JP3582070B2 - フェニルエタン誘導体及びそれを用いた感熱記録材料 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は保存性の優れた顕色剤を含有してなる記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
発色性染料と顕色剤との反応による発色を利用した記録材料は、現像定着等の煩雑な処理を施すことなく比較的簡単な装置で短時間に記録出来ることから、ファクシミリ、プリンター等の出力記録のための感熱記録紙又は数枚を同時複写する帳票のための感圧複写紙等に広く使用されている。これらの記録材料としては、速やかに発色し、未発色部分(以下「地肌」と言う)の白度が保持され、又発色した画像及び地肌の堅牢性の高いものが要望されている。更に近年に至ってはラベル等記録画像の信頼性の重視される分野で多量に使用されるようになり、可塑剤や油脂類等に対して高い保存安定性を示すばかりでなく、耐光性に優れた発色画像を発現する記録材料が求められている。そのために、発色性染料、顕色剤、保存安定剤等種々の助剤の開発努力がなされているが、充分に満足できるものは未だ見出されていない。
【0003】
本発明の化合物に類似するものとしては、4−ヒドロキシフェニルスルフィニル基を有する化合物が特公平3−132392号で、また4−ヒドロキシスルフォニル基を有する化合物が特公平6−155924号で開示されてはいるが、画像の高保存性と言う点ではいまだ充分とは言い難い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記したように、記録材料においては地肌及び発色画像の保存安定性の改良が待たれている。本発明の目的は、上記の様な問題点を解決する、発色画像の保存安定性を改良する顕色剤を提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、一般式(I)で表されるフェニルエタン誘導体の少なくとも一種類を含有することを特徴とする記録材料である。
【化2】
(式中、R1 は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基、R2 は水酸基又は水酸基を有する炭素数1〜5のアルキル基、R3 は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基を、nは0〜2の整数を示す。)
【0006】
ここで、R1 、R2 、R3 が表す炭素数1〜5のアルキル基とは、直鎖または枝分かれしてもよいアルキルであり、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、iso−ブチル、n−ペンチル、iso−ペンチルなどを表す。
【0007】
本発明の一般式(I)で表わされる化合物としては、以下のものを例示することができる。
【0008】
一般式(I)で表される化合物において、スルフィド体の製造方法については種々の方法があるが、主なものとしては次の2例が挙げられる。スルフィド体は、スチレンオキサイド類またはα−ハロゲノ(塩素、臭素、ヨウ素)フェニルアルキルアルコール類と4−メルカプトフェノール類を、トルエン,キシレン,クロルベンゼン等の芳香族系溶媒又はメチルエチルケトンやMIBK等のケトン系溶媒と水との二層系において、アルカリ金属やアルカリ土類金属類の炭酸塩や水酸化物(例えば炭酸ソーダ,炭酸カリ,炭酸リチウム,等の炭酸塩及びカセイソーダ,カセイカリ,水酸化リチウム等の水酸化物)等の存在下に反応させることによって得ることができる。又、スチレン誘導体もしくはビニルケトン類と4−メルカプトフェノール類をアルカリ金属やアルカリ土類金属類の炭酸塩や水酸化物(例えば炭酸ソーダ,炭酸カリ,炭酸リチウム,等の炭酸塩及びカセイソーダ,カセイカリ,水酸化リチウム等の水酸化物)等の無機塩基類又はトリエチルアミンやDBU等の有機塩基類の存在下トルエン,キシレン,クロルベンゼン,アセトン,MIBK等の有機溶媒中で付加せしめることによって得られた化合物をNaBH4 等の還元剤で還元することによっても得られる。
【0009】
この時の反応温度は、スチレンオキサイド類を水−有機溶媒の二層系で反応させる場合には一般的には0℃〜95℃が好ましく、より好ましくは20℃〜90℃である。又ビニルケトン類を有機溶媒系で反応させる場合には、一般的には−20〜180℃行うのが好ましく、より好ましくは20〜150℃である。
【0010】
スルフィニル体及びスルホニル体については、スルフィド体を酢酸中で過酸化水素等で酸化することによって得られるが、クロロホルム中過安息香酸類で酸化することによっても得られる。
【0011】
この時の反応温度は、一般的には−20℃〜100℃が好ましく、より好ましくは20℃〜80℃である。
【0012】
本発明の化合物を感熱記録紙に使用する場合には、既知の顕色剤、画像保存安定剤と同様に使用すればよく、例えば、本発明の化合物、助剤及び発色性染料のそれぞれを水溶性結合剤の水溶液中に分散させ、それらの分散液を混合して紙等の支持体に塗布して乾燥する。
【0013】
また、上述した様に発色層中に含有せしめる方法のほか、多層構造からなる場合には、例えば、保護層、アンダーコート層等任意の層中に含有せしめることもできる。この際の発色性染料に対する本発明の化合物の使用割合は、発色性染料の1重量部に対し1〜10重量部、好ましくは1.5〜5重量部の割合である。
【0014】
上記助剤として、画像安定剤、増感剤、填料、分散剤、酸化防止剤、減感剤、粘着防止剤、消泡剤、光安定剤、蛍光増白剤等を必要に応じ含有させることができる。
【0015】
増感剤は任意に選択使用できるが、例えば、高級脂肪酸アミド、ベンズアミド、ステアリン酸アニリド、アセト酢酸アニリド、チオアセトアニリド、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ジ(p−クロロベンジル)、シュウ酸ジ(p−トリル)、フタル酸ジメチル、テレフタル酸ジベンジル、イソフタル酸ジベンジル、ビス(tert−ブチルフェノール)類、4、4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンのジエーテル類、1,2−ビス(フェノキシ)エタン、1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、2−ナフトールベンジルエーテル、ジフェニルアミン、カルバゾ−ル、2,3−ジ−m−トリルブタン、4−ベンジルビフェニル、4,4’−ジメチルビフェニル、m−ターフェニル、エチレングリコールトリルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、2ーナフチルベンジルエーテル及びジ−β−ナフチルフェニレンジアミン等を挙げることができる。
【0016】
填料としては、クレー、タルク、カオリン、サテンホワイト、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、珪酸マグネシウム、珪酸アルミニウム等を例示することができる。
【0017】
分散剤としては、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム等のスルホコハク酸エステル類、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルアルコール硫酸エステルのナトリウム塩、脂肪酸塩等を例示することができる。
【0018】
発色画像安定化剤としては、サリチル酸誘導体、オキシナフトエ酸誘導体の金属塩(特に亜鉛塩)、ジフェニルスルホン誘導体等を例示することができる。
【0019】
酸化防止剤としては、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−プロピルメチレンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−tert−ブチル−5−メチルフェノール)等を、減感剤としては脂肪族高級アルコール、ポリエチレングリコール、グアニジン誘導体等を例示することができる。
【0020】
また粘着防止剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、カルナウバワックス、パラフィンワックス、エステルワックス等を例示することができる。
【0021】
本発明の化合物とともに使用される発色性染料としては,フルオラン系、フタリド系、ラクタム系、トリフェニルメタン系、フェノチアジン系及びスピロピラン系等のロイコ染料を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではなく、酸性物質である顕色剤と接触することにより発色する発色性染料であれば制限なく使用することができる。
【0022】
これらの染料のうち、フルオラン系のものとしては、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−メチル−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)−5,6ベンゾフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、及び3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン等を例示することができる。
【0023】
【実施例】
以下具体的に実施例をあげて発明の詳細について述べるが、必ずしもそれらだけに限定されるものではない。
【0024】
実施例1 〔2−(4−ヒドロキシフェニルチオ)−2−フェニルエタノール、化合物(1)の合成〕
500mlの四径フラスコに水200mlを入れ、これにカセイソーダ4gを加え溶解させた。この中へ4−メルカプトフェノール12.6gを加えて溶解させた。さらにMIBK200mlを加え、この中へスチレンオキサイド12gを加えた後、2時間加熱還流させた。反応終了後、冷却後1Nの塩酸水溶液で中和した。中和後水層を分離し更に有機層を100mlの水で2回洗浄した。溶媒を減圧留去して褐色の油状物を得た。このものをトルエンから再結晶することで目的の化合物(1)17gを得た。
融点130.5〜132.0℃ 収率69%
【0025】
実施例2 〔2−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)−2−フェニルエタノール、化合物(2)の合成〕
実施例1で得られた化合物(1)5gを酢酸100mlに室温で溶解させた。この溶液を20〜25℃に保ちながら30%過酸化水素水4mlを10分間で滴下した。滴下後室温で36時間攪拌した。析出晶を濾取することにより、化合物(2)5gを得た。
融点210.0〜212.5℃ 収率88%
【0026】
実施例3 〔2−(4−ヒドロキシフェニルスルフィニル)−2−フェニルエタノール、化合物(6)の合成〕
実施例1で得られた化合物(1)5gを酢酸100mlに室温で溶解させた。この溶液を20〜25℃に保ちながら、30%過酸化水素水2mlを10分間で滴下した。滴下後室温で更に1時間攪拌した。反応終了後酢酸を減圧留去することにより化合物(6)4.8gを得た。
融点141.0〜146.0℃
収率91%
【0027】
実施例4 〔1−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)−1−フェニル−3−ブタノール、化合物(7)の合成〕
300mlの四径フラスコにトルエン200mlを入れ、この中へベンザルアセトン14.6gと4−メルカプトフェノール12.6gを加え攪拌溶解させた。この中へ室温下トリエチルアミン1mlを滴下した。そのまま3時間攪拌させた。析出晶を濾取することにより、 1−(4−ヒドロキシフェニルチオ)−1−フェニル−3−ブタノン26gを得た。このものをメタノール300mlに溶解し、10〜20℃に保ちながらNaBH4 2.5gを加えて還元した。メタノールを留去後得られた残査をMIBK200mlに溶解し1N塩酸水溶液で洗浄し、更に水洗した。MIBKを留去することにより、1−(4−ヒドロキシフェニルチオ)−1−フェニル−3−ブタノール(化合物(9))の粗体を得た。このもの5.4gを酢酸100mlに溶解し、 この溶液を20〜25℃に保ちながら、30%過酸化水素水4mlを10分間で滴下した。滴下後30分間室温で攪拌後、60〜70℃で8時間反応させた。反応終了後酢酸を留去し、残査をMIBKから結晶化させることにより化合物(7)4.8gを得た。
融点153.0〜156.0℃ 収率80%
【0028】
実施例5(感熱記録紙の作製)
染料分散液(A液)
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン 7.0g
ポリビニルアルコール15%水溶液 30.0g
填料(炭酸カルシウム) 13.5g
純水 49.5g
発色剤分散液(B液)
本発明の化合物 14.0g
ポリビニルアルコール15%水溶液 30.0g
填料(炭酸カルシウム) 6.5g
純水 49.5g
填料分散液(C液)
填料(炭酸カルシウム) 20.5g
ポリビニルアルコール15%水溶液 30.0g
純水 49.5g
上記組成の混合物をそれぞれサンドグラインダーで十分に摩砕して、A液、B液及びC液の各分散液を調製し、A液1重量部、B液1重量部及びC液2重量部を混合して塗布液を調製した。この塗布液をワイヤーロッド No.12を使用して白色紙に塗布した後、乾燥して感熱記録紙を作製した。
【0029】
比較例1
実施例5のB液における本発明の化合物の代わりに、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BPA)を使用して、以下同様にして感熱記録紙を作製した。
【0030】
実施例6(評価試験)
実施例5及び比較例1で作製した感熱記録紙ついて、それぞれの未発色部分と乾熱試験器(キシノ科学製、E−3型)を使用して飽和発色させた発色部分の試験紙を用意した。これら試験紙を耐光性試験器(スガ試験機、FAL−5型)を使用して、未発色部分は2時間、発色部分は4時間の耐光性試験を行った。試験前後の未発色部の白色度及び発色部の発色濃度をマクベス反射濃度計RD−514(使用フイルター:#106及び未発色部耐光試験後のみ#47も使用)で測定した。その結果を第1表に示した。
【0031】
【表1】
【0032】
上記表における測定値は、大きい数値程発色した濃度が高いことを表している。また、残存率は大きい数値程褪色が少ないことを示している。即ち本発明の化合物を顕色剤として使用した感熱記録紙は、未発色部ではより白色度が高く又試験後においてもフィルター#47を使用した測定値(値の前にYを付けてある)が小さく、黄色味が少ないことを示し、更に発色画像においても耐光性が優れていることを表している。尚、残存率は試験後の測定値を試験前の測定値で除して百分率とした。
【0033】
【発明の効果】
本発明化合物は未発色部及び発色部の耐光性を改良する新規な化合物及びそれを使用した感熱記録材料であり、例えば太陽光に暴露されたとしても、未発色部は白色度を保ち、又発色画像は消え難い等の極めて安定な感熱記録材料が得られる。
【産業上の利用分野】
本発明は保存性の優れた顕色剤を含有してなる記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
発色性染料と顕色剤との反応による発色を利用した記録材料は、現像定着等の煩雑な処理を施すことなく比較的簡単な装置で短時間に記録出来ることから、ファクシミリ、プリンター等の出力記録のための感熱記録紙又は数枚を同時複写する帳票のための感圧複写紙等に広く使用されている。これらの記録材料としては、速やかに発色し、未発色部分(以下「地肌」と言う)の白度が保持され、又発色した画像及び地肌の堅牢性の高いものが要望されている。更に近年に至ってはラベル等記録画像の信頼性の重視される分野で多量に使用されるようになり、可塑剤や油脂類等に対して高い保存安定性を示すばかりでなく、耐光性に優れた発色画像を発現する記録材料が求められている。そのために、発色性染料、顕色剤、保存安定剤等種々の助剤の開発努力がなされているが、充分に満足できるものは未だ見出されていない。
【0003】
本発明の化合物に類似するものとしては、4−ヒドロキシフェニルスルフィニル基を有する化合物が特公平3−132392号で、また4−ヒドロキシスルフォニル基を有する化合物が特公平6−155924号で開示されてはいるが、画像の高保存性と言う点ではいまだ充分とは言い難い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記したように、記録材料においては地肌及び発色画像の保存安定性の改良が待たれている。本発明の目的は、上記の様な問題点を解決する、発色画像の保存安定性を改良する顕色剤を提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、一般式(I)で表されるフェニルエタン誘導体の少なくとも一種類を含有することを特徴とする記録材料である。
【化2】
(式中、R1 は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基、R2 は水酸基又は水酸基を有する炭素数1〜5のアルキル基、R3 は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基を、nは0〜2の整数を示す。)
【0006】
ここで、R1 、R2 、R3 が表す炭素数1〜5のアルキル基とは、直鎖または枝分かれしてもよいアルキルであり、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、iso−ブチル、n−ペンチル、iso−ペンチルなどを表す。
【0007】
本発明の一般式(I)で表わされる化合物としては、以下のものを例示することができる。
【0008】
一般式(I)で表される化合物において、スルフィド体の製造方法については種々の方法があるが、主なものとしては次の2例が挙げられる。スルフィド体は、スチレンオキサイド類またはα−ハロゲノ(塩素、臭素、ヨウ素)フェニルアルキルアルコール類と4−メルカプトフェノール類を、トルエン,キシレン,クロルベンゼン等の芳香族系溶媒又はメチルエチルケトンやMIBK等のケトン系溶媒と水との二層系において、アルカリ金属やアルカリ土類金属類の炭酸塩や水酸化物(例えば炭酸ソーダ,炭酸カリ,炭酸リチウム,等の炭酸塩及びカセイソーダ,カセイカリ,水酸化リチウム等の水酸化物)等の存在下に反応させることによって得ることができる。又、スチレン誘導体もしくはビニルケトン類と4−メルカプトフェノール類をアルカリ金属やアルカリ土類金属類の炭酸塩や水酸化物(例えば炭酸ソーダ,炭酸カリ,炭酸リチウム,等の炭酸塩及びカセイソーダ,カセイカリ,水酸化リチウム等の水酸化物)等の無機塩基類又はトリエチルアミンやDBU等の有機塩基類の存在下トルエン,キシレン,クロルベンゼン,アセトン,MIBK等の有機溶媒中で付加せしめることによって得られた化合物をNaBH4 等の還元剤で還元することによっても得られる。
【0009】
この時の反応温度は、スチレンオキサイド類を水−有機溶媒の二層系で反応させる場合には一般的には0℃〜95℃が好ましく、より好ましくは20℃〜90℃である。又ビニルケトン類を有機溶媒系で反応させる場合には、一般的には−20〜180℃行うのが好ましく、より好ましくは20〜150℃である。
【0010】
スルフィニル体及びスルホニル体については、スルフィド体を酢酸中で過酸化水素等で酸化することによって得られるが、クロロホルム中過安息香酸類で酸化することによっても得られる。
【0011】
この時の反応温度は、一般的には−20℃〜100℃が好ましく、より好ましくは20℃〜80℃である。
【0012】
本発明の化合物を感熱記録紙に使用する場合には、既知の顕色剤、画像保存安定剤と同様に使用すればよく、例えば、本発明の化合物、助剤及び発色性染料のそれぞれを水溶性結合剤の水溶液中に分散させ、それらの分散液を混合して紙等の支持体に塗布して乾燥する。
【0013】
また、上述した様に発色層中に含有せしめる方法のほか、多層構造からなる場合には、例えば、保護層、アンダーコート層等任意の層中に含有せしめることもできる。この際の発色性染料に対する本発明の化合物の使用割合は、発色性染料の1重量部に対し1〜10重量部、好ましくは1.5〜5重量部の割合である。
【0014】
上記助剤として、画像安定剤、増感剤、填料、分散剤、酸化防止剤、減感剤、粘着防止剤、消泡剤、光安定剤、蛍光増白剤等を必要に応じ含有させることができる。
【0015】
増感剤は任意に選択使用できるが、例えば、高級脂肪酸アミド、ベンズアミド、ステアリン酸アニリド、アセト酢酸アニリド、チオアセトアニリド、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ジ(p−クロロベンジル)、シュウ酸ジ(p−トリル)、フタル酸ジメチル、テレフタル酸ジベンジル、イソフタル酸ジベンジル、ビス(tert−ブチルフェノール)類、4、4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンのジエーテル類、1,2−ビス(フェノキシ)エタン、1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、2−ナフトールベンジルエーテル、ジフェニルアミン、カルバゾ−ル、2,3−ジ−m−トリルブタン、4−ベンジルビフェニル、4,4’−ジメチルビフェニル、m−ターフェニル、エチレングリコールトリルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、2ーナフチルベンジルエーテル及びジ−β−ナフチルフェニレンジアミン等を挙げることができる。
【0016】
填料としては、クレー、タルク、カオリン、サテンホワイト、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、珪酸マグネシウム、珪酸アルミニウム等を例示することができる。
【0017】
分散剤としては、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム等のスルホコハク酸エステル類、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルアルコール硫酸エステルのナトリウム塩、脂肪酸塩等を例示することができる。
【0018】
発色画像安定化剤としては、サリチル酸誘導体、オキシナフトエ酸誘導体の金属塩(特に亜鉛塩)、ジフェニルスルホン誘導体等を例示することができる。
【0019】
酸化防止剤としては、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−プロピルメチレンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−tert−ブチル−5−メチルフェノール)等を、減感剤としては脂肪族高級アルコール、ポリエチレングリコール、グアニジン誘導体等を例示することができる。
【0020】
また粘着防止剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、カルナウバワックス、パラフィンワックス、エステルワックス等を例示することができる。
【0021】
本発明の化合物とともに使用される発色性染料としては,フルオラン系、フタリド系、ラクタム系、トリフェニルメタン系、フェノチアジン系及びスピロピラン系等のロイコ染料を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではなく、酸性物質である顕色剤と接触することにより発色する発色性染料であれば制限なく使用することができる。
【0022】
これらの染料のうち、フルオラン系のものとしては、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−メチル−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)−5,6ベンゾフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、及び3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン等を例示することができる。
【0023】
【実施例】
以下具体的に実施例をあげて発明の詳細について述べるが、必ずしもそれらだけに限定されるものではない。
【0024】
実施例1 〔2−(4−ヒドロキシフェニルチオ)−2−フェニルエタノール、化合物(1)の合成〕
500mlの四径フラスコに水200mlを入れ、これにカセイソーダ4gを加え溶解させた。この中へ4−メルカプトフェノール12.6gを加えて溶解させた。さらにMIBK200mlを加え、この中へスチレンオキサイド12gを加えた後、2時間加熱還流させた。反応終了後、冷却後1Nの塩酸水溶液で中和した。中和後水層を分離し更に有機層を100mlの水で2回洗浄した。溶媒を減圧留去して褐色の油状物を得た。このものをトルエンから再結晶することで目的の化合物(1)17gを得た。
融点130.5〜132.0℃ 収率69%
【0025】
実施例2 〔2−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)−2−フェニルエタノール、化合物(2)の合成〕
実施例1で得られた化合物(1)5gを酢酸100mlに室温で溶解させた。この溶液を20〜25℃に保ちながら30%過酸化水素水4mlを10分間で滴下した。滴下後室温で36時間攪拌した。析出晶を濾取することにより、化合物(2)5gを得た。
融点210.0〜212.5℃ 収率88%
【0026】
実施例3 〔2−(4−ヒドロキシフェニルスルフィニル)−2−フェニルエタノール、化合物(6)の合成〕
実施例1で得られた化合物(1)5gを酢酸100mlに室温で溶解させた。この溶液を20〜25℃に保ちながら、30%過酸化水素水2mlを10分間で滴下した。滴下後室温で更に1時間攪拌した。反応終了後酢酸を減圧留去することにより化合物(6)4.8gを得た。
融点141.0〜146.0℃
収率91%
【0027】
実施例4 〔1−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)−1−フェニル−3−ブタノール、化合物(7)の合成〕
300mlの四径フラスコにトルエン200mlを入れ、この中へベンザルアセトン14.6gと4−メルカプトフェノール12.6gを加え攪拌溶解させた。この中へ室温下トリエチルアミン1mlを滴下した。そのまま3時間攪拌させた。析出晶を濾取することにより、 1−(4−ヒドロキシフェニルチオ)−1−フェニル−3−ブタノン26gを得た。このものをメタノール300mlに溶解し、10〜20℃に保ちながらNaBH4 2.5gを加えて還元した。メタノールを留去後得られた残査をMIBK200mlに溶解し1N塩酸水溶液で洗浄し、更に水洗した。MIBKを留去することにより、1−(4−ヒドロキシフェニルチオ)−1−フェニル−3−ブタノール(化合物(9))の粗体を得た。このもの5.4gを酢酸100mlに溶解し、 この溶液を20〜25℃に保ちながら、30%過酸化水素水4mlを10分間で滴下した。滴下後30分間室温で攪拌後、60〜70℃で8時間反応させた。反応終了後酢酸を留去し、残査をMIBKから結晶化させることにより化合物(7)4.8gを得た。
融点153.0〜156.0℃ 収率80%
【0028】
実施例5(感熱記録紙の作製)
染料分散液(A液)
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン 7.0g
ポリビニルアルコール15%水溶液 30.0g
填料(炭酸カルシウム) 13.5g
純水 49.5g
発色剤分散液(B液)
本発明の化合物 14.0g
ポリビニルアルコール15%水溶液 30.0g
填料(炭酸カルシウム) 6.5g
純水 49.5g
填料分散液(C液)
填料(炭酸カルシウム) 20.5g
ポリビニルアルコール15%水溶液 30.0g
純水 49.5g
上記組成の混合物をそれぞれサンドグラインダーで十分に摩砕して、A液、B液及びC液の各分散液を調製し、A液1重量部、B液1重量部及びC液2重量部を混合して塗布液を調製した。この塗布液をワイヤーロッド No.12を使用して白色紙に塗布した後、乾燥して感熱記録紙を作製した。
【0029】
比較例1
実施例5のB液における本発明の化合物の代わりに、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BPA)を使用して、以下同様にして感熱記録紙を作製した。
【0030】
実施例6(評価試験)
実施例5及び比較例1で作製した感熱記録紙ついて、それぞれの未発色部分と乾熱試験器(キシノ科学製、E−3型)を使用して飽和発色させた発色部分の試験紙を用意した。これら試験紙を耐光性試験器(スガ試験機、FAL−5型)を使用して、未発色部分は2時間、発色部分は4時間の耐光性試験を行った。試験前後の未発色部の白色度及び発色部の発色濃度をマクベス反射濃度計RD−514(使用フイルター:#106及び未発色部耐光試験後のみ#47も使用)で測定した。その結果を第1表に示した。
【0031】
【表1】
【0032】
上記表における測定値は、大きい数値程発色した濃度が高いことを表している。また、残存率は大きい数値程褪色が少ないことを示している。即ち本発明の化合物を顕色剤として使用した感熱記録紙は、未発色部ではより白色度が高く又試験後においてもフィルター#47を使用した測定値(値の前にYを付けてある)が小さく、黄色味が少ないことを示し、更に発色画像においても耐光性が優れていることを表している。尚、残存率は試験後の測定値を試験前の測定値で除して百分率とした。
【0033】
【発明の効果】
本発明化合物は未発色部及び発色部の耐光性を改良する新規な化合物及びそれを使用した感熱記録材料であり、例えば太陽光に暴露されたとしても、未発色部は白色度を保ち、又発色画像は消え難い等の極めて安定な感熱記録材料が得られる。
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