JP3594651B2 - 複写帳票 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ノーカーボン複写方式の複写帳票に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図7は、従来のこの種の複写帳票を示すものであり、(a)はその斜視図、(b)は(a)のD−D線で切断した概略断面図である。
図7(a)に示すように、複写帳票10において、上側帳票12は、図中左側の端部にて、下側帳票13と互いに綴じ合わされている。
さらに、この綴じ部14から、それぞれ切離し可能なように、上側帳票12と下側帳票13には、切り取り用ミシン目mが形成されている。
また、複写伝票10の上側帳票12は、鉛筆、ボールペン等の筆記具、或いはプリンター等で記入、印字可能であり、記入欄5に記入または印字された文字等の情報は、その筆圧、印字圧によって、下側帳票13に複写される。
【0003】
ここで、上側帳票12の裏面(下面)には、発色層21が形成され、下側帳票13の表面(上面)には、顕色層31が形成されている。そして、筆圧・印字圧によって、上側帳票12の裏面の発色層21の発色カプセルが破砕され、発色色素が下側帳票13の表面の顕色層31と反応することによって発色し、情報が下側帳票13に複写されるのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述の従来の複写帳票では、以下の問題があった。
従来の複写帳票は、その一端部のみで綴じられていたため、綴じ部がない側の帳票がめくれて、記入または印字が行いずらく、また、記入、印字の際に、上側帳票と下側帳票がずれて、複写された情報が、下側帳票の記入枠からはみ出たり、複写された情報の並びがずれて、体裁が悪いものとなる場合があった。
【0005】
また、このような、問題点を解決するにあたって、一端部だけではなく、他の端部を固定することが考えられる。しかし、一般の複写帳票を構成している、所謂ノーカーボン紙はその基材は紙である。そして、この紙で構成された、上側帳票と下側帳票を接着剤で剥離可能に仮止めしようとすると、接着剤の接着力の調整が難しい。つまり、接着力を上げ過ぎると、上側帳票を剥離した際に、いづれかの帳票の紙が破れてしまい、逆に、接着力を下げ過ぎると二つの帳票をうまく固定することができない。仮に、剥離可能に固定できた場合でも、下側帳票に残された接着剤のタック(ベタツキ感)が残ってしまい、この下側帳票を後の処理に使用する際に、支障をきたす恐れがあった。
【0006】
また、上側帳票と下側帳票の例えば四隅を強固に接着して、その四つの接着部にミシン目等を設けて、切り離すことも考えられるが、一々切り取るのも煩雑であり、不要なゴミを発生してしまうという問題もあった。
【0007】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであって、複写帳票の上側帳票と下側帳票を固定して、ずれのない状態で複写を行えるとともに、上側帳票と下側帳票を分離する際には、容易に剥離させることができる複写帳票を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、裏面にマイクロカプセルを有する発色層が形成されてなる上側帳票と、表面に顕色層が形成されてなる下側帳票とからなる複写帳票において、上側帳票基材が合成紙からなるとともに、上側帳票と下側帳票の上下端で、前記顕色層と前記発色層の間に接着部にて固定することで、前記上側帳票は前記マイクロカプセルにより剥離可能なる構成とした。
【0009】
【作用】
本発明の複写帳票は、記入または印字の際には、上側帳票と下側帳票が接着されて、固定されており、両者を剥離する際には、上側帳票の発色剤が剥離剤として働き、容易に剥離することができ、さらに、下側帳票の接着剤の上に発色剤が転移して、下側帳票に残る接着剤のタック(ベタツキ感)を減少させることができる。
【0010】
【実施例】
以下、図面を参照しながら、本発明の複写帳票を詳細に説明する。
図1は本発明による複写帳票の一実施例を示す斜視図であり、図2は図1のA−A線断面図である。
図1に示すように、複写帳票1は、上側帳票2と下側帳票3が接着部4(図中点線で示す)にて上下端で剥離可能に接着されてなるものである。また、上側帳票2には記入欄5が形成されており 同様の記入欄が、下側帳票3の上側帳票2に対応した位置にも設けられている。
図2に示すように、上側帳票2は、上側帳票基材である合成紙20の裏面(図中、下面)に発色層21が形成されている。そして、下側帳票3は、下側帳票基材30の表面(図中、上面)に顕色層31が形成されてなるものである。下側帳票基材30は、いかなる素材のものを使用してもよく、用紙基材に顕色剤が塗布された、所謂、ボトム紙を用いれば安価である。なお、40は上側帳票及び下側帳票を剥離可能に接着する接着剤層を示している。
【0011】
ここで、本発明の上側帳票基材を構成する合成紙20とは、合成樹脂(合成高分子)を主原料とし、天然紙に相当する外観(白さ)、不透明性、印刷適性、筆記(印字)適性を有するものをいう。
合成紙の主原料として使用しうる合成樹脂としては、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート等があげられる。
【0012】
合成紙の製造方法として、以下の方法が主な方法として知られている。
第1の方法として、内部紙化法があげられる。この方法は、合成樹脂とその他の添加剤等を溶融し、押し出し機を用いて成膜化する方法である。さらにこの方法には、無延伸方式と、2軸延伸方式とがある。2軸延延伸方式とは、最初に厚めの溶融樹脂膜を押し出し、冷却後、加熱し、縦横方向に延伸して成膜化する方法である。
第2の方法として、表面紙化法があげられる。この方法は、基材に表面加工を施して合成紙を製造する方法である。この方法には、プラスチックフィルムからなる基材の表面に化学的あるいは物理的処理(マット加工等)を施すことにより、表面に微多孔層を形成する表面処理方式と、合成高分子からなる基材の表面に白色ピグメントを塗布する表面塗工方式とがある。
以上の製造方法により、表面に白さ(不透明さ)が与えられるとともに、筆記性、インキの受理性が与えられる。
【0013】
また、本発明に使用する合成紙においては、剥離の際に、引張力が生じるので、以上説明した合成紙の中から、表面強度が大きいものを選択すれば好適である。
【0014】
また、発色層21は、発色カプセルを内包した層である。ここで発色カプセルとは、微小なマイクロカプセル中に、ロイコ染料等の発色色素を封入したものである。
【0015】
顕色層31は、発色層21の発色色素と反応することによって発色する層であり、活性クレーなどの無機固体酸、フェノール樹脂やマレイン酸樹脂などのレジン系顕色剤からなる。
【0016】
接着剤層40に用いる接着剤としては、発色層及び顕色層の両方に接着性を発現するものであればよく、従来公知の接着剤、粘着剤の中から適宜選択される。
【0017】
次に、この複写帳票1の使用方法について説明すると、まず、記入欄5に、必要な情報を適宜、鉛筆やボールペン等で記入するか、或いはまた、プリンターで印字する。このとき、上側帳票2と下側帳票3は接着部4にて固定されているので、ずれたり、めくれたりすることはない。
そして、図3に示すように、記入または印字済みの上側帳票2を複写済みの下側帳票3から剥離する。この場合において、図3のB−B線断面図である図4及びC−C線断面図である図5で示すように、上側帳票2の合成紙20から、発色層21が剥離する。
これは、上側帳票基材が合成紙であるので、通常の紙に比べて、表面強度が強く、紙の様に紙むけが容易に起こらないこと、さらに、発色層がマイクロカプセルを包含しているので、合成紙、発色層、接着剤層に引張力が生じた際に、発色層と合成紙との界面において、発色層のマイクロカプセルが破壊されて、接着剤層側に転移、或いは、マイクロカプセル自体が接着剤層側に転移するので、容易に剥離することができるものである。
そして、下側帳票3の接着剤層40の表面に転移した発色層21は、接着剤層40の表面を覆うことにより、接着剤層40のタック(ベタツキ感)を減少させるのである。よって、下側帳票3も上側帳票2と同様に、次の処理、例えば、ファイルに綴じ込んだり、OCRリーダーで読取る等の処理を支障なく行うことができる。
【0018】
以上説明した実施例に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の変形、変更が可能である。
図6(a)に示すように、剥離可能な接着部4のみでなく、強固な接着による綴じ部14を形成し、一端部を剥離不能に固定して、ミシン目mによって、上側帳票及び下側帳票を切り取ってもよい。
また、図6(b)に示すように、接着部4は、四辺全てに形成してもよく、さらに、上側帳票2と下側帳票3の幅に差異を付けて構成すれば、上側帳票2を剥離する際には、剥離の切っ掛けとすることができるので、好適である。
また、本発明の複写帳票の内部に、表面に顕色層を有し、裏面に発色層を有する、所謂、ミドル紙を数枚綴じ込んでも良い。
また、本発明の複写帳票の下側帳票の裏面に発色層を形成して、この下にミドル紙やボトム紙を加えてもよく、下側帳票の裏面に通常のカーボン層を形成して、下位に他の帳票を追加してもよい。
さらには、本発明の複写帳票の下に追加する複写帳票は、ノーカーボン方式に限らず、通常のカーボン紙でもよく、自己発色タイプのセルフコンティンド紙でもよい。
そして、本発明の複写帳票は、複写を必要とする用途であれば、荷札、タグ、配送伝票、ラベル等に使用することができる。
【0019】
【発明の効果】
本発明の複写帳票は、裏面に発色層が形成されてなる上側帳票と、表面に顕色層が形成されてなる下側帳票とからなる複写帳票の、上側帳票基材を合成紙で構成し、上側帳票と下側帳票は剥離可能に接着したものであるので、筆記またはプリンターでの印字の際に、ずれたり、めくれたりすることがなく、また、上側帳票を剥離する際には、上側帳票を容易に剥離することができるとともに、下側帳票に残留する接着剤のタック(ベタツキ感)を減少させることができる。
以上
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による複写帳票の一実施例を示す斜視図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】複写帳票1の剥離の状態を示す斜視図である。
【図4】図3のB−B線断面図である。
【図5】図3のC−C線断面図である。
【図6】本発明による複写帳票の他の実施例を示す斜視図である。
【図7】従来の複写帳票を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 複写帳票
2 上側帳票
3 下側帳票
4 接着部
5 記入欄
20 合成紙
21 発色層
31 顕色層
30 下側帳票基材
40 接着剤層

Claims (1)

  1. 裏面にマイクロカプセルを有する発色層が形成されてなる上側帳票と、表面に顕色層が形成されてなる下側帳票とからなる複写帳票において、上側帳票基材が合成紙からなるとともに、上側帳票と下側帳票の上下端で、前記顕色層と前記発色層の間に接着部にて固定することで、前記上側帳票は前記マイクロカプセルにより剥離可能なることを特徴とする複写帳票。
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