JP3597716B2 - アモルファスの生体内分解吸収性インプラント材 - Google Patents

アモルファスの生体内分解吸収性インプラント材 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば骨接合術、骨移植術、骨切り術、骨再建術、靱帯再建術、関節固定術、開窓部の固定や充填等に好適に使用される、アモルファスの生体内分解吸収性インプラント材に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、生体内で分解、吸収されるインプラント材が研究され、整形外科、形成外科、胸部外科、口腔外科、脳外科などの外科分野では、従来の金属製又はセラミックス製の骨接合用プレート、スクリュー、ピン、シート(メッシュ)、ブロックなどのインプラント材に代えて、ポリグリコール酸、ポリ乳酸などの生体内分解吸収性のポリマーからなるインプラント材が開発された。
【0003】
このような生体内分解吸収性のインプラント材は、金属製のものに比べると強度が弱いので、一軸方向に延伸して分子鎖及び結晶を一軸配向させたり、繊維により自己強化させたり、高分子量のポリマーを使用して、強度を向上させて使用しているのが従来の技術である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ポリL−乳酸等から成る結晶性のインプラント材を上記のように一軸配向させて強度を高めたものは、確かに生体の皮質骨(曲げ強度:約200MPa)以上の曲げ強度を示すが、結晶性であるが故に加水分解による生体内での分解が遅く、その大きさや厚みあるいは埋入部位によっては5〜7年もの長い期間が完全分解と吸収に必要であるという問題を残していた。
【0005】
本発明は上記の問題に鑑みなされたもので、その目的とするところは、結晶の配向に伴う強度的な異方性が少なく、非晶性の材料としては靱性に富み、緻密で強度が高められた、加水分解の速い生体内分解吸収性インプラント材を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、本発明の請求項1に係る生体内分解吸収性インプラント材は、結晶化度が5%未満の鍛造成形されたアモルファス成形体であって、成形前の密度よりも高い密度を有する緻密な成形体から成り、非焼成ハイドロキシアパタイトの粉体が含有されていることを特徴としている。
【0007】
そして、請求項2に係るインプラント材は、上記アモルファス成形体が、その分子鎖集合のドメインもしくはクラスターが軸方向の異なる多数の基準軸に沿って配向した多軸配向体となっていることを特徴とし、
請求項3に係るインプラント材は、上記アモルファス成形体がL−乳酸とD−乳酸の共重合体、又は、L−ラクチドとD−ラクチドの共重合体で成形されたものであることを特徴とし、
請求項4に係るインプラント材は、上記共重合体がランダム共重合体であって、L−乳酸又はL−ラクチドの占める割合が20〜80モル%であることを特徴とし、
請求項5に係るインプラント材は、上記アモルファス成形体がポリL−乳酸又はポリD−乳酸の非晶質の単一重合体で成形されたものであることを特徴としている。
また、請求項6に係る生体内分解吸収性インプラント材の製造方法は、非焼成ハイドロキシアパタイトを含んだ生体内分解吸収性ポリマーからなる結晶化度が5%未満のアモルファスの溶融成形体を、成形型内へ冷間で圧入充填して鍛造成形することにより、該溶融成形体よりも高密度で緻密な、非焼成ハイドロキシアパタイトを含んだ結晶化度が5%未満のアモルファス成形体から成る生体内分解吸収性インプラント材を得ることを特徴とし、
請求項7の製造方法は、アモルファスの溶融成形体を成形型内へ冷間で圧入充填して鍛造成形した後、更に機械方向を変えて鍛造成形することを特徴としている。
【0008】
本発明に言う「アモルファス」とは、上記のように結晶化度が5%未満のものを意味し、必ずしも完全な非晶質である必要はない。また、本発明にいう「ポリL−乳酸」とは、L−乳酸の環状二量体であるL−ラクチドの重合体であるポリL−ラクチドも含む概念であり、「ポリD−乳酸」とは、D−乳酸の環状二量体であるD−ラクチドの重合体であるポリD−ラクチドも含む概念である。
【0009】
本発明の請求項1のインプラント材は、生体内分解吸収性ポリマーのアモルファス成形体からなるものであるから、結晶化度の頗る高い結晶性インプラント材(結晶化度70%以上)に比べると、絶対的強度は総じて劣るものの、過度の結晶化度とその配向に伴う硬さに由来する脆さがなく靱性に富んでおり、衝撃力を受けても割れ・欠けを生じることがまれである。しかも、このアモルファス成形体は、成形前の密度よりも高い密度を有する緻密な成形体であるため、成形体自体の強度が向上しており、容易に破壊されることはない。また、非晶質であるために形態的に結晶質のものよりも親水的であり、加水分解の機会が分解の初期から恵まれているので、場合によっては1年以内で分解、吸収されて、消失する。
【0010】
また、アモルファス成形体が鍛造成形されたものであるため、請求項2のインプラント材のように、生体内分解吸収性ポリマーの分子鎖集合のドメインもしくはクラスター[分子レベルではポリマー鎖を形成するL−乳酸(L−ラクチド)或いはD−乳酸(D−ラクチド)の互いに反するいくつかの連続した異性体で形成されるシークエンスの間で、分子内又は分子間で立体規則複合体(stereocomplex)を形成してこれが強度の向上につながる]が軸方向の異なる多数の基準軸に沿って配向した多軸配向体となる。従って、強度的な異方性が小さくなって、どの方向からの力に対しても破壊し難くなり、機械的強度が総体的に向上する。尚、鍛造成形については後で説明する。
【0011】
生体内分解吸収性ポリマーは、本質的に非晶性であるか結晶性であるかを問わず、成形条件を調整することにより結晶化度が5%未満のアモルファス成形体を得ることができるものであれば全て使用可能であるが、その中でも、請求項3のインプラント材に使用されるL−乳酸とD−乳酸の共重合体やL−ラクチドとD−ラクチドの共重合体、或は、請求項5のインプラント材に使用されるポリL−乳酸、ポリD−乳酸などの単一重合体が好適であり、特に、請求項4のインプラント材に使用されるようなL−乳酸又はL−ラクチドが20〜80モル%を占めるランダム共重合体は極めて好適である。
【0012】
ポリマーの分子量は限定されないが、初期の粘度平均分子量が10万〜70万のものを使用することが好ましい。初期の粘度平均分子量が10万未満のポリマーを使用すると、実用に充分耐え得る強度を備えたインプラント材を得ることが難しくなり、一方、70万を越えるポリマーを使用すると、分解に不必要な長期間を要するといった不都合を生じる。ポリマーの更に好ましい粘度平均分子量は、15万〜50万の範囲である。
【0013】
上記のポリL−乳酸やポリD−乳酸は、本質的に結晶性のポリマーであるが、加熱溶融状態から急冷して結晶化温度(Tc)を速やかに通過させ、ガラス転移温度(Tg)以下の室温まで下げると、結晶化度が5%未満のアモルファスの溶融成形体が得られる。一方、L−乳酸とD−乳酸のランダム共重合体、又は、L−ラクチドとD−ラクチドのランダム共重合体であって、L−乳酸又はL−ラクチドが30〜70モル%を占めるものは、ポリL−乳酸やポリD−乳酸のような規則配列に伴う結晶性の発現がなく、本質的に非晶性であるため、緩徐に冷却してもアモルファスの溶融成形体が得られる。但し、L−乳酸又はL−ラクチドの占める割合が20モル%から80モル%の共重合体は、緩徐に冷却すると5%未満程度のL−乳酸(L−ラクチド)又はD−乳酸(D−ラクチド)の繰返し鎖による結晶が発現することがある。
【0014】
これらの溶融成形体はいずれもアモルファスであるが、緻密なアモルファス成形体ではない。従って、より強度を高めるには、この溶融成形体を二次成形して、高密度の緻密なアモルファス成形体(例えば密度を2〜3%程度高めて1.25〜1.26g/cm 程度にしたもの)とする必要がある。緻密なアモルファス成形体を得る方法としては、通常の圧縮成形などの方法も採用され得るが、冷間(特に単一重合体の場合は結晶化が進行しない程度の低温)で鍛造成形する方法が特に好ましく採用される。
【0015】
この鍛造成形は、上記の溶融成形体(ビレット)を有底の成形型内へ冷間で圧入充填して二次成形することを言い、冷間の温度範囲や変形比(ビレットの断面積/鍛造成形体の断面積)などの条件は、ポリマーの種類によって調整する必要がある。
【0016】
即ち、ポリL−乳酸又はポリD−乳酸のアモルファス溶融成形体からなるビレットを鍛造成形する場合は、ガラス転移温度(Tg)以上、110℃以下の冷間温度でビレットを成形型内へ圧入充填する必要があり、その場合の変形比は1.2〜3.0の範囲に設定することが好ましい。また、L−乳酸もしくはL−ラクチドの占める割合が20モル%未満又は80モル%を越える共重合体のアモルファス溶融成形体からなるビレットを鍛造成形する場合も、上記の本来的に結晶性であるポリマーと同様の温度範囲と変形比の範囲に設定される。
【0017】
これに対し、L−乳酸又はL−ラクチドの占める割合が20〜80モル%であるランダム共重合体のアモルファス溶融成形体からなるビレットを鍛造成形する場合は、成形中に結晶化することがなく、加工時の粘度も低いので、ガラス転移温度(Tg)以上、90℃以下の温度でビレットを成形型内へ圧入充填すればよく、その場合の変形比は1.5〜5.0の範囲に設定することが好ましい。
【0018】
上記のように鍛造成形すると、ポリマーの成形前の密度よりも高い密度を有する緻密なアモルファス成形体が得られ、この成形体は、既述したようにポリマーの分子鎖集合のドメインもしくはクラスターが軸方向の異なる多数の基準軸に沿って配向した多軸配向体となっている。このように多軸配向した緻密なアモルファス成形体からなるインプラント材は、鍛造成形前の溶融成形体(ビレット)に比べると、強度が2〜5割程度向上し、しかも、強度的な異方性が少ないため、どの方向からの力に対しても破壊し難くなる。
【0019】
また、場合によっては、上記のように溶融成形体のビレットを冷間で鍛造した後、更に機械方向を変えて冷間で鍛造するようにしてもよい。このように機械方向を変えて鍛造を複数回行うと、強度的な異方性が更に減少し、繰返し曲げ強度等の耐疲労特性が顕著に向上する。
【0020】
以上のような本発明のインプラント材は、生体内で体液と接触して表面から生体内分解吸収性ポリマーの加水分解が進行し、生体内に吸収されて体外に排出されるが、アモルファスであるため結晶性のものよりも形態的に親水性(体液の浸入と濡れの機会が多い)が高いので加水分解が速く、比較的短期間(例えば一年以内)のうちに吸収されて消失するので、不必要な長期間、体内に残ることはない。従って、金属製のインプラント材のように再手術をして体外に取り出さなくてもよいので、患者の苦痛や経済的負担が軽減される。
【0021】
に、バイオセラミックス粉体を含有させると、表層部に顕在しているバイオセラミックス粉体、或はポリマーの加水分解に伴って露出してくるバイオセラミックス粉体が骨組織をインプラント材の表層部に伝導形成するため、短期間のうちにインプラント材が生体骨と結合する。そして、弛みやガタツキを生じなくなり、骨接合部等をしっかりと固定できるようになる。しかも、該ポリマーが分解消失したところには、骨がこれらのセラミックス粉体を核として形成される。
【0022】
バイオセラミックス粉体としては、表面生体活性を有する焼成ハイドロキシアパタイト、バイオガラス系もしくは結晶化ガラス系の生体用ガラス、生体内吸収性の非焼成ハイドロキシアパタイト、ジカルシウムホスフェート、トリカルシウムホスフェート、テトラカルシウムホスフェート、オクタカルシウムホスフェートなどのいずれか一種の粉体又は二種以上の混合粉体が使用されるが、本発明においては、これらのうち最も好ましい非焼成ハイドロキシアパタイトを使用する。ここに「非焼成」とは、焼成も仮焼成もしていないものをいう。
【0023】
バイオセラミックス粉体の含有割合は10〜60重量%程度とするのが適当である。10重量%未満ではバイオセラミックス粉体による骨組織の伝導形成能が充分に発揮されず、60重量%を越えるとインプラント材の靱性が低下して脆弱化するといった不都合を生ずる。
【0024】
以上説明した本発明のインプラント材は、インターフェアランススクリュー、アンカースーチャーなど、剛性よりも粘弾性に優れた靱性が要求される用途のインプラント材として好ましく適用できるものである。
【0025】
【実施例】
次に、本発明の具体的な実施例と比較例について説明する。
【0026】
[実施例1]
粘度平均分子量が30万のポリL−乳酸(PLLA)を溶融押出して、粘度平均分子量が20万で直径が10mmの円柱状のアモルファスのビレットを得た。このビレットを70℃に加熱して鍛造成形し、急冷することにより、直径が8mmの円柱状のアモルファスの鍛造成形体(変形比:1.6)を得た。
【0027】
この鍛造成形体から直径3.2mm、長さ40mmのロッドを作製し、曲げ強度と結晶化度と密度を測定した結果を下記の表1に示す。また、鍛造成形する前のビレットから作製した同一寸法のロッドの曲げ強度と結晶化度と密度も表1に示す。
【0028】
鍛造成形体から作製したロッドは、表1に示すように結晶化度が4.0%のロッドであって、鍛造成形前のビレットから作製したロッドの密度よりも高い密度を有し、鍛造成形によって曲げ強度が向上していた。これは、鍛造成形前のビレットに存在しているミクロボイドが鍛造による圧縮効果によって消失し全体的に微密な成形体になったこと、および、鍛造成形によってポリマーの分子鎖集合のドメインもしくはクラスターが成形時のポリマーの流れに沿った多数の基準軸に沿って配向している多軸配向体となったからである。
【0029】
このロッドを37℃のリン酸緩衝液中に浸漬して、in vitroでの加水分解実験を行った。その結果、ロッドの分子量は急激に低下し速やかな分解を示した。けれども、本ロッドは分子量の低下と共に結晶化が生じ、1年経過後には約50%になった。このことは、完全吸収に至るまでの期間が本質的にアモルファスであるPDLLAと比較して長くなることを示唆している。しかしながら、結晶化したインプラント材と比較すると、分解は速やかであり、完全に吸収されるまでの期間も短縮される。
【0030】
[実施例2]
粘度平均分子量が40万のL−ラクチドとD−ラクチドとのランダム共重合体(PDLLA)[D/L(モル比)=50/50]を溶融押出して、粘度平均分子量が20万で直径が10mmの円柱状のアモルファスのビレットを得た。
【0031】
このビレットを65℃に加熱して鍛造成形した円柱状の鍛造成形体(変形比:3.0)から、実施例1と同じ直径3.2mm、長さ40mmのロッドを作製し、その曲げ強度と結晶化度と密度を測定した。その結果を下記表1に示す。また鍛造成形する前のビレットから作製した同一寸法のロッドの曲げ強度と結晶化度と密度も表1に示す。
【0032】
実施例2の鍛造成形体から作製したロッドは、表1に示すように結晶化度が0%のアモルファスのロッドであって、鍛造成形前のビレットから作製したロッドの密度よりも高い密度を有し、鍛造成形によって曲げ強度が向上していた。これは、実施例1の場合と同様に、緻密な成形体となったからである。
【0033】
このロッドを用いて実施例1と同じ条件でin vitro試験を行った。ロッドは速やかに分解し、その速度は実施例1のアモルファスPLLAのロッドと比較して非常に速かった。更に、本ロッドの粘度平均分子量は、12週後で1万〜3万程度まで低下していた。従って、生体内では分解がより速くなるので、埋入後1〜2年で完全に吸収される。
【0034】
[実施例3]
粘度平均分子量が40万のL−ラクチドとD−ラクチドとのランダム共重合体(PDLLA)[D/L(モル比)=30/70]を溶融押出して、粘度平均分子量が20万で直径が10mmの円柱状のアモルファスのビレットを得た。
【0035】
このビレットを65℃に加熱して鍛造成形した円柱状の鍛造成形体(変形比:3.0)から、実施例1と同じ直径3.2mm、長さ40mmのロッドを作製し、その曲げ強度と結晶化度と密度を測定した。その結果を下記表1に示す。また鍛造成形する前のビレットから作製した同一寸法のロッドの曲げ強度と結晶化度と密度も表1に示す。
【0036】
実施例3の鍛造成形体から作製したロッドは、表1に示すように結晶化度が0%のアモルファスのロッドであって、鍛造成形前のビレットから作製したロッドの密度よりも高い密度を有し、鍛造成形によって曲げ強度が向上していた。
【0037】
このロッドもin vitroで速やかに分解したが、その速度は実施例2のD/L=50/50のものよりもやや遅い傾向を示した、これは、L−ラクチドの含有率が高いので、ポリマーを構成する分子鎖中のL−ラクチドの連続した分子鎖集合体のドメイン又はクラスターがD/L=50/50のものよりも多く存在し、その部分の分解が比較的ゆっくりとした速度で行われるためと思われる。
【0038】
[実施例4]
粘度平均分子量が20万のL−ラクチドとD−ラクチドとのランダム共重合体(PDLLA)[D/L(モル比)=15/85]を溶融押出し後、急冷して、粘度平均分子量が10万で直径が10mmの円柱状のアモルファスのビレットを得た。
【0039】
このビレットを65℃に加熱して鍛造成形した円柱状の鍛造成形体(変形比:1.6)から、実施例1と同じ直径3.2mm、長さ40mmのロッドを作製し、その曲げ強度と結晶化度と密度を測定した。その結果を下記表1に示す。また鍛造成形する前のビレットから作製した同一寸法のロッドの曲げ強度と結晶化度と密度も表1に示す。
【0040】
実施例4の鍛造成形体から作製したロッドは、表1に示すように、結晶化度が2.0%の本質的にアモルファスのロッドであって、鍛造成形前のビレットから作製したロッドの密度よりも僅かに高い密度を有し、鍛造成形によって曲げ強度が向上した。
【0041】
以上の実施例2〜4の測定結果から、L−ラクチドとD−ラクチドのランダム共重合体の鍛造成形体からなるアモルファスロッドにおいては、L−ラクチドのモル比が多くなるほど、曲げ強度は増加し、加水分解速度は遅くなる傾向が見られる。当然ながら、この傾向はD−ラクチドのモル比が多くなる場合も同様である。しかし、D−ラクチド又はL−ラクチドの比率が80%以上になると、ポリマーに本質的に結晶相が介入する。
【0042】
【表1】
Figure 0003597716
【0043】
[実施例5]
粘度平均分子量が40万で、D/L(モル比)がそれぞれ50/50と30/70であるPDLLA、および、これらのPDLLAに非焼成のハイドロキシアパタイト(HA)を30重量%の割合で均一に分散させたHA/PDLLAコンポジットを使用し、これらをそれぞれ加熱圧縮成形して、粘度平均分子量が20万で直径が8mmの円柱状のアモルファスのビレットを得た。
【0044】
次に、これらのビレットをそれぞれ75℃に加熱して鍛造成形し、直径が4.6の円柱状のアモルファス(結晶化度:0%)の鍛造成形体(変形比:3)を得た。
【0045】
そして、各鍛造成形体から直径3.2mm、長さ40mmのロッドをそれぞれ作製して、各ロッドの曲げ強度を測定した。その結果を下記表2に示す。また、鍛造成形前の各ビレットから作製した同一寸法のロッドの曲げ強度も下記表2に示す。
【0046】
HAを含む各鍛造成形体から作製したロッドはいずれも、表2に示すように曲げ強度が飛躍的に向上した。
【0047】
この鍛造成形体から作製したロッドでそれぞれin vitro試験を行った結果、実施例2又は実施例3と同様に速やかに凡そ1年で分解した。本ロッドは材料中にHAを含むので、ポリマーのみより成る同一形状のロッドと比較してポリマー量が少なくなる。そのため、完全吸収に至るまでの期間は、更に短縮される。加えて、非焼成HAは吸収性のHAであり、骨伝導性を有しているため、PDLLAの分解の進行と共に、HA粒子が連続的に表面化し、骨芽細胞がインプラント材内部に浸入しやすくなるので、骨欠損部の修復も非常に速くなる。
【0048】
【表2】
Figure 0003597716
【0049】
【発明の効果】
本発明のアモルファスの生体内分解吸収性インプラント材は、緻密であるため強度が向上し、強度的な異方性が少ないため、どの方向からの力に対しても破壊し難く、靱性に富むため、衝撃力を受けても割れ・欠けを生じることがなく、加水分解が速いので生体内で比較的短期間のうちに吸収されて消失する等の顕著な効果を奏し、大きい剛性や強度よりも靱性が要求される部位に好ましく適用されるものである。

Claims (7)

  1. 結晶化度が5%未満の鍛造成形されたアモルファス成形体であって、成形前の密度よりも高い密度を有する緻密な成形体から成り、非焼成ハイドロキシアパタイトの粉体が含有されていることを特徴とする生体内分解吸収性インプラント材。
  2. アモルファス成形体が、その分子鎖集合のドメインもしくはクラスターが軸方向の異なる多数の基準軸に沿って配向した多軸配向体となっている請求項1に記載の生体内分解吸収性インプラント材。
  3. アモルファス成形体がL−乳酸とD−乳酸の共重合体、又は、L−ラクチドとD−ラクチドの共重合体で成形されたものである請求項1又は請求項2に記載の生体内分解吸収性インプラント材。
  4. 共重合体がランダム共重合体であって、L−乳酸又はL−ラクチドの占める割合が20〜80モル%である請求項3に記載の生体内分解吸収性インプラント材。
  5. アモルファス成形体がポリL−乳酸又はポリD−乳酸の非晶質の単一重合体で成形されたものである請求項1又は請求項2に記載の生体内分解吸収性インプラント材。
  6. 非焼成ハイドロキシアパタイトを含んだ生体内分解吸収性ポリマーからなる結晶化度が5%未満のアモルファスの溶融成形体を、成形型内へ冷間で圧入充填して鍛造成形することにより、該溶融成形体よりも高密度で緻密な、非焼成ハイドロキシアパタイトを含んだ結晶化度が5%未満のアモルファス成形体から成る生体内分解吸収性インプラント材を得ることを特徴とする、生体内分解吸収性インプラント材の製造方法。
  7. アモルファスの溶融成形体を成形型内へ冷間で圧入充填して鍛造成形した後、更に機械方向を変えて鍛造成形する請求項6に記載の生体内分解吸収性インプラント材の製造方法。
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