JP3582669B2 - ポリエステルフイルムの製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、ポリエステルフイルムの製造方法に関し、さらに詳しくは磁気記録媒体用、プリンタリボン用、コンデンサー用、包装用などとして好適なポリエステルフイルムの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステルフイルムは優れた熱、機械特性から、磁気記録媒体用、電気絶縁用、包装材料用など広い分野で用いられている。磁気記録媒体用途においては、記録時間の長時間化、カセットサイズのコンパクト化のために磁気テープ厚みの薄膜化が進み、テープ厚み減少分により低下した機械強度をベースフイルムであるポリエステルフイルムで負担する必要が生じている。
【0003】
機械強度を向上したポリエステルフイルムとしては特開昭50−45877号公報など、強力化のための方法としては、二軸延伸後に更に再縦、再横延伸を行う方法、例えば特開昭50−102303号公報、特開平2−208323号公報、特開平5−286029号公報などに開示されている方法が挙げられるが、近年のテープ厚みの薄膜化による高強度化の要求は非常に厳しくなっており、上記従来の技術ではフイルムの強度が低く、要求を十分に満足することができなくなってきた。フイルムの強度が不足していると、例えば磁気テープとしたときの腰が不足し、ビデオテープレコーダーの記録、再生ヘッドとの接触性が悪いために記録した画像の質が低下したり、また強度不足のため、ビデオテープレコーダー中で走行中にテープ切れが生じたりする可能性がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の技術では達成できなかった、特に横方向の機械強度を飛躍的に向上した、たとえば横方向ヤング率1000kg/mm2 を容易に達成し得るポリエステルフイルムを安定して供給することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この目的に沿う本発明のポリエステルフイルムの製造方法は、実質的に非晶状態のポリエステルフイルムをフイルムの複屈折(Δn)が0.002以上0.020以下、結晶化度が10%以下となるように横方向に延伸し、次いで先の横延伸温度よりも低温で更に横方向に延伸することを特徴とする方法からなる。
【0006】
本発明で用いるポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリエチレン−α,β−ビス(2−クロルフェノキシ)エタン−4、4′−ジカルボキシレート等が挙げられるが、これらのポリエステルの中でもポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリエチレン−α、β−ビス(2−クロルフェノキシ)エタン−4、4′−ジカルボキシレートが好ましく、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートが本発明で目標とする範囲のヤング率を得るためには特に有効である。また本発明のポリエステルは先に挙げたポリマの中の1種類の単独でも、2種以上のポリエステルの共重合体や、2種以上のポリエステルの混合体であってもかまわない。また本発明の効果を阻害しない範囲であれば各種添加剤が添加されていてもかまわない。
【0007】
また特に限定されないが、本発明におけるポリエステルフイルムには易滑性を付与し、製造、加工工程でのハンドリング性、製品である磁気テープ等として使用したときの走行性を良好とするために無機粒子、有機粒子等の不活性粒子を含有しているとより好ましい。無機粒子としては、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等、有機粒子としてはエチルビニルベンゼン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリメタクリル酸メチル、シリコーン等が挙げられる。これら不活性粒子は単独、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。これら不活性粒子の粒子径としては特に限定されないが、2μm以下、好ましくは0.05μm以上1.5μm以下の場合特に望ましい。尚、粒子を含有する代りにフイルム表面に易滑層を塗布してもよい。
【0008】
次に延伸製膜の方法について詳細に説明する。まずポリエステルのペレットを十分乾燥させた後、公知の溶融押出機に供給し、必要に応じて選ばれたフィルターを通過させた後、スリット状の口金よりフイルム状に溶融押出する。このフイルム状ポリエステルを20〜60℃の温度に制御したキャスティングドラム上で急冷固化し非晶状態とする。このとき公知の静電印加装置を用いてドラムとポリエステルフイルムの密着性を向上させることが成形性の良いキャストフイルムを得て、その後の延伸を良好とする上でより好ましい。
【0009】
得られた非晶状態のポリエステルフイルムをはじめに横方向に延伸する。横方向の延伸は公知のステンタを用いて行なうことができる。横方向の延伸の条件は、特に限定されないが、延伸温度としては延伸時のフイルム温度がポリエステルの(ガラス転移温度Tg+20℃)以上(Tg+50℃)以下の温度、例えばポリエステルがポリエチレンテレフタレートの場合、下限が90℃、好ましくは100℃、上限が120℃、好ましくは115℃の温度範囲で延伸を行う。延伸倍率は下限が1.2倍、好ましくは1.5倍、上限が3倍、好ましくは2.5倍の範囲から選択する。
【0010】
このようにして得られた横延伸後のフイルムの複屈折(Δn)は、下限が0.002、上限が0.020、好ましくは0.015の範囲にある必要がある。複屈折が上記範囲以下の場合機械特性を満足な値とすることができなく、また上記範囲以上の場合、縦延伸以降の延伸性が不良となり、またフイルムの厚みむらも大きくなるため好ましくない。
【0011】
また、上記横延伸後のフイルムの結晶化度は10%以下、好ましくは7%以下、更に好ましくは5%以下である必要がある。フイルムの結晶化度がこれ以上になると、この後の横延伸、あるいは縦延伸、再横延伸時の延伸性が不良となり、破れ等が頻発するため好ましくない。
【0012】
続いて更に横方向の延伸を行う。この横方向の延伸は特に限定さらないが、公知のステンタを用いてポリエステルのTg以上かつ、先の横延伸温度よりも低い温度で2.5倍から5倍程度延伸する。2回目の横延伸は1段階の延伸でも、2段以上の温度勾配をつけた多段延伸でもよい。また、この横延伸の後に必要に応じて熱処理を行うこともできる。尚、先の横延伸と2回目の横延伸は、一つのステンタで連続して行ってもよいし、別々のステンタで行うこともできる。
【0013】
また、特に限定されないが、上記少なくとも2段階の横延伸後、縦延伸および/又は再横延伸を行うこともできる。縦延伸は先の横延伸の温度以上の温度(横延伸後熱処理を行っている場合は熱処理温度以上の温度)で1.05倍から3倍程度の倍率で行うことが好ましい。この縦延伸は、縦方向の機械特性を向上させると共に、この後に再横延伸を行う場合の延伸性を向上させるために特に有効である。なお縦延伸温度は限定はされないが、(ポリエステルのガラス転移温度Tg+20℃)以上(Tg+80℃)以下の範囲である場合、スムーズな縦延伸ができ、かつ縦延伸時の横方向への収縮をできるだけ小さくし、横方向の強度が低下するのを抑えることができるため非常に好ましい。
【0014】
さらに、再横延伸を行う場合は、公知のステンタを用いて行う。延伸条件は特に限定されないが、倍率1.02倍から3倍、延伸温度は上記縦延伸温度よりも高い温度、好ましくは180℃以上250℃以下程度の高温で行うと破れ等のトラブルなしで、かつ横方向強度を上げるために有効である。また、必要に応じ熱処理を行うこともできる。熱処理は、緊張下または弛緩下で行う。
【0015】
[物性の測定方法ならびに効果の評価方法]
(1)フイルムのヤング率
引張試験機に幅10mm、チャック間長さ100mmとなるようにサンプルフイルムをセットし、23℃、65%RHの条件下で引張速度200mm/分で引張試験を行ない、フイルムの長手方向(MD)と幅方向(TD)とについてヤング率を測定した。
【0016】
(2)複屈折(Δn)
偏光顕微鏡にベレックコンペンセータを使用してフイルムのリターデーションを測定し、次式により複屈折(Δn)を求めた。
Δn=R/d
R:リターデーション
d:フイルム厚み
【0017】
(3)延伸時のフイルム温度
放射型非接触温度計(例えばミノルタ(株)製505)により放射率0.98で測定した。
【0018】
(4)フイルムの結晶化度
JIS−K−7112の密度勾配管法により、n−ヘプタン、四塩化炭素の混合液、または臭化ナトリウム水溶液を用いてフイルムの密度を測定した。この密度を用いて、ポリエステルの結晶密度、非晶密度から次式で結晶化度を測定した。
結晶化度(%)=[(フイルム密度−非晶密度)/(結晶密度−非晶密度)]×100
【0019】
【実施例】
本発明を実施例に基づいて説明する。
実施例1(表1、2)
公知の方法により得られたポリエチレンテレフタレート(PET)のペレットを180℃、真空中で3.5時間乾燥後、押出機に供給し280℃の温度で溶融し口金より押出し、静電印加法を用いて表面温度25℃のキャスティングドラム上で冷却固化し非晶状態の未延伸フイルムを得た。このフイルムを表1、2に示す条件で延伸を行った。まず公知のステンタにより横方向に延伸し、続いて同じステンタ内で温度を調整し更に横延伸を行い、更にロール縦延伸機で縦延伸後、ステンタにより再横延伸、熱処理を行い、厚さ6.0μmのポリエチレンテレフタレートフイルムを得た。このフイルムの特性は表2の通りであり縦方向のヤング率は520kg/mm2 、横方向のヤング率は1200kg/mm2 であり、通常の延伸方法では得られない非常に高い機械強度を得ることができた。
【0020】
実施例2〜7、比較例1〜4(表1、2)
使用するポリマを変更し(PET:ポリエチレンテレフタレート、PEN:ポリエチレンナフタレート)、実施例1と同様の押出機、口金、延伸装置を用いて延伸配向を行った。延伸条件は表1、2、得られたフイルムの特性は表2の通りであった。はじめの横延伸後のフイルム物性、はじめの横延伸と2回目の横延伸の温度の関係が本発明範囲の場合には、ヤング率の非常に高いフイルムが得られたが、はじめの横延伸後のフイルム物性、はじめの横延伸と2回目の横延伸の温度の関係のいずれかが本発明範囲から外れる場合には、ヤング率の高いフイルムを得ることはできなかった。
【0021】
比較例5、6(表1、2)
ポリエチレンテレフタレートのペレットを用いて縦延伸、横延伸の順で延伸を行い、次いで再縦延伸、再横延伸を行ったが本発明の目的である高いヤング率のフイルムは得ることができなかった。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】
【発明の効果】
本発明は実質的に非晶状態のポリエステルフイルムをフイルムの複屈折(Δn)が0.002以上0.020以下、結晶化度が10%以下となるように横方向に延伸し、次いで先の横延伸よりも低温で更に横方向に延伸することを特徴とするポリエステルフイルムの製造方法であり、上記のような延伸条件をとることにより、フイルムの薄膜化に対応できる、機械強度が飛躍的に向上したフイルムを供給することができる。本製造方法により得られるポリエステルフイルムは、磁気記録媒体用、プリンタリボン用、コンデンサー用、包装用など、機械強度の要求される様々な用途に広く活用が可能である。
Claims (4)
- 実質的に非晶状態のポリエステルフイルムをフイルムの複屈折(Δn)が0.002以上0.020以下、結晶化度が10%以下となるように横方向に延伸し、次いで先の横延伸温度よりも低温で更に横方向に延伸することを特徴とするポリエステルフイルムの製造方法。
- 横方向に少なくとも2段階に延伸したフイルムを、縦延伸および/又は再横延伸を行う、請求項1記載のポリエステルフイルムの製造方法。
- 縦延伸温度が(ポリエステルのガラス転移温度Tg+20℃)以上(Tg+80℃)以下の範囲である、請求項2記載のポリエステルフイルムの製造方法。
- 再横延伸温度が180℃以上250℃以下である、請求項2または3に記載のポリエステルフイルムの製造方法。
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