JP3585853B2 - 可変利得増幅器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、集積回路で用いられる利得の制御が可能な可変利得増幅器に関し、特にデジタル衛星放送受信用集積回路に用いられる可変利得増幅器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図13は従来の可変利得増幅器101の構成を示す回路図である。定電流源Icがそれぞれ接続されたエミッタ同士がエミッタ抵抗器REを介して接続され、各ベースに印加される入力信号IN1、IN2に応じて、コレクタに流れる電流が制御される第1のトランジスタQ1と第2のトランジスタQ2からなる第1の差動増幅回路111aと、
第1のトランジスタQ1のコレクタにエミッタが共通に接続され、第1のトランジスタで増幅された信号を、ベース間に印加される電圧に応じて減衰して出力する、第3のトランジスタQ3及び、コレクタが電源Vccに接続された第4のトランジスタQ4からなる第2の差動増幅回路111bと、
第2のトランジスタQ2のコレクタにエミッタが共通に接続され、第2のトランジスタで増幅された信号を、ベース間に印加される電圧に応じて減衰して出力する、第6のトランジスタQ6及び、コレクタが電源に接続された第5のトランジスタQ5からなる第3の差動増幅回路111cとが設けられている。第1の差動増幅回路111a、第2の差動増幅回路111b、第3の差動増幅回路111cによって可変利得増幅回路111が構成されている。
【0003】
また、第3のトランジスタQ3及び第6のトランジスタQ6のコレクタと電源Vccとの間に負荷抵抗RLが接続され、出力信号OUT1、OUT2が第3のトランジスタQ3及び第6のトランジスタQ6のコレクタから出力される。
【0004】
第3のトランジスタQ3及び第6のトランジスタQ6のベースに基準電圧VBを印加するとともに、第4のトランジスタQ4及び第5のトランジスタQ5のベースに制御電圧VCを印加する。
【0005】
すなわち、第1の差動増幅回路111aにおいては、
第1のトランジスタQ1のエミッタおよび第2のトランジスタQ2のエミッタがそれぞれ別個の定電流源Icに接続されるとともに、第1のトランジスタQ1のエミッタと第2のトランジスタQ2のエミッタとがエミッタ抵抗REを介して互いに接続され、
第1のトランジスタQ1のベースには入力信号IN1が印加され、
第2のトランジスタQ2のベースには入力信号IN2が印加されるようになっている。
【0006】
また、第2の差動増幅回路111bにおいては、
第3のトランジスタQ3のエミッタおよび第4のトランジスタQ4のエミッタがいずれも第1のトランジスタQ1のコレクタに接続され、
第3のトランジスタQ3のコレクタには、負荷抵抗RLを介して電源Vccが接続され、第4のトランジスタQ4のコレクタには、同じ電源Vccが直接接続され、
第3のトランジスタQ3のベースには基準電圧VBが印加され、
第4のトランジスタQ4のベースには制御電圧VCが印加されるようになっている。
【0007】
また、第3の差動増幅回路111cにおいては、
第5のトランジスタQ5のエミッタおよび第6のトランジスタQ6のエミッタがいずれも第2のトランジスタQ2のコレクタに接続され、
第6のトランジスタQ6のコレクタには、上記第3のトランジスタQ3に接続されているのとは異なる負荷抵抗RLを介して上記電源Vccが接続され、第5のトランジスタQ5のコレクタには、同じ電源Vccが直接接続され、
第6のトランジスタQ6のベースは第3のトランジスタQ3のベースと接続されることで、第6のトランジスタQ6のベースには上記基準電圧VBが印加され、
第5のトランジスタQ5のベースは第4のトランジスタQ4のベースと接続されることで、第5のトランジスタQ5のベースには上記制御電圧VCが印加されるようになっている。
【0008】
VCがVBより低い条件では、第4のトランジスタQ4と第5のトランジスタQ5には電流が流れず、第3のトランジスタQ3と第6のトランジスタQ6に電流が流れるため、負荷抵抗RLを通してOUT1、OUT2に増幅信号が出力される。VCをVBより大きくしていくと、第4のトランジスタQ4と第5のトランジスタQ5に電流が流れだし、第3のトランジスタQ3と第6のトランジスタQ6に流れる電流が減るため、利得が減少してくる。制御電圧VCに対する利得の変化を示すと図14のようになる。
【0009】
図13に示すような従来の可変利得増幅器で、雑音指数(NF:Noise Figure)特性を良くするためには、第1のトランジスタQ1及び第2のトランジスタQ2に流れるコレクタ電流Icを大きくするか、両トランジスタのエミッタ間に接続された抵抗REを小さくする必要がある。図13の可変利得増幅器の最大利得はRLとREの比でほぼ決まるため、コレクタ電流を大きくした場合、負荷抵抗RLによる電圧降下も大きくなりトランジスタのコレクタ−エミッタ間電圧(Vce)が低下するという問題が生じる。その場合、RLを小さくすることで対応できるが、RLを小さくしすぎると逆に利得の低下につながる。また、コレクタ電流は消費電流等の設計仕様により制限されるので、雑音指数特性を良くするためには、ある程度のコレクタ電流を流し、エミッタ抵抗を限りなく小さくする(最小は0Ω)のが一般的な手法である。他方、図13に示す従来の可変利得増幅器の相互変調歪み特性はコレクタ電流Icとエミッタ抵抗REの積で決まるため、相互変調歪み特性を良くする(=入力インターセプトポイントを大きくする)ためにはコレクタ電流を大きくするか、エミッタ抵抗REを大きくする必要がある。前述したようにコレクタ電流を大きくするには制限があるので、エミッタ抵抗REを大きくすることで相互変調歪み特性を良くすることが一般的な手法である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来の可変利得増幅器では、雑音指数特性を良くするためにはエミッタ抵抗REを小さくする必要があり、逆に相互変調歪み特性を良くするためにはエミッタ抵抗REを大きくしなければならず、両特性を同時に最適にすることはできない。そのため、従来の可変利得増幅器は用途に応じてどちらかの特性を優先し、もう一方の特性を犠牲にしているのが現状である。
【0011】
デジタル衛星放送システムや地上波放送システムのような、高入力ダイナミックレンジが要求されるシステムにおいては、入力信号レベルが低い時には低雑音指数特性が要求され、入力信号レベルが高い時には、高相互変調歪み特性が要求される。しかしながら、図13に示す従来の可変利得増幅器ではこれら両特性を同時に満たすことができないという問題点がある。
【0012】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、雑音指数特性と相互変調歪み特性を同時に満足することができる可変利得増幅器を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明の可変利得増幅器は、外部から入力される制御電圧の増加に応じて利得を減衰させる可変利得増幅回路を複数個並列に接続し、各可変利得増幅回路が同時に動作することにより各可変利得増幅回路の出力信号の和を出力する可変利得増幅器であって、上記各可変利得増幅回路はそれぞれ、第1のトランジスタのエミッタおよび第2のトランジスタのエミッタがそれぞれ定電流源に接続されるとともに、第1のトランジスタのエミッタと第2のトランジスタのエミッタとがエミッタ抵抗を介して互いに接続され、入力信号が印加されて第1・第2トランジスタの各コレクタからそれぞれコレクタ電流を出力する入力部と、上記入力部から出力される上記コレクタ電流が入力され、上記制御電圧と、外部から入力される各可変利得増幅回路の基準電圧との電圧差に応じた利得で上記出力信号を出力する出力部とを備えており、上記エミッタ抵抗は各可変利得増幅回路間で値の異なるものが含まれ、各可変利得増幅回路の上記電圧差が、上記エミッタ抵抗の値の小さなものほど大きいことにより、各可変利得増幅回路の上記制御電圧が大きくなるにつれて、上記エミッタ抵抗の小さい可変利得増幅回路から順に、最大利得から利得を減衰させる減衰動作を開始することを特徴としている。
また、可変利得増幅器として、
外部から入力される制御電圧の増加に応じて利得を減衰させる可変利得増幅回路を複数個並列に接続し、
上記各可変利得増幅回路はそれぞれ、
第1のトランジスタのエミッタおよび第2のトランジスタのエミッタがそれぞれ定電流源に接続されるとともに、第1のトランジスタのエミッタと第2のトランジスタのエミッタとがエミッタ抵抗を介して互いに接続され、入力信号が印加されて第1・第2トランジスタの各コレクタからそれぞれコレクタ電流を出力する入力部と、
上記入力部から出力されるコレクタ電流が入力されて、上記制御電圧に応じた利得にて出力信号を出力する出力部とを備えており、
上記複数の可変利得増幅回路のうちでエミッタ抵抗の最も小さい可変利得増幅回路をA1とすると、
各可変利得増幅回路において利得の減衰が始まるときの、上記可変利得増幅回路A1の制御電圧(VC1)の値が大きい可変利得増幅回路ほど、エミッタ抵抗が大きいことを特徴とするものも考えられる。
【0014】
上記の構成により、上記複数の可変利得増幅回路のうち、利得の減衰が始まるときの、上記可変利得増幅回路A1の制御電圧の値が小さい可変利得増幅回路ほど、すなわち、利得の減衰が始まるときの入力信号レベルが低い可変利得増幅回路ほど、エミッタ抵抗を小さくする。
【0015】
上記構成は、上記可変利得増幅回路A1の制御電圧(VC1)が増加すると、エミッタ抵抗の小さいもの順に、可変利得増幅回路の利得が減衰を開始する構成である。例えば、上記各可変利得増幅回路の制御電圧がいずれも一つの電圧制御信号(VAGC)に応じて定まり、上記電圧制御信号の変化により、上記可変利得増幅回路A1の制御電圧(VC1)が増加する構成とすることができる。このとき、上記電圧制御信号は、VC1と同一の電圧を用いてもよい。また、上記電圧制御信号は、電圧でなくてもよい。
【0016】
これにより、VC1が増加したとき、例えばVC1が増加するようにVAGCが変化したときに、エミッタ抵抗が大きい可変利得増幅回路ほど、利得の減衰開始時期を遅くすることができる。すなわち、利得の減衰開始時期が遅い可変利得増幅回路ほど、エミッタ抵抗が大きい。そのため、VC1を増加させると、エミッタ抵抗の小さい可変利得増幅回路が減衰し終わる前に、それより少し小さい利得を持った次の可変利得増幅回路の利得減衰曲線へと、次々に移行していく。その結果、全体として、制御電圧の増加により全体の利得を徐々に減衰させていくことができる。
【0017】
そして、上記のように、利得の減衰開始時期が遅い可変利得増幅回路ほど、エミッタ抵抗が大きい。
【0018】
例えば、上記複数の可変利得増幅回路として2つの可変利得増幅回路を設けた場合、第1・第2可変利得増幅回路とで、利得の減衰が始まるときのVC1が小さいほうでは、すなわち、利得の減衰が始まるときの入力信号レベルが低いほうでは、所望の雑音指数特性となるようにエミッタ抵抗が小さく、他方では、所望の相互変調歪み特性となるようにエミッタ抵抗が大きいように構成することができる。
【0019】
可変利得増幅回路が3つ以上ある場合でも同様であり、利得の減衰が始まるときのVC1が小さい、すなわち、利得の減衰が始まるときの入力信号レベルが低い可変利得増幅回路ほど、所望の雑音指数特性となるようにエミッタ抵抗が小さく、利得の減衰が始まるときのVC1が大きい、すなわち、利得の減衰が始まるときの入力信号レベルが高い可変利得増幅回路ほど、所望の相互変調歪み特性となるようにエミッタ抵抗が大きいように構成することができる。
【0020】
したがって、入力信号レベルが低いときは、エミッタ抵抗の十分小さい可変利得増幅回路を使用して、雑音指数特性を良好にすることができるとともに、入力信号レベルが高いときは、エミッタ抵抗の十分大きい可変利得増幅回路を使用して、相互変調歪み特性を良好にすることができる。
【0021】
それゆえ、全体として利得を問題なく可変することを可能にしながら、同時に、雑音指数特性と相互変調歪み特性とを同時に満足することができる。特に、デジタル衛星放送受信用集積回路において、入力信号レベルが高いときおよび低いときのいずれにおいても良好な受信を行うことができるようになる。
【0022】
また、本発明の可変利得増幅器は、上記の構成に加え、上記各可変利得増幅回路において、上記制御電圧(VCk)が、外部から入力される各可変利得増幅回路の所定の基準電圧(VBk)より大きくなったときに、利得の減衰を開始し、上記エミッタ抵抗が大きい可変利得増幅回路ほど、上記基準電圧が大きく、すべての可変利得増幅回路について上記制御電圧が等しいことを特徴としている。
【0023】
上記の構成により、上記エミッタ抵抗が大きい可変利得増幅回路ほど、基準電圧が大きい。したがって、1種類の制御電圧を印加するだけで、VC1を増加させたときの各可変利得増幅回路の利得の減衰時期をずらすことができる。それゆえ、上記の構成による効果に加えて、構成をより簡素化することができる。
【0024】
また、本発明の可変利得増幅器は、上記の構成に加えて、上記各可変利得増幅回路において、上記制御電圧(VCk)が、外部から入力される各可変利得増幅回路の所定の基準電圧(VBk)より大きくなったときに、利得の減衰を開始し、すべての可変利得増幅回路について上記基準電圧が等しいことを特徴としている。
【0025】
上記の構成により、すべての可変利得増幅回路について上記基準電圧が等しい。したがって、上記基準電圧として、1種類用意するだけでよい。それゆえ、上記の構成による効果に加えて、構成をより簡素化することができる。
【0026】
例えば、k=2、3、…、nとすると、すべての上記可変利得増幅回路について、VCkが、VC(k−1)よりも、例えば所定値(Vα)だけ、常に小さいように構成することができる。その結果、VC1が増加したときに、VCkが、VC(k−1)よりも、基準電圧に達するのが遅くなる。
【0027】
また、例えば、k=2、3、…、nとすると、すべての上記可変利得増幅回路について、VCkが増加を始めるときのVC1の値が、VC(k−1)が増加を始めるときのVC1の値より大きいように構成することができる。その結果、VC1が増加したときに、VCkが、VC(k−1)よりも、増加を始めるのが遅くなる。
【0028】
この場合、VC1が増加したときに、各VCkは、例えば、それぞれ、まず一定の値を保ち、次いで減少し、次いで一定の値を保ち、次いで上記のように増加するように構成することができる。
【0029】
また、本発明の可変利得増幅器は、上記の構成に加えて、
k番目の上記可変利得増幅回路Akの第x番目のトランジスタをQ(k、x)と表すと、
上記すべての可変利得増幅回路Akについて、
上記入力部は、
第1のトランジスタQ(k、1)のエミッタおよび第2のトランジスタQ(k、2)のエミッタがそれぞれ定電流源Icに接続されるとともに、第1のトランジスタQ(k、1)のエミッタと第2のトランジスタQ(k、2)のエミッタとがエミッタ抵抗REを介して互いに接続され、
第1のトランジスタQ(k、1)のベースには入力信号IN1が印加され、
第2のトランジスタQ(k、2)のベースには入力信号IN2が印加されるようになっている第1の差動増幅回路を備え、
上記出力部は、
第3のトランジスタQ(k、3)のエミッタおよび第4のトランジスタQ(k、4)のエミッタがいずれも第1のトランジスタQ(k、1)のコレクタに接続され、
第4のトランジスタQ(k、4)のコレクタには電源Vccが接続されるとともに、第3のトランジスタQ(k、3)のコレクタには、負荷抵抗RLを介して電源Vccが接続され、
第3のトランジスタQ(k、3)のベースには基準電圧VBkが印加され、
第4のトランジスタQ(k、4)のベースには制御電圧VCkが印加されるようになっている第2の差動増幅回路と、
第5のトランジスタQ(k、5)のエミッタおよび第6のトランジスタQ(k、6)のエミッタがいずれも第2のトランジスタQ(k、2)のコレクタに接続され、
第5のトランジスタQ(k、5)のコレクタには電源Vccが接続されるとともに、第6のトランジスタQ(k、6)のコレクタには、負荷抵抗RLを介して電源Vccが接続され、
第6のトランジスタQ(k、6)のベースは第3のトランジスタQ(k、3)のベースと接続されることで、第6のトランジスタQ(k、6)のベースには上記基準電圧VBkが印加され、
第5のトランジスタQ(k、5)のベースは第4のトランジスタQ(k、4)のベースと接続されることで、第5のトランジスタQ(k、5)のベースには上記制御電圧VCkが印加されるようになっている第3の差動増幅回路とを備えており、
すべての可変利得増幅回路について、
第1のトランジスタQ(k、1)のベース同士が互いに接続され、
第2のトランジスタQ(k、2)のベース同士が互いに接続され、
第3のトランジスタQ(k、3)のコレクタ同士が互いに接続され、
第6のトランジスタQ(k、6)のコレクタ同士が互いに接続されていることを特徴としている。
【0030】
例えば図1等では、Q(2、1)=Q7、Q(2、2)=Q8、Q(2、3)=Q9、Q(2、4)=Q10、Q(2、5)=Q11、Q(2、6)=Q12と表される。
【0031】
上記の構成により、出力部が、制御電圧VCkの入力される第4および第5のトランジスタと、基準電圧VBkの入力される第3および第6のトランジスタとを有している。
【0032】
したがって、出力部において、制御電圧(VCk)と基準電圧(VBk)との大小関係に応じて、第3ないし第6のトランジスタに流れる電流を制御し、利得の減衰の有無や程度を決定することができる。それゆえ、上記の構成による効果に加えて、簡素な構成で、雑音指数特性と相互変調歪み特性を同時に満足することができる。
【0033】
例えば、各制御電圧VCk同士はすべて、常に互いに等しい値をとるものとし、基準電圧VBk同士はすべて互いに異なる値とすることができる。また例えば、制御電圧VCk同士は、独立しているものとし、基準電圧VBk同士はすべて互いに等しい値とすることができる。
【0034】
また、本発明の可変利得増幅器は、上記の構成に加えて、上記すべての可変利得増幅回路の制御電圧を決定する電圧制御信号(VAGC)が入力されて、上記各可変利得増幅回路に上記各制御電圧を出力することで、動作させる可変利得増幅回路を選択する制御手段を備えたことを特徴としている。
【0035】
上記の構成により、上記制御手段によって、上記電圧制御信号が入力されて、上記各可変利得増幅回路に上記各制御電圧を出力することで、選択された可変利得増幅回路のみが動作する。上記電圧制御信号は、制御電圧VC1と同一の電圧を用いることができる。また、上記電圧制御信号は、各制御電圧を決定できればよく、電圧でなくてもよい。
【0036】
例えば、基準電圧はすべての可変利得増幅回路において同一とし、上記制御手段が、上記電圧制御信号の値に応じて、可変利得増幅回路ごとに異なる制御電圧を出力することで、動作する可変利得増幅回路が選択される。
【0037】
また例えば、基準電圧は可変利得増幅回路ごとに異なるとし、上記制御手段が、上記電圧制御信号の値に応じて、各可変利得増幅回路に等しい制御電圧を出力することで、動作する可変利得増幅回路が選択される。
【0038】
したがって、一つの電圧制御信号を調節するだけで、複数の可変利得増幅回路の利得減衰の動作点(開始時期)を可変利得増幅回路ごとに所望のようにずらすことができ、複数の可変利得増幅回路のうち所望の特性を有するもののみを選んで作動させることができる。それゆえ、上記の構成による効果に加えて、容易に、所望の利得を得ることができる。
【0039】
また、本発明の可変利得増幅器は、上記の構成に加えて、上記制御手段は、上記電圧制御信号をデジタルデータに変換するアナログ・デジタル変換回路と、上記アナログ・デジタル変換回路で変換された上記デジタルデータから、可変利得増幅回路を選択するための制御データを発生するデコーダ回路とを備えたことを特徴としている。
【0040】
上記の構成により、上記電圧制御信号がデジタルデータに変換され、そこから、可変利得増幅回路を選択するための制御データが発生する。
【0041】
したがって、上記電圧制御信号として、VAGCではあるがVC1とは異なる電圧や、あるいは、電圧以外の任意のデータを用いるなどのように、上記電圧制御信号を種々変更しても、上記アナログ・デジタル変換回路での変換処理部分、あるいは、上記デコーダ回路における制御データ発生処理部分のみを変更するだけで、対応することができる。それゆえ、上記の構成による効果に加えて、いっそう容易に、所望の利得を得ることができる。
【0042】
1つの上記電圧制御信号からn個のデータすなわちVC1、VC2、…、VCnを得るために、上記電圧制御信号のとりうる全ての値とそのときのVC1、VC2、…、VCnとして設定すべき各値との対応を、デコーダ回路内の記憶部等に記憶しておく構成とすることができる。
【0043】
また、本発明の可変利得増幅器は、上記の構成に加えて、上記制御手段は、選択する可変利得増幅回路を切り替える際に、切り替え前に動作してした可変利得増幅回路と、切り替え後に動作する可変利得増幅回路との両方を選択することを特徴としている。
【0044】
上記の構成により、上記電圧制御信号に応じて選択する可変利得増幅回路を切り替える際に、切り替え前に動作してした可変利得増幅回路と、切り替え後に動作する可変利得増幅回路との両方を選択し、動作させる。
【0045】
したがって、両方の可変利得増幅回路が動作している範囲では、一方の可変利得増幅回路の利得が大幅に減衰する前に、次の可変利得増幅回路によって、十分大きな利得を得ることができる。それゆえ、上記の構成による効果に加えて、可変利得増幅回路の切り替えポイントにおける利得の必要以上の低下を防ぎ、より容易に所望の利得が得られるように制御することができる。
【0046】
なお、本発明に係る可変利得増幅器は、以下のように構成してもよい。すなわち、本発明の可変利得増幅器は、外部からの制御電圧によって利得を変更できる複数の可変利得増幅回路を並列接続してなる可変利得増幅器であって、
前記一つの可変利得増幅回路は、
定電流源が接続されたエミッタ同士が抵抗器を介して接続され、各ベースに印加される入力信号に応じてコレクタに流れる電流が制御される第1のトランジスタ及び第2のトランジスタからなる第1の差動増幅回路と、
前記第1のトランジスタのコレクタにエミッタが共通に接続され、前記第1のトランジスタで増幅された信号をベース間に印加される電圧に応じて減衰して出力する第3のトランジスタ及びコレクタが電源に接続された第4のトランジスタからなる第2の差動増幅回路と、
前記第2のトランジスタのコレクタにエミッタが共通に接続され、前記第2のトランジスタで増幅された信号をベース間に印加される電圧に応じて減衰して出力する第5のトランジスタ及びコレクタが電源に接続された第6のトランジスタからなる第3の差動増幅回路とから構成され、
前記第3のトランジスタのコレクタ同士、前記第6のトランジスタのコレクタ同士をそれぞれ接続し、前記エミッタ抵抗値をそれぞれ異なる抵抗値とした構成とすることができる。
【0047】
これにより、雑音指数特性と相互変調歪み特性を同時に満足する可変利得増幅器を提供することが可能になる。
【0048】
また、本発明の可変利得増幅器は、前記第3のトランジスタと第6のトランジスタのベースに印加される基準電圧を可変利得増幅回路毎にそれぞれ異なる電圧値とし、前記第4のトランジスタと第5のトランジスタのベースに印加される制御電圧を複数の可変利得増幅回路で同じ電圧値にした構成とすることができる。これにより、複数の可変利得増幅回路の利得減衰(ゲインリダクション)の動作点を可変利得増幅回路毎にずらすことができ、各制御電圧値において、雑音指数特性や相互変調歪み特性の最適な特性を得ることが可能になる。
【0049】
また、本発明の可変利得増幅器は、前記第3のトランジスタと第6のトランジスタのベースに印加される基準電圧を複数の可変利得増幅回路で同じ電圧値とし、前記第4のトランジスタと第5のトランジスタのベースに印加される制御電圧を可変利得増幅回路毎にそれぞれ異なる電圧値にした構成とすることができる。これにより、複数の可変利得増幅回路の利得減衰(ゲインリダクション)の動作点を可変利得増幅回路毎にずらすことができ、各制御電圧値において、雑音指数特性や相互変調歪み特性の最適な特性を得ることが可能になる。
【0050】
また、本発明の可変利得増幅器は、前記制御電圧値に基づき、前記複数の可変利得増幅回路のうち選択された可変利得増幅回路のみを動作させる制御手段を備えた構成とすることができる。これにより、複数の可変利得増幅回路の利得減衰(ゲインリダクション)の動作点を可変利得増幅回路毎にずらすことができ、各制御電圧値において、雑音指数特性や相互変調歪み特性の最適な特性を得ることが可能になる。
【0051】
また、本発明の可変利得増幅器は、前記制御手段はAGC電圧をデジタルデータに変換するアナログ・デジタル変換回路と、このアナログ・デジタル変換回路で変換されたデータから前記所望する可変利得増幅回路を選択するための制御データを発生するデコーダ回路を備えた構成とすることができる。
【0052】
これにより、複数の可変利得増幅回路の利得を任意に制御することが可能になる。
【0053】
また、本発明可変利得増幅器は、前記制御手段は、可変利得増幅回路の動作が切り替わる制御電圧のしきい値において、切り替え前に動作していた可変利得増幅回路と、切り替え後に動作する可変利得増幅回路の両方とも動作させる範囲を設けた構成とすることができる。
【0054】
これにより、可変利得増幅回路の切り替えポイントにおける利得の低下を防ぐことが可能になる。
【0055】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について図1ないし図4に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0056】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態における可変利得増幅器1の回路図である。
【0057】
図1に示すように、可変利得増幅器1は、外部からの制御電圧によって利得を変更できる2つの可変利得増幅回路(11、12)が並列接続されている構成である。そして、一つの可変利得増幅回路(11、12)は、
定電流源Icが接続されたエミッタ抵抗器(RE1、RE2)を介して接続され、各ベースに印加される入力信号に応じてコレクタに流れる電流が制御される第1のトランジスタQ1(Q7)と、第2のトランジスタQ2(Q8)からなる第1の差動増幅回路11a(12a)と、
第1のトランジスタQ1(Q7)のコレクタにエミッタが共通に接続され、ベース間に印加される電圧に応じて減衰して出力する、コレクタが負荷抵抗RLを通して電源Vccに接続された第3のトランジスタQ3(Q9)及び、コレクタが電源Vccに接続された第4のトランジスタQ4(Q10)からなる第2の差動増幅回路11b(12b)と、
第2のトランジスタQ2(Q8)のコレクタにエミッタが共通に接続され、ベース間に印加される電圧に応じて減衰して出力する、コレクタが負荷抵抗RLを通して電源Vccに接続された第6のトランジスタQ6(Q12)及び、コレクタが電源Vccに接続された第5のトランジスタQ5(Q11)からなる第3の差動増幅回路11c(12c)とから構成されて、
前記第3のトランジスタQ3と第9のトランジスタQ9のコレクタ同士、前記第6のトランジスタQ6と第12のトランジスタQ12同士をそれぞれ接続した構成である。
【0058】
第1の差動増幅回路11aによって入力部が構成され、第2の差動増幅回路11bと第3の差動増幅回路11cとによって出力部が構成されている。同様に、第1の差動増幅回路12aによって入力部が構成され、第2の差動増幅回路12bと第3の差動増幅回路12cとによって出力部が構成されている。
【0059】
各可変利得増幅回路(11、12)において定電流源Icのカレントミラー回路のトランジスタも含めてトランジスタが3段積み構成であり、コレクタ−エミッタ間電圧Vceが0.8Vとすると、電源Vccは2.4V(=0.8V×3)以上とすればよい。
【0060】
また、各可変利得増幅回路(11、12)の最大利得(Gとする)は、
G=RL/(re+RE/2)
と表される。ただし、ボルツマン定数をk、絶対温度をT、電子の電荷量をqとするとき、
re=kT/(q・Ic)
である。そのため、ここから、所望の利得が得られるように、RL、Ic、REを決めればよい。
【0061】
可変利得増幅回路11において、第4のトランジスタQ4や第5のトランジスタQ5のベースに印加される制御電圧(VC1)が増加して、第3のトランジスタQ3や第6のトランジスタQ6のベースに印加される基準電圧(VB1)の値に達すると、言い換えれば、第4のトランジスタQ4や第5のトランジスタQ5と第3のトランジスタQ3や第6のトランジスタQ6とのベース間に印加される電圧、すなわち、制御電圧VC1から基準電圧VB1を引いた値(駆動電圧VD1と称する)が負の値から0、さらには正の値になると、利得が減衰を開始する。
【0062】
可変利得増幅回路12においても同様であり、第4のトランジスタQ10や第5のトランジスタQ11のベースに印加される制御電圧(VC1)が増加して、第3のトランジスタQ9や第6のトランジスタQ12のベースに印加される基準電圧(VB2)の値に達すると、言い換えれば、第4のトランジスタQ4や第5のトランジスタQ5と第3のトランジスタQ3や第6のトランジスタQ6とのベース間に印加される電圧、すなわち、制御電圧VC2から基準電圧VB2を引いた値(駆動電圧VD2と称する)が負の値から0、さらには正の値になると、利得が減衰を開始する。
【0063】
ここで、前記第1のトランジスタQ1と第2のトランジスタQ2のエミッタ間のエミッタ抵抗器RE1の抵抗値(エミッタ抵抗)RE1を所望の雑音指数特性になるような値にし、前記第7のトランジスタQ7と第8のトランジスタQ8のエミッタ間のエミッタ抵抗器RE2の抵抗値(エミッタ抵抗)RE2を所望の相互変調歪み特性となるような値とする。すなわち、エミッタ抵抗RE1とRE2とは互いに異なっており、ここではRE1<RE2に設定している。
【0064】
ここで、差動増幅回路11b(12b)、差動増幅回路11c(12c)の制御方法としては、本実施の形態においては、前記第3のトランジスタQ3と第6のトランジスタQ6、前記第9のトランジスタQ9と第12のトランジスタQ12のベースに印加される基準電圧を、それぞれVB1、VB2のように互いに異なる電圧値とし、前記第4のトランジスタQ4と第5のトランジスタQ5のベースに印加される制御電圧VC1を、2つの可変利得増幅回路で同じ電圧値にする。ここでは、VB1<VB2に設定する。
【0065】
制御電圧VC1は、所定の電圧制御信号VAGC(図示せず)に応じて設定することとすることができ、例えば、この電圧制御信号VAGCとしては、制御電圧VC1そのものを用いることができる。
【0066】
図2に、図1に示した可変利得増幅器のVC1に対する利得の変化を示す。曲線aはエミッタ抵抗がRE1の可変利得増幅回路単体での特性、曲線bはエミッタ抵抗がRE2の可変利得増幅回路単体での特性、曲線cは2つの可変利得増幅回路トータルの特性を示している。
【0067】
このような可変利得増幅回路においては、入力信号レベルが低いときほど、制御電圧(VC1)の値を小さくし、それにより、十分大きい利得が得られるようにする。逆に、入力信号レベルが高いときほど、制御電圧(VC1)の値を大きくし、それにより利得を減衰させることで、あまり大きな利得とならないようにしている。
【0068】
VC1<VB1の領域では、Q3、Q6、Q9、Q12に全電流が流れ、Q4、Q5、Q10、Q11には電流が流れないので、トータルの利得は、2つの可変利得増幅回路の最大利得を足し合わせたものになる。
【0069】
VB1<VC1<VB2の領域では、Q4、Q5のトランジスタが動作し、電流が流れ出すために、曲線aで示すように利得が低下してくるが、Q10、Q11のトランジスタにはまだ動作せず電流が流れないので、曲線bで示すように利得は最大のままである。
【0070】
VB2<VC1の領域では、Q10、Q11のトランジスタにも電流が流れ出すので、曲線bで示すように利得も低下してくる。よって2つの可変利得増幅回路のVC1に対する利得のトータル特性は、曲線cで示すようになる。
【0071】
ここで、可変利得増幅器がVC1<VB1の条件で動作するのは、トランジスタQ1、Q2、Q7、Q8に入力される信号レベルが低い場合であり、低雑音指数特性が要求される。前述したように雑音指数特性を良くするためには、コレクタ電流値を大きくして、エミッタ抵抗値を小さくすることが必要である。エミッタ抵抗RE2を有する可変利得増幅回路単体の雑音指数は悪いが、図1の回路では、雑音指数を決める要因のうち、エミッタ抵抗値RE1とRE2をパラメータとする項が、
(Gv1/Gv)×RE1+(Gv2/Gv)×RE2
に比例するため、RE2が大きくてもGv2/Gvが小さくなるので第2項の影響は小さくなる。ただし、Gv1は、エミッタ抵抗RE1を有する可変利得増幅回路11の利得であり、Gv2は、エミッタ抵抗RE2を有する可変利得増幅回路12の利得であり、
Gv=Gv1+Gv2
である。
【0072】
RE1に対してRE2が非常に大きければ、上式は、ほぼRE1に等しくなるので、トータルの雑音指数特性を良くすることが可能になる。
【0073】
他方、可変利得増幅器がVB2<VC1の条件で動作するのは、トランジスタQ1、Q2、Q7、Q8に入力される信号レベルが高い場合であり、高い相互変調歪み特性(高入力インターセプトポイント)が要求される。前述したように、相互変調歪み特性を良くするためには、コレクタ電流、すなわちここでは第1の差動増幅回路11aのトランジスタQ1、Q2のコレクタや第1の差動増幅回路12aのトランジスタQ7、Q8のコレクタを流れる電流を大きくし、エミッタ抵抗を大きくすることが必要である。VB2<VC1では、トランジスタQ3〜Q6においては、コレクタ電流はほぼトランジスタQ4、Q5に流れ、トランジスタQ9〜Q12においては、トランジスタQ9、Q12に流れていたコレクタ電流がQ10、Q11にも流れ始めている状態である。エミッタ抵抗RE1を有する可変利得増幅回路単体の相互変調歪み特性は悪いが、VB2<VC1の動作領域では、出力信号の大部分は、Q9、Q12に流れるコレクタ電流を通して増幅された信号のため、相互変調歪み特性はエミッタ抵抗RE2を有する可変利得増幅回路でほぼ決まる。そのため、高い相互変調歪み特性(高インターセプトポイント)が得られる。
【0074】
図3に、本実施の形態における可変利得増幅器(図1の回路)と従来の可変利得増幅器(図13の回路)の利得減衰量に対する雑音指数特性を示す。曲線aは、図13の従来の可変利得増幅器において、所望の低雑音指数特性となるようにエミッタ抵抗REの値を設定した場合の特性であり、曲線bは、図13の従来の可変利得増幅器において、所望の高相互変調歪み特性となるようにエミッタ抵抗REの値を設定した場合の特性であり、曲線cは、図1に示された可変利得増幅器において、所望の低雑音指数特性となるようにエミッタ抵抗RE1の値を設定するとともに、所望の高相互変調歪み特性となるようにエミッタ抵抗RE2の値を設定した場合の特性である。
【0075】
図3から分かるように、本実施の形態の可変利得増幅器1は、利得減衰量が小さい時、即ち入力信号レベルが低い時に、曲線aの従来の可変利得増幅器と同等な低雑音指数特性を得られることが分かる。また、曲線aより曲線cの雑音指数特性が良くなっているのは、雑音指数を決める要因のうち、エミッタ抵抗以外の要因による影響が図1の回路のほうが小さくなるためである。
【0076】
図4に、本実施の形態における可変利得増幅器(図1の回路)と従来の可変利得増幅器(図13の回路)の利得減衰量に対する相互変調歪み特性(入力インターセプトポイント特性)を示す。IIP3は、3次高調波と基本波との出力信号レベルが仮想的に同一になるときの入力信号レベルである。曲線aは、図13の従来の可変利得増幅器において、所望の低雑音指数特性となるようにエミッタ抵抗REの値を設定した場合の特性であり、曲線bは、図13の従来の可変利得増幅器において、所望の高相互変調歪み特性となるようにエミッタ抵抗REの値を設定した場合の特性であり、曲線cは、図1に示された可変利得増幅器において、所望の低雑音指数特性となるようにエミッタ抵抗RE1の値を設定するとともに、所望の高相互変調歪み特性となるようにエミッタ抵抗RE2の値を設定した場合の特性である。
【0077】
図4から分かるように、本実施の形態における可変利得増幅器は、利得減衰量が大きい時、即ち入力信号の信号レベルが高い時に、曲線bの従来の可変利得増幅器と同等な高相互変調歪み特性を得られることが分かる。
【0078】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図5ないし図8に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記の実施の形態の図面に示した部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付記してその説明を省略する。
【0079】
図5は、本実施の形態における可変利得増幅器3の回路図である。基本的な回路は図1と同じである。差動増幅回路11b・12b、差動増幅回路11c・12cの制御方法としては、前記第3のトランジスタQ3と第6のトランジスタQ6、第9のトランジスタQ9と第12のトランジスタQ12のベースに印加される基準電圧をそれぞれ同一の電圧値(VB1とする)とし、前記第4のトランジスタQ4と第5のトランジスタQ5のベースに印加される制御電圧をVC1、前記第10のトランジスタQ10と第11のトランジスタQ11のベースに印加される制御電圧をVC2とする。VC1とVC2の制御によって、2つの可変利得増幅回路の利得を自由に制御することが可能になる。
【0080】
図1の回路では、可変利得増幅回路ごとに基準電圧が異なるため、下段のトランジスタ(図1の例ではQ1、Q2とQ7、Q8)のコレクタ−エミッタ間電圧Vceが可変利得増幅回路ごとに異なることになる。そのため、アーリー効果によりコレクタ電流のばらつきが生じる。一方、図5の回路では、基準電圧は可変利得増幅回路にかかわらず同じであるので、下段のトランジスタのコレクタ−エミッタ間電圧は等しくなり、アーリー効果によるコレクタ電流のばらつきは生じない。そのため、上記のようなばらつきが顕著な場合など、上記のばらつきの発生を抑えたい場合に、図5の回路は特に好適である。
【0081】
一例として、図6に、VC1とVC2が、所定の電圧制御信号VAGCに対してそれぞれ、
VC1=VAGC+Vα,VC2=VAGC(Vα>0)
の関係を持っている場合のVAGCに対する利得を示す。図6に示すように、エミッタ抵抗RE1を有する可変利得増幅回路11は、VB1−Vαで利得の減衰(利得の減少、ゲインリダクション)が始まり、エミッタ抵抗RE2を有する可変利得増幅回路12は、VB1で利得の減衰が始まる。この場合は図2と同等な特性が得られる。
【0082】
また、別の例として、図5の回路において利得制御方法の具体的な一例を図7に示す。ここで、VC1に対するVC2が図8に示すような関係にあるとする。ここでVC1=VAGCとする。図7に示すように、エミッタ抵抗RE1を有する可変利得増幅回路11は、VB1で利得の減衰が始まり、図7の曲線aで示すような特性を示す。エミッタ抵抗RE2を有する可変利得増幅回路12は、図8で示したVC1に対するVC2の特性に従って、VC1<Vα1では利得がG1を保ち、Vα1<VC1<Vα2では利得がG2まで上昇し、Vα2<VC1<Vα3では利得がG2で一定になり、Vα3<VC1<Vα4では利得がG1まで減少し、Vα4<VC1では利得がG1を保つように制御され、図7の曲線bで示すような特性を示す。2つの可変利得増幅回路のトータルの特性は曲線cで示すようになる。
【0083】
すなわち、Vα1<VAGC、かつ、曲線aの利得が0になるまでの範囲において、両方の可変利得増幅回路11、12を動作させている。このように、2つの可変利得増幅回路の切り替え領域において両方の可変利得増幅回路を動作させることによって、制御電圧VC1を変化させたときに切り替え領域において利得が一旦0になってしまうのを防ぐことができる。そのため、利得の制御電圧特性に不連続な領域が生じて利得の制御電圧特性曲線がのこぎり状になるのを防ぎ、図2と同等な特性を得ることができる。
【0084】
このように、制御電圧をVC1とVC2とのように可変利得増幅回路ごとに別にすることで、電圧制御信号VAGCに基づき、2つの可変利得増幅回路のうち選択された回路のみを動作させることができる。また、切り替えられる両方の可変利得増幅回路ともが動作する制御電圧範囲(言い換えれば入力信号レベルの範囲)を設け、その範囲の幅も任意に制御することが可能になる。
【0085】
なお、実施の形態1では、基準電圧を可変利得増幅回路ごとに異ならせる(VB1、VB2)とともに制御電圧を全可変利得増幅回路で共通(VC1)としている。また、実施の形態2では、制御電圧を可変利得増幅回路ごとに異ならせる(VC1、VC2)とともに基準電圧を全可変利得増幅回路で共通(VB1)としている。これら以外にも、制御電圧、基準電圧とも、可変利得増幅回路ごとに異ならせるように構成することもできる。
【0086】
〔実施の形態3〕
本発明のさらに他の実施の形態について図9ないし図12に基づいて説明すれば以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記の実施の形態の図面に示した部材と同一の機能を有する部材には同一の符号を付記してその説明を省略する。
【0087】
図9に、本実施の形態における可変利得増幅器5の回路図を示す。図5の可変利得増幅回路(11、12)と同一の構成を有するn個(nは2以上の整数)の可変利得増幅回路AMP1、AMP2、…、AMPnを並列に接続する。図5で示した回路と同様に基準電圧は共通(VB1)とし、可変利得増幅回路AMP1〜AMPnの制御電圧をそれぞれVC1〜VCnとする。本構成は、図5、図7、図8で示した制御をn個の可変利得増幅回路に拡張したものである。
【0088】
可変利得増幅回路AMP1、AMP2、…、AMPnのエミッタ抵抗(図示せず)RE1、RE2、…、REnは、RE1<RE2<…<REnとする。
【0089】
AGC(自動利得制御)電圧である電圧制御信号VAGCをデジタルデータに変換するアナログ・デジタル変換回路(制御手段)31と、このアナログ・デジタル変換回路31で変換された上記デジタルデータからVC1〜VCnの制御電圧を発生させるデコーダ回路(制御手段)32とにより、VC1〜VCnを任意に制御することが可能になる。
【0090】
本実施の形態においては、1つの上記電圧制御信号VAGCからn個のデータすなわちn個の制御電圧VC1、VC2、…、VCnを得るために、上記電圧制御信号VAGCのA/D(アナログ/デジタル)変換後のデータ(デジタルデータ)のとりうる全ての値とそのときのVC1、VC2、…、VCnとして設定すべき各デジタル値(デジタル制御電圧データ)との対応(テーブル)を、デコーダ回路32内の図示しない記憶部に記憶している。そして、デコーダ回路32は、アナログ・デジタル変換回路31から上記デジタルデータを受け取ると、図示しない参照部にて、受け取ったデジタルデータと上記記憶部内のテーブルに記憶しているデジタルデータとを照合し、制御データとして、受け取ったデジタルデータに対応するデジタル制御電圧データを上記テーブルから選び出す。
【0091】
そして、デコーダ回路32は、その内部に設けられた、図10に示すような抵抗ストリングD/A変換回路33にて上記デジタル制御電圧データをD/A(デジタル/アナログ)変換し、各デジタル制御電圧データに該当するアナログデータである各制御電圧VC1、VC2、…、VCnを出力するようになっている。すなわち、抵抗ストリングD/A変換回路33は、可変利得増幅回路の個数分設けられており、例えば制御電圧VC2出力用の抵抗ストリングD/A変換回路において、制御電圧VC2に該当する上述のデジタル制御電圧データの各ビットの値(B1ないしBn)がスイッチ制御部33aに入力されて、電源Vrに直列に接続された抵抗器R1ないしR(2n)と並列に設けられたスイッチSW1ないしSW(2n)がこれらの各ビットの値に応じてオンオフされ、得られた電圧(制御電圧VC2)が出力VOとして出力される。
【0092】
なお、電圧制御信号VAGCとしては、例えば、可変利得増幅回路AMP1の制御電圧VC1と同一の電圧信号を用いることができ、それにより、電圧制御信号VAGCとして全く新たな信号を生成する必要が無く、その分構成を簡素化することができる。
【0093】
制御の一例を図11および図12に示す。図12は、VC1(ここではVAGCと同一)、VC2、VC3、…、VCnの関係を示したものであり、言い換えれば、上記記憶部に記憶されているデータをグラフにしたものである。この関係に従って、一つの制御電圧信号VAGCからn個の制御電圧の値を生成している。なお、図12では、図を見やすくするために、各制御電圧の縦軸上の位置を少しずつずらして描いている。
【0094】
VAGC(=VC1)の任意の値(例えば図12のVα)をアナログ・デジタル変換回路31にてA/D(アナログ・デジタル)変換し、得られた2値(0、1)データを、デコーダ回路32にて、図12の縦軸の値(VC2からVCnまで)に相当する2値(0、1)データに変換する。
【0095】
VC1〜VCnは、n個の可変利得増幅回路を順次切り替え動作させ、実施の形態2で述べたのと同様の理由により、切り替え前に動作していた可変利得増幅回路と切り替え後に動作する可変利得増幅回路の両方とも動作させる制御電圧範囲を設けるように制御する。
【0096】
トータルの利得の制御電圧特性は、図11に示すように、AGC電圧に対して(n−1)段の段差部分を持つような特性になる。可変利得増幅回路を複数にし、細かく切り替え制御することで、切り替えによる感度(利得/電圧)が0の領域(図7ではVα2<VC1<Vα3の領域に相当)を少なくし、なめらかに変化する特性を実現することが可能になる。
【0097】
なお、本実施の形態によるn個並列接続した回路で、図11の例とは異なり、図2や図6の例でいえばAGC電圧が低い領域、つまり、制御電圧VC1を増加させた場合の切り替え前の可変利得増幅回路(図2でいえば可変利得増幅回路11)における利得が、減衰開始前の領域や減衰開始直後などであってまだ十分大きな値を持っているような領域(図7でいえば、例えば、VAGC<Vα1、あるいはVAGC<Vα2)で、複数の可変利得増幅回路が同時に動作するように制御することもできる。ただし、そのようにすれば、複数の可変利得増幅回路が同時に動作する領域で負荷抵抗RLに流れる電流が非常に大きくなり、トランジスタのコレクタ−エミッタ間電圧が低下してしまう恐れがある。
【0098】
これに対し、図11の例では、図2や図6に示した例とは異なり、n個の可変利得増幅回路を順次切り替えている。そのため、上記のように切り替え前の可変利得増幅回路における利得がまだ十分大きな値を持っているような領域では、複数の可変利得増幅回路が同時に動作する領域は、無いかまたはごくわずかに抑えられている。その結果、図11の例では、負荷抵抗RLに流れる電流は、最大でも一つの可変利得増幅回路に流れるコレクタ電流程度となる。したがって、上記のようなトランジスタのコレクタ−エミッタ間電圧が低下するのを防ぐことができる。
【0099】
【発明の効果】
以上のように、本発明の可変利得増幅器は、外部から入力される制御電圧の増加に応じて利得を減衰させる可変利得増幅回路を複数個並列に接続し、各可変利得増幅回路が同時に動作することにより各可変利得増幅回路の出力信号の和を出力する可変利得増幅器であって、上記各可変利得増幅回路はそれぞれ、第1のトランジスタのエミッタおよび第2のトランジスタのエミッタがそれぞれ定電流源に接続されるとともに、第1のトランジスタのエミッタと第2のトランジスタのエミッタとがエミッタ抵抗を介して互いに接続され、入力信号が印加されて第1・第2トランジスタの各コレクタからそれぞれコレクタ電流を出力する入力部と、上記入力部から出力される上記コレクタ電流が入力され、上記制御電圧と、外部から入力される各可変利得増幅回路の基準電圧との電圧差に応じた利得で上記出力信号を出力する出力部とを備えており、上記エミッタ抵抗は各可変利得増幅回路間で値の異なるものが含まれ、各可変利得増幅回路の上記電圧差が、上記エミッタ抵抗の値の小さなものほど大きいことにより、各可変利得増幅回路の上記制御電圧が大きくなるにつれて、上記エミッタ抵抗の小さい可変利得増幅回路から順に、最大利得から利得を減衰させる減衰動作を開始する構成である。
また、外部から入力される制御電圧の増加に応じて利得を減衰させる可変利得増幅回路を複数個並列に接続し、
上記各可変利得増幅回路はそれぞれ、
第1のトランジスタのエミッタおよび第2のトランジスタのエミッタがそれぞれ定電流源に接続されるとともに、第1のトランジスタのエミッタと第2のトランジスタのエミッタとがエミッタ抵抗を介して互いに接続され、入力信号が印加されて第1・第2トランジスタの各コレクタからそれぞれコレクタ電流を出力する入力部と、
上記入力部から出力されるコレクタ電流が入力されて、上記制御電圧に応じた利得にて出力信号を出力する出力部とを備えており、
上記複数の可変利得増幅回路のうちでエミッタ抵抗の最も小さい可変利得増幅回路をA1とすると、
各可変利得増幅回路において利得の減衰が始まるときの、上記可変利得増幅回路A1の制御電圧(VC1)の値が大きい可変利得増幅回路ほど、エミッタ抵抗が大きい構成とすることもできる。
【0100】
これにより、全体として、制御電圧の増加により全体の利得を徐々に減衰させていくことができる。また、入力信号レベルが低いときは、エミッタ抵抗の十分小さい可変利得増幅回路を使用して、雑音指数特性を良好にすることができるとともに、入力信号レベルが高いときは、エミッタ抵抗の十分大きい可変利得増幅回路を使用して、相互変調歪み特性を良好にすることができる。それゆえ、全体として利得を問題なく可変することを可能にしながら、同時に、雑音指数特性と相互変調歪み特性とを同時に満足することができるという効果を奏する。
【0101】
また、本発明の可変利得増幅器は、上記の構成に加えて、上記各可変利得増幅回路において、上記制御電圧(VCk)が、外部から入力される各可変利得増幅回路の所定の基準電圧(VBk)より大きくなったときに、利得の減衰を開始し、上記エミッタ抵抗が大きい可変利得増幅回路ほど、上記基準電圧が大きく、すべての可変利得増幅回路について上記制御電圧が等しい構成である。
【0102】
これにより、1種類の制御電圧を印加するだけで、VC1を増加させたときの各可変利得増幅回路の利得の減衰時期をずらすことができる。それゆえ、上記の構成による効果に加えて、構成をより簡素化することができるという効果を奏する。
【0103】
また、本発明の可変利得増幅器は、上記の構成に加えて、上記各可変利得増幅回路において、上記制御電圧(VCk)が、外部から入力される各可変利得増幅回路の所定の基準電圧(VBk)より大きくなったときに、利得の減衰を開始し、すべての可変利得増幅回路について上記基準電圧が等しい構成である。
【0104】
これにより、上記基準電圧として、1種類用意するだけでよい。それゆえ、上記の構成による効果に加えて、構成をより簡素化することができるという効果を奏する。
【0105】
また、本発明の可変利得増幅器は、上記の構成に加えて、
k番目の上記可変利得増幅回路Akの第x番目のトランジスタをQ(k、x)と表すと、
上記すべての可変利得増幅回路Akについて、
上記入力部は、
第1のトランジスタQ(k、1)のエミッタおよび第2のトランジスタQ(k、2)のエミッタがそれぞれ定電流源Icに接続されるとともに、第1のトランジスタQ(k、1)のエミッタと第2のトランジスタQ(k、2)のエミッタとがエミッタ抵抗REを介して互いに接続され、
第1のトランジスタQ(k、1)のベースには入力信号IN1が印加され、
第2のトランジスタQ(k、2)のベースには入力信号IN2が印加されるようになっている第1の差動増幅回路を備え、
上記出力部は、
第3のトランジスタQ(k、3)のエミッタおよび第4のトランジスタQ(k、4)のエミッタがいずれも第1のトランジスタQ(k、1)のコレクタに接続され、
第4のトランジスタQ(k、4)のコレクタには電源Vccが接続されるとともに、第3のトランジスタQ(k、3)のコレクタには、負荷抵抗RLを介して電源Vccが接続され、
第3のトランジスタQ(k、3)のベースには基準電圧VBkが印加され、
第4のトランジスタQ(k、4)のベースには制御電圧VCkが印加されるようになっている第2の差動増幅回路と、
第5のトランジスタQ(k、5)のエミッタおよび第6のトランジスタQ(k、6)のエミッタがいずれも第2のトランジスタQ(k、2)のコレクタに接続され、
第5のトランジスタQ(k、5)のコレクタには電源Vccが接続されるとともに、第6のトランジスタQ(k、6)のコレクタには、負荷抵抗RLを介して電源Vccが接続され、
第6のトランジスタQ(k、6)のベースは第3のトランジスタQ(k、3)のベースと接続されることで、第6のトランジスタQ(k、6)のベースには上記基準電圧VBkが印加され、
第5のトランジスタQ(k、5)のベースは第4のトランジスタQ(k、4)のベースと接続されることで、第5のトランジスタQ(k、5)のベースには上記制御電圧VCkが印加されるようになっている第3の差動増幅回路とを備えており、
すべての可変利得増幅回路について、
第1のトランジスタQ(k、1)のベース同士が互いに接続され、
第2のトランジスタQ(k、2)のベース同士が互いに接続され、
第3のトランジスタQ(k、3)のコレクタ同士が互いに接続され、
第6のトランジスタQ(k、6)のコレクタ同士が互いに接続されている構成である。
【0106】
これにより、出力部において、制御電圧(VCk)と基準電圧(VBk)との大小関係に応じて、第3ないし第6のトランジスタに流れる電流を制御し、利得の減衰の有無や程度を決定することができる。それゆえ、上記の構成による効果に加えて、簡素な構成で、雑音指数特性と相互変調歪み特性を同時に満足することができるという効果を奏する。
【0107】
また、本発明の可変利得増幅器は、上記の構成に加えて、上記すべての可変利得増幅回路の制御電圧を決定する電圧制御信号が入力されて、上記各可変利得増幅回路に上記各制御電圧を出力することで、動作させる可変利得増幅回路を選択する制御手段を備えた構成である。
【0108】
これにより、一つの電圧制御信号を調節するだけで、複数の可変利得増幅回路の利得減衰の動作点(開始時期)を可変利得増幅回路ごとに所望のようにずらすことができる。それゆえ、上記の構成による効果に加えて、容易に、所望の利得を得ることができるという効果を奏する。
【0109】
また、本発明の可変利得増幅器は、上記の構成に加えて、上記制御手段は、上記電圧制御信号をデジタルデータに変換するアナログ・デジタル変換回路と、上記アナログ・デジタル変換回路で変換された上記デジタルデータから、可変利得増幅回路を選択するための制御データを発生するデコーダ回路とを備えた構成である。
【0110】
これにより、電圧制御信号を種々変更しても、上記アナログ・デジタル変換回路や上記デコーダ回路の内部処理部分のみを変更するだけで対応することができる。それゆえ、上記の構成による効果に加えて、いっそう容易に、所望の利得を得ることができるという効果を奏する。
【0111】
また、本発明の可変利得増幅器は、上記の構成に加えて、上記制御手段は、選択する可変利得増幅回路を切り替える際に、切り替え前に動作してした可変利得増幅回路と、切り替え後に動作する可変利得増幅回路との両方を選択する構成である。
【0112】
これにより、一方の可変利得増幅回路の利得が大幅に減衰する前に、次の可変利得増幅回路によって、十分大きな利得を得ることができる。それゆえ、上記の構成による効果に加えて、可変利得増幅回路の切り替えポイントにおける利得の必要以上の低下を防ぎ、より容易に所望の利得が得られるように制御することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る可変利得増幅器の一構成例を示す回路図である。
【図2】図1の構成における利得の制御電圧特性の一例を示すグラフである。
【図3】利得減衰量に対する雑音指数特性を示すグラフである。
【図4】利得減衰量に対する相互変調歪み特性を示すグラフである。
【図5】本発明に係る可変利得増幅器の他の構成例を示す回路図である。
【図6】図5の構成における利得の制御電圧特性の一例を示すグラフである。
【図7】図5の構成における利得の制御電圧特性の他の例を示すグラフである。
【図8】図7の例における制御電圧と電圧制御信号との関係の一例を示すグラフである。
【図9】本発明に係る可変利得増幅器のさらに他の構成例を示す回路図である。
【図10】抵抗ストリングD/A変換回路の構成例を示す回路図である。
【図11】図9の構成における利得の制御電圧特性の一例を示すグラフである。
【図12】図11の例における制御電圧と電圧制御信号との関係の一例を示すグラフである。
【図13】従来の可変利得増幅器の構成例を示す回路図である。
【図14】従来の可変利得増幅器における利得の制御電圧特性の一例を示すグラフである。
【符号の説明】
1 可変利得増幅器
3 可変利得増幅器
5 可変利得増幅器
11 可変利得増幅回路
11a 第1の差動増幅回路(入力部)
11b 第2の差動増幅回路(出力部)
11c 第3の差動増幅回路(出力部)
12 可変利得増幅回路
12a 第1の差動増幅回路(入力部)
12b 第2の差動増幅回路(出力部)
12c 第3の差動増幅回路(出力部)
31 アナログ・デジタル変換回路(制御手段)
32 デコーダ回路(制御手段)
33 抵抗ストリングD/A変換回路
33a スイッチ制御部
AMP1、AMP2、AMPn 可変利得増幅回路
Ic 定電流源
IN1、IN2 入力信号
OUT1、OUT2 出力信号
R1、…、R(2n) 抵抗器
RE1、RE2 エミッタ抵抗
RL 負荷抵抗
SW1、…、SW(2n) スイッチ
VB1、VB2 基準電圧
VC1、VC2 制御電圧
Vcc 電源
VO 出力
Vr 電源

Claims (7)

  1. 外部から入力される制御電圧の増加に応じて利得を減衰させる可変利得増幅回路を複数個並列に接続し、各可変利得増幅回路が同時に動作することにより各可変利得増幅回路の出力信号の和を出力する可変利得増幅器であって、
    上記各可変利得増幅回路はそれぞれ、
    第1のトランジスタのエミッタおよび第2のトランジスタのエミッタがそれぞれ定電流源に接続されるとともに、第1のトランジスタのエミッタと第2のトランジスタのエミッタとがエミッタ抵抗を介して互いに接続され、入力信号が印加されて第1・第2トランジスタの各コレクタからそれぞれコレクタ電流を出力する入力部と、
    上記入力部から出力される上記コレクタ電流が入力され、上記制御電圧と、外部から入力される各可変利得増幅回路の基準電圧との電圧差に応じた利得で上記出力信号を出力する出力部とを備えており、
    上記エミッタ抵抗は各可変利得増幅回路間で値の異なるものが含まれ、
    各可変利得増幅回路の上記電圧差が、上記エミッタ抵抗の値の小さな可変利得増幅回路ほど大きいことにより、各可変利得増幅回路の上記制御電圧が大きくなるにつれて、上記エミッタ抵抗の小さい可変利得増幅回路から順に、最大利得から利得を減衰させる減衰動作を開始することを特徴とする可変利得増幅器。
  2. 上記各可変利得増幅回路において、上記制御電圧が、外部から入力される各可変利得増幅回路の所定の基準電圧より大きくなったときに、利得の減衰を開始し、
    上記エミッタ抵抗が大きい可変利得増幅回路ほど、上記基準電圧が大きく、
    すべての可変利得増幅回路について上記制御電圧が等しいことを特徴とする請求項1記載の可変利得増幅器。
  3. 上記各可変利得増幅回路において、上記制御電圧が、外部から入力される各可変利得増幅回路の所定の基準電圧より大きくなったときに、利得の減衰を開始し、
    すべての可変利得増幅回路について上記基準電圧が等しいことを特徴とする請求項1記載の可変利得増幅器。
  4. k番目の上記可変利得増幅回路Akの第x番目のトランジスタをQ(k、x)と表すと、
    上記すべての可変利得増幅回路Akについて、
    上記入力部は、
    第1のトランジスタQ(k、1)のエミッタおよび第2のトランジスタQ(k、2)のエミッタがそれぞれ定電流源Icに接続されるとともに、第1のトランジスタQ(k、1)のエミッタと第2のトランジスタQ(k、2)のエミッタとがエミッタ抵抗REを介して互いに接続され、
    第1のトランジスタQ(k、1)のベースには入力信号IN1が印加され、
    第2のトランジスタQ(k、2)のベースには入力信号IN2が印加されるようになっている第1の差動増幅回路を備え、
    上記出力部は、
    第3のトランジスタQ(k、3)のエミッタおよび第4のトランジスタQ(k、4)のエミッタがいずれも第1のトランジスタQ(k、1)のコレクタに接続され、
    第4のトランジスタQ(k、4)のコレクタには電源Vccが接続されるとともに、第3のトランジスタQ(k、3)のコレクタには、負荷抵抗RLを介して電源Vccが接続され、
    第3のトランジスタQ(k、3)のベースには基準電圧VBkが印加され、
    第4のトランジスタQ(k、4)のベースには制御電圧VCkが印加されるようになっている第2の差動増幅回路と、
    第5のトランジスタQ(k、5)のエミッタおよび第6のトランジスタQ(k、6)のエミッタがいずれも第2のトランジスタQ(k、2)のコレクタに接続され、
    第5のトランジスタQ(k、5)のコレクタには電源Vccが接続されるとともに、第6のトランジスタQ(k、6)のコレクタには、負荷抵抗RLを介して電源Vccが接続され、
    第6のトランジスタQ(k、6)のベースは第3のトランジスタQ(k、3)のベースと接続されることで、第6のトランジスタQ(k、6)のベースには上記基準電圧VBkが印加され、
    第5のトランジスタQ(k、5)のベースは第4のトランジスタQ(k、4)のベースと接続されることで、第5のトランジスタQ(k、5)のベースには上記制御電圧VCkが印加されるようになっている第3の差動増幅回路とを備えており、
    すべての可変利得増幅回路について、
    第1のトランジスタQ(k、1)のベース同士が互いに接続され、
    第2のトランジスタQ(k、2)のベース同士が互いに接続され、
    第3のトランジスタQ(k、3)のコレクタ同士が互いに接続され、
    第6のトランジスタQ(k、6)のコレクタ同士が互いに接続されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の可変利得増幅器。
  5. 上記すべての可変利得増幅回路の制御電圧を決定する電圧制御信号が入力されて、上記各可変利得増幅回路に上記各制御電圧を出力することで、動作させる可変利得増幅回路を選択する制御手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の可変利得増幅器。
  6. 上記制御手段は、
    上記電圧制御信号をデジタルデータに変換するアナログ・デジタル変換回路と、
    上記アナログ・デジタル変換回路で変換された上記デジタルデータから、可変利得増幅回路を選択するための制御データを発生するデコーダ回路とを備えたことを特徴とする請求項5記載の可変利得増幅器。
  7. 上記制御手段は、選択する可変利得増幅回路を切り替える際に、切り替え前に動作していた可変利得増幅回路と、切り替え後に動作する可変利得増幅回路との両方を選択することを特徴とする請求項5または6記載の可変利得増幅器。
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