JP3581556B2 - ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法 - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リサイクル性に優れたポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリオレフィンの発泡体は、機械的物性と熱的物性のバランスに優れ、更に後の工程で加熱賦形することができるので、工業資材として広く利用されている。例えば自動車のドア、天井などの内装材としては、ポリプロピレン系樹脂を主体とした発泡体が、その良好な耐熱性のため主流をなしている。また、折板屋根用の断熱材、パイプカバーなどには、ポリエチレン系樹脂を主体とした発泡体が、その良好な断熱性、柔軟性、耐久性のため主流をなしている。
【0003】
従来より、ポリオレフィン系樹脂のシート状発泡体を製造するには、同樹脂が発泡可能な融体強度を有したものとなるようにこれを架橋する必要がある。例えばポリオレフィン系樹脂組成物に発泡剤を加えて同組成物をシート状に成形し、これを30〜50%程度のゲル分率を示すまで架橋した後に、架橋物を加熱して発泡剤を熱分解させ発泡させる製造方法が採られている。
【0004】
上記シート状ポリオレフィン系樹脂組成物の架橋方法としては、放射線や電子線の照射による方法、紫外線の照射による方法、有機過酸化物などの熱分解型化学架橋剤による方法、あるいはポリオレフィンにアルコキシシリル基を導入しそれを縮合反応させる方法などがある。
【0005】
また、樹脂の架橋によって融体強度を向上させることにより、得られた発泡体を後の工程で任意の形状に賦形することが可能になる。
【0006】
上記架橋方法のうち、電子線による架橋方法は生産性に優れ工業的に広く実施されており、例えば特公平6−45717号公報には、ポリプロピレン系樹脂に特定のエチレン共重合体と特定のエチレン−α−オレフィン共重合体と特定のビニルモノマーを加え、更に発泡剤を加えた溶融混和物のシート状成形体に、連続して電子線を照射してゲル分率を20〜60%とした後に、得られた連続架橋シートを発泡させる架橋発泡体の製法が開示されている。しかしながら、この方法では、電子線照射装置のための多大な設備投資が必要であり、しかも架橋がポリマーの非結晶部分でしか起きないため、その後の発泡が不均一なものとなりピンホールなどを有する不良品が生じる嫌いがある。
【0007】
他方、特公昭58−57452号公報には、ポリプロピレン系樹脂に特定の多官能モノマーと熱分解型発泡剤を加えて全体を溶融混和し、得られた組成物を加熱によって架橋発泡させる架橋発泡体の製造方法が開示されている。この方法は電子線や放射線による架橋法と比較して、設備投資が少なくて済み、得られた架橋発泡体の均質性にも優れる。しかしながら、一般に化学架橋法では、発泡体の気泡が粗く、発泡時にも架橋が進行するため発泡倍率の調整が困難である。
【0008】
近年、環境資源問題に対する方策として、特に自動車部材においては部材のリサイクル性が要求されており、バンパーや内装用の表皮材などのポリプロピレン製部材に関しては既に技術的な取組みがなされている。しかしながらポリプロピレン系樹脂の発泡体は、上記のとおり通常は架橋されているため、使用後に回収しても再溶融できずリサイクルに適しないのが実状である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の点に鑑み、設備投資が少なくて済み、得られた架橋発泡体の均質性に優れ、発泡倍率の調整が容易であり、更には使用後の発泡体を回収して再び溶融、成形することができるポリオレフィン系樹脂発泡体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によるポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法は、ポリオレフィン系樹脂100重量部とジオキシム化合物0.05〜5重量部を温度170℃以上で溶融混和して樹脂を改質し、得られた改質樹脂組成物に熱分解型化学発泡剤を混練し、得られた発泡性樹脂組成物を加熱して発泡剤の分解によって発泡させることを特徴とする方法である。
【0011】
本発明方法における未改質のポリオレフィン系樹脂の主体をなすポリオレフィンは、オレフィン性モノマーの単独重合体、または主成分オレフィン性モノマーと他のモノマーとの共重合体であり、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等である。
【0012】
ポリエチレンとしては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のホモタイプのポリエチレンの他、エチレンを主成分とするランダムないしはブロック共重合体が例示される。エチレン主体の共重合体としては、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体等が例示される。
【0013】
ポリプロピレンとしては、ホモタイプのポリプロピレンの他、プロピレンを主成分とするランダムないしはブロック共重合体が例示される。プロピレン主体の共重合体の例としては、プロピレンとα−オレフィンとのランダム共重合体、プロピレンとα−オレフィンとのブロック共重合体(ただし、α−オレフィンとしては、エチレン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ブテン、1−ペンテンなどが例示される)が挙げられる。
【0014】
ポリオレフィンの上記例示物は、単独で用いてもまたは2種以上の組合わせで用いてもよい。本発明方法では、特に、耐熱性、成形性の観点ではポリプロピレンが、また、断熱性、柔軟性、耐久性の観点ではポリエチレンが好適に用いられる。
【0015】
本発明において、ポリオレフィン系樹脂とは、上記ポリオレフィンが他の樹脂とのブレンドであってもよいことを意味する。ポリプロピレン系樹脂の場合、他の樹脂としては、例えば、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン、スチレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。ポリオレフィンの割合はブレンド全体の50〜100重量%であることが好ましい。この割合が50重量%を下回ると、ポリオレフィンの特徴である耐熱性、剛性等が発揮できないばかりか、他のポリオレフィン系樹脂とのブレンドの場合、発泡に必要な溶融粘度を確保することが困難となる場合がある。
【0016】
本発明で用いられるジオキシム化合物とは、下記化学式(I)で示されるオキ シム基、または、化学式(II)で示すように、オキシム基の水素原子が他の原子団(主に炭化水素基)で置換された基を分子内に2個有する化合物である。このようなジオキシム化合物の代表例として、化学式(III) で示されるp−キノンジオキシム化合物、化学式(IV)で示されるp,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム化合物が挙げられる。これら化合物は単独で用いてもまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0017】
【化1】
Figure 0003581556
【化2】
Figure 0003581556
【化3】
Figure 0003581556
【化4】
Figure 0003581556
【0018】
ジオキシム化合物の配合量はポリオレフィン系樹脂100重量部に対して0.05〜5重量部であり、好ましくは0.1〜3重量部である。この配合量が0.05重量部未満であると、発泡に必要な溶融粘度を付与できず、5重量部を越えると、架橋度が上がりすぎ、押出成形性が悪くなる(例えば、高負荷がかかる、メルトフラクチャーが発生する)上に、後で添加する発泡剤を樹脂組成物中に均一に混練できず、不必要にゲル分率が上がりすぎ、リサイクル性を損なう。加えて、ジオキシム化合物が製品中に未反応物として残留する割合が多くなり、人体に刺激を及ぼすと共に、原料に対する製品生成効率が低くなる。
【0019】
改質樹脂組成物を得るには、ポリオレフィン系樹脂とジオキシム化合物を溶融混和する。具体的に、スクリュー押出機やニーダーなどの混練装置に上記両物質を所要量ずつ投入し、溶融混和する。この溶融混和温度は170℃以上かつポリオレフィン系樹脂の分解温度以下、好ましくは200℃〜250℃である。溶融混和温度が170℃を下回ると最終的に得られる発泡体の発泡倍率が十分高くならず、300℃を越えるとポリオレフィン系樹脂が分解し易くなる。
【0020】
上記溶融混和に用いる混練装置は、スクリュー押出機の他、一般的にプラスチック成形加工で使用されうる溶融混練装置であればよく、例えばニーダー、ローター、連続混練機などが例示される。このうち連続運転が行えるスクリュー押出機が好ましく、1軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、3本以上のスクリューを備えた多軸スクリュー押出機などがいずれも好適に用いられる。1軸スクリュー押出機としては、一般的なフルフライト型スクリューに加え、不連続フライト型スクリュー、ピンバレル、ミキシングヘッドなどを有する押出機なども用いられる。また、上記2軸スクリュー押出機としては、噛み合い同方向回転型押出機、噛み合い異方向回転型押出機、非噛み合い異方向回転型押出機などが好適に使用し得る。なお、押出機の後段に真空ベントを設けることは、改質樹脂組成物中に揮発物が残存するのを防ぐのに効果的である。
【0021】
スクリュー押出機を用いる場合、ポリオレフィン系樹脂は通常のホッパーから押出機へ投入されるが、定量性を増すため、スクリュー式フィーダー、重量管理式フィーダーなどを用いることも好ましい。
【0022】
ジオキシム化合物の供給方法は特に限定されないが、例えば、以下の方法が好適に行われる。
【0023】
i)ポリオレフィン系樹脂とジオキシム化合物をドライブレンドした後、ブレンド物を通常のホッパーに一括投入する。
【0024】
ii)ポリオレフィン系樹脂とジオキシム化合物を各々別の供給機を用いて押出機内に投入する。例えば、別々の定量フィーダーを用い、ジオキシム化合物をポリオレフィン系樹脂と同じ部分より押出機内に投入する。またはサイドフィーダーを用い、ジオキシム化合物を押出機途中より投入する。
【0025】
本発明で用いる熱分解型化学発泡剤は、加熱により分解ガスを発生するものであれば特に限定されるものではない。熱分解型化学発泡剤の代表的な例は、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)である。これらは単独で用いてもまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。その中でもアゾジカルボンアミドが特に好適に用いられる。
【0026】
熱分解型化学発泡剤は、改質樹脂組成物100重量部に対して、1〜50重量部、好ましくは2〜35重量部の範囲で所望の発泡倍率に応じて適宜の量で使用される。
【0027】
ポリオレフィン系樹脂とジオキシム化合物を溶融混和し、得られた改質樹脂組成物に熱分解型化学発泡剤を混練して発泡性樹脂組成物を得るには、上述の改質用の溶融混練装置と、これと一体もしくは別体の発泡剤混和用の混練装置(構造は改質用の溶融混練装置のそれと同じであってもよい)とを用いて、例えば、下記の態様で操作を行う。
【0028】
(a) 改質用の回分式あるいは連続式の溶融混練装置においてポリオレフィン系樹脂とジオキシム化合物を溶融混和し、得られた改質樹脂組成物を同溶融混練装置から取り出して固化させ、造粒などを行った後、同樹脂組成物を発泡剤混和用の回分式あるいは連続式の混練装置に移し、これに発泡剤を投入し、両者を溶融混練し、発泡性樹脂組成物を得る。
【0029】
(b) 改質用の回分式の溶融混練装置においてポリオレフィン系樹脂とジオキシム化合物を170℃以上の温度で溶融混和して改質を行い、得られた改質樹脂組成物を同混練装置内で、発泡剤が実質的に分解しない温度まで冷却した後、これに発泡剤を投入し、両者を溶融混練し、発泡性樹脂組成物を得る。
【0030】
(c) 改質用のスクリュー押出機(連続式の溶融混練装置)においてポリオレフィン系樹脂とジオキシム化合物を170℃以上の温度で溶融混和し、ついで溶融物を発泡剤が実質的に分解しない温度まで降温させた後、これにスクリュー押出機の途中に設けられた供給口から発泡剤を投入し、両者を溶融混練し、発泡性樹脂組成物を得る。
【0031】
(d) 連続操作のもう一つの形態では、2台のスクリュー押出機などを連結して、1台目でポリオレフィン系樹脂とジオキシム化合物を溶融混和し、得られた改質樹脂組成物を上記と同様に降温させた後、同樹脂組成物を2台目に移し、これに発泡剤を投入し、両者を溶融混練し、発泡性樹脂組成物を得る。
【0032】
熱分解型化学発泡剤と混練された樹脂組成物は、更には賦形されてもよい。賦形の方法は押出成形の他、プレス成形、ブロー成形、カレンダリング成形、射出成形など、プラスチックの成形加工で一般的に行われる方法が適用可能である。
【0033】
特に、上記(a)(b)の方法に従って得られる発泡性樹脂組成物を、回分式の発泡剤混和用混練装置より取り出し、これをスクリュ押出機に投入して連続的にシート形状に賦形する方法、あるいは、上記(a)(c)(d)の方法に従って、スクリュ押 出機より吐出する発泡性樹脂組成物を直接賦形する方法が、生産性の観点より好ましい。
【0034】
改質樹脂組成物と発泡剤とからなる賦形された発泡性樹脂組成物は、適切な温度条件で加熱することにより、一定圧力下で所望の発泡倍率に発泡させることができる。上記加熱は、通常は熱分解型化学発泡剤の分解温度から(分解温度+100℃)までの温度範囲で行われる。このような発泡を行うための発泡装置としては、一般に、空気雰囲気中で運転する、縦型または横型発泡炉、熱風恒温槽や、あるいはオイルバス、メタルバス、ソルトバスなどの熱浴が用いられる。
【0035】
本発明方法によって製造された発泡体のゲル分率は、好ましくは60%未満であり、より好ましくは50%未満である。ゲル分率が60%以上であると、一般的なスクリュー押出機において樹脂組成物の粘度が高すぎて同組成物が溶融流動しないので、使用済み製品の再生リサイクルが不可能となる恐れがある。ゲル分率は低いほどリサイクル時の溶融成形性が良好となる。
【0036】
また、本発明方法によって製造された発泡体の発泡倍率(発泡体の比容)は好ましくは10倍(cc/g)以上、より好ましくは12倍(cc/g)以上である。発泡倍率が10倍未満であると、発泡体が断熱性、緩衝性、遮音性、柔軟性、浮揚性などに優れたものとならないことがあるからである。
【0037】
(作用)
本発明の製造方法によれば、ポリオレフィン系樹脂は170℃以上の溶融状態で水素引き抜き反応を起こし、ポリマーラジカルを生じる。ここに混和されたジオキシム化合物はポリマーラジカルとグラフト反応し、最終的には、ポリマー同士をジオキシム化合物が橋かけしたような構造を有する微量に架橋された改質樹脂組成物が得られる。この改質樹脂組成物は、その分子構造は必ずしも明らかではないが、ゲル分率が10%〜60%であるにも拘らず溶融流動性を保持しており、更に高伸長領域での融体粘度が著しく向上したものである。つまり、この改質樹脂組成物は、後の工程で発泡剤との混練や賦形が可能な程度の溶融流動性を維持しつつ、同時に高倍率の発泡が可能な程度の融体強度を有している。また、本発明で用いられるジオキシム化合物は、一般に橋かけ剤として用いられる他の多官能モノマーに比べて反応速度が速いことから、発泡剤を混練するまでに改質反応は完了しており、加熱発泡の前段階で加熱処理等の養生工程を必要としない。
【0038】
このようにして本発明の製造方法によって得られたポリオレフィン系樹脂発泡体は、ポリオレフィン系樹脂の融点以上に加熱することによって容易に溶融し、再び成形加工に供することができ、リサイクル性に優れている。
【0039】
【発明の実施の形態】
本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0040】
(実施例1)
a)改質用の溶融混練装置
図1に示すスクリュー押出機を用いた。図1中、1 はスクリュー押出機、2 は成形ダイ、3 は樹脂用フィーダー、4 はジオキシム化合物用定量フィーダー、5 は吸引ポンプ、6 と7 は樹脂温度計測用熱電対、8 は吸引用ベント、C1〜C12 は第1〜12シリンダーバレルである。スクリュー押出機は下記の構成を有する。
【0041】
Figure 0003581556
【0042】
b)発泡剤混和用の混練装置
図2に示すスクリュー押出機を用いた。図2中、9 はスクリュー押出機、10は成形ダイ、11は樹脂用フィーダー、12は発泡剤用定量フィーダー、13は冷却ロール、14は発泡性樹脂組成物シート、C1〜C6は第1〜6シリンダーバレルである。スクリュー押出機は下記の構成を有する。
【0043】
・押出機:BT−40型(プラスチック工学研究所製)同方向回転2軸スクリュー押出機
・スクリュー:セルフワイピング2条、L/D:35、D:39mm
・成形ダイ:シート形状Tダイ(幅200mm、厚み1mm)
i)改質樹脂組成物の調製
上記構成の改質用溶融混練装置を用い、プロピレンのホモポリマー(三菱化学製「EA8」、MI;0.8、密度;0.9g/cm)を上記構成の改質用の溶融混練装置のフィーダー3 からホッパーを経て第1シリンダーバレルC1へ供給し、同時にp−キノンジオキシム(p−QDO)をフィーダー4 からホッパーを経て第1シリンダーバレルC1へ供給し、両者を溶融混和し、改質樹脂組成物を得た。
【0044】
Figure 0003581556
【0045】
ii) 発泡体の作成
得られた改質樹脂組成物を固化させ、造粒などを行った後、今度は同樹脂組成物を上記構成の発泡剤混和用の混練装置のフィーダー11からホッパーを経て第1シリンダーバレルC1へ供給し、同時に発泡剤アゾジカルボンアミド(ADCA)をフィーダー12からホッパーを経て第1シリンダーバレルC1へ供給し、両者を溶融混練し、成形ダイ10よりシート状に押し出した。こうして得られたシート状発泡性樹脂組成物を加熱して発泡させ、外観良好なポリプロピレン系樹脂発泡体を得た。
【0046】
[操作条件]
・シリンダーバレル設定温度:C1〜C6=180℃
・スクリュー回転数:100rpm
・改質樹脂組成物供給量:14kg/h
・発泡剤の配合量:改質樹脂組成物100重量部に対してADCA15重量部
・発泡:230℃の熱風乾燥器に5分間投入。
【0047】
iii) 発泡体の性能評価試験
得られた発泡体の物性を下記の方法で測定した。
【0048】
a)発泡倍率
発泡体サンプルの比容測定値である。
【0049】
b)ゲル分率
発泡体サンプルを130℃のキシレン中で24時間加熱して溶解分をキシレン中に溶出させ、次いで残った固形分を200メッシュの金属網で濾取し、80℃の真空乾燥機で乾燥し、得られたキシレン不溶物を秤量し、
式:(不溶分重量/発泡体重量)×100
で算出した重量%である。
【0050】
c)再流動性
発泡体サンプルの粉砕品20重量%と元のポリオレフィン系樹脂80重量%を混練押出し、押出物の外観をチェックした。押出機およびダイは、発泡剤混和用の混練装置と同様のものを使用し、操作条件も同様にした。
【0051】
評価結果は下記の通りである;
・発泡倍率:34cc/g
・ゲル分率:13%
・再流動性:シート成形性良好、異物なし。
【0052】
(実施例2)
ポリオレフィン系樹脂として三菱化学製のポリプロピレン(ランダムタイプ、「EG8」、MI=0.8、密度=0.9g/cm)を用い、ジオキシム化合物としてp,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム(p,p’−DBQDO)をポリオレフィン100重量部に対して1.5重量部になるように供給した点を除いて、実施例1と同様の操作を行った。ただし、樹脂温度:T1;227℃、T2;232℃。
【0053】
得られた発泡体の物性を実施例1と同様にして測定した。その結果は下記の通りである;
・発泡倍率:32cc/g
・ゲル分率:12%
・再流動性:シート成形性良好、異物無し。
【0054】
(実施例3)
ポリオレフィン系樹脂として三菱化学製の低密度ポリエチレン(「YK40」、MI=4.0)を用い、シリンダーバレル設定温度を下記のように変えた点を除いて、実施例1と同様の操作を行った。ただし、樹脂温度:T1;180℃、T2;188℃。
【0055】
第1ゾーン;190℃
第2ゾーン;180℃
第3ゾーン;180℃
第4ゾーン;180℃
得られた発泡体の物性を実施例1と同様に測定した。その結果は下記の通りである;
・発泡倍率:30cc/g
・ゲル分率:14%
・再流動性:シート成形性良好、異物無し。
【0056】
(比較例1)
p−キノンジオキシム(p−QDO)の配合量をポリオレフィン系樹脂100重量部に対して0.02重量部にした点を除いて実施例1と同様の操作を行った。ただし、樹脂温度:T1;223℃、T2;228℃。
【0057】
得られた発泡体の物性を実施例1と同様にして測定した。その結果は下記の通りである;
発泡倍率(発泡体の比容):3cc/g
ゲル分率:1%
(比較例2)
p−キノンジオキシム(p−QDO)の配合量をポリオレフィン系樹脂100重量部に対して6重量部にした点を除いて実施例1と同様の操作を行った。ただし、樹脂温度:T1;227℃、T2;240℃。
【0058】
ストランド状の改質樹脂組成物を押出す際、メルトフラクチャーが発生し、押出負荷が著しく上がった。また、シート状の発泡性樹脂組成物を押出す際、シートの表面性が悪く、発泡剤も均一に混練されていなかった。得られたシート状発泡性樹脂組成物を加熱して発泡させたが、不均一に発泡し、性能評価ができなかった。
【0059】
(比較例3)
シリンダーバレル設定温度を下記のように変え、スクリュー回転数を40rpmにした点を除いて、実施例1と同様の操作を行った。ただし、樹脂温度:T1;166℃、T2;167℃
第1ゾーン;180℃
第2ゾーン;160℃
第3ゾーン;160℃
第4ゾーン;160℃
得られた発泡体の物性を実施例1と同様にして測定した。その結果は下記の通りである;
発泡倍率(発泡体の比容):3cc/g
ゲル分率:2%。
【0060】
(比較例4)
市販のポリプロピレン系樹脂発泡体の物性を実施例1と同様に測定した。その結果は下記の通りである;
・発泡体:ポリプロピレン系樹脂発泡体(東レ製「PPAM」)
・発泡倍率:25cc/g
・ゲル分率:40%
・再流動性:シート成形性不良、異物有り。
【0061】
実施例1〜3および比較例1〜4の操作条件および得られた発泡体の物性を表1にまとめて示す。
【0062】
【表1】
Figure 0003581556
【0063】
表1中、「シート状成形品の外観」において、○は良好、×は不良をそれぞれ意味する。
【0064】
「発泡倍率およびゲル分率」において、*は発泡が不均一であり評価ができないことを意味する。
【0065】
また、「再流動性」において、○は良好、×は不良、−は発泡性が悪くて、再流動性の評価をしなかったことを意味する。
【0066】
【発明の効果】
本発明によれば、微量なポリマー架橋により、後に発泡剤との混練や賦形が可能な程度の融流動性を維持しつつ、同時に発泡が可能な程度の融体強度を有する改質樹脂組成物を得ることができ、この改質樹脂組成物を用いることによって、均質性に優れ、発泡倍率の調整が容易であり、更には使用後の発泡体を回収して再び溶融、成形することができるリサイクル性に優れたポリオレフィン系樹脂発泡体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】改質用の溶融混練装置を示す概略図である。
【図2】発泡剤混和用の混練装置を示す概略図である。
【符号の説明】
1:スクリュー押出機
2:成形用ダイ
3:ポリオレフィン系樹脂用フィーダー
4:ジオキシム化合物用フィーダー
5:吸引ポンプ
6、7:熱電対
8:吸引用ベント
9:スクリュー押出機
10:成形ダイ
11:樹脂用フィーダー
12:発泡剤用定量フィーダー
13:冷却ロール
14:発泡性樹脂組成物シート

Claims (3)

  1. ポリオレフィン系樹脂100重量部とジオキシム化合物0.05〜5重量部を温度170℃以上で溶融混和して樹脂を改質し、得られた改質樹脂組成物に熱分解型化学発泡剤を混練し、得られた発泡性樹脂組成物を加熱して発泡剤の分解によって発泡させることを特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。
  2. ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂であることを特徴とする請求項1記載のポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。
  3. ポリオレフィン系樹脂がポリエチレン系樹脂であることを特徴とする請求項1記載のポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。
JP7980598A 1997-04-16 1998-03-26 ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法 Expired - Lifetime JP3581556B2 (ja)

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