス制御手段と、送られてきた電気信号を所望の通信プロトコルに割り当てられている周波数の光信号に変換するための電気/光信号変換手段と、光周波数分波手段によってプロトコル変換機能内では不要とみなされた周波数の光信号と、新たにプロトコル変換機能から送出する光信号とを周波数多重するための光周波数合波手段とからなる構成としても良い。
この結果、該光通信ノードは、各通信ノードにおいて同一の通信プロトコルに従っている通信ノード間での通信と異なる通信プロトコルに従っている通信ノード間での通信とを識別する際に、光通信ノードのインタフェース部分に光周波数分波手段と光周波数合波手段を設ける事で、光の周波数の識別だけによってそれらの情報の識別を行える事から、通信ノード内での処理量を軽減する事が出来るという効果が得られる。
【0035】
(f)また、上記a、bまたはcの光通信システムにおいて、通信プロトコル単位に周波数を割り当てる際に一つの通信プロトコルに対して複数の周波数を割り当てるように構成しても良い。
この場合、該光通信システムに用いる通信ノードは、該通信ノードが従っている通信プロトコルに割り当てられている複数の周波数に合った光信号を送出するための光信号送出手段と、各通信ノードから送出される複数の周波数を持った光信号を多重化してネットワーク内を転送するための光信号転送手段と、その転送されてきた光信号の中から各通信ノードの従っている通信プロトコルに割り当てられている複数の周波数の光信号を選択して受信するための光信号受信手段とを有する構成としても良い。
この結果、該光通信システムは、ネットワーク内の各通信プロトコルに割り当てる周波数を複数にする事によって、以下のような効果が得られる。
(1)各通信プロトコルに従っている通信ノードが必要とする通信帯域を柔軟に割り当てる事が出来る。
(2)各通信プロトコルでの通信ノード間の伝送方式の違いや動作クロックの違いなどを吸収する事が出来る。
【0036】
(g)また、上記bまたはfの光通信システム間を、上記fに示したプロトコル変換用光通信ノードを光通信システム間インタフェースとして用いて接続しても良い。
例えば、該プロトコル変換用光通信ノードは、受信した光信号を周波数分割して必要な周波数の光信号のみを受信するための光周波数分波手段と、受信した複数の周波数の光信号を電気信号に変換するための光/電気信号変換手段と、それぞれの通信プロトコルに従ったパケットをプロトコル変換可能なレイヤのパケットにまで再生するためのパケット組立手段と、そのパケットのあて先情報によって、送られてきたネットワーク内に存在する通信ノード宛の情報なのか、それとも他のネットワーク内の通信ノード宛の情報であるのかを識別するアドレス識別手段と、プロトコル変換可能なレイヤで所望の通信プロトコルに変換するためのプロトコル変換手段と、プロトコル変換手段やアドレス識別手段から送られてくる情報をその情報が従っている通信プロトコルに従って伝送媒体に送出するためのアクセス制御手段と、送られてきた電気信号を所望の通信システムに割り当てられている周波数の光信号に変換するための電気/光信号変換手段と、光周波数分波手段によってプロトコル変換機能内では不要とみなされた周波数の光信号と、新たにプロトコル変換機能から送出する光信号とを周波数多重するための光周波数合波手段とからなる構成としても良い。
この結果、該システム間接続用光通信ノードは、ネットワーク内に存在するプロトコル変換用光通信ノードに、その送られてきた情報のネットワーク識別手段を付加する事によって、複数の光通信システムを接続しても通信が行えるようになるという効果が得られる。
【0037】
(h)また、上記a、cまたはfの光通信システム間を接続するために、プロトコル間通信プロトコルに割り当てられた周波数を使用して光通信システム間の通信インタフェースを提供するシステム間接続用光通信ノードを設けても良い。
例えば、該システム間接続用光通信ノードは、受信した光信号を周波数分割して異なるプロトコル間の通信のための通信プロトコルに割り当てられている周波数の光信号のみを受信するための光周波数分波手段と、受信した周波数の光信号を電気信号に変換するための光/電気信号変換手段と、受信した情報をパケットに再生するためのパケット組立手段と、そのパケットのあて先情報によって、送られてきたネットワーク内の通信ノード宛の情報なのか、それとも他のネットワーク内の通信ノード宛の情報であるのかを識別するアドレス識別手段と、プロトコル変換可能なレイヤで所望の通信プロトコルに変換するためのプロトコル変換手段と、プロトコル変換手段やアドレス識別手段から送られてくる情報をその情報が従っている通信プロトコルに従って伝送媒体に送出するためのアクセス制御手段と、送られてきた電気信号をプロトコル間通信プロトコルに割り当てられている周波数の光信号に変換するための電気/光信号変換手段と、光周波数分波手段によってネットワーク間接続機能内では不要とみなされた周波数の光信号と、新たにネットワーク間接続機能から送出する光信号とを周波数多重するための光周波数合波手段とからなる構成としても良い。
この結果、該システム間接続用光通信ノードは、光通信システム内で使用しているプロトコル間通信プロトコルに割り当てられている周波数を光通信システム間の通信にも使用する事によって、光通信システム間接続装置の機能を少なくする事が出来るという効果が得られる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら発明の実施の形態を説明する。
【0039】
<1>本発明は、光周波数分割多重方式による光通信システムおよび光波長分割多重方式による光通信システムのいずれにも適用可能であるが、第1〜18の実施形態では、光周波数分割多重方式による光通信システムを用いて説明する。なお、本発明を適用した光波長分割多重方式による光通信システムの実施形態については自明であるので説明は省略する。
【0040】
(第1の実施形態)
図1に、本発明の第1の実施形態に係る光通信システムの構成の概念図を示す。図1においては、ネットワークの構成トポロジーとしてリング型のネットワークを用いている。図1に示した光通信システムは、複数の光通信ノードが使用する共通の光伝送用媒体として、片方向1本または双方向2本設置されている光ファイバー10と、9つの光通信ノード21〜29からなる構成である。
【0041】
この光通信システムにおいては、光ファイバー10の中を光周波数分割多重されている光信号として、fa,fb,fcの3つの周波数の光信号が伝搬されている。また、光ファイバー10に接続して通信を行っている9つの光通信ノード21〜29は、全ての光通信ノードが同じ通信プロトコルに従って通信を行っているのではなく、光通信ノード21、24、27が通信プロトコルAで、光通信ノード22、25、28が通信プロトコルBで、光通信ノード23、26、29が通信プロトコルCに従って通信を行っている。そして、この光通信システムにおいては、システム内に存在する3つの通信プロトコルそれぞれに対して、3つに周波数分割された光信号を割り当て、各光通信ノードが自ノードの従っている通信プロトコルに割り当てられている周波数の光信号を用いて通信を行う事になる。
【0042】
すなわち、通信プロトコルAに従っている光通信ノード21、24、27は光ファイバー10から周波数faの光信号だけを送・受信し、通信プロトコルBに従っている光通信ノード22、25、28は光ファイバー10から周波数fbの光信号だけを送・受信し、通信プロトコルCに従っている光通信ノード23、26、29は光ファイバー10から周波数fcの光信号だけを送・受信して通信を行う事になる。
【0043】
ここで、周波数の割当方法としては、既存の通信ノードが従っている既存の通信プロトコルの物理レイヤプロトコルで規定されている光信号の周波数をそのまま用いる方法や、後述するように、光通信ノードの入出力インタフェース部に光信号の周波数変換手段を設け、ネットワーク立ち上げ時や光通信ノードの追加時に、ネットワーク管理者が任意の周波数を各通信プロトコルに対して割り当てる事が出来るようにする等の方法が考えられる。
【0044】
このような光周波数の割り当てを行う事によって、異なる通信プロトコルに従って通信を行う通信システムが複数存在するような場合にも、同一の伝送媒体(図1中では光ファイバー)を用いてそれらの通信システムを同時に収容するような形態のネットワークが構築可能となる。特に、企業内ネットワークにおけるバックボーンネットワークなどのように、企業内に設置されている複数のネットワーク(LAN)を同時に収容する必要があるようなネットワークを容易に構築する事が可能となる。
【0045】
また、光周波数分割多重方式を用いて複数プロトコルを同時に扱っているので、通常の単一プロトコルで通信を行っている光通信ノードの入出力インタフェース部に、光周波数分波機能と光周波数合波機能を有する手段を設けるだけで、本発明を適用した光通信システム内の光通信ノードとして使用できる事になる。
【0046】
この事から、本発明の光通信システムを構築する場合には新たに本光通信システム専用の光通信ノードを作る必要は無く、既存の光通信ノードを用いても容易に本発明の光通信システムを実現する事が可能となる。さらに、このような複数の通信プロトコルを同一の伝送媒体で収容する構成によって、将来のマルチベンダー環境やマルチプロトコルの環境にも容易に適応可能なネットワークを構築する事が出来る。
【0047】
(第2の実施形態)
図2に、本発明の第2の実施形態に係る光通信システムの構成の概念図を示す。ここでも、ネットワークの構成トポロジーとしてリング型のネットワークを用いている。図2に示した光通信システムは、図1に示した光通信システムに、新たに異なる通信プロトコル間での通信を提供するためのプロトコル変換用光通信ノード31〜33を付加した構成になっている。
【0048】
具体的には、図1の場合と同様に光通信ノード21〜29が存在し、各光通信ノードは、それぞれの通信プロトコルおよび該通信プロトコルに割り当てられた周波数によって通信を行っているとともに、プロトコル変換ノード31が通信プロトコルAとBの相互間の変換を行い、プロトコル変換ノード32が通信プロトコルB・C間の変換を行い、プロトコル変換ノード33が通信プロトコルA・C間の変換を行っている。
【0049】
このような構成のネットワークを構築する事によって、異なる通信プロトコルに従っている通信システムが同時に複数存在するような場合での、異なる種類のプロトコルに従っている光通信ノード間の通信機能を有した光通信システムを実現する事が出来る。
【0050】
ここで、図2に示したような光通信システムでは、図1に示した光通信システム内の光通信ノードをそのまま用いてもプロトコル変換機能を提供する事が出来る事となり、ネットワークのマルチベンダー化に対してより柔軟に対応する事が出来る。また、このような方法によって複数プロトコル間での通信が可能となる事から、複数のプロトコルに従った複数の通信システムをあたかも1つの通信システムのように扱う事が可能となる。
【0051】
(第3の実施形態)
図3に、本発明の第3の実施形態に係る光通信システムの構成の概念図を示す。ここでも、ネットワークの構成トポロジーとしてリング型のネットワークを用いている。図3に示した光通信システムは、図1に示した光通信システムに、新たに異なる通信プロトコルに従っている光通信ノード間の通信を提供するためのプロトコル間通信プロトコルを規定している。
【0052】
具体的には、光通信ノード41〜49がそれぞれ独自の通信プロトコルに従った通信を行うとともに、プロトコル間通信プロトコルに従った通信をも行うという構成になっている。そのため、この光通信システムの伝送路10中には、周波数fa、fb、fcの各通信プロトコルに割り当てられている光信号とともに、プロトコル間通信プロトコル用に割り当てられた周波数fIの光信号も伝搬されている。
【0053】
このような光通信システムを用いる事によって、異なる通信プロトコルに従っている通信システムが複数存在する場合での、異なる種類のプロトコルに従っている光通信ノード間の通信機能を有した光通信システムを実現する事が出来る。
【0054】
また、このようにプロトコル間通信プロトコルを規定する事で、第2の実施形態(図2)の場合のように新たにプロトコル変換ノードを導入する事無く、同一構成の光通信ノードを伝送媒体に接続する事によって、複数のプロトコルに従った通信システムを、あたかも1つの通信システムのように扱う事が可能となる。
【0055】
(第4の実施形態)
図4に、本発明の第4の実施形態に係る光通信ノードの内部構成の概念図を示す。図4は、図1(第1の実施形態)または図2(第2の実施形態)において周波数faの光信号を割り当てられている通信プロトコルに従っている光通信ノードの内部構成を示している。
【0056】
本構成における一連の情報処理手順を図1および図4を用いて以下に示す。ここでは、通信プロトコルAのMAC(Media Access Control)として、IEEE802.5のトークンリングのプロトコルを用いて、光通信ノード21から光通信ノード27へ情報を送出する場合の処理手順を示す事とする。
【0057】
[1]送信元の光通信ノード21がトークンを受け取ってから、光通信ノード27に向けての情報送出を開始する。
[2]光通信ノード21のアクセス制御部601から、トークンリングのアクセスプロトコルに従って情報がE/O変換部211に転送される(アドレス識別部501から送られてくる、光通信ノード21をスルーしていく情報を多重化した上でアクセス制御を行う)。
[3]光通信ノード21のE/O変換部211によって、電気信号で送られてきたパケットを周波数faの光信号のパケットに変換し、光周波数合波部102を介して伝送媒体10に送出する。
[4]伝送媒体10中を周波数fa、fb、fcの光信号が多重化して伝送される。
[5]伝送媒体10を通って周波数fa、fb、fcの周波数の光信号が多重化されたまま、光通信ノード27の光周波数分波部101に入力される。
[6]光通信ノード27の光周波数分波部101では、プロトコルAに割り当てられている周波数faの光信号のみを光通信ノード27内に取り込み、その他の周波数の光信号はそのまま光周波数合波部102にスルーさせる。
[7]光通信ノード27のO/E変換部201によって、取り込んだ周波数faの光信号を電気信号に変換する。
[8]光通信ノード27のMACレイヤパケット組み立て部301によって、送られてきた電気信号をMACレイヤのパケットに組み立て、アドレス識別部501に送る。
[9]光通信ノード27のアドレス識別部501では、送られてきたパケットのMACアドレスによってそのパケットが自ノード(光通信ノード27)宛の情報かそうでないかを判断し、自ノード宛の情報であれば上位レイヤ処理部901に転送し、そうでない場合にはアクセス制御部601に情報を転送する。
[10]光通信ノード27の上位レイヤ処理部901において、LLCレイヤ以上の情報処理や、光通信ノードが収容している端末へのインタフェースを提供するなどの処理を行う。
【0058】
ここでは、通信プロトコルとしてトークンリングのプロトコルを用いた場合を示したが、もちろん上記プロトコルに限られたものではなく、他にも各種の通信プロトコルを用いて本構成の光通信ノードによる通信が行える事になる。
【0059】
また、図4においては通信プロトコルAのMACレイヤによって光通信ノードを識別する構成を示したが、本発明の光通信ノードでのノード識別方法はこのような方法に限られたものではなく、さらに上位のLLCパケットやIPアドレスや、逆にMACレイヤよりも下位の物理レイヤのアドレスを用いて光通信ノードの識別を行うような方法も考えられる。
【0060】
また前述したように、図4に示した光通信ノードの内部構成のうち、光周波数分波部101と光周波数合波部102を除いた他の構成要素は、通常のトークンリング方式の通信システムにおいて用いる事のできる光通信ノードの構成と全く同じものである事がわかる。この事から、通常の通信を行う光通信ノードの入出力インタフェース部分に光周波数の分波機能と合波機能を持たせるだけで、本発明を適用した光通信システム内で用いられる光通信ノードを構築する事が可能となる。
【0061】
(第5の実施形態)
図5に、本発明の第5の実施形態に係るプロトコル変換用光通信ノードの内部構成の概念図を示す。この実施形態のプロトコル変換用光通信ノードは、図2(第2の実施形態)に示した光通信システム内において、異なる通信プロトコルに従って通信を行っている光通信ノード間の通信における、通信プロトコル変換機能を提供するものである。ここで、図5に示したプロトコル変換用光通信ノードは、図2に示した光通信システムにおいて周波数fa、fbが割り当てられているプロトコルA・B間のプロトコル変換機能を提供するプロトコル変換用光通信ノード31の内部構成を示している。
【0062】
本構成における一連の情報処理手順を図2および図5を用いて以下に示す。ここでは、通信プロトコルAのMACとしてIEEE802.5のトークンリングのプロトコルを用いている光通信ノード21からプロトコルBのMACとしてANSI X3T9.5のFDDIのプロトコルを用いている光通信ノード25へ情報を送出する場合の処理手順を示す事とする(トークンリングとFDDIの間でのプロトコル変換であるので、LLCレイヤパケットを介してのプロトコル変換を考える事とする)。
【0063】
[1]送信元の光通信ノード21がトークンを受け取ってから、プロトコル変換用光通信ノード31に向けて周波数faの光信号で光通信ノード21から情報が送出される。
[2]伝送媒体10を通って周波数fa、fb、fcの周波数の光信号が多重化されたまま、プロトコル変換用光通信ノード31の光周波数分波部101に入力される。
[3]プロトコル変換用光通信ノード31の光周波数分波部101では、プロトコルAに割り当てられている周波数faの光信号とプロトコルBに割り当てられている周波数fbの光信号を取り込み、その他の周波数の光信号はそのまま光周波数合波部102にスルーさせる。
[4]プロトコル変換用光通信ノード31のO/E変換部201によって、取り込んだ周波数faの光信号を電気信号に変換する。
[5]プロトコル変換用光通信ノード31のMACレイヤパケット組立部301によって、送られてきた電気信号をMACレイヤのパケットに組み立てて、アドレス識別部501に送る。
[6]プロトコル変換用光通信ノード31のアドレス識別部501では、送られてきたパケットのMACアドレスによってそのパケットが自ノード宛の情報かそうでないかを判断し、自ノード宛の情報である場合にはプロトコル変換部702に転送し、そうでない場合にはアクセス制御部601に情報を転送する。
[7]プロトコル変換用光通信ノード31のプロトコル変換部702によって、一度LLCレイヤパケットを構築した後、通信プロトコルAからBへの変換を行って、プロトコルB(FDDI)に従ったMACレイヤパケットを構築し、アクセス制御部602にパケットを転送する。
[8]プロトコル変換用光通信ノード31のアクセス制御部602によって、通信プロトコルBのアクセスプロトコルに従ってアドレス識別部502とプロトコル変換部702から送られてくる情報のアクセス制御を行い、E/O変換部212に情報を転送する。
[9]プロトコル変換用光通信ノード31のE/O変換部212によって、送られてきた電気信号を周波数fbの光信号に変換した後、光周波数合波部102に情報を送出する。
[10]プロトコル変換用光通信ノード31の光周波数合波部102によって、E/O変換部211、212からそれぞれ送られてくる周波数fa、fbの光信号と、光周波数分波部101でプロトコル変換用光通信ノード内では不要とされた周波数fcの光信号とを多重化して伝送媒体10に送出する。
[11]光通信ノード25はプロトコル変換用光通信ノード31からの周波数fbの光信号を受け取ることで、光通信ノード21から光通信ノード25への情報転送が終了する。
【0064】
ここでは、通信プロトコルA(トークンリング)から通信プロトコルB(FDDI)へのプロトコル変換方式を示したが、全く同様の方法によって通信プロトコルBから通信プロトコルAへのプロトコル変換も実現できる。
【0065】
このように本発明の光通信システムにプロトコル変換用光通信ノードを接続した場合には、通信プロトコルAからしてみると、図2に示した光通信システム内の通信プロトコルAに従う光通信ノードが21、24、27、31、33の5つに増えたのと同じ事になっている。
【0066】
また、図5においては変換する通信プロトコルとしてトークンリングとFDDIのプロトコルを変換する場合を示したが、必ずしもこのようなプロトコルの組み合わせに限られたものではなく、他にも各種の通信プロトコルに対しても本構成のプロトコル変換用光通信ノードを用いたプロトコル変換が行える事になる。また、図5においては通信プロトコルAのMACレイヤのアドレスを用いてプロトコル変換用光通信ノードの識別を行っているが、本発明のプロトコル変換用光通信ノードにおけるノード識別方法はこのような方法に限られたものではなく、さらに上位のLLCレイヤのアドレスやIPアドレスや、逆にMACレイヤよりも下位の物理レイヤのアドレスを用いてプロトコル変換用光通信ノードの識別を行うような方法も考えられる。さらに、図5に示した方法においてはプロトコルAとBの間のプロトコル変換をLLCレイヤのパケットによってプロトコル変換しているが、本発明のプロトコル変換用光通信ノードにおけるプロトコル変換方法はこのような方法に限られたものでは無く、さらに上位のレイヤのパケットによってプロトコル変換を行うような場合も当然考えられる。
【0067】
このような手順でプロトコル変換機能を提供するプロトコル変換用光通信ノードを用いる事によって、図4に示した光通信ノードに手を加える事なく、異なる通信プロトコルに従って通信を行っている光通信ノード間での通信を行う事が出来るようになる。また、このような光通信ノードとプロトコル変換用光通信ノードを組み合わせてネットワークを構築する事によって、複数のプロトコルに従った通信システムを同一の伝送媒体によって接続して、あたかも1つの通信システムであるかのように運用する事が可能となる。
【0068】
(第6の実施形態)
図6に、本発明の第6の実施形態に係る光通信ノードの内部構成の概念図を示す。図6は、図3(第3の実施形態)において周波数faの光信号を割り当てられている通信プロトコルに従っている光通信ノード41の内部構成を示している。このため、図6の光通信ノードの中には通信プロトコルAの情報処理のための機能とプロトコル間通信プロトコルの情報処理のための機能が両方含まれる構成になっている。
【0069】
本構成における一連の情報処理手順を図3および図6を用いて以下に示す。ここでは、通信プロトコルAのMACレイヤとしてIEEE802.5のトークンリングのプロトコルを用い、プロトコル間通信プロトコルのMACレイヤとしてANSI X3T9.5のFDDIの通信プロトコルを用いた場合を考える。このため、光通信ノード内でのトークンリングプロトコルの情報とFDDIプロトコルの情報の識別はLLCレイヤパケットによって識別する事とする。
【0070】
まず、通信プロトコルAにおける通信のための情報処理手順は、第4の実施形態(図4)に示した光通信ノードにおける情報処理手順とほぼ同様のものになる。ただし、アドレス制御部501から上位レイヤ処理部901へ情報を転送する際に、一度LLCレイヤパケットを構築してプロトコル間通信プロトコルからの情報と多重化するという点と、上位レイヤ処理部901から情報を送出した際に、LLCレイヤパケットの転送先アドレスを識別して通信プロトコルAのMACレイヤパケットを構築するという点が異なっている。
【0071】
次に、プロトコル間通信プロトコルを用いて図3中の光通信ノード41から光通信ノード48へ情報を転送する場合の情報処理手順を以下に示す。
【0072】
[1]送信元の光通信ノード41がFDDIトークンを受け取ってから、光通信ノード48に向けての情報送出を開始する。
[2]光通信ノード41の上位レイヤ処理部901からLLCレイヤパケットの転送先アドレスをあて先識別部811によって識別し、転送先アドレスが通信プロトコルAに従って通信を行う光通信ノード宛でない場合には、その情報をMACレイヤパケット構築部722に転送する。
[3]光通信ノード41のMACレイヤパケット構築部722において、LLCレイヤパケットをプロトコル間通信プロトコル(FDDI)プロトコルのMACレイヤパケットにセグメントした後、アクセス制御部602に転送する。
[4]光通信ノード41のアクセス制御部602から、プロトコル間通信プロトコル(FDDI)のアクセスプロトコルに従って、情報をE/O変換部212に転送する(アドレス識別部502から送られてくる、光通信ノード41をスルーしていく情報を多重化した上でアクセス制御を行う)。
[5]光通信ノード41内のE/O変換部212によって、電気信号で送られてきたパケットを周波数fIの光信号のパケットに変換し、光周波数合波部102を介して伝送媒体10に送出する。
[6]伝送媒体10中を周波数fa、fb、fc、fIの光信号が伝送される。
[7]伝送媒体10を通って周波数fa、fb、fc、fIの周波数の光信号が多重化されたまま、光通信ノード48の光周波数分波部101に入力される。
[8]光通信ノード48の光周波数分波部101では、プロトコル間通信プロトコルに割り当てられている周波数であるfIの周波数の光信号を光通信ノード内に取り込み、O/E変換部202によって、取り込んだ周波数fIの光信号を電気信号に変換する。
[9]光通信ノード48のMACレイヤパケット組み立て部302によって、変換した電気信号のフレーム同期確立などの物理レイヤ処理を行った後、MACレイヤパケットに組み立てて、アドレス識別部502に送る。
[10]光通信ノード48のアドレス識別部502では、送られてきたパケットのMACアドレスによってそのパケットが自ノード宛の情報かそうでないかを判断し、自ノード宛の情報であればLLCレイヤパケット組立部712に転送し、そうでない場合にはプロトコル間通信プロトコル用のアクセス制御部602に情報を転送する。
[11]光通信ノード48のLLCレイヤパケット組立部712でLLCパケットに組み立てた後、プロトコル間通信プロトコルで送られてきた情報のLLCパケットと多重化部801によって多重化して上位レイヤ処理部901にLLCレイヤパケットを転送する。
【0073】
ここでは、プロトコル間通信プロトコルとしてFDDIプロトコルを用いた場合を示したが、必ずしもこのようなプロトコルに限られたものではなく、他にも各種の通信プロトコルを用いて本構成の光通信ノードを用いた通信が行える事になる。また、図6においても通信プロトコルAのMACレイヤによって光通信ノードを識別する構成を示したが、本発明の光通信ノードにおけるノード識別方法はこのような方法に限られたものではなく、さらに上位のLLCパケットやIPアドレスや、逆にMACレイヤよりも下位の物理レイヤのアドレスを用いて光通信ノードの識別を行うような方法も考えられる。さらに、図6においてはプロトコルAとプロトコル間通信プロトコルとの間のプロトコル変換をLLCレイヤのパケットによって行っているが、本発明のプロトコル変換用光通信ノードにおけるプロトコル変換方法はこのような方法に限られたものでは無く、さらに上位のレイヤのパケットによってプロトコル変換を行うような場合も当然考えられる。
【0074】
このような手順で異なる通信プロトコルに従って通信を行っている光通信ノード間での通信機能を提供する事によって、図5に示した場合のようなプロトコル変換用光通信ノードを新たに設ける事無く、異なる通信プロトコルに従って通信を行っている光通信ノード間での通信を行う事が出来るようになる。また、このような光通信ノードを構築する事によって、複数のプロトコルに従った通信システムを同一の伝送媒体によって接続して、あたかも1つの通信システムであるかのように運用する事が可能となる。
【0075】
(第7の実施形態)
図7に、本発明の光通信システムにおいて用いられる光通信ノードの入出力インタフェース部に設置される光周波数分波手段の構成例を示す。ここでは、光導波路901と方向性結合器902のみで構成されるリング形の導波形分波器900を用いた場合の構成を示している。
【0076】
このような光の周波数特性を用いた周波数分割方式を用いる事によって、本発明の光通信システムにおける光周波数分割多重方式の通信が実現できるとともに、本発明の光通信ノードやプロトコル変換用光通信ノードの入出力インタフェース部での、光周波数分波機能や光周波数合波機能などを容易に提供する事が出来る。
【0077】
なお、このような光周波数分波や光周波数合波を行う際には、光の反射による影響等も考慮に入れた方が良い場合がある。したがって、このような光の反射に対しては、本発明の光通信システム内で使用されている光分波装置などの必要な箇所にアイソレータのような光を片方向しか通過させない手段を配置すると好ましい場合があると考えられる。
【0078】
また、ここで本発明の光通信ノードで用いる事が出来る光周波数分割方法としては、図7に示したようなリング形の導波形分波器による光周波数分波装置に限られるものではなく、他にも回折格子の特性を用いたものや、プリズムを用いたものや、多層膜を用いたものなど各種のものが使用できる事は自明である。また、光周波数分波装置を用いて必要な周波数の光信号に分波した後に光スイッチによって光通信ノード内に取り込むか取り込まないかを決めるような光スイッチによる方法や、光の双反定理に基づいて、一つの周波数分波装置を用いて光周波数分波機能と光周波数合波機能の両方を提供するような方法なども考えられる。
【0079】
(第8の実施形態)
図8に、本発明の光通信システムにおいて光信号の周波数多重を行う光周波数合波手段の構成の一例を示す。図8においてはスターカップラ903による光周波数合波方式を示している。
【0080】
なお、図7で述べたように光の双反定理に基づいて、光周波数分波装置と同じものによって光周波数の多重(合波)を行うというような方法も考えられる。このような光周波数合波を行う際にも、光周波数分波の場合と同様に光の反射による影響等が生じる場合があるが、やはりこれに対しても、本発明の光通信システム内で使用されている光合波装置などの必要な箇所にアイソレータのような光を片方向しか通過させない機能が配置するのが好ましい場合があると考えられる。
【0081】
(第9の実施形態)
図9に、図5(第5の実施形態)のプロトコル変換用光通信ノードの内部に設置されるプロトコル変換部701の内部構成の概念図を示す。ここでは、図4に示したプロトコル変換部701において、通信プロトコルAのMACレイヤパケットをレイヤ3(IP)パケットを介して通信プロトコルBのMACレイヤパケットに変換する場合の内部構成の概念図を示している。
【0082】
以下に、図9のような構成のプロトコル変換手段を用いて通信プロトコルAから通信プロトコルBにプロトコル変換を行う場合の情報の処理手順を示す。
【0083】
[1]通信プロトコルAのMACレイヤパケットが本プロトコル変換部に入力する。
[2]レイヤ3パケット組立部771によって通信プロトコルAのMACレイヤパケットを上位レイヤであるLLCレイヤのパケットを介してレイヤ3パケットにまで組み上げる。
[3]あて先識別部772によってレイヤ3パケットの送信先端末のIPアドレスを識別した後に、パケットを制御情報読み取り部773に転送される(読み取ったIPアドレスはアドレスマッピング部774に通知される)。
[4]制御情報読み取り部773によってレイヤ3パケットの各種の制御情報を読み取った後に、パケットをセグメンテーション部776に転送する(読み取った制御情報は制御情報マッピング部775に通知される)。
[5]アドレスマッピング部774は通知されたIPアドレスを元に、そのIPアドレスが対応する通信プロトコルBのMACレイヤアドレスをあて先情報データベース779を用いて検索する。
[6]制御情報マッピング部775は通知された制御情報を、通信プロトコルBのMACレイヤの制御情報にマッピングする。
[7]セグメンテーション部776においては、送られてきたレイヤ3パケットをLLCレイヤを介して、通信プロトコルBのMACレイヤパケットにまでセグメンテーションを行う。
[8]MACレイヤパケット構築部778によって、制御情報マッピング部775とアドレスマッピング部774から送られてくるMACレイヤ情報を付加する事によって、通信プロトコルBのMACレイヤパケットを構築し、変換された通信プロトコルBのMACレイヤパケットを送出する。
【0084】
このような方法によって通信プロトコルAのMACレイヤパケットを通信プロトコルBのMACレイヤパケットに変換する事が可能である。ただし、ここではレイヤ3パケットのIPアドレスを用いてレイヤ3によってプロトコル変換を行う方法を示したが、プロトコル変換の方法としては他にもLLCレイヤを用いてプロトコル変換を行う方法やより上位のレイヤを用いてプロトコル変換を行うなどの方法が考えられる。
【0085】
(第10の実施形態)
図10に、図4、図5および図6の各光通信ノードにおいて、光通信ノードが接続している伝送媒体(光ファイバー10)に送・受信する光信号の周波数を能動的に変換して通信を行う場合に使用する周波数変換手段の内部構成の概念図の一例を示す。図10においては、通信プロトコルAに従って周波数fXの光信号で通信を行う光通信ノード21と、通信プロトコルBに従って周波数fXの光信号で通信を行う光通信ノード22と、各光通信ノードと光ファイバーとの間に付加される周波数変換手段111,112とを示している。また、ここでは通信プロトコルAに対して周波数faが割り当てられており、通信プロトコルBに対して周波数fbが割り当てられている場合を示している。このような場合での、本構成の周波数変換手段111,112による周波数変換の実施手順の一例を以下に示す。
【0086】
(1)光通信ノード21における周波数変換手順
[1]光通信ノード21の物理レイヤプロトコルで規定されている周波数fXの光信号を光通信ノード21から受け取り、O/E変換部222によって電気信号に変換し、リタイミング制御部252によってビット同期などのリタイミング処理を行った後に、通信プロトコルAに割り当てられている周波数faのレーザー発信器によるE/O変換を行って、光周波数合波部102に光信号を送出する。
[2]光周波数分波部101から送られてきた通信プロトコルAに割り当てられている周波数faの光信号をO/E変換部221によって電気信号に変換し、リタイミング制御部251によってビット同期などのリタイミング処理を行った後に、光通信ノード21の物理レイヤプロトコルで規定されている周波数fXのレーザー発信器によるE/O変換を行って、光通信ノード21に光信号を送出する。
【0087】
(2)光通信ノード22における周波数変換手順
[1]光通信ノード22の物理レイヤプロトコルで規定されている周波数fXの光信号を光通信ノード22から受け取り、O/E変換部224によって電気信号に変換し、リタイミング制御部254によってビット同期などのリタイミング処理を行った後に、通信プロトコルAに割り当てられている周波数fbのレーザー発信器によるE/O変換を行って、光周波数合波部104に光信号を送出する。
[2]光周波数分波部103から送られてきた通信プロトコルAに割り当てられている周波数fbの光信号をO/E変換部223によって電気信号に変換し、リタイミング制御部253によってビット同期などのリタイミング処理を行った後に、光通信ノード22の物理レイヤプロトコルで規定されている周波数fXのレーザー発信器によるE/O変換を行って、光通信ノード22に光信号を送出する。
【0088】
ただし、光信号の周波数変換方式は図9に示した構成に限られるものではなく、たとえば光周波数分波手段や光周波数合波手段において任意の周波数の光信号を選択・多重出来るようにするような構成も考えられる。
【0089】
このような光信号の周波数変換手段を用いる事によって、既存の通信ノードが従っている通信プロトコルの物理レイヤプロトコルで規定されている光信号の周波数が異なるような場合だけではなく、通信プロトコルとしては異なる通信を行っているけれども物理レイヤプロトコルの規定だけは同じであるような場合にも(例えば ANSI X3T9.5のFDDIプロトコルで規定される物理レイヤプロトコルと、ATM−Forum仕様の100Mbps Multimode Fibrer Interfaceで規定される物理レイヤプロトコルは同じものである)、本発明の通信ノードによって本発明の光通信システムが運用できるようになる。さらに、図9に示した光信号の周波数変換手段における変換周波数を外部からの入力によって任意に設定できるようにする事で、光通信ノードを光通信システムに接続する際にネットワーク管理者によって自由な周波数割り当てが行える事となる。そして、このようなネットワーク管理者による自由な光信号の周波数割り当てが行える事によって、図4、図5および図6に示した光通信ノードがどのような通信プロトコル(物理レイヤプロトコル)で通信を行う光通信ノードであっても、本発明の光通信システム内で通信が行える事になり、本発明の光通信システムをより柔軟に運用する事が可能となる。
【0090】
(第11の実施形態)
図11に、本発明の第11の実施形態に係る光通信システムの構成の概念図を示す。図11の光通信システムにおいては、一つの通信プロトコルに関して複数の周波数を割り当てる構成になっているために、伝送媒体10に接続している光通信ノード51〜59から送出される光信号の周波数が複数定義されている。
【0091】
具体的には、通信プロトコルAには周波数fa1,fa2が割り当てられており、通信プロトコルBには周波数fb1,fb2,fb3が、通信プロトコルCには周波数fc1,fc2,fc3が割り当てられている構成になっている。また、このように通信プロトコルに対して複数の周波数が割り当てられる構成になっているために、プロトコル変換用光通信ノード34〜36もそれぞれ複数種類の周波数の光信号の送信・受信できる機能を有する構成となっている。
【0092】
このような光通信システムを構成する事によって、一つの通信プロトコルに従った光通信ノードが複数の周波数の光信号で情報を送出する事が出来るようになるために、光通信ノードが1つの伝送媒体に接続しているにもかかわらず、あたかも同時に複数の伝送媒体に接続しているように通信を行う事が可能となる。その結果、光通信ノードから同時に送出できる情報量を多くする事が出来るようになるとともに、同時に複数の光通信ノードとの間で通信を行う事が可能となる。
【0093】
また、同じ通信プロトコルに対して複数の周波数が割り当てられる事から、同じ通信プロトコルを用いているけれども通信システムの運用としては異なる通信システムも同時に収容する事が可能となる。例えば、通信プロトコルAで通信を行うけれども伝送媒体中での周波数はfa1の通信システムと、通信プロトコルAで通信を行うけれども伝送媒体中での周波数はfa2の通信システムが存在すると、それらの通信システムはお互いに干渉する事無く存在する事が出来、「同じ通信プロトコルAを用いていても違うネットワークである」、というような光通信システムをも許容する事ができる。
【0094】
また、本構成による光通信システムにおけるプロトコル変換用光通信ノード34〜36が、「通信プロトコル単位でプロトコル変換機能を提供する」のではなく、「光信号の周波数単位にプロトコル変換機能を提供する」、というような構成になっていてもかまわない。
【0095】
(第12の実施形態)
図12に、本発明の第12の実施形態に係るプロトコル変換用光通信ノードによる光通信システムの接続方式の概念図を示す。図12においては、1つのプロトコル変換用光通信ノード61が2つの光ファイバー11と12に接続する事によって、2つの光通信システム(ネットワーク1とネットワーク2)が接続される構成になっている。
【0096】
本実施形態によれば、ネットワーク内に存在するプロトコル変換用光通信ノードに、送られてきた情報のネットワーク識別手段を付加する事によって、複数の光通信システムを接続しても通信が行えるようになるという効果が得られる。
【0097】
ここで、光通信システム間を接続する光通信ノードとしては、他にも図4で示した光通信ノードや図6に示した光通信ノードなどを用いる方法も考えられる。
【0098】
(第13の実施形態)
図13に、本発明の第13の実施形態に係るプロトコル変換用光通信ノードによる光通信システムの接続方式の概念図を示す。図13においては、プロトコル変換用光通信ノード71,72をそれぞれ有する2つの光通信システム(ネットワーク1とネットワーク2)が存在し、その2つ存在するプロトコル変換用光通信ノードをある特定の周波数の光信号によって接続するという構成になっている。
【0099】
ここで、光通信システム間を接続する光信号に割り当てる光周波数はどのような周波数のものでもかまわない。また、光通信システム間を接続するための光通信ノードとしては、図12(第12の実施形態)の場合と同様に、他にも図4で示した光通信ノードや図6に示した光通信ノードなどを用いる方法も考えられる。
【0100】
(第14の実施形態)
図14に、図12(第12の実施形態)の光通信システム接続方式におけるプロトコル変換用光通信ノードの内部構成の概念図を示す。図14のプロトコル変換用光通信ノードは基本的に、図5(第5の実施形態)に示したプロトコル変換用光通信ノードの構成要素を2セット持った構成になっている。
【0101】
図5に示したプロトコル変換用光通信ノードと異なる点としては、図14のプロトコル変換用光通信ノード内部のアドレス識別機能501、502、503、504によって識別するべきアドレスの種類が多くなるという点と、アクセス制御部601、602、603、604によって制御すべき情報の種類が多くなるという点である。図5のプロトコル変換用光通信ノードにおいては、光通信システム内の通信プロトコルAの光通信ノード宛のものか通信プロトコルBの光通信ノード当てのものかを識別すれば良かったのに対して、図14のプロトコル変換用光通信ノードにおいては、接続しているどちらの光通信システムの光通信ノード宛のものであるのかをも識別する必要が生じる事になる。
【0102】
また、図5のプロトコル変換用光通信ノードにおいては、プロトコル変換した情報とプロトコル変換が不要な情報のアクセス制御を行えば良かったのに対して、図14のプロトコル変換用光通信ノードにおいては接続している光通信システムからの情報のアクセス制御も行う必要が生じる事になる。
【0103】
(第15の実施形態)
図15に、図13(第13の実施形態)の光通信システム接続方式におけるプロトコル変換用光通信ノードの内部構成の概念図を示す。図15のプロトコル変換用光通信ノードは基本的に、図5(第5の実施形態)に示したプロトコル変換用光通信ノードの機能と、図4に示した光通信ノードの割り当てられている周波数をfIに置き換えた光通信ノードの機能とを加えたような機能を有する構成になっている。これらの光通信ノードと異なる点としては、図14のプロトコル変換用光通信ノードの場合と同様に、プロトコル変換用光通信ノード内部のアドレス識別手段501、502、503とアクセス制御手段601、602、603における処理量が多くなるという点である。
【0104】
また、図15のようなシステム間接続方式においては、システム間の距離や求められるシステム間での情報転送品質などによっては、システム間接続用光通信ノード間をレイヤ2パケットやMACレイヤパケットによって、電気信号のまま直接転送するなどの方法も考えられる。
【0105】
ここに、このような図12〜図15(第12〜第15の実施形態)によって示したシステム間接続方式を用いる事によって、図1(第1の実施形態)や図2(第2の実施形態)に記載の光通信システムが複数存在するような場合にも、それほど多くの機能を追加する事無くシステム間接続を行う事が可能となる。特に、図15のように、各光通信システム間を接続する際に独自の周波数の光信号を用いて複数存在する光通信システムを接続する事によって、各光通信システム内で使用している通信プロトコルと光信号の周波数の組み合わせや割り当てる周波数の種類などを、それぞれの光通信システム内で独立に設定する事が出来るようになり、システム間接続が容易に実現できるようになる。
【0106】
(第16の実施形態)
図16に、本発明の第16の実施形態に係るシステム間接続用光通信ノードによる本発明の光通信システムの接続方式の概念図の一例を示す。図16に示したシステム間接続方式は、図3(第3の実施形態)に示した光通信ネットワーク同士を接続する場合の接続方式であり、そのシステム間接続のためにもプロトコル間通信プロトコルを使用するシステム間接続方式である。
【0107】
このような光通信システム間に1つのシステム間接続用光通信ノードでシステム間接続を行う方法とともに、図13(第13の実施形態)に示したような光通信システム間を2つのシステム間接続用光通信ノードで接続し、システム間接続用光通信ノード間に独自の周波数を光信号を割り当てる方法も当然考えられるものである。
【0108】
(第17の実施形態)
図17に、図16(第16の実施形態)のシステム間接続用光通信ノードの内部構成の概念図を示す。図17のシステム間接続用光通信ノードは基本的に、図4(第4の実施形態)に示した光通信ノードの構成要素を2セット備えたような構成になっている。図4に示した光通信ノードと異なる点としては、図14や図15のプロトコル変換用光通信ノードの場合と同様に、システム間接続用光通信ノード内部のアドレス識別部501、502によって識別するべきアドレスの種類が多くなるという点と、アクセス制御部601、602によって制御するべき情報の種類が多くなるという点である。
【0109】
このようなシステム間接続方式を用いる事によって、図3(第3の実施形態)の光通信システムが複数存在するような場合にも、図17に示したような内部構成のシステム間接続用光通信ノードを設置する事によって、複数のシステム間接続を容易に行う事が可能となる。また、本構成のシステム間接続用光通信ノードを用いる事によって、図13(第13の実施形態)に示したシステム間接続方式の場合と同様に、各光通信システム間を接続する際に独自の周波数の光信号を用いて複数存在する光通信システムを接続する事になるために、各光通信システム内で使用している通信プロトコルと光信号の周波数の組み合わせや割り当てる周波数の種類などを、それぞれの光通信システム内で独立に設定する事が出来るようになり、システム間接続が容易に実現できるようになる。
【0110】
(第18の実施形態)
図18に、本発明の光通信システムを構成する場合のリング型以外のトポロジーのシステム構成の概念図を示す。このように、本発明の光通信システムを構築する場合のネットワークトポロジーとしては、図1以降に示してきたようなリング型のトポロジーに限られたものではなく、図18に示すような単方向折り返しバス型のトポロジーやスターカップラによるスター型のトポロジーや通常のバス型のトポロジーなどによる光通信システム構成が考えられる。
【0111】
<2>(第19の実施形態)
図21に、本発明の第19の実施形態を示す。図21の光通信システムでは、説明を簡単にするために、λ1、λ2、λ3の3波長を使用するものとしている。そして、この光通信システムはA〜Fの6個のノードで構成されており、ノードA、Dにはλ1の波長が割り当てられ、ノードB、Eにはλ2の波長が割り当てられ、ノードC、Fはλ3の波長が割り当てられているものとする。
【0112】
図22には、各ノードの要部構成を示す。各ノードは、分波器1000、λ1〜λ3の波長をそれぞれ受信するための3つの光受信器1001a〜c、自局に割り当てられた波長を送信するための光送信装置1002、自局に割り当てられた波長の光を遮断する光フィルター1003、自局で受信した信号の中で、自局宛の信号と自局で中継する信号とを振り分ける振り分け装置1004a〜c、振り分け装置1004a〜cで振り分けられた自局宛の信号を多重する第1の多重装置1005、および振り分け装置で振り分けられた自局で中継する信号と自局に接続された端末からの信号とを多重する第2の多重装置1006を有している。
【0113】
次に、この光通信システムの各ノードの動作について説明する。
【0114】
各ノードには、伝送路1200からλ1〜λ3の波長を有する光が波長多重されて送られる。各ノードでは、多重された光信号は各ノードの光受信器1001a〜cと光フィルター1003に送るために2つに分離される。なお、光信号を分離する装置(図示せず)は、例えば、光カプラ、光分波器などが使用される。
【0115】
光フィルター1003に送られた光は、ノードに割り当てられた波長のみが消去される。これにより、周回光が消去される。特定の波長を遮断する光フィルター1003には、例えば、音響光学フィルターなどが使用される。
【0116】
光受信器1001a〜cに送られた信号は、光波長分離装置などからなる分波器1000によって各波長に分離される。分離された光は、それぞれの波長に対応した光受信器1001a〜cによって電気信号に変換される。光信号を電気信号に変換する光受信器1001a〜cには、例えば、波長フィルターと光電気変換素子を組み合わせたもの、あるいはコヒーレント光受信器などが使用される。
【0117】
なお、この実施形態では、ネットワーク内で使用されているすべての波長を受信するためにネットワーク内で使用されている波長の個数の光受信器が設置されているが、必ずしもすべての波長の個数だけ必要なわけではない。例えば、可変波長光受信器を使用して、時分割多重技術を利用することも可能である。
【0118】
電気信号に変換された情報は、振り分け装置1004a〜cにて、情報内に書かれた宛先情報をもとに自局宛の情報と自局宛でない情報とに振り分けられる。
【0119】
自局宛の信号は、それぞれの波長に対応する振り分け装置1004a〜cから第1の多重装置1005で多重化され自局に接続された端末(図示せず)へと送られる。
【0120】
前述のように自局に割り当てられた波長と同一の波長を有する光は、自局の光フィルター1000により消去されるが、自局と同じ波長を使用している局から送信された信号で、自局宛でないものの中には、中継を必要とする情報が含まれている。例えば、図21において、ノードAが波長λ1を使用してノードE〜Fへ情報を送信する場合、ノードDによって波長λ1の光信号は遮断されてしまうので、ノードDで再生しなければならない。すなわち、自局に割り当てられた波長のうち、自局が送信したものでもなく、かつ自局より下流宛への情報は、再送中継を行う必要がある。そこで、自局に割り当てられた波長に対応する振り分け装置1004a〜cで振り分けられた中継を必要とする情報は、自局の光送信装置1002へ転送するために、自局に接続された端末からネットワークへ送られる信号とを多重化する送信用の第2の多重化装置1006に送られる。送信用の多重化装置1006で多重化された情報は、光送信装置1002に送られ、自局に割り当てられた波長の光に変換される。変換された光信号は、光フィルター1003を通過した光信号と合成され、次のノードへと送信される。
【0121】
次にネットワーク上での情報の流れについて説明する。図21において、ノードからの情報に注目して説明を行う。
【0122】
ノードAから、ノードB、ノードCおよびノードDへは、λ1の波長を使用して直接転送される。一方、ノードEおよびノードFへは、ノードDの光フィルターにより遮断されてしまうので直接情報を送ることができないため、ノードDで一旦中継された後に送られる。例えば、ノードAからノードEへ情報を送る場合、ノードAは、ノードE宛てであることを示す宛先情報を付けて波長λ1で送信する。ノードB〜ノードCでは、自局宛ての情報ではないので処理はされない。ノードDでは、自局宛てではないが自局に割り当てられた波長の情報なので、もう一度、ノードDに割り当てられた波長λ1で送信される。このとき、ノードAから送信された光は、ノードDの光フィルター1003によって消去されている。したがって、ノードDから送信された光と混信することはない。
【0123】
このように、本実施形態では、光フィルターと振り分け装置を設けたことによって、ネットワーク内で同一の波長を複数のノードの送信波長に割り当てることが可能となる。
【0124】
(第20の実施形態)
次に、第20の実施形態について説明する。
【0125】
この実施形態におけるネットワークの形態は、第19の実施形態と同じであるので、本実施形態の説明には図21に示したものを用いる。
【0126】
図23には、本実施形態のノードの構成を示す。各ノードは、分波器1000、λ1〜λ3の波長を受信するための3つの光受信器1001a〜c、自局に割り当てられた波長を送信するための光送信装置1002、自局に割り当てられた波長の光を遮断する光フィルター1003、受信した情報に、波長識別子を付与するための波長識別子付与装置1007a〜c、各波長ごとに電気信号に変換され波長識別子を付与された情報を多重する第1の多重装置1008、多重された情報を波長識別子とコネクション識別子とをもとに自局宛の情報と自局で中継する情報に振り分ける振り分け装置1009、中継する情報の識別子を変換する識別子変換装置1010、および中継する情報と自局に接続された端末からの情報を多重化する第2の多重装置1011で構成される。
【0127】
この実施形態では、情報の行き先を示すのに、仮想チャネル識別子(VCI)と波長を識別するための波長識別子(WLI)を使用している点に特徴がある。VCIは、各波長リンク内で呼ごとに固有の番号が割り当てられている。なお、波長リンクとは、同一の波長が光フィルターによって分離されている区間のことを言う。各ノードは、WLIとVCIを参照することによって、その情報がどのように処理されるかを知ることができる。
【0128】
次に、この光通信システムの各ノードの動作について説明する。
【0129】
ノードに入力された光信号は、光フィルター1003と波長分波器1000に入力される。そして、波長分波器1000で波長ごとに分離され、光受信器1001a〜cで各波長ごとに光電気変換をされ、それぞれ波長識別子付与装置1007a〜cへと送られる。
【0130】
ここで、VCIは、光リンク内でのみ固有であるので、波長が異なる場合、同じVCIを持つ別の呼が存在する可能性がある。この場合情報が混信してしまうので、これを避けるために波長識別子を付与している。
【0131】
波長識別子付与装置1007a〜cで波長識別子を付与された情報は、それぞれの波長で受信された信号を多重する受信側の第1の多重装置1008に入力され、多重化される。多重化された信号は、振り分け装置1009において、波長識別子とコネクション識別子の情報をもとに、自局で受信する信号と自局で中継する信号とに分離される。
【0132】
そして、自局で受信する情報は、自局に接続されている端末(図示せず)に送られる。一方、自局で中継する信号は、次の光リンクでの識別子に変換するために識別子変換部1010へと送られる。識別子変換部1010からの情報と端末からの情報を多重化するために、送信側の多重装置1011に送られ多重化される。多重化された信号は、光送信装置1002によって電気信号から光信号に変換されて送信される。
【0133】
(第21の実施形態)
次に、第21の実施形態について説明する。
【0134】
この実施形態は、複数のネットワークに所属しているノードで、通信情報に付加された識別情報に基づいて、該情報を他のネットワークに乗せ換えることができろようにしたものである。ここでは、図24に示されているように、各ノードは2つのネットワーク1、2に所属しており、各ネットワークに対応して2個の光入力があり、それぞれのネットワークでは3波長の光が多重されているものとする。この2つのネットワークは、例えば図25に示されるようなトーラス型ネットワークに適用することができる。なお、各ネットワークで用いられる3種類の波長は、同一の波長の組であっても良いし、少なくとも一部が異なっていても良いが、ここではネットワーク1およびネットワーク2のいずれも、同一の波長の組λ1〜λ3を用いるものとする。
【0135】
図24に示すように、各ノードは、分波器1000、λ1〜λ3の波長を受信するための3つの光受信器1001a〜c、自局に割り当てられた波長を送信するための光送信装置1002、自局に割り当てられた波長の光を遮断する光フィルター1003、情報のコネクション識別子からルーティング情報を計算し、情報に付与するルーティング情報付与部1012、ルーティング情報にしたがって情報を交換する交換装置1013、付与されたルーティング情報を削除するルーティング情報削除部1014で構成される。また、交換装置1013以外は、2つのネットワークに対応して、各々2系統づつ備えている。
【0136】
次に、この光通信システムの各ノードの動作について説明する。
【0137】
ノードに入力された光信号は、光フィルター1003と波長分離装置1001に入力される。そして、波長分離装置1001で波長ごとに分離され、光受信器1001a〜cで各波長ごとに光電気変換をされ、それぞれルーティング情報付与装置1012a〜cへと送られる。
【0138】
ルーティング情報は、コネクション識別子から生成される。図24に示されるノードの場合、ノードに入力された情報の行き先は、ネットワーク1、ネットワーク2、ノードに接続された端末1015の3通りがある。ルーティング情報付与部1012a〜cでは、コネクション識別子の内容から、出力先に関する情報を得てルーティング情報を付与する。図24の場合、例えば、ルーティング情報は、3ビット使用する。それぞれのビットは、ネットワーク1行き、ネットワーク2行き、端末行きを表している。マルチキャストを行う場合は、複数のビットを有意にすることで行う。ルーティング情報を付与された情報は、交換装置1013に送られ、ルーティング情報にしたがって交換される。交換装置1013では、先に示した例の場合、ネットワーク1行きのビットが有意であった場合は、ネットワーク1に対応する出力へ情報を出力し、ネットワーク2行きのビットが有意であった場合は、ネットワーク2に対応する出力へ情報を出力し、端末行きのビットが有意であった場合は、端末に対応する出力へ情報を出力する。複数のビットが有意であった場合は、有意であるビットに対応する出力すべてに情報を出力する。
【0139】
ルーティング情報にしたがって交換された情報は、ルーティング情報を削除するためにルーティング情報削除装置1014へ送られる。ルーティング情報を削除された情報は、光送信装置1014によって電気信号から光信号に変換されてネットワークへと送信される。
【0140】
なお、本発明を適用した光波長分割多重方式による光通信システムの実施形態の説明は省略したが、勿論光周波数分割多重方式による光通信システムと同様の作用効果を奏する。
【0141】
また、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することができる。
【0142】
【発明の効果】
本発明の光通信システムによれば、同一の光伝送用媒体中を転送する情報の通信プロトコル毎に異なる波長を割り当てるので、複数の通信プロトコルに従った複数の通信システムを同時に同一の通信媒体を用いて運用する事が出来るようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光通信システムの概略構成を示す図
【図2】本発明の第2の実施形態に係る光通信システムの概略構成を示す図
【図3】本発明の第3の実施形態に係る光通信システムの概略構成を示す図
【図4】本発明の第4の実施形態に係る光通信ノードの概略構成を示す図
【図5】本発明の第5の実施形態に係るプロトコル変換用光通信ノードの概略構成を示す図
【図6】本発明の第6の実施形態に係る光通信ノードの概略構成を示す図
【図7】本発明の第7の実施形態に係る光周波数分波手段の概略構成を示す図
【図8】本発明の第8の実施形態に係る光周波数合波手段の概略構成を示す図
【図9】本発明の第9の実施形態に係るプロトコル変換用光通信ノードの内部に設置されるプロトコル変換手段の概略構成を示す図
【図10】本発明の第10の実施形態に係る光通信ノードにおける周波数変換手段の概略構成を示す図
【図11】本発明の第11の実施形態に係る光通信システムの概略構成を示す図
【図12】本発明の第12の実施形態に係るプロトコル変換用光通信ノードによる光通信システムの接続方式を示す概念図
【図13】本発明の第13の実施形態に係るプロトコル変換用光通信ノードによる光通信システムの他の接続方式を示す概念図
【図14】図12の光通信システム接続方式におけるプロトコル変換用光通信ノードの概略構成を示す図
【図15】図13の光通信システム接続方式におけるプロトコル変換用光通信ノードの概略構成を示す図
【図16】本発明の第16の実施形態に係るシステム間接続用光通信ノードによる光通信システムの接続方式を示す概念図
【図17】本発明の第17の実施形態に係るシステム間接続用光通信ノードの概略構成を示す図
【図18】本発明の第18の実施形態に係る光通信システムの概略構成を示す図
【図19】従来の光周波数分割多重方式のシステム構成の一例を示す概念図
【図20】従来のATM通信方式によるシステム構成の一例を示す概念図
【図21】本発明の第19の実施形態に係る光通信システムの概略構成を示す図
【図22】図21のノードの概略構成を示す図
【図23】本発明の第20の実施形態に係るノードの概略構成を示す図
【図24】本発明の第21の実施形態に係るノードの概略構成を示す図
【図25】図24のノードを適用したネットワークの構成を示す図
【図26】従来の光波長多重方式を利用した光通信システムを示す図
【図27】図26の光通信システムで用いられるノードの概略構成を示す図
【符号の説明】
10…光伝送用媒体
21〜29,41〜49…光通信ノード
31〜33…プロトコル変換用光通信ノード
101…光周波数分波部
102…光周波数合波部
201,202,211,212…O/E変換部(電気/光信号変換部)
301,302…MACレイヤパケット組み立て部
501,502…アドレス識別部
601,602…アクセス制御部
701,702…プロトコル変換部
711,712…LLCレイヤパケット組立部
721,722…MACレイヤパケット構築部
801…多重化部
811…あて先識別部
901…上位レイヤ処理部
1000…波長分波器
1001a〜c…光受信器
1002…光送信装置
1003…光フィルター
1004a〜c…振り分け装置
1005…第1の多重装置
1006…第2の多重装置
1200…伝送路
Claims (13)
- 予め定められた複数の通信プロトコルのうちのいずれか一つを利用する光通信ノードを光伝送用媒体により複数接続し、該複数の通信プロトコルに対して重複のないようにそれぞれ複数種類の光信号を割り当て、通信プロトコルに応じた波長の光信号を用いて情報データの伝送を行う、波長分割多重方式の光通信システムであって、
前記光通信ノードは、
前記予め定められた複数の通信プロトコルのうちの自ノードが利用している通信プロトコルに対して割り当てられた複数種類の波長のうちの任意の波長の光信号によって情報データを光伝送用媒体に送信する光送信手段と、
前記自ノードが利用している通信プロトコルに対して割り当てられた複数種類の波長のうちの任意の波長の光信号を光伝送用媒体から選択して受信する光受信手段とを備えたことを特徴とする光通信システム。 - 前記光通信ノードは、少なくとも、前記自ノードが利用している通信プロトコルに対して割り当てられた複数種類の波長のうちの第1の波長の光信号による第1の通信と、前記自ノードが利用している通信プロトコルに対して割り当てられた複数種類の波長のうちの第1の波長とは異なる第2の波長の光信号による第2の通信とを含む複数の通信が同時に可能であることを特徴とする請求項1に記載の光通信システム。
- 前記光通信ノードは、同時に送出できる情報量を多くするために、同時に複数の波長を用いて前記複数の通信を行うことを特徴とする請求項2に記載の光通信システム。
- 前記光通信ノードは、同時に複数の光通信ノードとの間で通信するために、同時に複数の波長を用いて前記複数の通信を行うことを特徴とする請求項2に記載の光通信システム。
- 前記光通信システムは、前記波長毎に異なる通信システムとして運用されるものであり、
前記光通信ノードは、所望する通信システムに係る前記波長を用いて該所望する通信システムにおける通信を行うことを特徴とする請求項1に記載の光通信システム。 - 前記予め定められた複数の通信プロトコルのうちの第1の通信プロトコルに対して割り当てられた波長の光信号を光伝送用媒体から受信し、該光信号を変換して得た情報データについて、該第1の通信プロトコルから前記予め定められた複数の通信プロトコルのうちの第2の通信プロトコルへのプロトコル変換を行い、該プロトコル変換した情報データを該第2の通信プロトコルに対して割り当てられたいずれかの波長の光信号に変換して光伝送用媒体へ送信するプロトコル変換用光通信ノードを、該第1の通信プロトコルと該第2の通信プロトコルとの組合せ毎に、または該第1の通信プロトコルに対して割り当てられた波長と該第2の通信プロトコルに対して割り当てられた波長との組合せ毎に、設けたことを特徴とする請求項1に記載の光通信システム。
- 予め定められた複数の通信プロトコルのうちのいずれか一つのみを利用する光通信ノードを光伝送用媒体で複数接続し、該複数の通信プロトコルに対して重複のないように光信号の波長を1つずつ割り当て、通信プロトコルに応じた波長の光信号を用いて情報データの伝送を行う、波長分割多重方式の光通信システムであって、
前記光通信ノードは、
前記予め定められた複数の通信プロトコルのうちの自ノードが利用している通信プロトコルに対して割り当てられた波長の光信号によって情報データを前記光伝送用媒体に送信する光送信手段と、
前記自ノードが利用している通信プロトコルに対して割り当てられた波長の光信号を前記光伝送用媒体から選択して受信する光受信手段とを備えたことを特徴とする光通信システム。 - 前記光通信ノードは、前記通信プロトコルに対する前記波長の割り当てを変更するための変更手段を更に備えたことを特徴とする請求項7に記載の光通信システム。
- 前記予め定められた複数の通信プロトコルのうちの第1の通信プロトコルに対して割り当てられた波長の光信号を光伝送用媒体から受信し、該光信号を変換して得た情報データについて、該第1の通信プロトコルから前記予め定められた複数の通信プロトコルのうちの第2の通信プロトコルへのプロトコル変換を行い、該プロトコル変換した情報データを該第2の通信プロトコルに対して割り当てられた波長の光信号に変換して光伝送用媒体へ送信するプロトコル変換用光通信ノードを、該第1の通信プロトコルと該第2の通信プロトコルとの組合せ毎に設けたことを特徴とする請求項7に記載の光通信システム。
- 2つの単位光通信システムを含み、該単位光通信システムを所定の光通信ノードにより接続した、波長分割多重方式の光通信システムであって、
2つの前記単位光通信システムは、いずれも、請求項7に記載の光通信システムと同一の構成を有するものであり、
前記所定の光通信ノードは、2つの前記単位光通信システムのうちの一方の前記単位光通信システムから予め定められた波長の光信号を受信して他方の前記単位光通信システムに送信するものであることを特徴とする請求項7に記載の光通信システム。 - 第1及び第2の単位光通信システムを含み、該第1及び第2の単位光通信システムを第1及び第2の所定の光通信ノードにより接続した、波長分割多重方式の光通信システムであって、
前記第1及び第2の単位光通信システムは、いずれも、請求項7に記載の光通信システムと同一の構成を有するものであり、
前記第1の光通信ノードは、前記第1の単位光通信システムから予め定められた波長の光信号を受信し、これを前記第1及び第2の光通信ノード間を接続する特定の波長の光信号にして前記第2の光通信ノードに送信するものであり、
前記第2の光通信ノードは、前記第1の光通信ノードから前記特定の波長の光信号を受信し、これを予め定められた波長の光信号にして前記第2の単位光通信システムに送信するものであることを特徴とする請求項7に記載の光通信システム。 - 予め定められた複数の通信プロトコルのうちのいずれか一つ及び異なる通信プロトコル間での通信を行うための特定のプロトコル間通信プロトコルを利用する通信ノードを光伝送用媒体で複数接続し、該複数の通信プロトコル及び該特定のプロトコル間通信プロトコルに対して重複のないように光信号の波長を1つずつ割り当て、通信プロトコルに応じた波長の光信号を用いて情報データの伝送を行う、波長分割多重方式の光通信システムであって、
前記通信ノードは、
前記予め定められた複数の通信プロトコルのうちの自ノードが利用している通信プロトコルに対して割り当てられた波長の光信号によって情報データを前記光伝送用媒体に送信する第1の光送信手段と、
前記自ノードが利用している通信プロトコルに対して割り当てられた波長の光信号を前記光伝送用媒体から選択して受信する第1の光受信手段と、
前記特定のプロトコル間通信プロトコルに対して割り当てられた波長の光信号によって情報データを前記光伝送用媒体に送信する第2の光送信手段と、
前記特定のプロトコル間通信プロトコルに対して割り当てられた波長の光信号を前記光伝送用媒体から選択して受信する第2の光受信手段とを備えたことを特徴とする光通信システム。 - 2つの単位光通信システムを含み、該単位光通信システムを所定の光通信ノードにより接続した、波長分割多重方式の光通信システムであって、
2つの前記単位光通信システムは、いずれも、請求項12に記載の光通信システムと同一の構成を有するものであり、
前記所定の光通信ノードは、2つの前記単位光通信システムのうちの一方の前記単位光通信システムから前記特定のプロトコル間通信プロトコルに対して割り当てられた波長の光信号を受信して他方の前記単位光通信システムに送信するものであることを特徴とする請求項12に記載の光通信システム。
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