JP3580983B2 - 電動車両用バッテリ貸出システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動車両に装填される着脱自在なバッテリをレンタルする電動車両用バッテリ貸出システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
自転車や自動車等の車両をレンタルするシステムは、従来より多数存在している。例えば、自動車のレンタルシステムは、利用者がレンタル会社で必要事項を書類に記載してキーを受け取り、所望の自動車を借りて所定時間使用した後、そのレンタル会社に返却するのが一般的である。この場合、レンタル契約やキーの受渡処理、さらには、返却時における精算処理等は、利用者やレンタル会社の作業員にとって相当に煩雑なものとなっている。
【0003】
そこで、例えば、特開平6−68095号公報に記載されたシステムでは、加入者が所持する磁気カード等の識別手段を自動車に装備された判断手段で読み取ることで車の使用の可否を判断し、使用可であればドアを解錠してレンタルを可能とする一方、当該自動車の位置を自動車位置識別装置を介して中央制御装置で追跡可能としている。この場合、レンタルの簡便化が図られるとともに、自動車の位置を識別できることから返却の自由度が向上するという利点が得られる。
【0004】
また、特開平7−325959号公報に記載されたシステムでは、複数の携帯電話を収納する貸出ステーションにおいて、利用者が有するカードを用いて所望の携帯電話をレンタルし、その利用代金を携帯電話に内蔵された利用度数の積算値に基づいて算出するようにしている。
【0005】
しかしながら、これらの従来技術では、利用者が選択できる車両や携帯電話の種類等を簡便に把握できる構成とはなっていない。一方、特開平2−93796号公報には、利用者が所有するバッテリを有料で充電可能とした装置が開示されている。しかしながら、この従来技術には、キーの管理やバッテリの管理について言及されていない。ましてや、着脱自在なバッテリそのものをレンタルするシステムについて開示された従来技術は見あたらない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前述した事情を考慮してなされたものであり、所望の状態に充電されたバッテリを作業員を介することなく極めて簡便にレンタルすることのできる電動車両用バッテリ貸出システムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の電動車両用バッテリ貸出システムは、電動車両に装填される着脱自在な複数のバッテリを施錠状態で保持するロック機構と、前記バッテリの充電を行う充電回路と、前記バッテリの有無を検知するバッテリ有無検知手段とを有し、所望の前記バッテリを解錠して供給するバッテリ供給装置と、
前記バッテリを利用する利用者を識別する利用者識別装置と、
前記充電回路による前記バッテリの充電状態および前記バッテリ有無検知手段による前記バッテリの有無に基づき、利用可能な前記バッテリに係る前記充電状態を含む選択情報を表示する表示手段と、前記表示手段に表示された前記選択情報に従って所望の前記バッテリを選択する選択手段とを備える選択装置と、
前記利用者識別装置により識別された前記利用者が正規利用者であるとき、前記選択装置により選択された前記バッテリを解錠して貸し出す貸出制御を行う貸出制御装置と、
前記バッテリを利用する利用者の利用状況を管理する利用者管理装置と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
この場合、利用者識別装置によって利用可能であることが識別された利用者は、選択装置を用いて充電状態にある所望のバッテリを選択する。貸出制御装置は、所望のバッテリが選択されると、バッテリ供給装置の該当するバッテリの解錠を行う。そこで、利用者は、バッテリ供給装置より当該バッテリを取り出し、所定の電動二輪車や電気自動車等の車両に装填する。一方、使用済みとなったバッテリは、前記バッテリ供給装置に返却され、施錠されるとともに、次の使用に供するために充電が開始される。
【0009】
なお、バッテリ供給装置、利用者識別装置および選択装置を用いた貸出処理および返却処理は、貸出制御装置によって制御されている。また、利用者の利用状況は、利用者管理装置によって管理されており、例えば、この利用者がどのようなバッテリを何時借り出し、何時返却したかを前記貸出制御装置からの情報に従って管理し、必要に応じて利用料金の請求等を行うことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施形態である電動車両用バッテリ貸出システムが適用される電動車両のレンタルシステムを示す。
【0011】
この電動車両のレンタルシステムは、複数台の電動車両がレンタル可能な状態で駐輪されている駐輪場10と、前記駐輪場10の状況および利用者を管理する中央制御室12とを備える。
【0012】
ここで、図2は、このレンタルシステムでレンタルされる電動車両の一例である電動二輪車14を示す。この電動二輪車14は、ペダル15による駆動力を補助する補助駆動部16と、前記補助駆動部16に対して電力を供給するバッテリ18とを備える。バッテリ18は、ハンドル19の前部に装着されたバッテリケース20に着脱自在に収納される。バッテリケース20は、収納されたバッテリ18の盗難を防止するため、ロック機構22を備えた蓋24を有する。また、サドル25の下のメインフレーム26には、駐輪場10に装備された後述するサークル錠が施錠されるコ字状係合部28が設けられる。さらに、後輪30には、電動二輪車14の任意の駐輪個所での盗難を防止するためのサークル錠32が設けられる。なお、バッテリ18のロック機構22、駐輪場10に装備された後述するサークル錠および後輪30のサークル錠32は、同一のキーで解錠可能となっている。
【0013】
駐輪場10は、図1および図3に示すように、当該駐輪場10における電動二輪車14の貸出処理の全体を制御する貸出制御装置34と、非接触式ICカード等の利用者証により利用者を識別する利用者識別装置36と、選択可能な電動二輪車14に係る選択情報を表示し、且つ、選択するタッチパネル付表示装置38(選択装置または表示手段および選択手段として機能する。)と、駐輪場10に駐輪されている電動二輪車14の複数のキーを保持し、所望の電動二輪車14に係るキーを選択可能なキー供給装置40と、複数のバッテリ18を保持するバッテリ供給装置42と、バッテリ内蔵タイプの電動二輪車に対する充電を制御する充電制御装置43と、複数台の電動二輪車14を施錠状態で駐輪させる駐輪装置44と、ユーザ電話46からの問い合わせに応じ、当該駐輪場10における電動二輪車14の在庫状態の応答を行う在庫応答装置48と、CCDカメラ等からなり、駐輪場10の状況を監視する駐輪場監視装置50と、非常電話52とを備える。なお、利用者識別装置36としては、非接触式ICカード以外に、利用者の登録されている指紋やアイパターンを識別するようなものであってもよい。
【0014】
中央制御室12は、図1に示すように、利用者の登録機能、精算機能および駐輪場10の管理機能を備える利用者管理装置54と、非接触式ICカード等からなる利用者証を発行する利用者証発行装置56と、駐輪場10に設置された非常電話52からの問い合わせに対して応答する非常電話応答装置58とを有する。なお、利用者管理装置54と駐輪場10の貸出制御装置34とは、モデム60を介して情報の授受を行う。
【0015】
次に、駐輪場10に配置されたキー供給装置40、バッテリ供給装置42および駐輪装置44の具体的構成について詳細に説明する。
【0016】
キー供給装置40は、図4に示すように、ケーシング62に対して電動二輪車14のキーを保持する複数のキーボックス64を備える。キーボックス64は、キーを収納する本体部66とキー扉68とからなる。本体部66内の側部には、キー扉68の受け部70を吸着して閉状態を維持するマグネット72が配設されるとともに、キー扉68の閉状態を検知するマイクロスイッチ等からなるセンサ74が配設される。本体部66の略中央部には、キーが装着されるキーシリンダ76が配設される。本体部66の上部には、ソレノイド78が配設されており、それによって駆動されるロッド80が本体部66内に進退可能に構成される。一方、本体部66に対してヒンジ81を介して装着されるキー扉68の上部には、当該キー扉68が閉状態にあるときに前記ロッド80が係合する係合部82が配設される。また、キー扉68の側部には、開閉を容易とすべく凹部84が形成される。このように構成されるキーボックス64の上部には、キーの貸出、返却状態を示すLED等からなる発光素子86および88が配設される。そして、センサ74、キーシリンダ76、ソレノイド78および発光素子86、88は、夫々貸出制御装置34に接続される。
【0017】
図5は、電動二輪車14またはバッテリ供給装置42に装填されるバッテリ18を示す。このバッテリ18は、上部に取手90を有した箱形状に構成されており、前記取手90に対向する底部に図示しない電極が配設される。また、側部には、取手90側の一方の面が当該側部に対して直交する平面状の係合面92となり、取手90より離間した他方の面が前記係合面92側に傾斜した傾斜面94となる2つの突出部96が形成されている。
【0018】
バッテリ供給装置42には、図6に示すように、本体部98に前記のように構成されるバッテリ18が装填される複数の装填部100が設けられる(図3参照)。この装填部100には、その底部に充電回路102に接続される電極104が配設されるとともに、バッテリ18が装填されていることを検知するマイクロスイッチ等のセンサ106が配設される。また、装填部100の内側部には、バッテリ18の側部に設けられた突出部96の1つに係合することで当該バッテリ18の抜き取りを阻止するロック機構108が配設される。さらに、装填部100の開口部には、当該バッテリ18のロック状態を示すLED等の発光素子110と、当該バッテリ18の充電状態を示すLED等の発光素子112とが配設される。これらの充電回路102、センサ106、ロック機構108、発光素子110、112は、貸出制御装置34に接続される。
【0019】
ここで、バッテリ供給装置42に設けられるロック機構108は、図7〜図9に示すように構成される。すなわち、ロック機構108は、バッテリ18の側部に設けられた突出部96の1つに係合する爪部材114と、爪部材114を保持するホルダ116と、ホルダ116を支持するブラケット118、120と、ホルダ116の動作を制御するためのソレノイド122とを有する。
【0020】
爪部材114は、装填部100に対するバッテリ18の装填時において突出部96の傾斜面94(図5参照)が摺接する傾斜面124と、前記突出部96の係合面92に係合する係合面126とを有し、ホルダ116の開口部128に装着される。ホルダ116は、その側方に突出する係止部130を有し、爪部材114が装着される面と反対の面が円弧状曲面に形成される。この円弧状曲面には、略コ字状となるブラケット118が配置される。また、前記係止部130と略直交するホルダ116の側面側の前記開口部128には、略L字状となるブラケット120の一端部が係合する。そして、前記ブラケット120の他端部側の面と前記ブラケット118との間には、爪部材114を図8の状態に維持するためのスプリング132が配設される。一方、ロック機構108を構成するソレノイド122のロッド134には、スプリング136を介してストッパ138が装着される。このストッパ138は、爪部材114を図8の状態に維持すべく、ロッド134が突出した状態においてホルダ116の係止部130に係合する。
【0021】
駐輪場10には、複数台の電動二輪車14を駐輪させる複数の駐輪装置44が設けられる。この駐輪装置44は、図3に示すように、電動二輪車14の側方向の位置決めを行うガイドレール140と、前輪の位置決めを行う位置決め機構142と、電動二輪車14を施錠するロック機構144と、当該駐輪装置44に駐輪されたバッテリ内蔵タイプの図示しない電動二輪車を充電するためのコンセント145とを備える。なお、バッテリ内蔵タイプの電動二輪車がコンセント145に接続されているか否かおよびその充電状態は、貸出制御装置34の管理下において、充電制御装置43により制御される。
【0022】
ロック機構144は、図3および図10に示すように、ガイドレール140間に立設された支柱160と、支柱160の上端部に配設される旋回軸部162と、旋回軸部162に一端部が固定される旋回アーム164と、旋回アーム164の他端部に装着されるサークル錠166とから構成される。なお、サークル錠166は、図10に示すように、電動二輪車14のメインフレーム26のコ字状係合部28に係合することで、当該電動二輪車14の盗難を防止するとともに、駐輪中における転倒を防止するものである。なお、このサークル錠166は、メインフレーム26が細いパイプ状である場合、直接メインフレーム26に係合させるようにしてもよい。
【0023】
本実施形態の電動車両のレンタルシステムは、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、このレンタルシステムを利用した電動二輪車14およびバッテリ18の貸出および返却処理について説明する。
【0024】
レンタルシステムの利用に先立ち、先ず、利用者管理装置54の制御の下、中央制御室12の利用者証発行装置56を用いて、契約利用者の住所、氏名、貸出車両の種類(範囲)、利用料金の精算のための銀行口座番号、カードID番号、利用者ID番号、暗証番号、有効期間等の情報を登録し、非接触型ICカード等の利用者証を発行する。なお、これらの情報は、利用者管理装置54の「利用者リスト」に登録される。
【0025】
次に、利用者証を所有する利用者は、例えば、ユーザ電話46によって駐輪場10の在庫応答装置48を呼び出す。この場合、駐輪場10の駐輪装置44は、図示しない車両センサが検出した電動二輪車14の有無データに係る信号を貸出制御装置34に常時供給しており、前記貸出制御装置34は、この有無データを、例えば、電動二輪車14の種類および在庫台数を示す音声情報に変換し、在庫応答装置48にリアルタイムで提供する。そこで、利用者は、前記在庫応答装置48からの音声応答に従って所望の電動二輪車14の有無を判断することができる。
【0026】
在庫が確認されると、次に利用者は、駐輪場10において、所望の電動二輪車14を借り出す。この場合、先ず、利用者識別装置36によって利用者の確認が行われる。利用者の確認処理は、図11に示すフローチャートに従って行われる。
【0027】
すなわち、利用者は、駐輪場10に備えられた利用者識別装置36に対して非接触型ICカード等の利用者証を近づける。貸出制御装置34は、利用者識別装置36を介してカードID番号、利用者ID番号等の利用者データを読み込み(ステップS1)、これらの利用者データから利用者ID番号を抽出する(ステップS2)。抽出された利用者ID番号は、モデム60を介して利用者管理装置54に転送され、登録されている利用者ID番号と比較照合されることで、当該利用者が正規利用者であるか否かの確認が行われる(ステップS3)。ここで、正規利用者でない場合には、異常処理が実行される(ステップS4)。
【0028】
一方、正規利用者であることが確認されると、前記利用者ID番号に係る暗証番号、貸出車両の種類(範囲)、有効期間、貸出状態等の利用者データが利用者管理装置54から読み出され、モデム60を介して貸出制御装置34に転送される(ステップS5)。そして、前記貸出状態のデータに基づき当該利用者が電動二輪車14を貸出中であるか否かが確認される(ステップS6)。この場合、貸出中であれば、当該利用者が電動二輪車14を返却するものと判定し、後述する「返却モード」の処理を実行する(ステップS7)。
【0029】
未貸出であることが確認された場合、前記利用者データに基づき、当該利用者が現在利用できる状態にあるか否かを示す利用権の確認を行う(ステップS8)。利用権が確認されると、次に、当該利用者の利用者証が有効期限内であるか否かを確認する(ステップS9)。なお、利用権がなく、あるいは、有効期限を超過している場合には、異常処理を実行する(ステップS10)。また、利用権を有し、且つ、有効期限内である場合には、次の「貸出モード」を実行する(ステップS11)。
【0030】
そこで、図12〜図14に示すフローチャートに従い、「貸出モード」の処理を説明する。
【0031】
先ず、利用者は、タッチパネル付表示装置38を用いて、暗証番号を入力する(ステップS101)。貸出制御装置34は、暗証番号の入力回数のカウントを開始するとともに(ステップS102)、入力された暗証番号を登録されている利用者データの暗証番号と比較する(ステップS103)。ここで、暗証番号の入力回数が3回以上である場合(ステップS104)、番号に間違いがあるものと見なして異常処理を実行する(ステップS105)。
【0032】
一方、暗証番号が一致した場合、駐輪装置44からのデータに基づく車両選択可否データを読み込むとともに(ステップS106)、利用者データの貸出車両の種類(範囲)を読み込む(ステップS107)。すなわち、駐輪装置44は、図示しない車両センサからの信号として電動二輪車14の有無データを貸出制御装置34に供給している。この場合、貸出制御装置34は、前記有無データに基づき、電動二輪車14が使用中であるか、当該利用者の貸出車両の範囲で使用可能であるか、あるいは、故障等により使用不可であるかを表す車両選択可否データを作成する。そして、これらのデータに基づいて、タッチパネル付表示装置38に使用可能車両を表示する(ステップS108)。
【0033】
タッチパネル付表示装置38には、例えば、駐輪場10にある使用可能な電動二輪車14が、色、サイズ、サドルの高さ等が分かるように絵(写真)等によって表示されるとともに、利用料金、利用時間等の情報が表示される。利用者は、この表示に基づきタッチパネル付表示装置38を操作することで所望の電動二輪車14を選択する(ステップS109)。貸出制御装置34は、利用者が選択した電動二輪車14が使用可能であるか否かを確認する(ステップS110)。
【0034】
利用者によって選択された電動二輪車14が使用可能であれば、貸出制御装置34は、その車両番号を選択し(ステップS111)、当該車両番号に対応する車両データを読み込む(ステップS112)。
【0035】
次に、貸出制御装置34は、前記車両番号に従い、選択された電動二輪車14のキーを保持するキーボックス64(図4参照)に対して解錠信号を出力する。キーボックス64のソレノイド78は、前記解錠信号に従ってロッド80をキー扉68の係合部82から退出させる(ステップS113)。これによりキーボックス64が解錠される。この時、前記キーボックス64の上部に配設された発光素子88が点滅し、解錠されたことを利用者に知らせる。なお、利用可能なキーを保持するキーボックス64の指示は、発光素子88により行う代わりに、音声によって行うこともできる。
【0036】
利用者が発光素子88の点滅するキーボックス64のキー扉68を開けると(ステップS114)、センサ74が作動して発光素子86が点滅し、キー扉68が開放されたことを知らせる(ステップS115)。利用者がキーシリンダ76を「貸出」側に回転させてキーを抜き取ると(ステップS116)、発光素子86が点灯状態になるとともにキーの抜き取られたことを貸出制御装置34に知らせる(ステップS117)。この場合、貸出制御装置34では、当該キーに対応した車両番号の電動二輪車14の貸出が開始されたことを確認する。
【0037】
利用者がキーボックス64のキー扉68を閉じると(ステップS118)、センサ74が作動して発光素子86、88が消灯するとともに、キー扉68の閉じられたことを貸出制御装置34に知らせる(ステップS119)。そこで、貸出制御装置34は、ソレノイド78に対して施錠信号を出力し、この施錠信号によってロッド80が下降して係合部82に係合し、施錠が行われる(ステップS120)。
【0038】
次に、貸出制御装置34は、車両番号から貸出をする電動二輪車14の車種を確認する(ステップS121)。この場合、選択された電動二輪車14が着脱自在なバッテリ18を必要とするものか否かが確認され、必要とする場合には、バッテリ選択可否データを読み込む(ステップS122)。なお、バッテリ18が着脱自在でない電動二輪車の場合、図3に示す駐輪場10において、コンセント145から直接充電されており、従って、バッテリ18を選択する必要がない。
【0039】
ここで、バッテリ選択可否データとは、例えば、バッテリ供給装置42の各装填部100におけるバッテリ18の有無データ、充電状態に基づく使用可否データによって作成される選択可能なバッテリ18に係るデータを表す。なお、バッテリ18の有無は、図6に示すセンサ106によって確認することができ、充電状態は、充電回路102によって確認することができる。
【0040】
タッチパネル付表示装置38は、読み込まれたバッテリ選択可否データに基づき、貸し出し可能なバッテリ18を図15に示すようにして表示する(ステップS123)。すなわち、タッチパネル付表示装置38には、利用者による選択を容易とするため、例えば、充電が完了し貸出が可能であるバッテリ18と、貸出中あるいは充電が完了していないバッテリ18とが色分け等による識別可能な状態で表示される。例えば、未充電状態は赤、半充電状態は黄、4分の3の充電状態は青、完全充電状態は緑として表示することにより、仮に完全充電状態のものがなくても、近距離に使用するときには、完全充電状態以外のものを使用することができる。
【0041】
そこで、利用者は、表示されたバッテリ18から利用可能な所望のバッテリ18の番号を選択した後、確定のキーを選択する(ステップS124)。この場合、貸出制御装置34は、選択されたバッテリ18が使用可能な状態まで充電されているか否かを確認し(ステップS125)、使用可能であれば、バッテリ供給装置42の該当する装填部100のロック機構108を解除するとともに(ステップS126)、発光素子110を点灯する。
【0042】
すなわち、図6に示すように、装填部100に装填されたバッテリ18は、その側部に配設された突出部96の係合面92がロック機構108を構成する爪部材114の係合面126に係合することで施錠されている。なお、バッテリ18は、この状態において、底部の図示しない電極が充電回路102の電極104に接触しており、充電処理が継続されている。そして、充電状態は、発光素子112によって外部から検出可能である。
【0043】
そこで、貸出制御装置34からロック解除信号が所定の装填部100に供給されると、図7に示すように、ソレノイド122が作動し、ロッド134が退動してホルダ116の係止部130よりストッパ138が外れることになる(ステップS126)。この状態において、作業者がバッテリ18を装填部100より抜き取る際、バッテリ18の突出部96によってロック機構108の爪部材114を介してホルダ116が図9に示すように傾斜する。従って、前記突出部96が爪部材114を乗り越え、バッテリ18が抜き取られることになる(ステップS127)。
【0044】
バッテリ18が抜き取られると、装填部100の底部に配設されたセンサ106がバッテリ18の無いことを検知し、その検知信号を貸出制御装置34に転送する(ステップS128)。次いで、ロック機構108のソレノイド122が作動し、ロッド134を介してストッパ138がホルダ116の係止部130に係合し、当該ロック機構108が再び施錠状態となり、且つ、発光素子110が消灯される(ステップS129)。
【0045】
一方、以上の処理が終了すると、貸出制御装置34は、レジスタに保持されている利用者データに対して、貸し出した電動二輪車14の車両番号、貸出時刻、貸出中であることを示すフラグ等を書き込み(ステップS130)、モデム60を介して利用者管理装置54に転送する(ステップS131)。また、レジスタに保持されている車両データに対して、当該電動二輪車14を使用する利用者の利用者ID番号、貸出開始時刻等を書き込み(ステップS132)、モデム60を介して利用者管理装置54に転送する(ステップS133)。
【0046】
以上のようにして貸し出し処理が完了した後、利用者は、キー供給装置40より取り出したキーを用いて、駐輪装置44の該当する電動二輪車14を解錠する。この場合、電動二輪車14は、図3および図10に示すように、電動二輪車14間に配置されたロック機構144を構成する旋回アーム164の先端部に設けられたサークル錠166により駐輪装置44に施錠されている。そこで、前記サークル錠166をキーを用いて解錠し、メインフレーム26のコ字状係合部28から取り外す。この場合、図3に示すように、ガイドレール140が斜めに設置されているため、隣接する電動二輪車14に対するロック機構144が解錠の邪魔となることがない。サークル錠166が解錠された旋回アーム164は、支柱160を中心として旋回させ、図10の実線で示す位置まで退避させる。前記のようにして解錠した後、当該電動二輪車14を駐輪装置44から取り出す。
【0047】
利用者は、次に、取り出した電動二輪車14のバッテリケース20に対して、バッテリ供給装置42から取り出したバッテリ18を装填し、蓋24を閉めた後、ロック機構22を前記サークル錠166を解錠したキーによって施錠する。利用者は、このようにしてバッテリ18が装填された電動二輪車14に乗り、所望の場所まで移動することになる。
【0048】
次に、使用した電動二輪車14を返却する場合の処理について説明する。利用者は、駐輪場10において、電動二輪車14を借り出す場合と同様に、先ず、利用者識別装置36に利用者証を近づける。貸出制御装置34は、利用者識別装置36を介して利用者データを読み込み、この利用者データから抽出された利用者ID番号を登録されている利用者ID番号と比較照合することで、当該利用者が正規利用者であるか否かが確認される。正規利用者であることが確認されると、前記利用者ID番号に係る暗証番号、貸出車両の種類(範囲)、有効期間、貸出状態等の利用者データが利用者管理装置54から読み出され、前記貸出状態のデータに基づき当該利用者が電動二輪車14を貸出中であるか否かが確認される。この場合、貸出中であるため、当該利用者が電動二輪車14を返却するものと判定し、「返却モード」の処理を実行する。
【0049】
次に、この「返却モード」の処理について、図16および図17に示すフローチャートに従い説明する。
【0050】
先ず、貸出制御装置34は、車両番号、利用者ID番号、貸出開始時刻、貸出終了時刻等を含む車両データを読み込み(ステップS201)、前記車両番号に係る電動二輪車14が返却されたか否かの確認を行う(ステップS202)。タッチパネル付表示装置38は、当該電動二輪車14が返却されていない場合、車両返却督促画面を表示し、返却を促す(ステップS203)。
【0051】
そこで、利用者は、駐輪装置44の所定の位置に電動二輪車14を返却する。すなわち、ガイドレール140に対して前後の車輪を係合させ、次いで、位置決め機構142により前輪の位置決めを行った後、旋回アーム162を旋回させ、メインフレーム26のコ字状係合部28にロック機構144を構成するサークル錠166を施錠する。
【0052】
前記のようにして電動二輪車14が所定の駐輪装置44に返却されると、その位置決め機構142に設けられた図示しない車両センサが返却状態を検知し、返却検知信号を貸出制御装置34に送信する。従って、貸出制御装置34は、所定の電動二輪車14が返却されたものと判断し(ステップS202)、車両データに基づき返却車両の種類の確認を行う(ステップS204)。
【0053】
ここで、返却車両が着脱自在なバッテリ18を有する電動二輪車14である場合、貸出中の車両数を計数する一方(ステップS205)、バッテリ供給装置42のセンサ106によって検出された貸出中のバッテリ数と前記車両数とに基づいてバッテリ18の適正な在庫数を計算し(ステップS206)、バッテリ18が返却されたか否かを確認する(ステップS207)。タッチパネル付表示装置38は、バッテリ18が返却されていない場合、バッテリ返却督促画面を表示し、返却を促す(ステップS208)。
【0054】
電動二輪車14およびバッテリ18の返却が完了した後、利用者は、キーを返却する。この場合、貸出制御装置34は、返却された電動二輪車14の車両番号に従い、該当するキーボックス64(図4参照)に対して解錠信号を出力する。キーボックス64のソレノイド78は、前記解錠信号に従ってロッド80をキー扉68の係合部82から退出させる(ステップS209)。これによりキーボックス64が解錠される。この時、前記キーボックス64の上部に配設された発光素子88が点滅し、解錠されたことを利用者に知らせる。
【0055】
利用者が発光素子88の点滅するキーボックス64のキー扉68を開けると(ステップS210)、センサ74が作動して発光素子86が点滅し、キー扉68が開放されたことを知らせる(ステップS211)。利用者がキーシリンダ76にキーを差し込み、「返却」側に回転させると(ステップS212)、発光素子86が点灯状態になるとともにキーが返却されたことを貸出制御装置34に知らせる(ステップS213)。
【0056】
利用者がキーボックス64のキー扉68を閉じると(ステップS214)、センサ74が作動して発光素子86、88が消灯するとともに、キー扉68の閉じられたことを貸出制御装置34に知らせる(ステップS215)。そこで、貸出制御装置34は、ソレノイド78に対して施錠信号を供給し、この施錠信号によってロッド80が下降して係合部82に係合し、施錠が行われる(ステップS216)。
【0057】
一方、貸出制御装置34は、レジスタに保持されている利用者データに対して、返却された電動二輪車14の車両番号、貸出中であることを示すフラグのクリア処理を行うとともに、貸出終了時刻を書き込み(ステップS217)、モデム60を介して利用者管理装置54に転送する(ステップS218)。また、レジスタに保持されている車両データに対して、利用者の利用者ID番号、貸出中であることを示すフラグのクリア処理を行うとともに、貸出終了時刻を書き込み(ステップS219)、モデム60を介して利用者管理装置54に転送する(ステップS220)。
【0058】
以上のようにして、電動二輪車14の返却処理が完了する。なお、電動二輪車14の貸出を行った利用者の利用状況は、前記利用者データに基づいて利用者管理装置54で管理されており、例えば、単位期間毎に契約利用者の利用状況を集計し、タッチパネル付表示装置38を介して課金情報が表示されるとともに、利用明細の発行、課金等の処理が行われる。
【0059】
なお、上述した実施形態において、バッテリ18は同一形態となっているため、バッテリ供給装置42に設けられた複数の装填部100の中、空いている任意の装填部100に対して返却することができるが、このバッテリ18に複数の種類がある場合、その種類に応じて返却すべき装填部100を指示するように構成することも可能である。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る電動車両用バッテリ貸出システムによれば、利用者が電動車両の利用可能なバッテリを選択した際、その選択指示に基づいて解錠処理を行い、所望のバッテリをバッテリ供給装置から取り出すことを可能としている。これらの処理は、作業員を介することなく、極めて簡便に行うことができる。なお、利用者が正規利用者であるか否かは、利用者識別装置によって確認することができるため、盗難を防止することもできる。また、バッテリの貸出だけでなく、返却も容易となる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電動車両のレンタルシステムの構成ブロック図である。
【図2】電動二輪車の説明図である。
【図3】駐輪場の構成図である。
【図4】キー供給装置の構成図である。
【図5】バッテリの構成図である。
【図6】バッテリ供給装置の断面構成図である。
【図7】バッテリ供給装置におけるロック機構の構成図である。
【図8】バッテリ供給装置におけるロック機構の施錠状態を示す断面説明図である。
【図9】バッテリ供給装置におけるロック機構の解錠状態を示す断面説明図である。
【図10】ロック機構と電動二輪車との関係説明図である。
【図11】利用者の確認処理を行うフローチャートである。
【図12】貸出モードのフローチャートである。
【図13】貸出モードのフローチャートである。
【図14】貸出モードのフローチャートである。
【図15】タッチパネル付表示装置に表示されたバッテリ貸出情報の説明図である。
【図16】返却モードのフローチャートである。
【図17】返却モードのフローチャートである。
【符号の説明】
10…駐輪場 12…中央制御室
14…電動二輪車 18…バッテリ
38…タッチパネル付表示装置 40…キー供給装置
42…バッテリ供給装置 44…駐輪装置
48…在庫応答装置 50…駐輪場監視装置
54…利用者管理装置 56…利用者証発行装置
58…非常電話応答装置 60…モデム
64…キーボックス 108、144…ロック機構
142…位置決め機構
Claims (2)
- 電動車両に装填される着脱自在な複数のバッテリを施錠状態で保持するロック機構と、前記バッテリの充電を行う充電回路と、前記バッテリの有無を検知するバッテリ有無検知手段とを有し、所望の前記バッテリを解錠して供給するバッテリ供給装置と、
前記バッテリを利用する利用者を識別する利用者識別装置と、
前記充電回路による前記バッテリの充電状態および前記バッテリ有無検知手段による前記バッテリの有無に基づき、利用可能な前記バッテリに係る前記充電状態を含む選択情報を表示する表示手段と、前記表示手段に表示された前記選択情報に従って所望の前記バッテリを選択する選択手段とを備える選択装置と、
前記利用者識別装置により識別された前記利用者が正規利用者であるとき、前記選択装置により選択された前記バッテリを解錠して貸し出す貸出制御を行う貸出制御装置と、
前記バッテリを利用する利用者の利用状況を管理する利用者管理装置と、
を備えることを特徴とする電動車両用バッテリ貸出システム。 - 請求項1記載のシステムにおいて、
前記バッテリを利用する利用者に対して利用者証を発行する利用者証発行装置を備えることを特徴とする電動車両用バッテリ貸出システム。
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