JP3589026B2 - ヒートポンプ式風呂給湯システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はヒートポンプによる風呂給湯システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のヒートポンプによる風呂システムは特開平7−71839号公報に示すものがある。以下、従来の技術について図面に基づき説明する。図9は従来のヒートポンプによる風呂システムの構成図である。図9において、浴槽廃熱利用給湯運転時は、開閉弁56aと56dを開放して、廃熱利用熱交換器4を介して浴槽の湯を集熱し、凝縮器2で加熱して貯湯する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のヒートポンプシステムでは、浴槽廃熱利用時に、廃熱利用熱交換器で熱交換して冷却された浴槽水が低温水となって再び浴槽に戻る。そして、浴槽において、残湯水と戻ってきた低温水の両流体間で密度差が生じて、戻ってきた低温水が浴槽の下部に滞留し、残っていた残湯水が浴槽上部に滞留する。よって、浴槽内の上下で温度差が生じる。そして、廃熱利用熱交換器へ流出する浴槽接続口は浴槽下部に設置されているため、浴槽下部の低温水が再度、廃熱利用熱交換器に流入し、冷却されて浴槽へ戻り、浴槽下部に滞留する。そのため、運転経過とともに浴槽残湯水の浴槽上下部の温度差は徐々に顕著になり、特に低流量で浴槽に戻る場合は浴槽に流入する速度が遅いため浴槽内の残湯水を攪拌できず、上下の温度差が顕著である。従って、浴槽と廃熱利用熱交換器を接続する浴槽接続口よりも下部の残湯水を廃熱利用することになるため、廃熱利用できる湯量も少なく、また、湯量が少ないため、集熱運転を開始してから短時間で残湯温度が低下し、低下した残湯水を集熱することになるため運転効率は低い。
【0004】
本発明は上記課題を解決するものであり、浴槽残湯熱の回収熱量向上および高効率運転を実現した省エネルギー給湯機を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明は、圧縮機、凝縮器、熱回収熱交換器を接続した熱回収冷媒回路と、前記圧縮機、前記凝縮器、大気熱あるいは太陽熱を集熱する蒸発器を接続した自然熱利用冷媒回路と、前記熱回収冷媒回路と前記自然熱利用冷媒回路を切換える切替え手段と、前記凝縮器と熱交換関係を有する給湯熱交換器、前記給湯熱交換器の湯を貯湯する貯湯タンクを有する給湯回路と、前記熱回収熱交換器と熱交換関係を有する風呂熱交換器、風呂ポンプを有する風呂回路と、前記風呂回路の水温を検出する温度検出手段と、前記熱回収冷媒回路による運転中に前記温度検出手段の検出温度が第1設定温度まで低下した時、前記風呂ポンプを継続運転して前記風呂回路中の残湯水を攪拌し、かつ、前記切り替え手段を前記自然熱利用冷媒回路に切り替える運転制御手段を有するヒートポンプ式風呂給湯システムである。
【0006】
以上の構成により、浴槽の残湯熱を利用して水道水を加熱し、貯湯タンクに貯湯する運転において、浴槽から送られてきた残湯水の熱を熱回収熱交換器を流れる冷媒で集熱する。そして、冷媒を圧縮機で高温高圧にして凝縮器2で冷媒の凝縮熱を放熱して給湯熱交換器を介して水を加熱し、加熱された水を貯湯タンク内に貯湯する。また、風呂熱交換器で吸熱された残湯水を再び浴槽内に戻すけれども、温度低下しているため密度が大きくなっている。そのため、循環しない高温残湯水と密度差が生じて浴槽への流入口よりも下部に滞留する。そして、風呂熱交換器と接続する浴槽接続口近傍の残湯水が再び風呂熱交換器に流入して冷却されて浴槽に戻ってくる。この運転を継続することによって、浴槽下部の低温残湯水が常に集熱に利用されるため、浴槽上部と下部の残湯温度差は顕著になり、浴槽から流出する残湯水は次第に低温水となる。
【0007】
そして、第1設定温度まで低下した残湯水が風呂回路を循環し始めると切替え手段を切換えて自然熱利用冷媒回路による運転をおこない、大気熱あるいは太陽熱を集熱して凝縮器で冷媒の凝縮熱を放熱して給湯熱交換器を介して水を加熱し、貯湯タンク内に貯湯する。また、浴槽残湯水は風呂ポンプによって風呂回路を循環して浴槽に流入するが、その際に吸熱されずに浴槽に流入するため残湯水との密度差はなく、この場合には浴槽残湯水を攪拌する。
【0008】
よって、浴槽上下間の残湯温度差は緩和されて、浴槽上部の湯温は下がり、浴槽下部の水温は上昇する。そして、浴槽下部の温度上昇した残湯水が第2設定温度まで昇温して風呂回路に流出した時に再び切替え手段を切換えて熱回収冷媒回路による運転をおこなう。従って、浴槽の残湯熱を集熱して、低温になると大気熱あるいは太陽熱を集熱する貯湯運転に切換えるとともに風呂ポンプを継続運転して浴槽上下の残湯水を攪拌して浴槽下部の湯温を上昇させて再び熱回収運転するため、浴槽残湯熱の回収熱量は著しく向上する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は上記目的を達成するため各請求項記載のような形態によって実施できる。すなわち、請求項1記載の発明のように圧縮機、凝縮器、熱回収熱交換器を接続した熱回収冷媒回路と、前記圧縮機、前記凝縮器、大気熱あるいは太陽熱を集熱する蒸発器を接続した自然熱利用冷媒回路と、前記熱回収冷媒回路と前記自然熱利用冷媒回路を切換える切替え手段と、前記凝縮器と熱交換関係を有する給湯熱交換器、前記給湯熱交換器の湯を貯湯する貯湯タンクを有する給湯回路と、前記熱回収熱交換器と熱交換関係を有する風呂熱交換器、風呂ポンプを有する風呂回路と、前記風呂回路の水温を検出する温度検出手段と、前記熱回収冷媒回路による運転中に前記温度検出手段の検出温度が第1設定温度まで低下した時、前記風呂ポンプを継続運転して前記風呂回路中の残湯水を攪拌し、かつ、前記切り替え手段を前記自然熱利用冷媒回路に切り替える運転制御手段を備えるようにして実施できる。
【0010】
また、請求項2記載の発明のように、圧縮機、凝縮器、熱回収熱交換器を接続した熱回収冷媒回路と、前記圧縮機、前記凝縮器、大気熱あるいは太陽熱を集熱する蒸発器を接続した自然熱利用冷媒回路と、前記熱回収冷媒回路と前記自然熱利用冷媒回路を切換える切替え手段と、前記凝縮器と熱交換関係を有する給湯熱交換器、前記給湯熱交換器の湯を貯湯する貯湯タンクを有する給湯回路と、前記熱回収熱交換器と熱交換関係を有する風呂熱交換器、風呂ポンプを有する風呂回路と、前記風呂回路の水温を検出する温度検出手段と、前記熱回収冷媒回路による運転中に前記温度検出手段の検出温度が第1設定温度まで低下した時、前記風呂ポンプを継続運転しながら前記切替え手段を前記自然熱利用冷媒回路による運転に切換え、前記温度検出手段の検出温度が第1設定温度より高温の第2設定温度まで上昇した時、前記切替え手段を前記熱回収冷媒回路による運転に切換える運転制御手段を備えるようにして実施できる。
【0011】
そして、本実施の形態によれば、浴槽から送られてきた残湯水の熱を熱回収熱交換器を流れる冷媒で集熱する。そして、冷媒を圧縮機で高温高圧にして凝縮器で冷媒の凝縮熱を放熱して給湯熱交換器を介して水を加熱し、加熱された水を貯湯タンク内に貯湯する。一方、風呂熱交換器で吸熱されて温度低下した残湯水は再び浴槽内に流入するけれども、循環しない高温残湯水と密度差が生じるために浴槽へ流入する流入口よりも下部に滞留する。そして、風呂熱交換器と接続する浴槽接続口よりも下部の残湯水が再び風呂熱交換器に流入して冷却されて浴槽に戻ってくる。この運転を継続することによって、浴槽接続口よりも下部の低温残湯水が常に集熱に利用されるため、浴槽上部と下部の残湯温度差は顕著になる。
【0012】
そして、残湯水が第1設定温度まで低下して風呂回路を循環し始めると切替え手段を切換えて自然熱利用冷媒回路による運転をおこない、大気熱あるいは太陽熱を集熱して凝縮器で冷媒の凝縮熱を放熱して給湯熱交換器を介して水を加熱し、貯湯タンク内に貯湯する。また、浴槽残湯水は風呂ポンプによって風呂回路を循環して浴槽に流入するが、その際に吸熱されずに浴槽に流入するため残湯水との密度差はなく、浴槽残湯水を攪拌する。よって、浴槽上下間の残湯温度差は緩和されて、浴槽上部の湯温は下がり、浴槽下部の水温は上昇する。
【0013】
そして、浴槽下部の温度上昇した残湯水が第2設定温度まで昇温して風呂回路に流出した時に再び切替え手段を切換えて熱回収冷媒回路による運転をおこなう。
【0014】
従って、浴槽下部の残湯熱量をまず集熱して、低温になると大気熱あるいは太陽熱を集熱する貯湯運転に切換えるとともに風呂ポンプを継続運転して浴槽上下の残湯水を攪拌して浴槽下部の湯温を上昇させて再び熱回収運転するため、浴槽残湯熱の回収熱量は著しく向上するとともに高効率の貯湯運転が実現できる。さらに、ヒートポンプを停止せずに貯湯運転するため、安定した貯湯湯温が得られる。
【0015】
また、請求項3記載の発明のように前述の構成に加え、前記風呂回路の浴槽残湯水を排水する排水手段と、前記風呂回路の水温を検出する温度検出手段と、熱回収冷媒回路による運転中に前記温度検出手段の検出温度が第1設定温度まで低下した時、前記排水手段を開放して浴槽水を排水するとともに切替え手段を自然熱利用冷媒回路による運転に切換え、前記温度検出手段の検出温度が前記第1設定温度よりも高温の第2設定温度まで上昇した時、前記排水手段を閉にするとともに前記切替え手段を前記熱回収冷媒回路による運転に切換える運転制御手段を備え、浴槽の残湯熱を利用して水道水を加熱し、貯湯タンクに貯湯する運転において、吸熱されて浴槽に戻ってきた循環水が浴槽下部に滞留するために運転経過とともに浴槽内の上下の残湯温度差は大きくなる。
【0016】
そして、下部の低温残湯水が第1設定温度まで低下して風呂回路に流出し始めると排水手段を開放して低温の残湯水を排水するとともに、切替え手段を自然熱利用冷媒回路による運転に切換える。そして、大気熱あるいは太陽熱を集熱して冷媒の凝縮熱を放熱して貯湯タンクに湯を貯湯する。また、風呂回路から残湯水が排水されるため浴槽残湯水の湯面は低下し、浴槽上部の高温残湯水が風呂回路へ流入し始める。
【0017】
そして、第2設定温度と同温まで上昇した残湯水が循環し始めた時に再び排水手段を閉にするとともに切替え手段を再び熱回収冷媒回路に切換えて、高温残湯水を集熱して貯湯運転をおこなう。従って、常に高温の残湯水を集熱できるため高効率運転が実現できる。また、浴槽の低温残湯水の排水中も大気熱を集熱して貯湯運転するため、貯湯タンクの沸き上げ湯量が増加する。
【0018】
また、請求項4記載の発明のように前述の構成に加え、風呂ポンプ流出側の風呂回路に設けた排水手段と、
熱回収冷媒回路による運転中に温度検出手段の検出温度が第1設定温度まで低下した時、前記排水手段を開放して浴槽水を排水するとともに切替え手段を自然熱利用冷媒回路による運転に切換え、その後前記温度検出手段の検出温度が前記第1設定温度よりも高温の第2設定温度まで上昇した時、再び前記排水手段を閉にするとともに前記切替え手段を前記熱回収冷媒回路による運転に切換える運転制御手段と、前記温度検出手段の検出温度が前記第1設定温度まで低下したことを前記運転制御手段から受信して前記風呂ポンプを最大流量にするポンプ制御手段を備え、浴槽の残湯熱を利用して水道水を加熱し、貯湯タンクに貯湯する運転において、浴槽から風呂回路へ循環する残湯温度が第1設定温度まで低下した時、排水手段を開放して風呂ポンプを最大流量にして低温残湯水を排水する。従って、排水時間が短縮されるため、浴槽上部の高温残湯水が風呂回路の風呂熱交換器に流入し始める時間が短くなり、残湯熱を短時間で回収できる。また、深夜時間内といった限られた時間内でも充分に熱回収できることになる。
【0019】
また、請求項5記載の発明のように前述の構成に加え、排水手段を風呂熱交換器の流出側に設ける形態にして、低温残湯水を風呂熱交換器から流出した後に排水して、風呂熱交換器内の湯垢、浮遊物などを流し出す。特に、風呂ポンプの最大流量で排水するため効果が著しい。従って、風呂熱交換器内の伝熱面は洗浄されるため、熱交換効率も向上するとともに流路詰まりもなく信頼性も向上する。
【0020】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。なお、従来例および各実施例において、同じ構成、同じ動作をするものについては同一符号を付し、一部説明を省略する。
【0021】
(実施例1)
図1は本発明の実施例1のヒートポンプ式風呂給湯システムの構成図である。
【0022】
図1において、1は圧縮機、2は凝縮器、3は第1の減圧手段、4は熱回収熱交換器であり、圧縮機1、凝縮器2、第1の減圧手段3、熱回収熱交換器4は順次接続されて熱回収冷媒回路5を構成する。6は第2の減圧手段、7は蒸発器であり、大気熱あるいは太陽熱を集熱する。8は自然熱利用冷媒回路であり、圧縮機1、凝縮器2、第2の減圧弁6、蒸発器7を順次接続して構成する。9は切替え手段であり、第1の減圧手段3および第2の減圧手段6の冷媒流入口に設けて熱回収冷媒回路5と自然熱利用冷媒回路8を切換える。10は給湯熱交換器であり、凝縮器2と熱交換関係を有する。11は貯湯タンクであり、給湯熱交換器10で加熱された湯を貯湯する。
【0023】
また12は給湯ポンプであり、給湯熱交換器10と貯湯タンク11からなる給湯回路13の水を循環させる。14は風呂熱交換器であり、熱回収熱交換器4と熱交換関係を有する。15は浴槽、16は風呂ポンプ、17は風呂回路であり、風呂熱交換器14、浴槽15、風呂ポンプ16からなる。18は温度検出手段であり、風呂回路17の循環水温を検出する。19は運転制御手段であり、熱回収冷媒回路5による運転中に温度検出手段18の検出温度が第1設定温度まで低下した時、風呂ポンプ16を継続運転しながら切替え手段9を自然熱利用冷媒回路8による運転に切換え、その後、温度検出手段18の検出温度が第1設定温度より高温の第2設定温度まで上昇した時、再び切替え手段9を熱回収冷媒回路5による運転に切換える。
【0024】
以上の構成において、その動作、作用について説明する。浴槽の残湯熱を利用して水道水を加熱し、貯湯タンクに貯湯する運転において、浴槽15から送られてきた残湯水の熱を熱回収熱交換器4を流れる冷媒で集熱する。そして、冷媒を圧縮機1で高温高圧にして凝縮器2で冷媒の凝縮熱を放熱して給湯熱交換器10を介して水を加熱し、加熱された水を貯湯タンク11内に貯湯する。また、風呂熱交換器14で吸熱された残湯水を再び浴槽15内に戻すけれども、温度低下しているため密度が大きくなっている。そのため、循環しない高温残湯水と密度差が生じて浴槽15への流入口よりも下部に滞留する。
【0025】
そして、風呂熱交換器14と接続する浴槽15接続口近傍の残湯水が再び風呂熱交換器14に流入して冷却されて浴槽15に戻ってくる。この運転を繰り返すことによって、浴槽15下部の低温残湯水が常に集熱に利用されるため、浴槽15の上部と下部の残湯温度差は顕著になり、浴槽15から流出する残湯水は次第に低温水となる。そして、第1設定温度まで低下した残湯水が風呂回路17を循環し始めると切替え手段9を切換えて自然熱利用冷媒回路8による運転をおこない、大気熱あるいは太陽熱を集熱して凝縮器2で冷媒の凝縮熱を放熱して給湯熱交換器10を介して水を加熱し、貯湯タンク11内に貯湯する。また、浴槽残湯水は風呂ポンプ16によって風呂回路17を循環して浴槽15に流入するが、その際に吸熱されずに浴槽15に流入するため残湯水との密度差はなく、この場合には浴槽残湯水を攪拌する。
【0026】
よって、浴槽15の上下間の残湯温度差は緩和されて、浴槽15の上部の湯温は下がり、浴槽15の下部の水温は上昇する。そして、浴槽15の下部の温度上昇した残湯水が第2設定温度まで昇温して風呂回路17に流出した時に再び切換え弁9を切換えて熱回収冷媒回路5による運転をおこなう。従って、浴槽の残湯熱を集熱して、低温になると大気熱あるいは太陽熱を集熱する貯湯運転に切換えるとともに風呂ポンプ16を継続運転して浴槽上下の残湯水を攪拌して浴槽下部の湯温を上昇させて再び熱回収運転するため、浴槽残湯熱の回収熱量は著しく向上する。さらに、ヒートポンプを停止せずに貯湯運転するため、安定した湯温で貯湯タンクに貯湯できる。
【0027】
(実施例2)
図2は本発明の実施例2のヒートポンプ式風呂給湯システムの構成図である。
【0028】
図2において、20は排水手段であり、開閉式バルブからなり風呂回路17に設けられて開放時に浴槽残湯水を排水する。21は温度検出手段であり、風呂回路17の循環水温を検出する。22は運転制御手段であり、熱回収冷媒回路5による運転中に温度検出手段21の検出温度が第1設定温度まで低下した時、排水手段20を開放して浴槽水を排水するとともに切替え手段9を自然熱利用冷媒回路8による運転に切換え、その後、温度検出手段21の検出温度が第1設定温度よりも高温の第2設定温度まで上昇した時、再び排水手段20を閉にするとともに切換え手段9を熱回収冷媒回路5による運転に切換える。
【0029】
以上の構成において、その動作、作用について説明する。浴槽の残湯熱を利用して水道水を加熱し、貯湯タンク11に貯湯する運転において、吸熱されて浴槽15に戻ってきた循環水が浴槽下部に滞留するために運転経過とともに浴槽内の上下の残湯温度差は大きくなる。そして、下部の低温残湯水が第1設定温度まで低下して風呂回路17に流出し始めると排水手段20を開放して低温の残湯水を排水するとともに、切替え手段9を自然熱利用冷媒回路8による運転に切換える。
【0030】
そして、大気熱あるいは太陽熱を集熱して冷媒の凝縮熱を放熱して貯湯タンク11に湯を貯湯する。
【0031】
また、風呂回路17から残湯水が排水されるため浴槽残湯水の湯面は低下し、浴槽15上部の高温残湯水が風呂回路17へ流入し始める。そして、第2設定温度と同温まで上昇した残湯水が循環し始めた時に再び排水手段20を閉にするとともに切替え手段9を再び熱回収冷媒回路5に切換えて、高温残湯水を集熱して貯湯運転をおこなう。従って、常に高温の残湯水を集熱できるため高効率運転が実現できる。また、浴槽の低温残湯水の排水中も大気熱を集熱して貯湯運転するため、貯湯タンクの沸き上げ湯量が増加する。
【0032】
(実施例3)
図3は本発明の実施例3のヒートポンプ式風呂給湯システムの構成図である。
【0033】
図3において、23は排水手段であり、開閉式バルブからなり風呂ポンプ16の流出側の風呂回路17に設けて開放時に浴槽15の残湯水を排水する。24は運転制御手段であり、熱回収冷媒回路5による運転中に温度検出手段21の検出温度が第1設定温度まで低下した時、排水手段23を開放して浴槽水を排水するとともに切替え手段9を自然熱利用冷媒回路8による運転に切換え、その後、温度検出手段21の検出温度が第1設定温度よりも高温の第2設定温度まで上昇した時、再び排水弁23を閉にするとともに切換え弁9を熱回収冷媒回路5による運転に切換える。25はポンプ制御手段であり、熱回収冷媒回路5による運転中に温度検出手段21の検出温度が第1設定温度まで低下したことを運転制御手段24から受信して風呂ポンプ16を最大流量にする。
【0034】
以上の構成において、その動作、作用について説明する。浴槽の残湯熱を利用して水道水を加熱し、貯湯タンクに貯湯する運転時において、浴槽15から風呂回路17へ循環する残湯温度が第1設定温度まで低下した時、運転制御手段24は排水手段23を開放するとともに、ポンプ運転制御手段24へ送信する。そして、ポンプ制御手段25は風呂ポンプ16を最大流量にする。よって、風呂ポンプ16の最大流量で低温の残湯水を排水する。従って、排水時間が短縮されるため、浴槽上部の高温残湯水が風呂回路の風呂熱交換器に流入し始める時間が短くなり、残湯熱を短時間で回収できる。また、深夜時間内といった限られた時間内でも充分に熱回収できることになる。
【0035】
(実施例4)
図4は本発明の実施例4のヒートポンプ式風呂給湯システムの構成図である。
【0036】
図4において、26は排水手段であり、開閉式バルブからなり、風呂熱交換器14の流出側に設けて、開放時に流体を流す。
【0037】
以上の構成において、その動作、作用について説明する。浴槽の残湯熱を利用して水道水を加熱し、貯湯タンクに貯湯する運転時に浴槽から風呂回路へ循環する残湯温度が第1設定温度まで低下した時、運転制御手段24は排水手段26を開放するとともにポンプ制御手段25へ送信する。そして、ポンプ制御手段25は風呂ポンプ15を最大流量にする。従って、排水時において、低温残湯水を風呂熱交換器から流出した後に風呂ポンプの最大流量で排水して、風呂熱交換器内の湯垢、浮遊物などを流し出す。よって、風呂熱交換器内の伝熱面は洗浄されるため、熱交換効率も向上するとともに流路詰まりもなく信頼性も向上する。
【0038】
【発明の効果】
浴槽下部の残湯熱量をまず集熱して、低温になると大気熱あるいは太陽熱を集熱する貯湯運転に切換えるとともに風呂ポンプを継続運転して浴槽上下の残湯水を攪拌して浴槽下部の湯温を上昇させて再び熱回収運転するため、浴槽残湯熱の回収熱量は著しく向上するとともに高効率の貯湯運転が実現できる。さらに、ヒートポンプを停止せずに貯湯運転するため、安定した貯湯湯温が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1のヒートポンプ式風呂給湯システムの構成図
【図2】本発明の実施例2のヒートポンプ式風呂給湯システムの構成図
【図3】本発明の実施例3のヒートポンプ式風呂給湯システムの構成図
【図4】本発明の実施例4のヒートポンプ式風呂給湯システムの構成図
【図5】本発明の実施例5のヒートポンプ式風呂給湯システムの構成図
【図6】本発明の実施例6のヒートポンプ式風呂給湯システムの構成図
【図7】本発明の実施例7のヒートポンプ式風呂給湯システムの構成図
【図8】本発明の実施例8のヒートポンプ式風呂給湯システムの構成図
【図9】従来のヒートポンプシステムの構成図
【符号の説明】
1 圧縮機
2 凝縮器
3 第1の減圧手段
4 熱回収熱交換器
5 熱回収冷媒回路
6 第2の減圧手段
7 蒸発器
8 自然熱利用冷媒回路
9 切替え手段
10 給湯熱交換器
11 貯湯タンク
12 給湯ポンプ
13 給湯回路
14 風呂熱交換器
15 浴槽
16 風呂ポンプ
17 風呂回路
18 温度検出手段
19 運転制御手段
20 排水手段
21 温度検出手段
22 運転制御手段
23 排水手段
24 運転制御手段
25 ポンプ制御手段
26 排水手段
27 圧縮機
28 四方弁
29 凝縮器
30 第1の減圧手段
31 熱回収熱交換器
32 熱回収冷媒回路
33 逆止弁
34 第2の減圧手段
35 蒸発器
36 風呂加熱冷媒回路
37 運転手段
38 端末機器
39 温度設定手段
40 流路切換え手段
41 風呂温度検出手段
42 運転制御手段
43 流量制御手段
44 ポンプ制御手段
45 回転数制御手段
46 圧縮機制御手段
47 凍結温度検出手段
48 運転制御手段
Claims (5)
- 圧縮機、凝縮器、熱回収熱交換器を接続した熱回収冷媒回路と、前記圧縮機、前記凝縮器、大気熱あるいは太陽熱を集熱する蒸発器を接続した自然熱利用冷媒回路と、前記熱回収冷媒回路と前記自然熱利用冷媒回路を切換える切替え手段と、前記凝縮器と熱交換関係を有する給湯熱交換器、前記給湯熱交換器の湯を貯湯する貯湯タンクを有する給湯回路と、前記熱回収熱交換器と熱交換関係を有する風呂熱交換器、風呂ポンプを有する風呂回路と、前記風呂回路の水温を検出する温度検出手段と、前記熱回収冷媒回路による運転中に前記温度検出手段の検出温度が第1設定温度まで低下した時、前記風呂ポンプを継続運転して前記風呂回路中の残湯水を攪拌し、かつ、前記切り替え手段を前記自然熱利用冷媒回路に切り替える運転制御手段を有するヒートポンプ式風呂給湯システム。
- 圧縮機、凝縮器、熱回収熱交換器を接続した熱回収冷媒回路と、前記圧縮機、前記凝縮器、大気熱あるいは太陽熱を集熱する蒸発器を接続した自然熱利用冷媒回路と、前記熱回収冷媒回路と前記自然熱利用冷媒回路を切換える切替え手段と、前記凝縮器と熱交換関係を有する給湯熱交換器、前記給湯熱交換器の湯を貯湯する貯湯タンクを有する給湯回路と、前記熱回収熱交換器と熱交換関係を有する風呂熱交換器、風呂ポンプを有する風呂回路と、前記風呂回路の水温を検出する温度検出手段と、前記熱回収冷媒回路による運転中に前記温度検出手段の検出温度が第1設定温度まで低下した時、前記風呂ポンプを継続運転しながら前記切替え手段を前記自然熱利用冷媒回路による運転に切換え、前記温度検出手段の検出温度が第1設定温度より高温の第2設定温度まで上昇した時、前記切替え手段を前記熱回収冷媒回路による運転に切換える運転制御手段を有するヒートポンプ式風呂給湯システム。
- 前記風呂回路の浴槽残湯水を排水する排水手段と、前記風呂回路の水温を検出する温度検出手段と、熱回収冷媒回路による運転中に前記温度検出手段の検出温度が第1設定温度まで低下した時、前記排水手段を開放して浴槽水を排水するとともに切替え手段を自然熱利用冷媒回路による運転に切換え、前記温度検出手段の検出温度が前記第1設定温度よりも高温の第2設定温度まで上昇した時、前記排水手段を閉にするとともに前記切替え手段を前記熱回収冷媒回路による運転に切換える運転制御手段を有する請求項1または2記載のヒートポンプ式風呂給湯システム。
- 風呂ポンプ流出側の風呂回路に設けた排水手段と、熱回収冷媒回路による運転中に温度検出手段の検出温度が第1設定温度まで低下した時、前記排水手段を開放して浴槽水を排水するとともに切替え手段を自然熱利用冷媒回路による運転に切換え、その後前記温度検出手段の検出温度が前記第1設定温度よりも高温の第2設定温度まで上昇した時、再び前記排水手段を閉にするとともに前記切替え手段を前記熱回収冷媒回路による運転に切換える運転制御手段と、前記温度検出手段の検出温度が前記第1設定温度まで低下したことを前記運転制御手段から受信して前記風呂ポンプを最大流量にするポンプ制御手段を有する請求項3記載のヒートポンプ式風呂給湯システム。
- 排水手段を風呂熱交換器の流出側に設けた請求項3又は4記載のヒートポンプ式風呂給湯システム。
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