JP3588403B2 - 移動中継伝送方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ディジタルテレビジョン素材移動中継伝送方法における周波数直交分割多重変調方法などマルチパスフェージングに強い変調方法の利用に係り、特に、移動体からの送信電波を複数の受信中継局を介して、唯1個所の受信局で復調する移動中継伝送方法および受信装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、移動体から送信される電波(FMまたはAM波)を複数の受信中継局を介して中継する場合には、各受信中継局で受信された信号を周波数変換して再送信し、それらをひとつの受信局に集約し、移動体からの信号を途切れなく復調するために、各受信中継局からの信号を前記受信局でそれぞれ個別に復調し、それらの信号を例えば手動で切り替える方法がとられてきた。それは周波数、位相、遅延時間の整合の点で、1個の復調装置にまとめるのが困難であったからである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術では、移動体から送信される電波を複数の受信中継局を介して中継する場合、各受信中継局から送られてくる移動体からの信号を途切れなく受信するために、各個別の復調手段の出力を例えば手動により切り替えることが不可欠であり、また、切り替えるタイミングを明示するために、別回線による移動体から前記受信局への連絡などが不可欠であるという課題があった。
【0004】
そこで本発明の目的は、これら不可欠な課題を排除し、かかる移動体からの移動中継伝送方法において、各受信中継局からの信号を途切れることなく、自動的に切り替え可能な移動中継伝送方法を提供せんとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため本発明移動中継伝送方法は、マルチパスフェージングに強い変調波を用いて移動体からの電波を送信し、該移動体から送信された電波を複数の受信中継局で受信し、それぞれ異なる複数の周波数帯に変換して再送信するとともに、該再送信された複数の電波を1つの受信局で受信集約し、それぞれ受信した前記複数の電波を共通の中間周波数帯に変換して合成し、該合成された信号について伝送路特性の等化を行い、合成した信号のうち最もレベルの大きい中継ルートの信号を希望信号として認識して復調することを特徴とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明はマルチフェージングに強いOFDM変調波などを移動中継伝送波に使用すれば、受信局において複数の受信中継電波を比較的容易に合成することができ(周波数、位相、遅延時間の整合に左程困難性をともなはれない)、1つの復調装置に集約することが可能であろうということに着目してなされた発明である。
【0008】
さて以下添付図面を参照し実施例により本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明伝送方法に係る実施例の線図的構成図を示す。
図1において、移動体1で変調装置(マルチパスフェージングに強い変調波を作る変調装置、例えばOFDM変調装置)100によってつくられたIF帯変調信号101は、送信機102によりRF帯の信号に変換され、送信アンテナ103から発射される。発射された電波のうち電波104が受信中継局(1)2の受信アンテナ105で受信され、受信機106でIF帯に変換されIF信号107になる。IF信号107は送信機108によりRF帯に変換され、送信アンテナ109から伝送電波110として受信局5の受信アンテナ111に向け発射される。受信局5では受信中継局(1)から受信した電波を受信機112によりIF帯に変換しIF信号113を得る。
【0009】
他の中継ルートについても、上記と同様に、移動体1から発射された電波のうち114,115が受信中継局(2)3、受信中継局(N)4で受信され、それぞれ周波数変換され伝送電波116,117として受信局5に伝送される。受信局5ではそれぞれの電波を受信アンテナ118,119で受信し、受信機120,121でIF信号122,123となる。
【0010】
ここで、各受信中継局から伝送されたIF信号113,122,123は、各受信機112,120,121で、基準周波数信号発生器127から出力される基準周波数信号128(例えばIF帯中心周波数信号)に周波数ロックされるものとする。各IF信号は合成機124で加え合わされ、それらの合成信号125を一括して復調装置(例えばOFDM復調装置)126で復調する。
【0011】
上述の場合、変調方法としてマルチパスに強いOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing, 周波数直交分割多重)を用いたり、他のディジタル変調方法QPSK(Quarternary Phase Shift Keying, 4相位相シフトキーイング)やQAM(Quadrature Amplitude Modulation,直交振幅変調)などであってもマルチパスによる伝送路特性の等化が完全に行われるものとすれば、合成した信号のうち最もレベルの大きい中継ルートの信号を希望信号として認識し、その他の信号はマルチパスによる干渉波と同様に扱い復調することができ、移動体の移動に伴って、最も安定した受信中継局のルートを自動的に次々に切り替えることが可能となる。
【0012】
図2に従来方法に係る移動中継伝送方法実施例の線図的構成を示す。この場合送信電波の変調波は一般的にFMまたはAM波である。従ってこの図の各部品、各装置および伝送路には図1とそれぞれ異なる参照番号を付したが、図2を図1と比較すれば明らかなごとく、変調装置200の変調方法が図1の変調装置のそれと異なること以外は、電波の送受信および伝送の形態は、参照番号200から223まで図1の参照番号100から123までにそれぞれ対応しておなじである(百番違いの参照番号である)。
【0013】
その先の信号処理が図1のそれと大きく異なる。従来方法では、受信中継局(1)7,受信中継局(2)8,受信中継局(N)9から伝送された電波210,216,217は受信局10に集められるが、受信アンテナ211,218,219で受信された信号は、受信機212,220,221でIF信号213,222,223に変換され、それぞれの復調装置224,225,226で復調された復調信号227,228,229を切り替え器230により手動で切り替えることにより、移動体からの信号を移動体の移動に追従して受信した信号231として確保している。この中継形態では、各中継ルート毎に復調装置224,225,226が必要であり、また、受信局での中継ルート切り替えのために、移動体から受信中継局切り替えの予告コールや切り替えタイミングなどの情報を伝送するための連絡回線も必要となる。
【0014】
図3は、本発明方法を適用した場合の受信局5における各受信中継局2,3,4からの電波を受信する受信機の周波数ロック回路構成の例を示すブロック線図である。
【0015】
受信されたRF信号300は、RF帯帯域通過フィルタ(BPF)301により帯域制限され信号302となる。信号302の中心周波数をfRF、またIF帯での中心周波数をFIFとすると、信号302は、電圧制御発振器(VCO)303から出力される周波数fRF−fIFの連続正弦波信号304とマルチプレクサ305で掛け合わされダウンコンバートされた信号をIF帯帯域通気フィルタ(BPF)306を通すことにより、IF帯の信号307となる。
【0016】
IF帯信号307は2分配され、ひとつは受信機の出力信号308となり他の中継ルートで伝送されたIF信号と加え合わされる。もうひとつの信号309はパイロット信号抽出回路310の入力信号となる。例えば、パイロット信号としてIF帯の中心周波数fIFのキャリア信号が間欠的に送信されているとすると、抽出回路310によって、中心周波数fIFのキャリア信号が送信されている区間のみが抽出された信号311が出力される。抽出された信号311は分周器312により1/Nに分周され信号313になる。
【0017】
一方、受信器を周波数ロックするための基準信号が、外部の基準信号発生器314から与えられる。基準信号315をIF帯の中心周波数fIFの連続正弦波信号とし、この信号を分周器316で1/Nに分周した信号317と、パイロット信号からつくられた信号313とを位相比較器318(PC)に入力し、その位相差に比例した信号319を得る。信号319は周波数ロックのためのループフィルタ320を通り、VCO303を制御する電圧信号321を得る。制御電圧信号321は、制御回路322によりパイロット信号抽出回路310から送られるパイロット信号がある期間のみ制御する信号324となり、これによりVCO303の周波数を変化させ、IF帯の信号307が外部から供給される基準信号315に周波数ロックするように制御される。
【0018】
他の中継ルートに関しても、共通の基準信号に同様に周波数ロックさせ、IF帯の信号を合成し一括して復調することとなる。
【0019】
以上本発明に係る実施例を従来技術のそれと比較して詳細に説明してきたが、本発明はこの実施例に限定されることなく、請求項に記載された発明の要旨内で各種の変形、変更のあることは自明であろう。
【0020】
【発明の効果】
以上詳細に説明してきたように、本発明によれば、複数の受信中継局を介して移動帯から発射される信号を中継する場合において、各中継ルートの信号を集約する受信局で、中継ルート毎の復調装置が必要でなくなり、一括して復調することができ、各中継ルートの切り替えも自動で行うことが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した移動中継伝送方法の実施例構成ブロック線図。
【図2】従来の技術による移動中継伝送方法の実施例構成ブロック線図。
【図3】本発明を適用した場合の受信局の受信機の周波数制御回路実施例の構成ブロック線図。
【符号の説明】
1,6 移動体
2,3,4,7,8,9 受信中継局
5,10 受信局
100 ,200 移動体の変調装置
102 ,202 移動体の送信機(IF→RF)
103 ,203 移動体の送信アンテナ
105 ,205 受信中継局の受信アンテナ
106 ,206 受信中継局の受信機(RF→IF)
108 ,208 受信中継局の送信機(IF→RF)
109 ,209 受信中継局の送信アンテナ
111 ,118 ,119 ,211 ,218 ,219 受信局の受信アンテナ
112 ,120 ,121 ,212 ,220 ,221 受信局の受信機(RF→IF)
124 合成器
230 切り替え器
126 ,224 ,225 ,226 受信局の復調装置
301 RF帯帯域通過フィルタ(BPF)
303 電圧制御発振器(VCO)
305 マルチプレクサ
306 IF帯帯域通過フィルタ(BPF)
310 パイロット信号抽出回路
312 ,316 1/N分周器
314 基準信号発生器
318 位相比較器
320 ループフィルタ
322 周波数ロックループ制御回路

Claims (4)

  1. マルチパスフェージングに強い変調波を用いて移動体からの電波を送信し、該移動体から送信された電波を複数の受信中継局で受信し、それぞれ異なる複数の周波数帯に変換して再送信するとともに、該再送信された複数の電波を1つの受信局で受信集約し、それぞれ受信した前記複数の電波を共通の中間周波数帯に変換して合成し、該合成された中間周波数信号について伝送路特性の等化を行い、合成した信号のうち最もレベルの大きい中継ルートの信号を希望信号として認識して復調することを特徴とする移動中継伝送方法。
  2. 請求項1記載の方法において、前記マルチパスフェージングに強い変調波が周波数直交分割多重変調波であることを特徴とする移動中継伝送方法。
  3. 請求項1または2記載の方法において、前記受信集約が、前記1つの受信局の複数の受信機の高周波帯から中間周波帯への変換にあたり、1つの共通な基準周波数信号にそれぞれ周波数ロックされることを特徴とする移動中継伝送方法。
  4. 請求項1から3いずれかに記載の方法において、前記周波数ロックのために、前記マルチパスフェージングに強い変調信号に含まれる同期信号またはパイロット信号が利用されることを特徴とする移動中継伝送方法。
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