JP3596376B2 - 成形性および焼入れ性に優れた熱延鋼板の製造方法 - Google Patents

成形性および焼入れ性に優れた熱延鋼板の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の車体構造部材等の素材に用いられる成形性および焼入れ性に優れた熱延鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の衝突事故の際の車体破壊のデータが公開され、それが車の売れ行きを支配するなど、搭乗者の安全確保に対するニーズは年々高まってきており、法的規制も厳しくなる傾向にある。自動車の車体は、いわゆるクラッシャブルボディー構造が採用され、衝突に際し一部が適度に変形して衝撃を吸収する一方、車室は高強度の構造とし車内の搭乗者を守るように設計される。すなわち、車体の部位により高強度が要求される。このため、必要部分に板厚の厚い成形品を用いる、補強材を取り付ける、あるいは高強度鋼板を用いて成形する等の対策がとられている。
【0003】
しかし、板厚を厚くすることは重量増加につながり、燃費改善ないしは省エネルギーの要求とは相反する。補強にはリブ材のスポット溶接や衝撃吸収用の部品を組み込むが、これも車体重量を増すことになる。実際には車両のドア内部に、鋼管で作った焼入れ強化した補強材を組み込むことが広く採用されている。また、高強度鋼板はプレス成形性が劣るため複雑なプレス加工が困難である。その上、加工による残留応力は強度が高くなるほど増加し、遅れ破壊の危険が増してくるので、鋼板強度を増大させることには限界がある。
【0004】
車体構造の補強に、強化が必要な車体の特定部所に適用する鋼板成形部品の板厚を増したり、高強度鋼板を使用したりせず、その所望部分を局所的に高周波加熱して焼入れ処理し、強度を向上させる方法の発明が特開平6−116630号公報に開示されている。プレス成形後に焼入れして強化するのであれば、高強度鋼板を成形する場合のような、複雑な形状の成形の困難さや成形後の大きな残留応力の問題は排除できる。しかしながら、上記公報には高周波焼入れの方法は示されているが、適用する鋼板の種類については全く記載がない。鋼板によっては焼入れによる強度上昇を示さないものもあり、ことにプレス成形性の良好な鋼板ほど焼入れ強化は期待できない。
【0005】
また、特開平10−17933号公報には、車体のプレス成形部品に要請される強度分布を得るのに、その強度分布に対応した硬度を局所的高周波焼入れによって変化させる方法の発明が開示されている。その適用例として、車体側面の前席と後席との間に配置される、センターピラーとも呼ばれる支柱を取り上げている。衝突時に予想される支柱の荷重分布は、長さ方向の中央部が最も大きく、衝突荷重に対応するため、従来の方法では支柱全体の板厚を増すか、中央部に補強材を重ねて溶接する必要があった。これに対し、上記方法では長さ方向の中央部を高周波焼入れして強化することによって、不必要な部分まで板厚を増すことがなくなり、補強材も不要となって軽量化がはかれるというものである。この場合、支柱成形用の素材鋼板は、C含有量が0.05〜0.25%のものが適用でき、JIS規格のSAPH370〜SAPH440、あるいはSPFC370〜SPFC440などの鋼板がよいとされている。
【0006】
しかし、これらの規格の鋼板は、強度や伸びなど素材としての鋼板の機械的特性は保証されているが、焼入れ性や焼入れ後の強度などは全く不明である。
【0007】
車体構造部材ではないが、側面衝突に対する車室内部保護用にドア内部に組み込まれる補強材として、焼入れして所要強度とした鋼管を加工した部品が広く採用されている。これらの多くは鋼板から作られた電縫鋼管の管端をドア内部への取り付けに適した状態に加工し、高周波焼入れして製造される。
【0008】
例えば、特開平4−52249号公報には、C:0.10〜0.20%、Mn:0.2〜1.50%、Si:0.05〜0.50%、Al:0.01〜0.10%、Ti:0.01〜0.10%およびB:0.0005〜0.010%を含有する鋼板による電縫鋼管を高周波焼入れした引張強さが1275MPa(130kgf/mm2)以上の自動車補強材の発明が開示されている。このような鋼による鋼板を車体構造部材に用いれば、上記のような高周波焼入れによる局部的な強度向上が可能と思われるが、電縫鋼管のような単純な曲げ加工は可能であっても、車体構造のような複雑なプレス成形には適用が困難であると考えられる。
【0009】
焼入れ、焼戻し処理を施して使用する鋼板としては、JIS−G3311の磨き帯鋼がある。この場合、合金鋼を除く最も炭素量の低い鋼でもC:0.27〜0.33%、Si:0.15〜0.35%、Mn:0.60〜0.90%であり、C、SiおよびMnのいずれの含有量も高く、これでは焼入れにより十分な強度は得られても、焼鈍された素材鋼板としての加工性は悪く、到底必要とするプレス加工性は得られない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、車体構造用部品などに適用できる十分な成形性を有し、かつ成形後の焼入れによって容易に高強度化できる熱延鋼板の製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、成形加工後、焼入れ処理をおこなうことにより、部材の形状や適用素材の強度を大幅に変更することなく、自動車車体の構造を強化することのできる薄鋼板を開発するため、種々実験、検討した。その結果以下の知見を得るに至った。
【0012】
a)車体構造強化に必要とする強度は、鋼としての性能や経済性を配慮すれば785〜1765MPa(80〜180kgf/mm)程度であり、十分な焼入れが可能な成分設計をおこなえば、炭素含有量0.05〜0.2%の低C鋼で実現でき、加工性確保も容易となる。
【0013】
b)焼入れ性を向上させるために、CrやSiのような焼入れ性向上元素を使用するのは好ましくない。自動車用の薄鋼板としては、防食のため、めっき性や塗装下地の化成処理性が良好でなければならないが、これらを阻害するからである。また、コストの低減が厳しく要求されるので、高価な添加元素も避けるべきである。
【0014】
c)一般に焼入れ性向上元素は、添加量を増すと鋼を硬くし、加工性を低下させるので、焼入れ性向上元素の含有量はできるだけ低くすべきである。
【0015】
d)焼入れ性向上元素として、MnとBを有効活用するのが最良である。Mnは、焼入れ性を大きく向上させる効果があり、しかも安価で、めっき性や化成処理性に及ぼす影響が小さい。しかし、含有量が多量になると加工性が悪くなり、鋼としての耐食性が劣化する傾向にあるので、添加量には限界がある。これを補うため、Bを併用するのがよい。
【0016】
e)Bの効果は微量の添加で発揮されるので、鋼の他の一般的な性質にほとんど影響を及ぼすことなく、鋼の焼入れ性を大幅に向上させることができる。
【0017】
f)ただし、B添加により焼入れ性を向上させるには、微量添加したBを固溶状態にしておく必要があるので、従来はBは酸化されやすいことから鋼は十分に脱酸をおこない、Bと結合しやすいNはTi添加により固定していた。ところが、BとTiを複合して含有させた鋼は加工性が不良となり、自動車部品用としては適していない。その原因は、Nを固定するために添加したTiにある。
【0018】
g)すなわち、十分にNを固定するため、従来は鋼中のNがすべてTiNになる以上のTiを含有させていたが、この過剰のTiがTiCとなって鋼中に析出し、これが伸びを著しく劣化させている。
【0019】
h)TiCの析出を防止し、加工性を確保するためには、Ti含有量をN含有量の3.4倍以下にすればよいが、Tiにて固定されなかったNがBNを形成して固溶B量が低下するため、熱延のままでは焼入れ後に十分な強度が得られない場合が多い。
【0020】
i)しかし、熱延板に焼鈍を施すことにより、焼入れ性を飛躍的に向上させることができる。その理由は、熱延板に析出したBNが焼鈍中に分解し、冷却後にNはより安定なAlNとして再析出してBは固溶状態で残るためと考えられる。
【0021】
j)ただし、AlNを析出させるためには、Nに対して十分な量のAlを含有させなければならず、sol.Al量をN含有量の9.6倍以上とする必要がある。
【0022】
本発明は、上記の知見に基づき、なされたもので、その要旨は次のとおりである。
【0023】
質量%で、C:0.05〜0.2%、Si:0.1%以下、Mn:0.8〜2%、P:0.02%以下、S:0.02%以下、N:0.005%以下、B:0.0003〜0.004%、 sol.Al:0.01〜0.1%で、かつ9.6×N(%)以上、およびTi:3.4×N(%)以下を含み、残部鉄および不可避的不純物よりなる鋼スラブを熱間圧延し、480℃以上の温度で巻き取って熱延コイルとした後、500℃以上の温度で焼鈍する成形性および焼入れ性に優れた熱延鋼板の製造方法。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係わる鋼の化学組成および製造条件を限定した理由を説明する。なお、化学組成の%表示はすべて質量%を示す。
【0025】
1)化学組成
C:
Cは、焼入れ後の鋼の強度を決定するために重要な元素である。C含有量が0.05%未満では、十分な焼入れをおこなっても車体強度強化に必要な強度が得られない。また、含有量が0.2%を超えるとプレス成形性が不十分となる。したがって、C含有量は0.05〜0.2%とした。より好ましくは、0.05%以上0.1%未満である。
【0026】
Si:
Siは0.1%以下とする。Siは一般的には鋼の脱酸に用いられ、強度の上昇、焼入れ性向上の効果がある。しかし、Bを添加する場合はSiによる脱酸では不十分であり、本発明ではより強力な脱酸作用のあるAlを用いるため、特に必要としない。自動車車体に用いる薄鋼板の場合、めっきや塗装がおこなわれるが、Siの存在は鋼表面のめっき性や塗装下地の化成処理性を悪くするので、その含有量はできるだけ少ない方が好ましい。そこで、ほとんど影響を及ぼさない範囲として、0.1%以下としたが、望ましいのは0.04%以下、さらに望ましいのは0.01%以下である。
【0027】
Mn:
Mnの含有量は、0.8〜2%とする。本発明において、Mnは鋼の焼入れ性を確保するために重要な元素である。0.8%未満では焼入れ性が不足し、十分な強度が得られなくなるおそれがある。一方、2%を超えて含有させると、伸びの低下など鋼の加工性を悪くし、その上、鋼自体発錆しやすくなって耐食性が悪くなる。好ましいのは0.8〜1.5%である。
【0028】
P:
Pは、鋼の不可避的不純物の一つであり、焼入れ後の鋼の靱性を悪くするので、その含有量は少なければ少ないほどよい。顕著な悪影響を及ぼさない範囲として、0.02%以下に限定したが、好ましいのは0.005%以下である。
【0029】
S:
Sも不可避的不純物の一つであり、鋼の加工性および靱性を劣化させるので、その含有量は少なければ少ないほどよい。Pと同様、顕著な悪影響を及ぼさない範囲として、0.02%以下に限定したが、好ましいのは0.005%以下である。
【0030】
N:
Nは、0.005%以下とする。NはBと結合して、Bの焼入れ性向上効果を阻害する。このNの悪影響を抑止するため、TiやAlと結合させて無害化するが、結果としてできたTiNやAlNなどの微細析出物は、鋼の加工性を悪くするのでNの含有量は少なければ少ないほど好ましい。目立った影響を示さない範囲としてNの含有量は0.005%以下とした。
【0031】
B:
Bの含有量は、0.0003〜0.004%とする。Bは焼入れ性を著しく向上させ、ことに本発明のようにCの含有量を低くした場合ほどその効果が大きい。その焼入れ性向上効果は、含有量に依存せずほぼ一定であるが、0.0003%を下回る場合はその効果は十分に現出されない。また、含有量が多くなると鋼を脆化させるので、多くても0.004%までとした。
【0032】
sol.Al:
sol.Al(酸可溶Al)の含有量は0.01〜0.1%とする。Alは、製鋼時に溶鋼の脱酸を主目的として添加する。脱酸処理により鋼中に残存するsol.Alは、0.01%を下回る場合には脱酸不十分で、酸化により固溶Bが残らないおそれがある。本発明の場合には、さらにNの十分な固定のためにも少なくとも0.01%以上のsol.Alの含有が必要である。しかし、多く含有させてもその効果が飽和し、無意味な添加によりコストを増すだけなので、上限を0.1%とした。
【0033】
sol.Al(%)≧9.6×N(%)・
Bを添加する効果がNによって阻害されるのを抑止するために、Alは十分に含有させる。そのため、下記式(1)を満足するsol.Alを含有させる必要がある。この式は、鋼中のNをすべてAlNとするのに必要なAlの化学当量に対し、5倍以上の量のsol.Alを含有させることを意味する。
【0034】
sol.Al(%)≧9.6×N(%)・・・(1)
このようにNに対し十分な量のAlを含有させることにより、Nを無害化させることができる。
【0035】
Ti:
Tiは、必要により含有させる元素で、含有させる場合は、
Ti(%)≦3.4×N(%)・・・(2)
を満足する量とした。TiはNの固定に極めて効果的であり、一般にBを添加する場合、Nの固定を目的に添加される。本発明の場合、Tiを添加しなくても、Alの含有量が前記式(1)を満足する範囲であればNは固定される。しかしながら、Nを確実に固定し、Bの効果をより発揮させるためには、少量のTiの添加が好ましい。ただし、多く添加すると加工性が劣化し、この加工性の劣化はTiCの形成によると考えられるので、Tiの含有量はTiCを形成しない範囲にとどめること、すなわち上記式(2)を満足する範囲内とした。また、加工性劣化の点ではTiNも多くなれば影響してくるので、Tiの含有量は(2)式の範囲内であっても、0.01%以下とするのが好ましい。なお、Nを固定する目的で含有させる場合は、少なくとも0.002%以上含有させることが望ましい。
【0036】
2)製造方法
上記化学組成の鋼を溶製してスラブとし、それを熱間圧延する工程やその条件については通常通りでよく、特には規制する必要はない。しかし、熱間圧延後の巻取温度は480℃以上とする必要がある。480℃未満での巻取りは、巻取温度までの冷却により焼入れされることがあり、鋼板が著しく硬化するからである。なお、巻取温度を高くすると冷却むらが生じやすくなり、コイル全長にわたる特性の均一性が確保され難くなるため、600℃未満で巻き取ることが望ましい。
【0037】
熱延鋼板に焼鈍を施すのは、焼入れ性を向上させるためである。焼鈍により焼入れ性が向上するのは、焼入れ性向上に有効な固溶Bの量が、熱延ままでは不足しているが熱延鋼板の焼鈍により増加するためと考えられる。
【0038】
Tiによって固定できなかった鋼中のNは、温度が低下してくると、AlやBが存在すればAlNやBNなどの析出物を形成してくる。ただし、この二つの元素が共存する場合、Bは鋼中での拡散速度がAlよりもはるかに大きいので、圧延後の冷却過程で主としてBNが形成され、熱延板中の固溶B量が少なくなる。ところが、BNよりもAlNの方がより安定なので、十分にAlが存在する場合には、熱延板の焼鈍をおこなうと、BNは分解してすべてAlNとなって析出し、Bが固溶状態になり、その結果として焼入れ性が向上するものと推察している。
【0039】
焼鈍温度が500℃未満ではBNが分解しAlNが形成されるのに時間がかかりすぎ、生産性が損なわれるから焼鈍温度は500℃以上とした。望ましいのは、700℃以上である。また、上限は850℃とするのが好ましい。
【0040】
【実施例】
実験用真空溶解炉を用い、表1に示す組成の鋼を溶製した。鋼組成としては、C:0.12%、Mn:1.5%、sol.Al:0.045%、N:0.003%、Ti:0.005%、B:0.0006%を目標基準組成とし、Mn、Ti、B、AlおよびNの含有量の影響を求めるため、それぞれの含有量について変化させ、その他の成分はできるだけ一定とした。
【0041】
【表1】
Figure 0003596376
【0042】
これらの鋳塊を鍛造して20mm厚の熱間圧延用スラブとし、1200℃に加熱後、1150℃から900℃に至る温度範囲内で、熱間圧延をおこなって4mm厚に仕上げ、強制空冷あるいは水スプレーによるホットストリップミルを想定した冷却条件で550℃あるいは580℃まで冷却し、直ちに得られた鋼板をそれぞれ550℃あるいは580℃に保持した炉に投入して、巻取り後のコイルを想定した条件にて冷却した。
【0043】
得られた熱延鋼板から、厚さ1.2mm、幅90mm、長さ240mmの試験片を採取し、そのまま、あるいは、700℃で20時間の熱延板焼鈍を施した後、出力200kW、周波数150kHzの高周波焼入れ装置により、加熱温度950℃、2秒間保持後水冷の条件にて焼入れ処理をおこなった。その後、JIS5号引張試験片に成形して試験に供した。
【0044】
熱延したままの鋼板および熱延板焼鈍を施した後の試験結果を表2に示す。
【0045】
【表2】
Figure 0003596376
【0046】
表2から明らかなように、試番1〜4に示されているように、Mn含有量の増加とともに、焼入れ前の素材の状態では伸びが低下し加工性が悪くなるが、焼入れ後の強度は上昇する。本発明で規定する範囲内であれれば、加工前の伸びは十分大きく、焼入れ後の強度も大きいことがわかる。
【0047】
Ti含有量の、焼入れ前の鋼板の伸びに及ぼす影響については、試番5〜9の結果からわかるように、Ti量が増すにつれて伸びが低下して加工性が悪くなっている。
【0048】
図1は、試験結果に基づく、Ti(%)/N(%)と熱延板焼鈍を施した熱延鋼板の焼入れ前の伸びとの関係を示す図である。
【0049】
図1から、Ti(%)/N(%)が3.4以上、すなわちTiがすべてTiNになってしまう量より過剰のTiが含有されていると伸びが悪くなることがわかる。
【0050】
Bの影響は、試番10〜12にて見られるが、0.0003%を下回ると十分な強度が得られず、焼入れ性は不足となる。
【0051】
図2は、試験結果に基づく、Al(%)/N(%)と焼入れ後の引張強さの関係を示す図で、Al量とN量を変えた試番13〜20の結果と、Mn、TiおよびBなどの量がほぼ同一である試片による結果とを合わせた図である。
【0052】
図2から、AlとNの原子量比は1.93であるが、この原子量比の5倍、すなわちAl(%)/N(%)にて9.6を下回る場合、引張強さが低く、焼入れ性不十分となっていることが分かる。
【0053】
また、表2から明らかなように、試番25〜32は鋼の化学組成は本発明の範囲内であるが、熱延板焼鈍が施されていないために、焼入れ後の強度が不十分である。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、プレス成形などの加工に適用できる十分な成形性を有し、かつ成形後の焼入れによって、容易に高強度化できる熱延鋼板を得ることができる。この熱延鋼板を例えば自動車の車体構造に活用することにより、車室構造をより強度が高く、しかも軽量にすることが可能である。これは、自動車の衝突事故の際の搭乗者の安全性を高め、かつ自動車の軽量化による省エネルギーなど、社会的要求に合致するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼のTi含有量とN含有量との比と、鋼板の伸びとの関係を示す図である。
【図2】鋼のAl含有量とN含有量との比と、高周波焼入れ後のその鋼板の引張強さとの関係を示す図である。

Claims (1)

  1. 質量%で、C:0.05〜0.2%、Si:0.1%以下、Mn:0.8〜2%、P:0.02%以下、S:0.02%以下、N:0.005%以下、B:0.0003〜0.004%、 sol.Al:0.01〜0.1%で、かつ9.6×N(%)以上、およびTi:3.4×N(%)以下を含み、残部鉄および不可避的不純物よりなる鋼スラブを熱間圧延し、480℃以上の温度で巻き取って熱延コイルとした後、500℃以上の温度で焼鈍することを特徴とする成形性および焼入れ性に優れた熱延鋼板の製造方法。
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