JP3583882B2 - 引き戸のロック装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、引き戸を閉めた際に自動的にロックするロック装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
障子をスライドさせて開閉を行う引き戸では、障子の中框に設けられたクレセントを手動操作して施錠を行っている。また、このクレセントとは別に施錠する2重ロックが知られている。従来の2重ロックは、下框に取り付けられるもので、施錠ボタンを押して施錠を行い、解除ボタンを押して施錠解除するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の2重ロックは、クレセントと同じように手動操作で施錠を行っていたため、クレセントのみ施錠を行い2重ロックの施錠を忘れる場合や、クレセントと2重ロックの両方の施錠を忘れる場合があった。
【0004】
【発明の目的】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、障子を閉めた際に、自動的にロックが成されるもので、施錠忘れを防止できる引き戸のロック装置の提供にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の引き戸のロック装置は、次の技術的手段を採用した。
〔請求項1の手段〕
引き戸のロック装置は、
弾性体により突出自在に設けられたストッパと、
弾性体により突出自在に設けられた押しボタンと、
没状態に移動したストッパに係合する係合部材と、
押しボタンの操作に連動してストッパと係合部材との係合を解く解除手段とを備え、
ストッパは、作用面の背面にかかる外力に応じてストッパを没方向に移動する傾斜部を備え、
押しボタンは、外力に応じて押しボタンを没方向に移動する傾斜部を備え
ストッパを突没自在な状態と常時没の状態とに設定する切替手段を備えることを特徴とする。
【0007】
【発明の作用】
(開→閉)
引き戸が開けられた状態では、後述するように、ストッパと係合部材との係合が解除されており、ストッパが突出状態にある。この状態で、引き戸を閉める際は、ストッパは傾斜部によって引き戸と係止せず、引き戸の通過を許す。引き戸が閉まると、ストッパが突出してストッパの作用面が引き戸にロックし、引き戸が開くのを阻止する。
【0008】
なお、ストッパの取付位置によって、ロック位置を調節することができる。つまり、引き戸が完全に閉まった状態でストッパが引き戸をロックするように設けても良いが、引き戸が完全に閉まる前の状態でストッパが引き戸にロックするように設けて、ロック状態で換気を行えるようにしても良い。
【0009】
(閉→開)
引き戸を開く時は、ストッパを没状態にする。すると、ストッパに係合部材が係合し、ストッパが没状態のままになる。このため、ストッパによる引き戸のロックが解除され、引き戸を開くことができる。
そして、引き戸を開くと、復帰ボタンの傾斜部によって、復帰ボタンが没状態に移動する。すると、解除手段が作動してストッパと係合部材との係合が解かれ、ストッパが突出する。
【0010】
【発明の効果】
上記の作用で示したように、引き戸のロック装置は、引き戸を閉めると、自動的にストッパが引き戸にロックして、引き戸が開くのを阻止する。つまり、自動的にロックが成されるので、施錠忘れを防止できる。
【0011】
また、ストッパを突没自在な状態と、常時没の状態とに設定する切替手段を設けたことにより、引き戸を閉めると自動的にロックが成されるオートロックのモードと、引き戸を自由に開閉できるフリーのモードとの設定が可能となり、使い勝手が優れる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、実施例および変形例に示す。
〔実施例の構成〕
図1ないし図7は実施例を示すもので、図1ないし図6はオートロック装置の作動説明図、図7は室内側から見た引き戸の斜視図である。
【0013】
引き戸1は、図7に示されるもので、建築物に取り付けられる枠体2と、この枠体2内の開口部2aをスライドして開閉する内障子3および外障子4を備える。
内障子3は、枠体2の室内側をスライドするもので、上辺の上框3a、両辺の中框3b、下辺の下框3cおよびガラス3dを備える。また、外障子4は、枠体2の室外側をスライドするもので、内障子3と同様、上辺の上框4a、両辺の中框4b、下辺の下框4cおよびガラス4dを備える。
なお、実施例中における右および左は、室内側から見た方向を示すものとする。
【0014】
外障子4の下框4cに右側には、オートロック装置5が取り付けられている。オートロック装置5は、ストッパ6、押しボタン7、解除手段8付きの係合部材9、切替手段10を備えるもので、ケース11に組み付けられた状態で、外障子4の下框4cに取り付けられている。
なお、ケース11は上下に溝を備え、その溝が下框4cに設けられた開口に差し込まれることで、オートロック装置5が下框4cに組み付けられる。つまり、ビス等を用いることなく、オートロック装置5が下框4cに固定される。
【0015】
ストッパ6は、弾性体6aによって室内側へ押し出されるもので、ストッパ6の左側には、内障子3が閉側(右側)へスライドする際、内障子3のスライドを許す傾斜部6bを備え、ストッパ6の右側には、内障子3に係止して、内障子3が開側(左側)へスライドするのを阻止する作用面6cを備える。
【0016】
押しボタン7は、ストッパ6より数センチほど左側に配置されたもので、弾性体7aによって室内側へ押し出される。押しボタン7の左右には、内障子3が閉側(右側)および開側(左側)へスライドする際、内障子3のスライドを許す傾斜部7bを備える。なお、押しボタン7は、内障子3の中框3bに設けられた外向きの突起3b’(窓が閉じられた際に気密性を高める突起)に押されて、外障子4の下框4c内(ケース11内)に深く押し込まれるものである。なお、押しボタン7が外向きの突起3b’によって、深く押し込まれた際に、解除手段8が作動する(後述する)。
【0017】
係合部材9は、ケース11内において弾性体9aにより左側へ付勢されるもので、ストッパ6が押し込まれた際、ストッパ6の作用面6cに設けられた凹部6dに係合するものである。
【0018】
解除手段8は、係合部材9と一体に設けられたもので、係合部材9がストッパ6の凹部6dに係合している状態では、係合部材9とともに左側にスライドするものである。解除手段8の左端部には、傾斜部8aが設けられており、押しボタン7が深く押し込まれると、押し込まれる押しボタン7によって解除手段8が右側へスライドし、係合部材9を押し戻し、ストッパ6と係合部材9との係合を解除する。
【0019】
切替手段10は、ストッパ6と押しボタン7の間に設けられたもので、使用者によって左右に設定可能なものである。左側に設定された状態は、オートロックの状態で、切替手段10は何ら作用しない。右側への設定は、ストッパ6を押し込んだ状態において設定可能なもので、切替手段10が右側に設定した状態は、フリーの状態で、切替手段10に設けられた突起10aおよび傾斜片10bが、ストッパ6に形成された凹部6eおよび傾斜部6bに係止し、ストッパ6が室内側に突出するのを阻止する。
なお、切替手段10は、弾性体10c、ボール10dおよびケース11に設けられた穴10eにより、切替時のクリック感が与えられている。
【0020】
〔実施例の作動〕
(引き戸1を閉じる)
外障子4あるいは内障子3の少なくとも一方が開かれた状態から、外障子4あるいは内障子3をスライドして引き戸1を閉める時は、後述するように、ストッパ6と係合部材9との係合が解除されており、ストッパ6は室内側に押し出されている。しかるに、内障子3が閉側(右側)へスライドする際は、ストッパ6の傾斜部6bが内障子3のスライドを許す(図1の状態)。
【0021】
内障子3がストッパ6の室内側を完全に通過すると、ストッパ6の作用面6cが内障子3を係止するようになり、内障子3が開く側へのスライドを阻止する(図2の状態)。なお、この実施例では、外障子4および内障子3が完全に閉まる前の状態でストッパ6が内障子3にロックするように、ストッパ6の位置が右端よりやや左側に設けられている。
【0022】
(引き戸1を開く)
外障子4あるいは内障子3の少なくとも一方を開く時は、ストッパ6を外障子4の下框4c内に押し込む。すると、押し込まれたストッパ6に係合部材9が係合し、ストッパ6が押し込まれた状態のままになる(図3の状態)。この結果、ストッパ6と内障子3との係止状態が解除され、外障子4および内障子3を開くことが可能になる。
【0023】
そして、外障子4あるいは内障子3の少なくとも一方を開く際、押しボタン7が内障子3の中框3bに設けられた外向きの突起3b’によって、下框4c内に押し込まれる(図4の状態)。すると、押し込まれた押しボタン7が解除手段8を右側へスライドさせ、ストッパ6と係合部材9との係合を解除する。この結果、ストッパ6は室内側に押し出される。しかるに、ストッパ6は、内障子3を係止せず、外障子4あるいは内障子3の少なくとも一方が開くスライドを妨げない。
【0024】
(切替手段10のフリー設定状態)
引き戸1の開閉頻度が高い場合など、使用者がオートロックを希望しない場合は、ストッパ6を押し込み、切替手段10を右側に設定する(図5参照)。この状態では、切替手段10の突起10aおよび傾斜片10bが、ストッパ6の凹部6eおよび傾斜部6bに係止し、ストッパ6が室内側に突出するのを阻止するため、オートロックが機能せず、内障子3および外障子4を自由にスライドできる。
【0025】
なお、図6に示すように、押しボタン7が内障子3の中框3bに設けられた外向きの突起3b’によって下框4c内に押し込まれて、ストッパ6と係合部材9との係合が解除されても、切替手段10の突起10aおよび傾斜片10bが、ストッパ6の凹部6eおよび傾斜部6bに係止しているため、ストッパ6が室内側に突出するのを阻止する。
【0026】
〔実施例の効果〕
本実施例のオートロック装置5は、上記の作用で示したように、外障子4あるいは内障子3をスライドして引き戸1を閉めると、自動的にストッパ6が内障子3に係止し、外障子4および内障子3が開くのを阻止する。つまり、自動的にロックが成されるので、クレセント12により施錠するのみで、確実に2重ロックが成され、クレセント12による施錠を忘れても、オートロック装置5が自動ロックを施すので、施錠忘れを確実に防止できる。
【0027】
この実施例では、外障子4および内障子3が完全に閉まる前の状態でストッパ6が内障子3をロックするように設けられているため、オートロック装置5によるロック状態のまま窓を少し開け、換気を行うことができる。
また、切替手段10の切り替えによって、オートロック状態とフリーの状態が容易に設定できるため、使い勝手に優れる。
さらに、オートロック装置5は、外障子4の下框4cに差し込まれて固定されるため、ビス等の締結具が不要で、オートロック装置5を引き戸1に容易に組付けることができる。
【0028】
〔変形例〕
上記の実施例では、建築物に取り付けた引き戸1を例に示したが、バス車両等の乗物の引き戸に適用するなど、他の引き戸に本発明のロック装置を適用しても良い。
上記の実施例では、内障子3と外障子4の両方がスライドする引き戸1を例に示したが、片引きの引き戸に本発明のロック装置を適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】窓を閉める際のロック装置の作動説明図である。
【図2】ロック状態を示すロック装置の作動説明図である。
【図3】ロック解除を示すロック装置の作動説明図である。
【図4】窓を開く際のロック装置の作動説明図である。
【図5】フリー設定状態におけるロック装置の作動説明図である。
【図6】フリー設定状態におけるロック装置の作動説明図である。
【図7】室内側から見た引き戸の斜視図である。
【符号の説明】
1 引き戸
5 オートロック装置
6 ストッパ
6a ストッパの弾性体
6b ストッパの傾斜部
6c ストッパの作用面
7 押しボタン
7a 押しボタンの弾性体
7b 押しボタンの傾斜部
8 解除手段
9 係合部材
10 切替手段

Claims (1)

  1. 弾性体により突出自在に設けられたストッパと、
    弾性体により突出自在に設けられた押しボタンと、
    没状態に移動したストッパに係合する係合部材と、
    押しボタンの操作に連動してストッパと係合部材との係合を解く解除手段とを備え、
    ストッパは、作用面の背面にかかる外力に応じてストッパを没方向に移動する傾斜部を備え、
    押しボタンは、外力に応じて押しボタンを没方向に移動する傾斜部を備え
    ストッパを突没自在な状態と常時没の状態とに設定する切替手段を備える
    ことを特徴とする引き戸のロック装置。
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