JP3592564B2 - ドアウエザストリップ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のフロントドア用のウエザストリップに係わり、詳しくはメインシール部とサブシール部とを備えた二重シールタイプのドアウエザストリップに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車のフロントドアの周縁には、フロントドアと車両本体との間をシールするためのドアウエザストリップが取り付けられている。このようなウエザストリップは、車両本体との間のシール性を向上するため、いわゆる二重シール機能を有する構成となっている。
【0003】
図8はフロントドア11がドア開口に閉鎖された状態におけるベルトラインLのフロント側端部付近の構造を示す斜視図である。フロントドア11はドアガラス12を昇降可能に案内するサッシュ13とドア本体14とから構成され、前記サッシュ13及びドア本体14の外周縁にはウエザストリップ15が装着されている。このウエザストリップ15は、フロントドア11周縁に装着される本体16と、同本体16の車室外側に突設され、かつ、フロントドア閉時に車体開口縁、つまりフロントピラー17のシール面17bに密接する中空状のメインシール部18と、前記本体16に突設され、かつ、フロントドア11の閉時にフロントピラー17のシール面17aに密接するリップ状のサブシール部19とから形成されている。(特開昭58−118416号公報参照。)このように、メインシール部18及びサブシール部19の2つのシール部材により車体開口縁とフロントドア11との間がより確実にシールされる。なお、一般的な二重シール機能を有するドアウエザストリップは車室内側に中空状のメインシール部が配置され、車室外側にその先端がフロントピラーのシール面(17b)に密接するリップ状のサブシール部が配置されている。
【0004】
上述のような二重シール機能を有するドアウエザストリップ15は、メインシール部18とサブシール部19との間に溝部21が形成されている。そのため、例えば自動車が高速で走行した場合には図8において図示しないが、エンジンフードとフェンダーとの間から又はフェンダーとフロントピラー17との間などからこの溝部21に空気が侵入する。この空気は図8において前記溝部21内に下方から侵入し、同溝部21内を上方に向かって流れる。この時、溝部21を流れる空気流によってリップ状のサブシール部19がばたつくことがあった。そして、このばたつきに起因して異音が発生するおそれがあった。
【0005】
上記の問題を解消するため、従来二つの対策が講じられている。
第1の対策として、特開平9−220932号公報に示すウエザストリップには、車室内側に配置された中空状のメインシール部18と車室外側に配置されたリップ状のサブシール部19との間の溝部21に通過音防止壁41が設けられている。
【0006】
第2の対策として、実開平5−28727号公報に示すウエザストリップには、図8の二点鎖線で示すように前記溝部21に上下一対の風抑制フィン42,43を設けた構成のものも提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記第1の対策では、ウエザストリップの音防止壁41が溝部21の幅方向全体に渡って形成されていたので、フロントドア11の閉時に、中空状のメインシール部18が車体開口縁と当接して弾性変形してシールする際に、メインシール部18が音防止壁41を押圧し、さらに、サブシール部19を部分的に外方へ膨らますことになる。そのため、車室外側に配置されているサブシール部19の外観を損ね、見栄えが悪いという問題があった。
【0008】
第2の対策では、風抑制フィン42,43自身が振動するとともに、フィン42,43と両シール部19,18との間に開口部が形成されているので、この開口部から風が流れて、風による異音の発生の抑制を効果的に実現することができないという問題があった。
【0009】
この発明の目的は、上記従来の技術に存する問題点を解消して、メインシール部とサブシール部との間に形成される溝部の風の流れを抑制して、異音の発生を防止することができるとともに、メインシール部又はサブシール部の局部的な膨らみをなくして見栄えをよくすることができるドアウエザストリップを提供することにある。
【0010】
この発明の別の目的は上記目的に加えて、フロントドアへの組み付けばらつきに影響されることなく、風抑制部材を設けることができるドアウエザストリップを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、フロントドア(11)周縁部に装着される本体(16)と、
該本体(16)に一体的に形成され、フロントドア(11)閉時に車体開口縁部(17a)に密接するメインシール部(18)と、
前記本体(16)に一体的に形成され、フロントドア(11)閉時に同じく車体開口縁部(17b)に密接するサブシール部(19)とを備えたドアウエザストリップであって、
車両のベルトライン(L)よりも上方位置の前記メインシール部(18)と前記サブシール部(19)との間の溝部(21)に位置するように一対の風抑制部材(22,23)を一体的に形成し、両風抑制部材(22,23)をフロントドア(11)開時に所定の間隔をもって離隔し、フロントドア(11)閉時に互いに接触するように構成している。
【0012】
請求項2に記載の発明では、請求項1において、前記風抑制部材(22,23)は、フロントドア(11)開時に所定の間隔をもって対向する一対の風抑制ブロック(22,23)であって、両風抑制ブロックの対向面は溝部(21)の長手方向に対して傾斜する傾斜面(22a,23a)とされている。
【0013】
請求項3に記載の発明では、請求項1において、前記一対の風抑制部材(22,23)は、風抑制ブロック(22)と風抑制フィン(23)とから構成され、風抑制フィン(23)は風抑制ブロック(22)の下方に位置し、溝部(21)内を流れる空気により弾性変形して風抑制ブロック(22)の下端面に接触するように構成されている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を具体化した一実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。
図4の自動車の側面に示すように、車体のフロントドア開口と対応して装着されたフロントドア11は、ドアガラス12を昇降可能に案内するサッシュ13とドア本体14とから構成され、前記サッシュ13及びドア本体14の外周縁には鎖線で示すように閉環状のドアウエザストリップ15が装着されている。
【0015】
図1の斜視図は、図4に丸印で示した箇所、つまりベルトラインLのフロント側端部付近のドアウエザストリップ15の組み付け状態を示すドア閉時の部分斜視図である。フロントドア11の周縁、即ち、ドアガラス12を囲むサッシュ13及びドア本体14の周縁には、前記ドアウエザストリップ15が図示しないクリップ又は/及び両面接着テープにより取り付けられている。このドアウエザストリップ15は、前記フロントドア11周縁に装着される本体16と、同本体16の車室内側に突設され、かつ、フロントドア11閉時に車体開口縁としてのフロントピラー17のシール面17aに密接してシールする中空状のメインシール部18と、前記本体16の車両前方に突設され、かつ、フロントドア11閉時にフロントピラー17のシール面17bにその先端部が密接してシールするリップ状のサブシール部19とから形成されている。なお、前記フロントピラー17の車内側のフランジ部17cには、装飾用のウエルト20が取着されている。
【0016】
図1,2に示すように、ドアウエザストリップ15の前記メインシール部18とサブシール部19との間には溝部21が形成されている。同溝部21のベルトラインLよりもやや上方には、同じ高さの位置に対向する一対の風抑制部材としての風抑制ブロック22,23が一体的に突出形成されている。なお、ベルトラインLよりも上方としたのは、エンジンフードとフェンダーとの間から流れてくる風が同溝部21に入るのがベルトラインLの位置のため、風抑制を十分に発揮させるためである。
【0017】
前記一対の風抑制ブロック22,23のうち対向面は傾斜面22a,23aとなっている。この傾斜面22a,23aは図3に示すように溝部21の長手方向に行くに従い傾斜するようになっている。
【0018】
次に、この実施形態におけるドアウエザストリップの作用について説明する。図2はフロントドア開時におけるドアウエザストリップ15の断面状態を示す。この状態においては、メインシール部18とサブシール部19との間の溝部21はシール部自身の弾性復元力により所定形状に保持されている。この状態においてフロントドア11が閉じられると、図3に示すようにメインシール部18とサブシール部19が弾性変形して、フロントピラー17のシール面17aにメインシール部18が密接し、サブシール部19がシール面17bに密接される。この時、メインシール部18とサブシール部19との溝部21の間隔が狭められ、所定の間隔をおいて対向していた一対の風抑制ブロック22,23は互いに接近して接触される。このためフロントドア閉時においては一対の風抑制ブロック22,23により溝部21が閉鎖された状態になる。従って、例えば自動車が高速で走行した場合には図1において図示しないが、エンジンフードとフェンダーとの間から又はフェンダーとフロントピラー17との間などからこの溝部21に侵入しようとする空気流(風)が抑制される。
【0019】
次に、前記のように構成したウエザストリップの効果を以下に列記する。
(1)前記実施形態では、メインシール部18とサブシール部19に対し溝部21内に位置するように一対の風抑制ブロック22,23を一体的に、かつ、互いに所定間隔をおいて対向するように形成した。このため、フロントドア閉状態においてメインシール部18とサブシール部19との弾性変形により両風抑制ブロック22,23が接触して溝部21の空気の通過を遮断する。従って、異音の発生を防止することができる。
【0020】
又、ドア閉時において、両ブロック22,23が適度な圧力で接触するので、サブシール部19が局部的に外方へ押し出されるのを防止して見栄えをよくすることができる。
【0021】
(2)前記実施形態においては、溝部21に対向するフロントドア11の開時において所定間隔をおいて対向する一対の風抑制ブロック22,23を設けたので、フロントドア開放動作時に一対の風抑制ブロック22,23の間に隙間が形成される。このためブロック22,23の上方に溜まっていた雨水が下方に流下され、溝部21内に残留することはない。
【0022】
(3)前記実施形態では、対向するブロック22,23の対向面に対し溝部21の長手方向に行くに従い傾斜する互いに平行な斜面22a,23aを形成した。このため、フロントドア11の周縁に対するドアウエザストリップ15の組み付けばらつきの影響で、風抑制ブロック22,23が溝部21の長手方向に関して位置ずれが生じても、フロントドア閉時において両ブロック22,23を互いに適正に接触させることができる。仮に、前記斜面22a,23aが傾斜していない平行面であるとすると、両シール部18,19がそれらの長手方向に沿って反対方向に引っ張られた場合に、平行面が傾斜面になって局部的に接触されるので、接触状態が変化し易くなる。
【0023】
次に、この発明の別の実施形態を図5〜図7に基づいて説明する。
・図5に示す別の実施形態は、一方の風抑制ブロック22はブロック状のものに構成し、他方の風抑制部材は、風抑制フィン23とする。又、風抑制フィン23は風抑制ブロック22から溝部21の長手方向に若干離隔されている。そして、フロントドアの閉状態において、溝部21から上方に風が吹き上げてきた時、図5の鎖線で示すように風抑制フィン23が風抑制ブロック22の下端面に接触してシールされ、風の通過が遮断される。これによって、異音の発生を防ぐことができるとともに、ウエザストリップの製造時のばらつきあるいは組み付けバランスがくずれた場合にも風抑制フィン23と風抑制ブロック22との距離Gを所定間隔に設定することにより、メインシール部18とサブシール部19とが長手方向にずれて組み付けされた場合にも、その組み付け誤差を吸収して風抑制ブロック22と風抑制フィン23との対応関係を適正に保持することができる。
【0024】
・図6に示す別の実施形態は、一対の風抑制ブロック22,23を、ドア閉時に溝部21の底部側に若干の隙間31が形成されるようにしている。これによってフロントドア閉じ状態においても一対の風抑制ブロック22,23が接触状態で若干の水抜き用の隙間31が形成されるので、水がフロントドア閉じ状態において残留することはない。
【0025】
・図7に示す別の実施形態は、一対のブロック22,22の間に対しテーパ状の凹部22bを設け、ブロック23に対し前記凹部22bに対向するテーパ状の凸部23bを形成している。
【0026】
・図8に示すドアウエザストリップ15のようにメインシール部18が車外側に位置するものにおいて、本発明の風抑制ブロック22,23を適用してもよい。この場合には、メインシール部18の見栄えを良くすることができる。
【0027】
この実施形態においては、両シール部18,19がその長手方向に沿って逆方向(矢印参照)に組み付けズレを生じてもそのズレを吸収することができる。
さらに、上記実施形態より把握される請求項以外の技術的思想について、以下にそれらの効果とともに記載する。
【0028】
〔1〕請求項1において、一方の風抑制部材としてのブロック22に対しテーパ状の凹部22bを設け、他方の風抑制部材としてのブロック23に対し前記凹部22bに対向するテーパ状の凸部23bを形成したドアウエザストリップ。
【0029】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1〜3に記載の発明は、メインシール部とサブシール部との間に形成される溝部の風の流れを抑制して、異音の発生を防止することができるとともに、メインシール部又はサブシール部の局部的な膨らみをなくして見栄えをよくすることができる。
【0030】
請求項2に記載の発明は、フロントドアへの組み付けばらつきに影響されることなく、風抑制部材を設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を具体化したドアウエザストリップを説明するための部分斜視図。
【図2】ドアウエザストリップを示すドア開時の部分断面図。
【図3】ドアウエザストリップを示すドア閉時の部分断面図。
【図4】自動車の側面図。
【図5】この発明の別の実施形態におけるドアウエザストリップの要部の断面図。
【図6】別の実施形態のドアウエザストリップの要部の断面図。
【図7】別の実施形態のドアウエザストリップの要部の断面図。
【図8】従来例におけるドアウエザストリップの部分斜視図。
【符号の説明】
11…フロントドア、15…ドアウエザストリップ、16…本体、18…メインシール部、19…サブシール部、22,23…風抑制部材としての風抑制ブロック。
Claims (3)
- フロントドア(11)周縁部に装着される本体(16)と、該本体(16)に一体的に形成され、フロントドア(11)閉時に車体開口縁部(17a)に密接するメインシール部(18)と、
前記本体(16)に一体的に形成され、フロントドア(11)閉時に同じく車体開口縁部(17b)に密接するサブシール部(19)とを備えたドアウエザストリップであって、
車両のベルトライン(L)よりも上方位置の前記メインシール部(18)と前記サブシール部(19)との間の溝部(21)に位置するように一対の風抑制部材(22,23)を一体的に形成し、両風抑制部材(22,23)をフロントドア(11)開時に所定の間隔をもって離隔し、フロントドア(11)閉時に互いに接触するように構成したことを特徴とするドアウエザストリップ。 - 請求項1において、前記風抑制部材(22,23)は、フロントドア(11)開時に所定の間隔をもって対向する一対の風抑制ブロック(22,23)であって、両風抑制ブロックの対向面は溝部(21)の長手方向に対して傾斜する傾斜面(22a,23a)とされているドアウエザストリップ。
- 請求項1において、前記一対の風抑制部材(22,23)は、風抑制ブロック(22)と風抑制フィン(23)とから構成され、風抑制フィン(23)は風抑制ブロック(22)の下方に位置し、溝部(21)内を流れる空気により弾性変形して風抑制ブロック(22)の下端面に接触するように構成されているドアウエザストリップ。
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