JP3596150B2 - フィルター及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィルターに関するものであって、特に液体濾過に好適なフィルターに関するものである。
【0011】
【従来の技術】
液体濾過用フィルターとして、カートリッジフィルターがあるが、その中には繊維を用いたものがあり、一般的には紡績糸、または、カード法、エアーレイド法、ニードルパンチ法、メルトブロー法、スパンボンド法などにより形成された不織布が円筒状に巻かれており、さまざまな産業分野で広く使用されている。例としては、多孔管に紡績糸や紡毛糸を巻き付けたタイプのもの(実開昭61−12922号公報)や、多孔管にメルトブローにより製造した不織布を巻き付けたタイプのもの(特公平1−297113号公報)、あるいはカード機により熱接着性複合繊維を不織布にして円筒状に巻き上げ成形したもの(特公昭53−43709号公報)等が挙げられる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記に示されるフィルターは、一定の繊維径や繊維密度では濾過ライフが短いために、外層側の空隙率を大きくすることで、大きい粒子を外層側で捕集し、細かい粒子を内層側で捕集するようにして、フィルターの濾過ライフを延長させるようにしているが、孔径の細かい層が目詰まりし易く、濾過ライフが短いという問題があり、改善が望まれていた。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意研究を重ねた結果、以下の構成をとることにより、所期の目的が達成される見通しを得て、本発明を完成するに至った。
本発明は以下の構成を有する。
(1) 熱可塑性繊維を含む不織繊維集合体が積層された濾過層からなるフィルターにおいて、該不織繊維集合体の繊維接合点が融着接合され、かつ各層片面または両面が通水可能な凹凸部を有することを特徴とするフィルター。
(2) 濾過層の密度が、内層よりも外層が粗構造である(1)項に記載のフィルター。
(3) 凹凸部の数が、濾過体層の内層から外層につれて多くなる(1)項に記載のフィルター。
(4) 凹凸部の大きさが、濾過体層の内層より外層の方が大きい(1)項に記載のフィルター。
(5) 熱可塑性繊維が、ポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維の群から選ばれた少なくとも1種である(1)項に記載のフィルター。
(6) 熱可塑性繊維が、融点差10℃以上の高融点成分と低融点成分で形成される熱可塑性複合繊維である(1)項に記載のフィルター。
(7) 熱可塑性繊維が、メルトブロー法で得られた繊維である(1)項に記載のフィルター。
(8) 不織繊維集合体が、熱可塑性繊維と他の繊維の混繊および/または混綿である(1)項に記載のフィルター。
(9) 熱融着性繊維を含有する表面が凹凸のある不織繊維集合体を円筒状の物体に捲回させた後、それを加熱し、熱融着性繊維を融着させることを特徴とする中空で円筒状のフィルターの製造方法。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、フィルターに使用される不織繊維集合体の片面または両面に通水可能な凹凸部を形成させ、この不織繊維集合体を複数層巻回したり、積層したり、ひだ折り加工することで濾過面積増加による捕集量の向上と濾過ライフの延命を狙いとしたフィルターを特徴としている。つまり、本発明のフィルターは凹凸部が形成されていることで、各層における不織繊維集合体の表面積が増加し、また、各層間に空間が形成されることで、各層が面で接しているフィルターより捕集される粒子量が増加するという作用効果の特徴を持っている。これらの作用効果により、濾過層に平担な不織繊維集合体を用いた通常のフィルターに対して、凹凸部を有することで同じ濾過精度を保ちながら、優れたロングライフを実現するものである。
【0015】
本発明における不織繊維集合体とは熱融着性繊維を含み、これを熱融着させることにより繊維の交点が接着している不織布状態のものである。接着強度を向上させるために必要によりバインダーを添加することもできる。
本発明における凹凸部とは、不織繊維集合体を構成している繊維が、不織繊維集合体の片面若しくは両面上に凹面、凸面若しくは両者を形成しているものであり、凹凸部は他の部分と同様に通水性を有するものである。凸部の形状は、例えば図1〜4に示すような半球形、円錐形、三角錐形、四角錐形などを挙げることができるが、これらの形状に限定されるものではない。これらのものでは半球形若しくは円錐形のものが好ましく、半球形のものがより好ましい。凸面先端部は鋭角、曲面、平面の形状をとることができ、斜面については直線的でも凸の曲率、凹の曲率をもつ面でもかまわない。
凹部の形状については特に限定されないが上述した凸部の形状を空間部と不織繊維集合体部を入れ替えた形状を例示することができる。両面に凹凸部を形成している場合には、凹凸部の形状は、両面で同じでも異なっていてもよい。凹凸部の位置も両面で同じ位置でもずれていてもかまわない。要は、濾過精度を有し捕集量の増大と優れたロングライフに寄与するものであればよい。
【0016】
片面側だけに凸部を形成している不織繊維集合体の反対面は、平面または凹凸面の何れの形状をもとることができるが、凹面が好ましい。凹面の位置については、凸部と対応する同じ位置が好ましく、特に不織繊維集合体の厚みが薄い場合は、凸部が形成されてる場所と同じ位置になり、凸部形状を反転させた形状で凹面を形成することが好ましい。また、図5に示すように不織繊維集合体の断面が波形状になるように凹凸を形成してもよい。
図6に示すように凸部1のサイズは、凸部高さ3が0.5mmから3mm程度ものが望ましく、凸部最大幅4は、凸部高さ3と同じ幅から凸部間隔(凸部と隣の凸部との間隔)の1/2までが望ましい。また、凸部1が無い平坦部厚み5は2mm以下が望ましい。図5に示すように不織繊維集合体断面が波形状をとるものは、表裏の凸先端を挟む距離が1mmから5mm程度のものが望ましい。凸部の数については、凸部のサイズによるが片側で1cm2 当たり5〜100個が適当である。この数は、あまり少ないと凸部による効果が薄れるため出来る限り多い方がよい。
【0017】
凹凸を形成する不織繊維集合体の一部を構成している熱可塑性繊維は、高融点成分と低融点成分からなる並列型もしくは低融点成分を外側に配した鞘芯型や偏芯型の複合繊維、または高融点成分からなる繊維と低融点繊維からなる繊維を混綿や混繊などの方法により混合したものからなり、通常の紡糸方法によって得られたものやメルトブロー法、スパンボンド法などにより得られたものである。特に繊維径の細い繊維を必要とするときは、メルトブロー法やスパンボンド法等の紡糸方法が好ましく、高融点成分と低融点成分をノズルより交互の位置から押し出される方法を行えば、混繊されたウェブを直接製造することができるため生産性に優れている。
高融点成分と低融点成分からなる繊維を使用する理由は、凹凸部を形成する際に加熱することで、低融点側を溶かし、繊維同士を熱接着させることで凹凸部の形状を保つことにある。更には、不織布強度が高い、繊維の脱落がないといった利点も挙げられる。
【0018】
繊維を形成している 高融点成分と低融点成分は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ−4−メチルペンテン、プロピレンと他のαオレフィンとの2元または3元共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリカーボネード等の熱可塑性成分が挙げられる。これらの中から高融点成分の方が低融点成分より高融点であり、かつ、その融点差が10℃以上、好ましくは15℃以上になるような組み合わせを適宜選択する。これらの樹脂の内ではポリオレフィン同士の組み合わせが耐薬品性の面で好ましい。
複合繊維の場合も、混繊の場合も高融点成分と低融点成分の重量比率は(複合比、混繊比)は80:20から20:80である。低融点成分が下限未満であると繊維同士の熱接着点が少なくなり、保形性が低下する。また、上限を超えると、加熱の際に繊維が溶けすぎて形状が崩れ易くなる。より好ましくは60:40から40:60である。
【0019】
本発明で用いられる熱可塑性繊維以外の繊維の例としては木綿、絹、羊毛、パルプ等の天然繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維等の無機若しくは金属繊維、レーヨン等の再生繊維、アセテート等の半合成繊維等を挙げることができる。全繊維中にしめる熱可塑性繊維の比率は30重量%以上が好ましく、より好ましくは50重量%以上である。
【0020】
繊維径は、濾過精度に合わせて選ばれ、高精度のものは、メルトブロー法やスパンボンド法などよって製造された0.01〜3d/fのものが用いられ、それ以外は、3〜100d/f程度の繊維が用いられる。繊維断面の形状は円形でも異形断面でもよく、異形断面糸を用いれば、濾過精度の向上が計れる。また、混繊や混綿による低融点成分繊維と高融点成分繊維の繊維径は異なっていてもよい。
凹凸を形成する不織繊維集合体の目付は、通常20〜300g/m2までのものが用いられ、この値より目付が少ないと厚みが薄くなるため、凹凸を形成しにくくなったり、凹凸形状の保持力が弱くなってしまう。また、目付が多いと凹凸の形成は容易になるが、厚みが増すため、巻き取りずらくなり、更に巻き数が減るためにフィルター全体の凹凸数が減り、濾過ライフが短くなってしまう。
【0021】
凹凸部製法の一例としては、カード法、エアーレイド法、ニードルパンチ法、スパンボンド法、メルトブロー法などの方法により製造された不織繊維集合体を、図7に示すような凹部6のある加熱ロール7とシリンダーロール8の少なくとも一対(二対以上でも可)を装備して、両者の間に目的とする凹凸部形成に必要な間隙を設け、その間隔を通過させることで加熱ロール7の凹部6に接した不織繊維集合体の部分に凸部1が形成される。凹部を設けた平板でプレスしても製造可能であるが、ロール式の方が不織布集合体を連続して流せるので生産性に優れている。凹凸部を形成された不織繊維集合体は、遠赤外線ヒーターやエアースルー型ドライヤーに通すことで、不織繊維集合体内部の繊維まで充分に熱接着を行なわせることができ、不織繊維集合体の強度を高めると共に凹凸部の保形性を向上させることができる。下側のロールについては、フラットタイプのもの、上側と同じように凹部を持ったタイプのもの、上側の凹部に合わさるように凸部を持ったタイプのものが適宜用いられる。ロールは、鉄、アルミ、銅などを用いた金属製のものが一般的で、表面を鏡面加工したものやテフロンコート加工したものが用いられる。
【0022】
ロールの表面温度は、不織繊維集合体に用いられている低融点成分繊維の融点以上の温度に設定され、両ロール間の間隙長による不織繊維集合体の圧密状態やラインスピード等を適宜変更して調節される。特に大切なことは、加熱ロールの温度が高すぎると凹凸部が溶融し、表面がフィルム化して通水性を持たなくなるため注意を要する。つまり、ロール通過時にエンボス加工で形成されるような繊維が扁平化して通水性のないフィルム化した凹凸部の形成は避けなければならない。また、平坦部についてもフィルム化していないことが必要である。
本発明のフィルターにとって構成上重要なことは、凸部1を決してフィルム化させずに通水可能な多孔質構造に形成させることである。この凸部1によって濾過面積の増加と併せて、積層不織繊維集合体の場合に生じる凸部で各層の間に空間ができることで粒子の捕集量を増加させるのである。捕集量の増加は、濾過ライフの延命にもつながるものである。
【0023】
エアースルー型ドライヤーの加熱設定温度についても、低融点成分繊維の融点以上の温度から高融点成分繊維の融点以下の温度に設定し、形成された凹凸部が加熱されすぎることで変形しないようにすることが必要である。
メルトブロー法やスパンボンド法などにより製造される高精度濾過用の繊維径が細く、繊維密度の高い不織繊維集合体に対して凹凸を形成するには、図8に示すように紡糸後に繊維を吸引するサクションコンベアのネット9や網状物の表面に凸部10をもたせた構造にすることにより、紡糸の際にネット9上にウェブが形成される段階で凸部を形成させることができる。また、凸部を付けなくても、ネット9や網状物の形状を凹凸の大きいタイプにすることでも波形状の凸部を形成することができる。サクション部がドラム型のものについても、ネット表面を前記と同じ構造にすることで、凸部を持ったウェブを製造することができる。サクションコンベアで凸部を形成されたウェブについては、遠赤外線ヒーターやエアースルー型ドライヤーを通して加熱することで繊維間の熱接着を充分に行なわせた方が、凸部形状が崩れにくくなる。
【0024】
また、上記以外の方法として、多数の穴が開いたパンチング板を連結したコンベアーを用いたエアースルー型ドライヤーに不織繊維集合体を通すことで、熱風により柔らかくなった繊維がコンベアー側からサクションされることで、パンチング板の穴の開いた部分で凸部を形成させる方法もある。
上記のような方法で凹凸部を形成された不織布からフィルターを製造する方法としては、特公昭56−43139号公報で示されるような装置を用いて、該不織繊維集合体を遠赤外線ヒーターで熱接着成分が溶けるような温度で加熱した直後に、金属製の中芯に巻き付けることにより筒状フィルターを得ることができる。不織繊維集合体を溶融する装置は、遠赤外線ヒーターに限らず、エアースルー型ドライヤー等を用いてもかまわない。また、特公昭56−49605号公報で示される方法により、凹凸部が形成されていない通常の不織繊維集合体、もしくは凹凸部が形成されている不織繊維集合体を巻回しフィルターを成形している途中に、メディア層となる凹凸部が形成された不織繊維集合体を挿入するという方法もある。なお、濾過ライフを充分に延ばすためには、流体が流れてくる方向に対して凸部が向くように巻回すると効果が大きい。
【0025】
メルトブロー法において凹凸部をもつ不織繊維集合体を直接形成する場合は、該ウェブを前記と同様な方法で加熱して中芯に巻き付けている際に、フィルターの径が大きくなるに従いメルトブローの熱風や吐出量を変化させ、順次または段階的に繊維径をかえれば、密度勾配の付いたフィルターが製造できる。
また、特開平1−297113号公報で示されるように、多孔性コアに凸部を形成した不織繊維集合体を巻回することでフィルターを製造することができる。この際、外層に行く程孔径の大きい不織繊維集合体を巻回すれば深層濾過タイプのフィルターを製造することができる。
また、凹凸部を形成した不織繊維集合体を平板の状態で積層したり、ひだ折り加工するとこでもフィルターの濾材として使用でき、ひだ折り加工によるものは、濾過面積の増加に加えて、凹凸部による濾過面積の増加が加わり、より濾過ライフの長いフィルターが製造できる。
【0026】
本発明のフィルターは、凹凸部による濾過面積の増加により、平面的な不織繊維集合体を用いたフィルターと比較して濾過精度の優れた構造となっている。また、繊維形成成分を高収縮成分と低収縮成分で形成することで、凹凸部を含めた不織布繊維集合体の強度を向上させて、凹凸部が潰れずに適度な空間を安定して保つことができるので濾過ライフの長い構造となっている。
【0027】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、各例において用いた測定方法を以下に示す。
平均繊維径
溶融紡糸で得られた繊維については、繊維の光学顕微鏡画像を画像処理装置に取り込み、繊維径を50本測定し、その平均値を平均繊維径とした。
メルトブロー法により得られる細繊度のウェブは、ウェブを構成する繊維の電子顕微鏡画像を画像処理装置に取り込み、繊維径を50本測定し、その平均を平均繊維径とした。
【0028】
捕集効率(濾過精度)
循環式濾過試験機のハウジングにフィルターを取付け、毎分30リットルの流量で通水循環をしながら、ACファインテストダスト(ACFTD、中位径6.6〜8.6μm)またはACコーズテストダスト(ACCTD、中位径27〜31μm)を0.5g/minで添加し、5分後の原液とフィルター通過後の液をサンプリングする。それぞれの液の粒度分布を光遮断式粒度分布測定機で濾過精度を測定し、粒子がフィルターに捕集された割合を示す捕集効率を求めた。 濾過ライフ
前記、循環式濾過精度試験機において、ハウジングにフィルターを取付け、毎分30リットルの流量で通水循環をしながら、ACFTDまたはACCTDを0.5g/minで添加して、ハウジング入口側と出口側との差圧を測定する。差圧が2.0kg/cm2を示すまでの時間を濾過ライフとした。
捕集量
濾過ライフ測定終了後のフィルターをオーブンで乾燥後、重量を測定し、濾過前のフィルター重量との差を捕集量とした。
【0029】
(実施例1)
高融点成分がポリプロピレン(MFR20g/10分(230℃)、mp.162℃)、低融点成分が高密度ポリエチレン(MFR16g/10分(190℃)、mp.135℃)からなる並列型複合繊維(複合比率50:50、クリンプ数13山/25mm、繊維径3デニール、カット長51mm)を、カード機にて目付100g/m2のウェブと目付70g/m2のウェブを製造した。次にそれぞれのウェブを上側のロールが半球形凹面をもち、下側のロールがフラットになった直径300mmのステンレス製ロールを両ロールの間隙を0.5mmにして、表面温度140℃に設定したものに通すことで、平坦部厚みが0.6mm、凸部高さ1.0mm、凸部の数25個/cm2の不織布とした2種類を形成した。凸部は、図1に示すような半球形をしており、フィルム化されていない多孔質構造であった。目付100g/m2の不織布を特公昭56−43139号公報で示されるような装置を用い、エアースルー型ドライアーで加熱して、凸部が外側になるようにステンレスパイプに巻き取り、外径が約50mmになった後、その外側に目付70g/m2の不織布を同じように加熱し巻き取り、冷却後にステンレスパイプを抜き、切断して、内径30mm、外径70mm、長さ250mm、空隙率87%の円筒形フィルターを製造した。測定結果は表1に示した。
【0030】
(比較例1)
実施例1と同じ繊維を用いて、カード機にて目付100g/m2と目付70g/m2のウェブにした後、上側下側とも同じ直径300mmのフラットロールを両ロールの間隙0.5mm、表面温度140℃に設定したものに通すことで、不織布厚みを0.6mmにした不織布の2種類を形成した。目付100g/m2の不織布を実施例1と同じ方法でステンレスパイプに巻き取り、外径が50mmになった後、その外側に目付70g/m2の不織布を同じように加熱し巻き取り、内径30mm、外径70mm、長さ250mm、空隙率78%の円筒形フィルターを製造した。測定結果は表1に示した。
【0031】
(実施例2)
実施例1で用いたものと同じ並列型複合繊維を用いてカード機にて目付100g/m2のウェブと目付70g/m2のウェブ製造した後、上側のロールが半球形凹面をもち、下側のロールがフラットになった直径300mmのステンレス製ロール2種類を両ロールの間隙0.5mm、表面温度140℃に設定したものに通すことで、目付100g/m2のウェブを平坦部厚みが0.6mm、凸部高さ1mm、凸部の数25個/cm2の不織布とし、目付70g/m2のウェブを平坦部厚みが0.6mm、凸部高さ1mm、凸部の数36個/cm2の不織布とした2種類を形成した。凸部は、図1に示したような半球形をしており、フィルム化されていない多孔質構造であった。実施例1と同じ製造方法で、凸部が外側を向くように目付100g/m2の不織布をステンレスパイプに巻き外径が約50mmになった後、目付70g/m2の不織布をその外側に巻くことで、内径30mm、外径70mm、長さ250mm、空隙率83%の円筒形フィルターを製造した。測定結果は表1に示した。
【0032】
(実施例3)
実施例1で用いたものと同じ繊維を用いてカード機にて目付100g/m2のウェブと目付70g/m2のウェブ製造した後、上側のロールが半球形凹面をもち、下側のロールがフラットになった直径300mmのステンレス製ロール2種類を両ロールの間隙0.5mm、表面温度140℃に設定したものを通すことで目付100g/m2のウェブを平坦部厚みが0.6mm、凸部高さ1mm、凸部の数25個/cm2の不織布とし、目付70g/m2のウェブを平坦部厚みが0.6mm、凸部高さ1.5mm、凸部の数25個/cm2の不織布とした2種類を形成した。凸部は、図1に示したような半球形をしており、フィルム化されていない多孔質構造であった。実施例1と同じ製造方法で、凸部が外側を向くように目付100g/m2の不織布をステンレスパイプに巻き取り、外径が約50mmになった後、目付70g/m2の不織布をその外側に巻くことで、内径30mm、外径70mm、長さ250mm、空隙率89%の円筒形フィルターを製造した。測定結果は表1に示した。
【0033】
(実施例4)
孔径0.3mmの穴が1.0mmピッチで501個の1列に並んだメルトブロー用混繊紡糸口金を用い、紡糸温度320℃でポリプロピレン(MFR18g/10分(230℃)、mp.165℃)とポリプロピレンコポリマー(MFR20g/10分(230℃)、mp.145℃)とを混繊比率50:50(重量%)で紡糸孔の交互の位置から押し出し、圧力を1.4〜0.4kg/cm2に順次変化させた360℃の加圧空気を用いて、吸引装置を装備したナイロン製コンベアネット上に吹き付け、目付50g/m2のウェブを製造した。凸部はフィルム化されていない多孔質構造であった。コンベアネット表面には2mm間隔で高さ1mm、直径0.5mmの円柱状にナイロン繊維が立っており、このコンベアネットから得られるウェブは、凸部高さ1mm、凸部の数36個/cm2 の図2に示されるような円錐形の凸部が形成された。凸部はフィルム化されていない多孔質構造であった。また、ウェブの平均繊維径は、最も細いところで5μm、最も太いところで12μmであった。該ウェブをネットコンベアーで移送しながら、エアースルー型ドライヤーで熱処理し、外側にいくほど繊維径が太くなるようにステンレスパイプに巻き取った。冷却後、ステンレスパイプを抜き取り、切断をして内径30mm、外径68mm、長さ250mm、空隙率80%の円筒形フィルターを得た。測定結果は表1に示した。
【0034】
(比較例2)
実施例3と同じ原料と方法を用いて紡糸した。但し、コンベアネットはナイロンの凸面がついていないものを使用した。得られたウェブの平均繊維径は、最も細いところで5μm、最も太いところで12μmであった。該ウェブを実施例1と同じ加工機で熱処理し、外側にいくほど繊維径が太くなるようにステンレスパイプに巻き取った。冷却後、ステンレスパイプを抜き取り、切断して内径30mm、外径68mm、長さ250mm、空隙率72%の円筒形フィルターを得た。測定結果は表1に示した。
表1の結果より表面に凹凸部を形成した不織繊維集合体をフィルターにすることで、凹凸部のない不織繊維集合体を用いたフィルターと比べると、同等の捕集効率を示しているにも関わらず、濾過ライフが向上し、捕集量を著しく増大することが確認された。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】
本発明のフィルターは、不織繊維集合体の各層片面または両面に通水可能な凹凸部を有することにより、各層における濾過面積が増加し、また、凹凸部により各層の間に空間ができることで粒子の捕集量が増加する。そのために、凹凸部を有しないフィルターに比べ、同じ濾過精度で濾過ライフを増加させる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】半球形凸部の斜視図である。
【図2】円錘形凸部の斜視図である。
【図3】三角錘形凸部の斜視図である。
【図4】四角錘形凸部の斜視図である。
【図5】波形状凸部の斜視図である。
【図6】半球形凸部の横断面図である。
【図7】凸部形成用ロールの横断面図である。
【図8】凸部形成用コンベアネットの斜視図である。
【符号の説明】
1 凸部
2 不織繊維集合体平担部
3 凸部高さ
4 凸部最大幅
5 平坦部厚み
6 凹部
7 加熱ロール
8 シリンダロール
9 ネット
10 凸部
Claims (9)
- 熱可塑性繊維を含む不織繊維集合体が積層された濾過層からなるフィルターにおいて、該不織繊維集合体の繊維接合点が融着接合され、かつ各層片面または両面が通水可能な凹凸部を有することを特徴とするフィルター。
- 濾過層の密度が、内層よりも外層が粗構造である請求項1に記載のフィルター。
- 凹凸部の数が、濾過体層の内層から外層につれて多くなる請求項1に記載のフィルター。
- 凹凸部の大きさが、濾過体層の内層より外層の方が大きい請求項1に記載のフィルター。
- 熱可塑性繊維が、ポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維の群から選ばれた少なくとも1種である請求項1に記載のフィルター。
- 熱可塑性繊維が、融点差10℃以上の高融点成分と低融点成分で形成される熱可塑性複合繊維である請求項1に記載のフィルター。
- 熱可塑性繊維が、メルトブロー法で得られた繊維である請求項1に記載のフィルター。
- 不織繊維集合体が、熱可塑性繊維と他の繊維の混繊および/または混綿である請求項1に記載のフィルター。
- 熱融着性繊維を含有する表面が凹凸のある不織繊維集合体を円筒状の物体に捲回させた後、それを加熱し、熱融着性繊維を融着させることを特徴とする中空で円筒状のフィルターの製造方法。
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JPH09234318A (ja) | 1997-09-09 |
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