JP3593079B2 - 半導体集積回路装置及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体集積回路装置及びその製造方法に関し、特に、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の微細な繰り返しパターンを有する素子群の混載が可能なシステムLSIにおける、MOS型トランジスタのゲート電極・配線又はメタル配線等のライン状パターンを形成するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、例えばDRAMが混載された半導体集積回路装置として、搭載DRAM容量が20メガビットを超えるようなシステムLSIが量産化されつつある。
【0003】
また、DRAM、SRAM(Static Random Access Memory )又はROM(Read Only Memory)等のメモリー回路の1個の半導体チップへの搭載率(チップ全体の面積に対するメモリー回路の面積の比率:以下、占有面積率と称することもある)が用途又は仕様により異なるシステムLSIをはじめとする半導体集積回路装置の製造工程においては、ユニット回路が単に繰り返し配列されているだけではなく様々なレイアウトが施されたマスクパターンの加工が求められている。
【0004】
ところで、従来から、マスクパターンを用いて被加工膜に対してエッチングを行なうことにより得られるパターン(以下、加工パターンと称する)の形状又は寸法が、マスクパターンレイアウトつまり素子パターンの配置の仕方によって変化する現象が知られている。
【0005】
その一例としては、フォトリソグラフィ工程におけるレジストパターン形成時に生じるパターン近接効果がある。これは、同じ設計形状及び設計寸法を有するパターンであっても、該パターンと、それに隣接する他のパターンとがどの程度接近しているか、又は隣接する他のパターンがどのような形状をしているか等によって、該パターンの加工形状又は加工寸法が異なってくる現象である。
【0006】
また、他の例としては、ドライエッチング工程におけるローディング効果又はマイクロローディング効果があげられる。ローディング効果は、半導体チップ上における全被エッチング面積の大小に依存してエッチングレートが変化する現象であり、それによってパターン寸法の変動に若干の影響が生じることもある。マイクロローディング効果は、同一の半導体チップの内部にレイアウトされたパターンにおいて場所によって配列に粗密がある場合に、その粗密に依存して局所的にエッチングレートが異なる現象である。すなわち、全く同一のパターンであっても、それが疎に配列された箇所と密に配列された箇所とではエッチングレートが異なり、これによってもパターン寸法の変動に間接的な影響が生じる。
【0007】
前述のマスクパターンレイアウトに依存したパターン寸法の変動等の問題に対して、従来、近接効果又はローディング効果によってパターン寸法がマスクパターンレイアウトに依存して著しく変動すると考えられるようなマスク箇所でのみ、パターン寸法の変動を補正するような設計ルールが加えられていた。
【0008】
また、DRAMの混載が可能なシステムLSIの製造においては、DRAM搭載の有無又はDRAM占有面積率(チップ全体の面積に対するDRAMの面積の比率)に関係なく同一の加工方法又は加工条件が用いられてきた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、LSIの微細化の進展に伴って、具体的には、集積回路パターン寸法が0.25μm以下、特に0.15μm以下という微細化の進展に伴って、より高精度な寸法制御が求められるようになってきたため、マスクパターンレイアウトの違いに起因して生じる寸法ばらつきが無視できなくなりつつある。
【0010】
図8は、24メガビットのDRAMが搭載された半導体集積回路装置(以下、DRAM搭載品種と称する)、及びDRAMが搭載されていない半導体集積回路装置(以下、DRAM非搭載品種と称する)のそれぞれの製造においてレジストパターンをマスクとしてドライエッチングによりゲート電極を形成した場合における、エッチング前のレジストパターンの寸法と完成したゲート電極の寸法との差であるCD(critical dimension)ロスの頻度分布を示している。尚、図8に示す結果は、DRAM搭載品種及びDRAM非搭載品種のそれぞれの製造において同一のゲート電極加工プロセスを採用して得られたものである。また、CDロスの計算方法は、(エッチング前のレジストパターンの寸法)−(完成したゲート電極の寸法)である。
【0011】
図8に示すように、各品種について同一のゲート電極加工プロセスを用いているにも関わらず、パターン寸法にマスクパターンレイアウト依存性が発生している。
【0012】
すなわち、従来の半導体集積回路装置の製造方法においては、同一のゲート電極加工プロセスを採用したとしても、品種の違いに伴うマスクパターンレイアウトの違いによって、ゲート電極寸法がばらついてしまう。言い換えると、ゲート電極寸法に品種依存性が発生してしまう。その結果、特定のマスクを用いて製造される半導体集積回路装置の特定の品種において、MOS型トランジスタの特性が設計仕様からずれてしまい、動作マージンが狭くなってしまうという問題が生じる。このような問題は設計ルールが0.18μm以下になると特に無視できなくなる。
【0013】
前記に鑑み、本発明は、MOS型トランジスタのゲート電極・配線又はメタル配線等のライン状パターンを形成するときに、マスクパターンレイアウトの違いに起因して寸法ばらつきが生じることを防止することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、本願発明者らは、マスクパターンレイアウトの違いによって寸法ばらつきが生じる原因について検討した。
【0015】
その結果、CMOS(Complementaly Metal−Oxide Semiconductor )からなるロジック回路が搭載されており、且つゲート電極及び配線が密に配列されてなるDRAM等のメモリー回路が搭載された半導体集積回路装置においては、メモリ回路の占有面積率によってパターン寸法が変動することを見いだした。
【0016】
また、マスクパターンレイアウトの違いによって寸法ばらつきが生じる現象は、被エッチング面積の大小つまりパターン面積の大小に依存して生じる前述のローディング効果とは性質が異なることを見いだした。さらに、この現象は、図8から明らかなように、チップ内部の局所的なパターンの粗密等に依存して生じるマイクロローディング効果とも異なり、チップ全体にわたってパターン寸法が変動するという新規な性質の現象であるということを見いだした。
【0017】
ところで、前述のように、ゲート電極寸法等の加工寸法における品種依存性はCDロスに起因して発生している。一方、現在のドライエッチング工程では、サイドエッチングを防止して異方性ドライエッチングを達成するために、側壁保護効果を有するエッチングガス(以下、デポガスと称する)を用いるか、又は側壁保護効果を有するエッチング反応生成物を形成している。例えば、ポリシリコン膜に対してドライエッチングを行なってゲート電極を形成する場合、エッチングガスとして塩素含有ガスが用いられると同時にデポガスとしてHBrガスがよく用いられる。このようにすると、ポリシリコン膜の側壁に、HBrとポリシリコンとの反応生成物であるSiBr4 からなる揮発性の低い側壁保護膜が形成される。また、アルミニウム膜に対してドライエッチングを行なってアルミニウム配線を形成する場合、最近、デポガスとしてCHF3 ガスがよく用いられる。ここで、フッ素含有ガスであるCHF3 ガスは、側壁保護膜を形成するために添加された堆積性のガスである一方、アルミニウム膜のエッチングには寄与しない。
【0018】
そして、マスクパターンレイアウトと無関係に同一のゲート電極加工プロセスを用いる場合において被エッチング膜の加工形状を側壁保護効果により制御しようとすると、保護対象となる被エッチング膜の側壁の面積が増大するに従って単位面積当たりの側壁保護効果が減少し、それによりCDロスが増大してしまうことを本願発明者らは見出した。
【0019】
図9は、DRAM非搭載品種を含む様々なDRAM占有面積率を有する品種における、単位面積当たりのゲート電極周縁長(ゲート電極の周縁部の長さ)とDRAM占有面積率との関係を示している。尚、図9のグラフにおいて、縦軸にとった「単位面積当たりのゲート電極周縁長」とは、所定の回路領域上におけるゲート電極の総周縁長を所定の回路領域の面積で割った値を意味する。ここで所定の回路領域はチップ全体であってもよい。
【0020】
図9に示すように、DRAM占有面積率が増加するに従って、単位面積当たりのゲート電極周縁長が増大する。
【0021】
また、図10は、様々な品種における、単位面積当たりのゲート電極周縁長とCDロスとの関係を示している。
【0022】
図10に示すように、単位面積当たりのゲート電極周縁長が大きくなるとゲート電極寸法が細る(CDロスが正になる)一方、単位面積当たりのゲート電極周縁長が小さくなるとゲート電極寸法が太る(CDロスが負になる)。これは、単位面積当たりのゲート電極周縁長が大きくなるに従って、保護対象となる側壁の面積が増大し、それにより単位面積当たりの側壁保護効果が減少してしまうことが原因である。
【0023】
そして、本願発明者らは、単位面積当たりのゲート電極周縁長が大きくなるに従ってCDロスが負の値から正の値に単調に変化していくこと(図10参照)に着目して、品種によらず単位面積当たりのゲート電極周縁長を所定の範囲に設定するか、又は、単位面積当たりのゲート電極周縁長の品種毎の違いに応じてプロセス条件を調整することによって、マスクパターンレイアウトの違いに起因して寸法ばらつきが生じる事態を防止できることを見いだした。
【0024】
具体的には、本発明に係る第1の半導体集積回路装置は、ライン状パターンを有する回路パターンを備えた半導体集積回路装置を前提とし、ライン状パターンの単位面積当たりの周縁長が所定の範囲に設定されている。
【0025】
第1の半導体集積回路装置によると、ライン状パターンの単位面積当たりの周縁長が所定の範囲に設定されているため、半導体集積回路装置の品種によりマスクパターンレイアウトが大きく異なる場合にも、マスクパターンレイアウトの違いに起因してライン状パターンに寸法ばらつきが生じることを防止できる。従って、DRAM等の搭載率が用途又は仕様により異なるシステムLSIにおいても、ゲート電極又はメタル配線等の加工寸法をマスクパターンレイアウトと無関係に一定にできるので、動作マージンのバラツキが解消された半導体集積回路装置を実現できる。
【0026】
本発明に係る第2の半導体集積回路装置は、ライン状パターンを有する回路パターンを備えた半導体集積回路装置を前提とし、回路パターンの配置領域にダミーパターンが、ライン状パターンとダミーパターンとの合計の単位面積当たりの周縁長が所定の範囲に設定されるように挿入されている。
【0027】
第2の半導体集積回路装置によると、ダミーパターンの挿入によって、ライン状パターンとダミーパターンとの合計の単位面積当たりの周縁長が所定の範囲に設定されているため、半導体集積回路装置の品種によりマスクパターンレイアウトが大きく異なる場合にも、マスクパターンレイアウトの違いに起因してライン状パターンに寸法ばらつきが生じることを防止できる。従って、DRAM等の搭載率が用途又は仕様により異なるシステムLSIにおいても、ゲート電極又はメタル配線等の加工寸法をマスクパターンレイアウトと無関係に一定にできるので、動作マージンのバラツキが解消された半導体集積回路装置を実現できる。
【0028】
第2の半導体集積回路装置において、ダミーパターンは、その形状が短冊状であることが好ましい。
【0029】
このようにすると、ダミーパターンを簡単に形成できる。
【0030】
本発明に係る第3の半導体集積回路装置は、繰り返しパターンを有する素子群の形成領域に配置されており且つ第1のライン状パターンを有する第1の回路パターンと、素子群以外の他の部分の形成領域に配置されており且つ第2のライン状パターンを有する第2の回路パターンとを備えた半導体集積回路装置を前提とし、第2の回路パターンの配置領域にダミーパターンが、第1のライン状パターンと第2のライン状パターンとダミーパターンとの合計の単位面積当たりの周縁長が、第1のライン状パターンの単位面積当たりの周縁長と同程度以下になるように挿入されている。
【0031】
第3の半導体集積回路装置によると、素子群以外の他の部分と対応する第2の回路パターンの配置領域にダミーパターンが挿入されており、それによって、素子群と対応する第1の回路パターンの第1のライン状パターンと、第2の回路パターンの第2のライン状パターンと、ダミーパターンとの合計の単位面積当たりの周縁長が、第1のライン状パターンの単位面積当たりの周縁長、つまり最も大きい単位面積当たりの周縁長と同程度以下に設定されている。具体的には、前記の合計の単位面積当たりの周縁長が、第1のライン状パターンの単位面積当たりの周縁長の70〜100%に設定されていることが好ましい。すなわち、前記の合計の単位面積当たりの周縁長が所定の範囲に設定されているため、半導体集積回路装置の品種によりマスクパターンレイアウトが大きく異なる場合にも、マスクパターンレイアウトの違いに起因してライン状パターンに寸法ばらつきが生じることを防止できる。従って、DRAM等の搭載率が用途又は仕様により異なるシステムLSIにおいても、ゲート電極又はメタル配線等の加工寸法をマスクパターンレイアウトと無関係に一定にできるので、動作マージンのバラツキが解消された半導体集積回路装置を実現できる。
【0032】
第3の半導体集積回路装置において、素子群はメモリであることが好ましい。
【0033】
また、第3の半導体集積回路装置において、ダミーパターンの単位面積当たりの周縁長は、第1のライン状パターンの単位面積当たりの周縁長の70%以上であることが好ましい。
【0034】
このようにすると、ダミーパターンの挿入によって、前記の合計の単位面積当たりの周縁長が確実に所定の範囲、具体的には、第1のライン状パターンの単位面積当たりの周縁長の70〜100%に設定される。
【0035】
本発明に係る第1の半導体集積回路装置の製造方法は、ライン状パターンを有する回路パターンを備えており、製造工程の少なくとも一部が共通する複数の半導体集積回路装置を製造するための半導体集積回路装置の製造方法を前提とし、各半導体集積回路装置の製造工程は、回路パターンの配置領域にダミーパターンを、ライン状パターンとダミーパターンとの合計の単位面積当たりの周縁長が所定の範囲に設定されるように挿入する工程を含む。
【0036】
第1の半導体集積回路装置の製造方法によると、ダミーパターンの挿入によって、ライン状パターンとダミーパターンとの合計の単位面積当たりの周縁長を所定の範囲に設定する。具体的には、所定の範囲として、メモリ回路におけるライン状パターンの単位面積当たりの周縁長の70〜100%を想定することが望ましい。このとき、該規格が満たされるようにするためには、挿入されるダミーパターンの単位面積当たりの周縁長は、メモリ回路におけるライン状パターンの単位面積当たりの周縁長の70%以上である必要がある。ところで、加工パターンのCDロス又はパターン寸法は、該加工パターンの単位面積当たりの周縁長に依存して変化することが本願発明者らによって見いだされている。このため、メモリ回路のライン状パターンと比較してその70%以上の単位面積当たりの周縁長を有するダミーパターンを空き領域に追加形成することによって、半導体集積回路装置の品種によりマスクパターンレイアウトが大きく異なる場合にも、ライン状パターンとダミーパターンとの合計の単位面積当たりの周縁長を所定の範囲に設定できる。例えば、メモリ回路等の特定回路はその単位面積当たりのゲート電極周縁長が大きいため、チップ全体における単位面積当たりのゲート電極周縁長を大きく左右する。そして、チップ内における、このような特定回路の占有面積率が品種によって変動する場合にも、前述のようにダミーパターンを用いることによって、チップ全体における単位面積当たりのゲート電極周縁長のばらつきを抑制できる。その結果、マスクパターンレイアウトの違いに起因して寸法ばらつきが生じることを防止できる。すなわち、ライン状パターンを常に一定の寸法に精度良くエッチング加工することが可能となる。従って、DRAM、SRAM又はROM等の搭載率が用途又は仕様により異なるシステムLSIにおいても、MOS型トランジスタのゲート電極・配線又はメタル配線等の加工寸法をマスクパターンレイアウトと無関係に一定にできるので、動作マージンのバラツキが解消された半導体集積回路装置を実現できる。
【0037】
本発明に係る第2の半導体集積回路装置の製造方法は、半導体基板上における複数の第1領域のそれぞれに対して、ライン状パターンを有する回路パターンを転写するための露光を行なう工程と、半導体基板上における各第1領域と異なる複数の第2領域のそれぞれに対してダミーパターンを転写するための露光を行なう工程と、転写される全てのライン状パターンと転写される全てのダミーパターンとの合計の単位面積当たりの周縁長が所定の範囲に設定されるように、回路パターンを転写するための露光ショット数とダミーパターンを転写するための露光ショット数との比を調整する工程とを備えている。
【0038】
第2の半導体集積回路装置の製造方法によると、転写される全てのライン状パターンと転写される全てのダミーパターンとの合計の単位面積当たりの周縁長が所定の範囲に設定されるように、回路パターン転写の露光ショット数とダミーパターン転写の露光ショット数との比を調整する。このため、半導体集積回路装置の品種によりマスクパターンレイアウトが大きく異なる場合にも、マスクパターンレイアウトの違いに起因してライン状パターンに寸法ばらつきが生じることを防止できる。従って、DRAM等の搭載率が用途又は仕様により異なるシステムLSIにおいても、ゲート電極又はメタル配線等の加工寸法をマスクパターンレイアウトと無関係に一定にできるので、動作マージンのバラツキが解消された半導体集積回路装置を実現できる。
【0039】
本発明に係る第3の半導体集積回路装置の製造方法は、ライン状パターンを有する回路パターンを備えており、製造工程の少なくとも一部が共通する複数の半導体集積回路装置を製造するための半導体集積回路装置の製造方法を前提とし、各半導体集積回路装置の製造工程は、ライン状パターンの単位面積当たりの周縁長に応じてドライエッチング条件を調整しながら被加工膜に対してドライエッチングを行なう工程を含む。
【0040】
第3の半導体集積回路装置の製造方法によると、ライン状パターンの単位面積当たりの周縁長に応じてドライエッチング条件を調整しながら被加工膜に対してドライエッチングを行なうため、半導体集積回路装置の品種によりマスクパターンレイアウトが大きく異なる場合にも、ライン状パターンの寸法を常に所定値と等しくできる。従って、DRAM等の搭載率が用途又は仕様により異なるシステムLSIにおいても、ゲート電極又はメタル配線等の加工寸法をマスクパターンレイアウトと無関係に一定にできるので、動作マージンのバラツキが解消された半導体集積回路装置を実現できる。
【0041】
第3の半導体集積回路装置の製造方法において、ドライエッチング条件を調整する工程は、ライン状パターンの単位面積当たりの周縁長が一の範囲内にある場合に一のドライエッチング条件を設定する工程を含むことが好ましい。
【0042】
このようにすると、ドライエッチング条件の調整を簡単に行なえる。
【0043】
本発明に係る第4の半導体集積回路装置の製造方法は、ライン状パターンを有する回路パターンを備えており、製造工程の少なくとも一部が共通する複数の半導体集積回路装置を製造するための半導体集積回路装置の製造方法を前提とし、各半導体集積回路装置の製造工程は、ライン状パターンと対応するレジストパターンを、その寸法をライン状パターンの単位面積当たりの周縁長に応じて調整しながら形成する工程を含む。
【0044】
第4の半導体集積回路装置の製造方法によると、ライン状パターンと対応するレジストパターンを、その寸法をライン状パターンの単位面積当たりの周縁長に応じて調整しながら形成するため、半導体集積回路装置の品種によりマスクパターンレイアウトが大きく異なる場合にも、ライン状パターンの寸法を常に所定値と等しくできる。従って、DRAM等の搭載率が用途又は仕様により異なるシステムLSIにおいても、ゲート電極又はメタル配線等の加工寸法をマスクパターンレイアウトと無関係に一定にできるので、動作マージンのバラツキが解消された半導体集積回路装置を実現できる。
【0045】
本発明に係る第5の半導体集積回路装置の製造方法は、ライン状パターンを有する回路パターンを備えており、製造工程の少なくとも一部が共通する複数の半導体集積回路装置を製造するための半導体集積回路装置の製造方法を前提とし、各半導体集積回路装置の製造工程は、ライン状パターンと対応するレジストパターンを被加工膜の上に形成する第1の工程と、レジストパターンをマスクとして被加工膜に対してドライエッチングを行なう第2の工程とを備え、第2の工程は、エッチングにより被加工膜に形成される側壁を保護する側壁保護効果を有するエッチングガスを用いるか、又は側壁保護効果を有するエッチング反応生成物を形成する工程を含み、第1の工程及び第2の工程のうちの少なくとも1つの工程における処理方法又は処理条件を、回路パターンに含まれており且つ繰り返しパターンを有する素子群の面積の、回路パターンの配置領域の面積に対する比率に応じて調整する。
【0046】
第5の半導体集積回路装置の製造方法によると、ライン状パターンと対応するレジストパターンを形成する第1の工程、又は、該レジストパターンをマスクとして被加工膜に対してドライエッチングを行なう第2の工程において、繰り返しパターンを有する素子群の面積の、回路パターンの配置領域の面積に対する比率(以下、素子群占有面積率と称する)に応じて処理方法又は処理条件を変更する。このため、エッチングにより被加工膜に形成される側壁の面積が、素子群占有面積率の違いつまりマスクパターンレイアウトの違いによって異なる場合にも、第2の工程での単位面積当たりの側壁保護効果の違いを打ち消すように第1の工程でレジストパターンの寸法を調整したり、又は、第2の工程で所望の単位面積当たりの側壁保護効果が得られるようにエッチング条件を調整したりすることができる。従って、回路パターンをリソグラフィ技術及びドライエッチング技術によって形成するときに、マスクパターンレイアウトの違いに起因して寸法ばらつきが生じる事態を防止でき、それによって精度の良いゲート電極加工又は配線加工等を行なうことができる。
【0047】
第5の半導体集積回路装置の製造方法において、素子群はDRAM等のメモリであってもよい。
【0048】
第5の半導体集積回路装置の製造方法において、第1の工程は、素子群占有面積率が大きくなるに従って、レジストパターンの寸法を大きくする工程を含むことが好ましい。
【0049】
このようにすると、エッチングにより被加工膜に形成される側壁の面積が素子群占有面積率の増加により増大して、第2の工程で単位面積当たりの側壁保護効果が減少する場合にも、該側壁保護効果の減少分を補うことができるので、構成要素の寸法ばらつきを確実に抑制できる。
【0050】
第5の半導体集積回路装置の製造方法において、第2の工程は、素子群占有面積率が大きくなるに従って、側壁保護効果が増大するようにエッチング条件を設定する工程を含むことが好ましい。
【0051】
このようにすると、エッチングにより被加工膜に形成される側壁の面積が素子群占有面積率の増加により増大する場合にも、第2の工程で所望の単位面積当たりの側壁保護効果が得られるようにできるので、構成要素の寸法ばらつきを確実に抑制できる。
【0052】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る半導体集積回路装置及びその製造方法について図面を参照しながら説明する。尚、第1の実施形態に係る半導体集積回路装置の製造方法は、ライン状パターンを有する回路パターンを備えており、製造工程の少なくとも一部が共通する複数の半導体集積回路装置を製造するための半導体集積回路装置の製造方法を前提とする。
【0053】
第1の実施形態の特徴は、ライン状パターンを有する回路パターンの配置領域にダミーパターンが挿入されており、それによってライン状パターンとダミーパターンとの合計の単位面積当たりの周縁長が所定の範囲に設定されていることである。
【0054】
図1は、第1の実施形態に係る半導体集積回路装置におけるダミーパターン挿入前の回路パターンのレイアウトの一例を示しており、図2は、第1の実施形態に係る半導体集積回路装置におけるダミーパターン挿入後の回路パターンのレイアウトの一例を示している。尚、図1及び図2においては、ロジック回路の回路パターンを示しているが、第1の実施形態において、チップ上にロジック回路に加えて、RAM又はROM等のメモリ回路が搭載されていてもよい。
【0055】
図1に示すように、回路パターンは、MOS型トランジスタの活性領域パターン1及びゲート電極パターン2から構成されている。また、図2に示すように、活性領域パターン1及びゲート電極パターン2が設けられていない空き領域3に、短冊状又は線状のゲート電極ダミーパターン4が挿入されている。
【0056】
このようにすると、チップ面積を増大させることなく、ゲート電極周縁長を増大せることができる。具体的には、図1に示すダミーパターン挿入前の回路パターンにおいては、単位面積当たりのゲート電極周縁長が500mm/mm2 であるのに対して、図2に示すダミーパターン挿入後の回路パターンにおいては、単位面積当たりのゲート電極周縁長が1600mm/mm2 に増大している。すなわち、第1の実施形態においては、ダミーパターンの挿入前の時点で、ゲート電極パターンが密集しているDRAM又はROM等の占有面積率が小さい結果(或いはDRAM又はROM等が搭載されていない結果)、単位面積当たりのゲート電極周縁長が500mm/mm2 と小さかった。そこで、図1に示す回路パターンにおけるゲート電極パターン2の単位面積当たりのゲート電極周縁長を、DRAM又はROMの搭載率が大きい他の品種における単位面積当たりのゲート電極周縁長に近づけるため、図2に示すように、ゲート電極ダミーパターン4を大量に挿入することによって、ゲート電極パターン2とゲート電極ダミーパターン4との合計の単位面積当たりのゲート電極周縁長を1600mm/mm2 と大幅に増大させている。
【0057】
ところで、単位面積当たりのゲート電極周縁長の品種毎の違いに起因してゲート電極加工プロセス(具体的にはゲート電極エッチング)で生じるCDロスのばらつきを、寸法測定又はレチクル製造等に伴う誤差範囲である0〜0.003μmに抑制するためには、単位面積当たりのゲート電極周縁長の品種毎の違いを500mm/mm2 程度の範囲に抑える必要がある(図10参照)。
【0058】
一方、システムLSIでは、ゲート電極パターンが密集しているDRAM又はROM等の搭載率が品種によって大きく異なり、その結果、単位面積当たりのゲート電極周縁長が品種毎に大きくばらつく。ここで、単位面積当たりのゲート電極周縁長が最大となるのは、ゲート電極パターンが最も密集するDRAMセルを有する汎用DRAMであって、その値は2500mm/mm2 程度である。
【0059】
従って、単位面積当たりのゲート電極周縁長の品種による違いを500mm/mm2 程度の範囲に抑えるために、規格範囲(前述の所定の範囲)を2000〜2500mm/mm2 程度と設定してもよい。しかしながら、ダミーパターン挿入前のレイアウトによっては、2000mm/mm2 という単位面積当たりのゲート電極周縁長を満たすようにダミーパターンを挿入できない品種が存在する場合がある。現実的には、70%以上の占有面積率でDRAMが搭載されたシステムLSIは発生しないと想定できる。そこで、本実施形態においては、DRAM占有面積率が80%である場合に相当する2000mm/mm2 を単位面積当たりのゲート電極周縁長の規格範囲の上限とし、1600〜2000mm/mm2 を単位面積当たりのゲート電極周縁長の規格範囲として設定した。
【0060】
第1の実施形態によると、ゲート電極ダミーパターン4の挿入によって、チップ全体における単位面積当たりのゲート電極周縁長、つまり、ゲート電極パターン2とゲート電極ダミーパターン4との合計の単位面積当たりのゲート電極周縁長(図示しないメモリ回路が搭載されている場合にはそれに含まれる他のゲート電極パターンも加えた単位面積当たりのゲート電極周縁長)を所定の範囲に設定することができる。具体的には、所定の範囲として、メモリ回路の単位面積当たりのゲート電極周縁長、つまり、最も大きい単位面積当たりのゲート電極周縁長の70〜100%を想定することが望ましい。このとき、該規格が満たされるようにするためには、挿入されるゲート電極ダミーパターン4の単位面積当たりの周縁長(例えばゲート電極ダミーパターン4の周縁長を空き領域3の面積で割った値)は、メモリ回路の単位面積当たりのゲート電極周縁長の70%以上である必要がある。このようにすると、半導体集積回路装置の品種によりマスクパターンレイアウトが大きく異なる場合にも、チップ全体における単位面積当たりのゲート電極周縁長を確実に所定の範囲に設定できる。例えば、メモリ回路等の特定回路はその単位面積当たりのゲート電極周縁長が大きいため、チップ全体における単位面積当たりのゲート電極周縁長を大きく左右する。そして、チップ内における、このような特定回路の占有面積率が品種によって変動する場合にも、前述のようにダミーパターンを用いることによって、チップ全体における単位面積当たりのゲート電極周縁長のばらつきを抑制できる。その結果、マスクパターンレイアウトの違いに起因して寸法ばらつきが生じることを防止できる。すなわち、ゲート電極パターン2を常に一定の寸法に精度良くエッチング加工することが可能となる。従って、DRAM等の搭載率が用途又は仕様により異なるシステムLSIにおいても、ゲート電極パターン2の加工寸法をマスクパターンレイアウトと無関係に一定にできるので、動作マージンのバラツキが解消された半導体集積回路装置を実現できる。
【0061】
尚、第1の実施形態において、ゲート電極パターン2の加工方法は、特に限定されるものではないが、例えば、平行平板型RIE(リアクティブ・イオン・エッチング)装置を用いると共に、主なドライエッチング条件としてCl2 ガス流量を0.04SLM(Standard Litter per Minute)、HBrガス流量を0.08SLM、圧力を20Pa、RFパワーを300Wに設定して、ポリシリコン膜に対してエッチングを行なうことにより、ゲート電極パターン2を形成してもよい。
【0062】
また、第1の実施形態において、ダミーパターンを用いることなしに、ゲート電極パターン等の、回路パターンを構成するライン状パターンの単位面積当たりの周縁長が所定の範囲に設定されていてもよい。
【0063】
また、第1の実施形態において、ゲート電極加工を対象としたが、これに限られず、他のライン状パターンを有するレイヤーの微細加工、例えばアルミニウム又は銅等からなるメタル配線の加工等を対象としても、同様の高い加工精度を達成することができる。
【0064】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係る半導体集積回路装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。尚、第2の実施形態に係る半導体集積回路装置の製造方法は、ライン状パターンを有する回路パターンを備えており、製造工程の少なくとも一部が共通する複数の半導体集積回路装置を製造するための半導体集積回路装置の製造方法を前提とする。
【0065】
第2の実施形態の特徴は、被露光基板となるウェハ上において、ライン状パターンを有する回路パターンを転写するための露光ショット数と、ダミーパターンを転写するための露光ショット数との比を調整することによって、転写される全てのライン状パターンと転写される全てのダミーパターンとの合計の単位面積当たりの周縁長を所定の範囲に設定することである。
【0066】
図3(a)は、第2の実施形態に係る半導体集積回路装置の製造方法における、ポリシリコンゲート電極パターンを形成するためのリソグラフィー工程でのパターン露光ショットマップの一例を示しており、図3(b)は、該リソグラフィー工程で用いられるダミーパターンの一例を示している。
【0067】
第2の実施形態に係る半導体集積回路装置の製造方法においては、図3(a)に示すように、回路パターンがそれぞれ転写される第1の露光領域11の数(つまり回路パターンを転写するための露光ショット数)と、ダミーパターンがそれぞれ転写される第2の露光領域12の数(つまりダミーパターンを転写するための露光ショット数)とがウェハ10上で調整される。また、各第2の露光領域12においては、図3(b)に示すように、例えば0.2μm幅のラインと0.2μm幅のスペースとからなる短冊状のダミーパターン13が単純に敷き詰められるように転写される。
【0068】
これによって、例えばウエハ10上における単位面積当たりのゲート電極周縁長、つまり、転写される全ての回路パターンに含まれるゲート電極パターンと、転写される全てのダミーパターン13との合計の単位面積当たりのゲート電極周縁長を、半導体集積回路装置のマスクパターンレイアウト、つまり回路パターンと対応するマスクパターンレイアウトに依存しない一定の範囲に抑えることが可能となる。
【0069】
具体的には、本実施形態においては、回路パターン形成用のレチクルマスクとは別に、ダミーパターン13を転写するためのダミーのレチクルマスクを用いるため、第1実施形態と比べて、ウエハ10全体としての単位面積当たりのゲート電極周縁長をより大きくすることが可能である。
【0070】
また、本実施形態において、ウエハ10全体としての単位面積当たりのゲート電極周縁長を例えば第1の実施形態と同じく1600〜2000mm/mm2 の範囲にするために、第2の露光領域12がウェハ10上において占める面積割合Aを次のように計算することができる。但し、各第2の露光領域12に転写されるダミーパターンの単位面積当たりの周縁長が例えば5000mm/mm2 であり、各第1の露光領域11に転写される回路パターンにおける単位面積当たりのゲート電極周縁長が例えば500mm/mm2 であるとする。
【0071】
すなわち、
1600≦5000×A+500×(1−A)≦2000
の関係式が成り立つので、
0.244≦A≦0.333
となる。これにより、第2の露光領域12がウェハ10上において占める面積割合が約24.5%以上になるように、ダミーパターンを転写するための露光ショット数を設定する必要があることになる。具体的には、本実施形態においては、図3(a)に示すように、ウェハ10上における3/4(75%)の面積に回路パターン転写用の第1の露光領域11が設けられており、ウェハ10上における残り1/4(25%)の面積にダミーパターン転写用の第2の露光領域12が設けられている。
【0072】
第2の実施形態によると、ウェハ10全体における単位面積当たりのゲート電極周縁長が所定の範囲に設定されるように、回路パターン転写の露光ショット数とダミーパターン転写の露光ショット数との比を調整する。従って、半導体集積回路装置の品種によりマスクパターンレイアウトが大きく異なる場合にも、マスクパターンレイアウトの違いに起因してゲート電極パターンに寸法ばらつきが生じることを防止できる。従って、DRAM等の搭載率が用途又は仕様により異なるシステムLSIにおいても、ゲート電極パターンの加工寸法をマスクパターンレイアウトと無関係に一定にできるので、動作マージンのバラツキが解消された半導体集積回路装置を実現できる。
【0073】
尚、第2の実施形態において、ダミーパターンの単位面積当たりの周縁長は、半導体集積回路装置に搭載されるメモリ回路における単位面積当たりのゲート電極周縁長の70%以上であることが好ましい。
【0074】
また、第2の実施形態において、ウェハ全体における単位面積当たりのゲート電極周縁長が、メモリ回路における単位面積当たりのゲート電極周縁長の70〜100%に設定されるように、回路パターンを転写するための露光ショット数と、ダミーパターンを転写するための露光ショット数との比を調整することが好ましい。
【0075】
また、第2の実施形態において、ゲート電極加工を対象としたが、これに限られず、他のライン状パターンを有するレイヤーの微細加工、例えばアルミニウム又は銅等からなるメタル配線の加工等を対象としても、同様の高い加工精度を達成することができる。
【0076】
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態に係る半導体集積回路装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。尚、第3の実施形態に係る半導体集積回路装置の製造方法は、ライン状パターンを有する回路パターンを備えており、製造工程の少なくとも一部が共通する複数の半導体集積回路装置を製造するための半導体集積回路装置の製造方法を前提とする。
【0077】
第3の実施形態の特徴は、回路パターンを構成するライン状パターンの単位面積当たりの周縁長に応じてドライエッチング条件を調整しながら被加工膜に対してドライエッチングを行なうことである。以下、ゲート電極パターンを形成するためのドライエッチング条件を選択することによって、半導体集積回路装置のマスクパターンレイアウトに対するゲート電極パターンの寸法依存性を抑制する場合を例として説明する。
【0078】
図4は、様々なレイアウトの回路が組み込まれた複数品種の半導体集積回路装置の製造においてポリシリコンゲート電極パターンをドライエッチングにより形成する時に、チップ上における単位面積当たりのゲート電極周縁長をパラメータ(パラメータS1:600mm/mm2 、パラメータS2:1000mm/mm2 、パラメータS3:1400mm/mm2 、パラメーS4:1800mm/mm2 )として、ドライエッチング用ガスの流量とゲート電極パターンのCDロスとの関係を実験により求めた結果を示すグラフである。ここで、図4に示す実験結果は、エッチングガスとして、HBr及びCl2 と、He等の冷却ガスとの混合ガスを用いると共に、該混合ガスのうちHBrのガス流量を可変とすることによって得られたものである。
【0079】
図4に示すように、HBrガス流量が同じであっても単位面積当たりのゲート電極周縁長が異なると、それに伴ってゲート電極パターンのCDロスも異なってくる。一方、単位面積当たりのゲート電極周縁長のどんな値に対しても、HBrガス流量を変えていくと、特定の流量でCDロスをほぼ0にすることができる。
【0080】
従って、第3の実施形態に係る半導体集積回路装置の製造方法では、予め、各半導体集積回路装置の回路パターンにおける単位面積当たりのゲート電極周縁長を求めておくと同時に、図4に示すようなドライエッチング条件とCDロスとの関係を実験的に求めておく。そして、求められた単位面積当たりのゲート電極周縁長に対して、ゲート電極パターンのCDロスが設計上許容される程度において実質的に0となるようなドライエッチング条件(図4ではHBrガス流量)、言い換えると、ゲート電極パターンの寸法が設計上決定された目標寸法と等しくなるようなドライエッチング条件を選択して、ゲート電極となるポリシリコン膜に対してドライエッチングを行なう。
【0081】
ところで、例えばメモリ回路とロジック回路とが搭載された複数品種の半導体集積回路装置の製造において、品種毎に加工パターンの目標寸法は同一であるがレイアウトが大きく異なる場合に、以上に説明した方法を用いることによって、原則的には、レイアウトに関わりなく正確なパターンエッチングを実行することができる。しかしながら、実際には、レイアウトの異なる品種毎にドライエッチング条件を求めることは、つまり、ドライエッチング条件を品種毎に変えることは量産性の点では好ましくない。
【0082】
そこで、本実施形態において、単位面積当たりのゲート電極周縁長を複数の範囲に区分して、各範囲の単位面積当たりのゲート電極周縁長に対してそれぞれ1つのドライエッチング条件を設定するようにしてもよい。
【0083】
[表1]は、ポリシリコンゲート電極パターンをドライエッチングにより形成する際における、単位面積当たりのゲート電極周縁長の各範囲に対するドライエッチング工程の最適条件を示している。
【0084】
【表1】
【0085】
[表1]に示すように、単位面積当たりのゲート電極周縁長を複数の範囲に区切って、各範囲毎に異なるドライエッチング条件(具体的には異なるHBrガス流量)が適用されている。[表1]に示すドライエッチング条件を用いた場合、図4との対応関係から明らかなように、単位面積当たりのゲート電極周縁長の各範囲(S1〜S4)に対してゲート電極パターンのCDロスがほぼ0±0.002μm以内の小さい値に収まっている。これにより、0.1μm以下の設計ルールのデバイスの製造においても十分なパターン精度を得ることができる。
【0086】
すなわち、第3の実施形態によると、単位面積当たりのゲート電極周縁長に応じて、ゲート電極となるポリシリコン膜に対するドライエッチングの条件を調整しながらポリシリコン膜に対してドライエッチングを行なうため、半導体集積回路装置の品種によりマスクパターンレイアウトが大きく異なる場合にも、ゲート電極パターンの寸法を常に所定値と等しくできる。従って、DRAM等の搭載率が用途又は仕様により異なるシステムLSIにおいても、ゲート電極の加工寸法をマスクパターンレイアウトと無関係に一定にできるので、動作マージンのバラツキが解消された半導体集積回路装置を実現できる。
【0087】
また、第3の実施形態によると、単位面積当たりのゲート電極周縁長を複数の範囲に区分して、各範囲に対してそれぞれ1つのドライエッチング条件を設定するため、ドライエッチング条件を品種毎に変える場合と比べて、ドライエッチング条件の調整を簡単に行なえる。
【0088】
尚、第3の実施形態においては、ポリシリコンゲート電極を形成するためのドライエッチングにおいてHBrガス流量の調整によってゲート電極パターンのCDロスを制御したが、これに代えて、全てのエッチングガスの総流量、エッチングガス圧力、又はドライエッチング装置のRFパワー等を調整することによっても最適なドライエッチング条件を設定することが可能である。
【0089】
また、第3の実施形態において、例えばリソグラフィー工程で光反射防止膜となる有機塗布膜を、ゲート電極となるポリシリコン膜上に形成する場合、或いは、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition )法によってハードマスクとなるシリコン酸化膜等を、ゲート電極となるポリシリコン膜上に形成する場合等においては、ポリシリコン膜に対するエッチング条件に代えて、前述の有機塗布膜又はCVDシリコン酸化膜等に対するエッチング条件を調整してもよい。
【0090】
また、第3の実施形態において、ゲート電極加工を対象としたが、これに限られず、他のライン状パターンを有するレイヤーの微細加工、例えばメタル配線のエッチング加工、或いは、埋め込み配線用溝を形成するための絶縁膜のエッチング加工等を対象としても、同様の高い加工精度を達成することができる。
【0091】
(第4の実施形態)
以下、本発明の第4の実施形態に係る半導体集積回路装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。尚、第4の実施形態に係る半導体集積回路装置の製造方法は、ライン状パターンを有する回路パターンを備えており、製造工程の少なくとも一部が共通する複数の半導体集積回路装置を製造するための半導体集積回路装置の製造方法を前提とする。
【0092】
第3の実施形態においては、回路パターンを構成するライン状パターンの単位面積当たりの周縁長に応じてドライエッチング条件を調整した。それに対して、第4の実施形態の特徴は、回路パターンを構成するライン状パターンと対応するレジストパターンを、その寸法をライン状パターンの単位面積当たりの周縁長に応じて調整しながら形成することである。以下、ゲート電極パターンと対応するレジストパターンの寸法を調整することによって、半導体集積回路装置のマスクパターンレイアウトに対するゲート電極パターンの寸法依存性を抑制する場合を例として説明する。
【0093】
具体的には、第4の実施形態においては、様々なレイアウトの回路が組み込まれた複数品種の半導体集積回路装置の製造においてポリシリコンゲート電極パターンをドライエッチングにより形成する時に、エッチングガスとして、HBr及びCl2 と、He等の冷却ガスとの混合ガスを用いると共に、該混合ガスのうちHBrのガス流量を0.07SLMに固定する。すなわち、第4の実施形態においては、ドライエッチング条件を、第3の実施形態の[表1]に示すレシピNo.PS3のドライエッチング条件(標準的な条件)に固定する。このようにドライエッチング条件を固定した場合、例えば第3の実施形態の図4に示すように、マスクパターンレイアウトによってゲート電極パターンのCDロスの値が異なってくる。
【0094】
従って、第4の実施形態に係る半導体集積回路装置の製造方法では、まず各半導体集積回路装置の回路パターンにおける単位面積当たりのゲート電極周縁長と、ゲート電極パターンのCDロスとの関係を求めておく。そして、求められたCDロスの大きさ、つまり単位面積当たりのゲート電極周縁長に依存して生じるパターン寸法変化を補償するように、ドライエッチングマスクとなるレジストパターンの寸法を例えば露光量等のフォトリソグラフィ条件により調整する。
【0095】
[表2]は、ポリシリコンゲート電極パターンと対応するレジストパターンを形成して該レジストパターンを用いてドライエッチングを行なう際における、単位面積当たりのゲート電極周縁長の各範囲に対する、ゲート電極パターンのCDロス(A)、フォトリソグラフィー工程での目標寸法(B)、及びドライエッチング後におけるゲート電極パターンの設計寸法(C)のそれぞれを示している。
【0096】
【表2】
【0097】
[表2]において、CDロス(A)は[表1]に示すレシピNo.PS3のドライエッチング条件を用いた場合の値である。また、目標寸法(B)は、前述のようにCDロス(A)の大きさを考慮して調整されたレジストパターンの最適寸法である。また、本実施形態においては、設計寸法(C)を0.150μmとしている。
【0098】
ここで、
目標寸法(B)=CDロス(A)+設計寸法(C)
なる関係式が成立するので、該関係式を用いることによって、[表2]に示すような、目標寸法(B)、つまりレジストパターンの最適寸法の値を具体的に設定できる。逆に言うと、フォトリソグラフィー工程での目標寸法(B)を調整することにより、該調整分とCDロス(A)とを相殺することが可能となる。
【0099】
また、本実施形態で、設計寸法(C)が0.150μmであり、ドライエッチング条件が[表1]に示すレシピNo.PS3(HBrガス流量:0.07SLM)であることに着目して、例えば図4においてHBrガス流量が0.07SLMである場合の、単位面積当たりのゲート電極周縁長の各範囲(S1〜S4)に対応するCDロスを読むことによっても、フォトリソグラフィー工程での目標寸法(B)を簡単に設定することができる。尚、本実施形態において、ドライエッチング条件として[表1]に示すレシピNo.PS3を用いているのは次の理由による。すなわち、[表2]から明らかなように、レシピNo.PS3を用いると、CDロス(A)の大きさと対応する目標寸法(B)の調整量が、半導体集積回路装置の各品種で実現される様々な単位面積当たりのゲート電極周縁長に対して最も小さくなるからである。
【0100】
以上に説明したように、第4の実施形態によると、ゲート電極パターンと対応するレジストパターンを、その寸法を単位面積当たりのゲート電極周縁長に応じて調整しながら形成するため、半導体集積回路装置の品種によりマスクパターンレイアウトが大きく異なる場合にも、ゲート電極パターンの寸法を常に所定値と等しくできる。従って、DRAM等の搭載率が用途又は仕様により異なるシステムLSIにおいても、ゲート電極の加工寸法をマスクパターンレイアウトと無関係に一定にできるので、動作マージンのバラツキが解消された半導体集積回路装置を実現できる。
【0101】
尚、第4の実施形態において、フォトリソグラフィー工程での目標寸法の調整、つまり、ゲート電極パターンと対応するレジストパターンの寸法の調整に関しては、例えばレジスト膜に対する露光における露光量を増減させる方法が最も簡便である。また、フォトマスク上における遮光パターン(例えばクロムパターン)等の寸法を補正してもよい。この場合、露光量を増減させる必要がなくなるので、製造工程の運用上有利になる。
【0102】
また、第4の実施形態において、ゲート電極加工を対象としたが、これに限られず、他のライン状パターンを有するレイヤーの微細加工、例えばアルミニウム又は銅等からなるメタル配線の加工等を対象としても、同様の高い加工精度を達成することができる。
【0103】
(第5の実施形態)
以下、本発明の第5の実施形態に係る半導体集積回路装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。尚、第5の実施形態に係る半導体集積回路装置の製造方法は、ライン状パターンを有する回路パターンを備えており、製造工程の少なくとも一部が共通する複数の半導体集積回路装置を製造するための半導体集積回路装置の製造方法を前提とする。また、以下の説明では、DRAM等の繰り返しパターンを有するメモリの混載が可能なシステムLSIにおけるゲート電極の形成方法を例とする。
【0104】
図5(a)〜(d)は、第5の実施形態に係る半導体集積回路装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【0105】
まず、図5(a)に示すように、シリコン基板21上に、ゲート絶縁膜となる厚さ5nm程度のシリコン酸化膜22を形成した後、シリコン酸化膜22上に、ゲート電極となる厚さ200nm程度のポリシリコン膜23を形成し、その後、ポリシリコン膜23上に、リソグラフィー工程(図5(b)参照)での光反射防止膜となる厚さ100nm程度の有機塗布膜24を形成する。
【0106】
次に、図5(b)に示すように、リソグラフィー技術を用いて、有機塗布膜24上に、ライン状パターンを有するゲート電極26(図5(d)参照)と対応する最小線幅(ゲート電極の目標寸法)0.15μmのレジストパターン25(厚さは600nm程度)を形成する。
【0107】
次に、図5(c)に示すように、レジストパターン25をマスクとして有機塗布膜24に対してドライエッチングを行なう。
【0108】
このとき、半導体集積回路装置がDRAM非搭載品種である場合、例えば、圧力が10Paに設定されたチャンバー内に、SO2 ガスとO2 ガスとの混合ガスからなるエッチングガスを、SO2 ガスの流量:20cc/min、O2 ガスの流量:20cc/minの流量比で導入すると共に、試料台に200Wの高周波電力(RFパワー)を印加して、ドライエッチングを行なう。また、半導体集積回路装置がDRAM搭載品種である場合、例えば、圧力が10Paに設定されたチャンバー内に、SO2 ガスとO2 ガスとの混合ガスからなるエッチングガスを、SO2 ガスの流量:25cc/min、O2 ガスの流量:20cc/minの流量比で導入すると共に、試料台に200Wの高周波電力を印加して、ドライエッチングを行なう。尚、本実施形態においては、標準状態(0℃、1気圧)における1分間当たりの流量を用いてガス流量を表している。
【0109】
すなわち、有機塗布膜24に対するドライエッチング工程においては、DRAM搭載の有無によってエッチング条件を変更する。具体的には、DRAM搭載品種の場合、エッチングにより有機塗布膜24に形成される側壁を保護する効果を有するSO2 ガスの流量を、DRAM非搭載品種の場合の20cc/minから25cc/minへと増加させる。これにより、DRAMが搭載されることによって有機塗布膜24の側壁の面積が増大する場合にも、所望の単位面積当たりの側壁保護効果が得られるので、DRAM搭載の有無に関わらず有機塗布膜24を所望の寸法(0.15μm)を有するようにパターン化できる。
【0110】
次に、レジストパターン25又はパターン化された有機塗布膜24をマスクとして、ポリシリコン膜23に対してドライエッチングを行なった後、図5(d)に示すように、レジストパターン25及び有機塗布膜24をアッシングにより除去して、ポリシリコン膜23からなるゲート電極26を形成する。このとき、DRAM搭載の有無に関わらず有機塗布膜24が所望の寸法を有するようにパターン化されているので、CDロスの発生を防止して所望の寸法(0.15μm)を有するゲート電極26を形成できる。
【0111】
尚、ポリシリコン膜23に対するドライエッチング工程においては、DRAM非搭載品種であってもDRAM搭載品種であっても、例えば、圧力が20Paに設定されたチャンバー内に、Cl2 ガスとHBrガスとの混合ガスからなるエッチングガスを、Cl2 ガスの流量:40cc/min、HBrガスの流量:80cc/minの流量比で導入すると共に、試料台に300Wの高周波電力を印加して、ドライエッチングを行なう。すなわち、ポリシリコン膜23及び有機塗布膜24のそれぞれに対するドライエッチング工程においては、異なる設備や条件を用いる。
【0112】
以上に説明したように、第5の実施形態によると、ライン状パターンを有するゲート電極26と対応するレジストパターン25をマスクとして有機塗布膜24に対してドライエッチングを行なう工程において、DRAM搭載の有無に応じてエッチング条件を変更する。具体的には、DRAM搭載品種の場合、DRAM非搭載品種の場合と比べて、エッチングにより有機塗布膜24に形成される側壁を保護する効果を有するSO2 ガスの流量を増加させる。このため、有機塗布膜24の側壁の面積がDRAM搭載により増大する場合にも、所望の単位面積当たりの側壁保護効果が得られるようにできるので、有機塗布膜24を所望の寸法を有するようにパターン化できる。従って、パターン化された有機塗布膜24をマスクとしてポリシリコン膜23に対してドライエッチングを行なうことによって、所望の寸法を有するゲート電極26を形成できる。すなわち、DRAM搭載の有無に伴うマスクパターンレイアウトの違いに起因するゲート電極26の寸法ばらつきを確実に抑制でき、それによって精度の良いゲート電極加工を行なうことができる。
【0113】
図6は、第5の実施形態に係る半導体集積回路装置の製造方法を用いて、DRAM非搭載品種を含む様々なDRAM占有面積率を有する品種を製造した場合における、CDロス(エッチング前のレジストパターンの寸法から完成したゲート電極の寸法を引いた値)とDRAM占有面積率との関係を示している。
【0114】
図6に示すように、第5の実施形態によると、DRAM搭載の有無に関わらず、CDロスの発生を抑制して所望のゲート電極寸法である0.15μmを実現することができた。
【0115】
図7は、比較例としてDRAM搭載の有無に関わらず同一のエッチング条件を用いて、DRAM非搭載品種を含む様々なDRAM占有面積率を有する品種を製造した場合における、CDロスとDRAM占有面積率との関係を示している。
【0116】
図7に示すように、比較例によると、DRAM非搭載品種ではCDロスの発生を抑制できる一方、DRAM搭載品種では平均約+0.013μmのCDロスが発生している。
【0117】
尚、第5の実施形態において、DRAM搭載の有無に応じて有機塗布膜24のエッチング条件(具体的には有機塗布膜24の側壁を保護する効果を有するSO2 ガスの流量)を変更する一方、DRAM搭載の有無に関わらずポリシリコン膜23のエッチング条件を共通にしたが、これに代えて、DRAM搭載の有無に関わらず有機塗布膜24のエッチング条件を共通にする一方、DRAM搭載の有無に応じてポリシリコン膜23のエッチング条件を変更してもよい。このとき、例えばポリシリコン膜23の側壁を保護する効果を有するエッチング反応生成物(SiBr4 等)を側壁保護膜として形成するためのHBrガスの流量を、DRAM搭載の有無に応じて変更してもよい。また、ゲート電極構造として、ポリシリコン膜上にシリコン酸化膜等が形成された構造を採用する場合には、該シリコン酸化膜のエッチング条件を変更することによって、DRAM搭載の有無に起因するゲート電極の寸法ばらつきを抑制してもよい。
【0118】
また、第5の実施形態において、DRAM搭載の有無に応じてエッチング条件を変更したが、これに代えて、DRAM占有面積率に応じてエッチング条件を細かに変更してもよい。
【0119】
また、第5の実施形態において、ゲート電極の形成を対象としたが、これに限られず他のライン状パターン、例えばメタル配線等の形成を対象としてもよい。
【0120】
また、第5の実施形態において、DRAM等のメモリの搭載が可能なシステムLSIを対象としたが、これに限られず、複数の半導体素子が繰り返しパターンを有するように配列されてなる他の素子群の搭載が可能なシステムLSIを対象としてもよい。
【0121】
(第6の実施形態)
以下、本発明の第6の実施形態に係る半導体集積回路装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。尚、第6の実施形態に係る半導体集積回路装置の製造方法は、ライン状パターンを有する回路パターンを備えており、製造工程の少なくとも一部が共通する複数の半導体集積回路装置を製造するための半導体集積回路装置の製造方法を前提とする。また、以下の説明では、DRAM等の繰り返しパターンを有するメモリの混載が可能なシステムLSIにおけるゲート電極の形成方法を例とする。さらに、第6の実施形態に係る半導体集積回路装置の製造方法の各工程を示す断面図を、第5の実施形態と同様に、図5(a)〜(d)に示す。
【0122】
第6の実施形態が第5の実施形態と異なっている点は次の通りである。すなわち、第5の実施形態では、ライン状パターンを有するゲート電極26と対応するレジストパターン25をマスクとして有機塗布膜24に対してドライエッチングを行なう工程(図5(c)、(d)参照)において、DRAM搭載の有無に応じてエッチング条件を変更した。それに対して、第6の実施形態では、レジストパターン25を形成する工程(図5(b)参照)において、DRAM占有面積率に応じてレジストパターン25の寸法を変更する。
【0123】
具体的には、第6の実施形態においては、例えば図7に示すような、CDロス(エッチング前のレジストパターンの寸法から完成したゲート電極の寸法を引いた値)とDRAM占有面積率との関係を予め取得しておくことにより、例えば下式
(レジストパターンの寸法)
=(DRAM占有面積率と対応するCDロスの予測値)
+(ゲート電極の目標寸法)
を用いてレジストパターンの寸法を設定する。
【0124】
図7に示すように、DRAM占有面積率が大きくなるに従ってCDロスが増大するので、上式によると、DRAM占有面積率が大きくなるに従ってレジストパターン25の寸法を大きくすることになる。このようにすると、第6の実施形態では次のような効果が得られる。すなわち、レジストパターン25をマスクとして用いたエッチングによりポリシリコン膜23又は有機塗布膜24に形成される側壁の面積がDRAM占有面積率の増加により増大して、単位面積当たりの側壁保護効果が減少する場合にも、該側壁保護効果の減少分を、レジストパターン25の寸法の調整により補うことができる。従って、DRAM占有面積率の違いに伴うマスクパターンレイアウトの違いに起因するゲート電極26の寸法ばらつきを確実に抑制でき、それによって精度の良いゲート電極加工を行なうことができる。
【0125】
[表3]は、第6の実施形態に係る半導体集積回路装置の製造方法を用いて、DRAM非搭載品種を含む様々なDRAM占有面積率を有する品種を製造する場合における、目標寸法0.15μmのゲート電極を形成するためのレジストパターンの寸法を示している。尚、[表3]においては、参考のため、各DRAM占有面積率と対応するCDロスの予測値を示している。
【0126】
【表3】
【0127】
レジストパターン25の寸法を[表3]に示すように設定することによって、第6の実施形態において、DRAM占有面積率に関わらず、所望のゲート電極寸法である0.15μmを実現することができた。
【0128】
尚、第6の実施形態において、DRAM占有面積率に応じてレジストパターン25の寸法を変更したが、これに代えて、DRAM搭載の有無に応じてレジストパターン25の寸法を粗く変更してもよい。
【0129】
また、第6の実施形態において、レジストパターン25の寸法を調整する具体的な方法として、例えば、露光量を調整する方法、又はレチクル上のマスクパターン寸法を調整する方法等を用いてもよい。
【0130】
また、第6の実施形態において、ゲート電極の形成を対象としたが、これに限られず他のライン状パターン、例えばメタル配線等の形成を対象としてもよい。
【0131】
また、第6の実施形態において、DRAM等のメモリの搭載が可能なシステムLSIを対象としたが、これに限られず、複数の半導体素子が繰り返しパターンを有するように配列されてなる他の素子群の搭載が可能なシステムLSIを対象としてもよい。
【0132】
【発明の効果】
本発明によると、半導体集積回路装置の品種によりマスクパターンレイアウトが大きく異なる場合にも、マスクパターンレイアウトの違いに起因してライン状パターンに寸法ばらつきが生じることを防止できる。従って、DRAM等の搭載率が用途又は仕様により異なるシステムLSIにおいても、ゲート電極又はメタル配線等の加工寸法をマスクパターンレイアウトと無関係に一定にできるので、動作マージンのバラツキが解消された半導体集積回路装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る半導体集積回路装置におけるダミーパターン挿入前の回路パターンのレイアウトの一例を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る半導体集積回路装置におけるダミーパターン挿入後の回路パターンのレイアウトの一例を示す図である。
【図3】(a)は本発明の第2の実施形態に係る半導体集積回路装置の製造方法における、ポリシリコンゲート電極パターンを形成するためのリソグラフィー工程でのパターン露光ショットマップの一例を示す図であり、(b)は該リソグラフィー工程で用いられるダミーパターンの一例を示す図である。
【図4】複数品種の半導体集積回路装置の製造においてポリシリコンゲート電極パターンをドライエッチングにより形成する時に、チップ上における単位面積当たりのゲート電極周縁長をパラメータとして、ドライエッチング用ガスの流量とゲート電極パターンのCDロスとの関係を実験により求めた結果を示す図である。
【図5】(a)〜(d)は本発明の第5又は第6の実施形態に係る半導体集積回路装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図6】本発明の第5の実施形態に係る半導体集積回路装置の製造方法を用いて、DRAM非搭載品種を含む様々なDRAM占有面積率を有する品種を製造した場合における、CDロスとDRAM占有面積率との関係を示す図である。
【図7】比較例としてDRAM搭載の有無に関わらず同一のエッチング条件を用いて、DRAM非搭載品種を含む様々なDRAM占有面積率を有する品種を製造した場合における、CDロスとDRAM占有面積率との関係を示す図である。
【図8】同一のゲート電極加工プロセスを用いて、DRAMが搭載されたDRAM搭載品種、及びDRAM非搭載品種をそれぞれ製造した場合における、CDロスの頻度分布を示す図である。
【図9】DRAM非搭載品種を含む様々なDRAM占有面積率を有する品種における、単位面積当たりのゲート電極周縁長とDRAM占有面積率との関係を示す図である。
【図10】様々な品種における、単位面積当たりのゲート電極周縁長とCDロスとの関係を示す図である。
【符号の説明】
1 活性領域パターン
2 ゲート電極パターン
3 空き領域
4 ゲート電極ダミーパターン
10 ウェハ
11 第1の露光領域
12 第2の露光領域
13 ダミーパターン
21 シリコン基板
22 シリコン酸化膜
23 ポリシリコン膜
24 有機塗布膜
25 レジストパターン
26 ゲート電極
Claims (13)
- ライン状パターンを有する回路パターンを備えた半導体集積回路装置であって、
前記回路パターンはメモリ回路のライン状パターンであるメモリ用ライン状パターンを含み、
前記回路パターンの配置領域の内部にダミーパターンが挿入されており、
前記メモリ用ライン状パターンを含む前記ライン状パターンの総周縁長と前記ダミーパターンの総周縁長との合計を前記回路パターンの配置領域の面積により除することによって得られた第1の単位面積当たりの周縁長が、前記メモリ用ライン状パターンの総周縁長を前記メモリ回路が形成されている領域の面積により除することによって得られた第2の単位面積当たりの周縁長以下となるように設定されていることを特徴とする半導体集積回路装置。 - 前記ダミーパターン及び前記メモリ用ライン状パターンを含む前記ライン状パターンは同一の異方性ドライエッチング工程によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体集積回路装置。
- 前記第1の単位面積当たりの周縁長が、前記第2の単位面積当たりの周縁長の70%以上で且つ100%以下の範囲に設定されるように、前記ダミーパターンが挿入されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体集積回路装置。
- 前記ダミーパターンは、その形状が短冊状であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体集積回路装置。
- 繰り返しパターンを有する素子群の形成領域に配置されており且つ第1のライン状パターンを有する第1の回路パターンと、前記素子群以外の他の部分の形成領域に配置されており且つ第2のライン状パターンを有する第2の回路パターンとを備えた半導体集積回路装置であって、
前記第1のライン状パターンの総周縁長を前記第1の回路パターンの配置領域の面積により除することによって得られた第1の単位面積当たりの周縁長は、前記第2のライン状パターンの総周縁長を前記第2の回路パターンの配置領域の面積により除することによって得られた第2の単位面積当たりの周縁長よりも大きく、
前記第2の回路パターンの配置領域の内部にダミーパターンが、前記第1のライン状パターンの総周縁長と前記第2のライン状パターンの総周縁長と前記ダミーパターンの総周縁長との合計を前記第1の回路パターンの配置領域の面積と前記第2の回路パターンの配置領域の面積との合計により除することによって得られた第3の単位面積当たりの周縁長が、前記第1の単位面積当たりの周縁長以下になるように挿入されていることを特徴とする半導体集積回路装置。 - 前記ダミーパターン、前記第1のライン状パターン及び前記第2のライン状パターンは同一の異方性ドライエッチング工程によって形成されていることを特徴とする請求項5に記載の半導体集積回路装置。
- 前記第3の単位面積当たりの周縁長が、前記第1の単位面積当たりの周縁長の70%以上で且つ100%以下の範囲に設定されるように、前記ダミーパターンが挿入されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の半導体集積回路装置。
- 前記素子群はメモリであることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の半導体集積回路装置。
- 前記ダミーパターンの総周縁長を前記ダミーパターンが形成されている領域の面積により除することによって得られた第4の単位面積当たりの周縁長は、前記第1の単位面積当たりの周縁長の70%以上であることを特徴とする請求項5に記載の半導体集積回路装置。
- ライン状パターンを有する回路パターンを備えており、製造工程の少なくとも一部が共通する複数の半導体集積回路装置を製造するための半導体集積回路装置の製造方法であって、
前記回路パターンはメモリ回路のライン状パターンであるメモリ用ライン状パターンを含み、
前記各半導体集積回路装置の製造工程は、
前記回路パターンの配置領域の内部にダミーパターンを、前記メモリ用ライン状パターンを含む前記ライン状パターンの総周縁長と前記ダミーパターンの総周縁長との合計を前記回路パターンの配置領域の面積により除することによって得られた第1の単位面積当たりの周縁長が、前記メモリ用ライン状パターンの総周縁長を前記メモリ回路が形成されている領域の面積により除することによって得られた第2の単位面積当たりの周縁長以下となるように挿入する工程と、
前記ダミーパターン及び前記メモリ用ライン状パターンを含む前記ライン状パターンを同一の異方性ドライエッチング工程によって形成する工程とを含むことを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。 - 前記第1の単位面積当たりの周縁長が、前記第2の単位面積当たりの周縁長の70%以上で且つ100%以下の範囲に設定されるように、前記ダミーパターンが挿入されることを特徴とする請求項10に記載の半導体集積回路装置の製造方法。
- 半導体基板上における複数の第1領域のそれぞれに対して、メモリ回路のライン状パターンであるメモリ用ライン状パターンを含むライン状パターンを有する回路パターンを転写するための露光を行なう工程と、
前記半導体基板上における前記各第1領域と異なる複数の第2領域のそれぞれに対してダミーパターンを転写するための露光を行なう工程と、
前記メモリ用ライン状パターンを含めて転写される全ての前記ライン状パターンの周縁長と転写される全ての前記ダミーパターンの周縁長との合計を前記各第1領域の面積と前記各第2領域の面積との合計により除することによって得られた第1の単位面積当たりの周縁長が、転写される全ての前記メモリ用ライン状パターンの周縁長を前記メモリ回路が形成されている領域の面積により除することによって得られた第2の単位面積当たりの周縁長以下となるように、前記回路パターンを転写するための露光ショット数と前記ダミーパターンを転写するための露光ショット数との比を調整する工程と、
前記ダミーパターン及び前記メモリ用ライン状パターンを含む前記ライン状パターンを同一の異方性ドライエッチング工程によって形成する工程とを備えていることを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。 - 前記第1の単位面積当たりの周縁長が、前記第2の単位面積当たりの周縁長の70%以上で且つ100%以下の範囲に設定されるように前記ダミーパターンが設けられることを特徴とする請求項12に記載の半導体集積回路装置の製造方法。
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