JP3586495B2 - 移動体検知方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は移動体検知方法に係り、特に、ビデオカメラ等により撮像された画像を処理することによって、画像中の移動体を検知する移動体検知方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
危険区域への人の立ち入りや、敷地内への不審者の進入等を監視する監視システムでは画像処理による人物自動検知の開発が盛んに行なわれている。
このような画像処理による監視システム(画像監視システム)では従来、入力画像及び基準画像の2枚の画像を比較し、互いに異なる領域を検出して異なる領域が所定の面積を越える場合に人物が存在すると判断し警報等を発していた。
【0003】
また、上記のシステムではこのままでは木の枝葉の揺れや水面の光反射の影響により画像内に変化領域が生じた場合、視野内に人等の移動体が存在すると判断してしまう。このため、枝葉の揺れや水面の光反射等が発生する領域については、システムの設置時にこの領域内の変化は、検知の対象とはしないように設定し(以下、マスク処理という)、その領域の変化は検知しないようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、従来の画像監視装置による移動体検知方法ではそのままでは木の枝葉の揺れや水面の光反射の影響により画像内に変化領域が生じ、画像内に人物が存在しないにもかかわらず、人物が存在すると判断してしまう。
【0005】
また、木の枝葉の揺れや水面の光反射の影響を排除するためにマスク処理を行なうと、マスク処理された領域が検知領域から除外されてしまうため、マスク処理を行なう領域が多い場所への設定が行なえないという問題があった。また、マスク処理された領域内の人物を検知できず、したがって、侵入者や災害等をいち早く検知できなくなり、防犯防災上重大な問題点が生じてしまう。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、外乱に影響されずに移動体の検知が行なえる移動体検知方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明ではまず、画像中の変化領域を抽出し、抽出された変化領域について移動方向及び移動量を求める。次に変化領域の移動方向を表現するテーブルに移動量を投票し、この投票結果から移動体が存在しない画像で得る投票結果を減算することにより移動体の移動量及び移動方向に応じた投票結果を得て、得られた投票結果より移動体の検知を行なう。
【0008】
【作用】
本発明によれば、画像中の変化領域について求めた移動方向毎に移動量を投票した結果より、移動体が存在しないときの画像に生じる変化領域についての投票結果を減算することにより移動体による変化領域の投票結果を抽出することができるため、画像の木の枝葉の揺れや水面の光の反射などの外乱による変化領域の影響を排除できる。このため、マスク処理が不要になり、マスクによる処理領域等の制約が排除できるため、装置の取付場所の制約がなくなると共に、画像の全領域にわたって移動体の検知が可能となる。
【0009】
【実施例】
本実施例ではビデオカメラ等により撮像した画像を監視し、画像に人物等の移動体が撮像されたとき、これを画像処理により自動的に検知し、アラームを発生する画像監視装置について説明する。
【0010】
図1に本発明の一実施例のブロック構成図を示す。本実施例の画像監視装置1は監視領域を撮像するビデオカメラ2、ビデオカメラ2により撮像された画像を処理し、画像中の人物等の移動体を検知する画像処理部3、ビデオカメラ2で撮像された画像を表示すると共に移動体検知時に移動体の移動パス等の表示を行なうモニタ4、画像処理部3の処理により移動体を検知したときに画像処理部3からの指示に応じてアラームを発生するアラーム発生部5とより構成される。
【0011】
ビデオカメラ2はCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子により監視領域の画像を電気信号に変換し、さらに、画像信号として画像処理部3に供給する。
画像処理部3はビデオカメラ2で撮像された画像を取込み、後述する処理を実行する画像処理ユニット6、画像処理ユニット6で取込まれる画像のうち基準となる画像Iを格納するメモリ7、移動体検知処理時に抽出される変化領域の移動方向毎に移動量の投票結果を格納する投票結果格納部8、基準となる投票結果が格納された基準投票結果格納部9、投票結果格納部8の投票結果から基準投票結果格納部9の基準投票結果を減算した減算投票結果を格納する減算投票結果格納部10より構成される。画像処理部3は、マイクロコンピュータ等よりなり、ビデオカメラ2から供給された画像信号をメモリ7に取り込み、後述するような処理を行ない、ビテオカメラ2からの画像より人物等の移動体を検知し、移動体を検知したときにアラーム発生部5を駆動し、アラームを発生すると共に、モニタ4に移動体の移動経路を表示させる。
【0012】
モニタ4はCRT(陰極線管)等の表示装置よりなり、ビデオカメラ2で撮像された画像の表示を行ない、画像処理部3で移動体が検知されたときには画像処理部3で求められる移動体の移動経路(パス)を表示画像に重ねて表示する。
アラーム発生部5は音声発生装置又はブザー等よりなり、画像処理部3で移動体が検出されたとき音声あるいはブザーにより警備員に警報を発する。
【0013】
図2に本発明の一実施例の画像処理ユニット6の移動体検知処理のフローチャート、図3乃至図9に各ステップでの処理動作説明図を示す。
まず、画像処理ユニット6ではビデオカメラ2から監視対象の画像を取り込み比較する2枚の画像を決定する(ステップS1)、次にステップS1で取り込まれた2枚の画像を比較し、2枚の画像で互いに異なる領域である変化領域を検出する(ステップS2)。次に、ステップS2で検出された変化領域における微小領域についてマッチング法により移動方向及び移動量を求める(ステップS3)。このとき、ステップS3で移動方向及び移動量が求められる2枚の画像は、移動体(人物)によって移動速度が異なる点を考慮して、異なる時間間隔の複数対の画像より一対の画像が選択され決定される。画像の選択方法を図3と共に説明する。
【0014】
図3に示すように時刻tで取込まれた画像Iを参照画像としてメモリ7に記憶する。次に時刻tから所定の時間Δt秒経過後の時刻tで取込まれた画像Iを参照画像Iと比較し、画像中より互いに異なる領域を例えば、3×3(9)画素単位の領域で抽出する。同様に時刻tから時間2Δt秒経過後の時刻tで取込まれた画像Iに対しても参照画像Iとの比較を行ない、互いに異なる領域を抽出し、また、時刻tから時間4Δt秒経過の時刻tで取込まれた画像Iに対しても参照画像Iとの比較を行ない、互いに異なる領域を抽出する。
【0015】
以上のように時刻tの画像Iを参照画像として、参照画像Iと時刻t,t,tの各時刻の画像I,I,Iとの比較を行なった結果、移動量が最も多く得られた画像で得られた変化領域を以後の処理に用い、得られた変化領域についてステップS3の移動方向、移動量の検出を行なう。
【0016】
図4に移動算出時の表示例を示す。モニタ4には図4に示すように変化領域が始点‘●’で表わされ、始点‘●’の移動量Vが‘−’で表わされる。ここで移動量Vが大きければ‘−’が長く表現される。人物11の移動の場合には‘−’の方向及び長さは略同じ大きさとなるが、草木12が動く場合には‘−’の方向及び長さは分散されることになる。
【0017】
このとき、画像処理ユニット6では変化領域の移動方向(位置)は角度θ及び距離ρで表現される。図5に変化領域の移動方向(位置)の表現方法の説明図を示す。変化領域の移動方向は例えば、図5に示すように画像の左下端を原点Oとし、下辺の方向をθ=0とした場合に矢印A方向が移動方向であるとすると、図5に破線で示す矢印A方向の延長線と直交し、かつ、原点Oを通る直線Lの角度θと直線Lの原点Oから破線との交点Pまでの距離ρとで表現される。
【0018】
画像処理部3には投票結果格納部8が設けられており、投票結果格納部8は角度θ及び距離ρで表現される空間を角度θ及び距離ρを所定の間隔でメッシュに分割したテーブルとされている。
画像処理ユニット6はステップS3で上記の如く、移動方向(ρ,θ)及び移動量xを検出すると、次に投票結果格納部8の移動方向(ρ,θ)に対応する領域に移動量xを投票する(ステップS4)。
【0019】
以上のステップS1〜S4を所定時刻まで繰り返し、投票結果格納部8に複数の比較結果により得られる変化領域の移動方向(ρ,θ)における移動量xの投票が実行される(ステップS5)。例えば、時刻tから時刻tまで画像を順次参照画像としていくことにより連続10ケの移動データが投票結果格納部8に積算されることになる。
【0020】
図6に投票結果格納部8に形成されるテーブルの構成図を示す。投票結果格納部8は角度θと原点Oからの距離ρによって示される二次元空間が形成され、ρ−θで示される空間は一定の角度Δθ毎及び一定の距離(ピクセル画素で表現される)Δρ毎にメッシュに分割されている。
【0021】
ステップS5でステップS1〜S4が所定時間繰り返され、投票結果格納部8に複数の画像比較結果部分積算した投票結果が格納されると、次に基準投票結果格納部9に予め格納された人物等の移動体が撮像されていない画像による投票結果を基準投票結果格納部9より読み出し、投票結果格納部8に格納された投票結果から基準投票結果格納部9より読み出された基準投票結果を減算し、減算結果を減算投票結果格納部10に格納する(ステップS6)。
【0022】
図7に基準投票結果、投票結果、減算結果の説明図を示す。図7(a)に示される基準投票結果は画像に人等の移動体が存在しないと判断され、直前の検知で得られた投票結果で風等の周囲の状況に応じた草木などの動きを反映した投票結果となっており、例えば、座標(ρ,θ)に移動量S、座標(ρ,−θ)に移動量S、座標(ρ,θ)に移動量Sが投票された結果とされる。
【0023】
また、図7(b)に示される投票結果は人等の移動体がある場合の投票結果で、周囲の状況に応じた草木等の動きを反映した投票結果に人物等の移動体の動きを反映した投票結果を積算した結果となる。したがって、例えば、図7(b)に示すように図7(a)に示される投票結果に人物等の移動体の動きを反映した投票結果、すなわち、座標(ρ,θ)に投票された移動量S、座標(ρ,θ)に投票された移動量Sを積算したものとなる。
【0024】
したがって、図7(b)に示される投票結果から図7(a)に示される基準投票結果を減算すると、図7(c)に示されるように人物等の移動体の動きを反映した投票結果、座標(ρ,θ)に投票された移動量S、座標(ρ,θ)に投票された移動量Sが残る。なお、このとき、風向、風量などの周囲の状況が基準投票結果を得たときとは異なり草木などの移動方向、移動量が基準結果とは異なる場合でも、草木等の移動量は小さく分散されているため、減算結果に現われる移動量は小さく、かつ、分散された状態で反映されることになる。
【0025】
次に画像処理ユニット6は、減算結果に移動体の存在を検知するのに十分に大きな所定の値以上の領域が存在するか否かを判断する(ステップS7)。ステップS7で、減算結果に所定の値以上の領域が存在しなければ、所定の時間内に撮像された画像には移動体が撮像されていないものと判断し、投票結果格納部8に格納された所定の時間に撮像された画像より得た投票結果を基準投票結果格納部9に格納し、次の処理時の基準投票結果とする(ステップS10)。
【0026】
また、ステップS7で減算結果に所定値以上の領域が存在する場合には所定値以上の領域の重心を求め、求めた重心の座標(ρ,θ)から移動体の移動経路(パス)を求め、モニタ4に表示すると共に、人物等の移動体の存在を報知するアラームをアラーム発生部5より発生させる(ステップS8,S9)。
【0027】
図8に減算投票結果の重心の求め方を説明するための図を示す。減算結果得られた移動量のρ−θ空間での重心座標位置は所定のρ位置をy、yにおける移動量Sの積算値をIτ(y)、とすると
ρ方向における重心座標ρ
【0028】
【数1】
Figure 0003586495
【0029】
で、また、所定のθ位置をx,xにおける移動量の積算値をIτ(x)とするとθ方向における重心座標θ
【0030】
【数2】
Figure 0003586495
【0031】
で求められ、座標(ρ,θ)で決定される。
図9に移動体のパスの求め方を説明するための図を示す。図8で求められた重心座標(ρ,θ)は移動体の略重心の移動方向(位置)となる。この重心座標(ρ,θ)を用いて投票とは逆の変換を行って、例えば、図9に示すように画像上のX軸に対して角度θでかつ原点Oから距離ρの位置ρを通り、原点Oから位置ρまでの直線と直交する直線Lを求め、求められた直線Lを移動体の経路(パス)としてモニタ4に表示する。
【0032】
以上のように、本実施例によれば、マスク等の処理を行なうことなく、木の枝葉の揺れや水面の光の反射といった外乱の影響を受けることなく、ビデオカメラ2により撮像された画像中の人物等の移動体の検知が行えるため画像の全領域を監視でき、マスク設定等の規制により取付けが行なえなかった場所への設置も可能となる。また、マスク等の設定が不要になるため、設置場所に応じたマスク設定作業が不要となり、設置作業が簡単に行なえると共に、マスク設定ミス等も低減でき、さらに故障などによるシステム交換を想定したマスクデータの保存管理も不要となる。
【0033】
【発明の効果】
上述の如く、本発明によれば、外乱の影響を受けることなく移動体の検知が可能となるため、外乱等の多い場所への設置が可能となり、また、マスクを行なわずに済むため、画像全域にわたって移動体の検知が可能となる等の特長を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のブロック構成図である。
【図2】本発明の一実施例の処理動作フローチャートである。
【図3】本発明の一実施例の変化領域抽出処理の動作説明図である。
【図4】本発明の一実施例の移動算出処理の動作説明図である。
【図5】本発明の一実施例の移動変換処理の動作説明図である。
【図6】本発明の一実施例の投票処理の動作説明図である。
【図7】本発明の一実施例の減算結果抽出処理の動作説明図である。
【図8】本発明の一実施例の移動体検知処理の動作説明図である。
【図9】本発明の一実施例の移動体パス決定処理の動作説明図である。
【符号の説明】
1 監視装置
2 ビデオカメラ
3 画像処理部
4 メモリ
5 基準投票結果記憶部
6 モニタ
7 アラーム発生部
S1〜S9 移動体検知処理ステップ

Claims (1)

  1. 異なる時間に取込まれた2つの画像を比較して移動体の存在を検知する移動体検知方法において、
    任意の時刻に参照画像を取込むステップと、
    参照画像を取込んだ時刻から複数の異なる所定時間後に取込んだ画像をそれぞれ参照画像と比較し、それぞれの時刻に取込んだ画像について移動体を抽出するステップと、
    抽出された移動体の移動量を検出するステップと、
    比較した結果、移動体の移動量が最も大きかった画像を比較画像とし、比較画像の変化領域について演算処理することにより変化領域の移動方向と移動量を求めるステップと、
    移動方向及び移動量から、移動方向についての変数で表現されたテーブルに移動量を投票するステップと、
    投票結果から、予め用意した移動体のないときの参照用投票結果を減算することによって、新たに発生した投票データを抽出するステップと、
    抽出結果について抽出結果が予め設定された所定の閾値を越えた場合に移動体が存在すると判断するステップと、
    移動体がいないと判断した場合に比較画像より得られた投票結果を新しい参照投票結果として更新するステップとからなる移動体検知方法。
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