JP3590810B2 - 重ね合わせ誤差の測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体集積回路製造のフォトリソグラフィ工程において、半導体ウェハ上に形成された工程毎の回路パターンの重ね合わせ精度を検査する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体素子の高集積化に伴い、素子製造のフォトリソグラフィ工程ではその工程毎の回路パターン同士を精度良く重ね合わせる必要性が増しつつある。そのためには、回路パターンとは別に重ね合わせ誤差を測定するための測定用マークをウェハ上に設け、例えば、第1の工程で作られた四角形の測定用マーク(以下、第1ボックスマークという)と第1ボックスマークより小さめの第2の工程で作られた四角形の測定用マーク(以下、第2ボックスマークという)との2つのボックスマークの顕微鏡像の重ね合わせ誤差を測定している。重ね合わせ誤差すなわち2つのボックスマークの中心間距離の値が、許容範囲内にある場合はその半導体ウェハを良品として次工程に投入し、許容範囲を越えている場合は不良品として製造工程から除外していた。
【0003】
従来、この重ね合わせ誤差の測定には、重ね合わせ測定機が用いられており、バーニアマークの顕微鏡像をオペレータの眼で観察し、その顕微鏡像により目視にて重ね合わせ誤差を測定するマニュアル式と、受光素子を用いて2つのボックスマークのエッジ付近の正反射光強度の差を捉え、画像処理によってエッジ位置を自動的に認識して該中心間距離を自動測定する方式とがあった。エッジ位置を決定するには、先ず各エッジの周辺に、図2の斜線部で表示するような測定範囲を決め、その測定範囲に基づいて各エッジの正確な位置を検出する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述の従来の方法において、マニュアル式の場合は、バーニアマークの顕微鏡像の目盛りの認識には、オペレータにより或いは顕微鏡像の見え方により、差異が生じ易いために、測定が不正確になっていた。一方、自動測定方式の場合は、エッジが鋭角でないときには特に正反射光のコントラストが弱く、画像処理を行ってもエッジを正確に認識し難いために、適正な測定範囲を決める際に支障があり、結果的に、2つのボックスマークの中心間距離の測定が不正確になる恐れがあった。この自動測定方式においてマニュアルで測定範囲を決めるためには、オペレータにはある程度の経験と熟練を要するが、それでも測定範囲の再現性が良くなかったり、ボックスマークの相対するエッジの測定範囲が非対称になったりする不都合が生じていた。
【0005】
そこで本発明は、自動測定方式において、エッジからの正反射光のコントラストが弱くともボックスマーク像のエッジを認識し、測定範囲を決めるための方法を提供することを目的とする。これにより、最終的に、正確且つ再現性の良い重ね合わせ誤差の測定が可能となる。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の発明は、半導体ウェハ上に重ね合わせて形成された大きさの異なる2つの四角形の測定用マークを顕微鏡で観察し、前記測定用マークの顕微鏡像を撮影し、デジタル画像に変換し、画像処理を行い、前記測定用マークの各エッジの位置を決定し、前記測定用マークの重ね合わせ誤差を測定する方法において、前記測定用マークの画像の各エッジについて、xy直交座標におけるx方向及びy方向の最大相互相関係数を算出することによって前記各エッジを自動認識し、各エッジに対応する測定範囲を自動的に決定することを特徴とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
図4は、本発明の実施態様に係る重ね合わせ誤差測定に用いられる重ね合わせ測定機の主要部分の概略構成を示す図である。図4は、測定用ステージ3、顕微鏡4、画像処理部5、システム制御部6、ステージ駆動制御部7、焦点位置検出部8及び光源部9から成る。さらに、測定用ステージ3は、ウェハ10を載置してX方向及びY方向(図中、紙面に垂直な方向)に直線移動可能なXYステージ3a、Z方向に直線移動可能なZステージ3b及びZ軸廻りに回転可能なθステージ3cとから成る。画像処理部5は、ボックスマークの顕微鏡像を撮影するCCDカメラ5aと、その顕微鏡像をデジタル画像に変換するA/D変換器5bと、そのデジタル画像を処理する画像処理装置5cとから成る。画像処理装置5cにより処理された画像データは、例えばLANによってシステム制御部6に転送される。ステージ駆動制御部7は、XYステージ3aの移動制御を行うXY駆動制御部7a、Zステージ3bの移動制御を行うZ駆動制御部7b及びθステージ3cの回転制御を行うθ駆動制御部7cから成る。XY駆動制御部7a及びθ駆動制御部7cは、システム制御部6からの指令により、それぞれXYステージ3aの移動制御及びθステージ3cの回転制御を行う。焦点位置検出部8は、検出値をZ駆動制御部7bに送り、Zステージ3bのZ方向の移動制御すなわち焦点調整を行う。又、光源部9から発する光は、半透過鏡11、12及び顕微鏡4を通してウェハ10を照明し、ウェハ10からの反射光は、顕微鏡4、半透過鏡12、11を順次通過して、CCDカメラ5aにより画像として撮影される。光源部9の光源には、例えばメタルハライドランプが用いられる。
【0008】
次に、本発明の重ね合わせ誤差測定の手順を説明する。
ウェハ10は、不図示の非接触プリアライメント部により偏心量算出と回転補正がなされた後に測定用ステージ3の上に載置される。ウェハ10は、顕微鏡4の視野中心にボックスマークが位置するように、測定用ステージ3のXYステージ3aによりXY方向に動かされ、焦点を合わせるためにZ方向に動かされる。ウェハ10は、ウェハ上の予め登録された2点のボックスマークを用いて、いわゆるグローバルアライメントを行い、θステージ3cによりウェハ10の精密な回転補正を行う。これによりボックスマークのエッジはXYステージ3aのX、Y方向に平行となる。
【0009】
ボックスマークの顕微鏡像はCCDカメラ5aで撮影され、A/D変換機5bでデジタル化された後に、画像処理装置5cの記憶媒体に記憶される。この画像データは、画像処理装置5cからシステム制御部6に転送され、以下に述べるシーケンスに従って演算処理を行う。
図1は、本発明の実施態様に係る重ね合わせ誤差測定における測定範囲を自動的に決定するための手順を示すフローチャートである。
【0010】
S01において、図2に示すボックスマーク1及び2のデジタル化された像がシステム制御部6から読み出される。ボックスマーク1の中心がxy座標の原点となるように位置合わせが行われ、x、y軸は各々、XYステージ3aのX、Y方向に平行となる。
S02において、図4に示すx=0のラインプロファイルとx≠0のうちの1本のラインプロファイルとの相互相関係数M(τ)が次式により計算される。次式は、x=0のベクトルをR、x≠0のベクトルをSとすると次のように書ける。なお、添字τは、x≠0のx=0に対するズレ量である。
【0011】
【数1】
【0012】
x≠0の1本のラインについて、相互相関係数のうち最大値を最大相互相関係数とする。但し、相互相関係数M(τ)<0のときは総てM(τ)=0とみなす。x≠0のライン毎に最大相互相関係数が算出され、各xラインについて最大相互相関係数値がプロットされる。
S03において、最大相互相関係数値のヒストグラムが作成される。一般に、画像にはノイズが含まれるので、ノイズ除去のためにこの処理を行う。
【0013】
S04において、上記ヒストグラムから最大相互相関係数が同一として扱えるレベルを取り出すと、図3に示すグラフが得られる。図3は、各xラインについて規格化された最大相互相関係数を示す。すなわち、x=0からx方向にグラフを辿ってゆくと、図2に示すボックスマーク1及び2の画像の両者の内側にある間は、最大相互相関係数は高い同一のレベルをとり、ボックスマーク2のエッジで最大相互相関係数は急激に変化し、ボックスマーク2の外側に到ると、最大相互相関係数は一段低くなり同一のレベルをとる。さらに、ボックスマーク1のエッジで最大相互相関係数は急激に変化して零となり、ボックスマーク1の外側でも零のレベルを維持する。
【0014】
S05において、図3のグラフからボックスマークのエッジが認識される。すなわち、最大相互相関係数が急激に変化する部分がエッジに対応する。
S06において、図3のグラフの中心すなわちx=0を基準にほぼ対称となる位置に存在するエッジの対が認識され、エッジ位置が確定される。すなわち、図2に示す第1ボックスマーク1のエッジ1a,1bに対応する値が各々A1,B1、第2ボックスマーク2のエッジ2a,2bに対応する値が各々A2,B2である。
【0015】
S07において、各エッジについて測定範囲が自動的に決定される。この測定範囲は、例えば、エッジの急峻性や直線性及びエッジ周辺の状況に応じて適切な広さに定められる。測定範囲が広い方がエッジ位置の再現性は向上するが、確率的にノイズは増加するので、適切な広さを選ぶ必要がある。
以上のS01からS07までの各動作はyラインについても同様に行われ、最終的に、図2に示すように、ボックスマーク1及び2の全エッジに対応する測定範囲(図2の中、斜線部で表示)が決定される。
【0016】
この後、上述の測定範囲に基づいてボックスマーク1及び2の全エッジの位置が正確に検出され、それにより重ね合わせ誤差量の測定が以下の手順で行われる。先ず、2つのボックスマークのエッジ位置が測定され、次に、2つのボックスマークのx方向の中点位置が算出され、その中点間距離がx方向の重ね合わせ誤差量Δxとなる。同様に、y方向についても、重ね合わせ誤差量Δyが求められる。従って、ΔxとΔyから2つのボックスマークの重ね合わせ誤差量が得られる。
【0017】
【発明の効果】
以上のとおり本発明によれば、重ね合わせ誤差量を測定するために設けられたボックスマークのエッジが正確に自動認識でき、エッジ毎の測定範囲が自動的に決定できるので、エッジのプロフィールが不鮮明であっても適正な測定範囲が得られる。又、オペレーターに熟練を必要としなくなる。その結果、x方向の重ね合わせ誤差量Δx、y方向の重ね合わせ誤差量Δy及び2つのボックスマークの重ね合わせ誤差量が高精度且つ再現性良く測定できる。
【0018】
さらに、ボックスマークのエッジとXYステージの移動方向とが多少合致していない場合でも相関演算によりエッジ位置を認識しているので、適正な測定範囲が決定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る測定範囲を決定するための手順を示すフローチャート。
【図2】本発明の実施の形態に係る2つのボックスマークと測定範囲を示す概念図。
【図3】本発明の実施の形態に係るxライン方向の規格化された最大相互相関係数の変化を示すグラフ。
【図4】本発明の実施の形態に係る重ね合わせ誤差測定のための重ね合わせ測定機の主要部分の概略構成図。
【符号の説明】
1 ・・・第1の工程で作られたボックスマーク
2 ・・・第2の工程で作られたボックスマーク
3 ・・・測定用ステージ
4 ・・・顕微鏡
5 ・・・画像処理部
5a ・・・CCDカメラ
5b ・・・A/D変換器
5c ・・・画像処理装置
6 ・・・システム制御部
7 ・・・ステージ駆動制御部
8 ・・・焦点位置検出部
9 ・・・光源部
10 ・・・ウェハ
Claims (1)
- 半導体ウェハ上に重ね合わせて形成された2つの大きさの異なる四角形の測定用マークを顕微鏡で観察し、前記測定用マークの顕微鏡像を撮影し、デジタル画像に変換し、画像処理を行い、前記測定用マークの各エッジの位置を決定し、前記測定用マークの重ね合わせ誤差を測定する方法において、
前記測定用マークの画像の各エッジについて、xy直交座標におけるx方向及びy方向の最大相互相関係数を算出することによって前記各エッジを自動的に認識し、各エッジに対応する測定範囲を自動的に決定することを特徴とする、重ね合わせ誤差の測定方法。
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JP09450896A JP3590810B2 (ja) | 1996-04-16 | 1996-04-16 | 重ね合わせ誤差の測定方法 |
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ID=14112269
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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Country Status (1)
Country | Link |
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