JP3583772B2 - 表面欠陥検査装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はウェハあるいは液晶ガラス基板等の製造プロセスラインにおける該ウェハあるいは液晶ガラス基板等のような、表面に薄膜を有する被検体あるいは表面が平面である被検体の表面の欠陥を検査する表面欠陥検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶パネル等のフォト・リソグラフィ・プロセスラインにおいて、基板表面に塗布したレジストに膜厚のむら、あるいは塵埃の付着等の欠陥があると、エッチング後にパターンの線幅不良や、パターン内のピンホールなどの不良となって現れる。そこで、一般にエッチング前の基板について前記欠陥の有無を全数検査することが行われている。
【0003】
従来、このような欠陥検査は、投光装置により基板(以下、被検体と呼ぶ)を照明し、目視で欠陥を探す方法が採られていた。このような用途に適した検査用投光装置の一例として、本出願人が先に出願した(特願平4−31922号明細書)の装置の概要を、図27および図28を参照して説明する。
【0004】
高輝度光源201からの光束は、熱線吸収フィルタ203を通り、拡散板204で均一照明光とされた後、干渉フィルタ205でスペクトル幅を制限された光束(以下、狭帯域光と呼ぶ)となる。続いて、平面鏡206で反射され、大口径フレネルレンズ207および208で収束光束に変換されてから被検体211を照明する。フレネルレンズ208の直後には液晶拡散板209があり、通常は拡散板として作用するので、被検体211は大きな面光源からの拡散光で照明されることになる。
【0005】
一方、図27に示すように電源210により液晶拡散板209に電圧を印加すると無色透明になり、このとき被検体211は収束光で照明される。
【0006】
このような構成の検査用投光装置において、被検体211の膜厚のむらについては、図28に示す拡散光照明装置の下で検査される。これは、レジストの膜厚が変化すると、レジスト表面と裏面からの反射光の光路差が変化するため、準単色光で照明して観察すると、膜厚の変化が明暗の干渉縞となり、膜厚のむらを認識できるものである。
【0007】
被検体211に対する塵埃212の付着は、収束光照明(図27)の下で検査される。即ち、被検体211の平面で反射した光束は、位置Sに収束するので、それを避けた位置に観察者の眼213を置くと、平面以外の点つまり塵埃212で散乱された光だけが目視で認められる。
【0008】
収束光照明では次のような欠陥も検出される。図13はレジスト現像後の被検体断面の模式図であり、基板60(ガラス板あるいはウェハなど)の上に成膜層61があり、その上にパターン化されたレジスト62が残っている状態を示している。図14は、図13の一部65を拡大したもものである。このように被検体の表面は大きく3つの部分に分けることができる。即ち、レジスト残膜上の平らな部分Aとレジストの無い平らな部分Bと、両者の間にある段差の側面CおよびDである。このうち、平らな部分Aの膜厚むら等の欠陥は、正反射光を観察する前述した拡散光照明装置で検出できる。
【0009】
さて、正常な側面は図15のCようになっているのに対し、欠陥部分の側面は例えば図16のCのように変形している。このように異なる形状は、異なる光の散乱角度分布を示すため、収束光照明で散乱光により観察すれば、側面CおよびDの欠陥が正常な部分との輝度の違いとなって認められるのである。
【0010】
一方、膜厚のむらについては、図29に示す拡散光照明装置の下で検査される。これは、レジストの膜厚が変化すると、レジスト表面と裏面からの反射光の光路差が変化するため、準単色光で照明して観察すると、膜厚の変化が明暗の干渉縞となり、膜厚のむらを認識できるものである。
【0011】
この検査用投光装置は、本出願人が先に出願して公開された(特開平5−109849号公報)被検体の揺動回転機構と組合せて用いられる。つまり実際の検査では被検体211を投光装置で照明するとともに、揺動回転させて被検体211への光束の入・反射角や、被検体上の周期的なパターンによる回折光の方向を作業者が調整し、散乱光や干渉した反射光の観察が妨げられない状態にしながら、被検体211の全面の検査を行うことができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べた作業は、作業者の目視による検査であるため、観察の自由度が大きく、優れた検査能力を示すことが可能である。しかし一方、作業者の個人差や、観察状態の違いによる検出能力のばらつきはどうしても避けることができず、特に検査が高頻度・長時間に及ぶと作業者の疲労を引き起こし、一定の検査能力を維持することはさらに困難になる。また、作業者からの発塵も常に問題となっており、同検査の自動化が望まれていた。
【0013】
自動化の方法として容易に考えられるのは、図27ないしは図28に示した眼213の代わりに、結像レンズとCCD等の撮像素子を設置して検査画面を取得し、これを画像処理して欠陥を抽出することである。しかし、この方法は以下に述べる第1〜第4の問題点を含んでいる。
【0014】
<第1の問題点>
被検体211に対する照明光の入射角が、場所によって大きく異なる点である。図29はこれを説明するためのものであり、図28を簡略にしたもので、図中209は拡散板、211は被検体、214は結像レンズ、215は撮像素子である。
【0015】
このような構成のものにおいて、拡散板209を出て被検体211で反射し、結像レンズ214を経て撮像素子215に達する光線の入射角θ0 は、被検体211の両端における最大値θ0maxと最小値θ0minの間で連続的に変化する。
【0016】
ここで、膜厚むらの観察を例にとると、薄膜(=レジスト)の屈折率をn,膜厚をh,照明光(単色)の波長をλ0 ,(Snell の法則で決まる)薄膜内部の光線の屈折角をθ′,薄膜下面での反射時の位相変化をφ(0≦φ<2π)とすれば、薄膜による干渉縞が明線になる条件は
2nhcos θ′+( φ/2π) ・λ0 =mλ0 ,m=0,±1,±2, (1)
で表される(m;干渉次数)。つまり、照明光の入射角θ0 が変化する図29の配置では、被検体211の膜厚が全面で均一であったとしても、入射角θ0 の分布に従って被検体上に明暗の分布ができてしまう。そして、膜厚むらはその明暗の中に、ある場所では明るく、また別の場所では暗く観察される。そこで、従来の検査装置では前述のように被検体211を揺動回転させて照明の入射条件を変えながら被検体211全面を検査する必要がある。
【0017】
しかし、画像処理装置を用いて膜厚むらを抽出しようとするとき、同じ膜厚むらが場所により異なって見えたり、入射条件を変えた複数の画像を処理しなければならないとすれば、その処理がたいへん複雑で困難になるであろうことが容易に推測される。
【0018】
段差側面の欠陥検出に関しても同様に、被検体上の位置により、観察する散乱光が異なることになってしまう。
【0019】
なお、被検体211がウェハ程度の大きさであれば入射角θ0 の変化も小さいが、液晶ガラス基板を一括あるいは2ないし4分割で検査しようとすると、θ0 の変化はかなり大きくなり、上記の問題は避けられなくなる。
【0020】
<第2の問題点>
被検体211に対して垂直入射の照明が不可能な点である。(1) 式からわかるように、垂直入射のとき(θ0 =θ′=0°)、膜厚むらの検出感度は最も大きくなる。
【0021】
しかし、拡散板209と撮像素子215を図30のように配置して被検体211への入射角θ0 を0°に近くした場合、撮像素子215の影になる部分は照明が当たらず、観測できない。
【0022】
また、拡散板209と被検体211の間にハーフミラーを設けて観察光路を折り曲げれば影は無くなるが、この場合、被検体211より大きいハーフミラーが必要になり、広視野化に対応するのが難しくなる。
【0023】
<第3の問題点>
被検体211上の座標取得が困難な点である。図29の配置では観察光軸に対して被検体211が傾いているために、全面のシャープな像を得るためには、撮像素子215の撮像面も傾けなければならず(シャインプルーフの条件)、同時に被検体211の結像レンズ214に近い側ほど倍率の大きな歪んだ像になる。従って、欠陥の原因解析等のためにその位置座標を得ようとすれば、座標を較正する手段を講じなければならない。
【0024】
<第4の問題点>
図27の装置で被検体211上の塵埃212を検出する場合、被検体211上の配線パターンによる回折光で全面が光るため、散乱点のコントラストがあまり上がらず、画像処理で抽出するのが困難になる点である。
【0025】
本発明は以上の問題点を解決するためになされたもので、正反射光近傍のあらゆる方向の散乱光を検査することができる表面欠陥検査装置を提供することを目的とする。
【0026】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、請求項1に対応する発明は、被検体の上方から拡散光束を照射する拡散光束照射光源と、この拡散光束照射光源からの拡散光束を略平行な光束として前記被検体に照射する平行光束照射光手段と、この平行光束照射手段の平行光束により照射される前記被検体からの光を集光する集光手段と、この集光手段を介して前記被検体からの光を撮像する撮像手段と具備し、前記拡散光束照射光源は、前記撮像手段の結像レンズの入射瞳よりわずかに大きい径の遮光領域を有するリング状出射面を前記平行光束照射手段の後側焦点近傍に位置させ、前記撮像手段により前記被検体からの散乱光を取り込むことを特徴とする表面欠陥検査装置である。
【0027】
前記目的を達成するため、請求項2に対応する発明は、次のようにしたものである。すなわち、前記拡散光束照射光源は、前記平行光束照射手段の後側焦点近傍に前記撮像手段の結像レンズの入射瞳よりわずかに大きい径の遮光領域を形成する遮光板を配置してリング状出射面を構成することを特徴とする請求項1記載の表面欠陥検査装置である。
【0028】
前記目的を達成するため、請求項3に対応する発明は、次のようにしたものである。すなわち、前記拡散光束照射光源は、前記撮像手段の結像レンズの入射瞳よりわずかに大きい径のリング状出射面を有するリング状光源からなることを特徴とする請求項1記載の表面欠陥検査装置である。
【0029】
前記目的を達成するため、請求項4に対応する発明は、次のようにしたものである。すなわち、前記平行光束照射手段と前記集光手段は、同一のコリメータレンズで兼用し、このコリメータレンズの光軸に透過光路と反射光路に分割する光路分割手段を配置し、この光路分割手段と前記被検体との間で前記被検体に対する前記拡散光束照射光源の光軸と前記撮像手段の光軸を一致させたことを特徴とする請求項1記載の表面欠陥検査装置である。
【0030】
前記目的を達成するため、請求項5に対応する発明は、次のようにしたものである。すなわち、前記平行光束照射手段と前記集光手段は、同一のコリメータレンズで兼用し、このコリメータレンズの光軸に対して前記被検体に対する前記拡散光束照射光源の光軸を回転対称にずらして配置したことを特徴とする請求項1記載の表面欠陥検査装置である。
【0031】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0032】
初めに、被検体の膜厚むらおよび塵挨、傷を検出するための実施例を説明する。
【0033】
<第1実施例>
図1は本発明の表面欠陥検査装置の第1実施例の光学系の側面図である。膜厚むら検出用の光源であるハロゲンランプ2を出た光束は熱線吸収フィルタ3を経て、コンデンサレンズ4で平行光束群に変換される。これらはランプハウス1に一体となっている。
【0034】
回転ホルダ5には、複数の狭帯域干渉フィルタ(図示せず)が収められており、これをモータ(図示しない)で回転することにより、所望の干渉フィルタを光路内に挿入することができる。
【0035】
観察する薄膜の屈折率nは、1.62(ポジレジスト),厚さhは1.5μm程度であるから、干渉の光路差は2nh〜5μm程度である。そこで照明光のコヒーレント長λ0 2 /Δλ(λ0 〜0.6μm;中心波長,Δλ;スペクトルの半値幅)が5μmより十分大きくなるように、Δλ=10nmの干渉フィルタを使用している。中心波長λ0 の可変範囲は、膜厚の均一な部分の干渉次数が1だけ変化する範囲にとれば、(1) 式の任意のφに対して、膜厚が均一な領域を干渉縞の明線と暗線の間で自在に設定することができる。即ち、可変範囲をλ01からλ02(λ01<λ02)とすれば(1) 式より、
2nhcos θ′+( φ/2π) ・λ01=(m+1)λ01
2nhcos θ′+( φ/2π) ・λ02=mλ02 (2)
が成立することであり、nとφの波長依存を無視し、θ′=0として両式よりm
を消去すれば、
1/2nh=1/λ01−1/λ02 (3)
を得る。
【0036】
つまり、検査する薄膜の光学的厚さnhが小さいほど、広い可変範囲が必要になる。そこで、検査対象となるすべての薄膜のうち、最小の光学的厚さnhをもつものに合わせてλ0 の可変範囲を設定しておけば、薄膜より下層の構成に関わらず(つまりφが変化しても)どの薄膜に対しても、膜厚の均一な領域を任意の干渉縞(例えば暗線)にする中心波長λ0 を選択することができる。
【0037】
本実施例ではn=1.62,h=1.1μmに対応できるように、λ0 の範囲を550nmから650nmとし、その間で10nm間隔で中心波長を選べるようにしている。従って、回転ホルダ5は11枚の干渉フィルタと、白色光照明用の空穴1つを備えている。干渉フィルタで狭帯域光化された光束は集光レンズ6でファイバ束7の端面に集光される。
【0038】
照明光をファイバ束7で導くのは、ランプハウス1から集光レンズ6までの光源部を装置全体の下部に設置して、調整と保守を容易にするためである。ファイバ束7を出射した光束は拡散板9で強度分布を平均化された2次光源となる。絞り10は無用な光束を遮るものであり、これらは2次光源部8として一体化されている。拡散板9はコリメータレンズ12の焦平面上に設置されており、ハーフミラー11で反射した光束はコリメータレンズ12で平行光束となり、被検体21に垂直入射する。
【0039】
コリメータレンズ12は1回の検査視野(液晶ガラス基板の全面あるいは何分割かしたうちの1面)を覆う径をもち、被検体21から一定の間隔をおいて設置される。観察系(後述)の結像性能に関してはこの間隔は小さいほど有利であるが、コリメータレンズ12の表面の塵埃を検出しないためと、後述の散乱点検出の照明光を通すために、数cmから10数cmの間隔をとっている。被検体21で反射した光束は再びコリメータレンズ12を通って収束光となり、ハーフミラー11を通過した成分が結像レンズ13に入射する。結像レンズ13は被検体21表面の像をモノクロのCCD14の撮像面上に結像する。このとき、結像レンズ13を、その入射瞳がコリメータレンズ12の焦平面近傍(即ち、拡散板9とほぼ共役の位置)に位置するように設置すると、被検体21で反射した光束が効率よく集められ、均一な照度の観察視野を得ることができる。
【0040】
周期的な配線パターンをCCD14で撮像するとき、CCD14の画素周期と配線パターン像の周期がほぼ一致すると、撮像画像にモアレが発生してしまうため、結像レンズ13の焦点距離を適当に選んで、モアレの発生しない観察倍率にする必要がある。
【0041】
そこで本実施例では、結像レンズ13としてズームレンズを採用し、様々な配線パターン周期に対応可能にしている。ただし、ズーミングすると結像レンズ13の入射瞳位置が変わるため、それを相殺して入射瞳を前述した位置に戻すため、結像レンズ13とCCD14を光軸方向へ移動する平行移動ステージ(図示しない)を備えている。また、CCD14の画素周期は一般に水平方向と垂直方向で異なるから、CCD14を光軸を回転軸として回転することにより、モアレが消える場合もあるので、そのための回転ステージを設けてもよい。板15と16は、ハーフミラー11を透過した照明光により無用の物が照明されて被検体21の像と重畳した像がCCD14の撮像面上にできるのを防ぐためのものであり、表面に黒色塗装などの反射防止処理をした平面板である。
【0042】
一方、塵埃検出用の光源部17は図示しないハロゲンランプと熱線吸収フィルタ,集光レンズ6を内部に含み、ライン照明18のファイバ束端面に白色光束を入射する。ライン照明18は、出射側でファイバ束中の各ファイバを2列直線状に30cmの長さで並べたもので、半円柱形状の集光レンズ19と併せて薄いシート状の照明光をつくる。集光レンズ19の断面を図5に示す。集光レンズ19はアクリル円柱を半切し、その切断面にアルミニウムを蒸着して反斜面Bとしたものであり、ライン照明18のファイバ端Aから出射した光束を平行に近い光束Cにして出射する。集光レンズ19をこのような形状にしたのは、被検体21への入射角を90°に近くしたときに、ライン照明18と集光レンズ19が、被検体21およびそれを搬送するステージ(図示しない)と干渉しないようにするためである。
【0043】
さらに図2および図3によりライン照明の配置を説明する。図2はライン照明18と被検体21,コリメータレンズ12の位置関係を示しており、1枚の被検体21を4分割で検査する例である。破線23は被検体21の移動範囲である。4台のライン照明18は、観察視野22の中心Oとの距離L を一定に保ちつつ、Oを回転軸として被検体21に対する入射方向φをΔφの範囲で可変する移動ステージ(図示しない)に各々載置されており、被検体21の種類毎に、配線パターンからの回折光が観察系に最も入射しない適切な入射方向φに設定される。
【0044】
被検体21に対して同じ入射方向φになるように対称な位置に4台のライン照明18を設置したのは、相補って観察視野22内をほぼ均一に照明するためと、被検体21の表面の傷のように方向性をもった欠陥の検出感度異方性を補うためである。
【0045】
図3は入射方向φの設定をライン照明18の中心O′を回転軸として行う別の例である。図3の方法は可変範囲Δφを大きくとれる利点があり、図2の方法はライン照明18による照野の中心線が常に観察視野22の中心を通るため照明効率の点で有利である。ライン照明18の設定は、被検体の種類や大きさに応じて図2または図3ないしは両者の折衷案を採用すればよい。
【0046】
ここで、再度図1に戻って説明を続ける。ライン照明18で照明された被検体21は、膜厚むら検出と同じ結像レンズ13とCCD14で撮像される。このとき、微弱な散乱光の減衰を防ぐために、ハーフミラー11を平行移動ステージ(図示しない)により、紙面と垂直な方向へ移動し、観察光路から外す。ハーフミラー11が厚く、光路長の変化が無視できないときは、材質と厚さが等しく表面に反射防止コートを施した補償板を、ハーフミラー11の代わりに光路に挿入すればよい。
【0047】
また、コリメータレンズ12は被検体21の全面から等しい散乱角の、つまり被検体21に対して垂直方向の散乱光を集めて結像レンズ13の入射瞳に導く作用をもつ。しかし、コリメータレンズ12が無くても、散乱点の観察は可能であるから、もし必要なら光路から外してもよい。被検体21の下に、被検体21とほぼ平行に一定の間隔をおいて設置された背景板20は、前述の板15,16と同様に表面に反射防止処理を施した平面板である。液晶ガラス基板等の一部透明な被検体21を検査する場合、照明光の一部が被検体21を透過して背景を照明することは避けられないが、そのような場合にも欠陥検出を妨害しないような単純な背景をつくるように背景板20は作用する。また、被検体21との間隔は、被検体21を通過したライン照明18の照明光が背景板20に当たらないように数cmの距離をとっている。
【0048】
次に、図4によって制御部と画像処理部の構成を説明する。画像処理装置35はホストコンピュータ31の制御によりCCD14から検査画像を取込み、画像処理を行って膜厚むらや塵埃等の欠陥を抽出し、その種類,数,位置,面積等のデータをホストコンピュータ31へ送る。モニタTV34は検査画像と処理画像を表示する。画像記憶装置36は必要に応じて検査画像や処理画像を保存するものである。各制御部の制御はホストコンピュータ31の指示によりシーケンサ37が行う。光学系制御部38は、干渉フィルタの回転ホルダ5,ハーフミラー11の移動ステージなどの光学系可動機構と光源2および17の光量を制御する。ステージ制御部39は、被検体21を真空吸着・支持して、被検体21を観察視野内に移動する吸着ステージと、その位置決め機構を制御する。基板搬送制御部40は被検体を1枚ずつストッカから取出して前記吸着ステージ上に載置し、検査後の被検体21を同ステージからストッカへ戻す搬送部を制御する。なお、ステージと搬送部は図示していない。作業者はモニタTV30に表示されるメニュー画面に従ってキーボード32を操作することにより、検査装置に必要な指示を与える。メモリ33は、被検体の種類毎の検査条件(光学系の設定と画像処理の条件)や、検査データ等を保存するものである。
【0049】
続いて、主に図4と図1により、本実施例の検査装置の動作を説明する。作業者がキーボード32により被検体21の種類とともに検査開始を指示すると、メモリ33に予め保存されている検査条件の中から、その被検体21に該当する条件がホストコンピュータ31に読み込まれ、シーケンサ37を介して光学系制御部38が光学系の設定を行う。
【0050】
この光学系制御部38で設定されるのは、干渉フィルタの選択,ライン照明18の入射方向,結像レンズ13のズーミングとそれに伴う光軸方向の移動・位置決めである。次にストッカから搬送部によって1枚めの被検体21が取出され、吸着ステージに載置される。吸着ステージは、被検体21を4分割で検査する場合、被検体21を吸着固定した後、図2のようにその4分の1が観察視野の中央にくるように移動し、位置決めする。検査は初めにハロゲンランプ2を点灯し、その光量を前記検査条件により調整する。
【0051】
光量が所定値に達したらCCD14から検査画像を画像処理装置35に取込む。このとき検査画像101は図6のように、被検体21の縁102を含み、被検体21内は膜厚の均一な暗い領域の中に、膜厚むらの部分104だけが明るくなった画像となっている。画像処理装置35はこの画像から検査領域103だけをマスキングで取出し、シェード補正,二値化処理等を経て膜厚むらの部分104だけを抽出し、その位置,面積等のデータをホストコンピュータ31へ送る。次にハロゲンランプ2を消灯し、光源部17を点灯すると共に、ハーフミラー11を光路から外す。このとき検査画像105は図7のようになり、暗い領域の中に、塵埃による散乱点108だけが明るく見えている。これより同様の画像処理により散乱点108だけを抽出し、その位置等のデータをホストコンピュータ31へ送る。画像処理の過程は前記検査条件で規定されている。
【0052】
なお、ハロゲンランプ2と光源部17の光量を適当に調整して同時点灯することにより、膜厚むらと塵埃による散乱点を同一の検査画面で取得することも可能である。被検体21の残りの4分の3の領域も同様に検査される。
【0053】
1枚の被検体21の検査が終了すると、ホストコンピュータ31は4分割で検査された被検体21の欠陥データを総合し、欠陥の種類,数等を前記検査条件に含まれている検査基準と照らし合わせて、被検体21の良否を判定する。検査された被検体21は搬送部により、吸着ステージから良否に分かれた検査済みストッカへ送られ、1枚の検査を終了する。以上の動作の中で、ハロゲンランプ2と光源部17の点灯と消灯は、光路中に設けたシャッタの開閉によって行ってもよい。
【0054】
上記の実施例では膜厚むら検査用の準単色光の中心波長を可変とするために、ハロゲンランプ2と回転ホルダ5に挿入支持される干渉フィルタの組合わせを用いているが、干渉フィルタの代わりにモノクロメータなどを使用したり、あるいは元々準単色光であるレーザ等の光源を用いてもよい。また、干渉フィルタは光源側ではなく結像レンズ13の前面に載置してもよい。
【0055】
<第2実施例>
図1の光学系は以下のように変形することも可能である。
【0056】
図8は本発明の第2実施例を示すもので、照射手段および集光手段は、1つコリメータレンズ12からなり、被検体21の直前に配置され、かつ該被検体21の観察視野とほぼ等しい大きさであって光源すなわちファイバ束7からの光を略平行な光束として該被検体21に照射するとともに、該被検体21の表面からの反射光を通過させる。
【0057】
ファイバ束7はコリメータレンズ12の焦平面近傍に配置され、コリメータレンズ12に狭帯域光を入射する。
【0058】
観察手段は結像レンズ13とCCD14からなり、コリメータレンズ12の光軸を中心にファイバ束7と軸対称の位置に入射瞳を有し、被検体21の表面を観察するものである。
【0059】
このように構成された第2実施例においても、被検体21の近傍に、観察視野とほぼ等しい大きさのコリメータレンズ12を備えたことにより、全視野を等しい入射角で照明して、膜厚むらを等厚干渉縞として観察できる。また、図1の実施例のハーフミラー11が不要になるという利点がある。
【0060】
<第3実施例>
図9は本発明の第3実施例の光学系を示すもので、以下に述べる光源、照射手段、集光手段および観察手段から構成されている。照射手段および集光手段は、ハーフミラー11と第1および第2のコリメータレンズ12,12´からなっている。
【0061】
狭帯域光束を導くファイバ束7の出射端面がコリメータレンズ12の焦点近傍に配置されている。ハーフミラー11は被検体21の表面に対してほぼ45度に傾斜した状態に配置され、光を反射または透過させるものである。コリメータレンズ12は、ファイバ束7からの光を略平行にしてハーフミラー11を介して被検体21に照射する。コリメータレンズ12´は、被検体21の表面からの反射光の光軸とその光軸が一致するように配置され、被検体21の表面からの反射光を集光させる。
【0062】
観察手段は結像レンズ13とCCD14からなり、CCD14はコリメータレンズ12´の焦点近傍に配置され、被検体21の表面を観察するものである。
【0063】
この第3実施例によれば、第1実施例と同様の効果が得られる。
【0064】
<第4実施例>
図10は本発明の第4実施例の光学系を示すもので、第1のコリメータレンズ12が被検体21の表面に対してその光軸を傾けて配置され、狭帯域光源であるファイバ束7からの光を略平行な光束として該被検体21に照射するものである。第2のコリメータレンズ12´が、被検体21の表面からの反射光の光軸とその光軸が一致するように配置されるものである。
【0065】
コリメータレンズ12´の焦点近傍に結像レンズ13、CCD14が配置され、これにより被検体21の表面を観察できるようになっている。
【0066】
この第4実施例によれば、第3実施例と同様な効果が得られるばかりでなく、図9の実施例のハーフミラー11が不要になるという利点がある。
【0067】
<第5実施例>
次に、被検体表面のパターン化された層の段差側面に関する欠陥を検出するための実施例について説明する。
【0068】
図11は本発明の第5実施例の光学系を示す図であり、図示しない光源であるハロゲンランプを出た光束は、干渉フィルタを通して狭帯域光にされた後、拡散光束照射手段例えばファイバ束7に入射するようになっている。
【0069】
ファイバ束7の出射端面は、平行光束照射手段例えばコリメータレンズ12の後側焦平面上の、コリメータレンズ12の光軸上でない位置に設置されている。この出射端面は、角度設定手段例えば移動ステージ(図示せず)により同焦平面上を移動できるようになっており、コリメータレンズ12の光軸に対する照明中心光線の入射角度θo を任意の値に設定することができる。コリメータレンズ12は、その光軸が被検体21に対して垂直になるように、かつ被検体と適度な間隔をおいて設置される。コリメータレンズ12は、被検体21の検査領域を覆う大きさとなっている。
【0070】
図11のように構成することにより、ファイバ束7から出射した光束はコリメータレンズ12で平行光束となり、入射角θo で被検体21を照明する。被検体21で正反射した正反射光束は再びコリメータレンズ12を通って集束点29に集束する。
【0071】
一方、被検体21から垂直方向へ出射した散乱光(図11の破線)はコリメータレンズ12で集められ、その後側焦点に集束する。その近傍に入射瞳が位置するように結像レンズ13を設置し、撮像手段例えばCCD14の撮像面に被検体21の像を結像させる。なお、前述の理由により、結像レンズ13としてズームレンズを採用している。
【0072】
次に、図11の制御部と画像処理部の構成について説明するが、図4とほぼ同じであるので、図4を参照して説明する。画像処理手段例えば画像処理装置35はホストコンピュータ31の制御によりCCD14から検査画像を取込み、画像処理を行って欠陥を抽出し、その種類、数、位置、面積等のデータをホストコンピュータ31へ送る。モニタTV34は検査画像と処理画像を表示する。
【0073】
画像記憶装置36は必要に応じて検査画像や処理画像を保存するものである。各制御部の制御はホストコンピュータ31の指示によりシーケンサ37が行う。光学系制御部38は、光源の光量、ファイバ束7の出射端面位置などを制御する。ステージ制御部39は、被検体21を真空吸着・支持して、被検体21を観察視野内に移動する吸着ステージと、その位置決め機構を制御する。基板搬送制御部40は被検体を1枚ずつストッカから取出して前記吸着ステージ上に載置し、検査後の被検体21を同ステージからストッカへ戻す搬送部を制御する。
【0074】
なお、ステージと搬送部は図示していない。作業者はモニタTV30に表示されるメニュー画面に従ってキーボード32を操作することにより、検査装置に必要な指示を与える。メモリ33は、被検体の種類毎の検査条件(光学系の設定と画像処理の条件)や、検査データ等を保存するものである。
【0075】
続いて、第5実施例の検査装置の動作を説明する。作業者がキーボード32により被検体21の種類とともに検査開始を指示すると、メモリ33に予め保存されている検査条件の中から、その被検体21に該当する条件がホストコンピュータ31に読み込まれ、シーケンサ37を介して光学系制御部38が光学系の設定を行う。
【0076】
この光学系制御部38で設定されるのは、光源の光量、ファイバ束1の出射端面位置、結像レンズ13のズーミングとそれに伴う光軸方向の移動・位置決めである。次にストッカから搬送部によって1枚めの被検体21が取出され、吸着ステージに載置される。吸着ステージは、被検体21を吸着固定した後、観察視野の中央にくるように移動し、位置決めする。
【0077】
続いて、CCD14から検査画像を画像処理装置35に取込む。このとき検査画像50は例えば図12のように、被検体の縁51を含み、被検体21内は欠陥のない均一輝度領域の中に、側面欠陥の部分53だけが異なる輝度になった画像となっている。画像処理装置35はこの画像から検査領域52だけをマスキングで取出し、シェード補正、二値化処理等を経て欠陥の部分53だけを抽出し、その位置、面積等のデータをホストコンピュータ31へ送る。
【0078】
このようにして1枚の被検体21の検査が終了すると、ホストコンピュータ31は欠陥の種類、数等を前記検査条件に含まれている検査基準と照らし合わせて、被検体21の良否を判定する。そして、検査された被検体21は搬送部により、吸着ステージから良否に分かれた検査済みストッカへ送られる。
【0079】
以上述べた第5実施例では、集束点29等の集光手段の光軸に対するコリメータレンズ12等の平行光束照射手段の光軸の角度を任意に設定できるので、如何なる膜厚むらでも簡単に抽出できる。
【0080】
第5実施例では光源としてハロゲンランプを用いたが、その代わりにレーザやメタルハライドランプのような高輝度の光源を用いてもよい。さらに、照明光をファイバ束7で導かずに光源を直接コリメータレンズ12の後側焦平面に設置してもよい。また、干渉フィルタは光源側ではなく、結像レンズ13の前面に載置してもよい。
【0081】
<第6実施例>
図11の光学系は以下のように変形することも可能である。図17は第6実施例の光学系を示す図であり、結像レンズ13とCCD14をコリメータレンズ12の光軸から外した位置に設置し、かつ、観察角度θは被検体21の正反射の方向から外してある。このとき結像レンズ13の入射瞳がコリメータレンズ12の後側焦平面の近傍に位置していることは、第5実施例の図11と変わりない。
【0082】
この実施例では、結像レンズ13とCCD14を、コリメータレンズ12の光軸から外した位置に設置されているので、図11の実施例に比べて観察の自由度をより大きくとることができる。
【0083】
<第7実施例>
図18は第7実施例の光学系を三角法で示すもので、(a)はその正面図であり、(b)はその側面図であり、(c)はその平面図である。この例では複数個(図18では2個)の照明光を導くファイバ束7,7′を設け、ファイバ束7,7′の入射角θ1 ,θ2 と入射方向φ1 ,φ2 を自由に設定できるように、図示しない入射方向設定手段を設けたものである。
【0084】
被検体21上のレジストパターンは2次元的に広がっているから、複数の照明により異なる方向の段差側面を同時に照明することで、欠陥検出の感度を改善することができ、全視野に対しシャープな画像を得ることができる。
【0085】
<第8実施例>
図19は第8実施例の光学系を示すもので、平行光束照射手段例えばコリメータレンズ12と集光手段例えば結像レンズ13の間に、光路分割手段例えばハーフミラー11を設け、ファイバ束7からの照明光はこのハーフミラー11で反射して被検体21を照明するようにしている。この例では結像レンズ13がコリメータレンズ12の光軸上に位置しており、かつファイバ束7の出射端面の光軸が角度θo だけコリメータレンズ12の光軸から外してある。
【0086】
前述の図11の第5実施例では角度θo を小さくしていくとファイバ束7と結像レンズ13が当たってしまうため、θo に下限があるが、この例ではそのような制限はなく、正反射光のごく近傍の散乱光を観察することができる。
【0087】
<第9実施例>
図20は第9実施例の光学系を示す図であり、照明光のために独立のコリメータレンズ12′を設け、ファイバ束7の出射端面をコリメータレンズ12′の前側焦点に設置している。コリメータレンズ12′はコリメータレンズ12の光軸に対して回転対称であり、これにより被検体21を入射角θo の平行光束で照明する。この例は、正反射に対して大きな角度を隔てた散乱光を観察するのに有利である。
【0088】
<第10実施例>
図21は本発明の第10実施例の光学系を示す側面図である。図示しない光源であるハロゲンランプを出た光束はファイバ束7に入射する。ファイバ束7の出射端面から出た光束は、ハーフミラー11を介してコリメータレンズ12の後側焦点近傍に位置する拡散板42に入射する。
【0089】
この拡散板42の中心部は、図22に示すように後述する結像レンズ45の入射瞳よりわずかに大きい径の光を通さない遮蔽板43で遮蔽され、これによりリング状例えば円環状の光源部を構成している。
【0090】
ファイバ束7を出た光束はコリメータレンズ12の光軸に対して45度の角度に設置されたハーフミラー11で反射し、コリメータレンズ12により平行光束群となって被検体21を照明する。このコリメータレンズ12は、被検体21の検査領域を覆う大きさをもち、その光軸が被検体21に対して垂直になるように、かつ被検体21と適度な間隔をおいて設置されている。被検体21で正反射した光は再びコリメータレンズ12を通って収束光となる。
【0091】
このうち、ハーフミラー11を透過した光束は、拡散板42と共役な位置にある、図23に示す遮蔽板44上に、光源の円環状の像をつくる。この遮蔽板44は結像レンズ45の周囲にあり、結像レンズ45を通らずにCCD14の撮像面に達する光を遮るはたらきをする。従って、結像レンズ45が通常のTV撮影レンズのようにCCD14にねじ込まれる型式であれば、遮蔽板44は不要である。さて、光源部の中央部に遮蔽板43があるので、被検体21からの正反射光は結像レンズ45に入射せず、正反射光近傍の散乱光だけが結像レンズ45に入射し、被検体21の像をCCD14の撮像面上につくる。
【0092】
このように第10実施例では、例えばハロゲンランプとファイバ束7からなる例えば1つの照明手段で、観察手段例えばCCD14の光軸に対して回転対称な平行光束群をつくり、被検体21を照明することができる。従って被検体21を、正反射近傍のあらゆる方向の散乱光により同時に観察できる。
【0093】
なお、この実施例は後述する、結像レンズの中央部を遮蔽する構成に比べて、結像レンズの入射瞳を広く使えるため検査画像の明るさの点で有利である。
【0094】
以上述べた第10実施例で光源をハロゲンランプからメタルハライドランプ等の高輝度光源に換えると、より高い検出能力が得られる。また光源部はリング状の光源を直接、拡散板42の代わりに置いてもよい。さらに光量に余裕があれば、光源部に干渉フィルタを挿入すると、コリメータレンズ12に色収差がある場合にも遮蔽板43による遮蔽をうまく行うことができる。
【0095】
<第11実施例>
図24は第11実施例の光学系を示すもので、図21とほぼ同様に構成され、光源部を構成するファイバ束7、拡散板42、遮蔽板43と、結像レンズ45およびCCD14をコリメータレンズ12の光軸から外した位置に設置している。ここで、拡散板42および遮蔽板43と、結像レンズ45および遮蔽板44がコリメータレンズ12の後側焦平面の近傍にあり、互いに共役な位置関係にあることは第10実施例と同様である。この実施例では図21のハーフミラー11が不要であるため光量の点で有利であり、また照明および観察する角度にいくらかの自由度が与えられる。
【0096】
<第12実施例>
図25は第12実施例の光学系を示すもので、照明光のために独立のコリメータレンズ12′を設け、拡散板42および遮蔽板43をコリメータレンズ12′の前側焦点近傍に設置している。結像レンズ45および遮蔽板44は、第2のコリメータレンズ12の後側焦点近傍にあり、第1,第2のコリメータレンズ12′,12と被検体21を介して拡散板42および遮蔽板43と互いに共役な位置関係にある。
【0097】
この実施例では、第11実施例よりさらに大きな入射角の照明光の下で被検体21からの正反射近傍の散乱光を観察することができる。このような照明光の入射角は、検査対象となる被検体21の種類(例えばパターン段差側面の傾斜角度など)によって最適値が異なるため、それに適した光学系を選択する必要がある。
【0098】
<第13実施例>
図26は本発明の第13実施例の光学系を示す側面図である。この実施例が図21の光学系と異なるのは、光源部としてファイバ束7の出射端面がコリメータレンズ12の後側焦点近傍にあり、結像レンズ45の直前のそれと共役な位置に遮蔽板43を設置している点である。遮蔽板43はファイバ束7の出射端面よりわずかに大きい径をもつ。従って、被検体21からの正反射光はこの遮蔽板43で遮られ、正反射光近傍の散乱光だけが結像レンズ45に入射し、CCD14の撮像面上に被検体21の像を結ぶ。被検体21を正反射近傍のあらゆる方向の散乱光により同時に観察できる点は、図21の実施例と同じであり、従って得られる画像や効果も同様である。そして、図24ないしは図25のように変形できる点も同様である。
【0099】
なお、以上述べた第5〜第13実施例の光学系は、第1〜第4実施例の光学系と、コリメータレンズと、結像レンズ、CCDを共用して組合わせることができる場合がある。その場合、1台の欠陥検査装置で照明を切換えることにより被検体の膜厚むら、塵埃、傷およびパターン段差側面の欠陥をすべて検出することが可能となる。
【0100】
【発明の効果】
本発明によれば、正反射光近傍のあらゆる方向の散乱光を検査することができる表面欠陥検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表面欠陥検査装置の第1実施例の光学系を示す側面図。
【図2】図1の実施例のライン照明の配置を説明するための平面図。
【図3】図1の実施例のライン照明の配置を説明するための平面図。
【図4】図1の制御部と画像処理部の構成を説明するブロック図。
【図5】図1のライン照明用集光レンズの説明図。
【図6】図1の検査画像を説明するための図。
【図7】図1の検査画像の説明図。
【図8】本発明の表面欠陥検査装置の第2実施例の光学系を示す側面図。
【図9】本発明の表面欠陥検査装置の第3実施例の光学系を示す側面図。
【図10】本発明の表面欠陥検査装置の第4実施例の光学系を示す側面図。
【図11】本発明の表面欠陥検査装置の第5実施例の光学系を示す側面図。
【図12】図11の動作を説明するための図。
【図13】本発明の被検体を説明するための図。
【図14】本発明の被検体を説明するための図。
【図15】本発明の被検体を説明するための図。
【図16】本発明の被検体を説明するための図。
【図17】本発明の表面欠陥検査装置の第6実施例の光学系を示す側面図。
【図18】本発明の表面欠陥検査装置の第7実施例の光学系を示す側面図。
【図19】本発明の表面欠陥検査装置の第8実施例の光学系を示す側面図。
【図20】本発明の表面欠陥検査装置の第9実施例の光学系を示す側面図。
【図21】本発明の表面欠陥検査装置の第10実施例の光学系を示す側面図。
【図22】図21の作用効果を説明するための図。
【図23】図21の作用効果を説明するための図。
【図24】本発明の表面欠陥検査装置の第11実施例の光学系を示す側面図。
【図25】本発明の表面欠陥検査装置の第12実施例の光学系を示す側面図。
【図26】本発明の表面欠陥検査装置の第13実施例の光学系を示す側面図。
【図27】従来の技術を説明するための図。
【図28】従来の技術を説明するための図。
【図29】従来の技術を説明するための図。
【図30】従来の技術を説明するための図。
【符号の説明】
1…ランプハウス、2…ハロゲンランプ、3…熱線吸収フィルタ、4…コンデンサレンズ、5…回転ホルダ、6…集光レンズ、7…ファイバ束、8…2次光源部、9…拡散板、10…絞り、11…ハーフミラー、12,12′…コリメータレンズ、13…結像レンズ、14…CCD、15,16…板、17…光源部、18…ライン照明、19…集光レンズ、20…背景板、21…被検体。
【発明の属する技術分野】
本発明はウェハあるいは液晶ガラス基板等の製造プロセスラインにおける該ウェハあるいは液晶ガラス基板等のような、表面に薄膜を有する被検体あるいは表面が平面である被検体の表面の欠陥を検査する表面欠陥検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶パネル等のフォト・リソグラフィ・プロセスラインにおいて、基板表面に塗布したレジストに膜厚のむら、あるいは塵埃の付着等の欠陥があると、エッチング後にパターンの線幅不良や、パターン内のピンホールなどの不良となって現れる。そこで、一般にエッチング前の基板について前記欠陥の有無を全数検査することが行われている。
【0003】
従来、このような欠陥検査は、投光装置により基板(以下、被検体と呼ぶ)を照明し、目視で欠陥を探す方法が採られていた。このような用途に適した検査用投光装置の一例として、本出願人が先に出願した(特願平4−31922号明細書)の装置の概要を、図27および図28を参照して説明する。
【0004】
高輝度光源201からの光束は、熱線吸収フィルタ203を通り、拡散板204で均一照明光とされた後、干渉フィルタ205でスペクトル幅を制限された光束(以下、狭帯域光と呼ぶ)となる。続いて、平面鏡206で反射され、大口径フレネルレンズ207および208で収束光束に変換されてから被検体211を照明する。フレネルレンズ208の直後には液晶拡散板209があり、通常は拡散板として作用するので、被検体211は大きな面光源からの拡散光で照明されることになる。
【0005】
一方、図27に示すように電源210により液晶拡散板209に電圧を印加すると無色透明になり、このとき被検体211は収束光で照明される。
【0006】
このような構成の検査用投光装置において、被検体211の膜厚のむらについては、図28に示す拡散光照明装置の下で検査される。これは、レジストの膜厚が変化すると、レジスト表面と裏面からの反射光の光路差が変化するため、準単色光で照明して観察すると、膜厚の変化が明暗の干渉縞となり、膜厚のむらを認識できるものである。
【0007】
被検体211に対する塵埃212の付着は、収束光照明(図27)の下で検査される。即ち、被検体211の平面で反射した光束は、位置Sに収束するので、それを避けた位置に観察者の眼213を置くと、平面以外の点つまり塵埃212で散乱された光だけが目視で認められる。
【0008】
収束光照明では次のような欠陥も検出される。図13はレジスト現像後の被検体断面の模式図であり、基板60(ガラス板あるいはウェハなど)の上に成膜層61があり、その上にパターン化されたレジスト62が残っている状態を示している。図14は、図13の一部65を拡大したもものである。このように被検体の表面は大きく3つの部分に分けることができる。即ち、レジスト残膜上の平らな部分Aとレジストの無い平らな部分Bと、両者の間にある段差の側面CおよびDである。このうち、平らな部分Aの膜厚むら等の欠陥は、正反射光を観察する前述した拡散光照明装置で検出できる。
【0009】
さて、正常な側面は図15のCようになっているのに対し、欠陥部分の側面は例えば図16のCのように変形している。このように異なる形状は、異なる光の散乱角度分布を示すため、収束光照明で散乱光により観察すれば、側面CおよびDの欠陥が正常な部分との輝度の違いとなって認められるのである。
【0010】
一方、膜厚のむらについては、図29に示す拡散光照明装置の下で検査される。これは、レジストの膜厚が変化すると、レジスト表面と裏面からの反射光の光路差が変化するため、準単色光で照明して観察すると、膜厚の変化が明暗の干渉縞となり、膜厚のむらを認識できるものである。
【0011】
この検査用投光装置は、本出願人が先に出願して公開された(特開平5−109849号公報)被検体の揺動回転機構と組合せて用いられる。つまり実際の検査では被検体211を投光装置で照明するとともに、揺動回転させて被検体211への光束の入・反射角や、被検体上の周期的なパターンによる回折光の方向を作業者が調整し、散乱光や干渉した反射光の観察が妨げられない状態にしながら、被検体211の全面の検査を行うことができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べた作業は、作業者の目視による検査であるため、観察の自由度が大きく、優れた検査能力を示すことが可能である。しかし一方、作業者の個人差や、観察状態の違いによる検出能力のばらつきはどうしても避けることができず、特に検査が高頻度・長時間に及ぶと作業者の疲労を引き起こし、一定の検査能力を維持することはさらに困難になる。また、作業者からの発塵も常に問題となっており、同検査の自動化が望まれていた。
【0013】
自動化の方法として容易に考えられるのは、図27ないしは図28に示した眼213の代わりに、結像レンズとCCD等の撮像素子を設置して検査画面を取得し、これを画像処理して欠陥を抽出することである。しかし、この方法は以下に述べる第1〜第4の問題点を含んでいる。
【0014】
<第1の問題点>
被検体211に対する照明光の入射角が、場所によって大きく異なる点である。図29はこれを説明するためのものであり、図28を簡略にしたもので、図中209は拡散板、211は被検体、214は結像レンズ、215は撮像素子である。
【0015】
このような構成のものにおいて、拡散板209を出て被検体211で反射し、結像レンズ214を経て撮像素子215に達する光線の入射角θ0 は、被検体211の両端における最大値θ0maxと最小値θ0minの間で連続的に変化する。
【0016】
ここで、膜厚むらの観察を例にとると、薄膜(=レジスト)の屈折率をn,膜厚をh,照明光(単色)の波長をλ0 ,(Snell の法則で決まる)薄膜内部の光線の屈折角をθ′,薄膜下面での反射時の位相変化をφ(0≦φ<2π)とすれば、薄膜による干渉縞が明線になる条件は
2nhcos θ′+( φ/2π) ・λ0 =mλ0 ,m=0,±1,±2, (1)
で表される(m;干渉次数)。つまり、照明光の入射角θ0 が変化する図29の配置では、被検体211の膜厚が全面で均一であったとしても、入射角θ0 の分布に従って被検体上に明暗の分布ができてしまう。そして、膜厚むらはその明暗の中に、ある場所では明るく、また別の場所では暗く観察される。そこで、従来の検査装置では前述のように被検体211を揺動回転させて照明の入射条件を変えながら被検体211全面を検査する必要がある。
【0017】
しかし、画像処理装置を用いて膜厚むらを抽出しようとするとき、同じ膜厚むらが場所により異なって見えたり、入射条件を変えた複数の画像を処理しなければならないとすれば、その処理がたいへん複雑で困難になるであろうことが容易に推測される。
【0018】
段差側面の欠陥検出に関しても同様に、被検体上の位置により、観察する散乱光が異なることになってしまう。
【0019】
なお、被検体211がウェハ程度の大きさであれば入射角θ0 の変化も小さいが、液晶ガラス基板を一括あるいは2ないし4分割で検査しようとすると、θ0 の変化はかなり大きくなり、上記の問題は避けられなくなる。
【0020】
<第2の問題点>
被検体211に対して垂直入射の照明が不可能な点である。(1) 式からわかるように、垂直入射のとき(θ0 =θ′=0°)、膜厚むらの検出感度は最も大きくなる。
【0021】
しかし、拡散板209と撮像素子215を図30のように配置して被検体211への入射角θ0 を0°に近くした場合、撮像素子215の影になる部分は照明が当たらず、観測できない。
【0022】
また、拡散板209と被検体211の間にハーフミラーを設けて観察光路を折り曲げれば影は無くなるが、この場合、被検体211より大きいハーフミラーが必要になり、広視野化に対応するのが難しくなる。
【0023】
<第3の問題点>
被検体211上の座標取得が困難な点である。図29の配置では観察光軸に対して被検体211が傾いているために、全面のシャープな像を得るためには、撮像素子215の撮像面も傾けなければならず(シャインプルーフの条件)、同時に被検体211の結像レンズ214に近い側ほど倍率の大きな歪んだ像になる。従って、欠陥の原因解析等のためにその位置座標を得ようとすれば、座標を較正する手段を講じなければならない。
【0024】
<第4の問題点>
図27の装置で被検体211上の塵埃212を検出する場合、被検体211上の配線パターンによる回折光で全面が光るため、散乱点のコントラストがあまり上がらず、画像処理で抽出するのが困難になる点である。
【0025】
本発明は以上の問題点を解決するためになされたもので、正反射光近傍のあらゆる方向の散乱光を検査することができる表面欠陥検査装置を提供することを目的とする。
【0026】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、請求項1に対応する発明は、被検体の上方から拡散光束を照射する拡散光束照射光源と、この拡散光束照射光源からの拡散光束を略平行な光束として前記被検体に照射する平行光束照射光手段と、この平行光束照射手段の平行光束により照射される前記被検体からの光を集光する集光手段と、この集光手段を介して前記被検体からの光を撮像する撮像手段と具備し、前記拡散光束照射光源は、前記撮像手段の結像レンズの入射瞳よりわずかに大きい径の遮光領域を有するリング状出射面を前記平行光束照射手段の後側焦点近傍に位置させ、前記撮像手段により前記被検体からの散乱光を取り込むことを特徴とする表面欠陥検査装置である。
【0027】
前記目的を達成するため、請求項2に対応する発明は、次のようにしたものである。すなわち、前記拡散光束照射光源は、前記平行光束照射手段の後側焦点近傍に前記撮像手段の結像レンズの入射瞳よりわずかに大きい径の遮光領域を形成する遮光板を配置してリング状出射面を構成することを特徴とする請求項1記載の表面欠陥検査装置である。
【0028】
前記目的を達成するため、請求項3に対応する発明は、次のようにしたものである。すなわち、前記拡散光束照射光源は、前記撮像手段の結像レンズの入射瞳よりわずかに大きい径のリング状出射面を有するリング状光源からなることを特徴とする請求項1記載の表面欠陥検査装置である。
【0029】
前記目的を達成するため、請求項4に対応する発明は、次のようにしたものである。すなわち、前記平行光束照射手段と前記集光手段は、同一のコリメータレンズで兼用し、このコリメータレンズの光軸に透過光路と反射光路に分割する光路分割手段を配置し、この光路分割手段と前記被検体との間で前記被検体に対する前記拡散光束照射光源の光軸と前記撮像手段の光軸を一致させたことを特徴とする請求項1記載の表面欠陥検査装置である。
【0030】
前記目的を達成するため、請求項5に対応する発明は、次のようにしたものである。すなわち、前記平行光束照射手段と前記集光手段は、同一のコリメータレンズで兼用し、このコリメータレンズの光軸に対して前記被検体に対する前記拡散光束照射光源の光軸を回転対称にずらして配置したことを特徴とする請求項1記載の表面欠陥検査装置である。
【0031】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0032】
初めに、被検体の膜厚むらおよび塵挨、傷を検出するための実施例を説明する。
【0033】
<第1実施例>
図1は本発明の表面欠陥検査装置の第1実施例の光学系の側面図である。膜厚むら検出用の光源であるハロゲンランプ2を出た光束は熱線吸収フィルタ3を経て、コンデンサレンズ4で平行光束群に変換される。これらはランプハウス1に一体となっている。
【0034】
回転ホルダ5には、複数の狭帯域干渉フィルタ(図示せず)が収められており、これをモータ(図示しない)で回転することにより、所望の干渉フィルタを光路内に挿入することができる。
【0035】
観察する薄膜の屈折率nは、1.62(ポジレジスト),厚さhは1.5μm程度であるから、干渉の光路差は2nh〜5μm程度である。そこで照明光のコヒーレント長λ0 2 /Δλ(λ0 〜0.6μm;中心波長,Δλ;スペクトルの半値幅)が5μmより十分大きくなるように、Δλ=10nmの干渉フィルタを使用している。中心波長λ0 の可変範囲は、膜厚の均一な部分の干渉次数が1だけ変化する範囲にとれば、(1) 式の任意のφに対して、膜厚が均一な領域を干渉縞の明線と暗線の間で自在に設定することができる。即ち、可変範囲をλ01からλ02(λ01<λ02)とすれば(1) 式より、
2nhcos θ′+( φ/2π) ・λ01=(m+1)λ01
2nhcos θ′+( φ/2π) ・λ02=mλ02 (2)
が成立することであり、nとφの波長依存を無視し、θ′=0として両式よりm
を消去すれば、
1/2nh=1/λ01−1/λ02 (3)
を得る。
【0036】
つまり、検査する薄膜の光学的厚さnhが小さいほど、広い可変範囲が必要になる。そこで、検査対象となるすべての薄膜のうち、最小の光学的厚さnhをもつものに合わせてλ0 の可変範囲を設定しておけば、薄膜より下層の構成に関わらず(つまりφが変化しても)どの薄膜に対しても、膜厚の均一な領域を任意の干渉縞(例えば暗線)にする中心波長λ0 を選択することができる。
【0037】
本実施例ではn=1.62,h=1.1μmに対応できるように、λ0 の範囲を550nmから650nmとし、その間で10nm間隔で中心波長を選べるようにしている。従って、回転ホルダ5は11枚の干渉フィルタと、白色光照明用の空穴1つを備えている。干渉フィルタで狭帯域光化された光束は集光レンズ6でファイバ束7の端面に集光される。
【0038】
照明光をファイバ束7で導くのは、ランプハウス1から集光レンズ6までの光源部を装置全体の下部に設置して、調整と保守を容易にするためである。ファイバ束7を出射した光束は拡散板9で強度分布を平均化された2次光源となる。絞り10は無用な光束を遮るものであり、これらは2次光源部8として一体化されている。拡散板9はコリメータレンズ12の焦平面上に設置されており、ハーフミラー11で反射した光束はコリメータレンズ12で平行光束となり、被検体21に垂直入射する。
【0039】
コリメータレンズ12は1回の検査視野(液晶ガラス基板の全面あるいは何分割かしたうちの1面)を覆う径をもち、被検体21から一定の間隔をおいて設置される。観察系(後述)の結像性能に関してはこの間隔は小さいほど有利であるが、コリメータレンズ12の表面の塵埃を検出しないためと、後述の散乱点検出の照明光を通すために、数cmから10数cmの間隔をとっている。被検体21で反射した光束は再びコリメータレンズ12を通って収束光となり、ハーフミラー11を通過した成分が結像レンズ13に入射する。結像レンズ13は被検体21表面の像をモノクロのCCD14の撮像面上に結像する。このとき、結像レンズ13を、その入射瞳がコリメータレンズ12の焦平面近傍(即ち、拡散板9とほぼ共役の位置)に位置するように設置すると、被検体21で反射した光束が効率よく集められ、均一な照度の観察視野を得ることができる。
【0040】
周期的な配線パターンをCCD14で撮像するとき、CCD14の画素周期と配線パターン像の周期がほぼ一致すると、撮像画像にモアレが発生してしまうため、結像レンズ13の焦点距離を適当に選んで、モアレの発生しない観察倍率にする必要がある。
【0041】
そこで本実施例では、結像レンズ13としてズームレンズを採用し、様々な配線パターン周期に対応可能にしている。ただし、ズーミングすると結像レンズ13の入射瞳位置が変わるため、それを相殺して入射瞳を前述した位置に戻すため、結像レンズ13とCCD14を光軸方向へ移動する平行移動ステージ(図示しない)を備えている。また、CCD14の画素周期は一般に水平方向と垂直方向で異なるから、CCD14を光軸を回転軸として回転することにより、モアレが消える場合もあるので、そのための回転ステージを設けてもよい。板15と16は、ハーフミラー11を透過した照明光により無用の物が照明されて被検体21の像と重畳した像がCCD14の撮像面上にできるのを防ぐためのものであり、表面に黒色塗装などの反射防止処理をした平面板である。
【0042】
一方、塵埃検出用の光源部17は図示しないハロゲンランプと熱線吸収フィルタ,集光レンズ6を内部に含み、ライン照明18のファイバ束端面に白色光束を入射する。ライン照明18は、出射側でファイバ束中の各ファイバを2列直線状に30cmの長さで並べたもので、半円柱形状の集光レンズ19と併せて薄いシート状の照明光をつくる。集光レンズ19の断面を図5に示す。集光レンズ19はアクリル円柱を半切し、その切断面にアルミニウムを蒸着して反斜面Bとしたものであり、ライン照明18のファイバ端Aから出射した光束を平行に近い光束Cにして出射する。集光レンズ19をこのような形状にしたのは、被検体21への入射角を90°に近くしたときに、ライン照明18と集光レンズ19が、被検体21およびそれを搬送するステージ(図示しない)と干渉しないようにするためである。
【0043】
さらに図2および図3によりライン照明の配置を説明する。図2はライン照明18と被検体21,コリメータレンズ12の位置関係を示しており、1枚の被検体21を4分割で検査する例である。破線23は被検体21の移動範囲である。4台のライン照明18は、観察視野22の中心Oとの距離L を一定に保ちつつ、Oを回転軸として被検体21に対する入射方向φをΔφの範囲で可変する移動ステージ(図示しない)に各々載置されており、被検体21の種類毎に、配線パターンからの回折光が観察系に最も入射しない適切な入射方向φに設定される。
【0044】
被検体21に対して同じ入射方向φになるように対称な位置に4台のライン照明18を設置したのは、相補って観察視野22内をほぼ均一に照明するためと、被検体21の表面の傷のように方向性をもった欠陥の検出感度異方性を補うためである。
【0045】
図3は入射方向φの設定をライン照明18の中心O′を回転軸として行う別の例である。図3の方法は可変範囲Δφを大きくとれる利点があり、図2の方法はライン照明18による照野の中心線が常に観察視野22の中心を通るため照明効率の点で有利である。ライン照明18の設定は、被検体の種類や大きさに応じて図2または図3ないしは両者の折衷案を採用すればよい。
【0046】
ここで、再度図1に戻って説明を続ける。ライン照明18で照明された被検体21は、膜厚むら検出と同じ結像レンズ13とCCD14で撮像される。このとき、微弱な散乱光の減衰を防ぐために、ハーフミラー11を平行移動ステージ(図示しない)により、紙面と垂直な方向へ移動し、観察光路から外す。ハーフミラー11が厚く、光路長の変化が無視できないときは、材質と厚さが等しく表面に反射防止コートを施した補償板を、ハーフミラー11の代わりに光路に挿入すればよい。
【0047】
また、コリメータレンズ12は被検体21の全面から等しい散乱角の、つまり被検体21に対して垂直方向の散乱光を集めて結像レンズ13の入射瞳に導く作用をもつ。しかし、コリメータレンズ12が無くても、散乱点の観察は可能であるから、もし必要なら光路から外してもよい。被検体21の下に、被検体21とほぼ平行に一定の間隔をおいて設置された背景板20は、前述の板15,16と同様に表面に反射防止処理を施した平面板である。液晶ガラス基板等の一部透明な被検体21を検査する場合、照明光の一部が被検体21を透過して背景を照明することは避けられないが、そのような場合にも欠陥検出を妨害しないような単純な背景をつくるように背景板20は作用する。また、被検体21との間隔は、被検体21を通過したライン照明18の照明光が背景板20に当たらないように数cmの距離をとっている。
【0048】
次に、図4によって制御部と画像処理部の構成を説明する。画像処理装置35はホストコンピュータ31の制御によりCCD14から検査画像を取込み、画像処理を行って膜厚むらや塵埃等の欠陥を抽出し、その種類,数,位置,面積等のデータをホストコンピュータ31へ送る。モニタTV34は検査画像と処理画像を表示する。画像記憶装置36は必要に応じて検査画像や処理画像を保存するものである。各制御部の制御はホストコンピュータ31の指示によりシーケンサ37が行う。光学系制御部38は、干渉フィルタの回転ホルダ5,ハーフミラー11の移動ステージなどの光学系可動機構と光源2および17の光量を制御する。ステージ制御部39は、被検体21を真空吸着・支持して、被検体21を観察視野内に移動する吸着ステージと、その位置決め機構を制御する。基板搬送制御部40は被検体を1枚ずつストッカから取出して前記吸着ステージ上に載置し、検査後の被検体21を同ステージからストッカへ戻す搬送部を制御する。なお、ステージと搬送部は図示していない。作業者はモニタTV30に表示されるメニュー画面に従ってキーボード32を操作することにより、検査装置に必要な指示を与える。メモリ33は、被検体の種類毎の検査条件(光学系の設定と画像処理の条件)や、検査データ等を保存するものである。
【0049】
続いて、主に図4と図1により、本実施例の検査装置の動作を説明する。作業者がキーボード32により被検体21の種類とともに検査開始を指示すると、メモリ33に予め保存されている検査条件の中から、その被検体21に該当する条件がホストコンピュータ31に読み込まれ、シーケンサ37を介して光学系制御部38が光学系の設定を行う。
【0050】
この光学系制御部38で設定されるのは、干渉フィルタの選択,ライン照明18の入射方向,結像レンズ13のズーミングとそれに伴う光軸方向の移動・位置決めである。次にストッカから搬送部によって1枚めの被検体21が取出され、吸着ステージに載置される。吸着ステージは、被検体21を4分割で検査する場合、被検体21を吸着固定した後、図2のようにその4分の1が観察視野の中央にくるように移動し、位置決めする。検査は初めにハロゲンランプ2を点灯し、その光量を前記検査条件により調整する。
【0051】
光量が所定値に達したらCCD14から検査画像を画像処理装置35に取込む。このとき検査画像101は図6のように、被検体21の縁102を含み、被検体21内は膜厚の均一な暗い領域の中に、膜厚むらの部分104だけが明るくなった画像となっている。画像処理装置35はこの画像から検査領域103だけをマスキングで取出し、シェード補正,二値化処理等を経て膜厚むらの部分104だけを抽出し、その位置,面積等のデータをホストコンピュータ31へ送る。次にハロゲンランプ2を消灯し、光源部17を点灯すると共に、ハーフミラー11を光路から外す。このとき検査画像105は図7のようになり、暗い領域の中に、塵埃による散乱点108だけが明るく見えている。これより同様の画像処理により散乱点108だけを抽出し、その位置等のデータをホストコンピュータ31へ送る。画像処理の過程は前記検査条件で規定されている。
【0052】
なお、ハロゲンランプ2と光源部17の光量を適当に調整して同時点灯することにより、膜厚むらと塵埃による散乱点を同一の検査画面で取得することも可能である。被検体21の残りの4分の3の領域も同様に検査される。
【0053】
1枚の被検体21の検査が終了すると、ホストコンピュータ31は4分割で検査された被検体21の欠陥データを総合し、欠陥の種類,数等を前記検査条件に含まれている検査基準と照らし合わせて、被検体21の良否を判定する。検査された被検体21は搬送部により、吸着ステージから良否に分かれた検査済みストッカへ送られ、1枚の検査を終了する。以上の動作の中で、ハロゲンランプ2と光源部17の点灯と消灯は、光路中に設けたシャッタの開閉によって行ってもよい。
【0054】
上記の実施例では膜厚むら検査用の準単色光の中心波長を可変とするために、ハロゲンランプ2と回転ホルダ5に挿入支持される干渉フィルタの組合わせを用いているが、干渉フィルタの代わりにモノクロメータなどを使用したり、あるいは元々準単色光であるレーザ等の光源を用いてもよい。また、干渉フィルタは光源側ではなく結像レンズ13の前面に載置してもよい。
【0055】
<第2実施例>
図1の光学系は以下のように変形することも可能である。
【0056】
図8は本発明の第2実施例を示すもので、照射手段および集光手段は、1つコリメータレンズ12からなり、被検体21の直前に配置され、かつ該被検体21の観察視野とほぼ等しい大きさであって光源すなわちファイバ束7からの光を略平行な光束として該被検体21に照射するとともに、該被検体21の表面からの反射光を通過させる。
【0057】
ファイバ束7はコリメータレンズ12の焦平面近傍に配置され、コリメータレンズ12に狭帯域光を入射する。
【0058】
観察手段は結像レンズ13とCCD14からなり、コリメータレンズ12の光軸を中心にファイバ束7と軸対称の位置に入射瞳を有し、被検体21の表面を観察するものである。
【0059】
このように構成された第2実施例においても、被検体21の近傍に、観察視野とほぼ等しい大きさのコリメータレンズ12を備えたことにより、全視野を等しい入射角で照明して、膜厚むらを等厚干渉縞として観察できる。また、図1の実施例のハーフミラー11が不要になるという利点がある。
【0060】
<第3実施例>
図9は本発明の第3実施例の光学系を示すもので、以下に述べる光源、照射手段、集光手段および観察手段から構成されている。照射手段および集光手段は、ハーフミラー11と第1および第2のコリメータレンズ12,12´からなっている。
【0061】
狭帯域光束を導くファイバ束7の出射端面がコリメータレンズ12の焦点近傍に配置されている。ハーフミラー11は被検体21の表面に対してほぼ45度に傾斜した状態に配置され、光を反射または透過させるものである。コリメータレンズ12は、ファイバ束7からの光を略平行にしてハーフミラー11を介して被検体21に照射する。コリメータレンズ12´は、被検体21の表面からの反射光の光軸とその光軸が一致するように配置され、被検体21の表面からの反射光を集光させる。
【0062】
観察手段は結像レンズ13とCCD14からなり、CCD14はコリメータレンズ12´の焦点近傍に配置され、被検体21の表面を観察するものである。
【0063】
この第3実施例によれば、第1実施例と同様の効果が得られる。
【0064】
<第4実施例>
図10は本発明の第4実施例の光学系を示すもので、第1のコリメータレンズ12が被検体21の表面に対してその光軸を傾けて配置され、狭帯域光源であるファイバ束7からの光を略平行な光束として該被検体21に照射するものである。第2のコリメータレンズ12´が、被検体21の表面からの反射光の光軸とその光軸が一致するように配置されるものである。
【0065】
コリメータレンズ12´の焦点近傍に結像レンズ13、CCD14が配置され、これにより被検体21の表面を観察できるようになっている。
【0066】
この第4実施例によれば、第3実施例と同様な効果が得られるばかりでなく、図9の実施例のハーフミラー11が不要になるという利点がある。
【0067】
<第5実施例>
次に、被検体表面のパターン化された層の段差側面に関する欠陥を検出するための実施例について説明する。
【0068】
図11は本発明の第5実施例の光学系を示す図であり、図示しない光源であるハロゲンランプを出た光束は、干渉フィルタを通して狭帯域光にされた後、拡散光束照射手段例えばファイバ束7に入射するようになっている。
【0069】
ファイバ束7の出射端面は、平行光束照射手段例えばコリメータレンズ12の後側焦平面上の、コリメータレンズ12の光軸上でない位置に設置されている。この出射端面は、角度設定手段例えば移動ステージ(図示せず)により同焦平面上を移動できるようになっており、コリメータレンズ12の光軸に対する照明中心光線の入射角度θo を任意の値に設定することができる。コリメータレンズ12は、その光軸が被検体21に対して垂直になるように、かつ被検体と適度な間隔をおいて設置される。コリメータレンズ12は、被検体21の検査領域を覆う大きさとなっている。
【0070】
図11のように構成することにより、ファイバ束7から出射した光束はコリメータレンズ12で平行光束となり、入射角θo で被検体21を照明する。被検体21で正反射した正反射光束は再びコリメータレンズ12を通って集束点29に集束する。
【0071】
一方、被検体21から垂直方向へ出射した散乱光(図11の破線)はコリメータレンズ12で集められ、その後側焦点に集束する。その近傍に入射瞳が位置するように結像レンズ13を設置し、撮像手段例えばCCD14の撮像面に被検体21の像を結像させる。なお、前述の理由により、結像レンズ13としてズームレンズを採用している。
【0072】
次に、図11の制御部と画像処理部の構成について説明するが、図4とほぼ同じであるので、図4を参照して説明する。画像処理手段例えば画像処理装置35はホストコンピュータ31の制御によりCCD14から検査画像を取込み、画像処理を行って欠陥を抽出し、その種類、数、位置、面積等のデータをホストコンピュータ31へ送る。モニタTV34は検査画像と処理画像を表示する。
【0073】
画像記憶装置36は必要に応じて検査画像や処理画像を保存するものである。各制御部の制御はホストコンピュータ31の指示によりシーケンサ37が行う。光学系制御部38は、光源の光量、ファイバ束7の出射端面位置などを制御する。ステージ制御部39は、被検体21を真空吸着・支持して、被検体21を観察視野内に移動する吸着ステージと、その位置決め機構を制御する。基板搬送制御部40は被検体を1枚ずつストッカから取出して前記吸着ステージ上に載置し、検査後の被検体21を同ステージからストッカへ戻す搬送部を制御する。
【0074】
なお、ステージと搬送部は図示していない。作業者はモニタTV30に表示されるメニュー画面に従ってキーボード32を操作することにより、検査装置に必要な指示を与える。メモリ33は、被検体の種類毎の検査条件(光学系の設定と画像処理の条件)や、検査データ等を保存するものである。
【0075】
続いて、第5実施例の検査装置の動作を説明する。作業者がキーボード32により被検体21の種類とともに検査開始を指示すると、メモリ33に予め保存されている検査条件の中から、その被検体21に該当する条件がホストコンピュータ31に読み込まれ、シーケンサ37を介して光学系制御部38が光学系の設定を行う。
【0076】
この光学系制御部38で設定されるのは、光源の光量、ファイバ束1の出射端面位置、結像レンズ13のズーミングとそれに伴う光軸方向の移動・位置決めである。次にストッカから搬送部によって1枚めの被検体21が取出され、吸着ステージに載置される。吸着ステージは、被検体21を吸着固定した後、観察視野の中央にくるように移動し、位置決めする。
【0077】
続いて、CCD14から検査画像を画像処理装置35に取込む。このとき検査画像50は例えば図12のように、被検体の縁51を含み、被検体21内は欠陥のない均一輝度領域の中に、側面欠陥の部分53だけが異なる輝度になった画像となっている。画像処理装置35はこの画像から検査領域52だけをマスキングで取出し、シェード補正、二値化処理等を経て欠陥の部分53だけを抽出し、その位置、面積等のデータをホストコンピュータ31へ送る。
【0078】
このようにして1枚の被検体21の検査が終了すると、ホストコンピュータ31は欠陥の種類、数等を前記検査条件に含まれている検査基準と照らし合わせて、被検体21の良否を判定する。そして、検査された被検体21は搬送部により、吸着ステージから良否に分かれた検査済みストッカへ送られる。
【0079】
以上述べた第5実施例では、集束点29等の集光手段の光軸に対するコリメータレンズ12等の平行光束照射手段の光軸の角度を任意に設定できるので、如何なる膜厚むらでも簡単に抽出できる。
【0080】
第5実施例では光源としてハロゲンランプを用いたが、その代わりにレーザやメタルハライドランプのような高輝度の光源を用いてもよい。さらに、照明光をファイバ束7で導かずに光源を直接コリメータレンズ12の後側焦平面に設置してもよい。また、干渉フィルタは光源側ではなく、結像レンズ13の前面に載置してもよい。
【0081】
<第6実施例>
図11の光学系は以下のように変形することも可能である。図17は第6実施例の光学系を示す図であり、結像レンズ13とCCD14をコリメータレンズ12の光軸から外した位置に設置し、かつ、観察角度θは被検体21の正反射の方向から外してある。このとき結像レンズ13の入射瞳がコリメータレンズ12の後側焦平面の近傍に位置していることは、第5実施例の図11と変わりない。
【0082】
この実施例では、結像レンズ13とCCD14を、コリメータレンズ12の光軸から外した位置に設置されているので、図11の実施例に比べて観察の自由度をより大きくとることができる。
【0083】
<第7実施例>
図18は第7実施例の光学系を三角法で示すもので、(a)はその正面図であり、(b)はその側面図であり、(c)はその平面図である。この例では複数個(図18では2個)の照明光を導くファイバ束7,7′を設け、ファイバ束7,7′の入射角θ1 ,θ2 と入射方向φ1 ,φ2 を自由に設定できるように、図示しない入射方向設定手段を設けたものである。
【0084】
被検体21上のレジストパターンは2次元的に広がっているから、複数の照明により異なる方向の段差側面を同時に照明することで、欠陥検出の感度を改善することができ、全視野に対しシャープな画像を得ることができる。
【0085】
<第8実施例>
図19は第8実施例の光学系を示すもので、平行光束照射手段例えばコリメータレンズ12と集光手段例えば結像レンズ13の間に、光路分割手段例えばハーフミラー11を設け、ファイバ束7からの照明光はこのハーフミラー11で反射して被検体21を照明するようにしている。この例では結像レンズ13がコリメータレンズ12の光軸上に位置しており、かつファイバ束7の出射端面の光軸が角度θo だけコリメータレンズ12の光軸から外してある。
【0086】
前述の図11の第5実施例では角度θo を小さくしていくとファイバ束7と結像レンズ13が当たってしまうため、θo に下限があるが、この例ではそのような制限はなく、正反射光のごく近傍の散乱光を観察することができる。
【0087】
<第9実施例>
図20は第9実施例の光学系を示す図であり、照明光のために独立のコリメータレンズ12′を設け、ファイバ束7の出射端面をコリメータレンズ12′の前側焦点に設置している。コリメータレンズ12′はコリメータレンズ12の光軸に対して回転対称であり、これにより被検体21を入射角θo の平行光束で照明する。この例は、正反射に対して大きな角度を隔てた散乱光を観察するのに有利である。
【0088】
<第10実施例>
図21は本発明の第10実施例の光学系を示す側面図である。図示しない光源であるハロゲンランプを出た光束はファイバ束7に入射する。ファイバ束7の出射端面から出た光束は、ハーフミラー11を介してコリメータレンズ12の後側焦点近傍に位置する拡散板42に入射する。
【0089】
この拡散板42の中心部は、図22に示すように後述する結像レンズ45の入射瞳よりわずかに大きい径の光を通さない遮蔽板43で遮蔽され、これによりリング状例えば円環状の光源部を構成している。
【0090】
ファイバ束7を出た光束はコリメータレンズ12の光軸に対して45度の角度に設置されたハーフミラー11で反射し、コリメータレンズ12により平行光束群となって被検体21を照明する。このコリメータレンズ12は、被検体21の検査領域を覆う大きさをもち、その光軸が被検体21に対して垂直になるように、かつ被検体21と適度な間隔をおいて設置されている。被検体21で正反射した光は再びコリメータレンズ12を通って収束光となる。
【0091】
このうち、ハーフミラー11を透過した光束は、拡散板42と共役な位置にある、図23に示す遮蔽板44上に、光源の円環状の像をつくる。この遮蔽板44は結像レンズ45の周囲にあり、結像レンズ45を通らずにCCD14の撮像面に達する光を遮るはたらきをする。従って、結像レンズ45が通常のTV撮影レンズのようにCCD14にねじ込まれる型式であれば、遮蔽板44は不要である。さて、光源部の中央部に遮蔽板43があるので、被検体21からの正反射光は結像レンズ45に入射せず、正反射光近傍の散乱光だけが結像レンズ45に入射し、被検体21の像をCCD14の撮像面上につくる。
【0092】
このように第10実施例では、例えばハロゲンランプとファイバ束7からなる例えば1つの照明手段で、観察手段例えばCCD14の光軸に対して回転対称な平行光束群をつくり、被検体21を照明することができる。従って被検体21を、正反射近傍のあらゆる方向の散乱光により同時に観察できる。
【0093】
なお、この実施例は後述する、結像レンズの中央部を遮蔽する構成に比べて、結像レンズの入射瞳を広く使えるため検査画像の明るさの点で有利である。
【0094】
以上述べた第10実施例で光源をハロゲンランプからメタルハライドランプ等の高輝度光源に換えると、より高い検出能力が得られる。また光源部はリング状の光源を直接、拡散板42の代わりに置いてもよい。さらに光量に余裕があれば、光源部に干渉フィルタを挿入すると、コリメータレンズ12に色収差がある場合にも遮蔽板43による遮蔽をうまく行うことができる。
【0095】
<第11実施例>
図24は第11実施例の光学系を示すもので、図21とほぼ同様に構成され、光源部を構成するファイバ束7、拡散板42、遮蔽板43と、結像レンズ45およびCCD14をコリメータレンズ12の光軸から外した位置に設置している。ここで、拡散板42および遮蔽板43と、結像レンズ45および遮蔽板44がコリメータレンズ12の後側焦平面の近傍にあり、互いに共役な位置関係にあることは第10実施例と同様である。この実施例では図21のハーフミラー11が不要であるため光量の点で有利であり、また照明および観察する角度にいくらかの自由度が与えられる。
【0096】
<第12実施例>
図25は第12実施例の光学系を示すもので、照明光のために独立のコリメータレンズ12′を設け、拡散板42および遮蔽板43をコリメータレンズ12′の前側焦点近傍に設置している。結像レンズ45および遮蔽板44は、第2のコリメータレンズ12の後側焦点近傍にあり、第1,第2のコリメータレンズ12′,12と被検体21を介して拡散板42および遮蔽板43と互いに共役な位置関係にある。
【0097】
この実施例では、第11実施例よりさらに大きな入射角の照明光の下で被検体21からの正反射近傍の散乱光を観察することができる。このような照明光の入射角は、検査対象となる被検体21の種類(例えばパターン段差側面の傾斜角度など)によって最適値が異なるため、それに適した光学系を選択する必要がある。
【0098】
<第13実施例>
図26は本発明の第13実施例の光学系を示す側面図である。この実施例が図21の光学系と異なるのは、光源部としてファイバ束7の出射端面がコリメータレンズ12の後側焦点近傍にあり、結像レンズ45の直前のそれと共役な位置に遮蔽板43を設置している点である。遮蔽板43はファイバ束7の出射端面よりわずかに大きい径をもつ。従って、被検体21からの正反射光はこの遮蔽板43で遮られ、正反射光近傍の散乱光だけが結像レンズ45に入射し、CCD14の撮像面上に被検体21の像を結ぶ。被検体21を正反射近傍のあらゆる方向の散乱光により同時に観察できる点は、図21の実施例と同じであり、従って得られる画像や効果も同様である。そして、図24ないしは図25のように変形できる点も同様である。
【0099】
なお、以上述べた第5〜第13実施例の光学系は、第1〜第4実施例の光学系と、コリメータレンズと、結像レンズ、CCDを共用して組合わせることができる場合がある。その場合、1台の欠陥検査装置で照明を切換えることにより被検体の膜厚むら、塵埃、傷およびパターン段差側面の欠陥をすべて検出することが可能となる。
【0100】
【発明の効果】
本発明によれば、正反射光近傍のあらゆる方向の散乱光を検査することができる表面欠陥検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表面欠陥検査装置の第1実施例の光学系を示す側面図。
【図2】図1の実施例のライン照明の配置を説明するための平面図。
【図3】図1の実施例のライン照明の配置を説明するための平面図。
【図4】図1の制御部と画像処理部の構成を説明するブロック図。
【図5】図1のライン照明用集光レンズの説明図。
【図6】図1の検査画像を説明するための図。
【図7】図1の検査画像の説明図。
【図8】本発明の表面欠陥検査装置の第2実施例の光学系を示す側面図。
【図9】本発明の表面欠陥検査装置の第3実施例の光学系を示す側面図。
【図10】本発明の表面欠陥検査装置の第4実施例の光学系を示す側面図。
【図11】本発明の表面欠陥検査装置の第5実施例の光学系を示す側面図。
【図12】図11の動作を説明するための図。
【図13】本発明の被検体を説明するための図。
【図14】本発明の被検体を説明するための図。
【図15】本発明の被検体を説明するための図。
【図16】本発明の被検体を説明するための図。
【図17】本発明の表面欠陥検査装置の第6実施例の光学系を示す側面図。
【図18】本発明の表面欠陥検査装置の第7実施例の光学系を示す側面図。
【図19】本発明の表面欠陥検査装置の第8実施例の光学系を示す側面図。
【図20】本発明の表面欠陥検査装置の第9実施例の光学系を示す側面図。
【図21】本発明の表面欠陥検査装置の第10実施例の光学系を示す側面図。
【図22】図21の作用効果を説明するための図。
【図23】図21の作用効果を説明するための図。
【図24】本発明の表面欠陥検査装置の第11実施例の光学系を示す側面図。
【図25】本発明の表面欠陥検査装置の第12実施例の光学系を示す側面図。
【図26】本発明の表面欠陥検査装置の第13実施例の光学系を示す側面図。
【図27】従来の技術を説明するための図。
【図28】従来の技術を説明するための図。
【図29】従来の技術を説明するための図。
【図30】従来の技術を説明するための図。
【符号の説明】
1…ランプハウス、2…ハロゲンランプ、3…熱線吸収フィルタ、4…コンデンサレンズ、5…回転ホルダ、6…集光レンズ、7…ファイバ束、8…2次光源部、9…拡散板、10…絞り、11…ハーフミラー、12,12′…コリメータレンズ、13…結像レンズ、14…CCD、15,16…板、17…光源部、18…ライン照明、19…集光レンズ、20…背景板、21…被検体。
Claims (5)
- 被検体の上方から拡散光束を照射する拡散光束照射光源と、この拡散光束照射光源からの拡散光束を略平行な光束として前記被検体に照射する平行光束照射光手段と、
この平行光束照射手段の平行光束により照射される前記被検体からの光を集光する集光手段と、
この集光手段を介して前記被検体からの光を撮像する撮像手段と具備し、
前記拡散光束照射光源は、前記撮像手段の結像レンズの入射瞳よりわずかに大きい径の遮光領域を有するリング状出射面を前記平行光束照射手段の後側焦点近傍に位置させ、前記撮像手段により前記被検体からの散乱光を取り込むことを特徴とする表面欠陥検査装置。 - 前記拡散光束照射光源は、前記平行光束照射手段の後側焦点近傍に前記撮像手段の結像レンズの入射瞳よりわずかに大きい径の遮光領域を形成する遮光板を配置してリング状出射面を構成することを特徴とする請求項1記載の表面欠陥検査装置。
- 前記拡散光束照射光源は、前記撮像手段の結像レンズの入射瞳よりわずかに大きい径のリング状出射面を有するリング状光源からなることを特徴とする請求項1記載の表面欠陥検査装置。
- 前記平行光束照射手段と前記集光手段は、同一のコリメータレンズで兼用し、このコリメータレンズの光軸に透過光路と反射光路に分割する光路分割手段を配置し、この光路分割手段と前記被検体との間で前記被検体に対する前記拡散光束照射光源の光軸と前記撮像手段の光軸を一致させたことを特徴とする請求項1記載の表面欠陥検査装置。
- 前記平行光束照射手段と前記集光手段は、同一のコリメータレンズで兼用し、このコリメータレンズの光軸に対して前記被検体に対する前記拡散光束照射光源の光軸を回転対称にずらして配置したことを特徴とする請求項1記載の表面欠陥検査装置。
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