JP3587291B2 - Tab用テープ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低反り、高寸法安定性のTAB用テープに関する物である。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータ並びにIC制御の電気・電子機器の小型化・ポータブル化に伴い、これらに用いられるICパッケージ材料も小型化・薄型化が益々求めれるようになっている。このため、これらに施される配線パターンも細密になり、その分求められる寸法精度も厳しくなっている。
【0003】
その結果、薄型ICパッケージのひとつであるTAB用テープについても寸法変化ができるだけ小さいものが要求される。寸法変化を小さくするためには、TAB用テープのベース材すなわちポリイミドフィルムが応力・温度変化・吸湿度変化による寸法変化が小さいことが必要になる。すなわち線膨張係数が小さく、弾性率が高く吸湿膨張係数の低いポリイミドフィルムが求められるのである。
【0004】
ただし、線膨張係数に関してはTAB用テープとして用いる場合、金属層特に銅箔との張り合わせ品として加工されるため、銅の線膨張係数と大きく異なると、張り合わせ品の反りを生じ、それにより加工がしにくくなりかえってトータルの寸法精度や歩留まりを低下させる結果となる。従って、銅箔の線膨脹係数との差が小さい線膨脹係数が求められる。
【0005】
また弾性率については、引張りに対する寸法変化を小さくするというだけでなく、材料が益々薄型化するに伴って、積層材全体としての「こし」を保ち各種工程を安定に保つためにも、高弾性率が求められる。
【0006】
フィルムの高弾性率化のためには、剛直な構造のモノマー即ち直線性の高いモノマーを用いれば良いことは広く知られているところである。ところが、直線性の高いモノマーを多量用いればフィルムの線膨張係数は低くなりすぎて、上記用途には適さなくなる。従って、一定以上の高い弾性率を有しながらも、線膨張係数は銅箔のそれに対し著しく差異がないことが求められるのである。
【0007】
比較的高い弾性率を実現しながらも線膨張係数を下げ過ぎないための方法論として、一次構造(モノマー構造)としては比較的剛直な構造を用いながらも、これを熱キュア法で製造し(すなわち化学的イミド化剤を用いずに製造し)、面方向の配向を甘くするという方法でこのバランスがとれる例もあるが、熱キュア法は化学的キュア法に比べ必要な加熱時間が長く、生産性に劣るという不利がある。
【0008】
さらに高弾性率を実現するのは、基本的に剛直で直線性の高いモノマーを用いる必要があるが、その結果、フィルムの柔軟性は損なわれ、TAB用フィルムとしての利点の一つである折り曲げ可能という点に、難が生じる可能性がある。
【0009】
また、半導体パッケージ用途等では、半導体の信頼性の観点から、吸水率ができるだけ低いことが求められ、上述のように寸法安定性の観点から低い吸湿膨張係数を有することが求められる。吸水率や吸湿膨張係数を下げるためには、分子構造中のイミド基量を減らすことが有効である。イミド基量をへらすには、長鎖のモノマーを用いることが有効であり、この長鎖のモノマーとしては屈曲基を主鎖中に複数含むモノマーを使用されることが多い。しかし、これは弾性率の低下や線膨張係数の過度な増大をまねき、上記の寸法安定性の観点からは好ましくない。極端な場合は低温(例えば200℃以下)にTgを有するような熱可塑性を示すようになり、ベースフィルムとして用いるには適さなくなる。
【0010】
しかし、直線性で長いモノマーを用いると、分子鎖のパッキングが難しくなり、十分な靭性を発現することができず、場合によってはフィルムに加工すること自体が困難になるという問題がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような要求と現状に鑑み、高い弾性率・銅に近い線膨張係数・十分な靭性・低吸水率と低吸湿膨張係数といった特性を併せ持つポリイミドフィルムを用いることによって従来レベルを上回る低反り・高寸法安定性のTAB用テープを得ることを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前述の要求に鑑みTAB用テープに用いるポリイミドフィルムの種々の組成を検討した結果、特定の組成のポリイミドフィルムを用いることにより、極めて優れた反り特性と寸法安定性を有したTAB用テープを見出したものである。
【0013】
すなわち本発明の第1は、ポリイミドフィルムと導電性金属層を接着剤を介してまたは介さずに積層されたTAB用テープにおいて、前記ポリイミドフィルムが、全酸二無水物中1〜90モル%のp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)と10〜99モル%のオキシジフタル酸二無水物、
及び全ジアミン中25〜90モル%のp−フェニレンジアミンと10ないし75モル%の4、4’ジアミノジフェニルエーテルを有機溶剤中で反応させて得られるポリアミド酸から製造されたものであるTAB用テープを内容とするものである。
【0014】
本発明の第2は、ポリイミドフィルムと導電性金属層を接着剤を介してまたは介さずに積層されたTAB用テープにおいて、該ポリイミドフィルムが、
全酸二無水物に対し5〜50モル%のp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)と50〜95モル%のオキシジフタル酸二無水物、
及び、全ジアミンに対し、50〜90モル%のp−フェニレンジアミンと10〜50モル%の4、4’ジアミノジフェニルエーテルを、
有機溶剤中で反応させて得られるポリアミド酸から製造されたものであるTAB用テープを内容とするものである。
【0015】
本発明の第3は、前記ポリイミドフィルムが、
ポリアミド酸からのポリイミドへのイミド化の工程において、酸無水物と第三級アミンを化学イミド化剤として用いて製造されたポリイミドからなり、
100℃から200℃の間の平均線膨張係数が15〜30ppm、
引張弾性率が4.5〜8.5GPa、
引張伸び率が20%以上、
吸湿膨張係数が10ppm以下、
Tgが200℃以上であるポリイミドフィルムを用いたTAB用テープを内容とする。
【0016】
p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)モノマーは、パラフェニレンジアミンとの組み合わせにおいて、全体として棒状構造を有すため高弾性を示すことが可能であり、さらに主鎖構造上にはエステル結合を有し、これが熱的にはやや柔軟であるため、例えばピロメリット酸を用いた場合等に比べると線膨張係数が極端に下がることが無い。また、エステル結合がイミド環の分極を緩和し、吸水率を下げ吸水膨張率を下げる効果も有するのである。
【0017】
ところが、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)モノマーは、ピロメリット酸二無水物に比較して熱的に柔軟であるが、p−フェニレンジアミンとの組み合わせでは、構造的に硬すぎまた線膨張係数も依然低く、さらに靭性が不十分でありTAB用途には適さない。この傾向は、ジアミノジフェニルエーテルを共重合することにより構造を柔らかくしてバランスをとろうとしても、傾向が極端ではなくなるだけで、依然一定以上の弾性率を得ようとすると線膨張係数は下がりすぎ、また靭性も不十分である。
【0018】
この観点から、オキシジフタル酸二無水物はより好ましく、p−フェニレンジアミンとジアミノジフェニルエーテルとの共重合によって、適度に高い弾性率と銅との組み合わせにおいて不都合のない適度な線膨張係数、また十分な靭性等を実現することができる。
【0019】
しかし、オキシジフタル酸二無水物との共重合させるのみでは、吸水率そのものはさほど下がらない。そこで、本発明者らは、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)をさらに共重合することにより、吸湿特性を下げてかつ諸特性を好ましく保持し得る上記の組み合わせを見出した。
【0020】
特に本発明はポリアミド酸からポリイミドへのイミド化の工程において、酸無水物と第三級アミンを化学イミド化剤として用いた場合に、TAB用に最適な特性が発現できるものであり、すなわちその特性とは100℃から200℃の間の平均線膨張係数が15〜30ppm、さらに好ましくは18〜26ppm、引張弾性率が4.5〜8.5GPa、さらに好ましくは5.5〜8.5GPa、引張伸び率が20%以上、吸湿膨張係数が10ppm以下、Tgが200℃以上である。
【0021】
上記のように化学イミド化剤を用いると生産性が良いので好ましい。なお、化学イミド化剤を用いない場合でも、上記組成を用いるならば製造工程で延伸工程を入れる等の方法により、同等の特性を実現することも可能である。
【0022】
以上に説明したようなポリイミドフィルムを用いることによって、本発明において、金属箔、特に銅箔との積層品であるTAB用テープとして極めて良好な反り特性と低寸法変化を実現できるのである。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の重合工程で用いる有機溶剤としては通常ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の合成に用いられる種々の溶剤を用いることができる。
【0024】
例示するとN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、N−メチル−2−ピロリドン等のピロリドン類、フェノール、p−クロロフェノール、o−クロロフェノール等のフェノール類等である。溶解性の高さからは特にはN,N−ジメチルアセトアミドが好適である。
【0025】
またこれらの溶解性の高い高極性溶媒に対し、トルエン・テトラヒドロフラン・アセトン・メチルエチルケトン・メタノール・エタノール等の貧溶媒を一部添加することも可能である。場合によっては、これらを混合し、適当な溶解度パラメータに調整することにより単一溶媒よりも溶解性を高めることも可能であるし、また沸点が低いまたは揮発性が高い溶剤を用いることで工程の時間を短縮し生産性を上げるという効果もある。
【0026】
本発明に用いられるポリイミドフィルムは、有機溶剤中で、酸二無水物としてp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)、化1
【0027】
【化1】
Figure 0003587291
【0028】
オキシジフタル酸二無水物、化2
【0029】
【化2】
Figure 0003587291
【0030】
及び、ジアミンとして、p−フェニレンジアミン、化3
【0031】
【化3】
Figure 0003587291
【0032】
4、4‘ジアミノジフェニルエーテル、化4
【0033】
【化4】
Figure 0003587291
【0034】
の4種のモノマーを有機溶剤中で反応させて得られるポリアミド酸をイミド化して得られる。
【0035】
モノマーの添加割合は、目的の諸特性を得るためには、具体的には、全酸二無水物中p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)が1〜90モル%、オキシジフタル酸二無水物が10〜99モル%、及び全ジアミン中p−フェニレンジアミンが25〜90モル%と4、4’ジアミノジフェニルエーテルが10〜75モル%が好ましい。より好ましくは、全酸二無水物に対しp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)5〜50モル%、オキシジフタル酸二無水物が50〜95モル%、及び
全ジアミンに対しp−フェニレンジアミンが50〜90モル%、4、4’−ジアミノジフェニルエーテルが10〜50モル%である。
【0036】
モノマーの添加順序については種々の方法を取ることができる。それらの順序によってフィルム特性を微妙にコントロールすることもできる。具体例を上げて説明すると、例えば、
▲1▼ジアミノジフェニルエーテルとパラフェニレンジアミンを溶剤中に溶解し、これに対して、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸二無水物)を加え、その後オキシジフタル酸二無水物を加える方法、
▲2▼同様に2種のジアミンを溶剤に溶解しておき、これに▲1▼の順序とは逆の順序で二種の酸二無水物を順次加える方法、
▲3▼同様に2種のジアミンを溶解しておき、これに2種の酸二無水物の混合物を加える方法、
▲4▼2種のジアミンのうちどちらか一方を溶剤に溶解しておき、これに2種の酸二無水物のうち1種を加えて、その後にもう1種のジアミンを加え、さらにその後もう1種の酸二無水物を加える方法、等を挙げることができる。
【0037】
1種のジアミンを複数のステップに分けて添加することなどでさらにバリエーションは多くなり、これらにより種々の特性の微妙な調整が可能である。特に4、4’−ジアミノジフェニルエーテルとパラフェニレンジアミンを有機溶剤中に溶解させ、これにp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)を加え、続いてオキシジフタル酸二無水物を加えるという手順によって合成されたポリアミド酸を用いた場合は、酸二無水物の添加順序をこの逆にした場合よりも得られるポリイミドフィルムが高いTgを示すことを見出しており、好ましい。
【0038】
何れの場合もジアミン化合物のモル量の合計と酸二無水物化合物のモル量の合計はほぼ同一となるように用いる。「ほぼ同一」の表現の意味は、完全に同一であると重合度が過度に上がりすぎ、その結果溶液粘度が過度に上昇して取り扱えなくなるからである。ジアミン化合物モル量合計と、酸二無水物化合物モル量合計の比率が0.95〜1.05、好ましくは0.98〜1.02の範囲でかつ粘度が下記に示すような適度な値となるようにするのが良い。
【0039】
なお、上述の3ないし4種のモノマー以外のモノマー成分を少量、すなわちジアミンの場合はジアミン全体の10モル%以下、酸二無水物の場合は酸二無水物全体の15モル%以下の量を用いて特性の微妙な調整をすることも可能である。使用するモノマーにもよるが、概ねこの量以下の共重合であれば、吸湿特性・熱特性・機械特性を好ましいレベルに保つことができる。
【0040】
少量用いるモノマーとしては、以下のものを例示し得る。例えば、ジアミンとしては、ジメチルベンジジン、2、2’−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、4、4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、またこれらのフッ素等ハロゲン置換体等があげられる。酸二無水物としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルフォンテトラカルボン酸二無水物、等が挙げられる。
【0041】
上記重合反応に際して、反応系は一貫して60℃以下好ましくは40℃以下において行われることが好ましい。温度が高い状態であると、酸二無水物基の開環反応が生じやすくポリアミド酸の生成反応を阻害することがある。また窒素・アルゴン等の不活性ガス中で反応を行うことが好ましい。
【0042】
ポリアミド酸の溶液中の濃度は、5〜30wt%さらには10〜25wt%が好ましい。これより低いと乾燥すべき溶剤が増えるために生産性が落ちるし、これより高いと特性発現に必要な分子量にすると粘度が高くなりすぎる。加工性の面から粘度は、22℃で100〜10000poise、好ましくは500〜6000poiseに設定するのが好ましい。低すぎると、分子量が低いということであり、従ってフィルムとした場合の特性が不十分となるし、また低すぎる粘度は加工の際に安定した厚みを出すことが難しくなる。高すぎる粘度は溶液の攪拌やフィルム状への加工に強い力が必要になり不都合である。
【0043】
上記の様にして得られたポリアミド酸溶液をポリイミドフィルムに加工するためには、イミド化触媒を用いる化学的キュア法と、用いない熱キュア法とがあるが、脱水剤と触媒を添加した上で加熱・乾燥する化学的キュア法が生産性もよくまた上述の組成で通常の製法によりバランスのとれた特性となるので好ましい。
【0044】
以下に化学的キュア法によるポリイミドフィルムの作成方法についての例を説明する。
【0045】
上記ポリアミック酸溶液に化学量論以上の脱水剤と触媒量の第3級アミンを加えた溶液を、支持板やPET等の有機フィルム、ドラム或はエンドレスベルト等の支持体上に流延または塗布して膜状とし、その膜を150℃以下の温度で約5〜90分間乾燥し、自己支持性のポリアミック酸の膜を得る。ついで、これを支持体より引き剥し端部を固定する。その後約100〜450℃程度まで徐々に加熱することによりイミド化し、冷却後これより取り外し本発明のポリイミドフィルムを得る。
【0046】
ここで言う脱水剤としては、例えば無水酢酸等の脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物などが挙げられる。また触媒としては、例えばトリエチルアミンなどの脂肪族第3級アミン類、ジメチルアニリン等の芳香族第3級アミン類、ピリジン、ピコリン、イソキノリン等の複素環式第3級アミン類などが挙げられる。
【0047】
高温域での焼成時のフィルムの劣化を防止する目的で、熱劣化防止剤を添加することが有効である。熱劣化防止剤としては、トリフェニルフォスフェイト等のリン酸系の劣化防止剤、置換基を有する又は有さないベンゾフェノン等が上げられる。
【0048】
またフィルムとしての種々の特性をさらに向上させる目的で、ポリアミド酸溶液を調製する際、あるいはポリアミド酸溶液を調製した後、または化学的方法による脱水剤及び触媒に、上記熱的・機械的特性を低下させない範囲で、少量の金属単体や有機金属化合物またガラス系等のフィラー類・上記以外の熱硬化性樹脂、酸化防止剤、光安定剤,難燃剤、帯電防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、あるいは無機フィラー類、またはその他の強化剤等を混合し得る。
【0049】
ポリイミドフィルムの厚みは12〜150μm 、好ましくは25〜125μm 、さらに好ましくは50〜75μm が適当である。薄すぎるとフィルムのコシがなくなり、加工がしにくくなる。厚すぎると、折り曲げがしにくくなる上にコスト高となり工業的に好ましくない。
【0050】
上記のようにして得られた本発明に用いられるポリイミドフィルムは、100℃から200℃の間の平均線膨張係数が15〜30ppm、引張弾性率が4.5〜8.5GPa、引張伸び率が20%以上、吸湿膨張係数が10ppm以下、Tgが200℃以上である諸特性を同時に兼ね備える優れたポリイミドフィルムである。
【0051】
上記のポリイミドフィルムをTABテープに加工するにあたっては、
▲1▼ポリイミドフィルムと金属箔のいずれかにBステージ化された接着剤層を形成し、その両者を圧着後加熱により接着剤を硬化させ、その後金属箔のエッチングによりパターン形成する。
▲2▼ポリイミドフィルムと金属箔の間にシート状の接着剤または熱可塑性のポリイミド等をはさみ、この3層積層品を圧力下で加熱し、さらに必要であればポストキュア(非加圧下での加熱)を行う。その後金属箔のエッチングによりパターン形成
▲3▼ポリイミドフィルム上にスパッタ法または無電解メッキ法により薄層の金属層を形成し、続いて電解メッキにより所定の厚みの金属薄層を形成する。その後金属層のエッチングによりパターン形成する。
等の方法で行うことができる。
【0052】
なお、ポリイミドフィルムは、ポリイミドフィル単体もしくはBステージ状の接着剤と積層された段階でパンチングなどの方法で穴開けすることができる。また▲1▼の方法をとる場合、Bステージの接着剤層をポリイミドフィルム上の任意の位置に形成する手段として、PETなどの保護フィルム上にBステージ接着剤層を形成してスリットしたのち、ポリイミドフィルムに熱転写する方法を取ることができる。
【0053】
用いる金属箔としては、上記方法に既述したように銅箔が導電性や加工性の点から好適であり、電解銅箔、圧延銅箔のいずれも用いることができる。金属箔の厚みは5〜40μm 、好ましくは10〜25μm が用いられる。薄すぎると強度が小さくなり加工が困難である。厚すぎるとパターンを細密にすることが困難になる。
【0054】
接着剤を介して積層する場合に用いる接着剤としては、通常FPCやTAB用に用いられる種々の接着剤を用いることができる。例えば、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ゴム系樹脂、等を単独または種々の割合で溶剤とともに混合したものを用いることができ、更に必要に応じて硬化剤や硬化促進剤などの添加剤を添加したものを用いる。
【0055】
接着剤の厚みは5〜25μm 好ましくは8〜15μm である。薄すぎると銅箔のプロファイルを十分に埋めることが出来なくなり、接着信頼性に劣る。厚すぎると、接着剤の硬化収縮起因の反りが大きくなり好ましくない。
【0056】
【実施例】
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0057】
以下の実施例中において、TMHQはp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)を、
ODPAはオキシジフタル酸二無水物を、
BPDAは3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を、
PMDAはピロメリット酸二無水物を、
PDAはパラフェニレンジアミンを、
ODAは4,4’ージアミノジフェニルエーテルを表す。
【0058】
ここで定義する線膨張係数とは、TMAの測定における100℃〜200℃の値の平均値である。
【0059】
吸湿膨張係数は、フィルムがたるまないように最低限の加重をかけた状態(5mm×20mmのサンプルに対し、約3g程度)で湿度を30%RHに調湿し完全に飽和するまで吸湿させて寸法を計測し、その後湿度を90%RHに調湿して同様に飽和吸湿させた後寸法を計測し、両者の結果から相対湿度差1%あたりの寸法変化率を求めた。
【0060】
また、ポリイミドフィルムの物性評価における引張伸び率・引張初期弾性率は、ASTM−D882に準じて測定したものである。
【0061】
線膨張係数は、理学電機(株)製TMA8140により窒素下で10℃/分の昇温速度で100〜200℃の値を測定したものである。吸湿膨張率は既述の方法に従った。
【0062】
Tgは、動的粘弾性測定装置(セイコー電子工業(株)製DMS200)を用いて引張モードで3℃/分で昇温させながら測定しtanδのピーク値から求めた。
【0063】
反りの値は、以下の手順で作成したTAB用テープを平面上に静置し4隅のうき上がり高さを測定し、4点のデータの平均値で示した。
▲1▼ポリアミド樹脂(日本リルサン社製プラタボンドM1276 )50重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製エピコート828)30重量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂10重量部、トルエン/イソプロピルアルコール1/1混合溶液150重量部を混合した溶液に、ジアミノジフェニルスルホン/ジシアンジアミド4/1 20%メチルセロソルブ溶液45重量部を混合した接着剤溶液を調整し、
▲2▼25μm 厚みのPETフィルム上に▲1▼の接着剤を乾燥後11μm になるように塗布し、120℃で2分乾燥した。このBステージ接着剤付きPETフィルムを27mm幅にスリットした。
▲3▼35mm幅のポリイミドフィルムの中央部に▲2▼のBステージ接着剤付きPETフィルムを張り合わせ、90℃で1kg/cmの圧力で圧着した。
▲4▼PETフィルムを剥がし、銅箔(三井金属製、VLP18μm 厚み)と、ロールラミネート法で張り合わせた。張り合わせの温度は120℃、圧力は2kg/cmである。
▲5▼上記銅張あわせ品を、60℃で3時間、80℃で3時間、120℃で3時間、140℃で3時間、160℃で4時間のステップで加熱後徐冷して接着剤の硬化を行った。
▲6▼接着剤の硬化後、モデルパターンを用いて、感光性レジストによるパターニングを行い、図1のような形状に銅箔を残すようエッチングを行った。
▲7▼図1の35mm角サンプルを湿度60%RH、温度23℃の部屋に72時間放置した。評価は、銅パターンを内にする反りを−、銅パターンを外にする反りを+とした。
【0064】
(実施例1)
窒素置換雰囲気中の氷浴下でジメチルアセトアミド750g中に、25.1g(総ジアミン中の約62.5mol%)のPDAと27.9g(総ジアミン中の約37.5mol%)のODAを溶解し、これにTMHQ52.7g(総酸二無水物中の約31mol%)を徐々に加えて良く攪拌反応させ、続いてODPA79.4g(総酸無水物中の約69mol%)を徐々に加え、23℃での測定で約2500poiseのポリアミド酸溶液を得た。
【0065】
このポリアミド酸溶液100gを0℃程度に冷却し、これに13.5gの無水酢酸と4.1gのイソキノリンを加えて、均一に攪拌しこれを、SUS板上に焼成後50μm になるような所定の厚みにキャストし、125℃で5分熱風乾燥した。その後SUS板よりフィルムを引き剥がし、これを4片を固定した状態で170℃で1.5分、250℃で1.5分、350℃で3分、430℃で3分加熱乾燥し、ポリイミドフィルムを得た。このフィルムをベースフィルムとして上述の方法でTAB用テープに加工し、反りの値を測定した。またベースフィルムの引張弾性率、破断時伸び率、線膨張係数、吸湿膨張係数、Tgを測定した結果を表1に示す。
【0066】
【表1】
Figure 0003587291
【0067】
(実施例2)
窒素置換雰囲気中の氷浴下でジメチルアセトアミド750g中に、20.6g(総ジアミン中の約55mol%)のPDAと31.2g(総ジアミン中の約45mol%)のODAを溶解し、これにTMHQ79.4g(総酸二無水物中の約50mol%)を徐々に加えて良く攪拌反応させ、続いてODPA53.8g(総酸二無水物中の約50mol%)を徐々に加え、23℃での測定で約2500poiseのポリアミド酸溶液を得た。
【0068】
(実施例3)
窒素置換雰囲気中の氷浴下でジメチルアセトアミド800g中に、28.9g(総ジアミン中の約62.5mol%)のPDAを溶解し、これに82g(総酸二無水物中の約61.8mol%)ODPAを徐々に加えてよく攪拌反応させ、これに32.1g(総ジアミン中の約37.5mol%)のODAを加えてよく攪拌反応し、続いて残りのODPA37.5g(総酸二無水物中の約28.2mol%)を徐々に加えてよく攪拌反応させ、さらにこの後、TMHQ19.6g(総酸二無水物中の10mol%)を徐々に加えて良く攪拌反応させ、23℃での測定で約3200poiseのポリアミド酸溶液を得た。
【0069】
このポリアミド酸溶液を実施例と同様の方法で加工し、ポリイミドフィルムとしさらにTAB用テープに加工した。実施例1と同様の特性試験を行い、結果を表1に示した。
【0070】
(比較例1〜4)
実施例と同様の方法で、ジメチルアセトアミド中にジアミン成分を全て溶解した後酸二無水物を加える方法で、溶液中の総固形分が20%となるように設定し、粘度が2500poiseになるように重合反応をおこなった。各成分とそのモル%は表2に示している。実施例と同様にこれらポリアミド酸溶液を用いてポリイミドフィルムを得てその特性を測定し、上述の方法でTAB用テープに加工して反りを測定した結果を表2に示す。
【0071】
【表2】
Figure 0003587291
【0072】
【発明の効果】
本発明のTAB用テープは従来になかった優れた反り特性を有し、なおかつ吸湿による寸法変化が小さい。同時に柔軟性・耐熱性にも優れ、益々細密化し多様化する半導体パッケージ用材料として極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の反りを測定するためのパターン

Claims (3)

  1. ポリイミドフィルムと導電性金属層を接着剤を介してまたは介さずに積層されたTAB用テープにおいて、該ポリイミドフィルムが、
    全酸二無水物に対し、1〜90モル%のp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)と、10〜99モル%のオキシジフタル酸二無水物、
    及び全ジアミンに対し25〜90モル%のp−フェニレンジアミンと、10〜75モル%の4、4’ジアミノジフェニルエーテルを、
    有機溶剤中で反応させて得られるポリアミド酸から製造されたことを特徴とするTAB用テープ。
  2. ポリイミドフィルムと導電性金属層を接着剤を介してまたは介さずに積層されたTAB用テープにおいて、該ポリイミドフィルムが、
    全酸二無水物に対し、5〜50モル%のp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)と50〜95モル%のオキシジフタル酸二無水物、
    及び、全ジアミンに対し、50〜90モル%のp−フェニレンジアミンと10〜50モル%の4、4’ジアミノジフェニルエーテルを、
    有機溶剤中で反応させて得られるポリアミド酸から製造されたものであることを特徴とするTAB用テープ。
  3. ポリイミドフィルムと導電性金属層を接着剤を介してまたは介さずに積層されたTAB用テープにおいて、該ポリイミドフィルムが、
    ポリアミド酸からのポリイミドへのイミド化の工程において、酸無水物と第三級アミンを化学イミド化剤として用いて製造されたポリイミドからなり、
    100℃から200℃の間の平均線膨張係数が15〜30ppm、
    引張弾性率が4.5〜8.5GPa、
    引張伸び率が20%以上、
    吸湿膨張係数が10ppm以下、
    Tgが200℃以上であるポリイミドフィルムを用いたことを特徴とする請求項1又は請求項2のTAB用テープ。
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