JP3589959B2 - パワーオンリセット回路およびそれを備えた半導体集積回路装置 - Google Patents

パワーオンリセット回路およびそれを備えた半導体集積回路装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パワーオンリセット回路およびそれを備えた半導体集積回路装置に関し、特に、電源投入時に半導体集積回路装置内のラッチ回路、フリップフロップ等の初期化が必要な初期化対象回路の初期化を確実に実行できるパワーオンリセット回路およびそれを備えた半導体集積回路装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
パワーオンリセット回路は、電源投入を検知して自動的に大規模集積回路(LSI)内のラッチ回路やフリップフロップ(以下F/Fと略記)等の初期化対象回路に対するリセット信号を発生させてLSI全体の初期化を行う目的で用いられている。
【0003】
図9(a)の第1の従来例のパワーオンリセット回路70は、VCC電源端子と接地の間に設けられた抵抗71と容量72との接続点NEの電位変化をインバータ回路73で検出して反転出力することによりワンショットのパワーオンパルスPOPを出力する。図9(b)はVCC電源投入後の接続点NEの電位およびパワーオンパルスPOPの変化を示す。しかし、第1の従来例では、容量72を大きな容量値とすると占有面積が大となり、LSIのチップサイズが増大する。このため、この従来例ではそのままパワーオンリセット信号として使用するパワーオンパルスPOPのハイレベル期間を十分に長く確保することができず、LSI内の一部の初期化対象回路がリセットされずに初期化不良が発生することがあった。
【0004】
図10は、初期化不良の発生を防止するために、パワーオンリセット信号のアクティブ出力期間を所望の時間確保することのできる公知技術である。
【0005】
図10(a)は、特開昭61−198914号公報に記載された第2の従来例であり、図9(a)のパワーオンパルス発生回路70の出力であるパワーオンパルスPOPをセットリセットフリップフロップ(SR−F/F)81のセット側に入力することにより、パワーオンパルスPOPのローレベルからハイレベルへの変化に同期して、SR−F/F81のQ側出力であるパワーオンリセット信号PONはローレベルからハイレベルに変化する。
【0006】
外部からリセット信号RSTを入力してSR−F/F81をリセットすることによりパワーオンリセット信号PONをハイレベルからローレベルに変化させることができるので、パワーオンリセット信号PONのアクティブ期間を外部から設定することができ、LSI内の電源投入後にリセットする必要のある全てのラッチ回路,F/F等の初期化対象回路に対して十分なアクティブ期間を有するパワーオンリセット信号PONを供給することができる。
【0007】
図10(b)は、特開平5−291915号公報に記載された第3の従来例であり、内部に備えたタイマ82に予め設定された時間を計時後にSR−F/F81のリセット信号を発生するようにした点が第2の従来例と異なる。パワーオンパルスPOPのハイレベルへの変化に同期してSR−F/F81がセットされるとともにタイマ82が計時を開始し、予め設定された時間計時後するとタイマ82からのリセット信号によりSR−F/F81がリセットされるので、電源投入後からタイマ82に設定された時間の期間パワーオンリセット信号PONをアクティブとして供給することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、電源投入後にリセットする必要のある初期化対象回路に対して十分なアクティブ期間を有するパワーオンリセット信号を供給しなければならない。しかしながら一方では、電源投入後に、LSIが速やか動作を開始できることが望ましく、必要限度を大幅に超えたパワーオンリセット時間を設定することは、無駄な待ち時間を増加させてしまい望ましくない。
【0009】
第2の従来例では、SR−F/Fのリセット信号をLSI外部から入力するために、製造ばらつきによるLSI内のF/F特性の変化を考慮して適切なタイミングでリセット信号を供給することが困難であり、安全性を考慮してパワーオンリセット時間を過大にとらざるをえない。
【0010】
第3の従来例では、タイマが同一のLSIに搭載されるために、第2の従来例よりは製造ばらつきを考慮してタイマの計時時間を設定できる余地がある。しかしながら、タイマの計時の単位時間であるクロックの周期を決めるクロック発振器の特性とF/Fの特性との製造ばらつきによる変化を考慮して無駄な待ち時間を極力減少させたパワーオンリセット信号が得られるように設定することは容易ではなく、また、クロック発振器が、例えば水晶発振回路、リングオシレータ、CR発振回路のいずれかにより製造ばらつきでのクロック周期の変化量が異なるので、タイマの計時時間をクロック発振器の種類により変更しなければならず設計が煩雑となる。
【0011】
本発明の目的は、LSIの製造工程における製造ばらつきによる回路特性の変化に依存せず、適切な時間内で確実にLSIの初期化を実現するパワーオンリセット回路およびそれを備えた半導体集積回路装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の発明のパワーオンリセット回路は、電源投入を検出してワンショットのパワーオンパルスを生成し出力するパワーオンパルス発生部と、前記パワーオンパルスのアクティブレベルへの変化を検出して初期化対象回路の初期化のためのパワーオンリセット信号をアクティブレベルとし、複数の初期化完了信号の全てがアクティブレベルに変化したことを検出して前記パワーオンリセット信号をインアクティブレベルとする初期化完了信号検出部とを有するパワーオンリセット信号生成部と、内部に初期化対象回路の初期化動作を模擬しかつ初期化時間が前記初期化対象回路より大きい初期化模擬回路を有し、パワーオンリセット信号を入力し初期化模擬回路の論理状態が反転して初期化完了状態になったことを検出して前記初期化完了信号をそれぞれ出力する複数の初期化完了判定部とを備えている。
【0013】
第2の発明のパワーオンリセット回路を備えた半導体集積回路装置は、電源投入を検出して初期化対象回路を初期化するためのパワーオンリセット信号をアクティブレベルとし、複数の初期化完了信号の全てがアクティブレベルに変化したことを検出して前記パワーオンリセット信号をインアクティブレベルとするパワーオンリセット信号生成部と、それぞれに初期化対象回路の初期化動作を模擬する初期化模擬回路を有し前記パワーオンリセット信号を入力して前記初期化模擬回路の論理状態が反転し初期化完了状態になったことを検出し前記初期化完了信号を出力する複数の初期化完了判定部とを備え、前記複数の初期化完了判定部のうち1個が、前記パワーオンリセット信号生成部から初期化対象回路までの配線経路が最も長い前記パワーオンリセット信号の信号線の遠端から入力して設けられ、前記複数の初期化完了判定部のうち他の1個が、初期化対象回路が最も多数接続されている前記パワーオンリセット信号の信号線の遠端から入力して設けられている。
【0014】
第3の発明のパワーオンリセット回路は、電源投入を検出してワンショットのパワーオンパルスを生成し出力するパワーオンパルス発生部と、前記パワーオンパルスのアクティブレベルへの変化を検出して初期化対象回路の初期化のためのパワーオンリセット信号をアクティブレベルとし、複数の初期化完了信号の全てがアクティブレベルに変化したことを検出して前記パワーオンリセット信号をインアクティブレベルとする初期化完了信号検出部とを有するパワーオンリセット信号生成部と、内部に初期化対象回路の初期化動作を模擬しかつ初期化時間が前記初期化対象回路より大きい初期化模擬回路を有し、パワーオンリセット信号を入力し初期化模擬回路の論理状態が反転して初期化完了状態になったことを検出して前記初期化完了信号をそれぞれ出力する複数の初期化完了判定部と、テストモードにおいて複数の初期化完了信号のうち少なくとも1個の初期化完了信号を外部端子に出力するテスト出力セレクタとを備えている。
【0015】
第4の発明のパワーオンリセット回路を備えた半導体集積回路装置は、電源投入を検出して初期化対象回路を初期化するためのパワーオンリセット信号をアクティブレベルとし、複数の初期化完了信号の全てがアクティブレベルに変化したことを検出して前記パワーオンリセット信号をインアクティブレベルとするパワーオンリセット信号生成部と、それぞれに初期化対象回路の初期化動作を模擬する初期化模擬回路を有し前記パワーオンリセット信号を入力して前記初期化模擬回路の論理状態が反転し初期化完了状態になったことを検出し前記初期化完了信号を出力する複数の初期化完了判定部と、テストモードにおいて複数の前記初期化完了信号のうち少なくとも1個の初期化完了信号を外部端子に出力するテスト出力セレクタとを備え、前記複数の初期化完了判定部のうち1個が前記パワーオンリセット信号生成部から初期化対象回路までの配線経路が最も長い前記パワーオンリセット信号の信号線の遠端から入力して設けられ、前記複数の初期化完了判定部のうち他の1個が初期化対象回路の最も多数接続されている前記パワーオンリセット信号の信号線の遠端から入力して設けられている。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態であるパワーオンリセット回路の回路図である。
【0017】
パワーオンリセット回路10は、電源の投入を検出してワンショットのパワーオンパルスPOPを生成し出力するパワーオンパルス発生部2と、パワーオンパルスPOPのアクティブレベルへの変化を検出してフリップフロップの初期化のためのパワーオンリセット信号PONをアクティブレベルとし、複数の初期化完了信号RJ1,RJ2,…RJnの全てがアクティブレベルに変化したことを検出してパワーオンリセット信号PONをインアクティブレベルとする初期化完了信号検出部3とを有するパワーオンリセット信号生成部1を備えている。また、内部に初期化対象回路の初期化動作を模擬しかつ初期化時間が前記初期化対象回路より大きい初期化模擬回路を有し、パワーオンリセット信号PONを入力し、初期化模擬回路の論理状態が反転して初期化完了状態になったことを検出して初期化完了信号RJ1,RJ2,…RJnそれぞれを出力する複数の初期化完了判定部4−1,4−2,…4−nを、パワーオンリセット回路10は備えている。
【0018】
パワーオンリセット回路10は、LSI内に配置されたラッチ回路やF/F等の初期化対象回路に対して、電源投入と同時にパワーオンリセット信号PONをアクティブレベルにして初期化を開始するとともに、それぞれの初期化完了判定部4−1,4−2,…4−nが内蔵する初期化対象回路の初期化動作を模擬する初期化模擬回路の初期化に要する時間をLSI内に配置されたラッチ回路やF/F等の初期化対象回路よりも大きくしておき、全ての初期化完了判定部4−1,4−2,…4−nにおいて初期化模擬回路が初期化完了状態に変化したと判定したときにLSI内の全ての初期化対象回路の初期化が完了したとみなし、初期化完了信号判定部3でパワーオンリセット信号PONをノンアクティブレベルに戻す。
【0019】
図2は、パワーオンリセット回路10の各部の動作タイミング図である。VCC電源投入後の電位上昇に追随してパワーオンパルスPOPがVCCレベルまで上昇するが、パワーオンパルス発生部として図9の第1の従来例の回路を用いるとすれば、容量値と抵抗値で定まる所定時間TPOPが経過すると、パワーオンパルスPOPは接地レベルに低下する。これに対して、パワーオンリセット信号PONは、パワーオンパルスPOPに追随してアクティブレベルであるVCCレベルに上昇するが、パワーオンパルスPOPがローレベルに変化してもアクティブレベルを維持し、初期化完了判定部4−1,4−2,…4−nからの初期化完了信号RJ1,RJ2,…RJnが全てアクティブレベルであるハイレベルに変化したことを初期化完了信号判定部3が検出した後にはじめてパワーオンリセット信号PONをインアクティブレベルであるローレベルに変化させる。したがって、パワーオンリセット信号PONの電源投入からインアクティブに戻るまでの期間TPONは、初期化完了信号RJ1の電源投入からアクティブになるまでの期間T1、初期化完了信号RJ2の電源投入からアクティブになるまでの期間T2,初期化完了信号RJnの電源投入からアクティブになるまでの期間Tnのなかで最も大きい期間と同等以上となることが保証される。
【0020】
初期化完了判定部を、パワーオンリセット信号PONのパワーオンリセット信号生成部からの信号遅延量が最も大きくなると推定される個所を含むLSI内の複数の個所に設置することにより、製造ばらつきによるトランジスタ特性の変化のみならずメタル配線の幅や厚さのばらつきによる信号遅延量の変化に対応させてパワーオンリセット信号PONのアクティブレベル期間TPONが自動的に変化するので、電源投入時にラッチ回路やF/F等の初期化対象回路の初期化実行を確実に保証することができ、第2および第3の従来例のようにパワーオンリセット信号PONにアクティブレベル期間を過大に設定する必要がない。
【0021】
図3(a)は、初期化完了判定部の一実施例の回路図であり、(b)は、その動作タイミング図である。初期化完了判定部4aは、接続点NAにNAND回路12の出力端およびインバータ回路13の入力端が接続され、接続点NBにNAND回路12の一方の入力端およびインバータ回路13の出力端が接続されて構成されたラッチ回路による初期化模擬回路を有しており、パワーオンリセット信号PONがインバータ回路11により反転されてNAND回路13の他方の入力端に入力されている。接続点NAと接地との間には容量14が接続され、接続点NBと電源VCCとの間には容量15が接続され、接続点NAを入力端に接続され入力と出力が同相のバッファ回路16の出力端から初期化完了信号RJaが出力される。
【0022】
初期化完了判定部4aは、図3(b)に示すように、電源VCCの投入後、容量結合により接続点NAはローレベルに停留し、接続点NBはVCCに追随して上昇するので、接続点NAがローレベル、接続点NBがハイレベルの状態で一旦安定し、初期化完了信号RJaは、ローレベルとなっている。この状態にある初期化完了判定部4aに対し、パワーオンリセット信号PONをアクティブレベルとして維持することにより、NAND回路12の出力端と接続する接続点NAのレベルはVCC電源の電位レベルに向かって上昇するので、初期化模擬回路であるNAND回路12とインバータ回路13からなるラッチ回路の論理状態が反転し、接続点NAはハイレベルとなり、接続点NBはローレベルとなって初期化されるので、電源投入後の初期化時間Ta経過後に初期化完了信号RJaはアクティブレベルのハイレベルとなり初期化完了を通知する。初期化完了判定部4aでは、容量14および容量15を付加してLSI内部のF/Fおよびラッチ回路等の初期化対象回路内の対応部分の寄生容量等に比較して大きくすることにより、NAND回路12とインバータ回路13からなる初期化模擬回路の初期化時間を、確実に初期化対象回路の初期化時間よりも大きくすることができる。
【0023】
図4(a)は、初期化完了判定部の別の実施例の回路図であり、(b)は、その動作タイミング図である。初期化完了判定部4bは、パワーオンリセット信号PONを入力するインバータ回路21と、ソースをVCC電源に接続されゲートがインバータ回路21の出力端に接続されドレインが接続点NCに接続されたPチャネルMOSトランジスタ22と、一端が接続点NCに接続され他端が接地された抵抗23と、接続点NCに入力端が接続され出力端が接続点NDに接続されたインバータ回路24と、入力端が接続点NDに接続され出力端が接続点NCに接続されたインバータ回路25と、入力端が接続点NDに接続され初期化完了信号RJbを出力するインバータ回路26とを有している。
【0024】
インバータ24とインバータ25とでラッチ回路を構成し初期化模擬回路として使用する。CMOSインバータ回路25のNチャネルMOSトランジスタの電流引き抜き能力をPチャネルMOSトランジスタの電流供給能力より数倍以上大きく設定しておくことにより、電源投入直後の接続点NCをローレベルに維持する。
【0025】
初期化完了判定部4bは、図4(b)に示すように、電源VCCの投入後、インバータ21の出力が電源VCCの電位上昇に追随して上昇するので、PチャネルMOSトランジスタ22はオフ状態を維持する。このため、接続点NCはローレベルに停留し、接続点NDはVCCに追随して上昇するので、初期化完了信号RJbは、ローレベルとなっている。この状態にある初期化完了判定部4bに対し、パワーオンリセット信号PONをアクティブレベルとして維持することにより、インバータ回路21の出力端がローレベルに変化するので、PチャネルMOSトランジスタ22がオン状態に変化し、接続点NCがハイレベルに変化し、接続点NDはローレベルとなって初期化されるので、電源投入後の初期化時間Tb経過後に初期化完了信号RJbはアクティブレベルのハイレベルとなり初期化完了を通知する。初期化完了判定部4bでは、CMOSインバータ回路25のNチャネルMOSトランジスタの電流引き抜き能力をLSI内部のF/Fおよびラッチ回路等の初期化対象回路内の相当インバータ回路のNチャネルMOSトランジスタよりも大きく設定することにより、初期化模擬回路の初期化時間を、初期化対象回路の初期化時間よりも大きくすることができる。
【0026】
図5(a),(b)は、初期化完了信号検出部の実施例の回路図である。図5(a)の初期化完了信号検出部3aは、パワーオンパルスPOPがセット入力端に入力し、Q側出力端からパワーオンリセット信号を出力するセットリセットフリップフロップ(SR−F/F)31と、複数の初期化完了信号RJ1,RJ2,…RJnを入力し出力端がSR−F/F31のリセット入力端に接続された多入力AND回路32とを有している。
初期化完了信号検出部3aでは、図10(a)の第2の従来例ではSR−F/Fの外部から入力していたリセット信号に換えて、複数の初期化完了信号RJ1,RJ2,…RJnの全てがアクティブレベルになったことを検出してアクティブになる信号をAND回路32で生成するし、これによりSR−F/F31をリセットする。
【0027】
VCC電源投入によりパワーオンパルスPOPがローレベルからハイレベルへ変化すると、SR−F/F31のQ側出力であるパワーオンリセット信号PONはローレベルからハイレベルに変化し、パワーオンパルスPOPがローレベルに戻ってもパワーオンリセット信号PONはハイレベルを維持する。複数の初期化完了信号RJ1,RJ2,…RJnの全てがハイレベルに変化すると多入力AND回路32の出力がハイレベルとなってSR−F/F31をリセットし、パワーオンリセット信号PONがインアクティブレベルであるローレベルに変化する。
【0028】
初期完了信号検出部3の別の実施例である図5(b)の初期化完了信号検出部3bは、パワーオンパルスPOPが第1の入力端に入力するOR回路33と、複数の初期化完了信号RJ1,RJ2,…RJnを入力し、出力端がOR回路33の第2の入力端に接続された多入力NAND回路34とを有している。パワーオンパルスPOPがハイレベルになるとパワーオンリセット信号PONもアクティブレベルであるハイレベルとなるが、複数の初期化完了信号RJ1,RJ2,…RJnのうちひとつでもインアクティブレベルであるローレベルにある間はNAND回路34の出力はハイレベルを維持するので、この期間中にパワーオンパルスPOPがローレベルになってもパワーオンリセット信号PONはハイレベルを維持する。複数の初期化完了信号RJ1,RJ2,…RJnの全てがアクティブレベルになったときにNAND回路34の出力がローレベルとなり、OR回路33の出力であるパワーオンリセット信号PONがインアクティブレベルのローレベルに変化する。したがって、初期化完了信号検出部3bは、単純な回路構成で初期化完了検出部3aと同様の動作を実現することができる。
【0029】
図6は、第1の実施の形態のパワーオンリセット回路を搭載したLSIチップのレイアウト模式図である。LSIチップ41には、VCC電源投入を検出してLSI内のラッチ回路,F/F等の初期化対象回路を初期化するためのパワーオンリセット信号PONをアクティブレベルとし、複数の初期化完了信号(簡略化のため図示しない)の全てがアクティブレベルに変化したことを検出してパワーオンリセット信号PONをインアクティブレベルとするパワーオンリセット信号生成部1と、パワーオンリセット信号PONを入力し、内部に有する初期化模擬回路の論理状態が反転して初期化完了状態になったことを検出して初期化完了信号を出力する複数の初期化完了判定部とが搭載され、ラッチ回路やF/F等の初期化対象回路が最も多数接続されて負荷が大きいパワーオンリセット信号PONのPON信号線44−xに対して初期化完了判定部4−xが設けられ、パワーオンリセット信号生成部1から初期化対象回路までの配線経路が最も長いPON信号線44−yに対して初期化完了判定部4−yが設けられている。
【0030】
このように、配線の寄生抵抗、寄生容量による信号遅延および配線に接続され負荷となる初期化対象回路数による信号遅延に起因して初期化対象回路のリセット時間が遅れるパワーオンリセット信号PONの配線に対して初期化完了判定部を必ず設けることにより、LSIチップ全体で初期化が最も遅れて実行される初期化対象回路に対しても、パワーオンリセット信号PONには十分なパルス幅のアクティブレベルが確保される。
【0031】
なお、図6において、42はVCC電源端子であり、43はVCC電源線であり、44−zは他のPON信号線で、4−zはこれに対して設けられた初期化完了判定部である。
【0032】
以上に説明したように、本発明の第1の実施の形態によれば、LSIの製造工程における製造ばらつきによる回路特性の変化に依存せず、適切な時間内で確実にLSIの初期化を実現するパワーオンリセット回路およびそれを備えた半導体集積回路装置を得ることができる。
【0033】
図7は、本発明の第2の実施の形態のパワーオンリセット回路10aの回路図である。パワーオンリセット回路10aは、図1のパワーオンリセット回路10の構成要素に加えて、テスト信号TESTをアクティブレベルとすることにより初期化完了判定部の出力を選択してデータ出力/テスト出力兼用端子52に出力するセレクタ51を備えている。
【0034】
LSIが通常モードの状態では、テスト信号TESTはインアクティブであり、セレクタ51は、LSIの内部からのデータ出力DOUTを選択してデータ出力/テスト出力兼用端子52に出力する。LSIの初期化が関係する不良が生じたときには、テストモードにしてテスト信号TESTをアクティブにし、例えば初期化完了判定部4−nの初期化完了信号RJnをデータ出力/テスト出力兼用端子52に出力して初期化完了信号RJnの出力レベルを観測する。本実施の形態では、この出力レベルがハイレベルであればパワーオンリセット信号生成部1および初期化完了判定部4−nは正常に動作したと判断でき、LSIの初期化に関係する不良の原因が、F/F等の初期化対象回路の故障による初期化不良であるか、または、他の初期化完了判定部の不良であるかを容易且つ迅速に判断できるという新たな効果が生じる。
【0035】
複数個のデータ出力/テスト出力兼用端子を用いて、テストモードで複数個の初期化完了判定部の初期化完了信号RJ1,RJ2,…RJnを外部から観測することにより、初期化不良がパワーオンリセット回路の故障によるものか、または、初期化対象回路の故障によるものかを、より高精度に判断できる。
【0036】
または、テストモードで、初期化完了判定部からの初期化完了信号とともに、初期化完了信号検出部内の初期化完了信号がアクティブレベルになったかを検出する図5(a)の多入力AND回路32の出力信号または図5(b)の多入力NAND回路34の出力信号をセレクタを介して外部端子に取り出せるようにしてもよい。例えば、初期化完了信号の1個がハイレベルで図5(b)の多入力NAND回路の出力がローレベルであることが観測できれば、パワーオンリセット回路1が正常に動作したことを表しており、初期化不良原因がパワーオンリセット回路1にはないと判断できる。
【0037】
図8は、第2の実施の形態のパワーオンリセット回路を搭載したLSIチップ41aのレイアウト模式図である。LSIチップ41aは、図6のLSIチップ41と同様に、VCC電源投入を検出してLSI内部のラッチ回路、F/F等の初期化対象回路の初期化のためのパワーオンリセット信号PONをアクティブレベルとし、複数の初期化完了信号の全てがアクティブレベルに変化したことを検出してパワーオンリセット信号PONをインアクティブレベルとするパワーオンリセット信号生成部1と、パワーオンリセット信号PONを入力し、内部に有する初期化模擬回路の論理状態が反転して初期化完了状態になったことを検出して初期化完了信号を出力する複数の初期化完了判定部4−x、4−yとが搭載されるとともに、LSIチップ内部の演算部からのデータ出力61と複数の初期化完了判定部の出力である初期化完了信号のうち少なくとも1個の初期化完了信号62を切り換えてデータ出力/テスト出力兼用端子52に出力するセレクタ51とを備えている。また、図6のLSIチップと同様に、複数の初期化完了判定部のうち1個の初期化完了判定部4−xが初期化対象回路の最も多数接続されているパワーオンリセット信号の信号線の遠端から入力して設けられ、他の1個の初期化完了判定部4−yがパワーオンリセット信号生成部から初期化対象回路までの配線経路が最も長い前記パワーオンリセット信号の信号線の遠端から入力して設けられている。
【0038】
なお、複数個のデータ出力/テスト出力兼用端子を用いて、テストモードで複数個の初期化完了判定部の初期化完了信号RJ1,RJ2,…RJnを外部に取り出せるようにすれば、初期化不良の原因を、より高精度に判断できる。
【0039】
【発明の効果】
以上のように、本発明の第1の実施の形態によれば、LSIの製造工程における製造ばらつきによる回路特性の変化に依存せず、過大なパワーオンリセット時間を必要とせず適切な時間内で確実にLSIの初期化を実現するパワーオンリセット回路およびそれを備えた半導体集積回路装置を得ることができる。さらに第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同一の効果に加えて、初期化不良が発生したときにその原因がパワーオンリセット回路の故障であるか、または、LSI内のラッチ回路,F/F回路等の初期化対象回路の故障であるかを容易に且つ迅速に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態であるパワーオンリセット回路の回路図である。
【図2】パワーオンリセット回路の各部の動作タイミング図である。
【図3】(a)は、初期化完了判定部の一実施例の回路図であり、(b)は、その動作タイミング図である。
【図4】(a)は、初期化完了判定部の別の実施例の回路図であり、(b)は、その動作タイミング図である。
【図5】(a)は、初期化完了信号検出部の一実施例の回路図であり、(b)は、初期化完了信号検出部の別の実施例の回路図である。
【図6】第1の実施の形態のパワーオンリセット回路を備えたLSIチップのレイアウト模式図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態のパワーオンリセット回路の回路図である。
【図8】第2の実施の形態のパワーオンリセット回路を備えたLSIチップのレイアウト模式図である。
【図9】(a)は、第1の従来例の回路図であり、(b)は、その動作タイミング図である。
【図10】(a)は、第2の従来例の回路図であり、(b)は、第3の従来例の回路図である。
【符号の説明】
1 パワーオンリセット信号生成部
2 パワーオンパルス発生部
3,3a,3b 初期化完了信号検出部
4−1,4−2,4−n,4−x,4−y,4−z,4a,4b 初期化完了判定部
10 パワーオンリセット回路
11,13,21,24,25,26 インバータ回路
12 NAND回路
14,15 容量
16 バッファ回路
22 PチャネルMOSトランジスタ
23 抵抗
31 セットリセットフリップフロップ
32 多入力AND回路
33 OR回路
34 多入力NAND回路
41,41a LSIチップ

Claims (8)

  1. 電源投入を検出してワンショットのパワーオンパルスを生成し出力するパワーオンパルス発生部と、前記パワーオンパルスのアクティブレベルへの変化を検出して初期化対象回路の初期化のためのパワーオンリセット信号をアクティブレベルとし、複数の初期化完了信号の全てがアクティブレベルに変化したことを検出して前記パワーオンリセット信号をインアクティブレベルとする初期化完了信号検出部とを有するパワーオンリセット信号生成部と、
    内部に初期化対象回路の初期化動作を模擬しかつ初期化時間が前記初期化対象回路より大きい初期化模擬回路を有し、パワーオンリセット信号を入力し初期化模擬回路の論理状態が反転して初期化完了状態になったことを検出して前記初期化完了信号をそれぞれ出力する複数の初期化完了判定部とを備えることを特徴とするパワーオンリセット回路。
  2. 前記初期化完了判定部が、
    パワーオンリセット信号が入力する第1のインバータ回路と、
    前記第1のインバータ回路の出力を第1の入力端に入力し出力端が第1の接続点に接続した2入力NAND回路と、
    入力端が前記第1の接続点に接続し出力端が第2の接続点に接続するとともに前記2入力NAND回路の第2の入力端に接続した第2のインバータ回路と、
    前記第1の接続点と接地端子との間に設けた第1の容量素子と、
    前記第2の接続点と電源端子との間に設けた第2の容量素子と、
    前記第1の接続点に入力端が接続し出力端から初期化完了信号を出力するバッファ回路とを有する請求項1記載のパワーオンリセット回路。
  3. 前記初期化完了判定部が、
    パワーオンリセット信号を入力する第1のインバータ回路と、
    ソースが電源端子に接続しゲートが前記第1のインバータ回路の出力端に接続しドレインが第1の接続点に接続したPチャネルMOSトランジスタと、
    一端が前記第1の接続点に接続し他端が接地端子に接続した抵抗素子と、
    前記第1の接続点に入力端が接続し出力端が第2の接続点に接続した第2のインバータ回路と、
    入力端が前記第2の接続点に接続され出力端が前記第1の接続点に接続された第3のインバータ回路と、
    入力端が前記第2の接続点に接続し初期化完了信号を出力する第4のインバータ回路とを有する請求項1記載のパワーオンリセット回路。
  4. 前記初期化完了信号検出部が、
    パワーオンパルスがセット入力端に入力し、出力端からパワーオンリセット信号を出力するセットリセットフリップフロップと、
    複数の初期化完了信号を入力し出力端が前記セットリセットフリップフロップのリセット入力端に接続された多入力AND回路とを有する請求項1記載のパワーオンリセット回路。
  5. 前記初期化完了信号検出部が、
    パワーオンパルスが第1の入力端に入力し、出力端からパワーオンリセット信号を出力する2入力OR回路と、
    複数の初期化完了信号を入力し、出力端が前記2入力OR回路の第2の入力端に接続された多入力NAND回路とを有する請求項1記載のパワーオンリセット回路。
  6. 電源投入を検出して初期化対象回路を初期化するためのパワーオンリセット信号をアクティブレベルとし、複数の初期化完了信号の全てがアクティブレベルに変化したことを検出して前記パワーオンリセット信号をインアクティブレベルとするパワーオンリセット信号生成部と、
    それぞれに初期化対象回路の初期化動作を模擬する初期化模擬回路を有し前記パワーオンリセット信号を入力して前記初期化模擬回路の論理状態が反転し初期化完了状態になったことを検出し前記初期化完了信号を出力する複数の初期化完了判定部とを備え、
    前記複数の初期化完了判定部のうち1個が、前記パワーオンリセット信号生成部から初期化対象回路までの配線経路が最も長い前記パワーオンリセット信号の信号線の遠端から入力して設けられ、
    前記複数の初期化完了判定部のうち他の1個が、初期化対象回路が最も多数接続されている前記パワーオンリセット信号の信号線の遠端から入力して設けられていることを特徴とするパワーオンリセット回路を備えた半導体集積回路装置。
  7. 電源投入を検出してワンショットのパワーオンパルスを生成し出力するパワーオンパルス発生部と、前記パワーオンパルスのアクティブレベルへの変化を検出して初期化対象回路の初期化のためのパワーオンリセット信号をアクティブレベルとし、複数の初期化完了信号の全てがアクティブレベルに変化したことを検出して前記パワーオンリセット信号をインアクティブレベルとする初期化完了信号検出部とを有するパワーオンリセット信号生成部と、
    内部に初期化対象回路の初期化動作を模擬しかつ初期化時間が前記初期化対象回路より大きい初期化模擬回路を有し、パワーオンリセット信号を入力し初期化模擬回路の論理状態が反転して初期化完了状態になったことを検出して前記初期化完了信号をそれぞれ出力する複数の初期化完了判定部と、
    テストモードにおいて複数の前記初期化完了信号のうち少なくとも1個の初期化完了信号を外部端子に出力するテスト出力セレクタとを備えることを特徴とするパワーオンリセット回路。
  8. 電源投入を検出して初期化対象回路を初期化するためのパワーオンリセット信号をアクティブレベルとし、複数の初期化完了信号の全てがアクティブレベルに変化したことを検出して前記パワーオンリセット信号をインアクティブレベルとするパワーオンリセット信号生成部と、
    それぞれに初期化対象回路の初期化動作を模擬する初期化模擬回路を有し前記パワーオンリセット信号を入力して前記初期化模擬回路の論理状態が反転し初期化完了状態になったことを検出し前記初期化完了信号を出力する複数の初期化完了判定部と、
    テストモードにおいて複数の前記初期化完了信号のうち少なくとも1個の初期化完了信号を外部端子に出力するテスト出力セレクタとを備え、
    前記複数の初期化完了判定部のうち1個が前記パワーオンリセット信号生成部から初期化対象回路までの配線経路が最も長い前記パワーオンリセット信号の信号線の遠端から入力して設けられ、
    前記複数の初期化完了判定部のうち他の1個が初期化対象回路の最も多数接続されている前記パワーオンリセット信号の信号線の遠端から入力して設けられていることを特徴とするパワーオンリセット回路を備えた半導体集積回路装置。
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