JP3586214B2 - ゴム組成物 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、アクリロニトリルブタジエンゴム組成物に関する。さらに詳しくは、耐油性及び耐熱性に優れ、金属と接触して使用される部位において金属と固着しないアクリロニトリルブタジエンゴム組成物に関する。
【0002】
【従来技術の内容】
アクリロニトリルブタジエンゴムは耐油性及び耐熱性を兼ね備えた材料であるため、オイルと接触する部位にダイヤフラム、パッキン、ガスケット、Oリング、ホース、ニードルバルブなどのゴム部品として多用されている。
これらのゴム部品の多くは点検や老朽化などの要因により、随時或いは定期的に部品交換を行っている。これらのゴム部品を回収しようとするときにゴムが金属側に張り付くためゴムの剥離が困難となり、部品交換作業に支障をきたす場合が生じていた。
さらに、ゴムの一部分が金属に残留した状態で部品を装着した場合には十分なシール性は発揮できず、ひいては動作不良、オイル漏れ、異物混入などといった重大な欠陥を引き起こす主要因となる可能性がある。特にオイルと接触する部位においては、ゴムと金属が固着する現象が顕著に現れる。
【0003】
このような不具合を解消するために、たとえば特開平6−88005などではリン酸エステル系可塑剤を配合することが知られている。
また、たとえば特開平10−298350などではアクリロニトリルブタジエンゴムにエチレン系ゴムをブレンドする方法がある。
【0004】
エンジンの高性能化に伴いこれらの部品も更なる高温での性能が要求され、耐金属固着性に対する要求も更に厳しくなっている。その中で、上記手法では満足が得られる耐金属固着性は得られない。
また、ゴム部品の金属と接触する部分にシリコーン、フッ素系樹脂などをコーティングしたり、グラファイト、モリブデン化合物を塗布したりする方法がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの方法では表面処理剤が異物として混入する可能性があり、また表面処理をする工程が増えてコスト面で不利となる。
また、表面層のみ化学的改質法で硬化或いは樹脂化する方法もあるが、シール性が低下しオイルもれ、作動不良の原因となるなどの問題点を有する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
著者らは鋭意検討した結果、アクリロニトリルブタジエンゴムに(a)100℃以上の融点をもつアミド化合物、及び(b)pH7未満のリン化合物、及び(c)亜リン酸エステル化合物を配合せしめることにより、耐油性と耐熱性を有しそして耐金属固着性に優れるゴム組成物を見いだし、この知見に基づき本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、耐油性と耐熱性を有し耐金属固着性に優れたアクリロニトリルブタジエンゴム組成物が提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられるアクリロニトリルブタジエンゴムはアクリロニトリルとブタジエンの共重合体であり、モノマーの重合比率、ポリマーのムーニー粘度等の違いにより多数のグレードがある。低ムーニー粘度のポリマーは低分子量成分をより多く含有するので粘着性が大きく、耐金属固着性にとっては不利となる。従って、耐金属固着性の面から70以上のムーニー粘度を有するポリマーが望ましい。
本発明に用いられる100℃以上の融点をもつアミド化合物は化1で示される。化1のR1及びR2はそれぞれアルキル基、アリール基を、nは1以上の整数を示す。
具体的にはメチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド、エチレンビスオレイルアミド、ブチレンビスステアロアミド、エチレンビスフェニルアミドなどがある。これらを単独で用いてもよく、また併用してもよい。
添加量は一般にゴム100部に対して0.1部〜15重量部、好ましくは1〜10重量部である。
【0008】
【化1】
本発明に用いられるpH7未満のリン化合物は化2で示される。化2のR3はアルキル基、アリール基、アルコキシポリアルキレンエーテル基、フェノキシポリアルキレンエーテル基で構成され、その構成元素にフッ素が含まれていてもよい。mは1〜2、nは1〜2の整数値であり、m+n=3である。m=2のときのR3はそれぞれ異なるものでもよい。
具体的には、モノドデシルホスホン酸、ジドデシルホスホン酸、モノ(エトキシトリエチレングリコール)ホスホン酸、ジ(エトキシトリエチレングリコール)ホスホン酸モノフェニルホスホン酸、ジフェニルホスホン酸、ジトリルホスホン酸、モノノニルフェニルホスホン酸などがある。これらを単独で用いてもよく、また2種類以上併用してもよい。
添加量は一般にゴム100部に対して0.1部〜15重量部、好ましくは1〜10重量部である。
【0009】
【化2】
【0010】
本発明に用いられる亜リン酸エステル化合物は、化3で表される。化3のR4、R5、R6はアルキル基、アリール基、アルコキシポリアルキレンエーテル基、フェノキシポリアルキレンエーテル基で構成され、その構成元素にフッ素が含まれていてもよい。
具体的には、亜リン酸トリフェニルエステル、亜リン酸ジフェニルデシルエステル、亜リン酸ジフェニルモノオクチルエステル、亜リン酸モノフェニルジオクチルエステル、亜リン酸トリノニルフェニルエステル、亜リン酸トリ(ジーt−ブチルフェニル)エステル、1,3−フェニレン−ビスジフェニルフォスファイト、1,3−フェニレン−ビスジキシレニルフォスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジーt−ブチルフェニルジオクチルフォスファイト)、4,4’−イソプロピリデンビス(フェニルジラウリルフォスファイト)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルフォスファイト)などがある。これらを単独で用いてもよく、また2種類以上併用してもよい。
添加量は一般にゴム100部に対して0.1部〜15重量部、好ましくは1〜10重量部である。
【0011】
【化3】
加硫剤は特に限定することはなく、一般にアクリロニトリルブタジエンゴムで使用される加硫剤を用いればよい。例えば、硫黄/加硫促進剤系、過酸化物/共架橋剤系が挙げられる。
本発明において得られるゴム組成物は、通常ゴムに用いられる配合剤を任意に配合することができる。たとえば、本発明に用いられる充填剤にはカーボンブラック、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、珪藻土、石英粉末などがある。
また、可塑剤、加工助剤、滑剤、老化防止剤、顔料、シランカップリング剤などを任意に配合することもできる。
本発明のゴム組成物の調製法は特に限定はなく、前記成分を添加してバンバリミキサー、ニーダ,ロールなどの通常の混練機によって混合することにより調製することができる。
このようにして得られるゴム組成物は、150〜200℃程度の温度で約2分〜20分の条件で加硫を行うことができる。必要であれば二次加硫を行ってもよい。
【0012】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
なお部は特に断りのない限り重量基準である。
170℃10分のプレス加硫を行い試験片を得た。
耐金属固着性の評価は、Oリングを鉄製金属板に25%の圧縮率で圧縮した後、エンジンオイルが充填された密閉容器中に130℃500時間浸漬した。その後、Oリングを取り出して金属に対する固着の有無を評価した。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】
【発明の効果】
かくして本発明によれば、耐油性及び耐熱性に優れ耐金属固着性をも有するアクリロニトリルブタジエン組成物を提供することができるので、この材料を用いて油の存在下金属と接触する部位に使用される部品を提供することができる。
Claims (4)
- アクリロニトリルブタジエンゴムに
(a)100℃以上の融点をもつアミド化合物
(b)ホスホン酸化合物
(c)亜リン酸エステル化合物
を配合してなることを特徴とするゴム組成物。
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2001
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