JP3589438B2 - スライドファスナー用スライダー - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動停止機構を備えたスライドファスナー用スライダーにおいて、最初に胴体を作製して、その後に各種形態の引手を後付け操作によって胴体に装着することができ、一旦装着した後は簡単に引手を取外すことが出来ない、引手後付けタイプのスライドファスナー用スライダーに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来、スライドファスナー用スライダーにおいて、スライダー胴体に引手を後付けできる形態のスライダーは多数知られている。たとえば特公平１−１４７６１号公報には、自由タイプのスライドファスナー用スライダーであって、スライダー胴体の上翼板に、その前端に一体に連結される一端と、上翼板の後端に延びる他端とからなる引手保持体が突設されており、引手保持体と上翼板との間に引手取付軸部が保持されているスライダーにおいて、上翼板の上面と引手保持体の他端との間には、引手の取付軸部が通過できる間隙部が形成され、間隙部には、間隙を閉鎖する位置と、解放する位置との２位置を占めうる弾性部材が、胴体または引手保持体に保持されて配置され、弾性部材は常時閉鎖位置で上翼板の上面に凹設された凹陥部内に弾接し、弾性変位によって引手取付部が間隙部を通過可能な引手を着脱できるスライダーが開示されている。
【０００３】
また図４に示すように実公平４−３２９７４号公報には、引手後付けタイプの自動停止機構を備えたスライドファスナー用スライダーが開示されている。このスライダーは、胴体の案内柱の上面から後口にかけて、下向き凹状の引手保持体を案内柱上に立設した取付片に軸着するとともに、引手保持体内における案内柱寄りに、先端に停止爪を有する爪杆を揺動自在に軸支し、停止爪は上翼板に穿設した係止窓孔に嵌挿され、かつ爪杆の後口側には引手の取付軸を収容する作動凹溝が形成され、後端を案内柱内に縦設した小孔に配したスプリングに弾接させ、前記引手保持体の後口側端部は上翼板との間に引手の取付軸が嵌通可能な間隙部を設け、該間隙部には閉鎖部材が間隙閉鎖位置と、案内柱側へ寄った間隙開口位置との間を弾発的に摺動できるように形成し、引手を着脱できる自動停止装置付スライドファスナー用スライダーが開示されている。
【０００４】
さらに図５に示すように中華民国専利第２６４６４２号公報には、胴体の上翼板における後口側から案内柱上にかけて凹状の片持梁形の取付杆を突設し、該取付杆の先端に垂直部を形成し、垂直部の先端と案内柱上面との間に空隙部を設け、かつ垂直部を貫通し案内柱内にかけて直線状の透孔を設け、案内柱の透孔にスプリングを挿入し、その先端に前記空隙部を封鎖できる閉鎖部材を配して垂直部端面に弾接させ、また垂直部の透孔と直交し内方へ横断貫通する爪杆取付孔を設け、先端に停止爪を屈設した弾性を備えた爪杆を取付孔に挿入するとともに、爪杆の基部に設けた孔部に係止片を挿入し透孔内で爪杆を固定し、停止爪は取付杆の基部に設けた爪孔からガイド溝に弾出可能に形成し、案内柱上に弾出している閉鎖部材を引手取付軸によって押圧し嵌通させ、引手を後付けできる自動停止装置付スライドファスナー用スライダーが開示されている。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
前項で述べた第１例のスライダーは、引手保持体が上翼板の前端すなわち肩口側に突設して後口側に延びるように設け、かつ引手取付軸部が通過できる間隙部を後口側に設け、この間隙部を閉鎖および解放する弾性部材を引手保持体に配設し、弾性部材は上翼板の後口側に設けた凹陥部に常時弾接するように設けたものであるから、引手の引張力はもろに弾性部材に作用し、しかも弾性部材は引手保持体内に設けているので、頑丈な引手掛止機構とはいえない。そのうえ引手の着脱機構および保持機構が複雑であり、スライダーの組立を簡易に行うことが難しく、自動組立加工に適した形態のスライダーであるとはいえないなどの問題点がある。
【０００６】
また図４に示す自動停止機構を備えたスライダーにおいては、スライダーの構造が複雑でスムーズな作動、操作をさせるための調整が難しく、しかも自動停止機構および閉鎖機構に関する部品点数が多く、効率のよい組立加工は難しく自動組立加工に適した形態のスライダーとはいえない。またスライダーの構造上からしても嵩高に形成され、扁平化されたスライダーは期待できないなどの問題点がある。
【０００７】
さらに図５に示す自動停止機構を備えたスライダーにおいても、スライダーを構成する部品の数が多く、自動停止機構および引手脱出阻止機構を一挙に自動組立機によって組立てることが難しく、自動組立加工に適した形態のスライダーとはいえない。また引手を装着後、スライダーを閉鎖方向へ操作する際、引手の取付軸が閉鎖部材に直接当接し、停止爪が咬合子から脱出浮上できるように爪杆に働きかけることが難しい面があるなど問題点がある。
【０００８】
この発明は、上述の問題点を考慮して発明されたものであり、請求項１記載の発明は、自動停止機構を備えたスライダーは勿論、自由タイプのスライダーにおいても、スライダーの構造を簡素化して部品点数を少なくし、特に自動停止装置付スライダーを自動組立加工によって簡易に行え、自動組立に適した形態のスライダーに構成するとともに、スライダーを頑丈で故障の少ない操作性のよい、しかも体裁のよい扁平状のスライダーに仕上げることができる引手後付けタイプのスライドファスナー用スライダーを提供することが主たる目的である。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、この発明の請求項１記載の発明は、一定間隔の間隙部１１を備えた片持梁形の取付杆１０を案内柱５の上面から後口９側へ向け併行状に設け、この取付杆１０の先端は上翼板３との間に引手２の取付軸３９が挿通可能な空隙部１４が形成され、取付杆１０の基部１２における間隙部１１には案内柱５に及ぶスプリング収納部１５を設け、この収納部１５にスプリング２６を嵌入し、上翼板３に爪杆３５の収納溝３２を設け、この収納溝３２に爪杆３５を載置し、爪杆３５の先端に停止爪３６を屈設し、停止爪３６と反対の端部を上方へ屈設して凹弧部３７を形成し、この凹弧部３７の下面をスプリング２６に弾接させ、間隙部１１内に配され、爪杆３５の上面に摺接し、先端が空隙部１４を封鎖可能に形成した抑止杆２０を揺動可能に取付杆１０に軸支し、かつ抑止杆２０の上翼板３と対面する内縁を取付杆１０の上翼板３と対面する内縁よりも突出する突縁に形成し、爪杆３５が抑止杆２０の揺動に追随して揺動可能に形成したスライドファスナー用スライダーを主な構成とするものである。
【００１０】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の引手後付けタイプの自動停止機構を備えたスライドファスナー用スライダーの実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【００１１】
この発明の引手後付けタイプのスライドファスナー用スライダーは、図１〜３に示す形態の自動停止機構を備えたスライダーに関するものであり、図１〜３に示す自動停止機構を備えた引手後付けタイプのスライダーは、胴体１における上翼板３と下翼板４とを案内柱５によって連結し、両翼板３、４の側縁にガイドフランジ６を屈設して、ファスナーエレメントのガイド溝７を形成する。
【００１２】
胴体１の上翼板３の上面には片持梁形の取付杆１０が案内柱５の上面から後口９側に向けて突設され、取付杆１０は一定間隔の間隙部１１が設けられ、抑止杆２０を内設できるように形成され、取付杆１０の基部１２は長手方向に広幅状に形成され、軸孔１３が貫設されている。先端は上翼板３との間に引手２の取付軸３９が嵌通できる空隙部１４が設けられ、さらにスプリング収納部１５は基部１２の肩口８寄りにおける間隙部１１から案内柱５の内部に達する円形の縦孔１６が穿設され、コイル状のスプリング２６が収納できるように形成されている。
【００１３】
また上翼板３の中央には停止爪用の爪孔２８がガイド溝７に通ずるように貫設され、取付杆１０の広幅状の基部１２に配された間隙部１１の底面は、肩口８側に深く切れ込んだ円弧状の底部２９が形成され、かつ基部１２の内端から爪孔２８にかけて、間隙部１１と同幅寸法で下り勾配に傾斜する斜面３０が形成され、底部２９と斜面３０との境界に頂部３１が突出状に設けられ、全体が略へ字状を呈し、爪杆３５を収納できる収納溝３２が形成されている。
【００１４】
一方、取付杆１０の間隙部１１に内設される抑止杆２０は、先端にフック状のフック部２４を屈設し、基部２１は長手方向に広幅状に形成し、その先端下面に突部３３が突設され、また基部２１には枢軸２７を嵌挿できる軸孔２２が貫設されている。そして抑止杆２０を枢軸２７によって取付杆１０に軸着し、先端のフック部２４が上翼板３に弾接したとき、抑止杆２０の内縁は取付杆１０の内縁よりも内側へ突出する形状に形成し、引手２の取付軸３９の滑動によって枢軸２７を中心に回動できるように形成されている。
【００１５】
さらに上翼板３上に形成された収納溝３２に載置して収納する爪杆３５は全体が略へ字状を呈し、一端に停止爪３６が屈設されて爪孔２８に挿入できるよに形成され、他端側の半分は前記収納溝３２の円弧状の底部２９に間隔の余裕をもって適合できるよに形成し、先端は上方へ屈設して弧状を呈する凹弧部３７を形成し、この凹弧部３７の基部には屈折部３８が形成されている。
【００１６】
以上説明した自動停止機構を備えたスライダーの組立ては、まずスライダー胴体１、抑止杆２０、爪杆３５を成形し、自動組立加工機によって自動的に組立てる。組立加工は取付杆１０から案内柱５内へ縦方向に穿設された収納部１５としての縦孔１６にコイル状のスプリング２６を挿入し、その上方から爪杆３５を収納溝３２に嵌入し、屈折部３８を収納溝３２の頂部３１に保持できるように載置するとともに、停止爪３６を爪孔２８に対応させ、凹弧部３７の外側下面をスプリング２６に弾接させた状態で抑止杆２０を上方から間隙部１１に嵌入し、基部２１の一端に設けた突部３３を爪杆３５の凹弧部３７内へ摺動させた後、取付杆１０の軸孔１３と抑止杆２０の軸孔２２とを整合し枢軸２７を嵌挿して固定する。抑止杆２０は枢軸２７を中心に回動自在に揺動し、抑止杆２０の揺動に追従して爪杆３５が頂部３１を支点として揺動可能に組立てる。
【００１７】
組立てられたスライダー胴体１は、図３に示すように後口９側から引手２の取付軸３９を取付杆１０と上翼板３との間に形成された空隙部１４からフック部２４に当接させ、押圧してフック部２４をスプリング２６の弾力に抗して跳上げて取付杆１０内へ嵌通させれば自動停止装置付スライダーが完成する。またスライダーの摺動操作は引手２を掴んで前後に引張れば引手２の取付軸３９によって抑止杆２０を上方へ持上げ回動させることによって、爪杆３５の凹弧部３７を突部３３が押圧し、その反動で停止爪３６がガイド溝７から脱出してスライダーを任意の方向へ摺動させることができる。
【００１８】
なお、案内柱５の縦孔１６にコイル状のスプリング２６を挿入し、爪杆３５を弾発する態様を採らずに、案内柱５内に設ける収納溝３２が肩口８側を封鎖する凹窪状に形成し、Ｕ板状のスプリング２６を収納溝３２内に収納し、その上方へ爪杆３５を載置しスプリング２６を弾接させて揺動自在に形成し、自動停止機構を備えた引手後付けスライダーに組立てることも可能である。
【００１９】
【発明の効果】
この発明の引手後付けタイプの自動停止機構を備えたスライドファスナー用スライダーは、以上説明したとおりの構成であり、この構成によって下記の効果を奏する。
【００２０】
この発明の請求項１記載の発明は、一定間隔の間隙部を備えた片持梁形の取付杆を案内柱の上面から後口側へ向け併行状に設け、この取付杆の先端は上翼板との間に引手の取付軸が挿通可能な空隙部が形成され、取付杆の基部における間隙部には案内柱に及ぶスプリング収納部を設け、この収納部にスプリングを嵌入し、上翼板に爪杆の収納溝を設け、この収納溝に爪杆を載置し、爪杆の先端に停止爪を屈設し、停止爪と反対の端部を上方へ屈設して凹弧部を形成し、凹弧部の下面をスプリングに弾接させ、間隙部内に配され、爪杆の上面に摺接し、先端が空隙部を封鎖可能に形成した抑止杆を揺動可能に取付杆に軸支し、かつ抑止杆の上翼板と対面する内縁を取付杆の上翼板と対面する内縁よりも突出する突縁に形成し、爪杆が抑止杆の揺動に追随して揺動可能に形成したことによって、下記の効果を奏する。
【００２１】
自動停止機構を備えたスライダーは勿論、自由タイプのスライダーであっても、スライダーの構成部品を少なくして簡素化を図ることができ、かつ組立加工における部品供給と加工の便宜が図れる形態であり、扁平で体裁のよいスライダーを自動組立加工機によって容易に組立てることができ、生産性の向上が図れ、特に自動停止装置付スライダーを簡易にしかも効率よく自動組立加工機で組立てることができ、引手を装着後における摺動操作の際、引手によって円滑かつ的確に自動停止機構を作動させ、充分に停止機能が果たせる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図１】自動停止機構を備えた引手後付けタイプのスライドファスナー用スライダーの分解斜視図である。
【図２】同上スライドファスナー用スライダーの胴体の縦断面図である。
【図３】同上スライドファスナー用スライダーの引手装着時の状態を示す縦断面図である。
【図４】公知の自動停止機構を備えた引手後付けタイプのスライドファスナー用スライダーの分解斜視図である。
【図５】他の公知の自動停止機構を備えた引手後付けタイプのスライドファスナー用スライダーの分解斜視図である。
【符号の説明】
１ 胴体
２ 引手
３ 上翼板
５ 案内柱
８ 肩口
９ 後口
１０ 取付杆
１１ 間隙部
１２ 基部
１４ 空隙部
１５ 収納部
１６ 縦孔
２０ 抑止杆
２４ フック部
２５ 凹陥部
２６ スプリング
２８ 爪孔
３２ 収納溝
３３ 突部
３５ 爪杆
３６ 停止爪
３７ 凹弧部
３８ 屈折部
３９ 取付軸
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動停止機構を備えたスライドファスナー用スライダーにおいて、最初に胴体を作製して、その後に各種形態の引手を後付け操作によって胴体に装着することができ、一旦装着した後は簡単に引手を取外すことが出来ない、引手後付けタイプのスライドファスナー用スライダーに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来、スライドファスナー用スライダーにおいて、スライダー胴体に引手を後付けできる形態のスライダーは多数知られている。たとえば特公平１−１４７６１号公報には、自由タイプのスライドファスナー用スライダーであって、スライダー胴体の上翼板に、その前端に一体に連結される一端と、上翼板の後端に延びる他端とからなる引手保持体が突設されており、引手保持体と上翼板との間に引手取付軸部が保持されているスライダーにおいて、上翼板の上面と引手保持体の他端との間には、引手の取付軸部が通過できる間隙部が形成され、間隙部には、間隙を閉鎖する位置と、解放する位置との２位置を占めうる弾性部材が、胴体または引手保持体に保持されて配置され、弾性部材は常時閉鎖位置で上翼板の上面に凹設された凹陥部内に弾接し、弾性変位によって引手取付部が間隙部を通過可能な引手を着脱できるスライダーが開示されている。
【０００３】
また図４に示すように実公平４−３２９７４号公報には、引手後付けタイプの自動停止機構を備えたスライドファスナー用スライダーが開示されている。このスライダーは、胴体の案内柱の上面から後口にかけて、下向き凹状の引手保持体を案内柱上に立設した取付片に軸着するとともに、引手保持体内における案内柱寄りに、先端に停止爪を有する爪杆を揺動自在に軸支し、停止爪は上翼板に穿設した係止窓孔に嵌挿され、かつ爪杆の後口側には引手の取付軸を収容する作動凹溝が形成され、後端を案内柱内に縦設した小孔に配したスプリングに弾接させ、前記引手保持体の後口側端部は上翼板との間に引手の取付軸が嵌通可能な間隙部を設け、該間隙部には閉鎖部材が間隙閉鎖位置と、案内柱側へ寄った間隙開口位置との間を弾発的に摺動できるように形成し、引手を着脱できる自動停止装置付スライドファスナー用スライダーが開示されている。
【０００４】
さらに図５に示すように中華民国専利第２６４６４２号公報には、胴体の上翼板における後口側から案内柱上にかけて凹状の片持梁形の取付杆を突設し、該取付杆の先端に垂直部を形成し、垂直部の先端と案内柱上面との間に空隙部を設け、かつ垂直部を貫通し案内柱内にかけて直線状の透孔を設け、案内柱の透孔にスプリングを挿入し、その先端に前記空隙部を封鎖できる閉鎖部材を配して垂直部端面に弾接させ、また垂直部の透孔と直交し内方へ横断貫通する爪杆取付孔を設け、先端に停止爪を屈設した弾性を備えた爪杆を取付孔に挿入するとともに、爪杆の基部に設けた孔部に係止片を挿入し透孔内で爪杆を固定し、停止爪は取付杆の基部に設けた爪孔からガイド溝に弾出可能に形成し、案内柱上に弾出している閉鎖部材を引手取付軸によって押圧し嵌通させ、引手を後付けできる自動停止装置付スライドファスナー用スライダーが開示されている。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
前項で述べた第１例のスライダーは、引手保持体が上翼板の前端すなわち肩口側に突設して後口側に延びるように設け、かつ引手取付軸部が通過できる間隙部を後口側に設け、この間隙部を閉鎖および解放する弾性部材を引手保持体に配設し、弾性部材は上翼板の後口側に設けた凹陥部に常時弾接するように設けたものであるから、引手の引張力はもろに弾性部材に作用し、しかも弾性部材は引手保持体内に設けているので、頑丈な引手掛止機構とはいえない。そのうえ引手の着脱機構および保持機構が複雑であり、スライダーの組立を簡易に行うことが難しく、自動組立加工に適した形態のスライダーであるとはいえないなどの問題点がある。
【０００６】
また図４に示す自動停止機構を備えたスライダーにおいては、スライダーの構造が複雑でスムーズな作動、操作をさせるための調整が難しく、しかも自動停止機構および閉鎖機構に関する部品点数が多く、効率のよい組立加工は難しく自動組立加工に適した形態のスライダーとはいえない。またスライダーの構造上からしても嵩高に形成され、扁平化されたスライダーは期待できないなどの問題点がある。
【０００７】
さらに図５に示す自動停止機構を備えたスライダーにおいても、スライダーを構成する部品の数が多く、自動停止機構および引手脱出阻止機構を一挙に自動組立機によって組立てることが難しく、自動組立加工に適した形態のスライダーとはいえない。また引手を装着後、スライダーを閉鎖方向へ操作する際、引手の取付軸が閉鎖部材に直接当接し、停止爪が咬合子から脱出浮上できるように爪杆に働きかけることが難しい面があるなど問題点がある。
【０００８】
この発明は、上述の問題点を考慮して発明されたものであり、請求項１記載の発明は、自動停止機構を備えたスライダーは勿論、自由タイプのスライダーにおいても、スライダーの構造を簡素化して部品点数を少なくし、特に自動停止装置付スライダーを自動組立加工によって簡易に行え、自動組立に適した形態のスライダーに構成するとともに、スライダーを頑丈で故障の少ない操作性のよい、しかも体裁のよい扁平状のスライダーに仕上げることができる引手後付けタイプのスライドファスナー用スライダーを提供することが主たる目的である。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、この発明の請求項１記載の発明は、一定間隔の間隙部１１を備えた片持梁形の取付杆１０を案内柱５の上面から後口９側へ向け併行状に設け、この取付杆１０の先端は上翼板３との間に引手２の取付軸３９が挿通可能な空隙部１４が形成され、取付杆１０の基部１２における間隙部１１には案内柱５に及ぶスプリング収納部１５を設け、この収納部１５にスプリング２６を嵌入し、上翼板３に爪杆３５の収納溝３２を設け、この収納溝３２に爪杆３５を載置し、爪杆３５の先端に停止爪３６を屈設し、停止爪３６と反対の端部を上方へ屈設して凹弧部３７を形成し、この凹弧部３７の下面をスプリング２６に弾接させ、間隙部１１内に配され、爪杆３５の上面に摺接し、先端が空隙部１４を封鎖可能に形成した抑止杆２０を揺動可能に取付杆１０に軸支し、かつ抑止杆２０の上翼板３と対面する内縁を取付杆１０の上翼板３と対面する内縁よりも突出する突縁に形成し、爪杆３５が抑止杆２０の揺動に追随して揺動可能に形成したスライドファスナー用スライダーを主な構成とするものである。
【００１０】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の引手後付けタイプの自動停止機構を備えたスライドファスナー用スライダーの実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【００１１】
この発明の引手後付けタイプのスライドファスナー用スライダーは、図１〜３に示す形態の自動停止機構を備えたスライダーに関するものであり、図１〜３に示す自動停止機構を備えた引手後付けタイプのスライダーは、胴体１における上翼板３と下翼板４とを案内柱５によって連結し、両翼板３、４の側縁にガイドフランジ６を屈設して、ファスナーエレメントのガイド溝７を形成する。
【００１２】
胴体１の上翼板３の上面には片持梁形の取付杆１０が案内柱５の上面から後口９側に向けて突設され、取付杆１０は一定間隔の間隙部１１が設けられ、抑止杆２０を内設できるように形成され、取付杆１０の基部１２は長手方向に広幅状に形成され、軸孔１３が貫設されている。先端は上翼板３との間に引手２の取付軸３９が嵌通できる空隙部１４が設けられ、さらにスプリング収納部１５は基部１２の肩口８寄りにおける間隙部１１から案内柱５の内部に達する円形の縦孔１６が穿設され、コイル状のスプリング２６が収納できるように形成されている。
【００１３】
また上翼板３の中央には停止爪用の爪孔２８がガイド溝７に通ずるように貫設され、取付杆１０の広幅状の基部１２に配された間隙部１１の底面は、肩口８側に深く切れ込んだ円弧状の底部２９が形成され、かつ基部１２の内端から爪孔２８にかけて、間隙部１１と同幅寸法で下り勾配に傾斜する斜面３０が形成され、底部２９と斜面３０との境界に頂部３１が突出状に設けられ、全体が略へ字状を呈し、爪杆３５を収納できる収納溝３２が形成されている。
【００１４】
一方、取付杆１０の間隙部１１に内設される抑止杆２０は、先端にフック状のフック部２４を屈設し、基部２１は長手方向に広幅状に形成し、その先端下面に突部３３が突設され、また基部２１には枢軸２７を嵌挿できる軸孔２２が貫設されている。そして抑止杆２０を枢軸２７によって取付杆１０に軸着し、先端のフック部２４が上翼板３に弾接したとき、抑止杆２０の内縁は取付杆１０の内縁よりも内側へ突出する形状に形成し、引手２の取付軸３９の滑動によって枢軸２７を中心に回動できるように形成されている。
【００１５】
さらに上翼板３上に形成された収納溝３２に載置して収納する爪杆３５は全体が略へ字状を呈し、一端に停止爪３６が屈設されて爪孔２８に挿入できるよに形成され、他端側の半分は前記収納溝３２の円弧状の底部２９に間隔の余裕をもって適合できるよに形成し、先端は上方へ屈設して弧状を呈する凹弧部３７を形成し、この凹弧部３７の基部には屈折部３８が形成されている。
【００１６】
以上説明した自動停止機構を備えたスライダーの組立ては、まずスライダー胴体１、抑止杆２０、爪杆３５を成形し、自動組立加工機によって自動的に組立てる。組立加工は取付杆１０から案内柱５内へ縦方向に穿設された収納部１５としての縦孔１６にコイル状のスプリング２６を挿入し、その上方から爪杆３５を収納溝３２に嵌入し、屈折部３８を収納溝３２の頂部３１に保持できるように載置するとともに、停止爪３６を爪孔２８に対応させ、凹弧部３７の外側下面をスプリング２６に弾接させた状態で抑止杆２０を上方から間隙部１１に嵌入し、基部２１の一端に設けた突部３３を爪杆３５の凹弧部３７内へ摺動させた後、取付杆１０の軸孔１３と抑止杆２０の軸孔２２とを整合し枢軸２７を嵌挿して固定する。抑止杆２０は枢軸２７を中心に回動自在に揺動し、抑止杆２０の揺動に追従して爪杆３５が頂部３１を支点として揺動可能に組立てる。
【００１７】
組立てられたスライダー胴体１は、図３に示すように後口９側から引手２の取付軸３９を取付杆１０と上翼板３との間に形成された空隙部１４からフック部２４に当接させ、押圧してフック部２４をスプリング２６の弾力に抗して跳上げて取付杆１０内へ嵌通させれば自動停止装置付スライダーが完成する。またスライダーの摺動操作は引手２を掴んで前後に引張れば引手２の取付軸３９によって抑止杆２０を上方へ持上げ回動させることによって、爪杆３５の凹弧部３７を突部３３が押圧し、その反動で停止爪３６がガイド溝７から脱出してスライダーを任意の方向へ摺動させることができる。
【００１８】
なお、案内柱５の縦孔１６にコイル状のスプリング２６を挿入し、爪杆３５を弾発する態様を採らずに、案内柱５内に設ける収納溝３２が肩口８側を封鎖する凹窪状に形成し、Ｕ板状のスプリング２６を収納溝３２内に収納し、その上方へ爪杆３５を載置しスプリング２６を弾接させて揺動自在に形成し、自動停止機構を備えた引手後付けスライダーに組立てることも可能である。
【００１９】
【発明の効果】
この発明の引手後付けタイプの自動停止機構を備えたスライドファスナー用スライダーは、以上説明したとおりの構成であり、この構成によって下記の効果を奏する。
【００２０】
この発明の請求項１記載の発明は、一定間隔の間隙部を備えた片持梁形の取付杆を案内柱の上面から後口側へ向け併行状に設け、この取付杆の先端は上翼板との間に引手の取付軸が挿通可能な空隙部が形成され、取付杆の基部における間隙部には案内柱に及ぶスプリング収納部を設け、この収納部にスプリングを嵌入し、上翼板に爪杆の収納溝を設け、この収納溝に爪杆を載置し、爪杆の先端に停止爪を屈設し、停止爪と反対の端部を上方へ屈設して凹弧部を形成し、凹弧部の下面をスプリングに弾接させ、間隙部内に配され、爪杆の上面に摺接し、先端が空隙部を封鎖可能に形成した抑止杆を揺動可能に取付杆に軸支し、かつ抑止杆の上翼板と対面する内縁を取付杆の上翼板と対面する内縁よりも突出する突縁に形成し、爪杆が抑止杆の揺動に追随して揺動可能に形成したことによって、下記の効果を奏する。
【００２１】
自動停止機構を備えたスライダーは勿論、自由タイプのスライダーであっても、スライダーの構成部品を少なくして簡素化を図ることができ、かつ組立加工における部品供給と加工の便宜が図れる形態であり、扁平で体裁のよいスライダーを自動組立加工機によって容易に組立てることができ、生産性の向上が図れ、特に自動停止装置付スライダーを簡易にしかも効率よく自動組立加工機で組立てることができ、引手を装着後における摺動操作の際、引手によって円滑かつ的確に自動停止機構を作動させ、充分に停止機能が果たせる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図１】自動停止機構を備えた引手後付けタイプのスライドファスナー用スライダーの分解斜視図である。
【図２】同上スライドファスナー用スライダーの胴体の縦断面図である。
【図３】同上スライドファスナー用スライダーの引手装着時の状態を示す縦断面図である。
【図４】公知の自動停止機構を備えた引手後付けタイプのスライドファスナー用スライダーの分解斜視図である。
【図５】他の公知の自動停止機構を備えた引手後付けタイプのスライドファスナー用スライダーの分解斜視図である。
【符号の説明】
１ 胴体
２ 引手
３ 上翼板
５ 案内柱
８ 肩口
９ 後口
１０ 取付杆
１１ 間隙部
１２ 基部
１４ 空隙部
１５ 収納部
１６ 縦孔
２０ 抑止杆
２４ フック部
２５ 凹陥部
２６ スプリング
２８ 爪孔
３２ 収納溝
３３ 突部
３５ 爪杆
３６ 停止爪
３７ 凹弧部
３８ 屈折部
３９ 取付軸
Claims (1)
- 一定間隔の間隙部１１を備えた片持梁形の取付杆１０を案内柱５の上面から後口９側へ向け併行状に設け、該取付杆１０の先端は上翼板３との間に引手２の取付軸３９が挿通可能な空隙部１４が形成され、取付杆１０の基部１２における間隙部１１には案内柱５に及ぶスプリング収納部１５を設け、該収納部１５にスプリング２６を嵌入し、上翼板３に爪杆３５の収納溝３２を設け、該収納溝３２に爪杆３５を載置し、爪杆３５の先端に停止爪３６を屈設し、停止爪３６と反対の端部を上方へ屈設して凹弧部３７を形成し、凹弧部３７の下面をスプリング２６に弾接させ、間隙部１１内に配され、爪杆３５の上面に摺接し、先端が空隙部１４を封鎖可能に形成した抑止杆２０を揺動可能に取付杆１０に軸支し、かつ抑止杆２０の上翼板３と対面する内縁を取付杆１０の上翼板３と対面する内縁よりも突出する突縁に形成し、爪杆３５が抑止杆２０の揺動に追随して揺動可能に形成したことを特徴とするスライドファスナー用スライダー。
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