JP3592320B2 - 表面実装機 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、IC等の電子部品のような小片状のチップ部品を所定位置に装着するために吸着ノズルを有するヘッドユニットを備えるとともに、吸着ノズルによる部品吸着状態を認識する認識手段を備えた表面実装機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、吸着ノズルを有する部品装着用のヘッドユニットにより、テープフィーダー等の部品供給部からチップ部品を吸着して、位置決めされているプリント基板上に移送し、プリント基板の所定位置に装着するようにした部品装着装置は一般に知られている。この装置においては、上記ヘッドユニットとプリント基板とが相対的にX軸方向およびY軸方向に移動可能とされるとともに、吸着ノズルがZ軸方向に移動可能かつ回転可能とされ、各方向の移動および回転のための駆動機構が設けられている。
【0003】
この部品装着装置においては、チップ部品が吸着ノズルに吸着された段階ではチップ部品の位置(中心位置および回転角)にばらつきがあるので、そのチップ部品の位置を検出し、それに基づいて装着位置を補正することが要求される。そのために、吸着ノズルにより吸着されたチップ部品を撮像するCCDカメラ等の撮像手段と、この撮像手段により撮像したチップ部品の画像を処理する画像処理手段とからなる認識手段を設け、この認識手段により部品吸着状態を認識し、例えば吸着位置を検出して、その位置検出に基づき装着位置の補正量を求めるようにしたものも知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ヘッドユニットとプリント基板とを相対的にX軸方向およびY軸方向に移動可能とする構造としては、ヘッドユニットをX軸方向及びY軸方向にそれぞれ移動可能としたものが一般的であるが、ヘッドユニットをX,Y軸のうちの一方向(例えばX軸方向)にのみ移動可能とする一方、プリント基板を保持する作業ステーションを他方向(例えばY軸方向)に移動可能とすることも考えられ、このようにすれば、処理能率向上のため多数の吸着ノズルをヘッドユニットに設ける場合などに有利となる。
【0005】
このように多数の吸着ノズルを備えたヘッドユニットを一方向にのみ移動可能とする構造による場合、ヘッドユニットの移動方向が制限される等の条件下で、多数個の吸着ノズルによる部品の吸着及び上記認識手段による各吸着部品の認識を効率良く行ない得るようにするとともに、実装機全体が大型化しないように各部材をコンパクトにレイアウトすることが要求される。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑み、一方向にのみ移動可能なヘッドユニットに配設した多数の吸着ノズルによる部品の吸着及び各吸着部品の認識を効率良く行なうことができ、かつ、実装機全体をコンパクトに構成することができる表面実装機を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、搬送ラインを搬送される基板上に、部品供給部から供給される部品を実装する表面実装機であって、基板の搬送ラインの両側においてそれぞれ基台に固定されたフレームにそれぞれ取付けられ、搬送ラインに沿ったX軸方向に延びるX軸ガイドと、X軸方向に並ぶように配置された複数の吸着ノズルを有して、上記各X軸ガイドに沿ってそれぞれ移動自在に設けられた部品実装用のヘッドユニットと、この各ヘッドユニットをX軸方向に移動させるヘッドユニット作動手段と、X軸方向と直角なY軸方向に延びる2組のY軸ガイドと、この各Y軸ガイドに沿って移動自在に設けられ、搬送ラインから基板を受け取ってこれをY軸方向に移動させる2つの作業ステーションと、複数のフィーダーを有する部品供給部と、上記ヘッドユニットに吸着された部品を撮像して部品吸着状態を認識する認識手段と、上記ヘッドユニットに取付けられた基板位置検出用のカメラとを備え、上記搬送ラインは、基台上において途中に分断部分を有するように配置され、上記2組のY軸ガイドは、互いにX軸方向にずれ、且つ、一方のY軸ガイドが搬送ラインの分断部分からY軸方向一側方の搬送ライン外方へ、他方のY軸ガイドが搬送ラインの分断部分からY軸方向他側方の搬送ライン外方へそれぞれ延びるように配置され、上記部品供給部は、上記搬送ラインのY軸方向両側方で、かつ、上記各Y軸ガイドが搬送ライン外方へ延びた部分のX軸方向両側方の4箇所にそれぞれ、各フィーダーの部品取出し部がX軸方向に整列するように配置され、上記認識手段は、搬送ラインの両側に配設されて、上記各ヘッドユニットが上記部品供給部から作業ステーション上へ移動する途中で複数の吸着ノズルに吸着された部品を撮像するように構成されているものである。
【0008】
この構成によると、搬送ラインの両側にヘッドユニットが配設されるとともに、2つの作業ステーションが設けられることにより、処理能率がより一層向上され、しかも搬送ライン、各X,Y軸ガイド、部品供給部等をコンパクトにレイアウトすることができる。
【0009】
なお、この表面実装機において、上記2組のY軸ガイドはX軸方向に隣接して配置されていることが好ましい。
【0010】
また、本発明の表面実装機において、上記X軸ガイドは、所定空間を介して互いに平行に搬送ライン方向に延びるように上記フレームに設けられた一対の突出部により構成され、この一対の突出部がY軸方向の部品供給部側に向いて配置され、上記ヘッドユニットは、各吸着ノズルに対して配設されたピニオンギヤと、これらピニオンギヤの全てと噛み合い各吸着ノズルを回転させる1本のラックと、このラックを駆動するラック駆動手段とを有し、上記ヘッドユニットが上記X軸ガイドの部品供給側に位置し、かつ、X軸下方まで延び、この下方位置においてX軸ガイドより部品供給側に上記各吸着ノズル及びラックが位置するようになっていることが好ましい。
【0011】
さらに、上記ラック駆動手段は1つのモータを有し、このモータが正逆回転することによりラックがX軸方向両側に移動し、それに伴ってヘッドユニットの全ての吸着ノズルが同時に回転駆動されるようになっていることが好ましい。
【0012】
【実施の形態】
図1および図2は本発明の一実施形態による表面実装機の全体構造を示している。これらの図において、基台1上には、X軸方向(搬送ラインに沿った方向)に延びるプリント基板搬送用のコンベア2が配設され、このコンベア2からなる搬送ライン上をプリント基板3が搬送され、後記作業ステーション6A,6Bの一定位置で停止されるようになっている。
【0013】
上記コンベア2の配設部分の両側方には、部品供給部4が配置されている。この部品供給部4は多数列の供給テープ4aを備えたフィーダー(テープフィーダー)を有し、各供給テープ4aは、それぞれ、IC、トランジスタ、コンデンサ等の小片状のチップ部品を等間隔に収納、保持し、リールに巻回されている。各フィーダーにおいて供給テープ4aの繰り出し端にはラチェット式の送り機構が組込まれ、後記ヘッドユニット5A,5Bにより繰り出し端の部品取出し部からチップ部品がピックアップされるにつれて、供給テープ4aが間欠的に繰り出され、上記ピックアップ作業を繰返し行なうことが可能となっている。
【0014】
図1に示すように上記部品供給部4の各フィーダーは搬送ラインに沿って配設され、各フィーダーの部品取出し部は後記X軸フレーム13A,13BのX軸ガイド14の下方に配置されている。
【0015】
また、上記基台1の上方には、部品装着用のヘッドユニット5A,5Bが装備され、ヘッドユニット5A,5Bと作業ステーション6A,6B上のプリント基板3とが相対的にX軸方向およびY軸方向(水平面上でX軸と直交する方向)に移動可能とされ、特に本発明では、プリント基板3を保持する作業ステーション6A,6BがY軸方向に移動可能とされる一方、ヘッドユニット5A,5BがX軸方向に移動可能となっている。
【0016】
これらの構造を具体的に説明すると、図では2枚のプリント基板3に対して同時的に装着作業を行なうことができるようにして処理能率を高めるため、ヘッドユニット5A,5Bおよび作業ステーション6A,6Bが2つずつ配備されており、作業ステーション6A,6Bは、X方向にずれた2箇所に配設されている。各作業ステーション6A,6Bは、プリント基板3を保持するための基板保持装置を有し、上記コンベア2から移載装置を介して作業ステーション6A,6B上に送り込まれたプリント基板3を保持し得るようになっている。
【0017】
この各作業ステーション6A,6Bの配置箇所においてはそれぞれ、ベース7上に、互いに平行にY軸方向に延びる2本のガイドレール8(Y軸ガイド)が所定間隔をおいて互いに平行に配置されるとともに、Y軸方向の送り機構として、一方のガイドレール8の近傍に、Y軸サーボモータ10により回転駆動されるボールねじ軸9が配置されている。そして、上記作業ステーション6A,6Bの両側部がガイドレール7に移動自在に支持され、かつ、作業ステーション6A,6Bに設けられたナット部分11が上記ボールねじ軸9に螺合している。このような構造により、部品装着作業時には、作業ステーション6A,6Bが、プリント基板3を保持した状態で、上記ボールねじ軸9の回転につれてY軸方向に移動するようになっている。
【0018】
図1から明らかなように、コンベア2からなる搬送ラインは基台1上において途中に分断部分を有するように配置され、ガイドレール8からなるY軸ガイドは、搬送ラインの分断部分からヘッドユニット側のY軸方向一側方の搬送ライン外方まで延びるように配置されている。さらに詳しく説明すると、2本ずつガイドレール8からなる2組のY軸ガイドは、互いにX軸方向にずれて隣接し、且つ、一方のY軸ガイドが搬送ラインの分断部分からY軸方向一側方の搬送ライン外方へ、他方のY軸ガイドが搬送ラインの分断部分からY軸方向他側方の搬送ライン外方へそれぞれ延びるように配置されている。
【0019】
また、上記部品供給部4は、上記搬送ラインのY軸方向側方で、かつ、上記Y軸ガイドが搬送ライン外方へ延びた部分のX軸方向側方に、複数のフィーダーを各フィーダーの部品取出し部がX軸方向に整列するように搬送ラインに沿って配置している。さらに詳しく説明すると、上記部品供給部4は、上記搬送ラインのY軸方向両側方で、かつ、上記各Y軸ガイドが搬送ライン外方へ延びた部分のX軸方向両側方の4箇所にそれぞれ、複数のフィーダーを各フィーダーの部品取出し部がX軸方向に整列するように搬送ラインに沿って配置し、かつ、搬送ラインのY軸方向一側方における上記一方のY軸ガイドの両側2箇所のうちでは上記他方のY軸ガイドに対向する側の方がフィーダー数を多くし、搬送ラインのY軸方向他側方における上記他方のY軸ガイドの両側2箇所のうちでは上記一方のY軸ガイドに対向する側の方がフィーダー数を多くするように構成されている。このような部品供給部4の構成は図1に明らかに示されている通りである。
【0020】
また、基台1の上方には、基板の搬送ラインの少なくとも片側に、ヘッドユニットをX軸方向移動可能に保持するためのX軸フレームが設けられ、図では2本のX軸フレーム13A,13Bが、所定間隔をおいて互いに平行に、それぞれX軸方向に延びている。このX軸フレーム13A,13Bには、搬送ラインに沿った方向に延びるX軸ガイド14が設けられている。
【0021】
このX軸ガイド14は、X軸フレーム13A,13Bの上下両側の側部に位置し所定空間を介して互いに平行に搬送ライン方向に延びる一対の突出部により構成されている。また、X軸方向の送り機構として、ボールねじ軸15と、このボールねじ軸15を回転駆動するX軸サーボモータ16とが、X軸ガイド14を構成する上下一対の突出部間に配置され、X軸フレーム13A,13Bに取付けられている。そして、上記X軸ガイド14にヘッドユニット5A,5Bが移動自在に支持され、かつ、このヘッドユニット5A,5Bに設けられた図外のナット部分が上記ボールねじ軸15に螺合しており、上記X軸サーボモータ16とボールねじ軸15及びこれに螺合するナット部分によりヘッドユニット作動手段が構成され、ボールねじ軸15の回転によってヘッドユニット5A,5BがX軸方向に移動するようになっている。
【0022】
上記Y軸方向およびX軸方向の移動量は、サーボモーター10,16に対して具備されたエンコーダ等からなる測定手段(図6参照)によって測定されるようになっている。
【0023】
上記ヘッドユニット5A,5Bには、それぞれ、チップ部品を吸着する複数の吸着ノズル20がX軸方向に並ぶように配設され、図示の例では各ヘッドユニット5A,5Bにそれぞれ16本ずつ吸着ノズル20が設けられている。図3および図4に詳しく示すように、上記各吸着ノズル20は、Z軸ガイド21に沿ってZ軸方向(上下方向)の移動が可能とされるとともに、R軸(ノズル中心軸)回りの回転が可能とされており、吸着ノズル20に対するZ軸サーボモータ22およびR軸サーボモータ23がヘッドユニット5A,5Bに具備されている。
【0024】
上記Z軸サーボモータ22の駆動によりZ軸ボールねじ軸24を介して吸着ノズル20が上下動される。また、R軸サーボモータ23の駆動によりR軸ボールねじ軸25、R軸ラック26およびR軸ピニオンギヤ27を介して吸着ノズル20が回動されるようになっている。すなわち、図3及び図4に示されているように、各吸着ノズル20に対してそれぞれR軸ピニオンギヤ27が配設されるとともに、これらのR軸ピニオンギヤ27の全てと噛み合うことにより各吸着ノズルを回転させるR軸ラック26が設けられている。そして、ラック駆動手段としてのR軸サーボモータ23の正逆回転に応じ、R軸ボールねじ軸25を介してR軸ラック26がX軸方向両側に移動し、それに伴って複数(16本)の吸着ノズル20の全てが同時に回転駆動されるようになっている。
【0025】
図2及び図3から明らかなように、上記ヘッドユニット5A,5Bは上記X軸ガイド14の部品供給側に位置し、かつ、X軸下方まで延び、この下方位置においてX軸ガイドより部品供給側に上記各吸着ノズル20及びラック26が位置している。
【0026】
図4はヘッドユニットを図3のIV−IV線から見た図であって、図4で上側がヘッドユニットの前側、図4で下側がヘッドユニットの後側である。従って、図示のように各吸着ノズル20及びR軸ピニオンギヤ27はヘッドユニットの前側に配置され、R軸ラック26、R軸ボールねじ軸25及びR軸サーボモータ23は吸着ノズル20の後側、つまり吸着ノズル配設箇所とX軸ガイド14との間の位置に配置されている。
【0027】
さらに、ヘッドユニット5A,5Bには、プリント基板3に予め付されているマーク(図示せず)を検出することによってプリント基板3の位置を検出する基板位置検出用CCDカメラ28が取り付けられている。
【0028】
また、基台1上でヘッドユニット5A,5BのX軸方向移動範囲内の適宜位置に対応する箇所、例えば作業ステーション6A,6Bの配置箇所と部品供給部4との間の箇所に、部品位置検出のための撮像手段としてのCCDカメラ31と、撮像時の照明用のランプハウス32が設けられており、これらCCDカメラ31、ランプハウス32及び後記画像処理ユニット33により、ヘッドユニット5A,5Bの各吸着ノズル20に吸着される部品を撮像して部品吸着状態を認識する認識手段が構成されている。
【0029】
上記認識手段のカメラ31は、ヘッドユニット5A,5Bが部品供給部4から作業ステーション6A,6B上へ移動する途中でカメラ31の上方を通過する間に、各吸着ノズル20に吸着された部品を連続的に撮像するようになっている。
【0030】
図5は、画像処理系統を概略的に示し、この図において、部品位置検出のためのCCDカメラ31は画像処理ユニット(画像処理手段)33に接続されている。なお、上記ヘッドユニット5A,5Bに具備された基板位置検出用CCDカメラ28も画像処理ユニット33に接続されている。
【0031】
また、上記ランプハウス32は、ファイバーケーブル34を介してフラッシュユニット35に接続され、このフラッシュユニット35が上記画像処理ユニット33に接続されている。そして上記画像処理ユニット33が、コントローラ36に接続されている。
【0032】
以上のような構造の表面実装機によると、プリント基板3への部品実装時には、先ずコンベア2により搬送されたプリント基板3が作業ステーション6A,6B上に設置されてから、ヘッドユニット5A,5Bの複数の吸着ノズル20により部品供給部3から部品が吸着された後、ヘッドユニット5A,5BがX軸ガイド14に沿って作業ステーション6A,6B上に移動する。そして、ヘッドユニット5A,5BがX軸方向に移動する一方、プリント基板3を保持する作業ステーション6A,6BがY軸方向に移動することにより、基板上の所望位置に部品を装着することが可能となる。
【0033】
特に、上記ヘッドユニット5A,5Bの複数の吸着ノズル20がX軸方向に並ぶように配置されるとともに、部品供給部4の各フィーダーの部品取出し部はX軸ガイドの下方に配置され、また、ヘッドユニット5A,5Bが部品供給部4から作業ステーション6A,6B上へ移動する途中で認識手段のカメラ31により各吸着部品が連続的に撮像されるようになっているので、ヘッドユニット5A,5BがX軸方向にのみ移動可能とされつつ、複数の吸着ノズル20による部品の吸着とその吸着部品の認識及び部品の装着が効率良く行われる。
【0034】
また、X軸方向に並ぶ複数の吸着ノズル20を回転させる機構として、各吸着ノズル20に対してR軸ピニオンギヤ27が配設されるとともに、これらのピニオンギヤ27の全てと噛み合うR軸ラック26がR軸サーボモータ23によって作動されるようになっているため、1つのサーボモータ23で各吸着ノズル20の回転させることができ、かつ、X軸方向に並ぶ複数の吸着ノズル20を互いに近接させてコンパクトに配置することができる。
【0035】
さらに、上記R軸ラック26は、ヘッドユニット5A,5Bの吸着ノズル配設箇所とX軸ガイド14との間の位置に配置されているため、吸着ノズル20の修理、交換等が容易になり、メインテナンスの面で有利となる。
【0036】
また、上記X軸ガイド14がX軸フレーム13A,13Bの側部に設けられた上下一対の突出部により構成され、その両突出部間にX軸サーボモータ16及びボールねじ軸15が配設されていることにより、ヘッドユニット作動手段がコンパクトにレイアウトされ、かつ、ヘッドユニット5A,5Bの駆動がスムーズに行われる。
【0037】
図6は、吸着ノズル20等を具備するヘッドユニット5(5A,5B)とCCDカメラ31、ランプ(照明)37および照明用電源38を模式的に示すとともに、画像処理ユニット33およびコントローラ36の機能的構成を示している。39は吸着ノズル20に吸着されたチップ部品である。
【0038】
当実施形態において画像処理ユニット33およびコントローラ36は、部品実装時に部品供給部4からの部品の吸着、カメラ31による撮像に基づく部品の認識、作業ステーション6A,6B上のプリント基板3への部品の装着等の一連の作業を制御するとともに、予備的作業として、駆動系統の座表系と部品認識のための画像処理画面上の座標系との対応関係を示すスケールデータを自動的に調整することができるようになっている。
【0039】
具体的に説明すると、この図において、画像処理ユニット33には、部品位置検出手段41と、距離測定手段42とが含まれている。上記部品位置検出手段41は、チップ部品39の吸,装着の一連の作業が自動的に行なわれる装着作業中に、吸着ノズル20による部品吸着後にCCDカメラ31で撮像されたチップ部品39の画像から、このチップ部品39の中心位置および回転角度を検出するものであり、さらに、後記スケールデータ調整時には、ワーク位置を検出して画像処理画面上の座標を求める機能を有する。また、上記距離測定手段42は、後記スケールデータ調整時に、後に詳述するような図10(b)中のCE間の距離、およびDF間の距離の測定を行なうものである。
【0040】
上記画像処理ユニット33に接続されたコントローラ36は、マイクロコンピュータ等からなり、ROMおよびRAM等の記憶手段43と、命令・計算手段44と、インターフェイス45と、ヘッドユニット駆動部46、吸着ノズル回転部47、吸着ノズル上下駆動部48、作業ステーション駆動部49などの各種駆動部とを含んでいる。そして、ヘッドユニットなどの移動量を検出する移動量検出手段50やその他の各種センサ51および吸着用真空の給排切換用バルブ52、各種サーボモータ10,16,22,23等が上記インターフェース45および駆動部46〜49に電気的に接続されている。さらに、キーボード53およびCRT54がコントローラ36に接続されている。
【0041】
上記記憶手段43には、一連の部品装着作業などのシーケンスおよび各種データが記憶されるとともに、後記スケールデータが書換え可能に記憶されるようになっている。
【0042】
また、上記命令・計算手段44は、上記部品装着作業などのシーケンスを実行するようになっている。さらにこの命令・計算手段44は、後記スケールデータ調整時に、ヘッドユニットの移動によりワークを第1点と第2点とに移動させ、さらに所定箇所でワークを回転させるようにするとともに、上記第1点および第2点についての、部品装着装置駆動系統の座標系による座標を測定する手段55と、この測定手段55と上記部品位置検出手段41および距離測定手段42による測定値からスケールデータを演算する手段56とを含んでいる。
【0043】
このような装置を用いた部品装着処理およびスケール調整方法の具体例を、フローチャートによって説明する。
【0044】
図7および図8のフローチャートは、部品装着処理の全体を示している。図7において、先ずステップS1で、キーボードの装着作業開始スイッチがONとなるまで待機される。このスイッチがONとなったときに、画像処理手段における画像処理画面の座標系と部品装着装置の駆動系統の座標系との対応関係を示すデータ(以下、スケールデータと呼ぶ)が未存在か否かの判定(ステップS2)、光学系(カメラ、照明等)の変更が有ったか否かの判定(ステップS3)および後記ステップS16,ステップS19で前回調整時から調べられた画像処理の累積エラー数Eが所定数Ea以上に多発しているか否かの判定(ステップS4)が行なわれる。そして、これらの判定のうちの少なくとも1つがYESの場合は、後記スケールデータ調整のルーチン(ステップS5)が実行されてから、ステップS6に移る。ステップS5が実行されると、累積エラー数はゼロにリセットされる。
【0045】
また、ステップS2〜S4が全てNOのときは、既にスケールデータが存在するとともにその変更を要しないため、そのままステップS6に移る。
【0046】
ステップS6以降は自動的に部品装着を行なう一連の処理であり、先ず初期的処理としては、搬入されるプリント基板3に応じて、装着されるべきチップ部品の個数、種類などを示す基板データが選択されるとともに(ステップS6)、後記アドレスカウンタが初期化のためクリアされ(ステップS7)、そしてプリント基板3が作業ステーション6A,6B上に搬入されて位置決めされる(ステップS8)。
【0047】
次に、ヘッドユニット5A,5Bの作動および吸着ノズル20の作動により、吸着ノズル20が部品供給部4へ移動されて、各吸着ノズル20に供給される負圧でチップ部品が吸着される(ステップ9,S10)。そして、他に吸着可能なノズル、部品が残されていないか否かの判定(ステップS11)に基づき、これがYESであればステップS9,S10の処理が繰り返される。必要数のチップ部品の吸着が終了すると、ヘッドユニットがCCDカメラ31の上方へ移動される(ステップS12)。
【0048】
図8に移って、ステップS13では、カメラ31の上方を通過する各吸着ノズル20に対して照明の照射(フラッシュ)が順次行なわれつつ、各吸着ノズル20に吸着されたチップ部品がカメラ31で撮像されて、その画像が取り込まれる。続いて、上記画像から部品位置が検出され、それに基づいて吸着ノズル20の位置から部品位置までのずれ量が算出される(ステップS14)。上記部品位置の検出の仕方としては、例えば部品の4辺の両端部リードエッジが画像の操作により求められてこれらから部品の中心位置および回転角が演算される。そして、ノズル位置からのずれ量が演算されるが、このずれ量は、後述のスケールデータ調整のルーチンで求められている対応関係に基づき、ヘッドユニットおよび作業ステーションに対する駆動系の駆動量に換算されて求められる。
【0049】
ステップS15では、吸着された部品について上記ステップS13、S14の部品認識処理が終了したか否かが判定され、終了していなければステップS13,S14が繰り返される。
【0050】
認識処理が終了すると、吸着した部品のn番目について認識エラーが発生したか否かが判定され(ステップS16)、エラーがなければ、吸着ノズル20が上記ずれ量分だけ補正された装着位置へ移動され(ステップS17)、装着位置で吸着ノズルの下降、負圧供給カット等によりチップ部品の装着が行なわれる(ステップS18)。ステップS16でエラーの発生が判定されれば、エラー処理として、エラーカウンタがカウントアップされ(ステップS19)、エラー数が記憶手段に記憶される。。そして、吸着された全部品の装着(もしくはエラー処理)が終了したか否かの判定(ステップS20)に基づき、未終了であればステップS16〜S20の処理が繰り返される。
【0051】
装着が終了すると、エラーにより装着されなかった部品があるか否かが判定され(ステップS21)、エラーにより装着されなかった部品が有った場合はその部品を廃却してから(ステップS22)、ステップS9に戻ることにより、エラーの分について部品吸着からの処理が再度行なわれる。
【0052】
上記エラーにより装着されなかった部品がなかった場合は、装着のアドレスを示すアドレスカウンタがカウントアップされる(ステップS23)とともに、1枚のプリント基板分の全部品の装着が終了したか否かが判定され(ステップS24)、終了していなければステップS9に戻ることにより、新たに吸着からの処理が行なわれる。
【0053】
ステップS24で終了と判定されると、プリント基板が搬出されるとともに(ステップS25)、全プリント基板の装着終了か否かが判定され(ステップS26)、この判定がNOであれば、ステップS6に戻ってそれ以下の処理が繰り返される。全基板装着終了となると、終わる。
【0054】
図9は前記のステップS5で行なわれるスケールデータ調整のルーチンの処理の一例を示す。このルーチンにおいては、先ず、吸着ノズルによりワーク(被撮像用部分となるチップ部品等の小片)が吸着される(ステップS31)。そして、図10(a)にも示すように、カメラ31により撮像される範囲内で、ヘッドユニットが駆動されることにより駆動系のX軸上の第1点Aから第2点Bまでワークが移動され、その2点でワークの位置検出(中心位置の検出)が行なわれて、駆動系座標A(R1x,R1y),B(R2x,R2y)と画像処理画面上の座標A(V1x,V1y),B(V2x,V2y)がそれぞれ得られる(ステップS32)。
【0055】
次に、図10(b)にも示すように、駆動系の軸上の1点(例えば上記第1点Aまたは第2点B)で、R軸サーボモーターによりワークが0°,90°,180°,270°の各角度に回転され、それぞれにおけるワークの中心位置C,D,E,Fの検出が行なわれ、画像処理画面上の座標C(V3x,V3y),D(V4x,V4y),E(V5x,V5y),F(V6x,V6y)が求められる(ステップS33)。ここで、続いて、換算係数の比率が、次のように演算される(ステップS34)。
【0056】
【数1】
Figure 0003592320
【0057】
ここで、Vaxは画像処理画面上の点CE間の距離、Vbyは同画面上の点DF間の距離であり、これらは上記座標から次のように求められる。
【0058】
【数2】
Figure 0003592320
【0059】
次に、X軸方向の換算係数およびY軸方向の換算係数がそれぞれ次のように求められる(ステップS35)。
【0060】
【数3】
Figure 0003592320
【0061】
ただし、この式中のL,Vay,Vdx,Vdyは,次のとおりである。
【0062】
【数4】
Figure 0003592320
【0063】
さらに、駆動系の座標軸(Rx ,Ry )X軸、Y軸の方向に対する画像処理画面の座標軸(Vx ,Vy )の傾きθが、次のように演算される(ステップS36)。
【0064】
【数5】
Figure 0003592320
【0065】
以上のような方法によると、スケールデータ調整ルーチンにより、x,y方向の換算係数Sx,Syと傾きθとがスケールデータとして求められる。この場合に、上記ステップS33の処理で得られる各点C,D,E,Fはワークの同一位置(中心位置)がワークの回転により動いたものであり、E,FはそれぞれC,Dがワークの180°回転により移動した位置であって、CE間の距離とDF間の距離とは実寸法としては当然に同一のものであるから、実寸法に対する処理画面上の寸法の割合についてのx方向とy方向との比率が正確に求められる。そして、この比率と、上記第1点A、第2点B等の各座標により、スケールデータとしての3つの未知数Sx,Sy,θを求めるに足る関係式が得られる。
【0066】
従って、ヘッドユニットがX軸方向にのみ移動可能という制約のもとでも、スケールデータSx,Sy,θが高精度に求められる。このスケールデータが記憶手段43に記憶される。
【0067】
そして、一連の部品装着処理としては、部品吸着が行なわれてから撮像および画像処理による部品位置の検出に基づいてずれ量が演算され(ステップS14)、その分だけ補正された装着位置にチップ部品が装着されるが、上記ずれ量の演算の際にスケールデータSx,Sy,θが用いられ、処理画面上の距離が駆動系における実際の距離に換算される。その換算式としては、ある2点間のX,Y方向距離を駆動系座標上でRLX、RLY、処理画面上でVLX,VLYとすると、次のようになる。
【0068】
【数6】
Figure 0003592320
【0069】
このように換算されて補正が行なわれる場合、スケールデータが精度良く求められていることにより、補正の精度も高められることとなる。
【0070】
図11はスケールデータ調整ルーチンの別の例を示し、この例でもステップS41,S42による第1点Aおよび第2点Bの位置検出までの処理は、図9のステップS31,S32と同じである。次に、図12にも示すように、駆動系の軸上の1点で、R軸サーボモーターの駆動によりワークが0°,90°の各角度に回転され、それぞれにおいて処理画面上でのワークのx方向、y方向の長さの検出が行なわれる。そして、本例では、上記各角度での長さがそれぞれVax,Vbyとされ、以下、ステップS44での比率の演算、ステップS45,S46でのスケールデータの演算は、図9のステップS34,S35,S36と同様に行なわれる。
【0071】
この例による場合でも、ステップS43の処理において測定される長さVax,Vbyは、実寸法では全く同じ長さであるので、実寸法に対する処理画面上の寸法の割合についてのx方向とy方向との比率が正確に求められる。そしてその他は図9の例と同様にして、スケールデータが精度良く求められることとなる。
【0072】
【発明の効果】
以上のように本発明は、ヘッドユニットがX軸方向に移動する一方、基板を保持する作業ステーションがY軸方向に移動することにより、基板上の所望位置に部品を装着することが可能となり、上記ヘッドユニットに複数の吸着ノズルが配設されることにより、実装の効率が高められる。
【0073】
特に、ヘッドユニットに複数の吸着ノズルがX軸方向に並ぶように配置されるとともに、ヘッドユニットが部品供給部から作業ステーション上へ移動する途中で各吸着部品が連続的に撮像されて認識されるように認識手段が配置されているので、複数の吸着ノズルによる部品の吸着とその吸着部品の認識及び部品の装着が効率良く行われる。
【0074】
しかも、搬送ライン、X,Y軸ガイド、部品供給部等をコンパクトにレイアウトすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による表面実装機の概略平面図である。
【図2】上記表面実装機のヘッドユニット配置部分の正面図である。
【図3】ヘッドユニットの拡大正面図である。
【図4】ヘッドユニットを図3のIV−IV線からみた図である。
【図5】ヘッドユニットと画像処理手段等を概略的に示した斜視図である。
【図6】画像処理および制御系統の機構的構成を示すブロック図である。
【図7】部品装着の一連の処理の具体例を示すフローチャートである。
【図8】図7のフローチャートに続くフローチャートである。
【図9】スケールデータ調整のルーチンを示すフローチャートである。
【図10】(a)(b)はそれぞれ図9のルーチンの中で行なわれる処理についての説明図である。
【図11】スケールデータ調整のルーチンの別の例を示すフローチャートである。
【図12】図11のルーチンの中で行なわれる処理についての説明図である。
【符号の説明】
2 基盤搬送用のコンベア
5A,5B ヘッドユニット
6A,6B 作業ステーション
20 吸着ノズル
16 R軸サーボモータ
26 ラック
27 ピニオンギヤ
31 CCDカメラ
33 画像処理ユニット
36 コントローラ

Claims (1)

  1. 搬送ラインを搬送される基板上に、部品供給部から供給される部品を実装する表面実装機であって、
    基板の搬送ラインの両側においてそれぞれ基台に固定されたフレームにそれぞれ取付けられ、搬送ラインに沿ったX軸方向に延びるX軸ガイドと、
    X軸方向に並ぶように配置された複数の吸着ノズルを有して、上記各X軸ガイドに沿ってそれぞれ移動自在に設けられた部品実装用のヘッドユニットと、
    この各ヘッドユニットをX軸方向に移動させるヘッドユニット作動手段と、
    X軸方向と直角なY軸方向に延びる2組のY軸ガイドと、
    この各Y軸ガイドに沿って移動自在に設けられ、搬送ラインから基板を受け取ってこれをY軸方向に移動させる2つの作業ステーションと、
    複数のフィーダーを有する部品供給部と、
    上記ヘッドユニットに吸着された部品を撮像して部品吸着状態を認識する認識手段と、
    上記ヘッドユニットに取付けられた基板位置検出用のカメラとを備え、
    上記搬送ラインは、基台上において途中に分断部分を有するように配置され、
    上記2組のY軸ガイドは、互いにX軸方向にずれ、且つ、一方のY軸ガイドが搬送ラインの分断部分からY軸方向一側方の搬送ライン外方へ、他方のY軸ガイドが搬送ラインの分断部分からY軸方向他側方の搬送ライン外方へそれぞれ延びるように配置され、
    上記部品供給部は、上記搬送ラインのY軸方向両側方で、かつ、上記各Y軸ガイドが搬送ライン外方へ延びた部分のX軸方向両側方の4箇所にそれぞれ、各フィーダーの部品取出し部がX軸方向に整列するように配置され、
    上記認識手段は、搬送ラインの両側に配設されて、上記各ヘッドユニットが上記部品供給部から作業ステーション上へ移動する途中で複数の吸着ノズルに吸着された部品を撮像するように構成されていることを特徴とする表面実装機。
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