JP3595572B2 - 射出成形機の段取り誤り検出方法 - Google Patents

射出成形機の段取り誤り検出方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、射出成形機の段取り誤り検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
複数の射出成形機の運転スケジュールを集中管理する管理システムや射出成形機の制御装置等に金型識別子と成形条件とを対応させて記憶させておき、作業対象となる金型の金型を識別する記号やバーコードや彫印等の金型識別子および成形条件を指定して射出成形機の運転スケジュールを管理するようにした射出成形機が既に公知である。スケジュール運転の実施に際しては運転スケジュールで指定された金型識別子に対応した成形条件が管理システムや制御装置のデータ記憶部から射出成形機に自動的に設定されるが、金型および樹脂の交換それ自体は、管理システムや制御装置等で指定された金型識別子に基き、作業者自ら、または、金型自動交換装置や材料交換装置によりこれを行う必要がある。従って、作業者が誤った金型を装着してしまったような場合や金型自動交換装置のストッカに金型の入れ違いが生じていたような場合および樹脂の入れ違いが生じていたような場合では、金型の付け違いや樹脂の入れ違いに気付かずにそのまま成形作業を開始してしまうといった恐れがある。
【0003】
この際、スケジュールにある金型の成形条件と誤って装着された金型の成形条件との間に著しい相違があれば、成形作業自体が不能となるため作業者は否応なしに取付けの誤りに気付くが、似たような成形条件が適用できる別の金型が誤って装着されたような場合では、なまじ成形作業の継続が可能であるがために金型の取付けミスに気付くことが難しく、誤った金型でそのまま成形作業を継続してしまって材料と時間が全くの無駄になるといったことがしばしばある。また、実際に装着されている金型に対して必ずしも適切ではない成形条件で成形作業を継続して行うと、中子の折れや破断等を始めとする損傷が金型内に生じる恐れがあり、実際の必要に迫られた時にその金型(誤使用された金型)を使用できなくなるといった問題もある。また、投入すべき樹脂を誤った場合もこれと同様で、スケジュールにあるシリンダ温度の設定条件で成形作業自体に著しい支障をきたせば樹脂の入れ違いに気付くが、似たような温度条件が適用できる他の樹脂が誤って投入されるとこれに気付くことは難しく、結果的に、誤った樹脂でそのまま成形作業を継続して材料と時間を無駄にすることになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
金型の付け違いを予防するための方法としては、金型のモールドベースに金型識別子を直接彫り込んでおいて必要に応じて作業者がこれを確認する方法、および、モールドベースに貼着されたラベル等にバーコードで金型識別子を記入しておき作業者または金型自動交換機が必要に応じてこれを光学検出手段で検出する方法等があったが、いずれも、モールドベース自体に識別のための属性を与えるものに過ぎず、金型の内容を特定するための手段としては不十分であり、前述のような金型装着の誤りを完全に回避することは困難で、特に、金型のメンテナンスや修理等のために分解および再組み立てを行ったような場合や、プラグやコネクタ等の電気製品をシリーズ化して生産するためのユニットベース構造等を適用したような場合には様々な問題を生じることにもなる。
【0005】
なお、ここでいうユニットベース構造とは、単種もしくは複数種のコアブロックやキャビティブロックおよびランナーブロックやコッターブロック等を多数用意しておき、規格化された同一形状のモールドベース上のポケットに様々な組み合わせでこれらを配置固定することにより、シリーズ化されたプラグやコネクタ等のピン数の相違や取り数の相違に対処するための技術のことであり、例えば、コアブロックおよびキャビティブロックの各組の積層数を変えると共に、これによって生じるゲート位置のズレ等に対応してランナーブロックのゲート位置を組み変えたりコッターブロックの幅を選択することにより任意のピン数のプラグやコネクタ等を成形することができ、更には、ピン数によって変わる製品の大きさに応じて1つのユニットベースを4ピン12個取りとか16ピン4個取り等に変更することも可能である。いうまでもないことではあるが、前述の説明におけるコアブロックとは製品の形状に関与する可動側金型の入れ子の1単位であり、また、キャビティブロックとは製品の形状に関与する固定側金型の入れ子の1単位を示す。ランナーブロックとは可動側金型に取付けられるか固定側金型に取付けられるかを問わずランナーやゲート等を刻設した入れ子に付した名称であり、このランナーブロックは、ランナー部分のみを刻設したものとランナーおよびゲートを刻設したものとに分割して形成する場合がある。コッターブロックとはユニットベース化されたモールドベース上のポケット内で前述のコアブロック,キャビティブロック,ランナーブロック等の位置を決める位置決め用の入れ子のことであり、コッターとはいっても楔形とは限らず、単なる板状のスペーサにより構成される場合もある。また、取り数とは1ショット分、つまり1回の型開閉動作によって得られる製品個数のことであり、製品の大小等に応じて適宜変更する必要がある。
【0006】
このように単一のモールドベースを適用して多種多様の製品を成形するユニットベース構造を適用した金型の場合では、モールドベースと製品の内容が一対多対応する場合があるため、金型のモールドベース自体に識別を与えて金型の内容を外見から判断すること自体が不適当であり、スケジュールに対応した正しいモールドベースが装着されているとしても、そのキャビティブロックやコアブロックの組み合わせ状態、即ち、金型の内容自体が運転スケジュールに合致したものであるかどうかまではわからない。そこで、仮に、これまで製品aのためのキャビティブロックおよびコアブロックが組み込まれていたモールドベースAに本日正午までに製品bのためのキャビティブロックおよびコアブロックを組み込んで改修作業を完了させ、モールドベースAにより正午から製品bの成形を開始するという予定があるとする。このとき、連絡の不行き届き等により改修担当の作業者が正午の時点でなおモールドベースAの分解作業に着手していないとすれば、成形担当の作業者が何も知らずに分解前のモールドベースAを射出成形機に取付けて成形作業を開始するということが有り得るが、当然このモールドベースAで成形される製品は製品aであって、実際に生産が必要とされる製品bではない。
【0007】
キャビティブロックやコアブロック等の組み合わせ状態を変える度にモールドベースにおける金型識別子の彫印の彫り直しやラベルの貼り変え作業を行うことにより、通常の金型の場合と同様、ブロックを組み変えたモールドベースがあたかも別のモールドベースであるかのように取り扱うことが不可能ではないにしろ、その作業は面倒であり、不用意にラベリングを変えると後々の混乱も予想される。
【0008】
また、単一形状の製品しか成形しない金型ではあっても、メンテナンスや修理等のために分解および再組み立て作業を施した場合にはキャビティブロックやコアブロックの組み合わせに思わぬ組み違いを生じる恐れがあり、このような場合、金型が正しく選択されて取付けられ、仮に型締めおよび射出動作自体が可能であったとしても正常な製品を得ることはできない。
【0009】
一方、樹脂の投入誤りを解消するために樹脂のペレットそれ自体に識別を付すことは事実上不可能であるため、樹脂の投入誤りに関しては、樹脂を種類別に棚に保管して指定された樹脂識別子に応じて棚から樹脂を搬送したり、樹脂の袋に記載された樹脂名やバーコードを目視または光学的な読み取り手段で読み取って指定された樹脂識別子と一致しているか否かを判別することによりこれを予防するようにしているが、このような方法では完全に樹脂の投入の誤りを防止することはできない。
【0010】
そこで、本願発明の目的は、前記従来技術の不都合を解消し、金型の取り付けミスの有無や樹脂の投入ミスの有無をより確実に検出することができ、更に、金型の組み違い等をも識別できるようにした射出成形機の段取り誤り検出方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の段取り誤り検出方法は、複数の射出成形機を管理する管理システム内もしくは射出成形機の制御装置内に各金型の金型識別子と成形条件および任意の時間間隔で検出された圧力データや所定の時間に亘って検出された圧力データ等の基準圧力波形を対応させて記憶させておき、射出成形作業時に射出圧力をサンプリングして検出し、取付けが指定された金型の金型識別子に対応して記憶された基準圧力波形と比較し、射出成形機に取付けられている金型が指定された金型と同一であるか否かを判別することにより金型の付け違いに関する段取り誤りを検出するようにした。
【0012】
また、複数の射出成形機を管理する管理システム内もしくは射出成形機の制御装置内に各樹脂の樹脂識別子と成形条件および任意の時間間隔で検出された圧力データや所定の時間に亘って検出された圧力データ等の基準圧力波形を対応させて記憶させておき、射出成形作業時に射出圧力をサンプリングして検出し、投入が指定された樹脂の樹脂識別子に対応して記憶された基準圧力波形と比較し、射出成形機に投入されている樹脂が指定された樹脂と同一であるか否かを判別することにより樹脂の投入に関する段取り誤りを検出するようにした。
【0013】
更に、複数の射出成形機を管理する管理システム内もしくは射出成形機の制御装置内に各金型の金型識別子と樹脂識別子と成形条件と使用すべき樹脂を使用したときの任意の時間間隔で検出された圧力データや所定の時間に亘って検出された圧力データ等の基準圧力波形とを対応させて記憶させておき、射出成形作業時に射出圧力をサンプリングして検出し、取付けが指定された金型の金型識別子および投入が指定された樹脂の樹脂識別子に対応して記憶された基準圧力波形と比較し、射出成形機に取付けられている金型および射出成形機に投入されている樹脂が共に指定された金型および樹脂と同一であるか否かを判別することにより金型の取付けおよび樹脂の投入のいずれか一方にでも誤りがあればこれを段取り誤りとして検出できるようにした。
【0014】
【作用】
同種の樹脂と複数種の金型を用いて射出成形作業を行う場合、複数の射出成形機を管理する管理システム内もしくは射出成形機の制御装置内に各金型の金型識別子と成形条件および任意の時間間隔で検出された圧力データや所定の時間に亘って検出された圧力データ等の基準圧力波形を対応させて記憶させておく。スケジュール運転の開始に際しては、スケジュールで指定されたものと思しき金型を取り付けて射出成形作業を行い、サンプリングにより射出圧力波形を検出する。検出された射出圧力波形と指定された金型の金型識別子に対応して記憶された基準圧力波形とを比較し、その比較結果に基いて、取付けられている金型が指定された金型と同一であるか否かを判別する。キャビティブロックおよびコアブロックにより特定される製品形状や金型内部構造に固有の射出圧力波形の特性に基いて判別処理を行うので、指定された金型と装着金型が同一であるかを確実に判別することができ、更には、メンテナンスや修理等のための再組み立て作業で金型に組み違いが生じたような場合でも、その異常を容易に判別することができる。多種の樹脂を用いて射出成形作業を行う場合は樹脂の投入誤りが金型の付け違いとして検出される場合があるが、段取り誤りの検出自体は可能である。
【0015】
また、同種の金型と複数種の樹脂を用いて射出成形作業を行う場合、複数の射出成形機を管理する管理システム内もしくは射出成形機の制御装置内に各樹脂の樹脂識別子と成形条件および任意の時間間隔で検出された圧力データや所定の時間に亘って検出された圧力データ等の基準圧力波形を対応させて記憶させておく。スケジュール運転の開始に際しては、スケジュールで指定されたものと思しき樹脂を投入して射出成形作業を行い、サンプリングにより射出圧力波形を検出する。検出された射出圧力波形と指定された樹脂の樹脂識別子に対応して記憶された基準圧力波形とを比較し、その比較結果に基いて、投入されている樹脂が指定された樹脂と同一であるか否かを判別する。多種の金型を用いて射出成形作業を行う場合は金型の付け違いが樹脂の投入誤りとして検出される場合があるが、段取り誤りの検出自体は可能である。
【0016】
更に、複数種の金型および複数種の樹脂を用いて射出成形作業を行う場合、複数の射出成形機を管理する管理システム内もしくは射出成形機の制御装置内に各金型の金型識別子と樹脂識別子と成形条件と使用すべき樹脂を使用したときの任意の時間間隔で検出された圧力データや所定の時間に亘って検出された圧力データ等の基準圧力波形を対応させて記憶させておく。スケジュール運転の開始に際しては、スケジュールで指定されたものと思しき金型を取り付けて樹脂を投入して射出成形作業を行い、サンプリングにより射出圧力波形を検出する。検出された射出圧力波形と取付けが指定された金型の金型識別子および投入が指定された樹脂の樹脂識別子に対応して記憶された基準圧力波形とを比較し、その比較結果に基いて、取り付けられている金型および投入されている樹脂が共に指定された金型および樹脂と同一であるか否かを判別する。
【0017】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。図1は本発明による段取り誤り検出方法を適用した一実施例の電動式射出成形機Saおよび該射出成形機Saの制御装置Naの要部を示すブロック図で、符号1は射出成形機Saの射出シリンダ、符号2はスクリューである。スクリュー2は、射出用サーボモータMsにより射出軸方向に駆動され、また、タイミングベルトや歯付プーリ等からなる動力伝達機構3を介してスクリュー回転用サーボモータMrにより計量回転される。スクリュー2の基部にはスクリュー2の軸方向に作用する樹脂反力を検出する圧力検出器4が設けられ、射出保圧工程における射出圧力や計量混練り工程におけるスクリュー背圧等が検出されるようになっている。更に、射出用サーボモータMsにはスクリュー2の位置や移動速度を検出するためのパルスコーダPsが配備され、また、スクリュー回転用サーボモータMrには、スクリュー2の回転速度を検出するためのパルスコーダPrが配備されている。
【0018】
射出成形機Saのベースにはフロントプラテン6が固着され、フロントプラテン6とリアプラテンを締結したタイバーに対して摺動可能に装着された可動プラテン5が、リアプラテン側に配備された型締用サーボモータMcによりボール捩子機構およびトグル機構(共に図示せず)を介して駆動される。型締用サーボモータMcは位置および速度検出のためのパルスコーダPcを備える。また、前述のリアプラテンには型厚調整機構が設けられ、可動プラテン5に装着された可動側金型7およびフロントプラテン6に装着された固定側金型8の厚みに応じ、最適位置での型開閉および型締動作が行えるようになっている。可動プラテン5に関する位置制御は前述のトグル機構におけるクロスヘッド位置、即ち、型締用サーボモータMcの回転量に基いて従来と同様の方法で行われる。
【0019】
また、可動プラテン5には、可動側金型7のキャビティ内にエジェクタピン等を突出させるための突出用サーボモータMeが設けられ、サーボモータMeには、先に述べた各軸のサーボモータと同様、位置および速度検出のためのパルスコーダPeが配備されている。
【0020】
可動側金型7と固定側金型8により構成される各種の金型は、通常、これらを閉じ合わせた状態で成形作業現場のラックや型自動交換装置のストッカ等に保管されており、可動側金型7および固定側金型8のうち、少なくとも一方のモールドベースの外側面には彫印やバーコード等により金型識別子が記憶されている。
【0021】
射出成形機Saの制御装置Naは、数値制御用のマイクロプロセッサであるCNC用CPU17、プログラマブルマシンコントローラ用のマイクロプロセッサであるPMC用CPU16、サーボ制御用のマイクロプロセッサであるサーボCPU18、および、A/D変換器34を介して射出圧力やスクリュー背圧のサンプリング処理等を行うためのモニタ用CPU33を有し、バス28を介して相互の入出力を選択することにより各マイクロプロセッサ間での情報伝達が行えるようになっている。
【0022】
PMC用CPU16には、射出成形機のシーケンス動作を制御するシーケンスプログラム等を記憶したROM20および演算データの一時記憶等に用いられるRAM23が接続され、また、CNC用CPU17には射出成形機の各軸を制御するプログラム等を記憶したROM21および演算データの一時記憶等に用いられるRAM27が接続されている。CNC用CPU17に接続された不揮発性メモリ26は実際の射出成形作業において実行対象データとなる成形条件および各種設定値,パラメータ,マクロ変数等を記憶する実行対象データ記憶部と、他の射出成形作業に必要とされる多数の成形条件等を記憶する金型ファイル記憶部とを有する。金型ファイル記憶部は、専ら、射出成形機Saおよび制御装置Naを単独で使用する際に様々な金型に対応する成形条件等を記憶するために用いられるものであり、別に設けられた管理システムにより成形作業のスケジュール管理を行う場合には、管理システムから転送されてくる成形条件がそのまま不揮発性メモリ26の実行対象データ記憶部に実行対象データとして格納されることになる。なお、管理システムから金型識別子のみを送信し、制御装置Naが金型識別子に基づいて不揮発性メモリ26の金型ファイル記憶部から成形条件を選択して実行対象データ記憶部に設定することも可能であるが、この様な点に関しては設計上の問題に過ぎない。
【0023】
そして、サーボCPU18およびモニタ用CPU33の各々には、サーボ制御専用の制御プログラムを格納したROM22やデータの一時記憶に用いられるRAM24、および、圧力データ等を得るためのサンプリング処理に関する制御プログラムを格納したROM31やデータの一時記憶に用いられるRAM32が接続されている。更に、サーボCPU18には、該CPU18からの指令に基いて突出用,型締め用,スクリュー回転用,射出用等の各軸のサーボモータを駆動するサーボアンプ11〜14がサーボインターフェイス15を介して接続されている。また、各軸のサーボモータに配備したパルスコーダPe〜Psからの出力の各々がサーボインターフェイス15を介してサーボCPU18に帰還され、パルスコーダのフィードバックパルスに基いてサーボCPU18により算出されたエジェクタピンの突出位置やクロスヘッド位置およびその移動速度やスクリュー2の現在位置およびその移動速度や回転速度の値が、RAM24の現在位置記憶レジスタ、現在速度記憶レジスタの各々に記憶される。
【0024】
入出力回路29は射出成形機の各部に配備したリミットスイッチや操作盤からの信号を受信したり射出成形機の周辺機器等に各種の指令を伝達したりするための入出力インターフェイスであり、また、通信インターフェイス30は管理システムとしてのホストコンピュータHCとの間でデータ伝送を行うための入出力インターフェイスである。ディスプレイ付手動データ入力装置19はCRT表示回路25を介してバス28に接続され、モニタ表示画面や機能メニューの選択および各種データの入力操作等が行えるようになっており、数値データ入力用のテンキーおよび各種のファンクションキー等が設けられている。
【0025】
以上の構成により、CNC用CPU17がROM21の制御プログラムおよび不揮発性メモリ26の実行対象データ記憶部に記憶された成形条件および各種設定値,パラメータ,マクロ変数等の実行対象データに基いて各軸のサーボモータに対してパルス分配を行い、サーボCPU18は各軸に対してパルス分配された移動指令とパルスコーダPe〜Ps等の検出器で検出された位置のフィードバック信号および速度のフィードバック信号に基いて、従来と同様に位置ループ制御,速度ループ制御さらには電流ループ制御等のサーボ制御を行い、いわゆるディジタルサーボ処理を実行する。
【0026】
モニタCPU33は従来と同様のサンプリング処理機能を有したCPUであり、成形実行時にA/D変換器34を介して圧力検出器4から入力されるサンプリングデータに基き、射出保圧工程における射出圧力Ai の変化を射出開始後の経過時間ti を基準として1成形サイクル毎に図3に示されるようなRAM32の波形一時記憶ファイルF2に更新記憶させる。
【0027】
この実施例では、管理システムとしてのホストコンピュータHCにより上述の射出成形機Saを始めとする複数の射出成形機Sb,Sc,・・・の運転スケジュールを管理する場合の構成について示しており、図2に示されるように、各射出成形機Sa,Sb,Sc,・・・の制御装置Na,Nb,Nc,・・・の各々が夫々の通信インターフェイス30およびホストコンピュータHCの通信インターフェイス55を介してホストコンピュータHCに接続されている。
【0028】
ホストコンピュータHCには中央処理装置としてのマイクロプロセッサ50が設けられ、更に、各種制御プログラムを格納したROM52、製品の生産スケジュールやデータの一時記憶および演算処理等に用いられるRAM53、各種指令および数値データを入力するための手動データ入力装置56、入力されたデータや演算結果等を表示して確認するためのディスプレイ装置54がマイクロプロセッサ50からのデータバスを介して接続されている。
【0029】
51はハードディスク等によって構成される記憶装置であり、図4に示されるように、各射出成形機Sa,Sb,Sc,・・・に装着される可能性のある金型の金型識別子に対応して、使用対象樹脂の識別子と、各金型毎の条件出しで最適化された成形条件、および、最適化された成形条件で射出成形作業を行ったときに得られる射出圧力の基準圧力波形を記憶している。図3に示すファイルF1は金型識別子に対応して基準圧力波形を記憶する波形記憶ファイルを概念的に示す図であり、基準圧力波形の形状は、射出開始後の経過時間ti と該時点ti における基準圧力Pi との関係を示す多数のデータの組(ti ,Pi )により金型識別子毎の波形記憶ファイルF1に数値データとして記憶される。なお、実施例では、基準圧力波形を求めるために、予め、対応する金型を装着して使用対象樹脂を投入し、最適化された成形条件下で射出成形作業を行ってモニタCPU33によるサンプリング処理を行い、射出圧力Aiを何度か検出してその平均値を基準圧力Pi としてファイルF1に記憶させるようにしている。
【0030】
また、RAM53のスケジュール記憶メモリには各射出成形機Sa,Sb,Sc,・・・毎の生産スケジュールを任意に設定できるようになっており、オペレータは手動データ入力装置56を介して各射出成形機Sa,Sb,Sc,・・・毎の生産スケジュールを任意に設定する。生産スケジュールの設定は、生産すべき製品に対応する金型の金型識別子および所望するショット数を成形作業の実行順序に従って各射出成形機Sa,Sb,Sc,・・・毎のスケジュール記憶メモリに設定することによって行う。
【0031】
ホストコンピュータHCのマイクロプロセッサ50は、各射出成形機Sa,Sb,Sc,・・・の制御装置Na,Nb,Nc,・・・に各々のスケジュール記憶メモリの最初に記憶された金型識別子とこれに対応する使用対象樹脂の識別子および成形条件を転送し、各制御装置Na,Nb,Nc,・・・における不揮発性メモリ26の実行対象データ記憶部にこの成形条件を設定した後、金型や樹脂の交換作業を待って、各制御装置Na,Nb,Nc,・・・による射出成形機Sa,Sb,Sc,・・・の駆動制御を開始させる。また、その動作中に各制御装置Na,Nb,Nc,・・・を介して各射出成形機Sa,Sb,Sc,・・・毎のショット数を逐次検出し、このショット数が生産完了の設定数に達した射出成形機が検出されるとその都度この射出成形機の駆動制御を一旦停止させ、以下、同様にして、この射出成形機に対して設けられたスケジュール記憶メモリにおける次の記憶領域に設定されている金型識別子およびこれに対応する使用対象樹脂の識別子と成形条件を転送し、最終スケジュールが完了するまでの間、上記と同じ処理操作を繰り返し実行する。当然、各射出成形機Sa,Sb,Sc,・・・毎に成形サイクルや所望するショット数が違い、スケジュールの進行状況も相違するので、各射出成形機のスケジュール記憶メモリによって射出成形機Sa,Sb,Sc,・・・等を個別に駆動制御させることになる。
【0032】
なお、金型や樹脂を交換するにはオペレータがこれを手動で行う場合と金型自動交換装置や材料交換装置により完全自動で行う場合とがあり、金型や樹脂の交換を手動で行う場合には、各制御装置Na,Nb,Nc,・・・に金型識別子や使用対象樹脂の識別子が転送された段階でこれを各制御装置Na,Nb,Nc,・・・のディスプレイ付手動データ入力装置19に表示させて射出成形機のオペレータに手動交換作業を行わせ、また、自動で行う場合には、転送された金型識別子や使用対象樹脂の識別子に応じて各制御装置Na,Nb,Nc,・・・に金型自動交換装置や材料交換装置を駆動制御させて自動交換作業を行わせる。金型交換を手動で行うにせよ自動で行うにせよ、射出成形機に金型を装着する際には金型のモールドベース自体に彫印またはバーコードで添付された金型識別子をオペレータもしくは機械が確認してから取り付け作業を行う必要があり、この点に関しては従来と同様である。既に説明した通り、金型モールドベースの一致不一致は彫印またはバーコードを調べることで確認できるが、これをオペレータが行う場合には判定ミスを生じることがあり、また、オペレータもしくは金型自動交換装置により彫印やバーコードに基づいて適正な金型識別子を有する金型を装着することができたとしても、金型の内容確認、つまり、ユニットベースを使用した場合のキャビティブロックやコアブロックの組み合わせ状態や、分解再組み立て作業後の金型を装着する場合の組み違い等に関しては従来の彫印やバーコードによる技術だけでは対処することができない。また、樹脂の投入誤りも材料交換装置における樹脂の入れ違いや樹脂の袋の取り違い等によって生じ得る。
【0033】
図4はホストコンピュータHCによって行われる生産スケジュール管理の概略を示すアルゴリズム、また、図5は段取り誤りの有無を判定するためにホストコンピュータHCによって行われる段取り誤り検出処理の概略を示すフローチャートであり、以下、これらの図面を参照して本実施例の段取り誤り検出方法を説明する。
【0034】
既に説明した通り、まず、生産スケジュール管理のための処理を開始したホストコンピュータHCはRAM53のスケジュール記憶メモリの最初の記憶領域に記憶された金型識別子に基づいて記憶装置51からこれに対応する使用対象樹脂の識別子と成形条件および波形記憶ファイルF1を読み込み、波形記憶ファイルF1をRAM53のワークエリアに格納すると共に、通信インターフェインス55および30を介して金型識別子と使用対象樹脂の識別子および成形条件を射出成形機側の制御装置に転送し、この成形条件を不揮発性メモリ26における実行対象データ記憶部に設定する。なお、図4では、射出成形機毎に対応して設けられた複数のスケジュール記憶メモリの内その1つのスケジュール記憶メモリにおける生産管理データに基づく処理を示しており、実際には、各射出成形機Sa,Sb,Sc,・・・毎に対応して設けられたスケジュール記憶メモリのその各々により各射出成形機Sa,Sb,Sc,・・・毎に同様の処理が並行して行われることになる。以下、ホストコンピュータHCと射出成形機側の制御装置との関係を明確にするため、一例として、射出成形機Saの制御装置NaとホストコンピュータHCとの関係に基づいて説明を進めるが、制御装置Na,Nb,Nc・・・とホストコンピュータHCとの関係もこれと同様である。
【0035】
そこで、成形条件を設定された制御装置Naは、転送された金型識別子および使用対象樹脂の識別子をディスプレイ付手動データ入力装置19に表示し、オペレータによる金型および使用対象樹脂の交換作業が行われるか、もしくは、金型自動交換装置や材料交換装置による金型および樹脂の交換作業が行われるまで待機した後(ステップS1,ステップS2)、型厚の自動調整等の処理を行って、不揮発性メモリ26の実行対象データ記憶部に設定された成形条件に基づいて段取り誤り検出のための射出成形作業を開始し、この間、モニタCPU33によるサンプリング処理を行って射出保圧工程における射出圧力Ai の変化を射出開始後の経過時間ti を基準として1成形サイクル毎に図3に示されるようなRAM32の波形一時記憶ファイルF2に更新記憶させる。なお、金型や樹脂を交換した直後の段階では射出成形動作が一時的に不安定となるので、この間に成形された製品は不良品として廃棄処分とするか、もしくは、再生用の材料として保存する。
【0036】
一方、ホストコンピュータHCは通信インターフェイス55および30を介して射出成形機Saのショット数を監視し、このショット数が安定動作検出の設定値に達して射出成形動作が安定したことを確認すると、その時点でRAM32に記憶されている波形一時記憶ファイルF2のデータを通信インターフェイス30および55を介して制御装置NaのRAM32からRAM53のワークエリアに読み込み、図5に示されるような段取り誤り検出処理を開始する(ステップS3)。
【0037】
段取り誤り検出処理を開始したホストコンピュータHCのマイクロプロセッサ50は、まず、アドレス選択指標iおよび不良サンプル数積算カウンタkの値を共に零に初期化し(ステップT1)、アドレス選択指標iの値に基づいて、RAM53に格納した波形記憶ファイルF1および波形一時記憶ファイルF2から基準圧力Pi とこれに対応する検出圧力Ai を読み込んでその偏差|Pi −Ai |を求め、この偏差が、予め設定された許容値εの範囲内に入っているか否かを判別する(ステップT2)。そして、偏差|Pi −Ai |が許容値εの範囲を越えていれば、不良サンプル数積算カウンタkの値を歩進し(ステップT3)、また、偏差|Pi −Ai |が許容値εの範囲内にあれば、不良サンプル数積算カウンタkの現在値を保持したままアドレス選択指標iの値を歩進し(ステップT4)、アドレス選択指標iの値が予め決められたサンプル比較数設定値Nに達しているか否かを判別する(ステップT5)。サンプル比較数設定値Nは、射出保圧の所用時間、つまり、モニタCPU33によるサンプリング実行回数等に基づいて各金型の金型識別子毎、もしくは、これらに共通して設定された値である。
【0038】
アドレス選択指標iの値がサンプル比較数設定値Nに達していなければ、以下、マイクロプロセッサ50は、アドレス選択指標iの値がサンプル比較数設定値Nに達するまでの間、前記と同様にして、更新されたアドレス選択指標iの値に基づいてステップT2〜ステップT5の処理を繰り返し実行し、N回のサンプリング周期の間に検出された不良サンプルの数を不良サンプル数積算カウンタkに記憶する。そして、ステップT5の判別結果が真となってアドレス選択指標iの値がサンプル比較数設定値Nに達したことが確認されると、マイクロプロセッサ50は、検出された不良サンプルの数kが予め決められた判別基準値bの範囲内にあるか否か、つまり、現時点で射出成形機に取り付けられている金型から検出された射出圧力波形の特性がスケジュール運転の対象として設定されている金型識別子の基準圧力波形の特性と一致していると見做せるか否かを判別する(ステップT6)。そして、両者が一致していると見做せる場合には通信インターフェイス55を介して制御装置Naに一致信号を出力し(ステップT8)、また、一致していなければ同様にして不一致信号を出力する(ステップT7)。
【0039】
ホストコンピュータHCからの判別信号を受信した制御装置Naは(ステップS4)、その信号が一致信号であれば適切な金型が装着され適切な樹脂が投入されいる旨をディスプレイ付手動データ入力装置19に表示し、そのまま射出成形機の駆動制御を継続して行う(ステップS5)。また、ホストコンピュータHCのマイクロプロセッサ50は、射出成形機Saのショット数が生産完了の設定数に達した時点でこの射出成形機の駆動制御を一旦停止させ、以下、前記と同様にして、この射出成形機Saに対して設けられたスケジュール記憶メモリにおける次の記憶領域に設定されている金型識別子およびこれに対応する使用対象樹脂の識別子と成形条件を制御装置Naに転送し、最終スケジュールが完了するまでの間、制御装置Naにより前記と同様の処理操作を繰り返し実行させる。
【0040】
また、ステップS4で検出された信号が不一致信号であれば、制御装置Naは金型の選択ミスや組み違いもしくは樹脂の投入ミス等があることをディスプレイ付手動データ入力装置19に表示して射出成形機の駆動制御を停止する(ステップS6)。この時、RAM53の波形記憶ファイルF1および波形一時記憶ファイルF2の内容や不良サンプルの数kを判別信号と共にホストコンピュータHCから制御装置Naに転送し、図6に示すような基準圧力波形および検出圧力波形のグラフや不良サンプルの数kをディスプレイ付手動データ入力装置19に表示するようにしてもよい。更に、ホストコンピュータHCの側でデータの集中管理を行うような場合には、判別結果がでる度に波形記憶ファイルF1および波形一時記憶ファイルF2の内容や不良サンプル数kの値を各金型の金型識別子に対応させてRAM53等に記憶させておき、必要に応じて金型識別子を指定することにより図6に示されるようなデータをディスプレイ装置54に表示させるようにする。
【0041】
ステップS6の処理でディスプレイ付手動データ入力装置19に不一致が表示された場合、金型の交換を手動で行ったのであれば、オぺレータは装着してある金型のモールドベースを調べて再び金型識別子を確認する。彫印等の読み違いによって生じる単純な装着ミスの可能性があるからである。もし、装着している金型の金型識別子が運転スケジュールとして設定された金型識別子と相違するのであれば、適正な金型識別子を有する金型を再装着してステップS3からの処理を再実行させることにより、金型の適性を再確認してスケジュール運転を継続して行うことができる。また、不一致が表示されているにも関わらず、装着してある金型のモールドベースに添付された金型識別子が運転スケジュールとして設定された金型識別子同一であれば、投入されている樹脂が指定通りのものではないか、または、装着してある金型がユニットベースを用いたものであって、かつ、内部のキャビティブロックやコアブロックの組み合わせ状態が所望する製品と一致していないか、もしくは、装着してある金型のメンテナンスや修理等の際の再組み立て作業で組み違い等の不手際が生じていたことを意味する。そこで、投入されている樹脂が指定通りのものでないことが確認されたなら、オペレータは必要なパージ作業を行って樹脂を交換してから成形を継続し、また、金型の異常や組違いが判明したなら、装着されている金型を取り外して改修作業に回し、金型の改修を待ってからスケジュール運転を再開するか、もしくは、運転スケジュールを1つ飛ばし、次の運転スケジュールとして設定された金型識別子の成形作業を先に行うようにする。
【0042】
また、金型のモールドベースのバーコード等を金型自動交換装置自体が確認せずにストッカコードのみに基づいて金型を装着する金型自動交換装置を適用して自動交換作業を行った時にディスプレイ付手動データ入力装置19に不一致が表示されたとすればストッカに対する金型の入れ違いが考えられるが、この場合、手動交換時における金型の付け違いの場合と同様、装着された金型のモールドベースを調べて再び金型識別子を確認し、適正な金型識別子を有する金型を再装着してステップS3からの処理を再実行させることにより、金型の適性を再確認してスケジュール運転を継続して行うことができる。一方、金型のモールドベースのバーコード等を金型自動交換装置自体が確認してから金型を装着する金型自動交換装置を適用して自動交換作業を行った時にディスプレイ付手動データ入力装置19に不一致が表示されたとすれば金型自体の組み違い等を意味するので、前記と同様、装着されている金型を取り外して改修作業に回し、金型の改修を待ってからスケジュール運転を再開するか、もしくは、運転スケジューを1つ飛ばして次の運転スケジュールを先に行うようにする。樹脂の投入誤りの場合に関しては前記と同様である。
【0043】
更に、金型が一致し、かつ、組み違いや樹脂の投入誤りが生じていない場合であっても、特定のキャビティにゲートカットが施されるとキャビティ容積が全体として変化するので、波形記憶ファイルF1の基準圧力データを更新しない限り、ディスプレイ付手動データ入力装置19には組み違いの場合と同様の不一致が表示されることになる。ここでいうゲートカットとは、中子の折れ等を始めとする金型の部分的な損傷に対処してそのまま射出成形作業を継続するための技術のことである。つまり、単一の金型で複数の製品を同時に成形する多数個取りの金型では、特定のキャビティで中子の折れ等が生じた場合であっても必ずしも射出成形作業を中断させる必要はなく、特に、ゲートがトンネルゲートで構成されているような場合では、金型を射出成形機に装着したまま型開き状態とし、比較的柔軟な非鉄金属等からなる円推形のロッド材をランナー側からゲートに向けて楔状に打ち込み、ニッパー等によってランナー側でその先端を切断することにより、ものの数分で損傷を生じたキャビティを簡単に閉鎖することができる。製品の取り数が減るとはいうものの、金型を降ろして面倒な修理作業を行う必要がなく、そのまま成形作業を継続して行うことができるので、製品の納入期限を限定された状況下で比較的少数の量産を急ぐような場合には有効な手段である。しかし、全体としてのキャビティ容積が減少する結果、計量条件や射出速度および射出保圧圧力等を改めて適正化する必要が生じるので、ゲートカット作業を行った場合には、成形条件を決めるための条件出し作業を改めて行わなければならない。ゲートカットされた金型が再び運転スケジュールに設定された時に金型の不一致が検出されないよう、オペレータは、予め、条件出し作業で得た成形条件をこの金型の金型識別子に対応させてホストコンピュータHCの記憶装置51に更新記憶させ、また、ここで得た成形条件によって射出成形作業を行った時の射出圧力の変化特性を金型識別子に対応する記憶装置51の波形記憶ファイルF1に更新設定しておく。
【0044】
なお、第2回目以降の生産スケジュールでそれ以前と同様の金型を用いて樹脂の種類だけを交換したときに不一致が検出されたのであれば段取り誤りの対象が樹脂のみに特定されるので金型の確認は必要なく、また、同種の樹脂を用いて金型だけを交換したときに不一致が検出されたのであれば段取り誤りの対象が金型のみに特定されるので樹脂の確認は必要ない。
【0045】
前述の実施例では複数種の金型および複数種の樹脂を用いて射出成形作業を行う場合の段取り誤りの検出について説明したが、同種の樹脂と複数種の金型を用いて射出成形作業を行う場合には樹脂識別子は不要となるので金型識別子に対応させて成形条件と基準圧力波形のみを記憶させればよく、また、同一の金型と複数種の樹脂を用いて射出成形作業を行う場合には金型識別子が不要となるので樹脂識別子に対応させて成形条件と基準圧力波形のみを記憶させればよい。
【0046】
以上、一実施例として複数の射出成形機を管理するホストコンピュータHCにより各射出成形機の制御装置に金型識別子や使用対象樹脂の識別子および成形条件を転送してスケジュール運転を行う場合の処理について説明したが、単一の射出成形機により複数の金型を用いてスケジュール運転を行うような場合では、前記と同様の処理を射出成形機の制御装置によって行わせることができる。
【0047】
金型の同一不同一や樹脂の同一不同一を判別する際には製品形状および金型の内部構造や樹脂の種類に固有の特性、つまり、射出圧力波形の変化特性に基いて一致不一致の判別処理を行うべきであるが、より広い意味では、製品形状および樹脂の種類との間にある程度の信頼性を確保することのできる他の相関関係、例えば、製品形状や金型の内部構造および樹脂の種類と成形条件によって決まる固有の射出速度波形(基準速度波形)と実際に装着された金型を対象として検出される検出速度波形とを比較すること等によってもある程度の信頼性で金型の不一致を判定することが可能であり、その効果は本発明の域をでない。
【0048】
【発明の効果】
本発明の段取り誤り検出方法は、金型や樹脂の識別子と基準圧力波形を対応させて予め射出成形機の管理システムや制御装置に記憶させておき、実際の射出成形作業で検出された射出圧力波形と指定された金型や樹脂の識別子に対応して記憶された基準圧力波形とを比較することにより金型や樹脂の同一不同一を判別するようにしたので、取り付けるべきではない金型を誤って装着してしまったり投入すべきでない樹脂を投入してしまったような場合、特に、比較的成形条件が近似するような金型を誤って装着してしまったり温度設定の条件が似通った樹脂を投入してしまったような場合であってさえ、金型や樹脂型の同一不同一を確実に検出することができる。この結果、不要な製品の製造によって生じる材料および時間の浪費や、必要とされる製品の生産の遅れを確実に防止することができる。また、誤って装着された金型が不適当な成形条件や投入樹脂で酷使されることもなくなるので、金型の損傷が防止される。更に、彫印やバーコードによって金型のモールドベースに付与された金型識別子を確認するだけではこれまで発見することのできなかった、単一のモールドベースを多種多様の製品に適用した場合の製品内容の相違や、メンテナンスや修理時の再組み立て作業で生じた金型の組み違い等、外見からでは判定困難な異常による異製品の製造や不良品の製造も未然に防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による段取り誤り検出方法を適用した一実施例の電動式射出成形機の要部を示すブロック図である。
【図2】管理システムとしてのホストコンピュータの要部を示すブロック図である。
【図3】波形記憶ファイルを示す概念図である。
【図4】生産スケジュール管理の概略を示すアルゴリズムである。
【図5】段取り誤り検出処理の概略を示すフローチャートである。
【図6】判別結果を確認するための表示画面の一例である。
【符号の説明】
4 圧力検出器
16 PMC用CPU
17 CNC用CPU
19 ディスプレイ付手動データ入力装置
26 不揮発性メモリ
30 通信インターフェイス
32 RAM
33 モニタ用CPU
50 マイクロプロセッサ
51 記憶装置
53 RAM
55 通信インターフェイス
Sa,Sb,Sc 射出成形機
Na,Nb,Nc 制御装置
HC ホストコンピュータ

Claims (6)

  1. 複数の射出成形機を管理する管理システム内に各金型の金型識別子と成形条件および基準圧力波形を対応させて記憶させておき、射出成形作業時に射出圧力をサンプリングして検出し、取付けが指定された金型の金型識別子に対応して記憶された基準圧力波形と比較し、射出成形機に取付けられている金型が指定された金型と同一であるか否かを判別するようにした射出成形機の段取り誤り検出方法。
  2. 射出成形機の制御装置に各金型の金型識別子と成形条件および基準圧力波形を対応させて記憶させておき、射出成形作業時に射出圧力をサンプリングして検出し、取付けが指定された金型の金型識別子に対応して記憶された基準圧力波形と比較し、射出成形機に取付けられている金型が指定された金型と同一であるか否かを判別するようにした射出成形機の段取り誤り検出方法。
  3. 複数の射出成形機を管理する管理システム内に各樹脂の樹脂識別子と成形条件および基準圧力波形を対応させて記憶させておき、射出成形作業時に射出圧力をサンプリングして検出し、投入が指定された樹脂の樹脂識別子に対応して記憶された基準圧力波形と比較し、射出成形機に投入されている樹脂が指定された樹脂と同一であるか否かを判別するようにした射出成形機の段取り誤り検出方法。
  4. 射出成形機の制御装置に各樹脂の樹脂識別子と成形条件および基準圧力波形を対応させて記憶させておき、射出成形作業時に射出圧力をサンプリングして検出し、投入が指定された樹脂の樹脂識別子に対応して記憶された基準圧力波形と比較し、射出成形機に投入されている樹脂が指定された樹脂と同一であるか否かを判別するようにした射出成形機の段取り誤り検出方法。
  5. 複数の射出成形機を管理する管理システム内に各金型の金型識別子と樹脂識別子と成形条件と使用すべき樹脂を使用したときの基準圧力波形とを対応させて記憶させておき、射出成形作業時に射出圧力をサンプリングして検出し、取付けが指定された金型の金型識別子および投入が指定された樹脂の樹脂識別子に対応して記憶された基準圧力波形と比較し、射出成形機に取付けられている金型および射出成形機に投入されている樹脂が共に指定された金型および樹脂と同一であるか否かを判別するようにした射出成形機の段取り誤り検出方法。
  6. 射出成形機の制御装置に各金型の金型識別子と樹脂識別子と成形条件と使用すべき樹脂を使用したときの基準圧力波形とを対応させて記憶させておき、射出成形作業時に射出圧力をサンプリングして検出し、取付けが指定された金型の金型識別子および投入が指定された樹脂の樹脂識別子に対応して記憶された基準圧力波形と比較し、射出成形機に取付けられている金型および射出成形機に投入されている樹脂が共に指定された金型および樹脂と同一であるか否かを判別するようにした射出成形機の段取り誤り検出方法。
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