JP3590335B2 - ロジック回路のための多出力電源回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はロジック回路に複数の異なる直流電圧を供給するための多出力電源回路に係り、特に三端子レギュレータやDC−DCコンバータ等の直流電圧変換器を用いた多出力電源回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
マイクロプロセッサ等を動作させるための安定した直流電圧を得るには、DC−DCコンバータを使用するのが一般的である。特に、最近のロジック回路は2以上の直流電圧(例えば、DC5VとDC3.3V)を1つの基板で使用するために、このような複数の直流電圧を1つのロジック回路基板へ安定して供給できる多出力電源回路が必要となっている。
【0003】
複数の直流電圧を生成する多出力電源回路の従来例としては、例えば特開平7−7927号公報や特開平8−182320号公報に開示されている。これら従来の電源回路では、スイッチングレギュレータで用いられるトランスに必要な数だけ2次巻き線を形成し、それらにより生成された交流電圧を整流した後、三端子レギュレータにより安定化させる、という構成を採用している。
【0004】
その他ノート型パソコンの電源系に採用されている方法が、日経エレクトロニクス誌(1998.12.14, No. 732, p135)に開示されている。すなわち、ACアダプタ等から得られた直流電圧をメインのDC−DCコンバータで所定の直流電圧に変換し、それを更にサブDC−DCコンバータで必要な直流電圧へ変換してLSIへ供給するものである。例えば、DC3.3VおよびDC2.5Vを供給する場合には、先ず主電圧としてのDC3.3Vを生成し、その主電圧を入力としてサブDC−DCコンバータによりDC2.5Vを生成する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、メインDC−DCコンバータとサブDC−DCコンバータとを連結して複数の電圧を供給する従来の電源系は、1つの出力電圧がメモリへ、他の出力電圧が液晶パネルへというように、それぞれ別個のデバイスへ供給されることを前提としたものである。
【0006】
このために、この種の電源系で得られた複数の直流電圧を1つのロジック回路基板に供給すると、ロジックICのラッチアップが発生し易くなるという現象が生じる。その理由は、DC−DCコンバータに入出力遅延があるために、後段の出力電圧の立ち上がりが遅くなるからである。
【0007】
三端子レギュレータを用いる場合も同様である。三端子レギュレータの入力電圧をV1、出力電圧をV2とし、入力電圧V1が図2(B)に示すように立ち上がって目標電圧Vcc1に到達するものとする。このとき、三端子レギュレータには最低入出力電圧差VD(0.6V程度)が存在するために、入力電圧V1がVDに到達するまでは、出力電圧V2は立ち上がらない。すなわち、出力電圧V2が立ち上がるまでに、VDに対応する遅延時間TDが生じることとなる。このために、三端子レギュレータを用いても、電圧の立ち上がり期間でロジックICのラッチアップが生じやすくなる。
【0008】
より一般化すれば、入力直流電圧がある電圧まで上昇しない限り出力直流電圧が立ち上がらない(すなわち遅延が存在する)三端子レギュレータやDC−DCコンバータ等の直流電圧変換器を用いた多出力電源回路では、立ち上がり期間でのロジック回路のラッチアップが生じやすくなる。より詳しくは、出力電圧V2が正常動作電圧に到達してロジックIC内のラッチアップ防止回路が作動するまでに入出力電圧差V1−V2が大きいと、ロジックICのラッチアップが生じやすくなる。
【0009】
本発明の目的は、簡単な構成でロジック回路のラッチアップを防止できる多出力電源回路を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明による多出力電源回路は、1つの入力直流電圧から複数の出力直流電圧を生成し、ロジック回路基板へ供給するための多出力電源回路であって、前記入力直流電圧を入力する少なくとも1個の直流電圧変換器を有し、各直流電圧変換器の入力端子と出力端子とが1個の抵抗器を介して接続され、前記入力直流電圧を1つの出力直流電圧とし、前記直流電圧変換器の出力を他の出力直流電圧とする、ことを特徴とする。
【0011】
本発明の別の観点によれば、入力直流電圧から第1出力直流電圧を生成する第1直流電圧変換器と、前記第1出力直流電圧を入力して他の出力直流電圧を生成する少なくとも1個の第2直流電圧変換器と、を有し、前記第2直流電圧変換器の入力端子と出力端子とが1個の抵抗器を介して接続されていることを特徴とする。
【0012】
本発明による多出力電源回路は、少なくとも1個の直流電圧変換器を有し、その直流電圧変換器の入力端子と出力端子との間に抵抗が接続された構成を有する。直流電圧変換器の入力端子と出力端子との間に抵抗を挿入したことにより、入力電圧の立ち上がりと同時に出力電圧も立ち上がる。複数の出力電源電圧が同時に立ち上がるために、ロジック回路のラッチアップが防止される。
【0013】
また、直流電圧変換器が定常動作になると、各直流電圧変換器の入力電圧と出力電圧とはそれぞれ所定の電圧に維持されるから、抵抗には一定の電流が流れ、負荷電流の不足分は当該直流電圧変換器から供給される。従って、全体としてみれば、安定化電源としての効率は抵抗を挿入しても変化しない。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は本発明による電源回路の一実施形態を示す回路図である。以下の説明において、「直流電圧変換器」は、「DC−DCコンバータ」および「三端子レギュレータ」を含む。
【0015】
同図に示すように、直流電圧変換器101の入力端子P1と出力端子P2とは、抵抗Rによって接続されている。直流電圧変換器101の入力端子P1に主電圧V1が印加され、出力端子P2に出力電圧V2が現れる。主電圧V1は、それ自体安定化直流電圧であり、電源電圧の1つとして使用される。直流電圧変換器101の出力電圧V2は主電圧V1より低い電圧であり、他の電源電圧として使用される。
【0016】
直流電圧変換器101は電圧V1を入力して、それより低い所定電圧V2に変換する回路であり、入力電圧V1がある電圧VDに上昇するまで出力電圧V2が立ち上がらないという遅延が存在する。このような直流電圧変換器101はDC−DCコンバータあるいは三端子レギュレータとして市販されている。
【0017】
本実施形態によれば、入力端子P1と出力端子P2とが抵抗Rによって接続されているために、次に述べるように、直流電圧変換器101に本来存在する入出力電圧間の立ち上がり遅延はなくなる。
【0018】
図2(A)は本発明による電源回路の入出力電圧の立ち上がり特性の一例を示すグラフである。同図に示すように入力電圧V1が立ち上がって目標電圧Vcc1に到達するものとする。
【0019】
入力電圧V1が上昇を開始すると、抵抗Rを通して出力端子P2側へ電流I0が流れはじめ、出力電圧V2も同時に上昇し始める。出力電圧V2が所定電圧Vcc2に到達すると、出力電圧V2は所定電圧Vcc1に維持される。このように、入力電圧V1の立ち上がりと同時に、出力電圧V2も立ち上がりを開始するために、従来のような出力電圧V2の立ち上がり遅延TDは生じない。
【0020】
入力電圧V1及び出力電圧V2が定常状態になると、抵抗Rには一定電流I0=(V1−V2)/Rが流れる。従って、出力電圧V2に対する負荷電流ILの不足分は、直流電圧変換器101の出力電流I2として供給される。すなわち、負荷電流IL=I0+I2となる。抵抗Rが挿入されない場合には、直流電圧変換器101が出力電圧V2に対する負荷電流を全て供給していたのであるから、特に三端子レギュレータの場合、全体としてみれば、抵抗Rを挿入してもしなくても、安定化電源としての効率は変化しない。
【0021】
図3は、本発明による多出力安定化電源の一実施例を示す回路図である。ここでは、直流電圧変換器101として三端子レギュレータ(DC5V入力/DC3.3V出力)を用い、上述したように、三端子レギュレータ101の入力端子と出力端子とが抵抗Rによって接続されている。
【0022】
主電源回路102は、商用AC100Vあるいはバッテリを電源とし、周知のDC−DCコンバータ等を用いた安定化電源回路であり、主電圧V1(Vcc1=5V)を論理回路103へ供給するとともに、三端子レギュレータ101へ供給する。主電圧V1は図2(A)に示すように上昇し、目標電圧Vcc1=5Vに到達する。
【0023】
三端子レギュレータ101の出力電圧V2は、上述したように、主電圧V1の立ち上がりと同時に立ち上がり、規定の出力電圧V2=3.3Vに到達するとそれを維持する。したがって、論理回路103には、立ち上がりにおいて同時に上昇し始める2つの電圧V1及びV2が供給され、定常状態では2つの安定化電源電圧DC5V及びDC3.3Vが供給される。
【0024】
上記実施形態及び実施例では、2つの安定化電圧の場合を説明したが、本発明は3つ以上の安定化電圧の場合にも適用できる。例えば、図3において、論理回路103がDC5V、DC3.3V、及びDC1.8Vを必要とする場合には、入力端子と出力端子とが抵抗R2により接続された別の三端子レギュレータ(例えば、DC5V入力/DC1.8V出力)を用意し、三端子レギュレータ101と同様に主電源回路102に接続すればよい。
【0025】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、少なくとも1個の直流電圧変換器を有し、その直流電圧変換器の入力端子と出力端子とが抵抗で接続されているために、遅延なく同時に立ち上がる複数の出力電源電圧をロジック回路基板へ供給することができる。これにより、ロジックICのラッチアップを有効に防止することができる。
【0026】
さらに、直流電圧変換器が三端子レギュレータの場合、定常動作になると、各直流電圧変換器の入力電圧と出力電圧とはそれぞれ所定の電圧に維持されるから、抵抗には一定の電流が流れ、負荷電流の不足分が当該直流電圧変換器から供給される。従って、全体としてみれば、安定化電源としての効率は低下しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電源回路の一実施形態を示す回路図である。
【図2】(A)は本発明による電源回路の入出力電圧の立ち上がり特性の一例を示すグラフであり、(B)は従来例の入出力電圧の立ち上がり特性を示すグラフである。
【図3】本発明による多出力安定化電源の一実施例を示す回路図である。
【符号の説明】
101 直流電圧変換器(DC−DCコンバータおよび三端子レギュレータを含む)
102 主電源回路
103 論理回路
Claims (4)
- 1つの入力直流電圧から複数の出力直流電圧を生成し、複数の直流電圧を必要とするロジック回路基板へ供給するための多出力電源回路において、
前記入力直流電圧を入力する少なくとも1個の直流電圧変換器を有し、各直流電圧変換器の入力端子と出力端子とが1個の抵抗器を介して接続され、前記入力直流電圧を1つの出力直流電圧とし、前記直流電圧変換器の出力を他の出力直流電圧とすることで、すべての出力直流電圧を同時に立ち上げることを特徴とする多出力電源回路。 - 前記直流電圧変換器は三端子レギュレータであることを特徴とする請求項1記載の多出力電源回路。
- 前記直流電圧変換器はDC−DCコンバータであることを特徴とする請求項1記載の多出力電源回路。
- 1つの入力直流電圧から複数の出力直流電圧を生成し、複数の直流電圧を必要とするロジック回路基板へ供給するための多出力電源回路において、
前記入力直流電圧から第1出力直流電圧を生成する第1直流電圧変換器と、
前記第1出力直流電圧を入力して他の出力直流電圧を生成する少なくとも1個の第2直流電圧変換器と、を有し、
前記第2直流電圧変換器の入力端子と出力端子とが1個の抵抗器を介して接続することで、すべての出力直流電圧を同時に立ち上げることを特徴とする多出力電源回路。
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