JP3594256B2 - テンションの測定方法及び装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、長尺の線状物、テープ、シート類等からなる種々の長尺物のテンションを正確に測定するためのテンションの測定方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
テンションの測定方法及び装置として、テンション検出部におけるセンシングローラ等からなる可動接触子に被測定長尺物を巻き掛け、前記接触子における被測定長尺物の曲げにより生じるテンションの分力を荷重検出部により検出すると共にその検出値に基づいてテンションを演算するようにしたものが広く知られている。
【0003】
前記測定方法及び装置では、被測定長尺物の剛性による曲げ応力が接触子に加わって荷重検出部の検出値に影響を与え、これがテンションの測定誤差の原因となっている。このような被測定長尺物の剛性を考慮したテンションの測定方法及び装置として、特公平5−16539号及び特公平6−52208号等の各公報には、任意の径又は厚みを有する被測定長尺物について荷重検出部による剛性の影響を含む実際の検出値を特定の実験式や理論式に基づいて剛性の影響を除いた理想の検出値に換算し、そのように換算された理想の検出値から、予め記憶させたテンションと理想の検出値の関係式等に基づいてテンションを演算するようにしたものが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、テンションの演算に際して実際の検出値から理想の検出値への換算を介在させる前記テンションの測定方法及び装置では、正確な測定値が得られる反面、演算処理が複雑で実用範囲の処理速度を得るために大容量の演算処理装置を要し、しかも記憶装置へのデータ入力にも多大の工数を要する等の問題があった。
【0005】
本発明の解決すべき課題は、被測定長尺物の剛性等に起因する測定誤差の発生をなくし、しかも検出値からテンションを求めるための演算処理を簡素化すると共に記憶装置へのデータ入力の作業を軽減したテンションの測定方法及び装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るテンションの測定方法は、被測定長尺物の曲げにより生じるテンションの分力を検出してテンションを演算するようにしたテンションの測定方法において、被測定長尺物と同種で互いに異なる径又は厚みD 〜D を有する複数条の基準長尺物について複数個の基準テンションT 〜T の作用時に各々検出される基準検出値X11〜X1n乃至Xk1〜Xknと、被測定長尺物と同種の長尺物における径又は厚みDと剛性に関係するパラメータYの関係式Y=g(D)とを記憶し、複数条中の2条の基準長尺物の径又は厚みD 、D 及び被測定長尺物の径又は厚みD と各々対応するパラメータY 、Y 及びY を関係式Y=g(D)に基づいて演算し、径又は厚みD 、D の基準長尺物に係る基準検出値Xa1〜Xan及びXb1〜XbnからパラメータY 、Y 及びY に基づいて基準テンションT 〜T の作用時に検出されるべき径又は厚みD の被測定長尺物に係る仮想検出値X01〜X0nを比例按分的に内挿又は外挿すると共にそれらを直線的に点綴して検出値X とテンションTの関係式T=f (X )を求め、関係式T=f (X )に基づいてその変数X を検出値X としてテンションT を演算することを特徴としている。
【0007】
また、本発明に係るテンションの測定装置は、被測定長尺物の曲げにより生じるテンションの分力を検出してテンションを演算するようにしたテンションの測定装置において、被測定長尺物と接触する可動接触子を備えたテンション検出部と、テンション検出部の接触子に加わるテンションの分力を検出値X として検出する荷重検出部と、被測定長尺物の径又は厚みD を検出又は設定する径又は厚み検出設定部と、被測定長尺物と同種で互いに異なる径又は厚みD 〜D を有する複数条の基準長尺物について複数個の基準テンションT 〜T の作用時に荷重検出部により各々検出される基準検出値X11〜X1n乃至Xk1〜Xknを記憶するデータ記憶部と、被測定長尺物と同種の長尺物における径又は厚みDと剛性に関係するパラメータYの関係式Y=g(D)を記憶するパラメータ関数記憶部と、複数条中の2条の基準長尺物の径又は厚みD 、D 及び被測定長尺物の径又は厚みD と各々対応するパラメータY 、Y 及びY を関係式Y=g(D)に基づいて演算し、径又は厚みD 、D の基準長尺物に係る基準検出値Xa1〜Xan及びXb1〜XbnからパラメータY 、Y 及びY に基づいて基準テンションT 〜T の作用時に荷重検出部により検出されるべき径又は厚みD の被測定長尺物に係る仮想検出値X01〜X0nを比例按分的に内挿又は外挿すると共にそれらを直線的に点綴して検出値X とテンションTの関係式T=f (X )を求める第一演算部と、関係式T=f (X )に基づいてその変数X を荷重検出部により検出された検出値X としてテンションT を演算する第二演算部とを備えたことを特徴とするものである。
【0008】
テンション検出部における接触子としては、例えば公知のセンシングローラやバー等が使用される。
【0009】
荷重検出部はテンションの分力を歪量や接触子の変位量等に変換すると共にそれらを検出値として出力するものであり、テンションと検出値との間には略直線的な相関性が認められる。この場合、荷重検出部に例えば10以上の比較的大きなばね定数を有する弾性体を使用し、テンションの変化量に対する接触子の変位量、したがって接触子に巻き掛けられた被測定長尺物の曲げ角度の変化量が極めて小さくなるように構成すると、テンションと検出値との間に特に優れた直線的相関性が得られ、このときの検出値には接触子の微小な変位量よりも歪量を採用することが検出精度からみて好ましい。前記観点から、例えば、荷重検出部が歪ゲージ式ロードセルからなるものを好適に採用することができる。
【0010】
径又は厚み検出設定部には、例えば、被測定長尺物のサンプルやそれと同じ径又は厚みを有する厚みゲージを装着して被測定長尺物の径又は厚みを検出するようにした公知の線径検出装置や被測定長尺物の径又は厚みの既知の値を入力設定する線径設定装置等を採用することができる。
【0011】
被測定長尺物と同種の長尺物における径又は厚みDとパラメータYの関係式Y=g(D)は、好ましくは、長尺物の材質、断面形状その他の測定条件に応じて変動幅を有するY=D2.7 〜D4.5 の範囲から選択することができる。
【0012】
なお、前記構成において、接触子に巻き掛けられる被測定長尺物の曲げ角度が被測定長尺物の径又は厚みの変化に影響されないように構成した公知の曲げ角度補正装置を必要に応じて採用してもよい。
【0013】
【作用】
前記構成において、径又は厚みD 、D の基準長尺物に係る基準検出値Xa1〜Xan及びXb1〜XbnからパラメータY 、Y 及びY に基づいて基準テンションT 〜T の作用時に検出されるべき径又は厚みD の被測定長尺物に係る仮想検出値X01〜X0nが計算式X01=(Xb1−Xa1)(Y −Y )/(Y −Y )+Xa1及び計算式X0n=(Xbn−Xan)(Y −Y )/(Y −Y )+Xan等によって比例按分的に内挿又は外挿されると共にそれらの直線的点綴により検出値X とテンションTの関係式T=f (X )が得られ、前記関係式T=f (X )に基づいてその変数X を検出値X としてテンションT が演算されると共に必要に応じて出力表示される。
【0014】
径又は厚みD 、D の2条の基準長尺物としては、より高い測定精度を得るために、被測定長尺物の径又は厚みD により近い径又は厚みD 、D を有するものを複数条の基準長尺物の中から選択することが好ましく、そのような選択を可能にするために3条以上の基準長尺物に係る基準検出値が予め格納されることが好ましい。
【0015】
テンションの変化量に対する被測定長尺物の曲げ角度の変化量が極めて小さい場合には、テンションと検出値との間に優れた直線的相関性が得られるので、基準テンションは必要に応じて2個のみ採用されてもよく、その場合に得られる関係式T=f (X )は全体として直線を呈することになる。
【0016】
前記基準検出値のデータは、必要に応じて、材質や断面形状等の異なる複数種類の基準長尺物ごとに個別に選択的出力可能にデータ記憶部等に格納される。前記関係式Y=g(D)もまた、必要に応じて、材質や断面形状等の異なる複数種類の長尺物ごとに選択的出力可能にパラメータ関数記憶部等に記録される。これらの場合、測定対象となる被測定長尺物の種類と対応する基準検出値及び関係式Y=g(D)が、別に設けた長尺物の種類設定装置等に基づいて選択されるようにしてもよい。
【0017】
前記関係式Y=g(D)がY=D2.7 〜D4.5 の範囲から選択されたものでは、殆ど全ての種類の被測定長尺物に対して良好に適用でき、通常の場合は材料力学的に推定されるY=D を好適に採用することができる。
【0018】
【実施例】
図1は本発明の実施例に係るテンションの測定方法及び装置の演算構成を示すブロック線図、図2は図1に示すテンションの測定方法及び装置の演算構成を座標上で説明するグラフ線図である。
【0019】
図1において、荷重検出部1では、テンション検出部2において生じたテンションの分力Fが検出値X として検出され、径又は厚み検出設定部3では、被測定長尺物の径又は厚みD が検出又は設定される。
【0020】
データ記憶部4には、被測定長尺物と同種で互いに異なる径又は厚みD 、D を有する2条の基準長尺物について2個の基準テンションT 、T の作用時に荷重検出部1により各々検出される、径又は厚みD の基準長尺物に係る基準検出値X11、X12及び径又は厚みD の基準長尺物に係る基準検出値X21、X22の各データが予め格納される。前記データは、図2に示すX−T座標において、径又は厚みD の基準長尺物については基準検出値X11、X12を直線で点綴してなる仮想関係式T=f (X )として、また径又は厚みD の基準長尺物については基準検出値X21、X22を直線で点綴してなる仮想関係式T=f (X )として表されている。
【0021】
パラメータ関数記憶部5には、被測定長尺物と同種の長尺物における径又は厚みDと剛性に関係するパラメータYの関係式Y=g(D)が予め与えられる。
【0022】
第一演算部6では、基準長尺物の径又は厚みD 、D 及び被測定長尺物の径又は厚みD と各々対応するパラメータY 、Y 及びY が関係式Y=g(D)に基づいて演算される。前記演算過程は、図2に示すD−Y座標において関係式Y=g(D)と共に表されている。
【0023】
さらに、第一演算部6では、径又は厚みD 、D の基準長尺物に係る基準検出値X11、X12及びX21、X22から、パラメータY 、Y 及びY に基づいて、径又は厚みD を有する被測定長尺物についての基準テンションT の作用時における仮想検出値X01が計算式X01=(X21−X11)(Y −Y )/(Y −Y )+X11により、また基準テンションT の作用時における仮想検出値X02が計算式X02=(X22−X12)(Y −Y )/(Y −Y )+X12により各々比例按分的に内挿又は外挿されると共にそれらの直線的点綴によって検出値X とテンションTの関係式T=f (X )が得られる。前記内挿又は外挿の過程は、図2に示すX−T座標において関係式T=f (X )と共に表されている。
【0024】
続いて、第二演算部7において、前記関係式T=f (X )に基づいてその変数X を荷重検出部1により検出された検出値X としてテンションT が演算され、必要に応じて出力表示部8を介して出力される。前記演算過程は、図2に示すX−T座標において表されている。
【0025】
なお、前記演算構成では、理解を容易にするために、互いに異なる径又は厚みD 、D を有する2条の基準長尺物について2個の基準テンションT 、T の作用時における基準検出値が所要データとしてデータ記憶部4に記憶される場合を示したが、測定精度をさらに高めるために、必要に応じて、3条以上の基準長尺物及び3個以上の基準テンションが個別に又は併せて採用されてもよく、3条以上の基準長尺物が採用される場合は、前記演算に際して適当な2条の基準長尺物が選択される。
【0026】
図3は図1に示すテンションの測定装置の内部正面概要図である。同図において、ケース11頂部にテンション検出部2が設けられ、テンション検出部2は2個のガイドローラ12の中間にセンシングローラからなる接触子13を配置してなり、両ガイドローラ12はその支持体14においてケース11に圧縮ばね15を介して設けられると共に把手16の操作で上方への変位可能に下方に付勢され、接触子13はケース11内に設置した中空四辺形状の歪ゲージ式ロードセルからなる荷重検出部1の受圧部分17に連結され、両ガイドローラ12及びセンシングローラ13には被測定長尺物18がS字状に巻き掛けられている。
【0027】
両ガイドローラ12の支持体14とケース11との間には被測定長尺物18の径又は厚みと同じ厚みを有する厚みゲージ19が挟設され、両ガイドローラ12は接触子13に対して前記厚み分だけ上方に変位させられている。これらは公知の曲げ角度補正装置を構成し、接触子13に巻き掛けられた被測定長尺物18の曲げ角度θが被測定長尺物18の径又は厚みの変化に影響されないようにしている。
【0028】
また、両ガイドローラ12の支持体14には、位置検出装置からなる径又は厚み検出設定部3が設けられ、これは前記曲げ角度補正装置において挟設された厚みゲージ19の厚みを被測定長尺物18の径又は厚みとして検出する。
【0029】
なお、既述の演算構成部分及びそれらを駆動する電源装置等については、図3における図示を省略する。
【0030】
【発明の効果】
本発明に係るテンションの測定方法及び装置は以上のように構成されるので、被測定長尺物の剛性等に起因する測定誤差の発生をなくし、しかも検出値からテンションを求めるための演算処理を比例按分的内挿又は外挿や直線的点綴による直線近似等の採用により大幅に簡素化すると共に記憶装置へのデータ入力の作業を軽減することができる。
【0031】
関係式Y=g(D)がY=D2.7 〜D4.5 の範囲から選択されたものでは、実測値に殆ど等しいテンションの演算値を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るテンションの測定方法及び装置の演算構成を示すブロック線図である。
【図2】図1に示すテンションの測定方法及び装置の演算構成を座標上で説明するグラフ線図である。
【図3】図1に示すテンションの測定装置の内部正面概要図である。
【符号の説明】
1 荷重検出部
2 テンション検出部
3 径又は厚み検出設定部
4 データ記憶部
5 パラメータ関数記憶部
6 第一演算部
7 第二演算部

Claims (3)

  1. 被測定長尺物の曲げにより生じるテンションの分力を検出してテンションを演算するようにしたテンションの測定方法において、被測定長尺物と同種で互いに異なる径又は厚みD 〜D を有する複数条の基準長尺物について複数個の基準テンションT 〜T の作用時に各々検出される基準検出値X11〜X1n乃至Xk1〜Xknと、被測定長尺物と同種の長尺物における径又は厚みDと剛性に関係するパラメータYの関係式Y=g(D)とを記憶し、複数条中の2条の基準長尺物の径又は厚みD 、D 及び被測定長尺物の径又は厚みD と各々対応するパラメータY 、Y 及びY を関係式Y=g(D)に基づいて演算し、径又は厚みD 、D の基準長尺物に係る基準検出値Xa1〜Xan及びXb1〜XbnからパラメータY 、Y 及びY に基づいて基準テンションT 〜T の作用時に検出されるべき径又は厚みD の被測定長尺物に係る仮想検出値X01〜X0nを比例按分的に内挿又は外挿すると共にそれらを直線的に点綴して検出値X とテンションTの関係式T=f (X )を求め、関係式T=f (X )に基づいてその変数X を検出値X としてテンションT を演算することを特徴とするテンションの測定方法。
  2. 被測定長尺物の曲げにより生じるテンションの分力を検出してテンションを演算するようにしたテンションの測定装置において、被測定長尺物と接触する可動接触子を備えたテンション検出部と、テンション検出部の接触子に加わるテンションの分力を検出値X として検出する荷重検出部と、被測定長尺物の径又は厚みD を検出又は設定する径又は厚み検出設定部と、被測定長尺物と同種で互いに異なる径又は厚みD 〜D を有する複数条の基準長尺物について複数個の基準テンションT 〜T の作用時に荷重検出部により各々検出される基準検出値X11〜X1n乃至Xk1〜Xknを記憶するデータ記憶部と、被測定長尺物と同種の長尺物における径又は厚みDと剛性に関係するパラメータYの関係式Y=g(D)を記憶するパラメータ関数記憶部と、複数条中の2条の基準長尺物の径又は厚みD 、D 及び被測定長尺物の径又は厚みD と各々対応するパラメータY 、Y 及びY を関係式Y=g(D)に基づいて演算し、径又は厚みD 、D の基準長尺物に係る基準検出値Xa1〜Xan及びXb1〜XbnからパラメータY 、Y 及びY に基づいて基準テンションT 〜T の作用時に荷重検出部により検出されるべき径又は厚みD の被測定長尺物に係る仮想検出値X01〜X0nを比例按分的に内挿又は外挿すると共にそれらを直線的に点綴して検出値X とテンションTの関係式T=f (X )を求める第一演算部と、関係式T=f (X )に基づいてその変数X を荷重検出部により検出された検出値X としてテンションT を演算する第二演算部とを備えたことを特徴とするテンションの測定装置。
  3. 関係式Y=g(D)がY=D2.7 〜D4.5 の範囲から選択された請求項1記載のテンションの測定装置。
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