JP3587308B2 - ぶれ消去映像表示方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、記録されている映像を再生する際に、急激なカメラ操作等の結果生じるぶれ映像に対してぶれを消去して表示する映像表示方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、急激なカメラ操作等の結果生ずる、いわゆるぶれに対しては、カメラ側において、ジャイロ等の角速度検出機を用いて検出される角度変位に対し、実時間で変位分を打ち消した映像を記録していた(例えば、日経エレクトロニクス誌1991.11.25(No.541),pp.217−226、参照)。
【0003】
図7は従来方式によるぶれ防止機構を説明するためのブロック構成図であり、24〜26は再生/表示装置29の構成要素である。24は再生/表示装置29の表示部、25は再生部、26は再生/表示制御部である。
【0004】
50〜56はカメラ装置59の構成要素であり、50は垂直/水平角速度センサ、51はズームエンコーダ、52はカメラのレンズ、53はCCD、54は駆動タイミング発生部、55はぶれ制御部、56は記録部である。
【0005】
図7に示すように、カメラ装置59では、垂直/水平角速度センサ50で測定される垂直及び水平の角速度と、ズームエンコーダ51のズームエンコーダ出力をぶれ制御部55において加え、駆動タイミング発生部54で発生したぶれ防止に必要な駆動タイミングでCCD53から映像信号を読み出し、記録部56によりテープに記録する。記録されたテープは、再生/表示制御部26の制御により再生/表示装置29の再生部25で再生され、24の表示部に表示される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来方式の場合、動作範囲内の変位に対してはぶれ防止を行った映像が得られる点では有効であるが、動作許容範囲を越えるとかえって余計な処理を加えた映像を記録することがある。また、カメラが揺れることにより、安定している場合よりも結果的に短時間により広い範囲を撮影していることになり、多くの情報が含まれているにもかかわらず記録しないという問題があった。
【0007】
本発明は、前記問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、記録されたぶれを含む映像を再生・表示する際に、ぶれを消去した映像を表示することが可能な技術を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、実際に撮影された状況をより広い範囲で表示することが可能な技術を提供することにある。
【0009】
本発明の前記ならびにその他の目的及び新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかにする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明のぶれ消去映像表示方法は、記録された映像を再生・表示する際に、表示画面上に任意の基準位置を設定して、映像を再生しながら局所的でない全体的な映像の流れを解析し、縦方向及び横方向の時々刻々の全体的な変位を抽出し、それがあらかじめ定める一定時間あたりの変位量を越える場合に、抽出した縦・横のそれぞれの変位分だけ、変位方向と反対方向にずらせて、フレームまたはフィールド画像をフレームバッファに書き込み、映像表示時に時々刻々ディスプレイに表示される各フレームまたはフィールド画像の中で、次のフレームまたはフィールド画像を前記フレームバッファに書き込む際に、前記次のフレームまたはフィールド画像により上書きされない領域については、あらかじめ定める一定時間残したまま表示することを特徴とする。
【0011】
ここで、「局所的でない全体的な映像の流れを解析し」とは、撮影画像の各フレームの行または列単位で得た画素値を時系列に並べて作成した画像フレームに対し、フィルタ処理を行ってエッジ強度及びエッジ方向を算出し、この算出結果により、撮影状況(ズーミング等)を解析することをいう。
【0012】
また、映像の変り目であるカット点で表示位置を基準位置に戻すことを特徴とする。
【0015】
【作用】
前述の手段によれば、記録されたぶれを含む映像を再生・表示する際に、映像の解析結果を用い、それがあらかじめ定める一定値を越える場合に、変位分を打ち消す方向にずらせた位置に映像を表示するので、ぶれを消去した映像を表示することができる。
【0016】
また、連続映像表示時に時々刻々ディスプレイ装置に表示された各フレームまたはフィールド画像が、次のフレームまたはフィールドに重ね表示されない領域についてはあらかじめ定める一定時間残したまま表示するので、実際に撮影された状況をより広い範囲で表示できる効果がある。
【0017】
さらに、これらの処理がカット点で基準位置のリセットが行われることにより画面中央を中心にした表示が可能となる。
【0018】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して説明する。
【0019】
(実施例1)
図1は本発明によるぶれ消去映像表示方法の実施例1の処理の流れを示すフローチャート、図2は実施例1の処理が実現されるための実施装置の機能構成を示すブロック図である。
【0020】
図2において、20は中央演算処理装置(CPU)からなる中央制御部、21は画像メモリからなる映像蓄積部、22は画像データが記憶されているテープ、23は画像表示処理を行うためのフレームバッファ、24はディスプレイ装置からなる表示部である。
【0021】
本実施例1の消去映像表示方法の処理は、主に中央制御部20の制御にて行われる。図1に示すように、まず、ステップ1のぶれ防止表示処理では、表示部24の表示画面上の基準位置となるフレームバッファ23上の位置を設定する(ステップ2)。以下、フレーム毎の処理の繰り返しとなる。
【0022】
各フレームの処理としては、まず、テープ22から映像蓄積部21に蓄積された映像を読み出し(ステップ3)、近傍のフレーム画像から映像の流れの解析を行う(ステップ4)。この映像の流れの解析には、例えば、特願平4−244674号の発明による映像撮影状態検出方法を用いることにより、映像の局所的でない全体的な流れから横方向の変位分としてパン成分、縦方向の変位分としてチルト成分、さらにズーム成分を抽出することができる。
【0023】
次に、これら映像の流れが不連続点であるかどうかを調ベることによりカット点検出を行い(ステップ5)、該処理フレームがカット点直後のフレームであれば、フレームバッファをクリアする(ステップ11)とともに、表示基準位置の初期化を行う(ステップ12)。
【0024】
一方、映像の流れが連続しておりカット点でないと判断されれば抽出された縦/横の変位成分から画像表示上の画素数としての変位量を求め(ステップ6)、その変位量があらかじめ定める基準値と比較して(ステップ7)、基準以上であれば、表示位置を変位分だけを変位方向と反対方向にずらせて(ステップ8)、フレームバッファ23に書き込むことで表示部24に表示する(ステップ9)。以上の処理を、終了までフレーム毎に繰り返す。
【0025】
(実施例2)
図3及び図4は本発明によるぶれ消去映像表示方法の実施例2の処理の流れを示すフローチャート、図5は実施例2の処理が実現されるための実施装置の機能構成を示すブロック図である。
【0026】
図5において、20は中央演算処理装置(CPU)からなる中央制御部、21は画像メモリからなる映像蓄積部、23は画像表示処理を行うためのフレームバッファ、24はディスプレイ装置からなる表示部、29は再生/表示装置の表示部である。
【0027】
50はカメラ装置59の垂直/水平角速度センサ、51はズームエンコーダ、52はカメラのレンズ、53はCCD、56は記録部である。
【0028】
本実施例2の消去映像表示方法の処理は、主に中央制御部20の制御にて行われる。図3に示すように、まず、時々刻々のカメラ側の映像記録処理30として、垂直/水平角速度センサ50及びズームエンコーダ51の出力を記録制御部57に入力し(ステップ31)、記録制御部57ではそれらの値を記録するためのデジタル数値形式に変換するとともに、CCD53からの映像信号同期と一緒に同期させながらの値を記録部56による記録する(ステップ32)。なお、この記録方法については、特願平4−1698号に詳しく記載されているので、ここでは、その詳細な説明は省略する。
【0029】
一方、図4に示すように、再生/表示装置29におけるぶれ防止表示処理(ステップ34)では、処理は主に中央制御部20の制御によって行われるが、まず、再生/表示装置の表示部24の表示画面上の基準位置となるフレームバッファ23上の位置を設定する(ステップ35)。以下、フレーム毎の処理の繰返しとなる。各フレームの処理としては、まず、映像蓄積部21に蓄積された映像をテープから読み出し(ステップ36)、次に、同時に記録されているカメラ角速度及びカット点情報を読み出す(ステップ37)。該処理フレームがカット点であるかどうかをチェックし(ステップ38)、カット点であれば、フレームバッファをクリアする(ステップ39)とともに、表示基準位置の初期化を行う(ステップ40)。
【0030】
一方、カット点でない場合は、縦/横の変位成分及びズームエンコーダ量から画像表示上の画素数としての変位量を求め(ステップ41)、その変位量があらかじめ定める基準値と比較して(ステップ42)、基準以上であれば表示位置を変位分だけを変位方向と反対方向にずらせて(ステップ43)、フレームバッファ23に書き込むことで表示部24に表示する(ステップ44)。以上の処理を終了までフレーム毎に繰り返す。
【0031】
以上の実施例2は、フレームバッファ23上で上書きされない部分を次のカット点まで消さない場合であるが、より短い時間幅で消すことも容易に実現できる。
【0032】
図6は具体的な表示例を説明するための説明図である。今、時刻T0時点とT1時点のサプル画像を(a)図に示しているが、このT0〜T1の間に大きな映像の流れが左に動く現象が検出される変位があった例を示している。(b)図は映像の流れの単位時間当りの変位量66を左右及び上下方向について描いたものであり、上の図は左右方向の単位時間当りの変位量67、下の図は上下方向についての単位時間当りの変位量67を示す。
【0033】
ここで、ぶれ消去動作範囲はしきい値69以上となる領域であり、はみだした分を補正対象変位量として用いる。実際の表示上では、表示基準位置63に対し、時刻T1時点の画像を表示する際には変位に対する補正量分だけ図のようにずらせ、補正基準位置65を基準として表示する。
【0034】
以上、本発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更し得ることはいうまでもない。
【0035】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によれば、記録されたぶれを含む映像を再生・表示する際に、映像の解析結果を用い、それがあらかじめ定める一定値を越える場合に、変位を打ち消す方向にずらせた位置に映像を表示するので、ぶれを消去した映像を表示することができる。
【0036】
また、連続映像表示時に時々刻々ディスプレイに表示される各フレームまたはフィールド画像の中で、次のフレームまたはフィールド画像を前記フレームバッファに書き込む際に、前記次のフレームまたはフィールド画像により上書きされない領域についてはあらかじめ定める一定時間残したまま表示するので、実際に撮影された状況をより広い範囲で表示することができる。
【0037】
また、これらの処理がカット点で基準位置のリセットが行われるので、画面中央を中心にした表示が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるぶれ消去映像表示方法の実施例1の処理の流れを示すフローチャート、
【図2】本実施例1の処理が実現されるための実施装置の機能構成を示すブロック図、
【図3】本発明によるぶれ消去映像表示方法の実施例2の処理の流れを示すフローチャート、
【図4】本発明によるぶれ消去映像表示方法の実施例2の処理の流れを示すフローチャート、
【図5】本実施例2の処理が実現されるための実施装置の機能構成を示すブロック図、
【図6】本実施例2の具体的な表示例を説明するための説明図、
【図7】従来方式によるぶれ防止機構を説明するためのブロック構成図。
【符号の説明】
20…中央制御部、21…映像蓄積部、22…映像記録用テープ、23…フレームバッファ、24…表示部、25…再生部、26…再生/表示制御部、29…再生/表示装置、50…垂直/水平角速度センサ、51…ズームエンコーダ、52…レンズ、53…CCD、54…駆動タイミング発生部、55…ぶれ制御部、56…記録部、57…記録制御部、59…カメラ装置。
Claims (2)
- 記録された映像を再生・表示する際に、表示画面上に任意の基準位置を設定して、映像を再生しながら局所的でない全体的な映像の流れを解析し、縦方向及び横方向の時々刻々の全体的な変位を抽出し、
それがあらかじめ定める一定時間あたりの変位量を越える場合に、抽出した縦・横のそれぞれの変位分だけ、変位方向と反対方向にずらせて、フレームまたはフィールド画像をフレームバッファに書き込み、
映像表示時に時々刻々ディスプレイに表示される各フレームまたはフィールド画像の中で、次のフレームまたはフィールド画像を前記フレームバッファに書き込む際に、前記次のフレームまたはフィールド画像により上書きされない領域については、あらかじめ定める一定時間残したまま表示することを特徴とするぶれ消去映像表示方法。 - 映像の変り目であるカット点で表示位置を前記基準位置に戻すことを特徴とする請求項1に記載のぶれ消去映像表示方法。
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