JP3596892B6 - 柔組織増大のための注入可能な組成物 - Google Patents

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Description

発明の背景
発明の分野
本発明は主として柔組織増大のために使用される注入可能な組成物に関する。
背景技術
柔組織増大、特に豊胸整形のための注入可能な組成物を開発しようとする試みが多年にわたってなされてきた。近来、豊胸整形では外科的に移植可能な胸部人工補整物に重きが置かれているが、注入可能な組成物は外科的操作を回避できるという非常に大きな利点がある。
豊胸整形用の注入可能な組成物をつくる初期の従来の試みにはシリコーンゲルを使用するものがあった。しかしながら、皮下注入されたシリコーンは周囲の組織に移動する傾向があり、とりわけ、肉芽腫をひき起こすという問題がある。このため、注入可能な液状ゲルはもはや使用されていない。
このあとに選択された組成物は注入可能なコラーゲン懸濁物であった。しかしながら、天然コラーゲンは非常に再吸収され易い。したがって、注入後短時間で消失することのない柔組織増大を達成するためにはコラーゲンをグルタールアルデヒドのごとき剤と架橋結合させる必要があることがわかった。架橋結合により再吸収は阻止される。しかし最近、グルタールアルデヒドで架橋結合されたコラーゲンの使用自体が非難されるようになった。
発明の要約
本発明は上記した従来技術が直面している問題を、相当量のエラスチンと非架橋コラーゲンを含有している注入可能な組成物を使用することによって克服しようとするものである。エラスチンはコラーゲンよりも再吸収される傾向がはるかに低い。しかも、エラスチンは繊維芽細胞を引きつけ、この繊維芽細胞が新しい本来の結合組織をつくると考えられる。すなわち、本発明による組成物が皮下注射により柔組織内に注入されると、注入されたコラーゲンが再吸収されるにつれて、新らしい本来の結合組織が産生され、最終的には安定状態に到達する。
エラスチンの使用によるいま1つの利点は、懸濁物の形ではエラスチンはコラーゲンより低粘度であり、したがってコラーゲンよりはるかに流動性がよい。このエラスチンの特性はコラーゲンを単独で使用した場合よりも高い固形分濃度の組成物を容易に注入することを可能にする。
すでに記載したように、本発明の組成物の用途の1つは豊胸整形のための使用である。いま1つの美容的用途は主として顔や首まわりの皺をとるための皮膚インプラントとしての使用である。さらに、医学的用途もある。たとえば、本発明の組成物は尿失禁に対する処置に関連して使用することができる。すなわち、この場合、本発明による組成物は尿道括約筋の領域内に注入される。
本発明の組成物のその他の想定される用途は、たとえば、ウオノメの下の荷重支持組織の増大、さらには一般的および特定的形状修整、たとえば、鼻の整形あるいはウイルス性あばたやにきび痕の修整などである。荷重支持組織増大のためには本発明の組成物がその荷重支持組織たとえばウオノメと荷重を加える媒体たとえば骨との間に注入されることになろう。皮膚の形状欠陥たとえばウイルス感染によるあばた痕またはにきび痕を修整するためには本発明の組成物がその欠陥部位の下の柔組織内に注入されることになろう。同様に鼻の整形のためには、その鼻の柔組織内に本発明の組成物を注入するのである。
コラーゲンは上記した用途に以前から使用されたいたが、それは通常架橋結合された形であった。しかしながら、架橋結合されたコラーゲンであっても、それが再吸収されるまでの時間は短く、特に繰り返し注入された後では許容しがたいほどに短くなる。実際に、適当な増大が達成されるまでに架橋されたコラーゲンを短時間の間に数回繰り返さなければならない場合が多い。加えて、グルタールアルデヒドで架橋結合されたコラーゲンは患者によっては組織反応を起こしやすく、グルタールアルデヒドで架橋結合されたコラーゲンの使用に関しては潜在的免疫学的問題の心配もある。グルタールアルデヒドのごとき架橋剤が毒性であることは公知であり、グルタールアルデヒドを含有する組成物を繰り返し注入することにより免疫反応が次第にひどくなり、再吸収が段々と早くなるおそれがある。他方、本発明の組成物は再吸収時間がはるかに長くかつまた重大な免疫学的反応または組織反応の問題を生じることはないと思われる。
詳細な説明
項靭帯(ligamentum nuchae)がほとんどエラスチンからなり、比較的少量のコラーゲンが含まれているにすぎないことは良く知られている。実際に、この靭帯の乾燥重量の70%以上がエラスチンである。エラスチン含有率が比較的高くコラーゲン含有率が低いので、この靭帯は本発明による注入可能な組成物の製造に使用するための理想的出発物質である。
本発明による好ましい注入可能な組成物を製造するためには、米国特許第5028695号明細書に教示されている操作法と同様な方法を使用して項靭帯を洗浄する(その開示内容は本明細書によって参照されている)。一般的には、最初に血と付着組織を洗い落とす。次に、化学処理によって非エラスチン成分と非コラーゲン成分を除去する。化学処理は通常最初に靭帯を強アルカリ性溶液で処理し、次に酸で処理し、その後中和剤で処理する工程を含む。アルカリ処理は所望により数回くり返すことができる。化学処理の後、エラスチン繊維を分離するため機械的仕上げ操作を行う。分離された繊維を適当な生体親和性キャリヤー、たとえば水とグリセリンの混合物に懸濁する。
好ましい出発物質は項靭帯であるけれども、他の靭帯および腱も使用できる。たとえば、腹膜、腹腔内網および他の動物膜、特にエラスチンをかなりの量含有しているもの、などが使用できる。さにまた、異なる源から得たエラスチンとコラーゲンを混ぜ合わせて特定の用途にとって有利と思われる任意の混合割合を有するミックスを製造することもできる。しかしながら、本組成物はエラスチンを最少限約10%(乾燥重量)含有すべきであり、エラスチンを90%あるいはそれ以上含有することができる。
前記したように、架橋剤をまったく使用しないことが好ましいと考えられるが、架橋剤が許容される用途あるいはそれが望ましくさえあるような用途も存在するであろう。このような場合、使用される架橋剤はコラーゲンと強い安定な結合をつくり、架橋剤が外へ出ずまた架橋結合されたコラーゲンが非細胞毒性でありかつ免疫反応または細胞反応を起こさないものであるべきである。このような架橋剤を例示すればヘキサメチレンジイソシアネート、いくつかのポリエポキシ化合物、たとえば、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、いくつかの水溶性カルボジイミド、たとえば、N−ヒドロキシスクシンイミドの存在下での1−エチル−3[3−ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド・HClなどである。
実施例
ウシの項靭帯約10Kgを約40リットルの水道水に入れ室温で一晩浸漬して付着した血および他の水溶性成分を除去する。この浸漬では多少なりとも自然水和が起こり、この水和は次の化学処理にとって好都合であると思われる。
最初の浸漬後、靭帯を水道水で2回それぞれ約10分間洗う。このあと、その靭帯を水酸化ナトリウム(NaOH)の4%(w/w)水道水溶液50リットルに入れる。この強アルカリ性浸漬液中に室温で48時間放置する。
このアルカリ浸漬後、靭帯を3回各10分間50リットルの水道水で洗い、次に第2のアルカリ浸漬にかける。すなわち、水道水中NaOHの2%(w/w)溶液に入れて室温で72時間浸漬する。この浸漬後、さらに3回水道水で洗って溶解成分を除去する。
上記の第2のアルカリ浸漬と洗浄を行った後、靭帯を塩酸(HCl)の溶液に入れて約4時間浸漬を行う。この浸漬のためのHCl溶液は濃(37%)HCl4リットルを36リットルの水道水と混合してつくる。酸浸漬し靭帯は洗浄水のpHが約2.5乃至3になるまで水道水で洗う。
この時点で、靭帯を炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)浸漬液に入れて残った酸を中和する。このNaHCO3浸漬液は水道水50リットルにNaHCO3350gを加えてつくる。この中和浴に靭帯を一晩放置した後、靭帯を再び水道水で洗って生じた塩を除去する。洗浄は洗液を硝酸銀(AgNO3)と混合して沈殿が生じなくなるまで続ける。
次に、コロイドミルを使用して上記により得られた天然コラーゲン/エラスチンマトリックスを破壊しエラスチン繊維を分離する。このあと、アセトン抽出を行って水を除去し、得られた繊維を約75℃の炉に入れて空気乾燥する。
最後に、乾燥した繊維150gを水1リットルとグリセリン1リットルとからなる水/グリセリン混合物2リットルに懸濁する。この懸濁物はこのあと本発明に従って使用できる。
本発明による組成物中のコラーゲンは注入後の最初の段階において刺激剤として働くと考えられる。コラーゲンは多少の温和な組織反応を生じさせそして脈管活性を高める。もちろん、これによって再吸収が起きるが、しかしその過程で、エラスチンに親和性を持つと思われる繊維芽細胞が注入された組成物の中に侵入してエラスチン繊維に付着する。その結果、これら繊維芽細胞が新しい天然の結合組織マトリックスを造成する。結局注入されたコラーゲンが再吸収されてしまって、残るのはすべて新生された結合組織の構造の中の注入エラスチンとなる。
当技術分野に通常の知識を有する者にとっては明らかなように、ここに記載した本発明の精神から逸脱することなく上記の特定の記載に関しては種々の修正、変更、置換が可能である。したがって、そのようなすべての実施態様も請求の範囲に記載した本発明の範囲内にあるものと見なされるべきである。

Claims (17)

  1. エラスチンおよびコラーゲンと生体親和性キャリヤーとからなる柔組織増大のための注入可能な移植組成物であって、前記エラスチンおよびコラーゲンは天然のコラーゲン/エラスチンマトリックスを破壊して分離したものである、注入可能な組成物。
  2. 前記エラスチンの含有量が、前記エラスチンおよびコラーゲンの合計乾燥重量の少なくとも10重量%である請求項1に記載の組成物。
  3. 前記エラスチンの含有量が、前記エラスチンおよびコラーゲンの合計乾燥重量の少なくとも50重量%である請求項1に記載の組成物。
  4. 前記エラスチンの含有量が、前記エラスチンおよびコラーゲンの合計乾燥重量の少なくとも70重量%である請求項1に記載の組成物。
  5. 前記エラスチンおよびコラーゲンが、その少なくとも一部分において異なる組織源から誘導されたものである請求項1に記載の組成物。
  6. 前記コラーゲンおよびエラスチンが、非コラーゲン質および非エラスチン質蛋白質を除去するための処理がなされているものである請求項1に記載の組成物。
  7. 前記コラーゲンが架橋されていないものである請求項1に記載の組成物。
  8. 前記コラーゲンが、ヘキサメチレンジイソシアナート、ポリエポキシおよび水溶性カルボジイミドからなる群より選ばれた化合物によって架橋されているものである請求項1に記載の組成物。
  9. 非コラーゲン質および非エラスチン質蛋白質を除去しかつ天然のコラーゲン/エラスチンマトリックスを破壊するための処理がなされている、項靭帯から誘導されたものである柔組織増大のための注入可能な移植組成物。
  10. 尿道括約筋の領域に注入されるものである尿失禁の処置のための請求項1に記載の組成物。
  11. 乳房に注入されるものである乳房増大のための請求項1に記載の組成物。
  12. 顔の中または周囲の柔組織内に注入されるものである皺の美容処理のための請求項1に記載の組成物。
  13. 荷重支持組織と荷重を加える媒体との間に注入されるものである荷重支持組織の増大のための請求項1に記載の組成物。
  14. にきび痕またはウイルス性あばた痕の下部柔組織内に注入されるものである、にきび痕またはウイルス性あばた痕の処理のための請求項1に記載の組成物。
  15. 鼻の柔組織内に注入されるものである鼻の輪郭を変えるための請求項1に記載の組成物。
  16. 水中で項靭帯を洗浄する工程、
    該洗浄した項靭帯を強アルカリ溶液で処理する工程、
    該処理した項靭帯を酸で処理する工程、
    該酸処理した項靭帯を塩基で処理して酸を中和する工程、
    該中和した項靭帯を機械的に加工してエラスチン繊維を分離する工程、および
    該分離により得られたコラーゲン繊維およびエラスチン繊維の少なくとも一部を適当なキャリヤーに懸濁する工程
    からなることを特徴とする、柔組織増大のための、注入可能な、天然のコラーゲン/エラスチンマトリックスが破壊されている移植組成物を製造する方法。
  17. 動物の靭帯、腱および膜からなる群より組織出発物材料を選択する工程、
    該組織を水中で洗浄する工程、
    該洗浄した組織を強アルカリ溶液で処理する工程、
    該処理した組織を酸で処理する工程、
    該酸処理した組織を塩基で処理して酸を中和する工程、
    該中和した組織を機械的に加工してエラスチン繊維を分離する工程、および
    該エラスチン繊維の少なくとも一部を適当なキャリヤーに懸濁する工程
    からなることを特徴とする、柔組織増大のための、注入可能な、天然のコラーゲン/エラスチンマトリックスが破壊されている移植組成物を製造する方法。
JP1995508822A 1993-09-07 1994-09-07 柔組織増大のための注入可能な組成物 Expired - Fee Related JP3596892B6 (ja)

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