JP3587843B2 - 再構成ヒト抗hm1.24抗体 - Google Patents

再構成ヒト抗hm1.24抗体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は再構成ヒト抗HM1.24抗体及びキメラ抗HM1.24抗体、並びにこれらをコードする遺伝子、該抗体の製造方法、及び該抗体の使用に関する。本発明の再構成ヒト抗体及びキメラ抗体は、骨髄腫の治療剤等として特に有用である。
【0002】
【従来の技術】
ヒトB 細胞は、発現している表面抗原により分類されるいくつかの段階を通して最終的に抗体産生形質細胞へと成熟する。B 細胞の終末分化段階では、細胞質免疫グロブリン産生能を獲得する一方で、細胞表面免疫グロブリン、HLA−DR、CD20、Fcレセプターおよび補体C3レセプターなどのB 細胞関連抗原が消失する(Ling, N. R. et al., Leucocyte TypingIII (1986) p320, Oxford, UK, Oxford )。
【0003】
これまで、形質細胞の細胞膜上の抗原を認識する抗PCA−1 (Anderson, K. C. et al., J.Immunol. (1983) 130, 1132 )、抗PC−1(Anderson, K. C. et al., J. Immunol. (1983)132, 3172 )、抗MM4 (Tong, A. W. et al., Blood (1987) 69, 238)等のモノクローナル抗体が報告されてきたが、形質細胞と骨髄腫細胞の検出には依然として抗CD38モノクローナル抗体が使用されている(Epstein, J. et al., N. Engl. J. Med. (1990) 322, 664、Terstappen, L. W. M. M. et al., Blood (1990) 76, 1739 、Leo, R. et al., Ann. Hematol. (1992) 64, 132、Shimazaki, C. et al., Am. J. Hematol. (1992) 39, 159 、Hata, H. et al., Blood (1993) 81, 3357、Harada, H. et al., Blood (1993) 81, 2658、Billadeau, D. et al., J. Exp. Med. (1993) 178, 1023 )。
【0004】
しかしながら、抗CD38モノクローナル抗体は、B 細胞の分化に関連する抗原というよりもむしろ、T 細胞の活性化に関連する抗原であり、B 細胞以外の種々の細胞上にも発現する。さらに、CD38はリンパ形質細胞様腫瘍細胞(lymphoplasmacytoid)の一部には発現しないにもかかわらず、造血前駆細胞上で強く発現している。これらの理由から、抗CD38モノクローナル抗体はヒトB 細胞の分化、成熟に関する研究および形質細胞の疾患の治療に適していないと考えられる。
【0005】
Goto, T.らはヒト形質細胞を免疫して得られた、B 細胞系列に特異的に発現する分子量が29−33kDaの抗原を認識するマウスモノクローナル抗体HM1.24を報告している(Blood (1994) 84, 1922−1930)。モノクローナル抗体HM1.24が認識する抗原は、B 細胞の終末分化に関連した抗原であると考えられること(Goto, T. et al., Jpn. J. Clin. Immun. (1992) 16, 688−691)、および形質細胞腫を移植したマウスにモノクローナル抗体HM1.24を投与すると、この抗体が腫瘍に特異的に集積したこと(尾崎修治ら、第19回日本骨髄腫研究会総会プログラム、一般演題3 )から、モノクローナル抗体HM1.24は、ラジオアイソトープで標識することによる腫瘍局在の診断や、ラジオイムノセラピー(radioimmunotherapy)などのミサイル療法に応用することが可能であることが示唆されている。
【0006】
また、上記Blood には、モノクローナル抗体HM1.24がin vitroにおいてヒト骨髄腫細胞株RPMI8226に対して補体依存性細胞障害活性を有することが述べられている。
骨髄腫は、モノクローナルな形質細胞(骨髄腫細胞)の骨髄内集積を特徴とする腫瘍性疾患である。骨髄腫は免疫グロブリンを産生分泌する終末分化B 細胞、すなわち形質細胞がモノクローナルに主として骨髄に増加する疾患で、血清中にモノクローナルな免疫グロブリンもしくはその構成成分であるL 鎖、H 鎖などが検出される(小阪昌明ら、日本臨床 (1995) 53, 91−99 )。
骨髄腫の治療としては、これまで化学療法剤等が使用されているが、骨髄腫を寛解に導き、骨髄腫患者の生存期間を延長するような有効な治療剤は見いだされておらず、骨髄腫の治療効果を有する薬剤の登場が待たれていた。
【0007】
マウスのモノクローナル抗体は、ヒトにおいて高度に免疫原性(「抗原性」という場合もある)があり、このため、ヒトにおけるマウスモノクローナル抗体の医学療法的価値は制限されている。例えば、マウス抗体をヒトに投与すると異物として代謝されうるので、ヒトにおけるマウス抗体の半減期は比較的短く、期待された効果を充分に発揮できない。さらに、投与したマウス抗体に対して発生するヒト抗マウス抗体(HAMA)は、血清病あるいは他のアレルギー反応など、患者にとって不都合で危険な免疫応答を惹起する。したがって、マウモノクローナル抗体をヒトに頻回投与することはできない。
【0008】
これらの問題を解決するため、非ヒト由来の抗体、例えばマウス由来のモノクローナル抗体の免疫原性を低減させる方法が開発された。その一つとして、抗体の可変領域(V領域)はもとのマウスモノクローナル抗体に由来し、定常領域(C領域)は適当なヒト抗体に由来するキメラ抗体を作製する方法がある。
得られるキメラ抗体はもとのマウス抗体の可変領域を完全な形で含有するので、もとのマウス抗体と同一の特異性をもって抗原に結合することが期待できる。さらに、キメラ抗体ではヒト以外に由来するアミノ酸配列の比率が実質的に滅少しており、それ故にもとのマウス抗体に比べて免疫原性が低いと予想される。キメラ抗体はもとのマウスモノクローナル抗体と同等に抗原に結合しそして免疫原性が低いが、それでもなおマウス可変領域に対する免疫応答が生ずる可能性がある(LoBuglio,A.F.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86,4220−4224,l989)。
【0009】
マウス抗体の免疫原性を低減させるための第二の方法は一層複雑であるが、しかしマウス抗体の潜在的な免疫原性をさらに大幅に低下させるものである。この方法においては、マウス抗体の可変領域から相補性決定領域(complementarity determining region;CDR)のみをヒト抗体可変領域に移植して「再構成」(reshaped)ヒト抗体可変領域を作製する。
【0010】
ただし必要によっては、再構成ヒト抗体可変領域のCDRの構造をより一層もとのマウス抗体の構造に近づけるために、CDRを支持しているフレームワーク領域(FR)の一部のアミノ酸配列をマウス抗体の可変領域からヒト抗体可変領域に移植する場合がある。次に、これらのヒト型化された再構成ヒト抗体可変領域をヒト抗体定常領域に連結する。最終的に再構成されたヒト型化抗体のヒト以外のアミノ酸配列に由来する部分はCDR、および、極く一部のFRのみである。CDRは超可変アミノ酸配列により構成されており、これらは種特異的配列を示さない。このため、マウスCDRを担持するヒト型化抗体はもはやヒト抗体CDRを含有する天然ヒト抗体より強い免疫原性を有しないはずである。
【0011】
ヒト型化抗体についてはさらに、Riechmann,L.ら、Nature,332,323−327,l988;Verhoeye,M.ら、Science,239,l534−l536,l988;Kettleborough,C.A.ら、Protein Engng.,4,773−783,l99l;Maeda,H.ら、Human Antibodies and Hybridoma,2,l24−l34,l99l;Gorman,S.D.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,88,4l8l−4l85,l99l;Tempest,P.R.ら、Bio/Technology,9,266−27l,l99l;Co,M.S.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,88,2869−2873,l99l;Carter,P.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89,4285−4289,l992;Co,M.S.ら、J.Immunol.,l48,ll49−ll54,l992;およびSato,K.ら、Cancer Res.,53,85l−856,l993を参照のこと。
【0012】
Queen et al(国際特許出願公開番号WO90−07861) には、抗IL−2レセプター抗体Anti−Tacのヒト型化抗体の作成方法が記載されている。しかしながら、WO90−07861に記載されているヒト型化抗体の作成方法にしたがっても全ての抗体を完全にヒト型化することは困難である。すなわち、WO90−07861には一般的な抗体のヒト型化方法が記載されているのではなく、単に抗IL−2レセプター抗体の一つである特定の抗体であるAnti−Tac抗体のヒト型化方法が記載されているに過ぎない。また、例えWO90−07861の方法に従っても、完全に元のマウス抗体と同程度の活性を有するヒト型化抗体を作製することは難しい。
【0013】
一般に、個々の抗体のCDR ・FRのアミノ酸配列は各々異なる。したがって、ヒト型化抗体の構築に必要な置換されるべきアミノ酸残基の決定とそのアミノ酸残基と置換するアミノ酸残基の選択は各々の抗体により異なる。したがって、WO90−07861に記載されたヒト型化抗体の作製方法は全ての抗体のヒト型化に適用することはできない。
Queen et al., Proc.Natl.Acad.Sci. USA (1989) 86, 10029−10033にはWO90−07861と同じ内容が記載されている。この文献にはWO90−07861の方法にしたがってもヒト型化抗体の元のマウス抗体の約1/3 の活性しか得られなかったことが記載されている。すなわち、WO90−07861の方法自体が元のマウス抗体と同程度の活性を有する完全なヒト型化抗体を作製することができないことを示している。
【0014】
Co et al., Cancer Research (1996) 56, 1118−1125 は上記Queen et al のグループにより発行された。この文献にはWO90−07861のヒト型化抗体の作成方法にしたがっても元のマウス抗体と同程度の活性を有するヒト型化抗体を構築することができなかったことが記載されている。すなわち、WO90−07861の方法自体が元のマウス抗体と同程度の活性を有する完全なヒト型化抗体を作製することができないことと共に、WO90−07861のヒト型化抗体の作製方法が全ての抗体のヒト型化に適用できないことを示している。
【0015】
Ohtomo et al., Molecular Immunology (1995) 32, 407−416にはマウスONS−M21 抗体のヒト型化が記載されている。この文献にはWO90−07861に記載のAnti−Tac抗体のヒト型化で示唆されたアミノ酸残基は何ら活性に関係せず、WO90−07861に記載された方法は適用できないことを示している。
Kettleborough et al., Protein Eng. (1991) 4, 773−783には、アミノ酸残基を置換することによりマウス抗体からいくつかのヒト型化抗体を作製したことを記載している。しかしながら、WO90−07861に記載のAnti−Tac抗体のヒト型化方法で示唆された以上のアミノ酸残基の置換が必要だった。
これらの文献が示すのは、WO90−07861に記載されたヒト型化抗体の作製方法はその中に記載されたAnti−Tac抗体のヒト型化にのみ適用可能な技術であること、及びその技術を使用しても元のマウス抗体と同程度の活性を得ることはできないことである。
【0016】
これらの文献に記載された元のマウス抗体はWO90−07861に記載されたAnti−Tac抗体と異なるアミノ酸配列を有する。したがって、Anti−Tac抗体に適用可能なヒト型化抗体作製方法を他の抗体に適用することはできなかった。同様に本件発明のマウス抗HM1.24抗体は、Anti−Tac抗体と異なるアミノ酸配列を有するためにAnti−Tac抗体のヒト型化作製方法を適用することはできない。さらに、構築に成功した本件発明のヒト型化抗体は、WO90−07861に記載のヒト型化Anti−Tac抗体と異なるアミノ酸配列を有しており、このことも異なるCDR−FRの配列を有する抗体をヒト型化するために全く同じ手法は適用できないことを示している。
【0017】
したがって、ヒト型化の元となるマウス抗体が知られていたとしても、いかなるCDR ・FRの配列を有するヒト型化抗体が活性を示すのかは試行錯誤の実験により初めて成功する。WO90−07861には、そのCDR の配列はおろか、本願発明で構築されたヒト型化抗体において組み合わされるFRの配列及びそのFRとの組み合わせにより活性を有するヒト型化抗体が得られることはいっさい記載されていない。前記のごとく、ヒト型化抗体は療法目的のために有用であると予想されるが、ヒト型化抗HM1.24抗体は知られておらず、示唆もなされていない。また、ヒト型化抗体の製造方法において任意の抗体に普遍的に適用し得る画一的な方法は存在せず、特定の抗原に対して十分な結合活性、結合阻害活性および中和活性を示すヒト型化抗体を作製するためには種々の工夫が必要である(例えば、Sato,K.ら、Cancer Res.,53,85l−856,l993)。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は抗HM1.24抗体の再構成ヒト抗体を提供する。本発明はまた、該再構成ヒト抗体の作製の過程で有用であるヒト/マウスキメラ抗体を提供する。本発明はさらに、再構成ヒト抗体の断片を提供する。並びに本発明はキメラ抗体、再構成ヒト抗体およびそれらの断片の製造のための発現系を提供する。本発明はさらにまた、抗HM1.24抗体のキメラ抗体およびそれらの断片の製造方法、及び抗HM1.24抗体の再構成ヒト抗体およびそれらの断片の製造方法を提供する。
【0019】
【課題を解決するための手段】
さらに具体的には、本発明は、配列番号:103 に示すアミノ酸配列を有するポリペプチドを特異的に認識するキメラ抗体及び再構成ヒト抗体を提供する。該ポリペプチドをコードするcDNAはpUC19 ベクターのXbaI切断部位の間に挿入されて、プラスミドpRS38−pUC19 として調製されている。このプラスミドpRS38−pUC19 を含む大腸菌(E. coli) は平成5年(1993年)10月5日付で工業技術院生命工学工業技術研究所(茨城県つくば市東1丁目1番3号)にEscherichia coli DH5α(pRS38−pUC19) として、受託番号FERM BP−4434としてブダペスト条約に基づき国際寄託されている(特開平7−196694参照)。
【0020】
このようなキメラ抗体あるいは再構成ヒト抗体の一つの態様として、キメラ抗HM1.24抗体あるいは再構成ヒト抗HM1.24抗体が挙げられる。以下に、具体例としてキメラ抗HM1.24抗体及び再構成ヒト抗HM1.24抗体について詳細に述べる。
すなわち、本発明はまた、
ヒト軽(L)鎖定常領域(C領域)、及び抗HM1.24抗体のL鎖可変(V)領域を含んでなるキメラL鎖、並びにヒト重(H)鎖C領域、及び抗HM1.24抗体のH鎖V領域を含んでなるキメラH鎖を提供する。
本発明はまた、
(1)ヒトL鎖C領域、及び抗HM1.24抗体のL鎖V領域を含んでなるL鎖;並びに
(2)ヒトH鎖C領域、及び抗HM1.24抗体のH鎖V領域を含んでなるH鎖;
を含んでなるキメラ抗体を提供する。
【0021】
本発明はさらに、
(1)ヒトL鎖V領域のフレームワーク領域 (FR) 、及び
(2)抗HM1.24抗体のL鎖V領域のCDR、を含んでなる抗HM1.24抗体の再構成(reshaped)ヒトL鎖V領域;並びに、
(1)ヒトH鎖V領域のFR、及び
(2)抗HM1.24抗体のH鎖V領域のCDR、を含んでなる抗HM1.24抗体の再構成ヒトH鎖V領域;
を提供する。
【0022】
本発明はさらに、
(1)ヒトL鎖C領域、並びに
(2)ヒトL鎖FR、及び抗HM1.24抗体のL鎖CDRを含んでなるL鎖V領域、を含んでなる抗HM1.24抗体の再構成ヒトL鎖;並びに
(1)ヒトH鎖C領域、並びに
(2)ヒトH鎖FR、及び抗HM1.24抗体のH鎖CDRを含んでなるH鎖V領域、を含んでなる抗HM1.24抗体の再構成ヒトH鎖;
を提供する。
【0023】
本発明はまた、
(A)(1)ヒトL鎖C領域、及び
(2)ヒトL鎖FR、及び抗HM1.24抗体のL鎖CDRを含んでなるL鎖V領域、を含んでなるL鎖;並びに
(B)(1)ヒトH鎖C領域、及び
(2)ヒトH鎖FR、及び抗HM1.24抗体のH鎖CDRを含んでなるH鎖V領域、を含んでなるH鎖;
を含んでなる抗HM1.24抗体の再構成ヒト抗体、
を提供する。
【0024】
本発明はまた、抗HM1.24抗体のL鎖V領域をコードするDNA及び抗HM1.24抗体のH鎖V領域をコードするDNAを提供する。
本発明はさらに、
(1)ヒトL鎖C領域;及び
(2)抗HM1.24抗体のL鎖V領域;を含んでなる、キメラL鎖をコードするDNA;並びに
(1)ヒトH鎖C領域;及び
(2)抗HM1.24抗体のH鎖V領域を含んでなる、キメラH鎖をコードするDNA;
を提供する。
【0025】
(1)ヒトL鎖V領域のFR、及び
(2)抗HM1.24抗体のL鎖V領域のCDR、を含んでなる抗HM1.24抗体の再構成ヒトL鎖V領域をコードするDNA;並びに
(1)ヒトH鎖V領域のFR、及び
(2)抗HM1.24抗体のH鎖V領域のCDR、を含んでなる抗HM1.24抗体の再構成ヒトH鎖V領域をコードするDNA;
を提供する。
【0026】
本発明はさらに、
(1)ヒトL鎖C領域;並びに
(2)ヒトL鎖FR、及び抗HM1.24抗体のL鎖CDRを含んでなるL鎖V領域;を含んでなる抗HM1.24抗体の再構成ヒトL鎖をコードするDNA;並びに
(1)ヒトH鎖C領域;並びに
(2)ヒトH鎖FR、及び抗HM1.24抗体のH鎖CDRを含んでなるH鎖V領域;を含んでなる抗HM1.24抗体の再構成ヒトH鎖をコードするDNA;
を提供する。
本発明はさらに、上記種々のDNAのいずれかを含んで成るベクターを提供する。
本発明はさらに、上記のベクターにより形質転換された宿主細胞を提供する。
【0027】
本発明はまた、抗HM1.24抗体のキメラ抗体の製造方法であって、前にキメラL鎖をコードするDNAを含んでなる発現ベクター及び前記H鎖をコードするDNAを含んでなる発現ベクターにより同時形質転換された宿主細胞を培養し、そして目的とする抗体を回収する、段階を含んでなる方法を提供する。
本発明はさらに、抗HM1.24抗体の再構成ヒト抗体の製造方法であって、前記再構成ヒトL鎖をコードするDNAを含んでなる発現ベクター及び前記構成ヒトH鎖をコードするDNAを含んでなる発現ベクターにより同時形質転換された宿主細胞を培養し、そして目的とする抗体を回収する、ことを含んでなる方法を提供する。
【0028】
本発明はさらに、前記のキメラ抗体あるいは再構成ヒト抗体を含んで成る医薬組成物、特に骨髄腫治療剤を提供する。
本発明はさらに、配列番号:103 に示すアミノ酸配列を有するポリペプチドを特異的に認識するキメラ抗体を有効成分として含有する医薬組成物、及び配列番号:103 に示すアミノ酸配列を有するポリペプチドを特異的に認識する再構成ヒト抗体を有効成分として含有する医薬組成物を提供する。医薬組成物としては、特に骨髄腫治療剤を提供する。
【0029】
【発明の実施の形態】
1.キメラ抗体の構築
(1)マウス抗HM1.24モノクローナル抗体のV領域をコードするDNA のクローニング
mRNA の調製
マウス抗HM1.24モノクローナル抗体のV領域をコードするDNAのクローニングを行うため、回収されたハイブリドーマから公知の方法、例えばグアニジン−超遠心法(Chirgwin,J.M.ら、Biochemistry、(1979)、18、5294−5299)、AGPC法(Chomczynski,Pら(1987)、162、156−159)等により全RNAを調製し、mRNA Purification Kit(Pharmacia社製)添付のOligo(dT)−cellulose spun column等によりmRNAを調製する。また、QuickPrep mRNA Purification Kit(Pharmacia社製)を用いることにより、全RNAの抽出操作を経ずに、mRNAの調製を行うこともできる。
【0030】
cDNAの調製及び増幅
上記mRNA の調製で得たmRNAから、逆転写酵素を用いてL鎖及びH鎖のV領域におけるcDNAをそれぞれ合成する。L鎖V領域のcDNAの合成は、AMV Reverse Transcriptase First−StrandcDNA Synthesis Kitを用いて行う。合成したcDNAの増幅は抗体遺伝子のリーダー配列及びC領域とハイブリダイズする適当なプライマー(例えば配列番号29−39で表される塩基配列を有するMKVプライマー及び配列番号40で表わされる塩基配列を有するMKCプライマー)を用いることが出来る。
【0031】
H鎖V領域のcDNAの合成と増幅は、5′−Ampli FINDER RACE kit(CLONTECH社)を用いた5’−RACE法(Frohman,M.A.ら Proc.Natl.Acad.USA 85,8998−9002,1988、Belyavsky,A.ら Nucleic Acids Res.17,2919−2932,1989)でPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)にて行うことが出来る。上記で合成したcDNAの5′末端にAmpli FINDER Anchorを連結しH鎖V領域の増幅のためのプライマーとして例えばAnchorプライマー(配列番号77)及びマウスH鎖定常領域(Cγ領域)に特異的にハイブリダイズするプライマー(例えば配列番号42で表される塩基配列を有するMHC2aプライマー)を用いることが出来る。
【0032】
DNAの精製及び塩基配列の決定
PCR産物について、公知手法に従ってアガロースゲル電気泳動を行い、目的とするDNA断片を切り出した後、DNAの回収及び精製を行い、ベクターDNAに連結する。
DNAの精製は、市販のキット(例えばGENECLEAN II; BIO101) を用いて行われる。DNA断片を保持するためのベクターDNAには公知のもの(例えばpUC19 、Bluescript等) を用いることができる。
【0033】
前記DNAと上記ベクターDNAとを、公知のライゲーションキット(宝酒造製)を用いて連結させ、組換えベクターを得る。次に、得られる組換えベクターを大腸菌JM109 等に導入した後アンピシリン耐性コロニーを選抜し、公知方法に基づいてベクターDNAを調製する(J.Sambrook, et al., ”Molecular Cloning”, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989) 。目的とするDNAの塩基配列は、上記ベクターDNAを制限酵素で消化した後、公知方法(例えばジデオキシ法)により決定する(J.Sambrook, et al., ”Molecular Cloning”, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989) 。本発明では、自動塩基配列決定装置(DNA Sequencer 373A; ABI 社) を用いることができる。
【0034】
相補性決定領域
H鎖V領域およびL鎖V領域は、抗原結合部位を形成し、その全般の構造は互いに類似性を有している。すなわち、それぞれ4つのフレームワーク領域(FR)が3つの超可変領域、すなわち相補性決定領域(CDR)により連結されている。FRのアミノ酸配列は、比較的よく保存されているが、一方、CDR領域のアミノ酸配列の変異性は極めて高い(Kabat,E.A.ら、「Sequence of Proteins of Immunological Interest」US Dept. Health and Human Services,1983)。
【0035】
前記4個のFRの多くの部分は、β−シート構造をとり、その結果3個のCDRはループを形成する。CDRはある場合にはβ−シート構造の一部を形成することもある。3個のCDRはFRによって相互に立体的に非常に近い位置に保持され、そして対をなす領域の3個のCDRと共に抗原結合部位を形成する。
このような事実に基づき、マウス抗HM1.24モノクローナル抗体の可変領域のアミノ酸配列をKabatらにより作成された抗体のアミノ酸配列のデータベース(「Sequence of Proteins of Immunological Interest」 US Dept. Health andHuman Services,1983)にあてはめて、相同性を調べることによりCDR領域を見いだすことが出来る。
【0036】
(2)キメラ抗体の発現ベクターの作製
マウスモノクローナル抗体のマウスL鎖及びH鎖V領域をコードするDNA断片がクローニングされれば、これらのマウスV領域をヒト抗体定常領域をコードするDNAと連結して発現させることによってキメラ抗HM1.24抗体が得られる。
キメラ抗体を作製するための基本的な方法は、クローニングされたcDNAに存在するマウスリーダー配列及びV領域配列を、哺乳類細胞発現ベクター中にすでに存在するヒト抗体C領域をコードする配列に連結することを含んで成る。あるいは、クローニングされたcDNAに存在するマウスリーダー配列及びV領域配列をヒト抗体C領域をコードする配列に連結した後、哺乳類細胞発現ベクターに連結することを含んで成る。
【0037】
ヒト抗体C領域は任意のヒトH鎖C領域およびヒトL鎖C領域であることができ、例えばヒトH鎖Cγ1、Cγ2、Cγ3やCγ4あるいはL鎖CλやCκを各々挙げることができる。
キメラ抗体の製造のためには2種類の発現ベクター、すなわちエンハンサー/プロモーター系のごとき発現制御領域による制御のもとでマウスL鎖V領域及びヒトL鎖C領域をコードするDNAを含んで成る発現ベクター、並びにエンハンサー/プロモーター系のごとき発現制御領域のもとでマウスH鎖V領域及びヒトH鎖C領域をコードするDNAを含んで成る発現ベクターを作製する。次に、これらの発現ベクターにより哺乳類細胞のごとき宿主細胞を同時形質転換し、そして形質転換された細胞をインビトロ又はインビボで培養してキメラ抗体を製造する(例えばWO91−16928)。
【0038】
あるいは、クローニングされたcDNAに存在するマウスリーダー配列及びL鎖V領域及びヒトL鎖C領域をコードするDNA並びにマウスリーダー配列及びH鎖V領域及びヒトH鎖C領域をコードするDNAを単一の発現ベクターに導入し(国際特許出願公開番号WO94−11523参照)、そして該ベクターを用いて宿主細胞を形質転換し、次にこの形質転換された宿主をインビボ又はインビトロで培養して目的とするキメラ抗体を生産させる。
【0039】
1)キメラ抗体H鎖の構築
キメラ抗体のH鎖発現ベクターは、マウスH鎖V領域をコードするcDNAを、ヒト抗体のH鎖C領域をコードするゲノムDNAまたはcDNAを含む適当な発現ベクターに導入することにより得ることが出来る。H鎖C領域としては例えばCγ1、Cγ2、Cγ3あるいはCγ4が挙げられる。
【0040】
Cγ1ゲノムDNAを含むキメラH鎖発現ベクターの構築
H鎖C領域としてCγ1のゲノムDNAを有している発現ベクターとしては、例えばHEF−PMh−gγ1(国際特許出願公開番号WO92/19759参照)あるいはDHFR−△E−RVh−PM1f(国際特許出願公開番号WO92/19759参照)を用いることが出来る。
【0041】
マウスH鎖V領域をコードするcDNAをこれらの発現ベクターに挿入するためには、PCR法により適当な塩基配列を導入することが出来る。例えば、5’−末端に適当な制限酵素の認識配列と、翻訳効率をよくするために開始コドン直前にKozakコンセンサス配列を有するように設計したPCRプライマー、及び、3’−末端に適当な制限酵素の認識配列とゲノムDNAの一次転写産物が正しくスプライスされmRNAとなるためのスプライスドナー部位を有するように設計したPCRプライマーを用いてPCRを行うことで、これら適当な塩基配列を導入する。
こうして構築したマウスH鎖V領域をコードするcDNAを適当な制限酵素で処理して、上記発現ベクターに挿入して、Cγ1ゲノムDNAを含むキメラH鎖発現ベクターを構築する。
【0042】
cDNAキメラH鎖発現ベクターの構築
H鎖C領域としてCγ1のcDNAを有している発現ベクターは、以下のようにして構築することができる。すなわち、ヒト型化PM1抗体H鎖V領域およびヒト抗体H鎖C領域Cγ1のゲノムDNA(N. Takahashi, et al., Cell 29, 671−679 1982 )をコードする発現ベクターDHFR−△E−RVh−PM1f(国際特許出願公開番号WO92/19759参照)とヒト型化PM1抗体L鎖V領域およびヒト抗体L鎖κ鎖C領域のゲノムDNAをコードする発現ベクターRVl−PM1a(国際特許出願公開番号WO92/19759参照)を導入したCHO細胞からmRNAを調製し、RT−PCR法でヒト型化PM1抗体H鎖V領域及びヒト抗体H鎖C領域Cγ1を含むcDNAをクローニングし、適当な動物細胞発現用ベクターに適当な制限酵素部位を利用することで連結し構築できる。
【0043】
マウスH鎖V領域をコードするcDNAをヒト抗体H鎖C領域Cγ1を含むcDNAと直接連結するためには、PCR法により適当な塩基配列を導入することが出来る。例えば、5’−末端に適当な制限酵素の認識配列と、翻訳効率をよくするために開始コドン直前にKozakコンセンサス配列を有するように設計したPCRプライマー、及び、3’−末端にH鎖C領域Cγ1と直接連結するための適当な制限酵素の認識配列を有するように設計したPCRプライマーを用いてPCRを行うことで、これら適当な塩基配列を導入する。
【0044】
こうして構築したマウスH鎖V領域をコードするcDNAを適当な制限酵素で処理して、上記H鎖C領域Cγ1を含むcDNAと連結して、pCOS1またはpCHO1のごとき発現ベクターに挿入することにより、cDNAキメラH鎖を含む発現ベクターを構築することが出来る。
2)キメラ抗体L鎖の構築
キメラ抗体のL鎖発現ベクターは、マウスL鎖V領域をコードするcDNAと、ヒト抗体のL鎖C領域をコードするゲノムDNAまたはcDNAとを連結し、適当な発現ベクターに導入することにより得ることが出来る。L鎖C領域としては例えばκ鎖あるいはλ鎖が挙げられる。
【0045】
cDNAキメラL鎖κ鎖発現ベクターの構築
マウスL鎖V領域をコードするcDNAを含む発現ベクターを構築するためには、PCR法により適当な塩基配列を導入することが出来る。例えば、5’−末端に適当な制限酵素の認識配列と、翻訳効率をよくするためのKozakコンセンサス配列を有するように設計したPCRプライマー、及び、3’−末端に適当な制限酵素の認識配列を有するように設計したPCRプライマーを用いてPCRを行うことで、これら適当な塩基配列を導入する。
【0046】
マウスL鎖V領域と連結させるためのヒトL鎖κ鎖C領域は、例えばゲノムDNAを含むHEF−PM1k−gk(国際特許出願公開番号WO92/19759参照)から構築することが出来る。PCR法にてL鎖κ鎖C領域をコードするDNAの5’−末端および3’−末端に適当な制限酵素の認識配列を導入し、上記のようにして構築したマウスL鎖V領域とL鎖κ鎖C領域を連結し、pCOS1またはpCHO1のごとき発現ベクターに挿入することにより、cDNAキメラ抗体L鎖κ鎖の発現ベクターを構築することが出来る。
【0047】
2.再構成ヒト抗体の作製
(1)再構成ヒト抗HM1.24抗体V領域の設計
マウスモノクローナル抗体のCDRがヒト抗体に移植されている再構成ヒト抗体を作製するためには、マウスモノクローナル抗体のFRとヒト抗体のFRとの間に高い相同性が存在することが望ましい。従って、マウス抗HM1.24抗体のL鎖及びH鎖のV領域を、Protein Data Bankを用いて構造が解明されているすべての既知抗体のV領域と比較する。
【0048】
マウス抗HM1.24抗体のL鎖V領域はヒト抗体L鎖V領域のサブグループIV(HSGIV)のコンセンサス配列に最も類似しており、66.4%の相同性が存在する。一方、HSGI、HSGII、HSGIII とはそれぞれ56.9%、55.8%、61.5%の相同性を示す。
マウス抗HM1.24抗体のL鎖V領域は既知ヒト抗体L鎖V領域との比較において、ヒト抗体L鎖V領域のサブグループIの一つであるヒト抗体REIのL鎖V領域に67.0%の相同性を示す。従って、再構成ヒト抗HM1.24抗体L鎖V領域の作製のための出発材料としてREIのFRを使用した。
【0049】
再構成ヒト抗HM1.24抗体L鎖V領域のバージョンaを設計した。このバージョンにおいては、ヒト抗体FRは再構成ヒトCAMPATH−1H抗体中に存在するREIに基くFR(Riechmann,L.ら、Nature 322,21−25,(1988)を参照、国際特許出願公開番号WO92−19759に記載の再構成ヒトPM−1抗体のL鎖V領域のバージョンaに含まれるFR)と同一であり、そしてマウスCDRはマウス抗HM1.24抗体のL鎖V領域中のCDRと同一とした。
【0050】
マウス抗HM1.24抗体のH鎖V領域はヒト抗体H鎖V領域のHSGIのコンセンサス配列に最も類似しており、54.7%の相同性が存在する。一方、HSGII、HSGIII とはそれぞれ34.6%、48.1%の相同性を示す。マウス抗HM1.24抗体のH鎖V領域は既知のヒト抗体H鎖V領域との比較において、FR1からFR3までは、ヒト抗体H鎖V領域のサブグループIの一つであるヒト抗体HG3のH鎖V領域(Rechavi,G.ら、Proc.Nat.Acad.Sci.USA80,855−859)に非常に類似しており、67.3%の相同性を示す。
【0051】
このため、ヒト抗体HG3のFRを、再構成ヒト抗HM1.24抗体のH鎖V領域の作製のための出発材料として用いた。
しかしながら、ヒト抗体HG3のFR4のアミノ酸配列は記述されていないために、FR4に関してはマウス抗HM1.24抗体のH鎖のFR4と最も高い相同性を示すヒト抗体JH6(Ravetch,J.V.ら、Cell,27,583−591)のFR4のアミノ酸配列を用いた。JH6のFR4は一つのアミノ酸を除いてマウス抗HM1.24抗体のH鎖のFR4と同一のアミノ酸配列を有する。
【0052】
再構成ヒト抗HM1.24抗体のH鎖V領域の第一のバージョンaにおいて、ヒトFR1中の30位およびヒトFR3中の71位のアミノ酸をマウス抗HM1.24抗体のアミノ酸と同一とした以外、FR1からFR3まではヒト抗体HG3のFR1からFR3と同一であり、そしてCDRはマウス抗HM1.24抗体のH鎖V領域中のCDRと同一とした。
【0053】
(2)再構成ヒト抗HM1.24抗体L鎖V領域の作製
再構成ヒト抗HM1.24抗体L鎖を、PCR法によるCDRグラフティングにより作製する。この方法を図4に模式的に示す。ヒト抗体REI由来のFRを有する再構成ヒト抗HM1.24抗体(バージョンa)作製のために8個のPCRプライマーを使用する。外部プライマーA(配列番号:47)及びH(配列番号:48)は、HEF発現ベクターHEF−VL−gκのDNA配列とハイブリダイズするように設計する。
【0054】
CDR−グラフティングプライマーL1S(配列番号:49)、L2S(配列番号:50)及びL3S(配列番号:51)はセンスDNA配列を有する。CDR−グラフティングプライマーL1A(配列番号:52)、L2A(配列番号:53)及びL3A(配列番号:54)はアンチ−センスDNA配列を有し、そしてそれぞれプライマーL1S、L2S及びL3Sの5′−末端のDNA配列に対する相補的DNA配列(20〜23bp)を有する。
【0055】
第一PCR段階において4つの反応A−L1A、L1S−L2A、L2S−L3A、及びL3S−Hを行い、そして各PCR生成物を精製する。第一PCRからの4つのPCR生成物をそれら自体の相補性によりアッセンブリさせる(WO92−19759参照)。次に、外部プライマーA及びHを加えて、再構成ヒト抗HM1.24抗体L鎖V領域をコードする全長DNAを増幅する(第2PCR)。前記PCRにおいては、ヒト抗体REIからのFRに基く再構成ヒトONS−M21抗体L鎖V領域バージョンaをコードするプラスミドHEF−RVL−M21a(国際特許出願公開番号WO95−14041を参照)を鋳型として用いることができる。
【0056】
第一PCR段階においては、鋳型DNA、及び各プライマーを用いる。
PCR生成物A−L1A(215bp)、L1S−L2A(98bp)、L2S−L3A(140bp)及びL3S−H(151bp)を1.5%低融点アガロースゲルを用いて精製し、第二PCRでアッセンブリする。第二PCRにおいては、各第一PCRの生成物及び各外部プライマー(A及びH)を用いる。
第二PCRにより生じた516bpのDNA断片を1.5%低融点アガロースゲルで精製し、BamHI及びHindIII で消化し、得られたDNA断片をHEF発現ベクターHEF−VL−gκにクローニングする。DNA配列決定の後、再構成ヒト抗HM1.24抗体L鎖V領域の正しいアミノ酸配列をコードするDNA断片を含むプラスミドをHEF−RVLa−AHM−gκと命名した。本プラスミドHEF−RVLa−AHM−gκに含まれるL鎖V領域のアミノ酸配列および塩基配列を配列番号:9に示す。
【0057】
再構成ヒト抗HM1.24抗体L鎖V領域のバージョンbを、PCRを用いる変異誘発法によって作製することができる。変異原プライマーFTY−1(配列番号:55)およびFTY−2(配列番号:56)は、71位のフェニルアラニンがチロシンに変異するように設計する。
プラスミドHEF−RVLa−AHM−gκを鋳型とし、上記プライマーを用いて増幅した後、最終生成物を精製し、BamHIおよびHindIII で消化し、得られたDNA断片をHEF発現ベクターHEF−VL−gκにクローニングし、プラスミドHEF−RVLb−AHM−gκを得る。本プラスミドHEF−RVLb−AHM−gκに含まれるL鎖V領域のアミノ酸配列および塩基配列を配列番号:10に示す。
【0058】
(3)再構成ヒト抗HM1.24抗体H鎖V領域の作製
3−1. 再構成ヒト抗HM1.24抗体H鎖V領域バージョンa−eの作製
再構成ヒト抗HM1.24抗体H鎖V領域をコードするDNAを次の様にして設計することができる。ヒト抗体HG3のFR1〜3およびヒト抗体JH6のFR4をコードするDNA配列を、マウス抗HM1.24抗体H鎖V領域のCDRをコードするDNA配列とつなげることにより、再構成ヒト抗HM1.24抗体H鎖V領域をコードする全長DNAを設計する。
次に、このDNA配列のそれぞれ5′−側及び3′−側にHindIII 認識部位/KOZAKコンセンサス配列及びBamHI認識部位/スプライスドナー配列を付加して、HEF発現ベクターに挿入できるようにする。
【0059】
こうして設計したDNA配列を4個のオリゴヌクレオチドに分け、そして次に、これらのオリゴヌクレオチドのアセンブリーを妨害する可能性のあるオリゴヌクレオチド中の二次構造についてコンピューター解析する。
4個のオリゴヌクレオチド配列RVH1〜RVH4を配列番号:57〜60に示す。これらのオリゴヌクレオチドは119〜144塩基の長さを有し、25〜26bpのオーバラップ領域を有する。オリゴヌクレオチドの内のRVH2(配列番号:58)、RVH4(配列番号:60)はセンスDNA配列を有し、そして他のRVH1(配列番号:57)、RVH3(配列番号:59)はアンチセンスDNA配列を有する。これら4個のオリゴヌクレオチドのPCR法によるアセンブリーの方法を図に示す(図5参照)。
【0060】
4種のオリゴヌクレオチド並びにRHP1(配列番号:60)及びRHP2(配列番号:62)を外部プライマーとして用い、PCRを行う。
増幅した438bpのDNA断片を精製し、HindIII 及びBamHIにより消化し、そして次にHEF発現ベクターHEF−VH−gγ1にクローニングする。DNA配列決定の後、正しいH鎖V領域のアミノ酸配列をコードするDNA断片を含むプラスミドをHEF−RVHa−AHM−gγ1と命名した。本プラスミドHEF−RVHa−AHM−gγ1に含まれるH鎖V領域のアミノ酸配列および塩基配列を配列番号:11に示す。
【0061】
再構成ヒト抗HM1.24抗体H鎖V領域の各バージョンb、c、d、eを以下のようにして作製する。なお、再構成ヒト抗HM1.24抗体H鎖V領域のバージョンb以降の各バージョンを作製する際、置換するアミノ酸残基の抗体分子中での位置を推察するために、マウス抗HM1.24抗体V領域の立体構造モデルを構築することができる。
バージョンbは、変異原プライマーとして66位のアルギニンがリジンに変異するように設計したBS(配列番号:63)およびBA(配列番号:64)を用い、プラスミドHEF−RVHa−AHM−gγ1を鋳型DNAとして、PCR法により増幅し、プラスミドHEF−RVHb−AHM−gγ1を得る。本プラスミドHEF−RVHb−AHM−gγ1に含まれるH鎖V領域のアミノ酸配列および塩基配列を配列番号:12に示す。
【0062】
バージョンcは、変異原プライマーとして73位のトレオニンがリジンに変異するように設計したCS(配列番号:65)およびCA(配列番号:66)を用い、プラスミドHEF−RVHa−AHM−gγ1を鋳型DNAとして、PCR法により増幅し、プラスミドHEF−RVHc−AHM−gγ1を得る。本プラスミドHEF−RVHc−AHM−gγ1に含まれるH鎖V領域のアミノ酸配列および塩基配列を配列番号:13に示す。
バージョンdは、変異原プライマーとして66位のアルギニンがリジンに、73位のトレオニンがリジンに変異するように設計したDS(配列番号:67)およびDA(配列番号:68)を用い、プラスミドHEF−RVHa−AHM−gγ1を鋳型DNAとしてプラスミドHEF−RVHd−AHM−gγ1を得る。本プラスミドHEF−RVHd−AHM−gγ1に含まれるH鎖V領域のアミノ酸配列および塩基配列を配列番号:14に示す。
【0063】
バージョンeは、変異原プライマーとして67位のバリンがアラニンに、69位のメチオニンがロイシンに変異するように設計したES(配列番号:69)およびEA(配列番号:70)を用い、プラスミドHEF−RVHa−AHM−gγ1を鋳型DNAとして増幅し、プラスミドHEF−RVHe−AHM−gγ1を得る。本プラスミドHEF−RVHe−AHM−gγ1に含まれるH鎖V領域に含まれるアミノ酸配列および塩基配列を配列番号:15に示す。
【0064】
3−2. H鎖ハイブリッドV領域の作製
H鎖ハイブリッドV領域を構築することにより、ヒト型化抗体V領域のどのFRが、ヒト型化抗体の結合活性および結合阻害活性に寄与するかを調べることができる。構築した2種類のうち、1つはFR1とFR2のアミノ酸配列がマウス抗HM1.24抗体由来であり、FR3とFR4のアミノ酸配列が再構成ヒト抗HM1.24抗体のH鎖V領域のバージョンa由来となるもの(マウス・ヒトハイブリッド抗HM1.24抗体)、もう1つはFR1とFR2のアミノ酸配列が再構成ヒト抗HM1.24のH鎖V領域のバージョンa由来であり、FR3とFR4のアミノ酸配列がマウス抗HM1.24抗体由来となるもの(ヒト・マウスハイブリッド抗HM1.24抗体)である。CDR領域のアミノ酸配列はすべてマウス抗HM1.24抗体由来である。
【0065】
2種のH鎖ハイブリッドV領域はPCR法により作製する。この方法を図6及び7に模式的に示す。2種のH鎖ハイブリッドV領域作製のために4種のプライマーを使用することができる。外部プライマーa(配列番号:71)及びh(配列番号:72)は、HEF発現ベクターHEF−VH−gγ1のDNA配列とハイブリダイズするように設計される。H鎖ハイブリッド作製プライマーHYS(配列番号:73)はセンスDNA配列を有し、H鎖ハイブリッドプライマーHYA(配列番号:74)はアンチセンスDNA配列を有しそしてたがいに相補的なDNA配列となるよう設計される。
【0066】
FR1とFR2のアミノ酸配列がマウス抗HM1.24抗体由来であり、FR3とFR4のアミノ酸配列が再構成ヒト抗HM1.24抗体のH鎖V領域のバージョンa由来となるH鎖ハイブリッドV領域の作製のために、第一PCR段階においてプラスミドHEF−1.24H−gγ1を鋳型とし外部プライマーaとH鎖ハイブリッドプライマーHYAを用いたPCRと、プラスミドHEF−RVHa−AHM−gγ1を鋳型としH鎖ハイブリッドプライマーHYSと外部プライマーhを用いたPCRを行い、そして各PCR産物を精製する。
【0067】
第一PCRからの2つのPCR精製物をそれら自体の相補性によりアッセンブリさせる(国際特許出願公開番号WO92−19759参照)。次に、外部プライマーa及びhを加えて、FR1とFR2のアミノ酸配列がマウス抗HM1.24抗体由来であり、FR3とFR4のアミノ酸配列が再構成ヒト抗HM1.24抗体のH鎖V領域のバージョンa由来となるH鎖ハイブリッドV領域をコードする全長DNAを第二PCR段階で増幅する。
【0068】
FR1とFR2のアミノ酸配列が再構成ヒト抗HM1.24抗体のH鎖V領域のバージョンa由来であり、FR3とFR4のアミノ酸配列がマウス抗HM1.24抗体由来となるH鎖ハイブリッドV領域の作製のために、第一PCR段階においてプラスミドHEF−RVHa−AHM−gγ1を鋳型とし外部プライマーaとH鎖ハイブリッドプライマーHYAを用いたPCRと、プラスミドHEF−1.24H−gγ1を鋳型としH鎖ハイブリッドプライマーHYSと外部プライマーhを用いたPCRを行い、そして各PCR産物を精製する。
【0069】
第一PCRからの2つのPCR精製物をそれら自体の相補性によりアッセンブリさせる(国際特許出願公開番号WO92−19759参照)。次に、外部プライマーa及びhを加えて、FR1とFR2のアミノ酸配列が再構成ヒト抗HM1.24抗体のH鎖V領域のバージョンa由来であり、FR3とFR4のアミノ酸配列がマウス抗HM1.24抗体由来となるH鎖ハイブリッドV領域をコードする全長DNAを第二PCR段階で増幅する。
【0070】
第一PCR、PCR産物の精製、アッセンブリ、第二PCR、及びHEF発現ベクターHEF−VH−gγ1へのクローニングの方法は実施例9.再構成ヒトHM1.24抗体L鎖V領域の作製に示す方法に準じ行うことができる。DNA配列決定の後、FR1とFR2のアミノ酸配列がマウス抗HM1.24抗体由来であり、FR3とFR4のアミノ酸配列が再構成ヒト抗HM1.24抗体のH鎖V領域のバージョンa由来となるH鎖ハイブリッドV領域の正しいアミノ酸配列をコードするDNA断片を含むプラスミドをHEF−MH−RVH−AHM−gγ1と命名した。
【0071】
本プラスミドHEF−MH−RVH−AHM−gγ1に含まれるH鎖V領域のアミノ酸配列及び塩基配列を配列番号:75に示す。また、FR1とFR2のアミノ酸配列が再構成ヒト抗HM1.24抗体由来であり、FR3とFR4のアミノ酸配列がマウス抗HM1.24抗体のH鎖V領域のバージョンa由来となるH鎖ハイブリッドV領域の正しいアミノ酸配列をコードするDNA断片を含むプラスミドをHEF−HM−RVH−AHM−gγ1と命名した。本プラスミドHEF−HM−RVH−AHM−gγ1に含まれるH鎖V領域のアミノ酸配列及び塩基配列を配列番号:76に示す。
【0072】
3−3. 再構成ヒト抗HM1.24抗体H鎖V領域バージョンf〜sの作製
再構成ヒト抗HM1.24抗体H鎖V領域の各バージョンf、g、h、i、j、k、l、m、n、o、p、q、r及びsを以下のようにして作製する。なお、再構成するヒト抗HM1.24抗体H鎖V領域のバージョンf以降の各バージョンを作製する際、置換するアミノ酸残基の抗体分子中での位置を推察するために、前記の通りマウス抗HM1.24抗体V領域の立体構造モデルを構築することができる。
【0073】
バージョンfは、変異原プライマーとして75位のトレオニンがセリンに、78位のバリンがアラニンに変異するように設計したFS(配列番号:78)およびFA(配列番号:79)を用い、プラスミドHEF−RVHe−AHM−gγ1を鋳型DNAとして、PCR法により増幅し、プラスミドHEF−RVHf−AHM−gγ1を得る。本プラスミドHEF−RVHf−AHM−gγ1に含まれるH鎖V領域のアミノ酸配列および塩基配列を配列番号:16に示す。
【0074】
バージョンgは、変異原プライマーとして40位のアラニンがアルギニンに変異するように設計したGS(配列番号:80)およびGA(配列番号:81)を用い、プラスミドHEF−RVHa−AHM−gγ1を鋳型DNAとして増幅し、プラスミドHEF−RVHg−AHM−gγ1を得る。本プラスミドHEF−RVHg−AHM−gγ1に含まれるH鎖V領域のアミノ酸配列および塩基配列を配列番号:17に示す。
【0075】
バージョンhは、変異原プライマーとしてFSおよびFAを用い、プラスミドHEF−RVHb−AHM−gγ1を鋳型DNAとして増幅し、プラスミドHEF−RVHh−AHM−gγ1を得る。本プラスミドHEF−RVHh−AHM−gγ1に含まれるH鎖V領域のアミノ酸配列および塩基配列を配列番号:18に示す。
バージョンiは、変異原プライマーとして83位のアルギニンがアラニンに、84位のセリンがフェニルアラニンに変異するように設計したIS(配列番号:82)およびIA(配列番号:83)を用い、プラスミドHEF−RVHh−AHM−gγ1を鋳型DNAとして増幅し、プラスミドHEF−RVHi−AHM−gγ1を得る。本プラスミドHEF−RVHi−AHM−gγ1に含まれるH鎖V領域のアミノ酸配列および塩基配列を配列番号:19に示す。
【0076】
バージョンjは、変異原プライマーとして66位のアルギニンがリジンに変異するように設計したJS(配列番号:84)とJA(配列番号:85)を用い、プラスミドHEF−RVHf−AHM−gγ1を鋳型DNAとして増幅し、プラスミドHEF−RVHj−AHM−gγ1を得る。本プラスミドHEF−RVHj−AHM−gγ1に含まれるH鎖V領域のアミノ酸配列および塩基配列を配列番号:20に示す。
【0077】
バージョンkは、変異原プライマーとして81位のグルタミン酸がグルタミンに変異するように設計したKS(配列番号:86)およびKA(配列番号:87)を用い、プラスミドHEF−RVHh−AHM−gγ1を鋳型DNAとして増幅し、プラスミドHEF−RVHk−AHM−gγ1を得る。本プラスミドHEF−RVHk−AHM−gγ1に含まれるH鎖V領域のアミノ酸配列および塩基配列を配列番号:21に示す。
【0078】
バージョンlは、変異原プライマーとして81位のグルタミン酸がグルタミンに、82B位のセリンがイソロイシンに変異するように設計したLS(配列番号:88)およびLA(配列番号:89)を用い、プラスミドHEF−RVHh−AHM−gγ1を鋳型DNAとして増幅し、プラスミドHEF−RVHl−AHM−gγ1を得る。本プラスミドHEF−RVHl−AHM−gγ1に含まれるH鎖V領域のアミノ酸配列および塩基配列を配列番号:22に示す。
【0079】
バージョンmは、変異原プライマーとして81位のグルタミン酸がグルタミンに、82bのセリンがイソロイシンに、87位のトレオニンがセリンに変異するように設計したMS(配列番号:90)とMA(配列番号:91)を用い、プラスミドHEF−RVHh−AHM−gγ1を鋳型DNAとして増幅し、プラスミドHEF−RVHm−AHM−gγ1を得る。本プラスミドHEF−RVHm−AHM−gγ1に含まれるH鎖V領域のアミノ酸配列および塩基配列を配列番号:23に示す。
【0080】
バージョンnは、変異原プライマーとして82B位のセリンがイソロイシンに変異するように設計したNS(配列番号:92)およびNA(配列番号:93)を用い、プラスミドHEF−RVHh−AHM−gγ1を鋳型DNAとしてプラスミドHEF−RVHn−AHM−gγ1を得る。本プラスミドHEF−RVHn−AHM−gγ1に含まれるH鎖V領域のアミノ酸配列および塩基配列を配列番号:24に示す。
【0081】
バージョンoは変異原プライマーとして87位のトレオニンがセリンに変異するように設計したOS(配列番号:94)およびOA(配列番号:95)を用い、プラスミドHEF−RVHh−AHM−gγ1を鋳型DNAとしてプラスミドHEF−RVHo−AHM−gγ1を得る。本プラスミドHEF−RVHo−AHM−gγ1に含まれるH鎖V領域のアミノ酸配列および塩基配列を配列番号:25に示す。
【0082】
バージョンpは、変異原プライマーとして78位のバリンがアラニンに変異するように設計したPS(配列番号:96)およびPA(配列番号:97)を用い、プラスミドHEF−RVHa−AHM−gγ1を鋳型DNAとして、PCR法により増幅し、プラスミドHEF−RVHp−AHM−gγ1を得る。本プラスミドHEF−RVHp−AHM−gγ1に含まれるH鎖V領域のアミノ酸配列および塩基配列を配列番号:26に示す。
【0083】
バージョンqは、変異原プライマーとして75位のトレオニンがセリンに変異するように設計したQS(配列番号:98)およびQA(配列番号:99)を用い、プラスミドHEF−RVHa−AHM−gγ1を鋳型DNAとして、PCR法により増幅し、プラスミドHEF−RVHq−AHM−gγ1を得る。本プラスミドHEF−RVHq−AHM−gγ1に含まれるH鎖V領域のアミノ酸配列および塩基配列を配列番号:27に示す。
【0084】
バージョンrは、変異原プライマーとしてCS(配列番号:65)およびCA(配列番号:66)を用い、プラスミドHEF−RVHp−AHM−gγ1を鋳型DNAとして、PCR法により増幅し、プラスミドHEF−RVHr−AHM−gγ1を得る。本プラスミドHEF−RVHr−AHM−gγ1に含まれるH鎖V領域のアミノ酸配列および塩基配列を配列番号:28に示す。
【0085】
バージョンsは、変異原プライマーとして69位のメチオニンがイソロイシンに変異するように設計した変異原プライマーSS(配列番号:100)および変異原プライマーSA(配列番号:101)を用い、プラスミドHEF−RVHr−AHM−gγ1 を鋳型DNA として、プラスミドHEF−RVHs−AHM−gγ1 を得る。本プラスミドHEF−RVHs−AHM−gγ1 に含まれるH鎖V領域のアミノ酸配列および塩基配列を配列番号102 に示す。
なお、作製したL鎖V領域のアミノ酸配列を表1に示し、H鎖V領域のアミノ酸配列を表2〜4に示す。
【0086】
【表1】
Figure 0003587843
【0087】
【表2】
Figure 0003587843
【0088】
【表3】
Figure 0003587843
【0089】
【表4】
Figure 0003587843
【0090】
3.キメラ抗体及び再構成ヒト抗体の製造
キメラ抗体あるいは再構成ヒト抗体の製造のためには、前記のようなそれぞれ2種類の発現ベクター、すなわちエンハンサー/プロモーター系のごとき発現制御領域による制御のもとでマウスH鎖V領域及びヒトH鎖C領域をコードするDNAを含んで成る発現ベクター、並びにエンハンサー/プロモーター系のごとき発現制御領域のもとでマウスL鎖V領域及びヒトL鎖C領域をコードするDNAを含んで成る発現ベクター、またはエンハンサー/プロモーター系のごとき発現制御領域による制御のもとでヒト型化H鎖V領域及びヒトH鎖C領域をコードするDNAを含んで成る発現ベクター、並びにエンハンサー/プロモーター系のごとき発現制御領域のもとでヒト型化L鎖V領域及びヒトL鎖C領域をコードするDNAを含んで成る発現ベクターを作製する。
【0091】
次に、これらの発現ベクターにより哺乳類細胞のごとき宿主細胞を同時形質転換し、そして形質転換された細胞をインビトロ又はインビボで培養してキメラ抗体あるいは再構成ヒト抗体を製造する(例えば国際特許出願公開番号WO91−16928)。また、ヤギなどの哺乳動物に抗体遺伝子を導入してトランスジェニック動物を作製し、その乳汁等からキメラ抗体あるいは再構成ヒト抗体を得ることができる。
【0092】
また、H鎖V領域及びH鎖C領域ならびにL鎖V領域及びL鎖C領域を単一ベクターに連結し、適当な宿主細胞を形質転換し、抗体を産生させることができる。すなわち、キメラ抗体の発現には、クローニングされたcDNAに存在するマウスリーダー配列及びH鎖V領域及びヒトH鎖C領域をコードするDNA並びにマウスリーダー配列及びL鎖V領域及びヒトL鎖C領域をコードするDNAを単一の発現ベクターに導入する(国際特許出願公開番号WO94−11523参照)。
【0093】
再構成ヒト抗体の発現には、ヒト型化H鎖V領域及びヒトH鎖C領域をコードするDNA並びにヒト型化L鎖V領域及びヒトL鎖C領域をコードするDNAを単一の発現ベクターに導入する(国際特許出願公開番号WO94−11523参照)。そして該ベクターを用いて宿主細胞を形質転換し、次にこの形質転換された宿主をインビボ又はインビトロで培養して目的とするキメラ抗体または再構成ヒト抗体を生産させる。
以上のようにして目的とするキメラ抗体あるいは再構成ヒト抗体をコードする遺伝子で形質転換した形質転換体を培養し、産生したキメラ抗体あるいは再構成ヒト抗体は、細胞内または細胞外から分離し均一にまで精製することができる。
【0094】
なお、本発明の目的蛋白質であるキメラ抗体あるいは再構成ヒト抗体の分離・精製を、アフィニティーカラムを用いて行うことができる。例えば、プロテインAを用いたカラムとして、HyperD,POROS,SepharoseF.F.等が挙げられる。また、その他に、通常の蛋白質で用いられる分離・精製方法を使用すればよく、何ら限定されるものではない。例えば各種クロマトグラフィー、限外濾過、塩折、透析等を適宜選択、組合せれば、キメラ抗体あるいは再構成ヒト抗体は分離・精製することができる。
【0095】
本発明のキメラ抗HM1.24抗体又は再構成ヒト抗HM1.24抗体の製造のために任意の発現系、例えば真核細胞、例えば動物細胞、例えば樹立された哺乳類細胞系、昆虫細胞系、真糸状菌細胞、及び酵母細胞、並びに原核細胞、例えば細菌細胞、例えば大腸菌細胞等を使用することができる。好ましくは、本発明のキメラ抗体又は再構成ヒト抗体は哺乳類細胞、例えばCOS細胞、CHO細胞Hela細胞、Vero細胞、ミエローマ細胞又はBHK細胞中で発現される。
【0096】
これらの場合、哺乳類細胞での発現のために有用な常用のプロモーターを用いることができる。例えば、ヒト・サイトメガロウィルス前期(human cytomegalovirus immediate early;HCMV)プロモーターを使用するのが好ましい。HCMVプロモーターを含有する発現ベクターの例には、HCMV−VH−HCγ1,HCMV−VL−HCκ等であって、pSV2neoに由来するもの(国際特許出願公開番号WO92−19759)が含まれる。
【0097】
また、その他に、本発明のために用いることのできる哺乳動物細胞における遺伝子発現のプロモーターとしてはレトロウイルス、ポリオーマウイルス、アデノウイルス、シミアンウイルス40(SV40)などのウイルスプロモーターやヒト・ポリペプチド・チェーン・エロンゲーション・ファクター1α(HEF−1α)などの哺乳動物細胞由来のプロモーターを用いればよい。例えばSV40のプロモーターを使用する場合は、Mulliganらの方法(Nature 277 108(1979))、また、HEF−1αプロモーターを使用する場合は、Mizushima,S.らの方法(Nucleic Acids Research,18,5322,1990)に従えば容易に実施することができる。
【0098】
複製起原としては、SV40、ポリオーマウイルス、アデノウイルス、牛パピローマウイルス(BPV)等の由来のものを用いることができ、さらに宿主細胞系中での遺伝子コピー数増幅のため、発現ベクターは選択マーカーとして、アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ(APH)遺伝子、チミジンキナーゼ(TK)遺伝子、大腸菌キサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Ecogpt)遺伝子、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子等を含むことができる。
【0099】
4.キメラ抗体及びヒト型化抗体の結合阻害活性
(1)抗体の濃度測定
精製抗体の濃度の測定は、ELISA または吸光度の測定により行う。
抗体濃度測定のためのELISAプレートを次のようにして調製する。ELISA用96穴プレート(例えばMaxisorp, NUNC )の各穴を例えば1μg/mlの濃度に調製したヤギ抗ヒトIgG抗体100μlを固相化する。
【0100】
100μlの希釈バッファー(例えば50mM Tris−HCl、1mM MgCl 、0.15M NaCl、0.05% Tween20、0.02%NaN 、1% 牛血清アルブミン(BSA)、pH8.1)でブロッキングの後、キメラ抗体、ハイブリッド抗体または再構成ヒト抗体を発現させた細胞の培養上清、例えばCOS細胞又はCHO細胞の培養上清あるいは精製キメラ抗体、ハイブリッド抗体または再構成ヒト抗体を段階希釈して各穴に加え、次にアルカリフォスファターゼ結合ヤギ抗ヒトIgG抗体100μlを加え、1mg/mlの基質溶液(Sigma104、p−ニトロフェニルリン酸、SIGMA)を加え、次に405nmでの吸光度をmicroplate reader(Bio Rad)で測定する。濃度測定のスタンダードとして、ヒトIgG1κ(The Binding Site)を用いることができる。精製抗体の濃度は、280nmの吸光度を測定し、1mg/mlを1.35ODとして算出する。
【0101】
(2)抗原結合活性
抗原結合活性の測定は、ヒト羊膜細胞株WISH(ATCCCCL25)を用いたCell−ELISAで行うことができる。Cell−ELISAプレートは次のようにして調製する。96穴プレートに10%ウシ胎児血清を含有するPRMI1640培地により適切な濃度に調製したWISH細胞を加え、一晩培養した後、PBS(−)で2回洗浄後0.1%グルタルアルデヒド(ナカライテスク社製)にて固定する。
【0102】
ブロッキングの後、キメラ抗HM1.24抗体、ハイブリッド抗HM1.24抗体または再構成ヒト抗HM1.24抗体を発現させた細胞、例えばCOS細胞やCHO細胞の培養上清、あるいは精製したキメラ抗HM1.24抗体、ハイブリッド抗HM1.24抗体または再構成ヒト抗HM1.24抗体を段階希釈して各穴に100μl加え、室温にて2時間インキュベーションおよび洗浄の後、ペルオキシダーゼ標識ウサギ抗ヒトIgG抗体(DAKO社製)を加える。
室温にて1時間インキュベーションおよび洗浄の後、基質溶液を加えインキュベーションする。次いで、6N硫酸50μlで反応を停止させ、MICROPLATE READER Model 3550(Bio−Rad社製)を用いて490nmでの吸光度を測定する。
【0103】
(3)結合阻害活性の測定
ビオチン標識マウス抗HM1.24抗体による結合阻害活性は、ヒト羊膜細胞株WISH(ATCCCCL25)を用いたCell−ELISAで行うことができる。Cell−ELISAプレートは上記(2)に従い調製できる。96穴プレートに10%ウシ胎児血清を含有するRPMI1640培地により適切な濃度に調製したWISH細胞を加え、一晩培養した後、PBS(−)で2回洗浄後0.1%グルタルアルデヒド(ナカライテスク社製)にて固定する。
【0104】
ブロッキングの後、キメラ抗HM1.24抗体、ハイブリッド抗HM1.24抗体または再構成ヒト抗HM1.24抗体を発現させた細胞、例えばCOS細胞やCHO細胞の培養上清、あるいは精製したキメラ抗HM1.24抗体、ハイブリッド抗HM1.24抗体または再構成ヒト抗HM1.24抗体を段階希釈して各穴に50μl加え、同時に2μg/mlのビチオン標識マウス抗HM1.24抗体50μlを添加し、室温にて2時間インキュベーションおよび洗浄の後、ペルオキシダーゼ標識ウサギ抗ヒトIgG抗体(DAKO社製)を加える。
室温にて1時間インキュベーションした後洗浄し、基質溶液を加えインキュベーションした後6N硫酸50μlで反応を停止させ、MICROPLATE READER Model 3550(Bio−Rad社製)用いて490nmでの吸光度を測定する。
【0105】
ADCC活性の測定
本発明のキメラ抗体あるいは再構成ヒト抗体のADCC活性は、次のようにして測定することができる。まず、ヒトの抹消血や骨髄より比重遠心法で単核球を分離し、エフェクター細胞として調製する。また、ヒト骨髄腫細胞、例えば、RPMI 8226細胞(ATCC CCL 155)を51Crにより標識して、標的細胞として調製する。次いで、標識した標的細胞にADCC活性を測定するキメラ抗体あるいは再構成ヒト抗体を加えインキュベートし、その後、標的細胞に対し適切な比のエフェクター細胞を加えインキュベートする。
【0106】
インキュベートした後上清をとり、ガンマカウンターで放射活性を測定する。その際、最大遊離放射能測定用に1%のNP−40を用いることができる。細胞障害活性(%)は、(A−C)/(B−C)×100で計算することができる。なお、Aは抗体存在下において遊離された放射活性(cpm)、BはNP−40による遊離された放射活性(cpm)、およびCは抗体を含まず培養液のみで遊離された放射活性(cpm)である。
また、抗体C領域にADCC活性あるいはCDC活性を期待する場合、抗体C領域としてヒトCγ1、ヒトCγ3を用いることができる。さらに、抗体C領域のアミノ酸を一部付加、改変、修飾することにより、より強力なADCC活性あるいはCDC活性を誘導することができる。
【0107】
例えば、アミノ酸置換によるIgGのIgM様ポリマー化(Smith, R.I. F. & Morrison, S.L, BIO/TECHNOLOGY(1994)12, 683−688)、アミノ酸付加によるIgGのIgM様ポリマー化(Smith, R. I. F. et al., J.Immunol.(1995)154, 2226−2236) 、L鎖をコードする遺伝子の直列連結での発現(Shuford, W.et al., Science(1991)252,724−727)、アミノ酸置換によるIgGの二量体化(Caron, P.C.et al., J.Exp.Med.(1992)176, 1191−1195 、Shopes, B.J.Immunology(1992)148, 2918−2922) 、化学的修飾によるIgGの二量体化(Wolff, E.A.et al., Cancer Res.(1993)53, 2560−2565)および抗体ヒンジ領域のアミノ酸改変によるエフェクター機能の導入(Norderhaug, L.et al., Eur.J.Immunol.(1991)21, 2379−2384) が挙げられる。これらは、プラマーを使用したオリゴマー部位特異的変異導入法、制限酵素切断部位を利用した塩基配列の付加、共有結合をもたらす化学修飾剤を使用することによって達成される。
【0108】
骨髄腫体内診断薬
本発明のキメラ抗HM1.24抗体あるいは再構成ヒト抗HM1.24抗体は、ラジオアイソトープ等の標識化合物と結合させることにより、骨髄腫体内診断薬として用いることができる。
さらには、キメラ抗HM1.24抗体あるいは再構成ヒト抗HM1.24抗体の断片、例えばFab、F(ab′) 、FvまたはH鎖とL鎖のFvを適当なリンカーで連結させたシングルチェインFv(scFv)とラジオアイソトープ等の標識化合物を結合させたものも、同様に骨髄腫体内診断薬として用いることができる。
【0109】
具体的には、これら抗体の断片は、これら抗体の断片をコードする遺伝子を構築し、これを発現ベクターに導入した後、適当な宿主細胞で発現させるか、あるいはキメラ抗HM1.24抗体または再構成ヒト抗HM1.24抗体を適当な酵素を用いて消化することで得られる。
上記の骨髄腫体内診断薬は、非経口的に全身に投与することができる。
医薬組成物および骨髄腫治療剤
本発明のキメラ抗体HM1.24抗体あるいはヒト型化抗HM1.24抗体の治療効果を確認するには、前記抗体を骨髄腫細胞を移植された動物に投与し、抗腫瘍効果を評価することにより行われる。
【0110】
動物に移植する骨髄腫細胞としては、ヒト骨髄腫細胞が好ましく、例えば、KPMM2(特許出願公開番号特開平7−236475)、RPMI8226(ATCC CCL 155)、ARH77(ATCC CRL 1621)、S6B45(Suzuki, H.ら、 Eur.J.Immunol.(1992)22, 1989−1993)が挙げられる。移植される動物としては、免疫機能が低下または欠失した動物が好ましく、ヌードマウス、SCIDマウス、ベージュマウス、ヌードラットが挙げられる。
また、評価する抗腫瘍効果の確認は、血清中のヒトイムノグロブリン量の変化、腫瘍体積・重量の測定、尿中のヒトベンズジョーンズタンパク質量の変化あるいは動物の生存期間等に従い行うことができる。
【0111】
本発明のキメラ抗HM1.24抗体あるいは再構成ヒト抗HM1.24抗体を有効成分として含む医薬組成物および骨髄腫治療剤は、非経口的に全身あるいは局所的に投与することができる。例えば、点滴などの静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射、皮下注射を選択することができ、患者の年齢、症状により適宜投与方法を選択することができる。
有効投与量は、一回につき体重1kg あたり0.01mgから1000mgの範囲で選ばれる。あるいは、患者あたり5mg/body、好ましくは50−100mg/body の投与量を選ぶことができる。
本発明のキメラ抗HM1.24抗体あるいは再構成ヒト抗HM1.24抗体を有効成分として含む医薬組成物および骨髄腫治療剤は、投与経路次第で医薬的に許容される担体や添加物を共に含むものであってもよい。
【0112】
このような担体および添加物の例として、水、医薬的に許容される有機溶剤、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、エチルセルロース、キサンタンガム、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、寒天、ジグリセリン、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清アルブミン(HSA )、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、医薬添加物として許容される界面活性剤などが挙げられる。使用される添加物は、本発明の剤形に応じて上記の中から適宜あるいは組み合わせて選択されるが、これらに限定されるものではない。
【0113】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
実施例1 マウス抗 HM1.24 抗体可変領域をコードする cDNA のクローニング
1. メッセンジャーRNA (mRNA)の単離
マウス抗HM1.24抗体を産生する2 x 10 個のハイブリドーマ細胞(FERM BP−5233)からFast Track mRNA Isolation Kit Version 3.2 (Invitrogen社製)を用いてキット添付の指示書に従い、mRNAの単離を行った。
【0114】
2. 抗体可変領域をコードする遺伝子のPCR 法による増幅
Thermal Cycler(Perkin Elmer Cetus社製)を用いてPCR を行った。
2−1. マウスL 鎖V 領域をコードする遺伝子の増幅および断片化
単離したmRNAよりAMV Reverse Transcriptase First−strand cDNA Synthesis Kit (Life Science社製)を用いて一本鎖cDNAを合成し、PCR に用いた。また、PCR 法に使用するプライマーは、マウスカッパ型L 鎖リーダー配列とハイブリダイズする配列番号:29〜39に示すMKV (Mouse Kappa Variable)プライマー(Jones, S. T. ら、Bio/Technology, 9, 88−89, (1991))を用いた。
【0115】
PCR 溶液100 μl は、10 mM Tris−HCl (pH8.3)、50 mM KCl 、0.1 mM dNTPs (dATP, dGTP, dCTP, dTTP) 、1.5 mM MgCl、5ユニットのDNA ポリメラーゼAmpli Taq (Perkin Elmer Cetus社製)、0.25 mM の配列番号:29〜39に示すMKV プライマーと3 mMの配列番号:40に示すMKC プライマーおよび一本鎖cDNA 100 ng を含有し、これを50μl の鉱油で覆った後、94℃の初期温度にて3分間そして次に94℃にて1分間、55℃にて1分間および72℃にて1分間、この順序で加熱した。この温度サイクルを30回反復した後、反応混合物をさらに72℃にて10分間インキュベートした。増幅したDNA 断片を低融点アガロース(Sigma 社製)にて精製し、XmaI(New England Biolabs 社製)およびSalI(宝酒造製)により37℃にて消化した。
【0116】
2−2. マウスH 鎖V 領域をコードするcDNAの増幅および断片化
マウスH 鎖V 領域をコードする遺伝子は5’−RACE 法(Rapid Amplification of cDNA ends; Frohman, M.A. ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85, 8998−9002, (1988) 、Edwards, J.B.D.M.,ら、Nucleic Acids Res., 19, 5227−5232, (1991) )により増幅した。マウスIgG2a 定常領域に特異的にハイブリダイズするプライマーP1(配列番号;41)を用いてcDNAを合成した後、5’−AmpliFINDER RACE KIT (CLONETECH 社製)を用いてマウスH 鎖V 領域をコードするcDNAの増幅をマウスIgG2a 定常領域に特異的にハイブリダイズするプライマーMHC2a (配列番号:42)およびキット添付のアンカープライマー(配列番号:77)を用いて行った。増幅したDNA 断片を低融点アガロース(Sigma 社製)にて精製し、そしてEcoRI (宝酒造社製)およびXmaI(New England Biolabs 社製)により37℃にて消化した。
【0117】
3. 連結および形質転換
上記のようにして調製したマウスカッパ型L 鎖V 領域をコードする遺伝子を含んで成るDNA 断片を、SalIおよびXmaIで消化することにより調製したpUC19 ベクターと、50 mM Tris−HCl (pH7.6)、10 mM MgCl 、10 mM ジチオスレイトール、1 mM ATP、50 mg/mlのポリエチレングリコール(8000)および1ユニットT4 DNAリガーゼ(GIBCO−BRL 社製)を含有する反応混合物中で、16℃にて2.5 時間反応させ連結した。同様にマウスH 鎖V 領域をコードする遺伝子を含んで成るDNA 断片を、EcoRI およびXmaIで消化することにより調製したpUC19 ベクターと16℃にて3 時間反応させ連結した。
【0118】
次に、10μl の上記連結混合物を大腸菌DH5 αのコンピテント細胞50μl に加え、そしてこの細胞を氷上で30分間、42℃にて1分間そして再び氷上で1分間静置した。次いで400 μl の2xYT培地(Molecular Cloning : A Laboratory Manual, Sambrook ら、Cold Spring Harbor Laboratory Press, (1989) )を加え、37℃にて1時間インキュベートした後、50μg/ml のアンピシリンを含有する2xYT寒天培地(Molecular Cloning : A Laboratory Manual, Sambrook ら、Cold Spring Harbor Laboratory Press, (1989) )上にこの大腸菌をまき、37℃にて一夜インキュベートして大腸菌形質転換体を得た。
【0119】
この形質転換体を、50μg/mlのアンピシリンを含有する2xYT培地10 ml 中で37℃にて一夜培養し、そしてこの培養物から、アルカリ法(Molecular Cloning : A Laboratory Manual, Sambrook ら、Cold Spring Harbor Laboratory Press, (1989) )に従ってプラスミドDNA を調製した。
こうして得られた、抗HM1.24抗体を産生するハイブリドーマに由来するマウスカッパ型L 鎖V 領域をコードする遺伝子を含有するプラスミドをpUCHMVL9と命名した。上記の方法に従って得られた、抗HM1.24抗体を産生するハイブリドーマに由来するマウスH 鎖V 領域をコードする遺伝子を含有するプラスミドをpUCHMVHR16と命名した。
【0120】
実施例2 DNA の塩基配列の決定
前記のプラスミド中のcDNAコード領域の塩基配列を、自動DNA シークエンサー(Applied Biosystem Inc.製)およびTaq Dye Deoxy Terminator Cycle Sequencing Kit (Applied Biosystem Inc. 製)を用いて、メーカー指定のプロトコールに従って塩基配列を決定した。
プラスミドpUCHMVL9に含まれるマウス抗HM1.24抗体のL 鎖V 領域をコードする遺伝子の塩基配列を配列番号:1に示す。また、プラスミドpUCHMVHR16に含まれるマウス抗HM1.24抗体H 鎖V 領域をコードする遺伝子の塩基配列を配列番号:2に示す。
【0121】
実施例3 CDR の決定
L 鎖およびH 鎖のV 領域の全般的構造は、互いに類似性を有しており、それぞれ4つのフレームワーク部分が3つの超可変領域、すなわち相補性決定領域(CDR )により連結されている。フレームワークのアミノ酸配列は、比較的良く保存されているが、一方CDR 領域のアミノ酸配列の変異性は極めて高い(Kabat, E.A., ら、「Sequences of Proteins of Immunological Interest 」US Dept. Health and Human Services, 1983)。
このような事実に基づき、抗HM1.24抗体の可変領域のアミノ酸配列をKabat らにより作製された抗体のアミノ酸配列のデータベースに当てはめて、相同性を調べることによりCDR 領域を表5に示すごとく決定した。
【0122】
【表5】
Figure 0003587843
【0123】
実施例4 クローニングした cDNA の発現の確認(キメラ抗 HM1.24 抗体の作製)
1.発現ベクターの作製
キメラ抗HM1.24抗体を発現するベクターを作製するため、それぞれのマウス抗HM1.24抗体L 鎖およびH 鎖V 領域をコードするcDNAクローンpUCHMVL9およびpUCHMVHR16をPCR 法により修飾した。そしてHEF 発現ベクター(国際特許出願公開番号WO92−19759参照)に導入した。
【0124】
L 鎖V 領域のための後方プライマーONS−L722S (配列番号:43)およびH 鎖V 領域のための後方プライマーVHR16S(配列番号:44)は、各々のV 領域のリーダー配列の最初をコードするDNA にハイブリダイズし且つKozak コンセンサス配列(Kozak, M, ら、J. Mol. Biol., 196, 947−950, (1987) )およびHindIII 制限酵素認識部位を有するように設計した。L 鎖V 領域のための前方プライマーVL9A(配列番号:45)およびH 鎖V 領域のための前方プライマーVHR16A(配列番号:46)は、J 領域の末端をコードするDNA 配列にハイブリダイズし且つスプライスドナー配列およびBamHI 制限酵素認識部位を有するように設計した。
【0125】
10 mM Tris−HCl (pH8.3)、50 mM KCl 、0.1 mM dNTPs、1.5 mM MgCl、100 pmole ずつの各プライマー、100 ngの鋳型DNA (pUCHMVL9又はpUCHMVHR16)、および5 unitのAmpli Taq 酵素を含有する100 μl のPCR 反応混合物を50μl の鉱油で覆い、94℃にて最初の変性の後、94℃にて1分間、55℃にて1分間、72℃にて1分間のサイクルを30回行い、最後に72℃にて10分間インキュベートした。
PCR 生成物を1.5%低融点アガロースゲルを用いて精製し、HindIII およびBamHI で消化し、そしてL 鎖V 領域についてはHEF−VL−gκに、H 鎖V 領域についてはHEF−VH−gγ1 にそれぞれクローニングした。DNA 配列決定の後、正しいDNA 配列を有するDNA 断片を含むプラスミドをそれぞれHEF−1.24L−gκ及びHEF−1.24H−gγ1 と命名した。
【0126】
前記プラスミドHEF−1.24L−gκ及びHEF−1.24H−gγ1 からそれぞれの可変領域をコードする領域を制限酵素Hind IIIおよびBamHI により制限断片とし、これらをプラスミドベクターpUC 19のHind IIIおよびBamHI 部位に挿入し、各々、pUC19−1.24L−gκ及びpUC19−1.24H−gγ1 と命名した。
なお、それぞれのプラスミドpUC19−1.24L−gκ又はpUC19−1.24H−gγ1 を含有する大腸菌は、それぞれ、Escherichia coli DH5α(pUC19−1.24L−gκ)およびEscherichia coli DH5α(pUC19−1.24H−gγ1 )と称し、それぞれFERM BP−5646及びFERM BP−5644として、工業技術院生命工学工業技術研究所(茨城県つくば市東1丁目1番3号)に平成8年8月29日にブダペスト条約に基づき国際寄託された。
【0127】
2.COS−7細胞へのトランスフェクション
キメラ抗HM1.24抗体の一過性発現を観察するため、前記発現ベクターをCOS−7(ATCC CRL−1651 )細胞において試験した。HEF−1.24L−gκ及びHEF−1.24H−gγ1 をGene Pulser 装置(BioRad社製)を用いてエレクトロポレーションによりCOS−7細胞に同時形質転換した。各DNA (10μg )を、PBS 中1 x 10 細胞/ml の0.8ml のアリコートに加え、1500V、25μFの容量にてパルスを与えた。
室温にて10分間の回復期間の後、エレクトロポレーション処理された細胞を、10%のγ−グロブリンフリーウシ胎児血清を含有するDMEM培養液(GIBCO 社製)30 ml に加えた。CO インキュベーターBNA120D (TABAI 社製)中で72時間のインキュベーションの後、培養上清を集め、遠心分離により細胞破片を除去し、これを以下の実験に用いた。
【0128】
3. FCM 解析
キメラ抗HM1.24抗体の抗原結合活性は、KPMM2細胞を用いたFCM (フローサイトメトリー)解析で行った。4.7 x 10 個のKPMM2細胞(特許出願公開番号 特開平7−236475)をPBS(−) で洗浄した後、上記キメラ抗HM1.24抗体産生COS−7細胞培養液50μlおよびFACS緩衝液(2 %ウシ胎児血清、0.1 %アジ化ナトリウム含有PBS(−))50μl 、または500 μg/mlの精製マウス抗HM1.24抗体 5μl およびFACS緩衝液95μl を加え、氷温下1時間インキュベートした。
【0129】
コントロールとしてキメラ抗HM1.24抗体産生COS 細胞培養液の代わりに2 μg/mlのキメラSK2 (国際特許出願公開番号WO94−28159)50μl およびFACS緩衝液50μl 、または精製マウス抗HM1.24抗体の代わりに500 μg/mlの精製マウス IgG2aκ(UPC10 )(CAPPEL社製)5 μl およびFACS緩衝液95μl を加え、同様にインキュベートした。FACS緩衝液で洗浄した後、25μg/mlのFITC標識ヤギ抗ヒト抗体(GAH )(CAPPEL社製)、または10μg/mlのFITC標識ヤギ抗マウス抗体(GAM )(Becton Dickinson社製)100 μl を加え、氷温下30分間インキュベートした。FACS緩衝液で洗浄した後、1 ml のFACS緩衝液に懸濁し、FACScan(Becton Dickinson社製)で各細胞の蛍光強度を測定した。
【0130】
図1に示す通り、キメラ抗HM1.24抗体を添加した細胞では、マウス抗HM1.24抗体を添加した場合同様、コントロールと比較して蛍光強度のピークが右側にシフトしたことから、キメラ抗HM1.24抗体がKPMM2細胞と結合したことが明らかになった。このことより、クローニングしたcDNAはマウス抗HM1.24抗体のV領域をコードしていることが確認された。
【0131】
実施例5 キメラ抗 HM1.24 抗体安定産生 CHO 細胞株の樹立
1. キメラH 鎖発現ベクターの作製
前記プラスミドHEF−1.24H−gγ1 を制限酵素PvuIおよびBamHI にて消化し、EF1 プロモーターおよびマウス抗HM1.24抗体H 鎖V 領域をコードするDNA を含む約2.8kbpの断片を1.5%低融点アガロースゲルを用いて精製した。次に、DHFR遺伝子およびヒトH 鎖定常領域をコードする遺伝子を含むヒトH 鎖発現ベクターDHFR− △E−RVh−PM1f(国際特許出願公開番号WO92/19759参照)に使用されている発現ベクターをPvuIおよびBamHI にて消化することにより調製した約6kbpの断片内に上記DNA 断片を挿入し、キメラ抗HM1.24抗体H 鎖発現ベクター DHFR−△E−HEF−1.24H−gγ1 を構築した。
【0132】
2. CHO細胞への遺伝子導入
キメラ抗HM1.24抗体安定産生系を樹立するために、PvuIで消化して直鎖状にした前記発現ベクターHEF−1.24L−gκおよび DHFR−△E−HEF−1.24H−gγ1 をエレクトロポレーション法により前述と同様(前記COS−7 細胞へのトランスフェクション)の条件下で同時にCHO 細胞DXB11 (Medical Research Council Collaboration Center より供与)に遺伝子導入した。
【0133】
3. MTXによる遺伝子増幅
遺伝子導入したCHO 細胞は500 μg/mlのG418(GIBCO−BRL 社製)および10% のウシ胎児血清を添加したヌクレオシド不含α−MEM培養液(GIBCO−BRL 社製)中ではL 鎖およびH 鎖発現ベクターが共に導入されたCHO 細胞のみが生存でき、それらを選別した。次に、上記培養液中に10 nM のMTX (Sigma 社製)を加え、増殖したクローンの内、キメラ抗HM1.24抗体の産生量が高いものを選択した結果、約20μg/mlのキメラ抗体産生効率を示すクローン#8−13 を得、キメラ抗HM1.24抗体産生細胞株とした。
【0134】
実施例6 キメラ抗 HM1.24 抗体の作製
キメラ抗HM1.24抗体の作製は以下の方法で行った。上記キメラ抗HM1.24抗体産生CHO 細胞を、培地として5%γ−グロブリンフリー新生仔ウシ血清(GIBCO−BRL 社製)含有 Iscove’s Modified Dulbecco’s Medium(GIBCO−BRL 社製)を用い、高密度細胞培養装置Verax system 20 (CELLEX BIOSCIENCE Inc.社製)で30日間連続培養した。
【0135】
培養開始後13、20、23、26及び30日目に培養液を回収し、加圧式ろ過フィルターユニットSARTOBRAN (Sartorius 社製)を用いてろ過した後、抗体大量分取システムAfi−Prep System (日本ガイシ社製)およびSuper Protein A column(bed volume : 100 ml 、日本ガイシ社製)を用いて、付属の説明書に基づき吸着/ 洗浄緩衝液としてPBS(−)、溶出緩衝液として0.1M クエン酸ナトリウム緩衝液(pH3 )を用いてキメラ抗HM1.24抗体をアフィニティー精製した。溶出画分は直ちに1M Tris−HCl(pH8.0 )を添加して、pH7.4 付近に調整した。抗体濃度は、280nmの吸光度を測定し、1mg/ml を1.35ODとして算出した。
【0136】
実施例7 キメラ抗 HM1.24 抗体の活性測定
キメラ抗HM1.24抗体は下記の結合阻害活性にて評価を行った。
1. 結合阻害活性の測定
1−1. ビオチン標識抗HM1.24抗体の作製
マウス抗HM1.24 抗体を0.1 M 重炭酸緩衝液で4 mg/ml に希釈した後、50 mg/mlのBiotin−N− hydroxy succinimide(EY LABS Inc.社製)4 μl を添加し、室温で3 時間反応させた。その後、0.2 M グリシン溶液1.5 mlを加え室温で30分間インキュベートし反応を停止させ、PD−10 カラム(Pharmacia Biotech 社製)を用いてビオチン化IgG 画分を分取した。
【0137】
1−2. 結合阻害活性の測定
ビオチン標識マウス抗HM1.24抗体による結合阻害活性は、ヒト羊膜細胞株WISH細胞(ATCC CCL 25 )を用いたCell−ELISAで行った。Cell−ELISA プレートは次のようにして調製した。96穴プレートに10%ウシ胎児血清を含有するRPMI1640培地により4 x 10 細胞/ml に調製したWISH細胞懸濁液100 μl を加え、一晩培養した後、PBS(−)で2回洗浄後0.1 %グルタルアルデヒド(ナカライテスク社製)にて固定した。
【0138】
ブロッキングの後、アフィニティー精製により得られたキメラ抗HM1.24抗体あるいはマウス抗HM1.24抗体を段階希釈して各穴に50μl 加え、同時に2 μg/mlのビオチン標識マウス抗HM1.24抗体50μl を添加し、室温にて2時間インキュベーションおよび洗浄の後、ペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン(DAKO社製)を加えた。室温にて1時間インキュベーションした後洗浄し、基質溶液を加えインキュベーションの後、6N 硫酸50μl で反応を停止させ、MICROPLATE READER Model 3550(Bio−Rad 社製)を用いて490 nmでの吸光度を測定した。その結果、図2に示す通り、ビオチン標識マウス抗HM1.24抗体に対してキメラ抗HM1.24抗体はマウス抗HM1.24抗体と同等の結合阻害活性を示した。このことより、キメラ抗体はマウス抗HM1.24抗体と同じV 領域を有することが示された。
【0139】
実施例8 キメラ抗 HM1.24 抗体の ADCC 活性の測定
ADCC(Antibody−dependent Cellular Cytotoxicity)活性の測定はCurrent protocols in Immunology, Chapter 7. Immunologic studies in humans, Editor, John E, Coligan et al., John Wiley & Sons, Inc., 1993の方法に従った。
1. エフェクター細胞の調製
健常人および多発性骨髄腫患者の末梢血および骨髄より比重遠心法で単核球を分離した。すなわち健常人および多発性骨髄腫患者の末梢血および骨髄に等量のPBS(−)を加え、Ficoll(Pharmacia 社製)− Conrey(第一製薬社製)(比重1.077 )に積層し、400 g で30分間遠心した。単核球層を分取し、10% ウシ胎児血清(Witaker 社製)を含むRPMI1640(Sigma 社製)で2回洗浄後、同培養液で細胞数が5 x 10/mlになるように調製した。
【0140】
2. 標的細胞の調製
ヒト骨髄腫細胞株RPMI 8226 (ATCC CCL 155)を0.1mCiの51Cr−sodium chromateとともに10% ウシ胎児血清(Witaker 社製)を含むRPMI1640(Sigma 社製)中で37℃にて60分インキュベートすることにより放射性標識した。放射性標識の後、細胞をHanks balanced salt solution (HBSS) で3回洗浄し、2 x 10/mlに調製した。
【0141】
3. ADCCアッセイ
96ウエルU 底プレート(Corning 社製)に放射性標識した2 x 10/mlの標的細胞を50μl と、アフィニティー精製によって得られた1 μg/mlのキメラ抗HM1.24抗体、マウス抗HM1.24抗体、あるいはコントロールヒトIgG1(Serotec 社製)50μl 加え、4 ℃で15分間反応させた。
その後、5 x 10/mlのエフェクター細胞を100 μl を加え、炭酸ガス培養器内で4 時間培養した。その際、エフェクター細胞(E )と標的細胞(T )の比(E:T )を 0:1、:5:1、20:1又は50:1とした。
【0142】
100 μl の上清をとり、ガンマカウンター(ARC361, Aloka 社製)で培養上清中に遊離された放射活性を測定した。最大遊離放射能測定用には1 %NP−40 (BRL 社製)を用いた。細胞障害活性(%)は(A−C )/(B−C )x100で計算した。なおA は抗体存在下において遊離された放射活性(cpm )、B はNP−40 により遊離された放射活性(cpm )および Cは抗体を含まず培養液のみで遊離された放射活性(cpm )を示す。
図3に示す通り、ヒトコントロールIgG1と比較してキメラ抗HM1.24抗体を添加した場合、E:T 比の上昇に従い細胞障害活性が上昇したことから、このキメラ抗HM1.24抗体がADCC活性を有することが示された。さらに、マウス抗HM1.24抗体を添加しても細胞障害活性は全く見られないことから、エフェクター細胞がヒト由来の細胞の場合、ADCC活性を得るためにはヒト抗体のFc部分が必要であることが示された。
【0143】
実施例9 再構成ヒト抗HM 1.24 抗体の作製
1. 再構成ヒト抗HM1.24抗体V領域の設計
マウスモノクローナル抗体のCDR がヒト抗体に移植されている再構成ヒト抗体を作製するためには、マウスモノクローナル抗体のFRとヒト抗体のFRとの間に高い相同性が存在することが望ましい。従って、マウス抗HM1.24抗体のL鎖及びH鎖のV領域を、Protein Data Bank を用いて構造が解明されているすべての既知抗体のV領域と比較した。
【0144】
マウス抗HM1.24抗体のL鎖V領域はヒトL鎖V領域のサブグループIV(HSGIV )のコンセンサス配列に最も類似しており、66.4%の相同性が存在する。一方、HSGI、HSGII 及びHSG III とはそれぞれ56.9%、55.8%及び61.5%の相同性を示した。
マウス抗HM1.24抗体のL鎖V領域は既知ヒト抗体L鎖V領域との比較において、ヒトL鎖V領域のサブグループIの一つであるヒトL鎖V領域REI に67.0%の相同性を示した。従って、再構成ヒト抗HM1.24抗体L鎖V領域の作製のための出発材料としてREI のFRを使用した。
【0145】
再構成ヒト抗HM1.24抗体L鎖V領域のバージョンaを設計した。このバージョンにおいては、ヒトFRは再構成ヒトCAMPATH−1H抗体中に存在するREI に基くFR(Riechmann, L. ら、Nature 322, 21−25,(1988)を参照、国際特許出願公開番号WO92−19759に記載の再構成ヒトPM−1のL鎖V領域のバージョンaに含まれるFR)と同一であり、そしてマウスCDR はマウス抗HM1.24抗体のL鎖V領域中のCDR と同一とした。
【0146】
マウス抗HM1.24抗体のH鎖V領域はヒトH鎖V領域のHSG Iのコンセンサス配列に最も類似しており、54.7%の相同性が存在する。一方、HSGII 及びHSGIIIとはそれぞれ34.6%及び48.1%の相同性を示した。マウス抗HM1.24抗体のH鎖V領域は既知のヒト抗体H鎖V領域との比較において、FR1 からFR3 までは、ヒトH鎖V領域のサブグループIの一つであるヒト抗体HG3 のH鎖V領域(Rechavi, G. ら、Proc. Nat. Acad. Sci. USA 80, 855−859 )に非常に類似しており、その相同性は67.3%であった。
【0147】
このため、ヒト抗体HG3 のFRを、再構成ヒト抗HM1.24抗体のH鎖V領域の作製のための出発材料として用いた。しかしながら、ヒト抗体HG3 のFR4 のアミノ酸配列は記述されていないために、今回FR4 に関してはマウス抗HM1.24抗体のH鎖のFR4 と最も高い相同性を示すヒト抗体JH6 (Ravetch, J. V.ら、Cell, 27, 583−591 )のFR4 のアミノ酸配列を用いた。JH6 のFR4 は一つのアミノ酸を除いてマウス抗HM1.24抗体のH鎖のFR4 と同一のアミノ酸配列を有する。
再構成ヒト抗HM1.24抗体のH鎖V領域の第一のバージョンaにおいて、ヒトFR1 中の30位およびヒトFR3 中の71位のアミノ酸をマウス抗HM1.24抗体のアミノ酸と同一とした以外、FR1 からFR3 まではヒトHG3 のFR1 からFR3 と同一であり、そしてCDR はマウス抗HM1.24抗体のH鎖V領域中のCDR と同一とした。
【0148】
2. 再構成ヒト抗HM1.24抗体L鎖V領域の作製
再構成ヒト抗HM1.24抗体L鎖を、PCR 法によるCDR グラフティングにより作製した。この方法を図4に模式的に示す。ヒト抗体REI 由来のFRを有する再構成ヒト抗HM1.24抗体(バージョンa)の作製のために8個のPCR プライマーを使用した。外部プライマーA(配列番号:47)及びH(配列番号:48)は、HEF 発現ベクターHEF−VL−gκのDNA 配列とハイブリダイズするように設計された。
CDR −グラフティングプライマーL1S (配列番号:49)、L2S (配列番号:50)及びL3S (配列番号:51)はセンスDNA 配列を有し、そしてCDR −グラフティングプライマーL1A (配列番号:52)、L2A (配列番号:53)及びL3A (配列番号:54)はアンチ−センスDNA 配列を有しそしてそれぞれプライマーL1S 、L2S 及びL3S の5′−末端のDNA 配列に対する相補的DNA 配列(20〜23bp)を有する。
【0149】
第一PCR 段階において4つの反応A−L1A 、L1S−L2A 、L2S−L3A 、及びL3S−H を行い、そして各PCR 生成物を精製した。第一PCR からの4つのPCR 生成物をそれら自体の相補性によりアッセンブリさせた(国際特許出願公開番号WO92−19759参照)。次に、外部プライマーA及びHを加えて、再構成ヒト抗HM1.24抗体L鎖V領域をコードする全長DNA を増幅した(第2PCR )。前記PCR においては、ヒト抗体REI からのFRに基く再構成ヒトONS−M21 抗体L鎖V領域バージョンaをコードするプラスミドHEF−RVL−M21a(国際特許出願公開番号WO95−14041を参照)を鋳型として用いた。
【0150】
第一PCR 段階においては、10 mM Tri−HCl (pH8.3 )、50 mM KCl 、0.1mM dNTPs 、1.5 mM MgCl、100 ngの鋳型DNA 、100 pmole の各プライマー及び5uのAmpli Taq を含有するのPCR 混合物を用いた。各PCR チューブは50μl の鉱油で覆膜した。最初に94℃で変性した後、94℃にて1分間、55℃にて1分間及び72℃にて1分間の反応サイクルを行い、次に72℃にて10分間インキュベートした。
PCR 生成物A−L1A (215bp )、L1S−L2A (98bp)、L2S−L3A (140bp )及びL3S−H (151bp )を1.5 %低融点アガロースゲルを用いて精製し、第二PCR でアッセンブリした。第二PCR においては、1μg の各第一PCR の生成物、及び5uのAmpli Taq を含有する98μl のPCR 混合物を、94℃にて2分間、55℃にて2分間及び72℃にて2分間で2サイクルインキュベートし、そして次に100 pmole の各外部プライマー(A及びH)を加えた。PCR チューブを50μl の鉱油で覆い、そして前記と同一の条件で30サイクルのPCR を行った。
【0151】
第二PCR により生じた516bp のDNA 断片を1.5 %低融点アガロースゲルで精製し、BamHI 及びHindIII で消化し、得られたDNA 断片をHEF 発現ベクターHEF−VL−gκにクローニングした。DNA 配列決定の後、再構成ヒト抗HM1.24抗体L鎖V領域の正しいアミノ酸配列をコードするDNA 断片を含むプラスミドをHEF−RVLa−AHM−gκと命名した。本プラスミドHEF−RVLa−AHM−gκに含まれるL鎖V領域のアミノ酸配列および塩基配列を配列番号:9に示す。
再構成ヒト抗HM1.24抗体L鎖V領域のバージョンbを、PCR を用いる変異誘発法によって作製した。変異原プライマーFTY−1 (配列番号:55)およびFTY−2 (配列番号:56)は、71位のフェニルアラニンがチロシンに変異するように設計した。
【0152】
プラスミドHEF−RVLa−AHM−gκを鋳型とし、上記プライマーを用いて増幅した後、最終生成物を精製し、BamHI およびHindIII で消化し、得られたDNA 断片をHEF 発現ベクターHEF−VL−gκにクローニングし、プラスミドHEF−RVLb−AHM−gκを得た。本プラスミドHEF−RVLb−AHM−gκに含まれるL鎖V領域のアミノ酸配列および塩基配列を配列番号:10に示す。
【0153】
3. 再構成ヒト抗HM1.24抗体H鎖V領域の作製
3−1. 再構成ヒト抗HM1.24抗体H鎖V領域バージョンa− eの作製
再構成ヒト抗HM1.24抗体H鎖V領域をコードするDNA を次の様にして設計した。ヒト抗体HG3 のFR1 〜3 およびヒト抗体JH6 のFR4 をコードするDNA 配列を、マウス抗HM1.24抗体H鎖V領域のCDR をコードするDNA 配列とつなげることにより、再構成ヒト抗HM1.24抗体H鎖V領域をコードする全長DNA を設計した。
次に、このDNA 配列のそれぞれ5′−側及び3′−側にHindIII 認識部位/Kozak コンセンサス配列及びBamHI 認識部位/スプライスドナー配列を付加して、HEF 発現ベクターに挿入できるようにした。
【0154】
こうして設計したDNA 配列を4個のオリゴヌクレオチドに分け、そして次に、これらのオリゴヌクレオチドのアセンブリーを妨害する可能性のあるオリゴヌクレオチド中の二次構造についてコンピューター解析した。4個のオリゴヌクレオチド配列RVH1〜RVH4を配列番号:57〜60に示す。これらのオリゴヌクレオチドは119 〜144 塩基の長さを有し、25〜26bpのオーバラップ領域を有する。オリゴヌクレオチドの内のRVH2(配列番号:58)、RVH4(配列番号:60)はセンスDNA 配列を有し、そして他のRVH1(配列番号:57)、RVH3(配列番号:59)はアンチセンスDNA 配列を有する。これら4個のオリゴヌクレオチドのPCR 法によるアセンブリーの方法を図に示す(図5参照)。
【0155】
100 ngずつの4種のオリゴヌクレオチド及び5uのAmpli Taq を含有する98μl のPCR 混合物を、94℃にて2分間の最初の変性の後、94℃にて2分間、55℃にて2分間及び72℃にて2分間のから成る2サイクルのインキュベーションを行った。100 pmole ずつのRHP1(配列番号:61)及びRHP2(配列番号:62)を外部プライマーとして添加した後、PCR チューブを50μl の鉱油で覆い、そして94℃にて1分間の最初の変性の後、94℃にて1分間、55℃にて1分間及び72℃にて1分間の38サイクルを行い、そして次に72℃にて10分間インキュベートした。
【0156】
438bp のDNA 断片を1.5 %低融点アガロースゲルを用いて精製し、HindIII 及びBamHI により消化し、そして次にHEF 発現ベクターHEF−VH−gγ1 にクローニングした。DNA 配列決定の後、正しいH鎖V領域のアミノ酸配列をコードするDNA 断片を含むプラスミドをHEF−RVHa−AHM−gγ1 と命名した。本プラスミドHEF−RVHa−AHM−gγ1 に含まれるH鎖V領域のアミノ酸配列および塩基配列を配列番号:11に示す。
再構成ヒト抗HM1.24抗体H鎖V領域の各バージョンb、c、d及びeを以下のようにして作製した。
【0157】
バージョンbは、変異原プライマーとして66位のアルギニンがリジンに変異するように設計したBS(配列番号:63)およびBA(配列番号:64)を用い、プラスミドHEF−RVHa−AHM−gγ1 を鋳型DNA として、PCR 法により増幅し、プラスミドHEF−RVHb−AHM−gγ1 を得た。本プラスミドHEF−RVHb−AHM−gγ1 に含まれるH鎖V領域のアミノ酸配列および塩基配列を配列番号:12に示す。
バージョンcは、変異原プライマーとして73位のトレオニンがリジンに変異するように設計したCS(配列番号:65)およびCA(配列番号:66)を用い、プラスミドHEF−RVHa−AHM−gγ1 を鋳型DNA として、PCR 法により増幅し、プラスミドHEF−RVHc−AHM−gγ1 を得た。本プラスミドHEF−RVHc−AHM−gγ1 に含まれるH鎖V領域のアミノ酸配列および塩基配列を配列番号:13に示す。
【0158】
バージョンdは、変異原プライマーとして66位のアルギニンがリジンに、73位のトレオニンがリジンに変異するように設計したDS(配列番号:67)およびDA(配列番号:68)を用い、プラスミドHEF−RVHa−AHM−gγ1 を鋳型DNA としてプラスミドHEF−RVHd−AHM−gγ1 を得た。本プラスミドHEF−RVHd−AHM−gγ1 に含まれるH鎖V領域のアミノ酸配列および塩基配列を配列番号:14に示す。
バージョンeは、変異原プライマーとして67位のバリンがアラニンに、69位のメチオニンがロイシンに変異するように設計したES(配列番号:69)およびEA(配列番号:70)を用い、プラスミドHEF−RVHa−AHM−gγ1 を鋳型DNA として増幅し、プラスミドHEF−RVHe−AHM−gγ1 を得た。本プラスミドHEF−RVHe−AHM−gγ1 に含まれるH鎖V領域に含まれるアミノ酸配列および塩基配列を配列番号:15に示す。
【0159】
3−2. H鎖ハイブリッドV領域の作製
H鎖ハイブリッドV領域を2種構築した。1つはFR1 とFR2 のアミノ酸配列がマウス抗HM1.24 抗体由来であり、FR3 とFR4 のアミノ酸配列が再構成ヒト抗HM1.24抗体のH鎖V領域のバージョンa由来となるマウス・ヒトハイブリッド抗HM1.24抗体、もう1つはFR1 とFR2 のアミノ酸配列が再構成ヒト抗HM1.24抗体のH鎖V領域のバージョンa由来であり、FR3 とFR4 のアミノ酸配列がマウス抗HM1.24抗体由来となるヒト・マウスハイブリッド抗HM1.24抗体である。CDR 領域のアミノ酸配列はすべてマウス抗HM1.24抗体由来である。
【0160】
2種のH鎖ハイブリッドV領域はPCR 法により作製した。この方法を図6及び7に模式的に示す。2種のH鎖ハイブリッドV領域作製のために4種のプライマーを使用した。外部プライマーa(配列番号:71)及びh(配列番号:72)は、HEF 発現ベクターHEF−VH−gγ1 のDNA 配列とハイブリダイズするように設計された。H鎖ハイブリッド作製プライマーHYS (配列番号:73)はセンスDNA 配列を有し、H鎖ハイブリッドプライマーHYA (配列番号:74)はアンチセンスDNA 配列を有しそしてたがいに相補的なDNA 配列となるよう設計された。
【0161】
FR1 とFR2 のアミノ酸配列がマウス抗HM1.24抗体由来であり、FR3 とFR4 のアミノ酸配列が再構成ヒト抗HM1.24抗体のH鎖V領域のバージョンa由来となるH鎖ハイブリッドV領域の作製のために、第一PCR 段階においてプラスミド HEF−1.24H−gγ1 を鋳型とし外部プライマーaとH鎖ハイブリッドプライマーHYA を用いたPCR と、プラスミドHEF−RVHa−AHM−gγ1 を鋳型としH鎖ハイブリッドプライマーHYS (配列番号:73)と外部プライマーh(配列番号:72)を用いたPCR を行い、そして各PCR 産物を精製した。第一PCR からの2つのPCR 生成物をそれら自体の相補性によりアッセンブリさせた(国際特許出願公開番号WO92−19759参照)。
【0162】
次に、外部プライマーa(配列番号:71)及びh(配列番号:72)を加えて、FR1 とFR2 のアミノ酸配列がマウス抗HM1.24抗体由来であり、FR3 とFR4 のアミノ酸配列が再構成ヒト抗HM1.24抗体のH鎖V領域のバージョンa由来となるH鎖ハイブリッドV領域をコードする全長DNA を第二PCR 段階で増幅した。
FR1 とFR2 のアミノ酸配列が再構成ヒト抗HM1.24抗体のH鎖V領域のバージョンa由来であり、FR3 とFR4 のアミノ酸配列がマウス抗HM1.24抗体由来となるH鎖ハイブリッドV領域の作製のために、第一PCR 段階においてプラスミドHEF−RVHa−AHM−gγ1 を鋳型とし外部プライマーaとH鎖ハイブリッドプライマーHYA を用いたPCR と、プラスミド HEF−1.24H−gγ1 を鋳型としH鎖ハイブリッドプライマーHYS と外部プライマーhを用いたPCR を行い、そして各PCR 産物を精製した。第一PCR からの2つのPCR 生成物をそれら自体の相補性によりアッセンブリさせた(国際特許出願公開番号WO92−19759参照)。
【0163】
次に、外部プライマーa及びhを加えて、FR1 とFR2 のアミノ酸配列が再構成ヒト抗HM1.24抗体のH鎖V領域のバージョンa由来であり、FR3 とFR4 のアミノ酸配列がマウス抗HM1.24 抗体由来となるH鎖ハイブリッドV領域をコードする全長DNA を第二PCR 段階で増幅した。
第一PCR 、PCR 産物の精製、アッセンブリ、第二PCR 、及びHEF 発現ベクターHEF−VH−gγ1 へのクローニングの方法は実施例 9. 再構成ヒトHM1.24抗体L鎖V領域の作製に示す方法に準じた。
【0164】
DNA 配列決定の後、FR1 とFR2 のアミノ酸配列がマウス抗HM1.24抗体由来であり、FR3 とFR4 のアミノ酸配列が再構成ヒト抗HM1.24抗体のH鎖V領域のバージョンa由来となるH鎖ハイブリッドV領域の正しいアミノ酸配列をコードするDNA 断片を含むプラスミドをHEF−MH−RVH−AHM−gγ1 と命名した。本プラスミドHEF−MH−RVH−AHM−gγ1 に含まれるH鎖V領域のアミノ酸配列及び塩基配列を配列番号:75に示す。また、FR1 とFR2 のアミノ酸配列が再構成ヒト抗HM1.24抗体H鎖V領域のバージョンa由来であり、FR3 とFR4 のアミノ酸配列がマウス抗体HM1.24 抗体由来となるH鎖ハイブリッドV領域の正しいアミノ酸配列をコードするDNA 断片を含むプラスミドをHEF−HM−RVH−AHM−gγ1 と命名した。本プラスミドHEF−HM−RVH−AHM−gγ1 に 含まれるH鎖V領域のアミノ酸配列及び塩基配列を配列番号:76に示す。
【0165】
3−3. 再構成ヒト抗HM1.24抗体H鎖V領域バージョンf〜sの作製
再構成ヒト抗HM1.24抗体H鎖V領域の各バージョンf、g、h、i、j、k、l、m、n、o、p、q、r及びsを以下のようにして作製した。
バージョンfは、変異原プライマーとして75位のトレオニンがセリンに、78位のバリンがアラニンに変異するように設計したFS(配列番号:78)およびFA(配列番号:79)を用い、プラスミドHEF−RVHe−AHM−gγ1 を鋳型DNA として、PCR 法により増幅し、プラスミドHEF−RVHf−AHM−gγ1 を得た。本プラスミドHEF−RVHf−AHM−gγ1 に含まれるH鎖V領域のアミノ酸配列および塩基配列を配列番号:16に示す。
【0166】
バージョンgは、変異原プライマーとして40位のアラニンがアルギニンに変異するように設計したGS(配列番号:80)およびGA(配列番号:81)を用い、プラスミドHEF−RVHa−AHM−gγ1 を鋳型DNA として増幅し、プラスミドHEF−RVHg−AHM−gγ1 を得た。本プラスミドHEF−RVHg−AHM−gγ1 に含まれるH鎖V領域のアミノ酸配列および塩基配列を配列番号:17に示す。
バージョンhは、変異原プライマーとしてFS(配列番号:78)およびFA(配列番号:79)を用い、プラスミドHEF−RVHb−AHM−gγ1 を鋳型DNA として増幅し、プラスミドHEF−RVHh−AHM−gγ1 を得た。本プラスミドHEF−RVHh−AHM−gγ1 に含まれるH鎖V領域のアミノ酸配列および塩基配列を配列番号:18に示す。
【0167】
バージョンiは、変異原プライマーとして83位のアルギニンがアラニンに、84位のセリンがフェニルアラニンに変異するように設計したIS(配列番号:82)およびIA(配列番号:83)を用い、プラスミドHEF−RVHh−AHM−gγ1 を鋳型DNAとして増幅し、プラスミドHEF−RVHi−AHM−gγ1 を得た。本プラスミドHEF−RVHi−AHM−gγ1 に含まれるH鎖V領域のアミノ酸配列および塩基配列を配列番号:19に示す。
バージョンjは、変異原プライマーとして66位のアルギニンがリジンに変異するように設計したJS(配列番号:84)とJA(配列番号:85)を用い、プラスミドHEF−RVHf−AHM−gγ1 を鋳型DNA として増幅し、プラスミドHEF−RVHj−AHM−gγ1 を得た。本プラスミドHEF−RVHj−AHM−gγ1 に含まれるH鎖V領域のアミノ酸配列および塩基配列を配列番号:20に示す。
【0168】
バージョンkは、変異原プライマーとして81位のグルタミン酸がグルタミンに変異するように設計したKS(配列番号:86)およびKA(配列番号:87)を用い、プラスミドHEF−RVHh−AHM−gγ1 を鋳型DNA として増幅し、プラスミドHEF−RVHk−AHM−gγ1 を得た。本プラスミドHEF−RVHk−AHM−gγ1 に含まれるH鎖V領域のアミノ酸配列および塩基配列を配列番号:21に示す。
バージョンlは、変異原プライマーとして81位のグルタミン酸がグルタミンに、82B 位のセリンがイソロイシンに変異するように設計したLS(配列番号:88)およびLA(配列番号:89)を用い、プラスミドHEF−RVHh−AHM−gγ1 を鋳型DNA として増幅し、プラスミドHEF−RVHl−AHM−gγ1 を得た。本プラスミドHEF−RVHl−AHM−gγ1 に含まれるH鎖V領域のアミノ酸配列および塩基配列を配列番号:22に示す。
【0169】
バージョンmは、変異原プライマーとして81位のグルタミン酸がグルタミンに、82b 位のセリンがイソロイシンに、87位のトレオニンがセリンに変異するように設計したMS(配列番号:90)とMA(配列番号:91)を用い、プラスミドHEF−RVHh−AHM−gγ1 を鋳型DNA として増幅し、プラスミドHEF−RVHm−AHM−gγ1 を得た。本プラスミドHEF−RVHm−AHM−gγ1 に含まれるH鎖V領域のアミノ酸配列および塩基配列を配列番号:23に示す。
バージョンnは、変異原プライマーとして82B 位のセリンがイソロイシンに変異するように設計したNS(配列番号:92)およびNA(配列番号:93)を用い、プラスミドHEF−RVHh−AHM−gγ1 を鋳型DNA としてプラスミドHEF−RVHn−AHM−gγ1 を得た。本プラスミドHEF−RVHn−AHM−gγ1 に含まれるH鎖V領域のアミノ酸配列および塩基配列を配列番号:24に示す。
【0170】
バージョンoは、変異原プライマーとして87位のトレオニンがセリンに変異するように設計したOS(配列番号:94)およびOA(配列番号:95)を用い、プラスミドHEF−RVHh−AHM−gγ1 を鋳型DNA としてプラスミドHEF−RVHo−AHM−gγ1 を得た。本プラスミドHEF−RVHo−AHM−gγ1 に含まれるH鎖V領域のアミノ酸配列および塩基配列を配列番号:25に示す。
バージョンpは、変異原プライマーとして78位のバリンがアラニンに変異するように設計したPS(配列番号:96)およびPA(配列番号:97)を用い、プラスミドHEF−RVHa−AHM−gγ1 を鋳型DNA として、PCR 法により増幅し、プラスミドHEF−RVHp−AHM−gγ1 を得た。本プラスミドHEF−RVHp−AHM−gγ1 に含まれるH鎖V領域のアミノ酸配列および塩基配列を配列番号:26に示す。
【0171】
バージョンqは、変異原プライマーとして75位のトレオニンがセリンに変異するように設計したQS(配列番号:98)およびQA(配列番号:99)を用い、プラスミドHEF−RVHa−AHM−gγ1 を鋳型DNA として、PCR 法により増幅し、プラスミドHEF−RVHq−AHM−gγ1 を得た。本プラスミドHEF−RVHq−AHM−gγ1 に含まれるH鎖V領域のアミノ酸配列および塩基配列を配列番号:27に示す。
バージョンrは、変異原プライマーとしてCS(配列番号:65)およびCA(配列番号:66)を用い、プラスミドHEF−RVHp−AHM−gγ1 を鋳型DNA として、PCR 法により増幅し、プラスミドHEF−RVHr−AHM−gγ1 を得た。本プラスミドHEF−RVHr−AHM−gγ1 に含まれるH鎖V領域のアミノ酸配列および塩基配列を配列番号:28に示す。
【0172】
再構成ヒト抗HM1.24抗体H鎖V領域のバージョンsを、PCR を用いる変異誘発法によって作製した。変異原プライマーSS(配列番号:100)およびSA(配列番号:101)は、69位のメチオニンがイソロイシンに変異するように設計した。
プラスミドHEF−RVHr−AHM−gγ1 を鋳型とし、上記プライマーを用いて増幅した後、最終生成物を精製し、BamHI およびHindIII で消化し、得られたDNA 断片をHEF 発現ベクターHEF−VH−gγ1 にクローニングし、プラスミドHEF−RVHs−AHM−gγ1 を得た。本プラスミドHEF−RVHs−AHM−gγ1 に含まれるH鎖V領域のアミノ酸配列および塩基配列を配列番号:102 に示す。
【0173】
なお、前記プラスミドHEF−RVLa−AHM−gκ及びHEF−RVHr−AHM−gγ1 からそれぞれの可変領域をコードする領域を制限酵素HindIII およびBamHI により制限断片とし、これらをプラスミドベクターpUC19 のHindIII およびBamHI 部位に挿入した。それぞれのプラスミドはpUC19−RVLa−AHM−gκ及びpUC19−RVHr−AHM−gγ1 と命名した。
なお、それぞれのプラスミドpUC19−RVLa−AHM−gκおよびpUC19−RVHr−AHM−gγ1 を含有する大腸菌は、それぞれ、Escherichia coli DH5α(pUC19−RVLa−AHM−gκ)およびEscherichia coli DH5α(pUC19−RVHr−AHM−gγ1 )と称し、工業技術院生命工学工業技術研究所(茨城県つくば市東1丁目1番3号)に平成8年8月29日に、各々FERM BP−5645およびFERM BP−5643としてブダペスト条約に基づき国際寄託された。
【0174】
なお、前記プラスミドHEF−RVHs−AHM−gγ1 からの可変領域をコードする領域を制限酵素HindIII およびBamHI により制限断片とし、これをプラスミドベクターpUC19 のBamHI およびHindIII 部位に挿入した。得られたプラスミドをpUC19−RVHs−AHM−gγ1 と命名した。
プラスミドpUC19−RVHs−AHM−gγ1 を含有する大腸菌は、Escherichia coli DH5α(pUC19−RVHs−AHM−gγ1 )と称し、工業技術院生命工学工業技術研究所(茨城県つくば市東1丁目1番3号)に平成9年(1997年)9月29日にFERM BP−6127としてブダペスト条約に基づき国際寄託された。
【0175】
4. 再構成ヒト抗HM1.24抗体、キメラ抗HM1.24抗体、及びH鎖ハイブリッド抗
体の作製
再構成ヒト抗HM1.24抗体の各鎖を評価するために再構成ヒト抗HM1.24抗体とポジティブコントロール抗体としてキメラ抗HM1.24抗体を発現させた。そして再構成ヒト抗HM1.24抗体H鎖V領域のバージョンb以降の各バージョンを作製する際、どのFR内のアミノ酸残基を置換すべきかを検討するためにH鎖ハイブリッド抗体を発現させた。また、再構成ヒト抗HM1.24抗体L鎖バージョンaの評価のためにキメラH鎖との組合せで発現させた。
【0176】
4−1. 再構成ヒト抗HM1.24抗体の発現(1)
再構成ヒト抗HM1.24抗体H鎖のための発現ベクター(HEF−RVHa−AHM−gγ1 〜HEF−RVHr−AHM−gγ1 )と再構成ヒト抗HM1.24抗体L鎖のための発現ベクター(HEF−RVLa−AHM−gκあるいはHEF−RVLb−AHM−gκ)各10μg をGene Pulser 装置(BioRad社製)を用いてエレクトロポレーションによりCOS−7細胞に同時形質転換した。各DNA (10μg )を、PBS 中1 x 10 細胞/ml の0.8ml のアリコートに加え、1500V、25μFの容量にてパルスを与えた。
【0177】
室温にて10分間の回復期間の後、エレクトロポレーション処理された細胞を、10%のγ−グロブリンフリーウシ胎児血清を含有するDMEM培養液30 ml (GIBCO 社製)に加えた。37℃、5%CO の条件下で72時間の培養をCO インキュベーターBNA120D (TABAI 社製)を用いて行った後、培養上清を集め、遠心ローター03(HITACHI 社製)を装着した遠心機15PR−22(HITACHI 社製)により1000 rpm、5分間の遠心分離を行い細胞破片を除去し、マイクロコンセントレーター(Centricon 100 、Amicon社製)を遠心ローターJA−20 ・1 (BECKMAN 社製)を装着した遠心器J2−21 (BECKMAN 社製)により2000 rpmの条件下で限外濾過濃縮をおこない、Cell−ELISAに用いた。
【0178】
再構成ヒト抗HM1.24抗体の発現(2)
再構成ヒト抗HM1.24抗体H鎖バージョンsのための発現ベクター(HEF−RVHs−AHM−gγ1)と再構成ヒト抗HM1.24抗体L鎖のための発現ベクター(HEF−RVLa−AHM−gκ) 各10μg をGene Pulser 装置(BioRad社製)を用いてエレクトロポレーションによりCOS 細胞に同時形質転換した。各DNA(10μg)を、PBS 中1 x 10 細胞/ml の0.8ml のアリコートに加え、1,500V、25μF の容量にてパルスを与えた。
【0179】
室温にて10分間の回復期間の後、エレクトロポレーション処理された細胞を、10%のγ−グロブリンフリーウシ胎児血清を含有するDMEM培養液30ml(GIBCO社製)に加えた。37℃、5% COの条件下で72時間の培養をCO インキュベーターBNA120D (TABAI社製)を用いて行った後、培養上清を集め、遠心ローター03(HITACHI社製)を装着した遠心機05PR−22 (HITACHI社製)により1000rpm 、5分間の遠心分離を行い細胞破片を除去し、マイクロコンセントレーター(Centricon 100、Amicon社製)を遠心ローターJA−20 ・1 (BECKMAN社製)を装着した遠心器J2−21 (BECKMAN社製)により2000rpm の条件下で限外濾過濃縮をおこない、濾過フィルター、マイレクスGV13mm(ミリポア社製)用いて濾過滅菌したものをCell−ELISAに用いた。
【0180】
4−2. キメラ抗HM1.24抗体の発現
キメラ抗HM1.24抗体H鎖のための発現ベクター HEF−1.24H−gγ1 とキメラ抗HM1.24抗体L鎖のための発現ベクター HEF−1.24L−gκ各10μg を用い、上記再構成ヒト抗HM1.24抗体の発現の方法にしたがってCell−ELISAに用いるためのキメラ抗HM1.24抗体を調製した。
【0181】
4−3. ヒト型化L鎖バージョンaとキメラH鎖からなる抗HM1.24抗体の発現
キメラ抗HM1.24抗体H鎖のための発現ベクターHEF−1.24H−g γ1 と再構成ヒト抗HM1.24抗体L鎖バージョンaのための発現ベクターHEF−RVLa−AHM−Gκ各10μgを用い、上記再構成ヒト抗HM1.24抗体の発現の方法に従って、Cell−ELISAに用いるためのヒト型化L鎖バージョンaとキメラH鎖からなる抗HM1.24抗体を調製した。
【0182】
4−4. H鎖ハイブリッド抗体の発現
H鎖ハイブリッドV領域のための発現ベクター(HEF−MH−RVH−AHM−gγ1 或いはHEF−HM−RVH−AHM−gγ1 )と再構成ヒト抗HM1.24抗体L鎖のための発現ベクターHEF−RVLa−AHM−gκ各10μg を用い、上記再構成ヒト抗HM1.24抗体の発現の方法にしたがってCell−ELISAに用いるためのH鎖ハイブリッド抗体を調製した。
【0183】
4−5. 抗体濃度の測定
得られた抗体の濃度測定はELISA により行った。ELISA 用96穴プレート(Maxisorp, NUNC社製)の各穴にコーティングバッファー(0.1M NaHCO, 0.02% NaN,pH9.6 )により1μg/mlの濃度に調製したヤギ抗ヒトIgG 抗体(BIO SOURCE社製)100μlを加え、室温で1時間のインキュベーションを行い固相化した。100 μlの希釈バッファー(50mM Tris−HCl, 1mM MgCl, 0.15M NaCl,0.05%Tween20, 0.02%NaN, 1%牛血清アルブミン(BSA),pH8.1)でブロッキングした後、限外濾過濃縮を行った再構成ヒト抗HM1.24抗体、キメラ抗HM1.24抗体、及びH鎖ハイブリッド抗体を順次段階希釈して各穴に100 μlずつ加え室温で1時間のインキュベーションおよび洗浄の後、アルカリフォスファターゼ標識ヤギ抗ヒトIgG 抗体(DAKO社製)100 μlを加えた。
【0184】
室温にて1時間のインキュベーションおよび洗浄の後、基質バッファー(50mM NaHCO, 10mM MgCl(pH9.8)) に溶解した1mg/ml の基質溶液(Sigma104, p−ニトロフェニルリン酸、SIGMA 社製)100 μlを加え、405nm での吸光度をMICROPLATE READER Model 3550(Bio−Rad社製)を用いて測定した。濃度測定の標品としてヒトIgG1κ(The Binding Site社製)を用いた。
【0185】
5. 再構成ヒト抗HM1.24抗体安定産生CHO細胞株の樹立
5−1. 再構成ヒト抗HM1.24抗体H鎖発現ベクターの作製
プラスミドHEF−RVHr−AHM−gγ1 を制限酵素PvuI及びBamHI にて消化し、EF1 プロモーター及び再構成ヒト抗HM1.24抗体H鎖V領域をコードするDNA を含む約 2.8 kbpの断片を 1.5%低融点アガロースゲルを用いて精製した。次に、DHFR遺伝子およびヒトH鎖定常領域をコードする遺伝子を含むヒトH鎖発現ベクターDHFR− ΔE−RVh− PM1f(国際特許出願公開番号WO92−19759)に使用されている発現ベクターをPvuI及びBamHI にて消化することにより調製した約6kbp の断片内に上記DNA 断片を挿入し、再構成ヒト抗HM1.24抗体H鎖発現ベクターDHFR− ΔE−HEF−RVHr−AHM−gγ1 を構築した。
【0186】
5−2. CHO 細胞への遺伝子導入
再構成ヒト抗HM1.24抗体安定産生系を樹立するために、PvuIで消化して直鎖状にした前記発現ベクターDHFR− ΔE−HEF−RVHr−AHM−gγ1 及びHEF−RVLa−AHM−gκをエレクトロポレーション法により前述と同様(前記COS−7 細胞へのトランスフェクション)の条件下で同時にCHO 細胞DXB−11に遺伝子導入した。
【0187】
5−3. MTX による遺伝子増幅
遺伝子導入した CHO細胞は500 μg/mlのG418(GIBCO−BRL 社製)及び10%のウシ胎児血清を添加したヌクレオシド不含α−MEM培養液中(GIBCO−BRL 社製)ではL鎖及びH鎖発現ベクターが共に導入されたCHO 細胞のみが増殖でき、それらを選別した。次に、上記培養液中に10 nM のMTX(Sigma 社製)を加え、増殖したクローンのうち再構成ヒト抗HM1.24抗体の産生量が高いものを選択した結果、約3μg/mlの再構成ヒト抗HM1.24抗体産生率を示すクローン#1を得、再構成ヒト抗HM1.24抗体産生細胞株とした。
【0188】
5−4. 再構成ヒト抗HM1.24抗体の作製
再構成ヒト抗HM1.24抗体の作製は以下の方法で行った。上記再構成ヒト抗HM1.24抗体産生CHO 細胞を、培地として10%のγ−グロブリンフリーウシ胎児血清(GIBCO−BRL 社製)を含有する500 μg/mlのG418(GIBCO−BRL 社製)を添加したヌクレオシド不含α−MEM培養液(GIBCO−BRL 社製)を用い、37℃、5%CO の条件下で10日の培養をCO インキュベーターBNA120D (TABAI 社製)を用いて行った。培養開始後8、10日目に培養液を回収し、TS−9ローターを装着した遠心機RL−500SP(トミー精工社製)を用いて2000rpm 、10分間の遠心分離を行い培養液中の細胞破片を除去した後、0.45μm 径のメンブレンをもつボトルトップフィルター(FALCON社製)により濾過滅菌した。
【0189】
この再構成ヒト抗HM1.24抗体産生CHO 細胞培養液に等量のPBS(−)を加えた後、高速抗体精製装置ConSep LC100(MILLIPORE 社製)およびHyper D Protein A カラム(日本ガイシ社製)を用い、付属の説明書に基づき吸着緩衝液としてPBS(−)、溶出緩衝液として0.1M クエン酸ナトリウム緩衝液(pH3 )を用いて再構成ヒト抗HM1.24抗体をアフィニティー精製した。溶出画分は直ちに1M Tris−HCl(pH8.0 )を添加してpH7.4 付近に調整した後、遠心限外濃縮器Centriprep 10 (MILLIPORE 社製)を用いて濃縮およびPBS(−)への緩衝液置換を行い、孔径0.22μmのメンブレンフィルターMILLEX−GV (MILLIPORE 社製)を用いて濾過滅菌し精製再構成ヒト抗HM1.24抗体を得た。精製抗体の濃度は、280nm の吸光度を測定し、1mg/ml を1.350Dとして算出した。
【0190】
実施例11 再構成ヒト抗 HM1.24 抗体の活性測定
再構成ヒト抗HM1.24抗体は下記の抗原結合活性および結合阻害活性にて評価を行った。
1.抗原結合活性および結合阻害活性の測定法
1−1. 抗原結合活性の測定
抗原結合活性の測定は、WISH細胞を用いたCell−ELISAで行った。Cell−ELISA プレートは前記実施例7.1−2で記載の通り作製した。
【0191】
ブロッキングの後、COS−7 細胞の培養上清を濃縮して得られた、またはCHO 細胞の培養上清より精製された再構成ヒト抗HM1.24抗体を段階希釈して各穴に100 μl 加え、室温にて2時間インキュベーションおよび洗浄の後、ペルオキシダーゼ標識ウサギ抗ヒトIgG 抗体(DAKO社製)を加えた。室温にて1時間インキュベーションおよび洗浄の後、基質溶液を加えインキュベーションの後、6N 硫酸50μl で反応を停止させ、MICROPLATE READER Model 3550(Bio−Rad 社製)を用いて490nm での吸光度を測定した。
【0192】
1−2. 結合阻害活性の測定
ビオチン標識マウス抗HM1.24抗体による結合阻害活性は、WISH細胞を用いたCell−ELISAで行った。Cell−ELISA プレートは前述の通り作製した。ブロッキングの後、COS−7 細胞の培養上清を濃縮して得られた、またはCHO 細胞の培養上清より精製された再構成ヒト抗HM1.24抗体を段階希釈して各穴に50μl 加え、同時に2 μg/mlのビオチン標識マウス抗HM1.24抗体50μl を添加し、室温にて2時間インキュベーションおよび洗浄の後、ペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン(DAKO社製)を加えた。室温にて1時間インキュベーションした後洗浄し、基質溶液を加えインキュベーションの後、6N 硫酸50μl で反応を停止させ、MICROPLATE READER Model 3550(Bio−Rad 社製)を用いて490nm での吸光度を測定した。
【0193】
2. 再構成ヒト抗HM1.24抗体の評価
2−1. L鎖
再構成ヒト抗HM1.24抗体のL鎖バージョンaの評価は、前記の抗原結合活性の測定により行った。図8に示す通り、L鎖バージョンaはキメラH鎖と組合わせて発現させると、キメラ抗HM1.24抗体と同程度の抗原結合活性を示した。しかし、さらなる活性の上昇またはH 鎖との相性を考慮し、新たにL鎖バージョンbを作製した。そして、H 鎖のバージョンa、b、f又はhと組み合わせたときの抗原結合活性および結合阻害活性の測定を行いL 鎖バージョンa、bを共に評価した。図9、10、11及び12に示すとおり、H 鎖a、b、f及びhの全てのバージョンで、L鎖バージョンaがバージョンbに比べて両活性とも強かった。従って、再構成ヒト抗HM1.24抗体のL鎖バージョンaを以下の実験に用いた。
【0194】
2−2. H鎖バージョンa− e
再構成ヒト抗HM1.24抗体のH鎖バージョンa− eの評価はL鎖バージョンaとの組合せで、前記の抗原結合活性および結合阻害活性の測定により行った。その結果、図11、13、14及び15に示す通り、全てのバージョンにおいてキメラ抗HM1.24抗体と比較して両活性とも弱く、さらなるアミノ酸の変換が必要であると考えられた。
【0195】
2−3. H鎖ハイブリッド抗体
H鎖ハイブリッド抗体の評価は前記の抗原結合活性の測定により行った。その結果、図16に示す通り、抗原結合活性はヒト− マウスハイブリッド抗HM1.24抗体ではキメラ抗HM1.24抗体と同等の活性を有している一方、マウス・ヒトハイブリッド抗HM1.24抗体はキメラ抗HM1.24抗体と比較してその活性が弱かった。従って、マウス抗HM1.24抗体、あるいはキメラ抗HM1.24抗体と同等の抗原結合活性を有する再構成ヒトHM1.24抗体を作成するためには、H 鎖V 領域のうち、FR3 あるいはFR4 に含まれるアミノ酸を変換する必要があることが示された。
【0196】
2−4. H鎖バージョン f− r
再構成ヒト抗HM1.24抗体のH鎖バージョンfの評価は前記の抗原結合活性測定により行った。その結果、図17に示す通り、抗原結合活性はキメラ抗HM1.24抗体と比較すると劣るが、上記バージョンa− cと比較して活性が向上したことから、本バージョンで新たに変換した67、69、75及び78番目の4つのアミノ酸のうちいずれかが再構成ヒト抗体の活性に関与していることが示唆された。
再構成ヒト抗HM1.24抗体のH鎖バージョンgの評価は前記の抗原結合活性、および結合阻害活性の測定により行った。その結果、図18及び19に示す通り、本バージョンは上記バージョンaと同程度の活性しか示さなかったことから、上記H鎖ヒト・マウスハイブリッド抗体の評価で示した通り、本バージョンで変換した40番目のアミノ酸は再構成ヒト抗体の活性の向上には寄与していないことが示された。
【0197】
再構成ヒト抗HM1.24抗体のH鎖バージョンh− jの評価は前記の抗原結合活性、および結合阻害活性の測定により行った。その結果、図20、21、22、23に示す通り、全てのversion で両活性ともキメラ抗HM1.24抗体と比較すると弱く、上記バージョンfと同程度であることから、バージョンfで新たに変換した4アミノ酸のうち、67及び69番目のアミノ酸は再構成ヒト抗体の活性の向上に寄与していないことが示唆された。
再構成ヒト抗HM1.24抗体のH鎖バージョンk− pの評価は前記の抗原結合活性、および結合阻害活性の測定により行った。その結果、図24、25、26及び27に示す通り、全てのバージョンで両活性ともキメラ抗HM1.24抗体と比較すると弱く、上記バージョンhと同程度であることから、これら6つのバージョンで新たに変換した80番目以降のアミノ酸は再構成ヒト抗体の活性の向上に寄与していないことが示唆された。
【0198】
再構成ヒト抗HM1.24抗体のH鎖バージョンqの評価は前記の抗原結合活性、および結合阻害活性の測定により行った。その結果、図25及び27に示す通り、本バージョンは両活性とも上記バージョンhあるいはバージョンpと比較すると弱く、上記バージョンaと同程度の活性しか持たなかったことから、78番目のアミノ酸の置換が再構成ヒト抗体の活性の向上に必須であることが示唆された。
再構成ヒト抗HM1.24抗体のH鎖バージョンrの評価は前記の測定により行った。その結果、図15及び28に示す通り、バージョンrはキメラ抗HM1.24抗体と同程度の抗原結合活性および結合阻害活性を有することが示された。
【0199】
以上の結果より、再構成ヒト抗HM1.24抗体がマウス抗HM1.24抗体あるいはキメラ抗HM1.24抗体と同程度の抗原結合能を持つための、H 鎖における必要で最小の変換は30、71及び78番目、さらには73番目のアミノ酸であることが示された。
なお、再構成ヒト抗HM1.24抗体H鎖バージョンa− rについて、その抗原結合活性、および結合阻害活性を表6にまとめた。
【0200】
【表6】
Figure 0003587843
【0201】
2.5. H鎖バージョンs
再構成ヒト抗HM1.24抗体のH鎖バージョンsの評価は、L鎖バージョンaとの組合せで前記の抗原結合活性、および結合阻害活性の測定により行った。その結果、図29、30に示すようにバージョンsはバージョンrと同程度の抗原結合活性および結合阻害活性を有することが示された。
また、上記のごとく、本発明の再構成ヒト抗HM1.24抗体はFR中の1個又は複数個のアミノ酸残基を他のアミノ酸に置換してもなお、抗原に結合する能力を維持している。したがって、本発明は、その本来の性質を維持している限り、H鎖又はL鎖のV領域において、1個又は複数個のアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換されている再構成ヒト抗HM1.24抗体をも包含する。
【0202】
3. 精製再構成ヒト抗HM1.24抗体の評価
前記精製再構成ヒト抗HM1.24抗体は前記の抗原結合活性および結合阻害活性にて評価を行った。その結果、図31及び32に示す通り再構成ヒト抗HM1.24抗体は、キメラ抗HM1.24抗体と同程度の抗原結合活性および結合阻害活性を有することが示された。このことより、再構成ヒト抗HM1.24抗体はマウス抗HM1.24抗体と同じ抗原結合能を持つことが示された。
【0203】
実施例12 キメラ抗 HM1.24 抗体のヒト骨髄腫マウスモデルに対する抗腫瘍効果
1. 投与抗体の調製
1−1. キメラ抗HM1.24抗体の調製
前記実施例6で得られた精製キメラ抗HM1.24抗体を、遠心限外濃縮器Centriprep 10 (MILLIPORE 社製)で濃縮およびPBS(−)への緩衝液置換を行い、孔径0.22μmのメンブレンフィルターMILLEX−GV (MILLIPORE 社製)を用いて濾過滅菌した。これを濾過滅菌したPBS(−)を用いて200 μg/mlに調製し、以下の実験に用いた。抗体濃度は、280nm の吸光度を測定し、1mg/ml を1.350Dとして算出した。
【0204】
1−2. コントロールヒトIgG1の精製
キメラ抗HM1.24抗体のコントロールとして用いるヒトIgG1は以下のように精製した。Hu IgG1 Kappa Purified(BINDING SITE社製)に等量のPBS(−)を加えた後、高速抗体精製装置ConSep LC100(MILLIPORE 社製)およびHyper D Protein A カラム(日本ガイシ社製)を用い、付属の説明書に基づき吸着緩衝液としてPBS(−)、溶出緩衝液として0.1M クエン酸ナトリウム緩衝液(pH3 )を用いてアフィニティー精製した。溶出画分は直ちに1M Tris−HCl(pH8.0 )を添加してpH7.4 付近に調整した後、遠心限外濃縮器Centriprep 10 (MILLIPORE 社製)を用いて濃縮およびPBS(−)への緩衝液置換を行い、孔径0.22μmのメンブレンフィルターMILLEX−GV (MILLIPORE 社製)を用いて濾過滅菌した。これを濾過滅菌したPBS(−)を用いて200 μg/mlに調製し、以下の実験に用いた。抗体の濃度は、280nm の吸光度を測定し、1mg/ml を1.350Dとして算出した。
【0205】
2. マウス血清ヒトIgG 定量法
マウスの血清中に含まれるヒトIgG の定量は以下のELISA で行った。0.1M重炭酸緩衝液(pH9.6 )で1 μg/mlに希釈したヤギ抗ヒトIgG (TAGO社製)100 μl を96穴プレート(Nunc社製)に加え、4℃で一晩インキュベーションし、抗体を固相化した。ブロッキングの後、段階希釈したマウス血清あるいは標品としてヒトIgG (CAPPEL社製)100 μl を添加し、室温にて1時間インキュベーションした。洗浄後、2000倍希釈したアルカリフォスファターゼ標識抗ヒトIgG (CAPPEL社製)100 μl を加え、室温にて1時間インキュベートした。洗浄後、基質溶液を加えインキュベーションの後、MICROPLATE READER Model 3550(Bio−Rad 社製)を用いて405nm での吸光度を測定した。
【0206】
3. キメラ抗HM1.24抗体のヒト骨髄腫移植マウスに対する抗腫瘍効果
3−1. ヒト骨髄腫移植マウスの作製
ヒト骨髄腫移植マウスは以下のように作製した。SCIDマウス(日本クレア)を用いてin vivo 継代したKPMM2 細胞を、10%ウシ胎児血清(GIBCO−BRL 社製)を含むRPMI1640培地(GIBCO−BRL 社製)で3 x 10 個 / ml になるように調製した。あらかじめ前日抗アシアロGM1 (和光純薬社製)100 μl を腹腔内投与したSCIDマウス(オス、8週令)(日本クレア)に上記KPMM2 細胞懸濁液 200μl を尾静脈より注入した。
【0207】
3−2. 抗体投与
上記ヒト骨髄腫移植マウスよりKPMM2 細胞移植後12日目に血清を採取し、上記2 のELISA を用いて、血清中のヒトIgG を定量した。血清中のヒトIgG の上昇によりKPMM2 細胞の骨髄生着を確認した。これらマウスに対し、KPMM2 細胞移植後14、21、28日目に上記1で調製した抗体をそれぞれ100 μl 腹腔内投与した。
3−3. キメラ抗HM1.24抗体のヒト骨髄腫移植マウスに対する抗腫瘍効果の評価
キメラ抗HM1.24抗体の抗腫瘍効果については、マウスの生存期間で評価した。図33に示す通り、キメラ抗HM1.24抗体を投与したマウスではコントロールヒトIgG1を投与したマウスと比較して、生存期間の延長が認められた。従って、キメラ抗HM1.24抗体がヒト骨髄腫移植マウスに対して抗腫瘍効果を有することが示された。
【0208】
実施例 13 再構成ヒト抗 HM1.24 抗体の ADCC 活性の測定
ADCC (Antibody−dependent Cellular Cytotoxicity) 活性の測定はCurrent protocols in Immunology, Chapter 7. Immunologic studies in humans, Editor, John E, Coligan et al., John Wiley & Sons, Inc., 1993の方法に従った。
1. エフェクター細胞の調製
健常人の末梢血より比重遠心法で単核球を分離した。すなわち健常人の末梢血に等量のPBS(−)を加え、Ficoll−Paque PLUS (Pharmacia社製)に積層し、 400gで40分間遠心した。単核球層を分取し、10%ウシ胎児血清(GIBCO BRL社製)を含むRPMI 1640 (GIBCO BRL社製)で4回洗浄後、同培養液で細胞数が5 x 10/mlになるように調製した。
【0209】
SCIDマウス(日本クレア)の骨髄細胞よりLAK (Limphokine Activated Killer Cell)を誘導した。すなわちマウスの大腿骨より骨髄細胞を分離し10%ウシ胎児血清(GIBCO BRL社製)を含むRPMI 1640 (GIBCO BRL社製)で2回洗浄後、同培養液で細胞数が2 x 10/mlになるように調製した。50ng/ml のリコンビナントヒトIL−2(R & D SYSTEMS社製)および10ng/ml のリコンビナントマウスGM−CSF(R & D SYSTEMS社製)とともに、炭酸ガス培養器(TABAI社製)内で7日間培養した。同培養液で細胞数が2 x 10/mlになるように調製した。
【0210】
2. 標的細胞の調製
ヒト骨髄腫細胞株KPMM2(特開平7−236475)あるいは形質細胞腫由来ARH−77 (ATCC CRL−1621)を0.1mCiの51Cr−sodium chromate(ICN社製)とともに10%ウシ胎児血清(GIBCO BRL社製)を含むRPMI 1640 (GIBCO BRL社製)中で37℃にて60分インキュベートすることにより放射性標識した。放射性標識の後、細胞を同培養液で3回洗浄し、2 x 10/mlに調製した。
【0211】
3. ADCCアッセイ
96ウエルU底プレート(ベクトンディッキンソン社製)に放射性標識した2 x 10/mlの標的細胞を50μl と、再構成ヒト抗HM1.24抗体、マウス抗HM1.24抗体、コントロールヒトIgG1(The Binding Site Limited社製)、あるいはコントロールマウスIgG2a(UPC10 、CAPPEL社製)50μl を加え、4℃で15分間反応させた。
その後、エフェクター細胞100 μl を、炭酸ガス培養器内で4時間培養した。その際、エフェクター細胞(E)と標的細胞(T)の比(E:T)を 0:1、3.2:1 、8:1 、20:1又は50:1とした。
【0212】
100 μl の上清をとり、ガンマカウンター (ARC−300 、Aloka 社製)で培養上清中に遊離された放射活性を測定した。最大遊離放射能測定用には1%NP−40 (半井社製)を用いた。細胞障害活性(%)は(A−C)/(B−C)X 100 で計算した。なおAは抗体存在下において遊離された放射活性(cpm)、BはNP−40 により遊離された放射活性(cpm)およびCは抗体を含まず培養液のみで遊離された放射活性(cpm)を示す。
【0213】
図34にエフェクター細胞として健常人末梢血より調製した細胞を用い、標的細胞にKPMM2 を用いた場合の結果を示す。図35にエフェクター細胞として健常人末梢血より調製した細胞を用い、標的細胞にARH77 を用いた場合の結果を示す。コントロールヒトIgG1と比較して再構成ヒト抗HM1.24抗体を添加した場合、抗体濃度の上昇に従い細胞障害活性が上昇したことから、この再構成ヒト抗HM1.24抗体がADCC活性を有することが示された。
【0214】
また、再構成ヒト抗HM1.24抗体を添加した場合、マウス抗HM1.24抗体を添加した場合と比べて明らかに細胞障害活性が上昇したことから、この再構成ヒト抗HM1.24抗体がマウス抗HM1.24抗体よりも高いADCC活性を有することが示された。さらに、標的細胞がKPMM2 の場合、 0.1μg/ml以上の濃度で再構成ヒト抗HM1.24抗体を添加した場合、細胞障害活性が変わらないことから、 0.1μg/ml以上の濃度で十分なADCC活性を有することが示された。標的細胞がARH77 の場合、1μg/ml以上の濃度で再構成ヒト抗HM1.24抗体を添加した場合、細胞障害活性が変わらないことから、1μg/ml以上の濃度で十分なADCC活性を有することが示された。
【0215】
図36にエフェクター細胞としてSCIDマウス骨髄より調製した細胞を用いた場合の結果を示す。コントロールヒトIgG1と比較して再構成ヒト抗HM1.24抗体を添加した場合、抗体濃度の上昇に従い細胞障害活性が上昇したことから、この再構成ヒト抗HM1.24抗体がADCC活性を有することが示された。また、 0.1μg/ml以上の濃度で再構成ヒト抗HM1.24抗体を添加した場合、細胞障害活性が変わらないことから、 0.1μg/ml以上の濃度で十分なADCC活性を有することが示された。
これらの結果から再構成ヒト抗HM1.24抗体は、エフェクター細胞としてヒト由来、あるいはマウス由来の細胞を用いた場合でもADCC活性を有することが示された。
【0216】
実施例 14 再構成ヒト抗 HM1.24 抗体のヒト骨髄腫マウスモデルに対する抗腫瘍効果
1. 投与抗体の調製
プラスミドHEF−RVLa−AHM−gκとプラスミドHEF−RVHr−AHM−gγ1を細胞に導入して得られた再構成ヒト抗HM1.24抗体については、濾過滅菌したPBS(−)を用いて40、200 、1000μ/ml に、また、実施例12.1−2で得たコントロールヒトIgG1については、濾過滅菌したPBS(−)を用いて 200μg/mlに調製し、投与抗体とした。
2. 再構成ヒト抗HM1.24抗体のヒト骨髄腫移植マウスに対する抗腫瘍効果
2−1. ヒト骨髄腫移植マウスの作製
ヒト骨髄腫移植マウスは、実施例12.3−1に従い作製した。マウスは、SCIDマウス(5週令)(日本クレア)を用いた。
【0217】
2−2. 抗体投与
上記2−1 で作製したヒト骨髄腫移植マウスよりKPMM2 細胞移植9日目に血清を採取し、実施例12.2のELISA を用いて、血清中のヒトIgG を定量した。血清中のヒトIgG の上昇によりKPMM2 細胞の骨髄生着を確認した。これらマウスに対し、KPMM2 細胞移植後10日目に上記1で調製した抗体をそれぞれ 100μl 静脈内投与した。
【0218】
2−3. 再構成ヒト抗HM1.24抗体のヒト骨髄腫移植マウスに対する抗腫瘍効果の評価
再構成ヒト抗HM1.24抗体の抗腫瘍効果については、マウスの血清ヒトIgG 量の変化、および生存期間で評価した。
マウスの血清ヒトIgG 量の変化については、KPMM2 細胞移植35日目に血清を採取し、実施例12.2のELISA を用いてヒトIgG を定量した。その結果、図37に示すようにコントロールヒトIgG1投与群では、KPMM2 細胞移植35日目の血清ヒトIgG 量は移植9日目(抗体投与前日)と比較して約1000倍程度まで増加しているのに対し、再構成ヒト抗HM1.24抗体投与群ではいずれの投与量でも、移植9日目とほぼ同じかあるいはそれ以下であり、再構成ヒト抗HM1.24抗体がKPMM2 細胞の増殖を抑制していることが示された。
【0219】
一方、生存期間についても図38に示す通り、再構成ヒト抗HM1.24抗体投与群ではコントロールヒトIgG1投与群と比較して、生存期間の延長が認められた。以上より、再構成ヒト抗HM1.24抗体投与がヒト骨髄腫移植マウスに対して抗腫瘍効果を有することが示された。
【0220】
実施例 15 ヒト骨髄腫マウスモデルにおける、再構成ヒト抗 HM1.24 抗体と既存薬剤メルファランとの抗腫瘍効果の比較
1. 投与薬剤の調製
1−1. 投与抗体の調製
プラスミドHEF−RVLa−AHM−gκとプラスミドHEF−RVHr−AHM−gγ1を細胞に導入して得られた再構成ヒト抗HM1.24抗体については、濾過滅菌したPBS(−)を用いて40、200 μg/mlに、また、実施例12.1−2で得たコントロールヒトIgG1については、濾過滅菌したPBS(−)を用いて 200μg/mlに調製し、投与抗体とした。
1−2. メルファランの調製
骨髄腫に対する既存薬剤であるメルファラン(SIGMA製)は、 0.2%カルボメチルセルロース(CMC)(ダイセル化学工業製)を用いて、0.1mg/mlになるように調製した。
【0221】
2. ヒト骨髄腫移植マウスに対する再構成ヒト抗HM1.24抗体およびメルファランの抗腫瘍効果
2−1. ヒト骨髄腫移植マウスの作製
ヒト骨髄腫移植マウスは、実施例14.2−1に従い作製した。
2−2. 薬剤投与
上記2−1 で作製したヒト骨髄腫移植マウスよりKPMM2 細胞移植9日目に血清を採取し、実施例12.2のELISA を用いて、血清中のヒトIgG を定量した。血清中のヒトIgG の上昇によりKPMM2 細胞の骨髄生着を確認した。これらマウスに対し、KPMM2 細胞移植後10日目に上記1−1 で調製した抗体をそれぞれ 100μl 静脈内投与した。さらに、移植後10日目から1日1回、5日間 0.2% CMC溶液 200μl を経口投与した。一方、メルファラン投与群については、上記1−2 で調製したメルファラン溶液をKPMM2 細胞移植後10日目から1日1回、5日間体重10g あたり 100μl(メルファランとして1mg/kg) を経口投与した。
【0222】
2−3. 再構成ヒト抗HM1.24抗体のヒト骨髄腫移植マウスに対する抗腫瘍効果の評価
再構成ヒト抗HM1.24抗体の抗腫瘍効果については、マウスの血清ヒトIgG 量の変化、および生存期間で評価した。
マウスの血清ヒトIgG 量の変化については、KPMM2 細胞移植35日目に血清を採取し、実施例12.2のELISA を用いてヒトIgG を定量した。その結果、図39に示すようにコントロールヒトIgG1投与群では、KPMM2 細胞移植35日目の血清ヒトIgG 量は移植9日目(抗体投与前日)と比較して1000倍程度増加し、マウス中でKPMM2 細胞が増殖しているものと思われた。
【0223】
また、既存薬であるメルファランを投与した群でも、コントロールヒトIgG1投与群ほどではないものの、血清ヒトIgG 量は薬剤投与前より増加しており、メルファランの投与ではマウス中のKPMM2 細胞の増殖を完全には抑制できないと思われた。一方、再構成ヒト抗HM1.24抗体投与群ではいずれの投与量でも、移植9日目より血清ヒトIgG 量が減少しており、再構成ヒト抗HM1.24抗体がKPMM2 細胞の増殖を抑制していることが示された。
【0224】
一方、生存期間についても図40に示す通り、再構成ヒト抗HM1.24抗体投与群ではコントロールヒトIgG1投与群、あるいはメルファラン投与群と比較して、生存期間の延長が認められた。以上より、再構成ヒト抗HM1.24抗体投与がヒト骨髄腫移植マウスに対して抗腫瘍効果を有すること、さらに本抗体の抗腫瘍効果は既存薬剤のメルファランよりも強いことが示された。
以上より、ヒト由来のエフェクター細胞を用いた場合、マウス抗HM1.24抗体は殆どヒト骨髄腫細胞に対して、細胞障害活性を示さなかったのに比して、再構成ヒト抗HM1.24抗体およびキメラ抗HM1.24抗体は強い細胞障害活性を示した。この事実は抗体をヒト型化することの重要性を示し、再構成ヒト抗HM1.24抗体のヒトでの有用性を期待させる。
【0225】
ヒト骨髄腫移植SCIDマウスにおいて、再構成ヒト抗HM1.24抗体が非常に強い抗腫瘍効果を示したが、ヒトにおいては当然エフェクターはヒト由来であり、リンパ球も正常に存在していることから、再構成ヒト抗HM1.24抗体のさらに強い抗腫瘍効果が期待できる。
骨髄腫モデルにおいて、再構成ヒト抗HM1.24抗体は既存の骨髄腫治療薬に比べ強い抗腫瘍効果を示したことより、再構成ヒト抗HM1.24抗体が画期的な骨髄腫治療薬になることが期待される。
【0226】
参考例1. マウス抗 HM1.24 モノクローナル抗体産生ハイブリドーマの調製
Goto, T. et al., Blood (1994) 84, 1992−1930 に記載の方法にて、マウス抗HM1.24モノクローナル抗体産生ハイブリドーマを調製した。
ヒト多発性骨髄腫患者の骨髄に由来するエプスタインーバーウィルスー核抗原(EBNA)ー陰性形質細胞株KPC−32(1x10 個)(Goto, T. et al., Jpn. J. Clin. Hematol. (11991) 32, 1400)をBALB/Cマウス(チャールスリバー製)の腹腔内に6 週間おきに2 回注射した。
【0227】
このマウスを屠殺する3 日前にマウスの抗体産生価をさらに上昇させるために、1.5 x 10 個のKPC−32細胞をマウスの脾臓内に注射した(Goto, T. et al., Tokushima J. Exp. Med. (1990) 37, 89 )。マウスを屠殺した後に脾臓を摘出し、Groth, de St. & Schreideggerの方法(Cancer Research (1981) 41, 3465 )に従い摘出した脾臓細胞とミエローマ細胞SP2/0 を細胞融合に付した。
【0228】
KPC−32細胞をコートしたプレートを使用するELISA (Posner, M. R. et al., J. Immunol. Methods (1982) 48, 23 )によりハイブリドーマ培養上清中の抗体のスクリーニングを行った。5 x 10 個のKPC−32細胞を50 ml のPBS に懸濁し、96ウエルプレート(U 底型、Corning 、Iwaki 製)に分注した。1%ウシ血清アルブミン(BSA )を含むPBS でブロックした後、ハイブリドーマ培養上清を加え4 ℃にて2 時間インキュベートした。次いで、4 ℃にて1 時間ペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG ヤギ抗体(Zymed 製)を反応させ、一度洗浄して、室温にて30分間o−フェニレンジアミン基質溶液(Sumitomo Bakelite 製)を反応させた。
【0229】
2N硫酸で反応を停止させ、ELISA reader(Bio−Rad 製)で492nm における吸光度を測定した。ヒト免疫グロブリンに対する抗体を産生するハイブリドーマを除去するために、陽性ハイブリドーマ培養上清をヒト血清にあらかじめ吸着させ、他の細胞下部に対する反応性をELISA にてスクリーニングした。陽性のハイブリドーマを選択し、種々の細胞株およびヒトの標本に対する反応性をフローサイトメトリーで調べた。最後に選択されたハイブリドーマクローンを二度クローン化し、これをプリスタン処理したBALB/Cマウスの腹腔に注射して、腹水を取得した。
【0230】
モノクローナル抗体は、硫酸アンモニウムによる沈澱とプロテインA アフィニティクロマトグラフィーキット(Ampure PA 、Amersham製)によりマウス腹水より精製した。精製抗体は、Quick Tag FITC結合キット(ベーリンガーマンハイム製)を使用することによりフルオロセイニチオシアネート(FITC)と結合させた。
その結果、30のハイブリドーマクローンが産生するモノクローナル抗体がKPC−32およびRPMI 8226 細胞と反応した。クローニングの後、これらのハイブリドーマの培養上清を他の細胞株と末梢血由来単核球との反応性を調べた。
【0231】
このうち、3 つのクローンが形質細胞に特異的に反応するモノクローナル抗体であった。これらの3 つのクローンのうち、最もフローサイトメトリー分析に有用であり、かつRPMI 8226 細胞に対する補体依存性細胞障害活性を有するハイブリドーマクローンを選択し、HM1.24と名付けた。このハイブリドーマが産生するモノクローナル抗体のサブクラスを、サブクラス特異的抗マウスウサギ抗体(Zymed 製)を用いたELISA にて決定した。抗HM1.24抗体は、IgG2a κのサブクラスを有していた。抗HM1.24抗体を産生するハイブリドーマHM1.24は、工業技術院生命工学工業研究所(茨城県つくば市東1丁目1番3号)に、平成7年9月14日にFERM BP−5233としてブタペスト条約に基づき国際寄託された。
【0232】
参考例2. HM1.24 抗原ポリペプチドをコードする cDNA のクローニング
1. cDNAライブラリーの作製
1)全RNA の調製
マウスモノクローナル抗体HM1.24が特異的に認識する抗原ポリペプチドであるHM1.24抗原をコードするcDNAを以下のように単離した。
ヒト多発性骨髄腫細胞株KPMM2 から、全RNA をChirgwinら(Biochcmistry, 18, 5294 (1979))の方法に従って調製した。すなわち、2.2 x 10 個のKPMM2 を20mlの4Mグアニジンチオシアネート(ナカライテスク製)中で完全にホモジナイズさせた。
【0233】
ホモジネートを遠心管中の5.3M塩化セシウム溶液層状に重層し、次にこれをBeckman SW40ローター中で31,000rpm にて20℃で24時間遠心分離することによりRNA を沈殿させた。RNA 沈殿物を70%エタノールにより洗浄し、そして1mM EDTA及び 0.5% SDSを含有する10mM Tris−HCl (pH 7.4) 300μl 中に溶解し、それにPronase(Boehringer製)を0.5mg/mlとなるように添加した後、37℃にて30分間インキュベートした。混合物をフェノール及びクロロホルムで抽出し、RNA をエタノールで沈殿させた。次に、RNA 沈殿物を1mM EDTAを含有する10mM Tris−HCl (pH 7.4) 200μl に溶解した。
【0234】
2)poly(A) +RNA の調製
前記のようにして調製した全RNA の約 500μg を材料としてFast Track 2.0m RNA Isolation Kit(Invitrogen製)を用いてキット添付の処方に従ってpoly(A) +RNA を精製した。
3)cDNAライブラリーの構築
上記poly(A) +RNA 10μg を材料としてcDNA合成キットTimeSaver cDNA Synthesis Kit(Pharmacia製)を用いてキット添付の処方に従って二本鎖cDNAを合成し、更にDirectional Cloning Toolbox (Pharmacia製)を用いてキット付属のEcoRI アダプターをキット添付の処方に従って連結した。EcoRI アダプターのカイネーション及び制限酵素NotI処理はキット添付の処方に従って行った。更に、約500bp 以上の大きさのアダプター付加二本鎖cDNAを 1.5%低融点アガロースゲル(Sigma製)を用いて分離、精製し、アダプター付加二本鎖cDNA約40μl を得た。
【0235】
このようにして作製したアダプター付加二本鎖cDNAを、あらかじめ制限酵素EcoRI 、NotI及びアルカリフォスファターゼ(宝酒造製)処理したpCOS1 ベクター(特願平8−255196)とT4 DNAリガーゼ(GIBCO−BRL製)を用いて連結し、cDNAライブラリーを構築した。構築したcDNAライブラリーは、大腸菌細胞株DH5 α(GIBCO−BRL製)に形質導入され、全体のサイズは約2.5 x 10 個の独立したクローンであると推定された。
【0236】
2. 直接発現法によるクローニング
1)COS−7 細胞へのトランスフェクション
上記の形質導入した大腸菌約5 x 10 クローンを50μg/mlのアンピシリンを含む2−YT培地(Molecular Cloning : A Laboratory Mannual. Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)) にて培養することによりcDNAの増幅を行い、アルカリ法(Molecular Cloning : A Laboratory Mannual. Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)) により大腸菌からプラスミドDNA を回収した。得られたプラスミドDNA はGene Pulser 装置(Bio−Rad製)を用いてエレクトロポレーション法によりCOS−7 細胞にトランスフェクションした。
【0237】
すなわち、精製したプラスミドDNA 10μg を1 x 10 細胞/ml でPBS 中に懸濁したCOS−7 細胞液0.8ml に加え、1500V 、25μFDの容量にてパルスを与えた。室温にて10分間の回復期間の後、エレクトロポレーション処理された細胞は、10%牛胎児血清(GIBCO−BRL製)を含むDMEM培養液(GIBCO−BRL製)にて、37℃、5% COの条件下で3日間培養した。
【0238】
2)パンニングデイッシュの調製
マウス抗HM1.24抗体をコーティングしたパンニングデイッシュを、B.Seedら(Proc.Natl.Acad.Sci. USA, 84, 3365−3369 (1987)) の方法に従って調製した。すなわち、マウス抗HM1.24抗体を10μg/mlになるように50mM Tris−HCl (pH 9.5)に加えた。このようにして調製した抗体溶液3ml を直径60mmの細胞培養皿に加え、室温にて2時間インキュベートした。0.15M NaCl溶液にて3回洗浄した後、5%牛胎児血清、1mM EDTA、0.02% NaN を含むPBS を加え、ブロッキングした後、下記クローニングに用いた。
【0239】
3)cDNAライブラリーのクローニング
前述のようにトランスフェクトしたCOS−7 細胞は、5mM EDTAを含むPBS にて剥がし、5%牛胎児血清を含むPBS で一回洗浄した後、約1 x 10 細胞/ml となるように5%牛胎児血清及び0.02% NaN を含むPBS に懸濁し、上記のように調製したパンニングデイシュに加え、室温にて約2時間インキュベートした。5%牛胎児血清及び0.02% NaN を含むPBS で3度緩やかに洗浄した後、 0.6% SDS及び10mM EDTA を含む溶液を用いてパンニングデイシュに結合した細胞からプラスミドDNA の回収を行った。
【0240】
回収したプラスミドDNA を再び大腸菌DH5 αに形質導入し、前述のようにプラスミドDNA を増幅後、アルカリ法にて回収した。回収したプラスミドDNA をCOS−7 細胞にエレクトロポレーション法によりトランスフェクトして前述と同様に結合した細胞よりプラスミドDNA の回収を行った。同様の操作を更に1回繰り返し、回収したプラスミドDNA を制限酵素EcoRI およびNotIで消化した結果、約0.9kbpのサイズのインサートの濃縮が確認された。さらに、回収したプラスミドDNA の一部を形質導入した大腸菌を50μg/mlのアンピシリンを含む2−YTアガープレートに接種し、一晩培養後、単一のコロニーよりプラスミドDNA を回収した。制限酵素EcoRI およびNotIにて消化し、インサートのサイズが約0.9kbpを示すクローンp3.19 を得た。
【0241】
本クローンについては、PRISM, Dye Terminater Cycle Sequencingキット(Perkin Elmer製)を用いて、キット添付の処方に従い反応を行い、ABI 373A DNA Sequencer (Perkin Elmer製)にて塩基配列の決定を行った。このアミノ酸配列および塩基配列を配列番号103 に示す。
配列番号:103 に示すアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするcDNAはpUC19 ベクターのXbaI切断部位の間に挿入されて、プラスミドpRS38−pUC19 として調製されている。このプラスミドpRS38−pUC19 を含む大腸菌(E. coli) は平成5年(1993年)10月5日付で工業技術院生命工学工業技術研究所(茨城県つくば市東1丁目1番3号)にEscherichia coli DH5α (pRS38−pUC19)として、受託番号FERM BP−4434としてブダペスト条約に基づき国際寄託されている(特開平7−196694参照)。
【0242】
【発明の効果】
キメラ抗HM1.24抗体はマウス抗HM1.24抗体の可変領域とヒト抗体定常領域からなり、再構成抗HM1.24抗体はマウス抗HM1.24抗体の相捕性決定領域とヒト抗体フレームワーク領域およびヒト抗体定常領域からなることから、ヒトにおける抗原性が低く、それ故に医薬組成物、特に骨髄腫治療剤として期待される。
【0243】
【配列表】
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【0244】
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【0245】
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【0246】
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【0250】
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【0253】
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【0254】
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【0345】
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【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、ヒト骨髄腫細胞株KPMM2 を用いたFCM 解析において、キメラ抗HM1.24抗体の蛍光強度がマウス抗HM1.24抗体の蛍光強度と同様に、コントロール抗体に比べシフトしていることを示すグラフである。
【図2】図2は、WISH細胞を用いたCell−ELISAにおいて、キメラ抗HM1.24抗体はマウス抗HM1.24抗体と同様に、ビオチン化マウス抗HM1.24抗体のWISH細胞への結合を濃度依存的阻害していることを示すグラフである。
【図3】図3は、コントロールヒトIgG1、あるいはマウス抗HM1.24抗体は、RPMI8226細胞に対する細胞障害活性を持たないのに対し、キメラ抗HM1.24抗体はE/T 比の上昇に伴い、RPMI 8226 細胞に対する細胞障害活性が上昇していることを示すグラフである。
【図4】図4は、PCR 法によるCDR グラフティングにより再構成ヒト抗HM1.24抗体L 鎖を、作製する方法を示す模式図である。
【図5】図5は、再構成ヒト抗HM1.24抗体H 鎖の作製において、PCR 法によりRVH1、RVH2、RVH3及びRVH4のオリゴヌクレオチドをアセンブリーする方法を示す模式図である。
【図6】図6は、PCR 法によりヒト・マウスハイブリッド抗HM1.24抗体H 鎖V 領域を作製する方法を示す模式図である。
【図7】図7は、PCR 法によりマウス・ヒトハイブリッド抗HM1.24抗体H 鎖V 領域を作製する方法を示す模式図である。
【図8】図8は、再構成ヒト抗HM1.24抗体L 鎖バージョンaはキメラ抗HM1.24抗体と同程度の抗原結合活性を有することを示すグラフである。なお、−1, −2はロットの違いを示す。
【図9】図9は、L 鎖バージョンaとH 鎖バージョンa、b、f又はhを組み合わせた再構成ヒト抗HM1.24抗体およびキメラ抗体HM1.24抗体の抗原結合活性を示すグラフである。
【図10】図10は、L 鎖バージョンbとH 鎖バージョンa、b、f又はhを組み合わせた再構成ヒト抗HM1.24抗体およびキメラ抗体HM1.24抗体の結合活性を示すグラフである。
【図11】図11は、L 鎖バージョンaとH 鎖バージョンa、b、f又はhを組み合わせた再構成ヒト抗HM1.24抗体およびキメラ抗体HM1.24抗体の結合阻害活性を示すグラフである。
【図12】図12は、L 鎖バージョンbとH 鎖バージョンa、b、f又はhを組み合わせた再構成ヒト抗HM1.24抗体およびキメラ抗体HM1.24抗体の結合阻害活性を示すグラフである。
【図13】図13は、再構成ヒト抗HM1.24抗体H 鎖バージョンa、b、c、d及びキメラ抗HM1.24抗体の抗原結合活性を示すグラフである。
【図14】図14は、再構成ヒト抗HM1.24抗体H 鎖バージョンa、e及びキメラ抗HM1.24抗体の抗原結合活性を示すグラフである。なお、−1, −2はロットの違いを示す。
【図15】図15は、再構成ヒト抗HM1.24抗体H 鎖バージョンa、c、p、r及びキメラ抗HM1.24抗体の結合阻害活性を示すグラフである。
【図16】図16は、ヒト・マウスハイブリッド抗HM1.24抗体、マウス・ヒトハイブリッド抗HM1.24抗体およびキメラ抗HM1.24抗体の抗原結合活性を示すグラフである。
【図17】図17は、再構成ヒト抗HM1.24抗体H 鎖バージョンa、b、c、f及びキメラ抗HM1.24抗体の抗原結合活性を示すグラフである。
【図18】図18は、再構成ヒト抗HM1.24抗体H 鎖バージョンa、g及びキメラ抗HM1.24抗体の抗原結合活性を示すグラフである。
【図19】図19は、再構成ヒト抗HM1.24抗体H 鎖バージョンa、g及びキメラ抗HM1.24抗体の結合阻害活性を示すグラフである。
【図20】図20は、再構成ヒト抗HM1.24抗体H 鎖バージョンh、i及びキメラ抗HM1.24抗体の抗原結合活性を示すグラフである。
【図21】図21は、再構成ヒト抗HM1.24抗体H 鎖バージョンf、h、j及びにキメラ抗HM1.24抗体の抗原結合活性を示す。
【図22】図22は、再構成ヒト抗HM1.24抗体H 鎖バージョンh、i及びキメラ抗HM1.24抗体の結合阻害活性を示すグラフである。
【図23】図23は、再構成ヒト抗HM1.24抗体H 鎖バージョンf、h、j及びキメラ抗HM1.24抗体の結合阻害活性を示すグラフである。
【図24】図24は、再構成ヒト抗HM1.24抗体H 鎖バージョンh、k、l、m、n、o及びキメラ抗HM1.24抗体の抗原結合活性を示すグラフである。
【図25】図25は、再構成ヒト抗HM1.24抗体H 鎖バージョンa、h、p、q及びキメラ抗HM1.24抗体の抗原結合活性を示すグラフである。
【図26】図26は、再構成ヒト抗HM1.24抗体H 鎖バージョンh、k、l、m、n、o及びキメラ抗HM1.24抗体のWISH細胞への結合阻害活性を示すグラフである。
【図27】図27は、再構成ヒト抗HM1.24抗体H 鎖バージョンa、h、p、q及びキメラ抗HM1.24抗体の結合阻害活性を示すグラフである。
【図28】図28は、再構成ヒト抗HM1.24抗体H 鎖バージョンa、c、p、r及びキメラ抗HM1.24抗体の抗原結合活性を示すグラフである。
【図29】図29は、再構成ヒト抗HM1.24抗体バージョンsが、再構成ヒト抗HM1.24抗体バージョンrと同程度の抗原結合活性を有することを示すグラフである。
【図30】図30は、再構成ヒト抗HM1.24抗体バージョンsが、再構成ヒト抗HM1.24抗体バージョンrと同程度の結合阻害活性を有することを示すグラフである。
【図31】図31は、精製再構成ヒト抗HM1.24抗体は、キメラ抗HM1.24抗体と同程度の抗原結合活性を有することを示すグラフである。
【図32】図32は、精製再構成ヒト抗HM1.24抗体は、キメラ抗HM1.24抗体と同程度の結合阻害活性を有することを示すグラフである。
【図33】図33は、ヒト骨髄腫移植マウスにおいて、キメラ抗HM1.24抗体の投与により、コントロールヒトIgG1投与に比べて、生存期間が延長していることを示すグラフである。
【図34】図34は、エフェクター細胞としてヒト健常人末梢血由来細胞を用いた場合、コントロールヒトIgG1はKPMM2 細胞に対して細胞障害活性を示さず、また、マウス抗HM1.24抗体も細胞障害活性が弱いのに対し、再構成ヒト抗HM1.24抗体は、KPMM2 細胞に対して強い細胞障害活性を示していることを示す表すグラフである。
【図35】図35は、エフェクター細胞としてヒト健常人末梢血由来細胞を用いた場合、コントロールヒトIgG1はARH−77細胞に対して細胞障害活性を示さず、また、マウス抗HM1.24抗体も細胞障害活性が弱いのに対し、再構成ヒト抗HM1.24抗体は、ARH−77細胞に対して強い細胞障害活性を示していることを示す表すグラフである。
【図36】図36は、エフェクター細胞としてSCIDマウス骨髄由来細胞を用いた場合、コントロールヒトIgG1はKPMM2 細胞に対する細胞障害活性を持たないのに対し、再構成ヒト抗HM1.24抗体は抗体温度の上昇に伴い、KPMM2 細胞に対する細胞障害活性が上昇していることを表すグラフである。
【図37】図37は、ヒト骨髄腫移植マウスにおいて、コントロールヒトIgG1では投与前に比べ投与後も血清ヒトIgG 量が増加しているのに対し、再構成ヒト抗HM1.24抗体では、抗体投与により、血清ヒトIgG 量の増加を抑制していることを示すグラフである。
【図38】図38は、ヒト骨髄腫移植マウスにおいて、再構成ヒト抗HM1.24抗体の投与により、コントロールヒトIgG1投与に比べ、生存期間が延長していることを示すグラフである。
【図39】図39は、ヒト骨髄腫移植マウスにおいて、メルファラン、およびコントロールヒトIgG1では投与前に比べ投与後も血清ヒトIgG 量が増加しているのに対し、再構成ヒト抗HM1.24抗体では、抗体投与により、血清ヒトIgG 量の増加を抑制していることを示すグラフである。
【図40】図40は、ヒト骨髄腫移植マウスにおいて、再構成ヒト抗HM1.24抗体の投与により、メルファラン、あるいはコントロールヒトIgG1投与に比べ、生存期間が延長していることを示すグラフである。

Claims (53)

  1. 配列番号:103に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドに結合するキメラ抗体の軽(L)鎖であって、ヒトL鎖定常領域(C領域)、及び前記ポリペプチドに結合するマウス抗体のL鎖可変(V)領域を含んで成るキメラL鎖。
  2. 前記L鎖V領域が配列番号:1に示されるアミノ酸配列を含んで成る請求項1に記載のキメラL鎖。
  3. 前記ヒトL鎖C領域がCκである請求項1に記載のキメラL鎖。
  4. 配列番号:103に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドに結合するキメラ抗体の重(H)鎖であって、ヒトH鎖定常領域(C領域)、及び前記ポリペプチドに結合するマウス抗体のH鎖可変(V)領域を含んで成るキメラH鎖。
  5. 前記H鎖V領域が配列番号:2に示されるアミノ酸配列を含んで成る請求項4に記載のキメラH鎖。
  6. 前記ヒトH鎖C領域がCγである請求項4に記載のキメラH鎖。
  7. 配列番号:103に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドに結合するキメラ抗体であって、
    (1)ヒトL鎖C領域、及び前記ポリペプチドに結合するマウス抗体のL鎖V領域を含んでなるL鎖;並びに
    (2)ヒトH鎖C領域、及び前記ポリペプチドに結合するマウス抗体のH鎖V領域を含んでなるH鎖;
    を含んでなるキメラ抗体。
  8. 前記L鎖V領域が配列番号:1に示されるアミノ酸配列を含んで成り、そして前記H鎖V領域が配列番号:2に示されるアミノ酸配列を含んで成る、請求項7に記載のキメラ抗体。
  9. 配列番号:103に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドに結合するマウス抗体のL鎖V領域をコードするDNA。
  10. 前記L鎖V領域が配列番号:1に示されるアミノ酸配列を含んで成る、請求項9に記載のDNA。
  11. 前記L鎖V領域をコードするDNAが配列番号:1に示されるヌクレオチド配列を含んで成る、請求項9に記載のDNA。
  12. 配列番号:103に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドに結合するマウス抗体のH鎖V領域をコードするDNA。
  13. 前記H鎖V領域が配列番号:2に示されるアミノ酸配列を含んで成る、請求項12に記載のDNA。
  14. 前記H鎖V領域をコードするDNAが配列番号:2に示されるヌクレオチド配列を含んで成る、請求項12に記載のDNA。
  15. (1)ヒトL鎖C領域;及び
    (2)配列番号:103に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドに結合するマウス抗体のL鎖V領域;
    を含んでなる、キメラL鎖をコードするDNA。
  16. 前記L鎖V領域が配列番号:1に示されるアミノ酸配列を含んで成る、請求項15に記載のDNA。
  17. 前記L鎖V領域が配列番号:1に示されるヌクレオチド配列によりコードされる、請求項15に記載のDNA。
  18. (1)ヒトH鎖C領域;及び
    (2)配列番号:103に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドに結合するマウス抗体のH鎖V領域;
    を含んでなる、キメラH鎖をコードするDNA。
  19. 前記H鎖V領域が配列番号:2に示されるアミノ酸配列を含んで成る、請求項18記載のDNA。
  20. 前記H鎖V領域が配列番号:2に示されるヌクレオチド配列により コードされる、請求項18に記載のDNA。
  21. (1)ヒトL鎖V領域のFR、及び
    (2)配列番号:103に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドに結合するマウス抗体のL鎖V領域のCDRであって、CDR1が配列番号:3に示すアミノ酸配列を含んで成り、CDR2が配列番号:4に示すアミノ酸配列を含んで成り、そしてCDR3が配列番号:5に示すアミノ酸配列を含んで成るCDR;
    を含んでなる、配列番号:103に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドに結合する再構成ヒトL鎖V領域をコードするDNA。
  22. 前記FRがHSGIのヒト抗体FRに由来する、請求項21に記載の再構成ヒトL鎖V領域をコードするDNA。
  23. 前記FRがヒト抗体REIのFRに由来する、請求項21に記載の再構成ヒトL鎖V領域をコードするDNA。
  24. 前記FRがヒト抗体REIのFRと同じである、請求項21に記載の再構成ヒトL鎖V領域をコードするDNA。
  25. 配列番号:9又は10に示されるヌクレオチド配列を含んで成る、請求項21に記載の再構成ヒト抗体L鎖V領域をコードする、請求項21に記載のDNA。
  26. 配列番号:9に示されるヌクレオチド配列を含んで成る、請求項21に記載の再構成ヒトL鎖V領域をコードするDNA。
  27. (1)ヒトH鎖V領域のFR、及び
    (2)配列番号:103に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドに結合するマウス抗体のH鎖V領域のCDRであって、CDR1が配列番号:6に示すアミノ酸配列を含んで成り、CDR2が配列番号:7に示すアミノ酸配列を含んで成り、そしてCDR3が配列番号:8に示すアミノ酸配列を含んで成るCDR;
    を含んでなる、配列番号:103に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドに結合する再構成ヒトH鎖V領域をコードするDNA。
  28. 前記FRがHSGIのヒト抗体のFRに由来する、請求項27に記載の再構成ヒトH鎖V領域をコードするDNA。
  29. 前記FR1〜3がヒト抗体HG3のFR1〜3に由来し、前記FR4がヒト抗体JH6のFR4に由来する、請求項27に記載の再構成ヒトH鎖V領域をコードするDNA。
  30. 前記FR1〜3がヒト抗体HG3のFR1〜3と同じであり、前記FR4がヒト抗体JH6のFR4と同じである、請求項27に記載の再構成ヒトH鎖V領域をコードするDNA。
  31. 前記FR1においてKabat の規定による30位のアミノ酸がスレオニンであり、前記FR3においてKabat の規定による71位のアミノ酸がアラニンであり、前記FR3においてKabat の規定による78位のアミノ酸がアラニンである、請求項27に記載の再構成ヒト抗体H鎖V領域をコードするDNA。
  32. 前記FR3においてKabat の規定による73位のアミノ酸がリジンである、請求項27に記載の再構成ヒト抗体H鎖V領域をコードするDNA。
  33. 配列番号:11〜28又は102のヌクレイチド配列を含んで成る、請求項27に記載の再構成ヒト抗体のH鎖V領域をコードするDNA。
  34. 配列番号:18、19、20、21、22、23、24、25、26、28又は102に示されるヌクレオチド配列を含んで成る、請求項27に記載の再構成ヒトH鎖V領域をコードするDNA。
  35. (1)ヒトL鎖C領域;並びに
    (2)(i)ヒトL鎖FR、及び(ii)配列番号:103に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドに結合するマウス抗体のL鎖V領域のCDRであって、CDR1が配列番号:3に示すアミノ酸配列を含んで成り、CDR2が配列番号:4に示すアミノ酸配列を含んで成り、そしてCDR3が配列番号:5に示すアミノ酸配列を含んで成るCDR、を含んで成るL鎖V領域;
    を含んでなる、配列番号:103に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドに結合する再構成ヒトL鎖をコードするDNA。
  36. 前記ヒトL鎖V領域が配列番号:9又は10に示されるヌクレオチド配列によりコードされる、請求項35に記載のDNA。
  37. 前記L鎖V領域が配列番号:9に示されるヌクレオチド配列によりコードされる請求項35に記載のDNA。
  38. 前記ヒトL鎖C領域がヒトL鎖Cκ領域である、請求項35に記載のDNA。
  39. (1)ヒトH鎖C領域;並びに
    (2)(i)ヒトH鎖FR、及び(ii)配列番号:103に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドに結合するマウス抗体のH鎖V領域のCDRであって、CDR1が配列番号:6に示すアミノ酸配列を含んで成り、CDR2が配列番号:7に示すアミノ酸配列を含んで成り、そしてCDR3が配列番号:8に示すアミノ酸配列を含んで成るCDR、を含んで成るH鎖V領域;
    を含んでなる、配列番号:103に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドに結合する再構成ヒトH鎖をコードするDNA。
  40. 前記ヒトH鎖V領域が配列番号:11〜28のいずれか又は102に示されるヌクレオチド配列によりコードされる、請求項39に記載のDNA。
  41. 前記H鎖V領域が配列番号:18、19、20、21、22、23、24、25、26、28又は102に示されるヌクレオチド配列によりコードされる、請求項39に記載の再構成ヒトH鎖をコードするDNA。
  42. 前記ヒトH鎖C領域がヒトH鎖Cγ1領域である、請求項39に記載の再構成ヒトH鎖をコードするDNA。
  43. 請求項9〜42のいずれか1項に記載のDNAを含んでなるベクター。
  44. 請求項9〜42のいずれか1項に記載のDNAを含んでなるベクターにより形質転換された宿主細胞。
  45. 配列番号:103に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドに結合するキメラ抗体の製造方法であって、請求項9、10、11、15、16および17のいずれかに記載のDNAを含んでなる発現ベクター及び請求項12、13、14、18、19および20のいずれかに記載のDNAを含んでなる発現ベクターにより同時形質転換された宿主細胞を培養し、そして目的とする抗体を回収する、段階を含んでなる方法。
  46. 配列番号:103に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドに結合する再構成ヒト抗体であって、
    (A)(1)ヒトL鎖C領域;並びに(2)(i)ヒトL鎖FR、及び(ii)配列番号:103に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドに結合するマウス抗体のL鎖V領域のCDRであって、CDR1が配列番号:3に示すアミノ酸配列を含んで成り、CDR2が配列番号:4に示すアミノ酸配列を含んで成り、そしてCDR3が配列番号:5に示すアミノ酸配列を含んで成るCDR、を含んで成るL鎖V領域;を含んでなる、再構成ヒトL鎖;並びに
    (B)(1)ヒトH鎖C領域;並びに(2)(i)ヒトH鎖FR、及び(ii)配列番号:103に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドに結合するマウス抗体のH鎖V領域のCDRであって、CDR1が配列番号:6に示すアミノ酸配列を含んで成り、CDR2が配列番号:7に示すアミノ酸配列を含んで成り、そしてCDR3が配列番号:8に示すアミノ酸配列を含んで成るCDR、を含んで成るH鎖V領域;を含んでなる、配列番号: 103 に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドに結合する再構成ヒトH鎖;
    を含んで成る再構成ヒト抗体、
    の製造方法であって、請求項21、22、23、24、25、26、35、36、37および38のいずれか1項に記載のDNAを含んでなる発現ベクター及び請求項27〜42のずれか1項に記載のDNAを含んでなる発現ベクターにより同時形質転換された宿主細胞を培養し、そして目的とする抗体を回収する、ことを含んでなる方法。
  47. 配列番号:103に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドに結合する再構成ヒト抗体のL鎖V領域であって、配列番号:10のアミノ酸番号1〜107に示すアミノ酸配列を含んで成る、再構成ヒトL鎖V領域。
  48. 配列番号:103に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドに結合する再構成ヒト抗体のL鎖であって、配列番号:10のアミノ酸番号1〜107に示すアミノ酸配列を含んで成るL鎖V領域と、ヒトL鎖C領域とを含んで成る再構成ヒトL鎖。
  49. 前記L鎖C領域がCκである、請求項48に記載の再構成ヒトL鎖。
  50. 配列番号:103に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドに結合する再構成ヒト抗体のH鎖V領域であって、配列番号:11〜27のいずれか一つの配列番号のアミノ酸番号1〜120に示すアミノ酸配列を含んで成る、再構成ヒトH鎖V領域。
  51. 配列番号:103に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドに結合する再構成ヒト抗体のH鎖であって、配列番号:11〜27のいずれか一つの配列番号のアミノ酸配列1〜120に示すアミノ酸配列を含んで成るH鎖V領域と、ヒトH鎖C領域とを含んで成る再構成ヒトH鎖。
  52. 前記H鎖C領域がCγ1である、請求項51に記載の再構成ヒトH鎖。
  53. 配列番号:103に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドに結合する再構成ヒト抗体であって、
    (A)配列番号:10のアミノ酸番号1〜107に示すアミノ酸配列を含んで成るL鎖V領域と、ヒトL鎖C領域とを含んで成る再構成ヒトL鎖;並びに
    (B)配列番号:11〜28又は102のいずれか一つの配列番号のアミノ酸配列1〜120に示すアミノ酸配列を含んで成るH鎖V領域と、ヒトH鎖C領域とを含んで成る再構成ヒトH鎖;
    を含んで成る再構成ヒト抗体(但し、L鎖V領域が配列番号:9のアミノ酸番号1〜107に示すアミノ酸配列からなり、且つH鎖V領域が配列番号:28又は102のいずれか一つの配列番号のアミノ酸番号1〜120に示すアミノ酸配列からなる再構成ヒト抗体を除く)。
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