JP3588897B2 - 積層型温度センサ - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は,自動車の排ガス等の温度を検出する積層型温度センサに関する。
【0002】
【従来技術】
従来,積層型温度センサとしては,例えば,図8に示すごとく,積層素子91の感温部911を取付用ハウジング92から突出させて,該感温部911を検査対象99に近接させて温度を測定するものがある(特願平6─234386号公報)。
積層素子91は,取付用ハウジング92に対して,セメント93により固定されている。積層素子91は,感温部911の情報を取り出すためのリード線53と接続している。リード線53は,取付用ハウジング92に対して,ブッシュ96により固定されている。
【0003】
取付用ハウジング92は,アルミナからなる碍子成形体である。取付用ハウジング92の先端には,積層素子91の感温部911を突出させる挿通孔920が設けられている。また,挿通孔920の先端部の凹部925には,積層素子91の突出部分918を保護するための保護カバー97が取り付けられている。
リード線53は,取付用ハウジング92を固定するフランジ95と平行方向に引き出されている。尚,図8において,符号951は,固定具である。
【0004】
上記積層型温度センサ9においては,感温部911は,取付用ハウジング92から突出した積層素子91の突出部分918に設けている。そのため,感温部911が検査対象99に直接接触する。それ故,検査対象の温度を正確に測定することができる。
【0005】
【解決しようとする課題】
しかしながら,上記従来の積層型温度センサにおいては,以下の問題がある。
即ち,取付用ハウジング92は碍子成形体であるため耐振動性が弱い。そのため,上記積層型温度センサを自動車等の振動の激しい環境において用いる場合に,碍子ワレ,カケによる破損が生じるおそれがある。また,取付ハウジング92を強固に取付けることができないため,ゆるみ,ガタが発生するおそれがある。
【0006】
また,リード線53は,フランジ95と平行方向に引き出されている。そのため,リード線53は,フランジ95を隔てた検査対象99と近接する。それ故,検査対象99が高温である場合には,フランジ95の熱によりリード線53が劣化してしまうおそれがある。
【0007】
本発明はかかる従来の問題点に鑑み,耐振動性に優れ,またリード線の熱損傷を防止できる積層型温度センサを提供しようとするものである。
【0008】
【課題の解決手段】
請求項1に記載の発明は、感温部を設けた長板状の積層素子と、上記感温部を外方に突き出した状態で積層素子の外周を覆う金属製の筒状プロテクタと、該筒状プロテクタの内部に積層素子を固定するよう充填した無機接着剤と、積層素子より出力を取り出すリード線と、該リード線を積層素子の感温部とは反対側に積層素子の軸方向に沿って挿通させると共に上記筒状プロテクタに対して固定されたブッシュとよりなる積層型温度センサであって、
上記筒状プロテクタは、積層素子の外方に位置する本体部と、上記感温部を突き出す先端孔を設けた底部と、上記本体部の上方において上記ブッシュを嵌め込む嵌合部と、上記本体部からその底部の方向に向かって傾斜縮小するテーパ筒部とを有してなり、
上記筒状プロテクタの先端孔は、積層素子における少なくとも上記先端孔より突出した突出部分と同じ形状を有すると共に、上記先端孔と上記突出部分とは接触状態にあることを特徴とする積層型温度センサである。
【0009】
本発明において最も注目すべきことは,積層素子の外周を金属製の筒状プロテクタにより覆うこと,積層素子の感温部とは反対側に該積層素子の軸方向に沿ってリード線を引き出したこと,更には,筒状プロテクタに,先端孔を有する底部を設けたことである。
【0010】
次に,本発明の作用効果について説明する。
本発明においては,積層素子の外周は,上記突出部分を除いて,無機接着剤を介して金属製の筒状プロテクタにより覆われている。そのため,振動の激しい環境においても薄板状の積層素子が折損することはない。それ故,積層型温度センサの耐振動性が向上する。
【0011】
また,リード線を積層素子の感温部とは反対側に積層素子の軸方向に沿って引き出している。そのため,リード線は,感温部から遠方に引き出されることになる。それ故,リード線が検査対象から離れた位置に配置され,リード線の熱損傷を防止することができる。
【0012】
また,先端孔は,積層素子の突出部分と同じ形状を有し,かつ両者は接触状態にある。そのため,先端孔と上記突出部分との間には,殆ど間隙はない。それ故,積層素子を筒状プロテクタの中に入れ,かつ硬化前の無機接着剤の中を通して先端孔に挿通する際に,筒状プロテクタ内の無機接着剤が,先端孔から外部へ漏出することがない。従って,無機接着剤の充填量の減少を防止でき,予め筒状プロテクタ内へ入れておく無機接着剤の量管理の制御を正確に行うことができる。また,上記先端孔と積層素子の突出部分とは上記のように接触状態にあるため,先端孔からの湿気の浸入も少なく,耐久性も高い。
【0013】
以上のように,本発明によれば,耐振動性に優れ,またリード線の熱損傷を防止できる,積層型温度センサを提供することができる。
【0014】
上記筒状プロテクタは、上記本体部からその底部の方向に向かって傾斜縮小するテーパ筒部を有することが好ましい。これにより、テーパ筒部においては、筒状プロテクタと積層素子との間における無機接着剤の充填密度が増大する。それ故、テーパ筒部においては、積層素子の保持力が一層高まり、耐振動性が高まる。
【0015】
また,筒状プロテクタに積層素子を挿入する際に,テーパ筒部は,積層素子が先端孔に向かって挿通するよう積層素子をガイドする。そのため,無理な力を加えずに,積層素子を筒状プロテクタに組付けることができ,組付け性が高くなる。更に,そのため,積層素子が損傷したり欠損したりするするおそれもない。
【0016】
次に、請求項2に記載のように、上記筒状プロテクタは、その底部が平坦状であり、該底部と上記テーパ筒部との間には、本体部よりも小さい径のガイド部を有していることが好ましい(図1)。これにより、積層素子を筒状プロテクタに挿入する際に、ガイド部が積層素子を挿通方向に導く。それ故、積層素子の先端孔への挿通を更に容易に行うことができる。
【0017】
また、請求項3に記載のように、上記筒状プロテクタの本体部と底部との間は、上記テーパ筒部によって直接連結することが好ましい(図6)。これにより、先端孔への積層素子の挿通が一層容易となると共に、積層素子とテーパ筒部との間の無機接着剤による固定力が向上する。
【0018】
また、上記無機接着剤は、上記積層素子の上端の位置まで、積層素子を覆っていることも良い。これにより、無機接着剤が、出力取出部を有する積層素子の上端を保護することになり、振動の際に出力取出部が積層素子から外れるおそれもない。このため、積層素子の耐振動性がより高くなる。また、リード線に引張力等の外力が加わった場合にも、積層素子まで外力が及ばない。そのため、積層素子とリード線との接続信頼性が向上する。
【0019】
次に、請求項4に記載のように、上記嵌合部と上記ブッシュとの間には、積層素子を筒状プロテクタに挿入する際には空気抜け可能な嵌合隙間が設けられており、挿入終了後には口元かしめを施して閉止してあり、上記口元かしめ前における、筒状プロテクタの嵌合部の内径D1とブッシュの外径dとの間には、0.5≦d/D1≦0.9の関係が成立することが好ましい。この嵌合間隙は、積層素子及びブッシュの挿入の際に、筒状プロテクタの内部に入っている空気の逃げ道となる。
そのため、積層素子及びブッシュの挿入時における、筒状プロテクタの内部圧の上昇を抑制でき、先端孔から無機接着剤が押し出されるおそれもない。また、積層素子の挿入完了時点近くにおけるブッシュの筒状プロテクタへの組付けもスムーズに行うことができる。
【0020】
また,積層素子の挿入完了後には,筒状プロテクタに口元かしめを施して,筒状プロテクタとブッシュとの間の嵌合隙間を閉止している。そのため,ブッシュは筒状プロテクタに対して確実に固定される。また,筒状プロテクタ内への湿気浸入を防止することができる。
【0021】
そして、上記口元かしめ前における、筒状プロテクタの嵌合部の内径D1とブッシュの外径dとの間には、0.5≦d/D1≦0.9の関係が成立することが好ましい。これにより、筒状プロテクタとブッシュとの間の嵌合間隙が、筒状プロテクタの挿入時に空気抜け用の十分な嵌合間隙を提供する。
【0022】
それ故,筒状プロテクタの内部圧の上昇を抑制でき,先端孔から無機接着剤が漏出するおそれもない。また,ブッシュの筒状プロテクタへの組付けもスムーズに行うことができる。更に,挿入後の口元かしめによって,ブッシュを固定強度も高くなる。
【0023】
一方,0.5>d/D1 の場合には,口元かしめをした後にブッシュが筒状プロテクタから抜け出るおそれがある。d/D1 >0.9の場合には,積層素子の挿入時に筒状プロテクタに入った空気の逃げ場がなくなる場合がある。それ故,無機接着剤を先端孔からトコロテンのように押し出して,先端孔から無機接着剤がはみ出すおそれがある。また,ブッシュ側に無機接着剤が這い上がるおそれがある。
【0024】
【発明の実施の形態】
実施形態例1
本発明の実施形態例に係る積層型温度センサについて,図1〜図5を用いて説明する。
本例の積層型温度センサ8は,図1に示すごとく,感温部20を設けた長板状の積層素子2と,感温部20を突き出した状態で積層素子2の外周を覆う金属製の筒状プロテクタ1とを有している。筒状プロテクタ1の内部には,積層素子2を固定するよう無機接着剤3が充填されている。積層素子2には,出力取り出し用のリード線5が接続されている。
筒状プロテクタ1の嵌合部12には,ブッシュ6が固定されている。ブッシュ6には,感温部20とは反対側で積層素子2の軸方向に沿って,リード線5が挿通されている。
【0025】
筒状プロテクタ1は,図1,図3に示すごとく,積層素子2の外方に位置する本体部19と,感温部20を突き出す先端孔11を設けた底部10とを有している。本体部19の上方には,ブッシュ6を嵌め込む嵌合部12を有している。
また,筒状プロテクタ1は,本体部19から底部10の方向に向かって傾斜縮小するテーパ筒部16を有している。
【0026】
筒状プロテクタ1の底部10は,平坦状である。底部10とテーパ筒部16との間には,本体部19よりも小さい径のガイド部15を有している。
筒状プロテクタ1の先端孔11は,積層素子2における先端孔11より突出した突出部分28と同じ形状を有している。先端孔11と突出部分28とは,接触状態にある。突出部分28における積層素子2の断面は,図2に示すごとく,約2.5mm×1.1mmの長方形である。
【0027】
嵌合部12とブッシュ6との間には,図5に示すごとく,積層素子2を筒状プロテクタ1に挿入する際に空気を逃がすための嵌合隙間7が設けられている。嵌合部12は,図1に示すごとく,積層素子2を筒状プロテクタ1に挿入した後には口元をかしめて閉止部122を形成する。
口元かしめ前における筒状プロテクタの嵌合部12の内径D1 は,6mmである。ブッシュ6の外径dは,4.6mmである。
【0028】
無機接着剤3は,図1に示すごとく,筒状プロテクタ1の内部に,積層素子2の上端29の位置まで,積層素子2を覆っている。これにより,積層素子2が筒状プロテクタ1の内部で保持固定される。
【0029】
筒状プロテクタ1のガイド部15の外壁には,図1,図2に示すごとく,積層素子2の突出部分28を覆うよう金属カバー81が溶接されている。金属カバー81は,セラミック薄板である積層素子2の突出部分28を,機械的,熱的な衝撃から保護する。金属カバー81には,突出部分28における感温部20付近に開口する孔811を設けている。
筒状プロテクタ1には,自動車の排気管等に取り付けるための取付用フランジ85が銀ろう付け等により接合されている。
【0030】
図4に示すごとく,積層素子2における感温部20の内部には,サーミスタ21が内蔵されている。サーミスタ21からリード211により引き出された出力(抵抗値の変化)は,積層素子2の他端側の出力取出部213,リード線5の先端51に取り付けた接続端子214に伝導される。そして,上記出力は,リード線5を経て,図示しない制御回路へと伝達される。
【0031】
上記積層型温度センサを製造するに当たっては,図4に示すごとく,まず,アルミナシート22にCr−Zn酸化物又はCr−Mn−Y酸化物からなるサーミスタ21と,Ptペーストからなるリードパターン211とを印刷し,これらの表面にアルミナシート22を重ねて焼成して,積層素子2を得る。
【0032】
積層素子2の上端29におけるアルミナシート22の両側面には,金属とセラミックとの接合性に優れた活性金属ろうを用いて,板状の出力取出部213を接合する。
また,リード線5を,シリコンゴム等よりなるブッシュ6に挿通する。また,リード線5の先端51を絶縁チューブ26により被覆する。次いで,リード線5の先端51を,積層素子2の出力取出部213に接続する。
【0033】
また,筒状プロテクタ1を製造するに当たっては,図5に示すごとく,一般に,厚み0.4〜0.8mmのステンレス鋼板を深絞り加工し,平坦状の底部10,ガイド部15及びテーパ筒部16を形成する。
次いで,図3に示すごとく,筒状プロテクタ1の底部10を,角ピンでプレス孔明けし,長方形の先端孔11を形成する。
【0034】
ガイド部15の内径D2 は,図2,図5に示すごとく,積層素子2の対角線長Lの1.1〜1.5倍の大きさであることが好ましい。1.1倍未満の場合には,積層素子2のガイド部15への挿入が困難となるおそれがある。また,1.5倍を越える場合には,ガイド部としての役割を果たさないおそれがある。例えば,ガイド部15の内径D2 は3.4mmであり,積層素子2の対角線長Lは2.73mmである。
【0035】
また,ブッシュを嵌合する嵌合部12には,図5に示すごとく,積層素子2を筒状プロテクタ1に挿入する際には空気抜け可能な嵌合隙間7を設けておく。嵌合間隙7は,筒状プロテクタ1の内径D1 とブッシュ6の外径dとの差に相当する大きさの間隙を有する。
【0036】
次いで,筒状プロテクタ1のガイド部15の外壁に,金属カバー81を溶接する。また,筒状プロテクタ1の本体部19に,取付用フランジ85を銀ろう付け等により接合する。
次いで,筒状プロテクタ1の先端孔11をゴムグロメット88により閉塞した状態で,筒状プロテクタ1の内部に,その嵌合部12から泥状の無機接着剤3を注入する。無機接着剤3は,図1に示すごとく,積層素子を筒状プロテクタ内に挿入した際に,その上面が出力取出部213を設けた積層素子2の上端29の位置まで来るように入れておく。
【0037】
無機接着剤3としては,泥状のセメント(朝日化学(株)製スミセラム)を用いる。セメントの粘度は約8Pa・sである。尚,充填した無機接着剤3が筒状プロテクタ1の先端孔11から流れ出さないように,上記のごとく栓の役目を果たすゴムグロメット88により閉塞した状態で無機接着剤3を充填してもよい。また,無機接着剤の粘度を硬め(粘度約8〜15Pa・s)に調整しておくことが好ましい。
【0038】
次いで,図1に示すごとく,無機接着剤3を注入した筒状プロテクタ1の中に,積層素子2を挿入すると共にその突出部分28を上記先端孔11に挿通する。また,筒状プロテクタ1の嵌合部12にブッシュ6を嵌合する。次いで,無機接着剤3を加熱し,硬化させる。これにより,無機接着剤3により,筒状プロテクタ1に対して積層素子2を保持,固定する。
次いで,筒状プロテクタ1の嵌合部12の口元をかしめて,かしめ部122を形成する。これにより,上記積層型温度センサ8が得られる。
【0039】
次に,本例の作用効果について説明する。
本例の積層型温度センサ8においては,図1に示すごとく,積層素子2の外周が,突出部分28を除いて,無機接着剤3を介して金属製の筒状プロテクタ1により被覆されている。そのため,振動の激しい環境においても積層素子2の折損という不具合が生じることはない。それ故,積層型温度センサ8の耐振動性が向上する。
また,リード線5を積層素子2の感温部20とは反対側に積層素子2の軸方向に沿って引き出している。そのため,リード線5は,感温部20を配置する検査対象4から遠方に引き出されることになる。従って,リード線5の熱損傷を防止することができる。
【0040】
また,図3,図1に示すごとく,筒状プロテクタ1の本体部19には,底部10の方向に向かって傾斜縮小するテーパ筒部16を設けている。そのため,図5に示すごとく,このテーパ筒部16においては,泥状の無機接着剤3の沈降作用等により,筒状プロテクタ1と積層素子2との間における無機接着剤3の充填密度が増大する。それ故,テーパ筒部16においては,積層素子2の保持力が一層高まり,耐振動性が高まる。
【0041】
また,筒状プロテクタ1に積層素子2を挿入する際に,テーパ筒部16は,積層素子2が先端孔11に向かって挿通するよう積層素子2をガイドする。そのため,無理な力を加えずに,スムーズに積層素子2を筒状プロテクタ1に組付けることができ,組付け性が高くなる。更に,そのため,積層素子2が損傷したり欠損したりすることがない。
【0042】
更に,本例においては,筒状プロテクタ1は,その底部10が平坦状であり,該底部10とテーパ筒部16との間には,本体部19よりも小さい径のガイド部15を有している。そのため,積層素子2を筒状プロテクタ1に挿入する際に,ガイド部15が積層素子2を挿通方向に導く。それ故,積層素子2の先端孔11への挿通を更に容易に行うことができる。
図1に示すごとく,テーパ筒部16と本体部19との曲がり角度αが15〜120°の場合に,テーパ筒部16による上記の効果が特に高くなることが実験的にわかった。
【0043】
また,先端孔11は,積層素子2の突出部分28と同じ形状を有し,かつ両者は接触状態にある。そのため,先端孔11と突出部分28との間には,殆ど間隙はない。そのため,積層素子2を筒状プロテクタ1の中に入れ,かつ硬化前の無機接着剤3の中を通して先端孔11に挿通する際に,筒状プロテクタ1内の無機接着剤3が,先端孔11から外部に漏出することがない。従って,無機接着剤3の充填量の減少を防止でき,充填量の管理を容易に行うことができる。
また,先端孔11と積層素子2の突出部分28とは上記のごとく接触状態にあるため,先端孔11からの湿気の浸入も少なく,耐久性も高い。
【0044】
また,筒状プロテクタ1に積層素子2を挿入する際には,図5に示すごとく,筒状プロテクタ1とブッシュ6との間に嵌合間隙7を設けている。嵌合間隙7は,積層素子2及びブッシュ6の挿入の際に,筒状プロテクタ1の内部に入ってくる空気の逃げ道となる。
【0045】
そのため,積層素子2及びブッシュ6の挿入時における,筒状プロテクタ1の内部圧の上昇を抑制でき,先端孔11から無機接着剤3が押し出されるおそれもない。また,積層素子2の挿入完了時点近くにおけるブッシュ6の筒状プロテクタ1への組付けもスムーズに行うことができる。
【0046】
また,積層素子2の挿入完了後には,筒状プロテクタ1の嵌合部12にかしめを施して,筒状プロテクタ1とブッシュ6との間の嵌合隙間7を閉止している。そのため,ブッシュ6は筒状プロテクタ1に対して確実に固定される。また,筒状プロテクタ1内への湿気浸入を防止することができる。
【0047】
また,無機接着剤3は,積層素子2の出力取出部213を有する上端29の位置まで,積層素子2を覆っている。そのため,無機接着剤3が出力取出部213を保護することになり,振動の際に出力取出部213が積層素子2から外れるおそれもない。このため,積層素子2の耐振動性がより高くなる。また,リード線5に引張力等の外力が加わった場合にも,積層素子2まで外力が及ばない。そのため,積層素子2とリード線5との接続信頼性が向上する。
【0048】
実施形態例2
本例の積層型温度センサは,図6,図7に示すごとく,筒状プロテクタ1の本体部19と底部10との間をテーパ筒部16によって直接連結している。
筒状プロテクタ1の本体部19には,螺着型フランジ87がろう付けされている。
その他は,実施形態例1と同様である。
【0049】
本例においては,筒状プロテクタ1の本体部19と底部10との間が,テーパ筒部16によって直接連結されている。そのため,一層,先端孔11への積層素子2の挿通が容易となると共に,積層素子2とテーパ筒部16との間の無機接着剤3による固定力が向上する。その他,本例においても,実施形態例1と同様の効果を得ることができる。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば,耐振動性にも優れ,またリードの熱損傷を防止でき,積層素子の筒状プロテクタ内への組付けが容易な,積層型温度センサを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1の,ガイド部を有する積層型温度センサの断面図。
【図2】図1のA−A線矢視断面図。
【図3】実施形態例1の,先端部を示す筒状プロテクタの斜視図。
【図4】実施形態例1の,リード線を接続した積層素子の断面図。
【図5】実施形態例1の,無機接着剤を充填した筒状プロテクタの断面図。
【図6】実施形態例2の,積層型温度センサの断面図。
【図7】実施形態例2の,先端部を示す筒状プロテクタの斜視図。
【図8】従来例の積層型温度センサの断面図。
【符号の説明】
1...筒状プロテクタ,
10...底部,
11...先端孔,
12...嵌合部,
122...かしめ部,
15...ガイド部,
16...テーパ筒部,
19...本体部,
2...積層素子,
20...感温部,
21...サーミスタ,
213...出力取出部,
28...突出部分,
29...上端,
3...無機接着剤,
4...検査対象,
5...リード線,
6...ブッシュ,
7...嵌合間隙,
8...積層型温度センサ,
Claims (4)
- 感温部を設けた長板状の積層素子と、上記感温部を外方に突き出した状態で積層素子の外周を覆う金属製の筒状プロテクタと、該筒状プロテクタの内部に積層素子を固定するよう充填した無機接着剤と、積層素子より出力を取り出すリード線と、該リード線を積層素子の感温部とは反対側に積層素子の軸方向に沿って挿通させると共に上記筒状プロテクタに対して固定されたブッシュとよりなる積層型温度センサであって、
上記筒状プロテクタは、積層素子の外方に位置する本体部と、上記感温部を突き出す先端孔を設けた底部と、上記本体部の上方において上記ブッシュを嵌め込む嵌合部と、上記本体部からその底部の方向に向かって傾斜縮小するテーパ筒部とを有してなり、
上記筒状プロテクタの先端孔は、積層素子における少なくとも上記先端孔より突出した突出部分と同じ形状を有すると共に、上記先端孔と上記突出部分とは接触状態にあることを特徴とする積層型温度センサ。 - 請求項1において、上記筒状プロテクタは、その底部が平坦状であり、該底部と上記テーパ筒部との間には、上記本体部よりも小さい径のガイド部を有していることを特徴とする積層型温度センサ。
- 請求項1において、上記筒状プロテクタの本体部と底部との間は、上記テーパ筒部によって直接連結されていることを特徴とする積層型温度センサ。
- 請求項1〜3のいずれか一項において、上記嵌合部と上記ブッシュとの間には、積層素子を筒状プロテクタに挿入する際には空気抜け可能な嵌合隙間が設けられており、挿入終了後には口元かしめを施して閉止してあり、上記口元かしめ前における、筒状プロテクタの嵌合部の内径D 1 とブッシュの外径dとの間には、0.5≦d/D 1 ≦0.9の関係が成立することを特徴とする積層型温度センサ。
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