JP3597293B2 - 塗装ブース - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、塗装の際に被塗装物を収容する塗装ブースに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、このような塗装ブースとしては、特表昭63−500438号に記載されたものがある。
【0003】
この塗装ブース19は、図6に示すように、壁面が、コンベア2に吊り下げられた被塗装物3を囲む合成樹脂製のフィルム20で形成されている。このフィルム20は、回動自在なローラーに多重に巻かれた状態でコンベア2の両側に沿って複数配置されており、それぞれの自由端が下方に巻き出されて、フレーム10を介して所定形状のブース壁面を形成している。また、巻き出されたフィルム20同士の突き合わせ部分には、適宜の間隔で塗装ガン13が設けられている。そして、この巻き出されたフィルム20は、下方に位置する巻取りローラー21により随時巻き取られる。
【0004】
この塗装ブース19は、色替時に巻取りローラー21によりフィルム20が巻き取られるので、フィルム20に付着した前色の塗料が飛散して塗装ガン13からの塗装と混ざり塗装不良となる、ということがない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この塗装ブース19においては、巻取りローラー21で巻き取ったフィルム20は、巻き取られた状態で表面と表面とが互いにぴったり重なり合うので、塗装後に巻き取られると、塗装の際に裏面に付着した塗料が表面にも付着してしまう。この結果、巻き取られたフィルム20は、表裏両面とも塗料が付着した状態となるため、同色塗装の際に再び塗装ブース19の内面として利用しようとしても、塗装ブース19の外面となる表面に上記巻き取りによって付着した塗料が工場内へ飛散して、粉塵による作業環境と安全衛生の悪化を引き起こすので、結局産業廃棄物として廃棄するしかなく再利用できない、という問題があった。
【0006】
そこで、この発明は、塗装ブースの壁面を形成するフィルムを巻き取っても、フィルムの一方面に付着した塗料が他方面に付着することがないようにして、フィルムを再利用できるようにすることを課題とする。
【0007】
【課題解決するための手段】
上記の課題を解決するために、この発明は、塗装ブースの壁面を、連続する2枚のフィルムを境目部分を芯にして表面同士が重なり合うよう巻き取ったフィルムロールに、その巻取状態を保持するよう巻きぐせを付与して、巻き取った2枚のフィルムが、その自由端を巻きぐせに抗して相反する方向に引っ張ることにより展開可能で、この引っ張り力を解除すると巻きぐせにより巻き戻るようにした巻取式スクリーンで形成した。また、複数の上記フィルムロールを、フィルムが一連となるよう連結し、この連結したフィルムロールに、その巻取状態を保持するよう巻きぐせを付与して、上記一連のフィルムが、その自由端を巻きぐせに抗して相反する方向に引っ張ることにより展開可能で、この引っ張り力を解除すると巻きぐせにより巻き戻るようにした巻取式スクリーンで形成してもよい。なお、ここにいう「壁面」は、スクリーン自体で形成される場合のみならず、スクリーンの外方に更に壁体を設けることにより形成される場合も含まれる。この場合、スクリーンは、塗装ブースの内壁となる。また、「2枚のフィルム」は、1枚のフィルムを折り曲げることによって形成されてもよい。
【0008】
この発明に係る塗装ブースにおいては、壁面を形成する巻取式スクリーンのフィルムが、互いの裏面を重ね合わせるよう巻き取られるので、塗装後にフィルムを巻き取っても、フィルムの一方面に付着した塗料が他方面に付着することがない。このため、フィルムを再び巻き出しても、塗装ブースの外部に塗料が飛散しない。
【0009】
【発明の実施の形態】
この発明に係る塗装ブースの実施の一形態を添付図面に基づいて説明する。
【0010】
図1に示される塗装ブース1は、コンベア2に吊り下げられた被塗装物3を囲む壁面が、巻取式スクリーン4、5で形成されている。
【0011】
この巻取式スクリーン4、5は、図2及び図3に示すように、一枚の合成樹脂製のフィルム2を上下方向の中央部で二ツ折りに折り返すと共に、この折り返し部分を芯にして裏面同士が重なり合うよう巻き取ってフィルムロール7を形成し、このフィルムロール7に、その巻取状態を保持するよう巻きぐせが付与されて、巻き取ったフィルム6が、その上下端をそれぞれ相反する方向に引っ張ることにより展開可能となっている。また、この巻取式スクリーン4、5は、上記引っ張り力を解除すると、巻き出されたフィルム6が巻きぐせにより自動的に巻き戻される。
【0012】
この巻取式スクリーン4、5は、図1に示されるように、コンベア2の両側に位置し、フィルム6が巻き出された状態で、上端部がコンベア2下方のハウジング8の天井面に固定具9を介して取り付けられると共に、フレーム10によって側方へ広げられて、所定形状のブースを形成している。
【0013】
固定具9は、側方へスライド自在になっており、ハウジング8の天井面上を適宜スライドして所定位置で固定される。
【0014】
また、巻取式スクリーン4、5は、下端部にバランスウェイト11、12が取り付けられている。このバランスウェイト11、12は、図1の右側に示すように、巻取式スクリーン4が短い場合はフィルム6を全部巻き出す程の重さのものがよく、図1の左側に示すように、巻取式スクリーン5が長い場合はフィルム6が所定の長さだけ巻き出されるような重さのものがよい。
【0015】
この塗装ブース1は、このような巻取式スクリーン4、5をコンベア2に沿って多数並べることによって壁面が形成されており、巻取式スクリーン4、5のフィルム6の裏面が内面となっている。また、巻取式スクリーン4、5同士の隙間は、図1に示すように、塗装ガン13を挿入するガンスロットになっている。
【0016】
この塗装ガン13は、ガンスロットに沿って上下に移動可能で被塗装物3を効率よく塗装できるようになっている。また、塗装ガン13からの塗料は、バランスウェイト11、12の下方に位置するフィルターベルト14により吸引される。
【0017】
この塗装ブース1においては、コンベア2に吊り下げられて運ばれてきた被塗装物3が塗装ガン13からの塗料により塗装され、この塗装ガン13からの塗料が、塗装ブース1の内面、即ち巻取式スクリーン4、5のフィルム6の裏面に付着する。
【0018】
塗装後にバランスウェイト11、12を持ち上げて、フィルム6を巻き戻しても、巻き戻されたフィルム6は、図3に示すように、裏面同士が互いに重なっているので、フィルム6の裏面の塗料15がフィルム6の表面に付着しない。このため、巻取式スクリーン4、5のフィルム6を再び巻き出しても、フィルム6の表面から塗料15が飛散しない。
【0019】
したがって、この塗料ブース1は、巻取式スクリーン4、5を何回展開しても、塗料15の粉塵により作業環境と安全衛生が悪化する、ということがない。巻取式スクリーン4、5の外方に、ブースのハウジングとして壁面を別途設けた場合には、この別途設けた壁面が塗料15により汚れることがないので、清掃などの手間がかからない。なお、違う色に塗装する場合は、巻取式スクリーン4、5を新しいものに取り換え、前色の塗料が付着した巻取式スクリーン4、5を巻いた状態で保管すればよい。
【0020】
そして、保管した巻取式スクリーン4、5に付着した塗料15と同色の塗装をする際に、この保管しておいた巻取式スクリーン4、5を使用しても、この巻取式スクリーン4、5のフィルム6の表面に塗料15が付着していないので、粉塵等の問題なく巻取式スクリーン4、5のフィルム6の再利用が図れる。
【0021】
また、図4に示すように、巻取式スクリーン4、5を側方へ展開可能となるように配置して、塗装ブース1の壁面を形成すると、塗装ガン13が、ガンスロット16に沿って上下に移動できると共に、フィルム6の巻き出しと巻き戻しによって横方向にも移動できるようになる。なお、フィルム6同士の突き合わせ部分のそれぞれに、柔軟なゴム製等のシールシート17を取りつけてガンスロット16を構成すると、塗装ブース1の密閉度が上がる。
【0022】
この実施の形態では、フィルム6をPET(ポリエチレンテレフタレート)で200μmの厚さに形成し、このフィルム6を金属棒を芯にして巻き付けて、160℃に加熱することにより、巻きぐせが付けてある。
【0023】
また、一枚のフィルム6を二ツ折りにし巻き取ってフィルムロール7が形成されているが、複数のフィルム6を一連に熱融着等で貼り付けるようにし、この一連のフィルムを巻き取るようにしてもよい。
【0024】
さらに、図5に示すように、フィルム6の巻き取りの芯となる部分に芯棒18を取り付けるようにしてもよいし、複数のフィルムロール7を、フィルム6が一連となるよう連結するようにしてもよい。
【0025】
【効果】
この発明に係る塗装ブースは、以上のように構成されていることにより、壁面を形成する巻取式スクリーンのフィルムを巻き取っても、フィルムの両面が取りで汚れないので、巻取式スクリーンを何回展開してもフィルムに付着した塗料が外部に飛散することがなく、作業環境と安全衛生が悪化しない。
【0026】
さらに、この塗装ブースは、色替時に巻取式スクリーンを取り換えることにより混色を防止することができ、前色の塗料が付着した巻取式スクリーンを、その塗料と同色の塗装を行う際に使用しても、ブースの外面となるフィルム面には塗料が付着していないため、粉塵等による環境悪化の問題も発生しない。このため、巻取式スクリーンのフィルムの再利用を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この塗装ブースの実施の一形態を示す正面図
【図2】巻取式スクリーンの実施の一形態を示す斜視図
【図3】巻取式スクリーンの要部拡大図
【図4】この塗装ブースの実施の他形態を示す斜視図
【図5】巻取式スクリーンの実施の他形態を示す側面図
【図6】従来の塗装ブースを示す正面図
【符号の説明】
1 塗装ブース
2 コンベア
3 被塗装物
4、5 巻取式スクリーン
6、20 フィルム
7 フィルムロール
8 ハウジング
9 固定具
10 フレーム
11、12 バランスウェイト
13 塗装ガン
14 フィルターベルト
15 塗料
16 ガンスロット
17 シールシート
18 芯棒
19 従来の塗装ブース
21 巻取りローラー
Claims (3)
- 連続する2枚のフィルムを境目部分を芯にして裏面同士が重なり合うよう巻き取ったフィルムロールに、その巻取状態を保持するよう巻きぐせを付与して、巻き取った2枚のフィルムが、その自由端を巻きぐせに抗して相反する方向に引っ張ることにより展開可能で、この引っ張り力を解除すると巻きぐせにより巻き戻るようにした巻取式スクリーンにより、壁面を形成した塗装ブース。
- 複数のフィルムロールを、フィルムが一連となるよう連結し、この連結したフィルムロールに、その巻取状態を保持するよう巻きぐせを付与して、上記一連のフィルムが、その自由端を巻きぐせに抗して相反する方向に引っ張ることにより展開可能で、この引っ張り力を解除すると巻きぐせにより巻き戻るようにした巻取式スクリーンにより、壁面を形成した塗装ブース。
- 上記フィルムが、PET(ポリエチレンテレフタレート)で形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の塗装ブース。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP5044396A JP3597293B2 (ja) | 1996-03-07 | 1996-03-07 | 塗装ブース |
Applications Claiming Priority (1)
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JP5044396A JP3597293B2 (ja) | 1996-03-07 | 1996-03-07 | 塗装ブース |
Publications (2)
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JPH09239302A JPH09239302A (ja) | 1997-09-16 |
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Family
ID=12859012
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5044396A Expired - Fee Related JP3597293B2 (ja) | 1996-03-07 | 1996-03-07 | 塗装ブース |
Country Status (1)
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1996
- 1996-03-07 JP JP5044396A patent/JP3597293B2/ja not_active Expired - Fee Related
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